「Charlotte [シャーロット](TVアニメ動画)」

総合得点
85.4
感想・評価
3631
棚に入れた
16142
ランキング
238
★★★★☆ 3.9 (3631)
物語
3.7
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

展開にドッキリするには良いと思います。

【概要】

アニメーション制作:P.A.WORKS
2015年7月5日 - 9月27日に放映された全13話+TV未放映1話のTVアニメ。

監督は、浅井義之。

【あらすじ】

未成年の少年少女が極稀に、若干不便な制限がついた「特殊能力」を発症する世界。
18歳ごろになると「特殊能力」は消滅するという。

ルックスには自信がある少年・乙坂有宇は他人の身体を5秒の間だけ乗っ取るという、
超常的な特殊能力を持っていた。対象は自分の視界に映る人間のみという制限から、
腹いせにムカつく連中を殴り合いの仲間割れに追い込む程度の使い方が常だったが、
能力で他人の答案を覗いて記憶して書き写すカンニングでニセ優等生を演じていて、
高校受験も誰が頭が良くてどこに進学するかを各進学塾で徹底的にリサーチして、
「特殊能力」を悪用してエリート進学校にトップ合格。勿論、これは秘密である。

有宇は、入学後に自作自演で交通事故から美少女を守るイケメンを演じることで、
学校のマドンナとお近づきになり彼女の心を射止めようとしていた。

ところが、テストの結果が常に完璧すぎることから生徒会から不正を疑われて、
たったひとりでテストを受けることを強要される。
校長らの許可を得ていて、90点以上とれないと退学だという。
乗っ取る対象の他の生徒がいない部屋でカンニングが不可能の状況である。
常に能力だけで答案を埋めてきたので自力で問題を解くのは絶対無理だった。

更には、その場に現れた星ノ海学園生徒会の生徒会長・友利奈緒に、
有宇の能力と、これまでやってきた不正行為の数々が全て筒抜けであることを言われて、
追い詰められた有宇は逃亡。

有宇は、追いかけてきた友利と同じく生徒会役員の高城丈士朗に捕まり、
彼女らも特殊能力の持ち主であり、その目的が能力者を集めて保護することだと聞く。

このまま能力を使い続けていれば科学者達の実験材料にされてしまうとのことで、
本人の同意なしに、有宇は妹の歩未とともに星ノ海学園への転入が決定。
身元保護の都合から兄妹二人で住んでいたアパートから、
学園に併設されたマンションへの引っ越して、またふたり一緒に住むことになった。

有宇は学園で生徒会に入り、友利らとともに能力者に接触して能力を使わないよう警告したり、
学園に転入させて保護する活動に協力することになるのだった。

【感想】

「Angel Beats!」から5年ぶりとなる、麻枝准による原作・脚本のオリジナルアニメ。
アニプレックスの鳥羽洋典プロデューサーが麻枝氏に惚れ込んでいて、
その彼の作品性をアニメで思う存分、好きに発揮してもらいたいとの企画なんですね。

今作もやはり、エロゲの理屈で設定を作っていますかな。
乙坂兄妹は両親が離婚していて、おじさんが親権を押し付けられていて、
父母から捨てられていて、おじさんとも同居していない事実から、
親族からも育児放棄されている状態の高一と小一の未成年が、
小さなアパートで保護者抜きに二人暮らしというヘビーさなのですが、
その辺の事情とか設定とかどうなってるのか深堀りされていない?

登場人物も、主人公の乙坂有宇の容姿やポーズや特殊能力なども、
「コードギアス」のルルーシュのパロディキャラみたいですね。
転入先の学園の生徒会の構成も、SOS団から長門有希ポジがいない感じです。
現役アイドルキャラの西森柚咲が途中で転校してきて生徒会に加入するのですが、
朝比奈みくる←→ゴトゥーザ様にキャラ付けが似ているような?

