「映画 えんとつ町のプペル(アニメ映画)」

総合得点
64.2
感想・評価
48
棚に入れた
156
ランキング
3838
★★★★☆ 3.2 (48)
物語
3.0
作画
3.6
声優
3.1
音楽
3.3
キャラ
3.1

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ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.5 作画 : 4.0 声優 : 1.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

大人の事情には興味ありません。本作の評価は「つまらない」です。

 外の世界があることを知らない街という題材は数多くあるので、いいと思います。そして、話の流れがケムリを吹き飛ばすということで、日本のアナロジーなんだと思います。世界の中の日本ともとれますが、どちらかと言えば閉塞感というか、空気を読むとか時代の雰囲気のことでしょうね。

{netabare} それから、父ちゃんがゴミになった理由は意思の強さまたは死してなお子供との再会を望んででいいと思います。{/netabare}

 少々分かりづらいのが腐るお金のことろですよね。街の存在理由になっていますが、腐るお金を肯定しているのか否定しているのか。街は肯定してるけど、煙は肯定できないということで、よろしいんですかね。

 そして、奥さんが車いすに乗ってましたね。なんか物語に関連してましたっけ?

 随分社会批判を込めた話ですが、なぜ、これを絵本原作で表現したのでしょう?えんとつ町のブペルを見に来た人って、基本的に絵本準拠の話を見に来ると思うのですが…絵本は無料公開版をみただけですけど…

 基本的に子供向けであるはずの絵本を映画化した本作が、なぜ思想性を持たなければならないのでしょう?絵本に書いてある程度の寓話ならいいんですけど、ここがわかりませんでした。

 絵本の内容はまあいいと思うんです(決して面白くもないし感心もしませんが)。子供向けなので子供が主人公で、いじめられながら、友情と自分の意思を貫いて、親子愛で感動のラスト。修学前の幼児なら十分ですよね。
 いやだったら、映画は長すぎだし、盛り込みすぎだし、思想性が入りすぎだし…。

 そしてラストの延々と続く語りですよね。うーん。だったらストーリーで表現してください、としか…。子供向けならなおさら話に落とし込まないと…。

 大人の事情は興味ないので横に置いておくとして、正直作品としてつまらないです。
 ストーリーの枠組みがありきたりすぎます。そしてエピソードの一つ一つが陳腐です。

 本作に限らず昨今の映画は「泣かせる場面」を映画のパーツつまり「エピソード」として、ばらまくことで泣かせるという手法が多くなっています。「死、障碍、病気、孤独、いじめ、努力、別れ」×「友情、恋愛、子供、動物」などをばらまいて、さあ、泣いてください、という感じです。個人が内面に持っている情動を「泣かなけらばならない記号」を使って揺さぶって強引に涙を流させる。これを感動ポルノと言います。つまり、泣ける映画=名作ではないし、テーマが深いわけでもありません。

 これはこれでニーズがあるので、映画館に行って、泣くだけ泣いてすっきりするでもいいと思うんです。でも、本作は絵柄含めてあざとすぎて泣けすらしません。

 作画はいいですが、3Dっぽくて味が無くなっています。絵本ならたとえ崩れたとしても手書きがいいと思うのですが。

 まとめると、面白くない。思想性はユーチューブでみんなが語っている内容を見れば十分、そして感動ポルノを意図して失敗している。うーん、何がしたかったんでしょう?


追記 一言でいうと、本作は作家性がない=「パンツを脱いでいない」です。自分の内面の恥ずかしい部分を表に晒すという行為が創作活動には必要です。特に日本人の場合、キリスト教という思想哲学が共通基盤として潜在意識の中や集合的無意識にないので、文学や映画をやるならどうしても自分をさらけ出すしかないと思います。
 この「パンツを脱ぐ」という行為がないために、本作は作家性が非常に薄っぺらく感じます。

 本作が、言いたい事が内面に蓄積され、表現として映画にしたくて悶えるような衝動の上にできているのか、ですよね。パンツを脱ごうにも履かせているのはマネキンでした、という感じです。つまり、作家の内面にまで思想が昇華されないうちに、知識で作ったような感じです。

 だから、言いたい事が重層的に物語の中に織り込まれているような感じでなく、直接語っちゃってます。ですので、キャラや設定と作家性がまったくシンクロせず、こういう話しか作れないのでしょう。

 私見ですが、無料で見られるテレビと違って、金をとる映画はこの作家性の部分が無いと見る価値がないと思います。テレビシリーズの続きでやる映画を積極的に評価できないのはこの部分です。


 なお、ストーリーそのものの出来やセンスオブワンダーで喜ばせる映画はエンターテイメントでしょう。これはこれで評価できます。ただ、どちらかといえばこちらの難易度のほうが高いでしょう。


追記 本レビューで思想性と作家性という言葉でゴチャゴチャしていますが、思想性は経済学政治学等の社会学的なポジションから自分がとる立場を指してます。つまり客観的な理屈です。
 作家性は、親子とはどうあるべきだとか、お金って本当はこういうものなんだ、というような主義主張したい考え、つまり、主観的な思いを伝えたいという気持ちです。

 言いたい事は、この知識としての思想から作家性へは熟成がいると思いますが、まず本作はそれが感じられません。
 もともと思想性のない子供の童話に、映画になって急に思想を入れるのはどうなのよ?ということ。
 思想を入れたいなら思想の中のどんな事が自分の言いたい事=自分の主観に基づく「欲望」を、セリフやナレーションで直接語るのではなく、物語の中にメタファやアナロジーとして織り込んで、伝えるようにせよということです。

投稿 : 2021/11/27
閲覧 : 493
サンキュー:

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