「思い出のマーニー(アニメ映画)」

総合得点
66.9
感想・評価
339
棚に入れた
1776
ランキング
2606
★★★★☆ 3.8 (339)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.5
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

愛情が伝わって希望になる話。

【概要】

アニメーション制作:スタジオジブリ
2014年7月19日に公開された103分間の劇場版作品。
原作は、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学作品。

監督は、米林宏昌。

【あらすじ】

札幌市の12歳の少女の佐々木杏奈は、両親が事故死、2歳のときに祖母に先立たれ、
親戚は言い争って誰も引き取ってくれなかった記憶がトラウマとなっていて、
人間不信が根付いていて人と仲良くなれない。里親の頼子は親切で良い人だが、
ある理由で彼女への不信感が芽生えていて、そしてそんな自分も杏奈は嫌っている。

常にストレスを抱えて生きている杏奈は校外授業での写生中に喘息の発作で倒れて、
療養のために夏休みの間、頼子の親戚である大岩清正・セツ夫妻のお世話になりに、
道内の海辺の田舎の村に赴いて滞在する。

村祭でも人付き合いに失敗した杏奈が泣きながら走って逃げ出した先の入り江には、
湿っ地屋敷(しめっちやしき)」と呼ばれる廃屋があり、
そこで杏奈は夢の中で見た金髪の少女・マーニーと出会うのだった。

【感想】

ジブリの代替わりを本格的に意識した今作品では宮崎駿っぽさが抜けて、
90年代の世界名作劇場っぽいキャラクターデザインと空気。

ティザービジュアルの背中合わせで手をつなぐ、杏奈とマーニー。

『あなたのことが大好き。』と書かれた文字から、ジブリで百合?との疑惑が。

杏奈は最初は嫌な子として描かれていまして、
マーニーとの出会いで精神的に安定して更生していく話ですが、
ジブリにしては野暮ったくないキャラデザの質と背景の美しさにも関わらず、
彼女ら二人の不幸自慢で傷の舐め合いのような会話などが、とても辛気臭い雰囲気。

なので、杏奈とマーニーだけを観てれば幸せともいかず、
杏奈と親切な大岩夫妻の日常や、湿っ地屋敷でのパーティーなどを見ていますと、
これはジブリのどの作品でも共通ですが、他のアニメ会社と比べて、
大人に首根っこを掴まれているかのような子供の描かれ方に、
閉塞した空気がキャラクターから感じられるのは被害妄想でしょうか?

それとは別に、夢のない言い方に変えればメンヘラや精神病とも解釈可能な話ですから、
途中が爽やかな空気にならないのは当然かも知れませんが。

マーニーの正体などを書くと重大なネタバレになりますので書きませんが、
杏奈とマーニーの出会いは実はこうだったんだ!とのネタバラシのある、
終盤の15分間だけは確かに感動はしたのですが、
そこにいたるまでの展開のすべてが前置きであり、
見てても面白くもないですし長過ぎでもあるのですよね。
(レビュー内容に比べて点数高いのは終盤の良さ故)

単純に作画の美しさや日常芝居や演出方面で上位互換と言える作品が今では存在していて、
この作品での売りの一つである映像表現は確かに丁寧でクオリティはあるものの、
上位のアニメ会社の映像の表現力がインフレしている今の時代に、
同じ方向性での魅力を強く感じられなかったことに、
特に目立って優れたものだとは自分では思わなかったですね。
なので、このアニメから得られる感動が薄れてしまった。

巨匠のためのスタジオであり、個の才能への依存が強すぎるがために、
社で共有する映像の新しい価値を作ったり外部から取り入れてこなかったりした、
そのジブリが伝統の名のもとにトレンドから取り残された存在であり、
業界でも際立って特別だった時代はやはり終わってしまったのだなというのが、
このアニメ映画を見ていて強く思ったことですね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/10/19
閲覧 : 128
サンキュー:

17

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