「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)」

総合得点
84.1
感想・評価
429
棚に入れた
1964
ランキング
293
★★★★★ 4.2 (429)
物語
4.0
作画
4.4
声優
4.3
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

20数年のけじめとして - 父と息子、”喪失と獲得”の物語 -

想えば、エヴァとの出会いは、まだ、20世紀だった頃、会社の後輩(同類系)が、「〇〇さん、多分、これ好みです、見てください」と、VTシリーズのビデオをわざわざ私の机に持ってきたことに始まる。結構、社会人になって激務であったため、名前は知っていたけど、見たことは無かった。そこからの付き合い。ええ、彼の言った通り、好みでした。最終話のまとめ方は、「時間切れ?」と思ったりしましたが。

それから20数年。旧劇場版、そして、この新劇場版と、庵野さんのぶっとんだ設定とほとんど説明しないストーリーテリングに呆れつつ、ほぼ?人生の半分を付き合ってきた。実は、自腹を切って劇場に足を運んだことはなく、映画もTV視聴、最後くらいは、庵野さんにお金を支払うのが「けじめ」かなと思い、映画館で鑑賞しました。

結論を言えば、プロット回収はさておき、すっきりしました。見る世代によっては、納得いかない人も多いそうですが。

シンジ君が、どんな決着をつけるのか?庵野さん自身がどんな決着をつけるのか、興味がありました。突拍子もないことを言いますが、直近「オレガイル」が完結したからなのか、”比企谷八幡=碇ゲンドウ”と言う感想を持ってしまいました。比企谷君は、「本物が欲しい」のですが、これは言い換えると、「他人の心を全て知りたい、知らないことは酷く怖いことだから」です。孤独の裏返しとしての渇望であり願いです。ゲンドウも同じです。八幡は、雪乃を得ることで、満たされます(雪乃も満たされるのですが)。さてゲンドウは、ある意味で、「やっと獲得した雪乃を失った比企谷八幡」と言えます。一度満たされたが故に、辛さは100倍です。シンジは、失う前のゲンドウです。まだ、そこまで追い詰められていなかった。この物語は、ラストでやっと、父親と息子に連なる「喪失と獲得」の物語であったことが表面に出てきます。庵野さん自身も、恐らく同様に「喪失と獲得」を経てきたのでしょう。
{netabare}
父ゲンドウは、喪失から救ってくれた碇ユイを失って、この「”再”喪失と”再”獲得」の物語を始めますが、息子シンジは、マリ(イスカリオテのマリア)を得て、「喪失していたものを獲得します」。父の不幸を繰り返さないように、全てのエヴァを封印して。

マリ=マリア、彼女は、名前の通り、シンジを救うために出てきたキャラクターだったんですね。こうしてみると、庵野さんの奥さんの安野モヨコさんに対比できるかもしれません。
{/netabare}
でもまあ、八幡君も面倒ですが、ゲンドウ君もシンジ君も面倒です。この物語がオレガイルと決定的に違うのは、ヒロインも面倒ではなく、アスカもマリも、ミサトも、全部の女性キャラはみんな、強く、優しいです。庵野さんは、多分、奥さんにぞっこんなんでしょうね。見ている我々は、女性キャラに救いと願いを託してしまいます。庵野さんは、宮崎駿の女性キャラ達が現実離れしていると嫌っていたと思います。2002年に奥さんと出会い、結婚します。もしかしたら、新劇場版は、それがきっかけで、もう一度、今度は異なる「獲得=エンディング」を描きたくなったのかもしれません。

物語として、エンタテイメントとして、秀逸なのか?と言う問いは、人生の半分を付き合ってきた自分としては、野暮な質問に思えてきました。

{netabare}
シンジ君のハッピーエンドで良かったです。これで一つ、心の引っかかりが、取れました。
{/netabare}

投稿 : 2021/03/30
閲覧 : 201
サンキュー:

7

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