キャラの個性にしても、2015年時点では既に下火になっていた暴力ヒロインがいたり、
麻枝准の価値観というか好みが2000年代を引きずっていると思います。

能力者を集めた学園というのも、どこかの某有名アニメで聞いたような設定ですし、
タイムリープ展開など、アニメファンに人気があった作品の要素を少しずつ寄せ集めて、
作品世界を創造していった感じですな。

モチーフが無さ気な妹ちゃんも語尾が「なのでござる」「なのですぅぅぅぅ!」
こういうの可愛いと思ってる人には良いのでしょうけど、
自分としては、“あり・なし”で言えば“なし”かなあ?

「Angel Beats!」ではキャラが多すぎであるのと終盤で駆け足であったためか、
今作では登場人物をむやみに増やさずに、
物語開始当初では妹を大事にしてる以外に人格的に良いところが一つもない、
主人公の有宇の心の成長を中心にして周囲との人間関係に重きを置いたつくりかな。
そこは前作の「Angel Beats!」よりは丁寧であったかと思います。

序盤は麻枝准の脚本では定番の野球回があったりで、
5話目まではコメディタッチ気味に能力者回収の話が続きます。
姉妹の話や友情の話など、ちょっといい展開?にしながらも、
相変わらず麻枝准のギャグが面白くはないですけどね。

それが6話目でとある重要人物が死んでしまったのをきっかけにして、
それまでの呑気さとは同じアニメとは思えないほど痛々しい内容に変貌します。

大事な人を失った失意で精神に異常をきたした主人公が能力を使って暴力をふるい、
麻薬にて出しそうなまでになっていたのを、活を入れられて立ち直るエピソードから、
ピタゴラスイッチ的に話がつながって事態の解決へと続くのですが、

人は一人で生きているのではなくて見てくれる人が周りにいて、
他人とのつながりでその人の人生は支えられて意味を持つ。
大事なものは、きづいたら直ぐ側にあって、それが幸せであるなど、
このアニメで伝えたいことはわからないでもなかったです。

やさぐれた主人公の噛ませ犬にされ散々恐怖と苦痛を味合わされた不良集団や、
単なる心が狂った悪役にされてシナリオのパーツとして使い捨てられた少女など、
その描き方に、主人公らに感動させるためだけの捨て駒として、
それ以外になんの価値がないと言わんばかりの描写を極端だなと思いましたけどね。

「特殊能力」を研究する機関が過剰に高圧的で非人道的で銃器を携えていて、
え?これ?現代日本での話だよね?と再確認したくなったりした第9話、
話にご都合主義を感じながらもハッピーエンドで良かったねと思えた第10話。

賛否両方を感じながらも、10話目で終わっていればまだ良かったと思います。

それが、第11話から最終回までの3回を費やして物語は超展開を迎えます。
中国系のマフィアみたいなのが出てきて残酷なシーンや犠牲者が出てきたりで、
下らないギャグだらけの日常と異様に重いシリアスな部分との温度差は広がります。

・アニメでこんなに泣ける作品があったのか!って思ってもらいたい。
・誰かの人の心を動かしたい。

と、麻枝准が「神様になった日」のインタビューで言っているのですが、
そうするには、主人公に関わる脇役がギャグ担当の賑やかしメンバーであったり、
シナリオをシリアスにするには設定の荒唐無稽な部分が勝ちすぎていますかな。

主人公の有宇には一定の配慮をしているものの、
繊細に登場人物を組み立てて人の心を扱うというよりは、
結局やり口はいつもの、頭を鈍器で殴って涙を流させるという性質のものであって、
それは、気づいたら涙を流していたという類いのものではありませんね。

また、最終回付近ではいきなり話が大きくなって、
超スピード展開と力技で無理やりまとめた挙げ句に、
麻枝准おなじみの、いつもの車椅子エンドで終わったのを見るに、
自分が見たかった話とは違うなと思いました。

特別篇の 「強い者たち」みたいにゲストキャラを重視したり、
毎回の積み重ねで徐々に有宇のこころが変わっていく路線で行けば、
もっと良いものになってたかもしれませんが、
○○の死で始めて有宇の心が変化するなど、
鈍器で頭を殴るような力技に頼るところがあり、
物語を丁寧に構成してまとめるに1クールでは力不足で尺不足かなと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2021/10/31
閲覧 : 355
サンキュー:

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