「響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)」

総合得点
91.1
感想・評価
3118
棚に入れた
13845
ランキング
39
★★★★★ 4.2 (3118)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.1

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N0TT0N さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

普通という魔法。

【人生や生活のどの場面にでもドラマはあるだろうけどやはり、ドラマは準備にある。】

この作品は人間ドラマです。
基本的には対立はあっても泥沼化するレベルの悪意は描かれてないと思うし、機会にも恵まれていて不平等な部分も現在進行形では描かれず瑞々しい綺麗な物語ではあるけど、登場人物の体温を感じるほどリアルな人間ドラマだと思います。

個人的には、ポジティブだけではない大切な部分を丁寧に真面目に積み重ねていく演出にガッチリ心を掴まれました。それ故に地味な部分は確かにあると思います。アニメに求めているものによっては致命的に地味かもしれません。
この部分で一つ言えるとすれば、人生の大切な部分は総じて地味な場合が多いということでしょうか。"機微"という言葉がありますが、正にその部分を丁寧に描いた物語だったと思います。

とはいえこの物語、部活を中心とした日常を描いた物語ですので、コメディとは言えないけど和みや笑いも描かれています。寧ろそういう部分を描くからこその"機微"と言えるんじゃないでしょうか。そういう意味ではあすか、みどり、カトちゃんなんかが要所でなごみをいれててくれたのもナイスだったと思います。逆にそういうキャラの居ない部活とか考えにくいですからね。
個人的には唯一麗奈だけはリアリティがかなり薄かったように感じましたが悪い要素にはならない程度だったと思います。

そしてこの物語は、部の目標に向かっていくための準備の部分を描いたお話だったと思います。勿論本番も描かれていますが、部活の殆どの時間を占め、最も多様なことが起こるこの部分を描いた作品でした。
ドラマはやはり、準備で起こるのだと思います。


【普通という魔法】

とにかくヒロインの黄前久美子が"等身大"という作品のテイストを担っていましたね。過剰さを抑えたリアクションとか、髪型、体型、顔とか、空気の読み加減とか、テンションとか、そんなにキャラが立ってないところとかいちいち普通でした。
普通の黄前久美子が周囲に影響されながら気づかないうちに心情が変化し、ある時突然に変化している自分に気付く。演奏だけじゃない、人間関係だけじゃない、恋愛だけじゃない、いろんな要素のバランスの中で正解かどうか判らない選択をしながら大切なものが明確になっていく様がヒリヒリと、瑞々しく、体温を感じるほどの普通さで描かれていたと思います。

全ての出来事が"丁寧に描かれた普通"からの"差"として描かれているので、自分の出来事でもないのに、ましてや性別すら違うのに自分のことのような感覚になってしまいました。

アニメということで普通さを求めない方もいらっしゃるかもしれない。
なにしろ日本のアニメは普通じゃないことを描く能力が非常に高いと思うので。
私個人としても考えてみざるを得ませんでした。実写ならどうだったか?と。
で、思ったのが、実写も普通さを描きにくい状況があるということです。売れそうなキャスティングまで考えると尚更でしょう。
要はどの媒体にしても普通という魔法を意図的にかける必要があるんじゃないかと思うのです。
そして、この作品は見事にその魔法をかけることに成功した作品だと思えるのです。心から。


【背景が新たなフェーズに突入してたんじゃないでしょうか?】

実写使ってるんでしょうかねこれ?水面の揺らぎが尋常じゃなかったし、人物に焦点をあてたときの、背景のピントが自然に(ときに強調的に)、段階的にボカされてる感じとか、蛍光灯を点けてないような部室の色彩とか、OPの合奏風景をグルッと回り込んで黄前ちゃんに寄るシーンとか‥スゴすぎでしょう?!

でも完全に実写といえるような背景じゃないんですよね。間違いなくアニメの為の背景、キャラがちゃんと乗る背景になってる。これは彩度が大きな役割を担ってるとは思います。実写と比べるとたぶんかなり鮮やかなアレンジになってるんじゃないかと思います。

目に楽しくて実写的。きっと匙加減が難しいんじゃないかと思います。

勿論それは背景だけじゃなくてキャラにも言えて、相当のクオリティが要求されると思います。たぶんちょっとした線の太さや角度のズレ程度のことが簡単に違和感になってしまうレベル。
といっても、キャラと背景が馴染み過ぎてもいけないという匙加減。
これはもう背景作画とキャラ作画のバトルと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

勿論リアルに寄せればいいというもんでもないと思うし、そのことで使いにくくなるアニメ的表現が少なからず存在しているとは思いますが、こういう背景好きだし、背景に合った表現をできてると思うし、そもそもこの作品にマッチしてると思います。

例えば漫画の世界では浅野いにおさんなんかが写真ベースの背景に絶妙な匙加減でキャラクターを乗せていますが、商業的に考えなくても、今は停滞は衰退と同義という時代なので、こういう意識の高い(勿論いい意味で)作品が生まれてくるのは喜ばしいことだと思います。


あすか=ハンジ分隊長?とか、けいおん!と比較してみようかとも思ったけどこの辺でやめておきます。
劇場版と2期が決定したんですかね?嬉しいかぎりです♪
けいおん!→けいおん!!のように響け!→響け!!になったりするのかも含め楽しみにしておきます♪

(ヾノ・∀・`)…ナイナイ

投稿 : 2015/11/22
閲覧 : 344
サンキュー:

39

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