「CLANNAD [クラナド](TVアニメ動画)」

総合得点
89.9
感想・評価
8621
棚に入れた
33574
ランキング
70
★★★★★ 4.1 (8621)
物語
4.2
作画
3.9
声優
4.1
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

高雄統子演出回、『逆転の秘策』だけでも見る価値は充分にある。

最終的に渚を中心にしなければならないので、そのせいで割を食ったキャラもいますが、番外編で補完したり、アニメオリジナルの演出でキャラクターの感情を端的に表現したりと、アニメならではの特徴はきちんと出せていたと思います。アフターが渚と朋也の話ならば、これは杏・智代・ことみ・風子達サブヒロインの話。しかしそれでも決して引き立て役ではなく、彼女達の思い思いの青春が描写されていたのは評価出来ますね。

それとゲーム版ではことみルートぐらいしか仲良くなる場面がなかったヒロイン達が、ほぼ全編に渡って和気藹々としているのは後のアフターでも活かされていたのがお見事だったと私は思います。

その中でも後にアイマスのアニメ版の総合演出を担当する事になる高雄統子さんが演出を担当された、18話『逆転の秘策』は前述したアニメならではの特徴を全力で出し切った、私の中でのベストエピソードです。こういうのもあれですが、これだけでも作品を見る価値があると私はそう信じてやみません。

朋也と藤林姉妹が放課後に遊ぶ場面で、椋と朋也が占いゲームに興じている時、杏の顔だけがアップされるカットがありますが、その時憂鬱な表情を一瞬杏はするんですね。この一瞬の表情だけで杏が今考えている事が理解できるようになっているので、多くを語らずとも、キャラクターの感情表現を伝える事が出来るのは、映像作品としてのアニメの強みかなと思っております。京アニらしさと言えば、朋也と渚の不在を嘆く杏が、気だるそうにキャンデーを舐めるシーンがありますが、そのまま自宅にいる朋也が直前までの杏と同じような体勢になっているカットがあって面白いです。これは後に同会社の『氷菓』のワイルド・ファイアでも全く同じ演出がありますが、映像で魅せるというこだわりを強く感じたのは間違いありませんね。

後、名シーンとしても取り上げられる『オーバー』の楽曲に載せて、智代・杏・椋が3人同時に朋也に振られる伝説のシーンも何を隠そう、この回。朋也が渚に惹かれているという所を会話ではなく、朋也と渚の動作から理解させるという手法は、ゲームでもなかったアニメオリジナルです。テニスの試合で怪我を負った渚を保健室に運ぼうとした生徒を朋也ガ無意識に払いのける。そして見守る杏・椋を通り過ぎた瞬間、杏が全てを受け入れて敗北宣言、そして、椋が今まで自分に気を遣ってくれた杏に謝罪すると、杏が耐え切れずに泣く、そしてそんな姉を労わるかのように、椋が杏を抱きしめて共に泣く。智代はただ空を見上げるだけ。この3人のそれぞれの感情が単純に会話ではなく、それぞれの表情・動作・雰囲気だけで行われている所に当時私は震えた記憶があります。こういうのをテレビシリーズでぶっこんでくるから、私は京都アニメーション大好きなんですよ。泣きの『動』とじっと空を見上げるの『静』のコントラストでエピソードに幕が下りるのも良いですね。

若干展開がぶつ切りになる点はありますが、映像でしか表現できないという強みを上手く活かしたという意味では私は非常に優れた作品だと思いますし、雰囲気を壊さないアレンジは原作を大事にしているなという印象も持ち合わせております。学生最後に見た作品とあって、私の中では心に残る作品のひとつです。

投稿 : 2013/03/09
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サンキュー:

30

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