「精霊の守り人(TVアニメ動画)」

総合得点
80.7
感想・評価
1229
棚に入れた
6413
ランキング
435
★★★★★ 4.1 (1229)
物語
4.2
作画
4.2
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
4.1

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にゃんた さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

原作と制作のシナジー効果

原作既読
原作もアニメ制作もともに優れている。
それらが互いに良さを重ねあい、相乗効果を発揮して素晴らしい作品に仕上がったのが、本作だ。

~原作の概要~
この世界には、人間が暮らす世界とは違う、もう1つの並行世界がある。その並行世界の変化が人間世界に様々な影響を及ぼす。
それによって翻弄される登場人物達に、凄腕の女用心棒バルサが関わっていく。
やがて、並行世界で起こる出来事と、人間世界で進行する様々な出来事が、偶然にも絶妙なタイミングで交差する。
それぞれの思惑を持った人物達の行動が、実は、その交差点に向けて収束していたのだと、一連の出来事に深く関わったバルサ(と読者)が気づく。そこで彼女は「運命」というものの存在をあやふやながらも感じとり、自身(の魂)と向き合い、生き方を考える。
というのが、物語の大きな流れ。

原作の優れている部分は、世界観の描きこみと、散りばめられたエピソードの収束の仕方である。
文化人類学者でもある作者によって綿密に考え出された人々の生活様式や文化の描写には、驚くべき説得力とリアリティがある。
その世界の中で、ムダの無い簡易な表現で進む物語はとてもテンポが良く、リアリティのある文化の描写と相まって感情移入が楽にできる。そして、それらの物語が伏線を回収しつつ巧妙に一点に集中していくので、読んでいて実に心地よい興奮が得られる。

「児童文学」として受賞歴がある本シリーズだが、一本筋の通った手ごたえのある内容であり、決して子供向けの小説ではない。むしろ、大人が読むことで色々と感じる部分があるはずだ。
特に2作目以降はだんだんと深みが増していくので、未読の方は是非原作を読んで頂きたい。漢字変換された文字の割合が多い新潮文庫版がおすすめだ。


~アニメ版について~
原作シリーズの第1巻を2クールの尺に合わせるため、一部のエピソードが改変され、また、多くのオリジナルエピソードが盛り込まれている。

こんな場合、大抵は原作の雰囲気が壊されたり安っぽくされたりするものだが、この作品は違う。
原作全編を通して醸し出される独特の雰囲気を一切崩すことなく、また過剰に自己主張することもなく、しっかりと原作を補足して厚みを持たせている。
ここまでアニメオリジナルエピソードで原作と調和し、より補強する効果を発揮できているものを、私の視聴履歴の中では他にみたことが無い。

原作ファンのなかには、一部の改変について賛否両論があるかもしれないが、それも続編で明かされる関係を先取りしたに過ぎず、決して原作の範囲を超えるものではない。個人的には不満な部分は無い。
ただ、そのように部分部分で先取りをしてしまった結果、続編のアニメ化がやや困難になってしまった気もする。高年齢層に人気のある原作2作目以降のアニメ化を望む声が多いにも拘らず、これがいまだに実現していないのには、そういった事情もあるのかもしれない。


~蛇足~
作中に出てくる新ヨゴ皇国の文字、「ヨゴ文字」を解読した方がいらっしゃるようで、それを基に看板や貼り紙、石碑の文字を読解できるらしい。
薬の注文をする貼り紙の中に、目薬を至急求める「ばとう」なる人物のものがあるようだ。神山&I.G繋がりということで、このあたりはスタッフの遊び心なんだろう。

投稿 : 2013/10/20
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サンキュー:

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