「ハイスクール・フリート (はいふり)(TVアニメ動画)」

総合得点
74.5
感想・評価
945
棚に入れた
4054
ランキング
882
★★★★☆ 3.5 (945)
物語
3.2
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

HINAKA さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

『ハイスクール・フリート』の、それも最終回!思わず盛り上がりました!!旧日本海軍戦艦・大和型主砲九一式徹甲弾について、少々。

全く何の期待もしていなかっただけに、まさかの「第08話・比叡でピンチ!」に身を乗り出し、その余りのストーリーとキャラクター優先の御都合主義設定に、苦笑いしつつもついに最後で大盛り上がりでした。
それにしても良く考えていると言うか、キャラ設定とストーリー展開の為には、「すべての設定は(ソレっぽい範囲内で・・・)優先される!」と言わんばかりの、女子高生死者無し旧時代対艦戦闘物語。
いやはや、一歩間違えれば(えッ?既に間違っている!?何の事でしょう?)トンでも戦略シミュレーション物語の、係累になるところでしたが見事(多分・・・)切り抜けました。ましたよネッ!?
何と言っても、最初からよく似た別の世界の別の歴史上の物語という、か・な・り・際どい線上でしたが、敢えてSFとせずリアル・ファンタジー系とでも申しましょうかって・・・そんなジャンル、あるのでしょうか?まァ、現代のこの世界でも海洋学校の練習船に、敢えて旧式の帆船を使う事もありますから、これだけ洋上交通が盛んで(空が飛べないから!ホント、これ重要!!)あれば、特に海上治安機関の養成学校でなくても、対艦戦闘の基本ぐらいは旧式艦艇で行っても(苦しぃ~けど・・・)有りでしょう。

面白いのは、学生はもちろん大人の教官ですら、対人用小火器(ピストルとか、小銃ですが)を、持っている様子がなかった事です。
この事から、この世界ではいわゆる「薬莢(やっきょう)、カートリッジ式」の発射薬と弾頭を一つにまとめて多量消費を可能にした、銃弾というものが開発されずいわゆる「後込め式の銃砲弾」のみが発達したと、考えられます。確か「ガールズ・アンド・パンツァー(いわゆるガルパン)」でも、小銃や機銃は使われていません(いないと、思います)。
ただし、ガルパンに登場する戦車には、カートリッジ式の発射装置を用いる主砲も、あったような・・・?

そして更に出だしで、いきなりいわゆる「近代的電子装備」がみな不調をきたすという、とんでもないアクシデントが起こります。
当初はレーダーもちろん、無線もまともに使えない状態です。まさに、練習艦がモデルにしている旧時代の砲戦世界へ、逆戻りです。そしてこれが、この物語の重大な「要(かなめ)」となります。なぜ近代において、特に海上では砲撃戦が無意味化したのか?それは電子装備の発達で、誘導弾とでもいうべき、「ミサイル」が登場したからです。
火薬の爆発的燃焼による、急激に膨張したガス圧力。これを、爆燃(ばくねん)と呼ぶそうですが、これを用いて文字通りの爆発を起こす、重い砲弾にこちらはより破壊力の大きい爆轟(ばくごう・爆発の衝撃波が音速を超えそれだけで周囲を破壊するものだそうです)を起こす爆薬を、しこたま積み込んで発射します。これが基本的な、大砲の原理です。
ちなみに爆轟を発射時に発生させたら、周囲はただでは済みません。飽くまでも、爆轟は当たった側で発生してもらわないと、自爆してしまいます。
しかしこの砲撃による海上戦は、相手が止まっていればともかく、動く船同士が撃ち合っても、なかなか当たるものではありません。もともと海上と言う、揺れる水の上でしかも隠れる場所がなく、相手から丸見えの場所で撃ち合うのですから、通常なら射程距離が長く口径の大きい重い砲弾を扱う、大きな大砲の方が良いと思えます。ところが、これだといわゆる目視(光学式の望遠鏡を用いて三角測量の要領で、距離と方向を図る)か、近代化したとしてもレーダー測量の要領で照準しなくてはなりません。
距離が離れれば離れるほど、その命中精度は極端に悪くなります。海上史上最大を誇る、旧日本海軍の大和型戦艦が搭載していた、口径46センチの主砲はその最大射程を距離を、42万メートルつまり42キロメートルとされていました。もちろん砲弾の威力も、それに負けない凄いものであった事は、言うまでもありません。

