シャベール大佐 さんの感想・評価

4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態：観終わった

感情を揺さぶる力の強さが圧倒的で、涙なくして観られない美少女スポ根アニメ

実在の往年の名馬たちを擬人化して、その日常やレースを描く美少女スポ根アニメの2期。全13話。
今回の主役は、トウカイテイオーとメジロマックイーン。作品の作り方は前作同様、ストーリーの流れは実際の競争成績をベースにしていますし、美少女アニメの楽しさとスポ根アニメの熱さが両立している作風も変わっていません。1期の感想には、「勝負に負けてしまうときの描き方がとても上手で、悔しさがしっかりと伝わってくる。そういった挫折のドラマ的な面白さの土台には、モデルとなった競走馬自体が敗戦や故障なども含めてファンの記憶に残るタイプの名馬であったことも関係していて、素材選びの時点ですでに一定の面白さは約束されていたのかも」、というようなことを書いたのですが、やはり今回も、そういった作品としての基本姿勢は変わっていなかった印象です。ただ、物語としての感動の大きさについては、この2期のほうが上。感情を揺さぶる力の強さは圧倒的で、涙なくして観られない作品になっていました。また、感心したのは、元ネタの膨らませ方。テイオーとマックイーンは、確かに同じ時代に生きた名馬ですが、何度も名勝負を繰り広げるようなライバル関係だったわけではないのに、その実際の競争成績の僅かな接点を発想の種にして、もしかしたらこんなドラマがあったのかも、という物語に仕上げたスタッフの手腕はたいしたものだと思います。単に元ネタのおかげで面白いというだけではない、ちゃんとフィクションのアニメとして優れた作品でした。
作画は、制作会社が変更になって、視聴前の時点では少し心配していたのですが、始まってみると、キャラデザやレースシーンにも違和感がなくて安心しました。声はマックイーンの大西沙織、音楽はED曲の「木漏れ日のエール」が良かったです。
最後まで観終わって、本当に、掛け値なしで素晴らしい作品でした。2021年のアニメは、まだ最初のクールが終わっただけですが、すでに個人的には、これが年間ベストの1位になりそうな気がしています。