「電脳コイル(TVアニメ動画)」

総合得点
84.0
感想・評価
1965
棚に入れた
11134
ランキング
298
★★★★☆ 3.9 (1965)
物語
4.2
作画
3.9
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

ぬるま湯 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

大人は前半で挫折し子供は後半で挫折するかもしれない。でも最後まで見た人には何かしら心に残ると思う。押しつけがましい正解はなく、それぞれに感じたことを大事にすればいい。

電脳物質やそれが見える電脳眼鏡が普及し、大半の人が仕事を含めた生活に密接に結び付いた社会。電脳で管理され絶対に事故が起きないはずの車に撥ねられた少女。何でも願いを叶えてくれる、或いは子供をさらってしまうというミチコさん。「あっちの世界」。電脳世界から戻れなくなるという都市伝説。「4423」とは一体何なのか。といった…ん~SFミステリーホラー?と言ったら大げさだけどそんな話。個人的には15話あたりから面白くなり、見続けて良かったと思える作品だった。

物語。軸は冒頭書いた通りだが、話が動くのが15話くらいから。それまでは電脳眼鏡が当たり前になった社会の子供たちを描いている。その中でチラホラと都市伝説など後々の話に繋がるものが出される。前半部分はいかにも子供向けなのでここで断念する人もいると思う。
後半になるとどんどん話に引き込まれる。今度は子供が付いて来れないんじゃ?って思うほど複雑になってくる。(でも完全に理解できなくても何かしら心に残ったりするものだからこれはこれで有りだと思う。)
クライマックスは{netabare}イサコの弱さと強さ、ヤサコの温かさ{/netabare}に胸が熱くなった。

声優。安定のメンツじゃないでしょうか。ヤサコの最初の自信なさげな感じや終盤で{netabare}イサコと話すときの温かみのある優しい声{/netabare}が良かった。イサコの孤独に自分の道を突き進む感じも良かった。

キャラ。物腰が柔らかいけど過去に何かあったらしい主人公ヤサコ。本人に強い目的があるわけではないけど、ハラケンやイサコの力になりたいという思いが物語を動かしている。{netabare}終盤で過去について言及されたけど結局真実は不明。ヤサコが陰で呼び捨てで悪口を言っていたというのを否定しなかったけどそれが事実かはわからない。いじめられたのは自分だと互いに思ってたわけだし。エピローグで電話してたけどどんなこと話したんだろうね。でも絶縁しなかったんだからきっとやりなおせると思う。{/netabare}
兄を取り戻すためだけに生きてきたもう一人の主人公イサコ。{netabare}一部の大人が小学生に対してかなり酷なことをしてる。挙句の果てには全部押し付けて捨てようとする。結構胸糞悪い。{/netabare}
死んだ少女を追い求めるハラケン。甥を守りたい叔母。他にも{netabare}復讐のために他人を犠牲にすることをためらわない兄。他人を犠牲にすることに抵抗がある弟。{/netabare}など立場や思いがそれぞれに違うキャラが物語をおもしろくした。(一部年齢設定に疑問を抱くキャラがいるけどまあ気にしないようにしました。)
いろいろと頼もしい高速ブラインドタッチするおばあちゃんも良い。
フミエが気になりながらもそれが恋だとまだ自覚できずにイタズラするダイチ。イタズラが恋の裏返しだと気付かないフミエ。それが恋だと気付いてる周り。っていう微妙な年ごろな感じが描かれているのもおもしろい。

作画。特になし。

音楽。OP、EDともに素晴らしい。

まとめ。この作品は一つの正解を押し付けたりしません。「温かくて触れるもの」の大切さを訴えてはいます。でも仮想のものを否定はしていません。それは{netabare}最後に眼鏡を外した状態でデンスケが現れたからです。眼鏡を外すことで「バグかも」といった疑念は生まれず、電脳物質だからこそ現実に見えることはない。デンスケは実際には存在しなかったけど優子と京子の心にはしっかりと存在し、その経験はきっと二人の糧になるはず。そういうメッセージだと思いました。{/netabare}だから仮想のものが全くの無意味だとは言っていない。そこがこのアニメの良さだと思う。
手放しで「楽しめる」とは言えませんが、大人も子供もこのアニメを見て「何かしら心に残る」作品だと思う。そしてそれぞれに感じた事を大事にすればいいと思う。

投稿 : 2021/11/05
閲覧 : 328
サンキュー:

7

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