ただ通常海面から20メートルの高さで見える水平線は、16キロメートル程度と言われており、いかに大和型の高い鐘楼(しょうろう)型艦橋でも、20キロメートル先の水平線より向こうは「目視(光学式)」である以上、見えません。
当然、照準など付けられません。いくら40キロ以上砲弾が飛んでも、狙いが付けられなければ、目を瞑って撃つのと同じです。まして真っ暗な夜や、荒天海上ではお話になりません。ちなみに、レーダー照準が発達したアメリカの戦艦は、少なくとも日本人の夜目が効く事で有利だった夜戦や、スコールなどの荒天時にもそこそこの命中率を誇っていたそうです。

なお命中率と言えば、射程距離が長くなればなるほど、これはどこの国の大砲でもそうですが、いくら照準技術が良くなっても思った通りに砲弾は飛んでくれなかったそうです。
つまり遠距離射撃になればなるほど、巨砲は「見えない、当たらない、どこに行くかわからない!」という、代物(しろもの)だったようです。
これに対してミサイルは、まず発射装置が大げさに言えば、入りません。なぜかというと、《ロケット推進》という方法で、自力で飛ぶからです。ただし発射した瞬間からこれが作動すると、噴出するガスや熱で周囲が大迷惑を被ります。そこで射程数キロ未満の短距離式ミサイルは、まずは圧縮空気などを利用したカタパルト方式などで、取り敢えず発射してしまいます。その後、自前のロケット・エンジンを使って、あらかじめ設定された目標まで、飛んで行きます。

極端に言えば、ミサイルには前方に誘導装置、胴体に爆薬、そして後部にロケット・エンジンが有るという、砲弾に比べると恐ろしくコストの高い代物です。
誘導装置無しの、単なる《ロケット弾》ならばもっと早い段階で実用化されていますが、遅い上に(当時は)射程が短いので海上では航空機による運搬発射が、必須でした。ところが現代では、恐ろしく簡易な兵器として、携帯型の上に使い捨てと言うある意味便利で、ある意味甚だ(はなはだ)物騒な代物となっています。
さてこの「ハイスクール・フリート」の世界では、電子兵器は存在し当然海上戦闘艦の主力兵器も事実上の対艦ミサイルといえる、空中誘導式「噴進魚雷(ロケット弾)」です。

ところが既にふれたように最初の段階で、人間の生体電流に影響を及ぼすウィルスが、電子機器にも作用し艦内の人間はもちろん、電子機器や艦周辺の海上や海中の電子装置も狂わせてしまいます。
この為、電子誘導式の(レーダーや熱探知など)ミサイルや魚雷はすべて目標近辺で、作動不能になってしまいます。ただし条件は同じで、相手も電子機器が使えないので使えるのは、旧式の砲弾のみです。この設定が非常に有効なのは、目で見える範囲でしか双方とも攻撃ができない!という点に有ります。

さてそんなこんなで、登場するのがこのお話の中で最強最大の戦艦で、有名な大和型主砲用「九一式徹甲弾」を使用する「武蔵」となる訳です。


詳細:拙ブログ記事

→http://aonow.blog.fc2.com/blog-entry-878.html


見直すきっかけ「比叡でピンチ!」についての拙ブログ記事。

→http://aonow.blog.fc2.com/blog-entry-870.html

投稿 : 2016/07/10
閲覧 : 224
サンキュー:

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