「COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ(TVアニメ動画)」

総合得点
92.2
感想・評価
3199
棚に入れた
15410
ランキング
24
★★★★★ 4.2 (3199)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.2
音楽
4.3
キャラ
4.2

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ぱいーぬ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

まさにビバップの物語

ビバップに乗っている4人には貫くべき価値観は存在しない。過去や場所にも囚われず、フリーランスの賞金稼ぎとして、賞金首を警察に受け渡すことを生業とするが、それは賞金首が悪であり捕えるべきという正義感からではなく、自分たちが生きるために金を稼ぐという行為以上でも以下でもない。ところで、物語は賞金首の情報をキャッチし、賞金首を捕えるという仕事の一部始終に、ほぼ常にフィーチャーしているわけだが、ただひたすら金銭のために遂行される仕事を20回以上見させられるだけで視聴者が満足するだろうか。人気アニメ総合得点ランキング上位のアニメがそんな筋書きならば、視聴者の質の方が疑問視されるだろう。このアニメが「物語」として成立しているのは、彼らがそのドライでプラグマティックな原理を貫き切れないからだ。4人は、価値観を持つ(それは主に愛なのであるが)賞金首や周辺の人間と交流することで、金銭では割り切れない情緒的な衝動に突き動かされる。それは恐らく賞金稼ぎとしてはあるまじき行為なのであり、実際に賞金首を警察に引き渡して賞金を受け取るというシーンは殆ど無い。しかし、私たちは彼らの賞金が手に入らずトホホとなってしまう展開に何故かカタルシスを覚えてしまうのではないか。きっとそれは、どんなにドライに生きても、心の奥底にはしっかり大切な価値観を秘めている彼らに対する好感ないしは尊敬のようなものだと思う。

また、このような彼等のあり方を、タイトルにもある「ビバップ」と関連付けることも不可能ではないだろう。

まずビバップとは何かを、このアニメのファンに語るのはいらぬお節介になるだろうが、観ていない人のために少し説明させてほしい。ビバップとはジャズのジャンルのひとつ。それまでの形式ばったジャズに嫌気が差した演奏者たちは、曲中にそれぞれの楽器にアドリブパートを持たせ、アドリブの質を競い合うようになった。これがビバップだ。つまり、アドリブパートでは、担当の楽器は演奏者の個性を十分に発揮させ、同時に他の楽器は、目立たないようにしながらも、主役をより引き立てるような演奏をすることで、ひとつのまとまりを保つ。
そういう観点から見た時に、このアニメはまさにビバップの世界をストーリー化した作品だということが言える。
いつもはドライな彼等のうちの誰かが、賞金稼ぎの最中に様々な人物や出来事と出会うことを通じて、秘める感情や価値観を味わいのある仕方で表現する。その際、他の3人はそっと見守る、若しくはドライな役に徹するわけだ。菅野よう子の音楽に勝るとも劣らない素晴らしいビバップを「観れる」とは幸せだ。

投稿 : 2013/03/06
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