「それでも世界は美しい(TVアニメ動画)」

総合得点
77.1
感想・評価
1157
棚に入れた
6482
ランキング
635
★★★★☆ 3.8 (1157)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

懐かしさを感じる大時代的雰囲気

 原作は未読。
 かって親と同居していた頃は女兄弟がいたこともあって、家には少女漫画誌が常時置いて
あり、そのおかげで少女漫画を読む機会には恵まれていた。
 その当時の感覚では王様やお姫様が登場するような現実離れした設定の作品は消えつつあり、
その後は少女漫画を読む機会がなかったのだが、本作を目にするにつけ、またこういう設定が
人気を得ているのかな?と思ってしまった。
 そんなわけでこの作品に触れて最初に感じた感覚は「懐かしい」というもの。
 こういう大時代的雰囲気は、同じ王様やお姫様が登場するものでも、ゲームやラノベ原作の
ファンタジーものとは違う少女漫画特有の感じ。

 話は主人公であるニケ・ルメルシエが太陽王の元に嫁いでいくところから始まる。
 会ったことのない相手の元へ嫁いでいくパターン自体、大時代的作品によくあるものだが、
大半が幼い女性が年上の男の元に嫁いでいくのに対して、この作品は女性の方が年上であるのが
この作品の個性といった印象。
 会ったこともない男女がぶつかりあいながら分かり合っていく展開もベタなものだが、この
ベタさがいい感じでなんとも微笑ましい。
 ここで印象的だったのは互いが相手を護ろうという姿勢で、この手の作品は王様がお姫様を
護るという展開が多い中、地位的には王であるリヴィウス・オルヴィヌス・イフリキアが
王妃であるニケを護ろうとして、年齢的には年上のニケが年下のリヴィを護ろうとすると、
リビが年下である設定がうまいこと活かされている感じ。
 まあメタ的には単におねショタものをやりたかっただけなのかもしれないけど。

 それなりの脇役やゲストキャラが登場するも、基本的にはニケとリヴィの二人の物語と
いった感じ。
 ニケに関しては身分や形式に捕らわれず、自然体で接することで相手の懐に飛び込むことに
よって局面を打開するなど、これまたベタなキャラ設定ではあるのだが、こういった前向きな
スタンスはやはり魅力的。
 ニケと言うとアメフラシの能力が印象的だが、雨を降らせる時に歌う歌に関して、
アメフラシが伝統的秘儀といったものであるため、神秘的なものや民族音楽的ものを想像
していたら、おもいっきり普通のポップスなのでずっこけた。まあ、曲自体はいいと
思いますけど。
 このアメフラシも最初はそう簡単にやるものではないといったスタンスだったが、後半は
大判振る舞いしていたのもなんだかなあといった感じ。

 そんなニケがリヴィの閉じた心を開いていくという展開だが、確かにリヴィが花や自然に目を
向けるような描写はあったが、冷酷と言われていた割りには元から臣下には気さくだったり、
国政も民衆に歓迎されるものだったりで今一つピンと来なかった。
 結局、ニケとの出会いにより変わったのは、国や王宮といった大局的なものではなく、
リヴィのごく個人的な部分だったということなのかな。

 終盤は舞台が「雨の公国」に移り、おばばことトハラを始め、ニケを取り戻そうとする。
 ここでのトハラやニケの母であるイラハの、ニケを「晴れの大国」に置くことに対する危惧に
対して、リヴィは自身の感情論で対応。
 自身の感情を優先させるというスタンスは個人的には嫌いではないが、トハラの意見それ
自体は理に叶ったものであり、それに対する明確な回答はなし。
 仮にリヴィやニケが節度を守って生涯を送ったとしても、ニケの能力を受け継いだ子孫が
悪政を敷き、天候を操ることで反対勢力を押さえるような将来もありうる、と考えるのは野暮な
ことなのかな。

 展開、キャラのいずれも良く言えば王道といった感じで、定番要素が安心感に繋がることで、
そのベタさを楽しめたが、個人的にはこの作品特有のひねりのようなものが欲しかったかも。

 キャストに関してはニケ役の前田 玲奈氏が独特の声質で印象的。役柄上、重要な歌も
なかなか良かった。
 全体的なキャスティングに関しては、新人の前田氏を主役に置いて、キャリアのある
ベテランが脇を支えるという印象だったが、ベテランというと「晴れの大国」の長老的立場に
いるラトクリフ、ヴォーダン、ケイツビー役の富田 耕生、池田 秀一、二又 一成といった
大御所勢の存在が目を引く。
 特に池田 秀一氏はかって「機動戦士ガンダム」で演じたシャア・アズナブルのセリフを
引用することがあったが、こういう遊びは楽しい。

 あと本編とは関係ないが、EDにおける映像付きのキャスト紹介。
 主要キャラはともかくモブに近いキャラは名前を忘れることが多く、結構親切な
やり方だなと思った。
 もっともEDの映像自体が一つの作品のようにうまくできている場合、こういうやり方は
それを壊してしまう懸念もあるのだけど。

投稿 : 2015/06/12
閲覧 : 347
サンキュー:

9

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