「昭和元禄落語心中 助六再び篇(TVアニメ動画)」

総合得点
81.2
感想・評価
484
棚に入れた
2187
ランキング
413
★★★★☆ 4.0 (484)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.3
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

時代は変わりつつ

 原作は未読。
 タイトルに「助六再び篇」とあるように三代目助六を襲名した与太郎を中心に描いたもので
あるが、同時に老落語家となった八代目八雲の終焉までを見事に描いており、1期と通して観ると
八雲の一代記といった趣き。幼少期は別にして、八代目八雲の若き日から年老いて衰えていく
様までを演じた石田 彰氏の演技がとにかく素晴らしい。
 1期において二代目助六、みよ吉、小夏といった家族描写に絡めるように落語の演目「芝浜」が
描かれたりしたが、本作では年老いた八雲に絡めて「死神」を描いており、その後でやはり
年老いてきた三代目助六にも繋がっていくところが印象深い。

 1期では登場キャラの心情の機微を描いた人間ドラマだけではなく、「二代目助六とみよ吉の死に
何があったか?」を巡るミステリー要素がエンターテイメント性を高めていた感があった。
 本作では1期で描かれた二人の死に至る内容が八雲による嘘で、真相が明らかになるくだりが
あったりするが、ミステリー要素としてメインとなるのは「妊娠した小夏の父親は誰か?」という
部分だろう。
 これに関してははっきりとは描かれなかったが、思わせぶりな語りや成長した信之助の面影から
すると、そういうことなんだろう。この一件で八代目八雲と小夏の愛憎入り交じった複雑な感情が
より浮き彫りになった感がある。
 この展開に関して、個人的には感慨深いものはあるものの、特に賛否的なものは生じなかったが、
家族愛的なものと恋愛、あるいは性的なものが一緒になることを嫌う人はいるようで、人によっては
嫌悪感を持ちそう。

 前述の部分だけでなく、全体的に師弟、男女、家族、友情といった人間関係の描写が見事で、
関係性だけではなく、個としてもいずれのキャラも清濁併せ持った魅力を感じる。
 このキャラの魅力に大きく関与しているのが中の人の演技でこれが本当に素晴らしい。
 特に落語を演じるシーンは本作の見どころの一つだと思うが、1期も含めて二代目助六
(山寺 宏一)、八代目八雲(石田 彰)、三代目助六(関 智一)の演目がだぶることが多く、同じ演目でも
演者が異なると印象が変わってくるところが面白い。

 1期では落語を通して見る昭和史といった側面があったが、本作でも落語を通してみるバブル
以降の昭和史・平成史といった感じで、時代の切り取り方が良い。

2019/09/15

投稿 : 2019/09/15
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サンキュー:

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