ERRUE さんの感想・評価
3.9
物語 : 2.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
舞台設定とストーリーが難解な作品
特撮版はあらすじや世界設定程度の知識しかありません。その上でのレビューとなります。
先に結論から言います。おそらく前作を見ていても「非常に難解なストーリー」です。
特撮版グリッドマンですら、パソコンやネット通信が発達していなかった「あの時代には早すぎたストーリー設定」でした。
ここからは「自分なりに調べた世界観の補足」を入れたネタバレになります。
{netabare}
◎グリッドマンの世界について
まず、舞台となるツツジ台。これは現実世界ではありません。
敵役として登場する、新条アカネが「コンピューターワールド(アカネの夢の中)に創造した電子世界」です。
この世界のモノは全て新条アカネが生み出した「怪獣」によって管理されていて、グリッドマンに触れた者にしか怪獣の姿は見えません。
◎住人・建物について
この世界はコンピューターワールドにあり、新条アカネに作られた世界なので、住人は「すべて人間ではありません。」
住人は全員アカネを好きになるように設定された「人工生命体レプリコンポイド」であり、「アカネに出生からの記憶を弄られている」存在です。
街の建物は「背景に同化した怪獣が修復を行う」ように設定されており、怪獣が暴れた後の住人の記憶は「怪獣が生み出した霧のようなガスによって消去される」メカニズムになっている模様。
ツツジ台の街の外には何も無く、住人が外に出ようとすると濃い霧に包まれ眠りについてしまう。
終盤に街の空が晴れて「コンピューターの集積回路がむき出しの状態になった」原因は、背景の怪獣が倒された影響です。
◎新条アカネについて
彼女が恐らく本編に登場する「唯一の人間=神様」であり、本編でのストーリーや世界観の説明があまりにも不足しているため、彼女の存在や行動について意見が割れています。
彼女からすれば、ツツジ台の生活は『パソコン上で「シムシティ」や「どうぶつの森」のゲームをしているようなもの』で、
自分の気に入らない住人は「怪獣を使って存在ごと消す」建物は怪獣を使って「壊しては作る」を繰り返す毎日です。
アカネにとっては「住人=人形(現実には存在しない)」なので、消す=殺人とは思っていません。
※どうぶつの森を遊んでいて、データ(住人が住む村)消去をしても「まあ、ゲームだし良いよね」って思う感覚と同じだと思われます。
ただ、視聴者の多くは「グリッドマンの原作も知らない」「原作を知っていても、世界設定が原作とは別物」であるが故に
世界観が説明不足なまま本編が進んでしまうので、視聴者には
「人間であるアカネが、同じクラスメイトの人間を怪獣で消した」ようにしか見えず、アカネ=サイコパスな殺人鬼に思えるでしょう。
◎裕太の記憶喪失
恐らく、視聴者のほとんどが「は?」となったことでしょう。自分も訳が分かりませんでした。
ネタバレとして「グリッドマンが裕太の精神に乗り移った」ので、裕太としての記憶がそもそも無かった。というオチ。
特撮では、グリッドマン同盟が現実世界で作った「ジャンク」と呼ばれたPCに入る設定でしたが、
今作は「そもそも現実世界がない」ので、何故に裕太の精神に直接入ったのか良くわかりません。
以上が大まかな補足説明です。他にもややこしいのがありますが割愛しますw
◎感想◎
まずは、上記に書いた通り「ネットで情報を集めないと理解できないレベルの世界観とストーリー」が大問題です。
~世界観~
原作(電光超人グリッドマン)は、ジャンクの中にある「コンピューターワールド」で怪獣と戦い、戦いの影響が(※電話回線)を通じて「(現実世界)リアルワールド」にまで及ぶことを阻止するお話です。
※当時のネット回線は電話回線でした。現在の光回線よりメッチャ遅いですw
今作のツツジ台は「アカネによってコンピューターワールドに作られた街」であるため、現実世界ではありません。本当の現実世界は最終話の一番最後に「実写版のアカネがベッドから目覚めるシーン」が描画されているのみ。
自分も初見では「何故に実写が出てきたの?」と混乱しました。
~アカネと裕太のストーリー~
今まで書いてきた通り、「作中の重要人物」なのにも関わらず、ぼんやりとした説明しかありません。
特に「アカネ以外は人間ではない」といった重大な伏線が、探偵小説にある「叙述トリック」で視聴者の大半が物語の終盤に「は?」と戸惑い、理解が追い付かないまま蚊帳の外になってしまいます。
このように説明不足が過ぎるので、理解が追い付かない「電波シナリオにしか見えない」状態では登場人物への感情移入が非常にしにくいと感じました。
自分的には「実写版のアカネが現実で目覚めた=夢落ち」といった認識になりました。ここからは想像で考える他ありませんが、
コンピューターワールド(アカネの夢の中)で嫌なことはあり塞ぎこんでも、自分とウマが合わない他人を傷つけて消したいと思うことはあっても、現実世界(目を覚まして)では前を向いて頑張ろう。
という作者からのメッセージでしょうか。伏線を調べ最終話を見た感想です。
ストーリーと世界観の説明がボロボロなので酷評になってしまいましたが、キャラデザや背景の作りこみ、声優さんの演技はよかったです。
結論として『ストーリーの補完が出来れば面白いかな?』と思うアニメでした。
{/netabare}