タック二階堂 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
時間が止まれば 良いのになって思うよ…
詳細は公式サイトでも見てください。
今期、サンフレッチェを放つCloverWorksの三番矢です。
集英社『となりのヤングジャンプ』連載中のコミックのアニメ化作品です。作者はイラストレーターの博(ひろ)さん。性別は不詳です。主だった作品履歴として、「スーパーカブ」の挿絵(キャラクター原案)を担当されていますね。
監督、シリーズ構成・脚本、キャラデザ、音楽と、オール女性で揃えたスタッフとなっています。
まあ、アニメ化については制作会社が圧倒的に実力のあるCloverWorksのため、「スーパーカブ」とは比べものにならないキャラデザの良さです。
初回は、田舎の少女・明日小路がアイドルの福元幹がCMで着ていた中学校のセーラー服に一目惚れ。しかも、母親もその中学校の卒業生ということで、その学校を受験して合格し、セーラー服が着られることを喜ぶところから始まる物語ですよ。
で、
=====初回視聴後、所感です。
{netabare}
んーと、ストーリーは上記の導入以上のものはなにもないといった感じ。
なんでしょうね。オール女性スタッフなんですが、極めてフェティシズムに全振りした作品という初回の印象です。
バク転をする明日ちゃんの腰のライン。妹とお風呂に入る豊かな乳の描写、靴下を履く脚のライン、教室で足の爪を切る木崎江利花のスカートからのぞく太もものライン…
これね、僕は個人的に、純粋な意味での「耽美」な世界観の日常系アニメだと思っていたんですね。ところが、フタを開けてみれば、なんというか…
乱暴な言い方をすれば、萌えオタに媚びた作風とでもいうのでしょうか。
ただ、再三いっているように、これ、オール女性スタッフで作られているんですね。まあ、もっと上からの指示でこうなったんでしょうけど、女性だからなのか、どうしても捨てきれない綺麗さがあるというか…
それとも、登場キャラが女子中学生(それも1年生)ということもあるのか、不思議とエロさを感じないんです。だから、なおさら居心地の悪さを感じてしまうんですね。
なんだろ。たとえば、小学生のダンス発表会で、ロリがへそ出しミニスカで大人みたいな色っぽい化粧をして踊っているのを見させられているような。なんか、言葉にするのが難しい気持ち悪さというのを感じてしまいます。
そんなことをしなくても、たとえば「のんのんびより」のように牧歌的な作りにしても良かったんじゃないのかなという気がしています。
まあ、とはいえ作画や演出を含め、今期でもトップクラスに高いクオリティの作品であることは間違いないですね。継続して様子見します。
{/netabare}
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
んーっと…
前回も書いたとおり、オール女性スタッフが美しい作画で描く、深夜アニメ勢のオタク男子達に向けたフェチアニメです。
必死にほんわか日常系を描きたい女性スタッフ vs. 売れるコンテンツにエロ・フェチは欠かせへんで、という上層部の大人たちとのせめぎ合いといった居心地の悪い作品に仕上がっていますね、今のところ。
どう考えても必要のない妹との入浴シーンを今回も入れてきました。事あるごとにセーラー服を脱ぎたがる明日ちゃん。いろいろな妄想を掻き立てる女子中学生の色っぽいリップの唇…
そんな感じで、いったいどこの層に向けて作っているのかなと疑問に感じるほど、フェチながらエロさを感じ得ないという摩訶不思議な作品になっています。
内容?
ただただ、キャラ見せしただけですが、最後に単身赴任中のお父さんが久しぶりに帰ってきて、いろいろな話をした明日ちゃんという、ここをクローズアップする話にすればいいのにと、おじさんは思ってしまいました。
あ、関係ないけどお父さんが夜に外で物思いにふけっているシーン。明日ちゃんが声をかけ、振り返るお父さんの顔の描き方が「あー、約ネバのノーマンっぽいな。CloverWorksだなあ」って感じました。
以上です。
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
{netabare}
今回はフェチ要素は封印し、虫好きの大熊さんと入試の時にハンカチ貸した峠口さんと仲良くなりましたという、これぞ耽美なストーリーでした。うん、文句なし!
キャスティングも小原好美さんに三上枝織さんという、これ以上ないベストな人選。素晴らしい演技でしたね、2人とも。
軌道に乗ってからのストーリーは、本当に求めていたものを高クオリティで出してくるといった感じ。じわじわと上位進出してきている印象です。
{/netabare}
=====第6話視聴後、追記です。
{netabare}
最初に友だちになった木崎さん掘り下げ回です。
明日ちゃんの家の近くの湖で釣りをしますよ。
竿を使わずに釣る明日ちゃん。ヒットしたのはアブラハヤ。飼育したことありますが、確かにああいうところでゲットできる魚ですし、作画もちゃんとしていました。「うわ、ぬるぬるする!」とかなんとか、そういうセリフがあったら完璧でした。ちなみに、臭みがあるので食べても美味しくないです。
と、木崎さんがイワナを釣りますが、さすがに渓流じゃないんだから野生のイワナは釣れないですわ笑
でもまあ、ヒットしたのがブラックバスだったら、それはそれで幻滅しちゃうので、まあ在来種でよかったよかった(ニジマスならあり得るけど、外来種ですしね)。
なんていうか、今回は観ているこちらもニヨニヨするような、いい距離の詰め方を描いていて素晴らしかったです。フェチ描写多めだったけど、気にならなくなってきました。
いやはや、CloverWorksの熱い覇権争いといった様相を呈してきました。1作品は超駄作で脱落しましたけど、2/3が名作になりうるレベルの高さで、さすがとしか言いようがないですね。
{/netabare}
=====第7話視聴後、追記です。
{netabare}
これですよ!
こういうアニメを求めていたんです、この作品に。
本当に、本当に美しいストーリー。
女子中学生らしい、自分が何に打ち込むべきなのかを手探りで見つけていく蛇森さん。バンドが好きだから、ギター雑誌を手にしていたところを明日ちゃんに見つけられ、ギターが聴きたいと言われます。
でも、ギターなんて弾けない。
だから、一生懸命コードを勉強して、やっと少しだけ弾けるようになりました。明日ちゃんに弾き語りを聴かせます。選曲がスピッツ「チェリー」。
最初、蛇森さんのCVは大地葉さんかと思っていましたが、神戸光歩さんでしたか。綺麗な歌声でした。
100点満点の、文句のつけようがない神回。
一気に今期トップに躍り出た感じです。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
同じCloverWorks「その着せかえ人形は恋をする」は、キャラにどっぷり感情移入して、生々しさを持って視聴していましたが、こちらは例えるなら「美しい学生時代の写真集を眺めている」感じで観ていました。
終始、圧巻の映像美。序盤こそ中学生女子のフェティシズムを前面に押し出していましたが、中盤以降は本当に耽美な世界観。終盤、なんで明日ちゃんは応援団みたいなことをしているんだという感じでしたが、最終話を観てすべてが納得。なるほど、そういう演出。本当に巧みでしたね。
バレーの試合や水泳の試合を、あえて最終話まで見せないで、ダンスとともに回想で流す。これが実に効いてくる。やられたという感じ。
明日ちゃんの、ひとりセーラー服で周囲と違うということを、明日ちゃんの天真爛漫さと、誰にでも心を開いて接する姿、友達のために泣いたり笑ったりできる優しさに、クラスメートもどんどん明日ちゃんを好きになっていく。こういった爽やかさに、CloverWorksの美しい作画が相まって、名作(といっていいでしょう)に仕上がったんだと思います。
1クール、爽やかな一陣の春風が駆け抜けていった、そういう作品でした。こちらも素晴らしかったです。文句なし!
{/netabare}