「ネト充のススメ(TVアニメ動画)」

総合得点
77.3
感想・評価
718
棚に入れた
3123
ランキング
618
★★★★☆ 3.7 (718)
物語
3.7
作画
3.5
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

お前ら、結婚しちゃいなよ!←これしか思うことが無い。

アニメーション制作:SIGNAL.MD
2017年10月 - 12月に放映された全10話 + 未放送1話のTVアニメ。
原作は、漫画アプリ『comico』にて連載されていて長期休載中の黒曜燐・作の漫画作品。
監督は柳沼和良。

【概要/あらすじ】

盛岡森子。30歳。高卒なりに大手会社に入り、突然の営業化配属。
様々な理不尽に耐えながら苦節11年。その間に精神をすり減らし続けた結果、
{netabare}(森子は優秀な人材ではあったが彼女に異常にキツく接する女性上司からのストレスで精神的に病んでいた模様){/netabare} 
上司との溝が原因で、精神的にボロボロの状態で会社を去り、脱サラニートに。
見るからに有能なOLだった彼女は見る影も無く、
女を捨てた服装、眉毛の手入れもなくボサボサ髪のスッピン女となっていた。

そして、どれだけ頑張っても報われなかった経験からリアルの虚しさを悟った彼女が選んだ道・新しい人生とは…!
ネト充を求めて、サラサラ前髪の爽やかなイケメンとしてMMO“フリドメール”の世界で生きることだった。

そして、森子が作ったイケメンキャラ“林”の冒険が始まる。
“林”は、“フリドメール”の世界で自分に初めて声をかけてくれた美少女支援キャラのリリィと仲良しになり、
優しい人達に囲まれて、“中の人”森子が会社人間時代に傷ついた心が癒やされていくのだが、
それはネトゲの中だけにもとどまらずに、いずれ森子のリアルの変化にも大きく関わっていくのだった。

【感想】

原作は、『comico』で無料で読める15話まで読了。

社会人としてポッキリ折れてしまった三十路女性主人公の心の再生物語なのではあるが、

・森子が人間関係で心を病んで会社を辞めてニートになるまでの詳しい経緯。
・暖かくて愉快なギルドメンバーに恵まれての楽しいネトゲ充ライフ。

を原作ではガッツリとやっているのだが、
アニメ版では森子の恋愛以外のパートをさらっと流していて添え物として扱ってる模様。
多分、全十話の尺のなかでの情報の取捨選択、原作シナリオをアニメ向けに再構成した結果として、
アニメ版の楽しみは森子の恋をニヤニヤと楽しんでくだせえ!ということなのかもしれない。

『ネトゲは癒される』と言ってる通り、嫌なことだらけの現実世界からの逃げ場所として、
MMOを選んだ森子ではあったが、ネナベとかネカマとか気にしすぎじゃないかと思った。
ネットの世界では現実の自分とは違う仮面を被ることが出来る。
森子が現実の自分とリンクしない彼女の思う理想のイケメンキャラ=林を作り上げたように、
欲しいアバター、自分の思う可愛い!カッコイイ!を追求せんがために中の人と逆の性別キャラを、
キャラメイクすることなんて珍しくはないのだ。

1986年に当時30歳と森子と同じ年齢だった山本弘が、テーブルトークRPGにて、
『ロードス島戦記』のプレイヤーとして日本で言う美少女エルフの代表的存在であるディードリットを演じていたとおり、
ロールプレイとは本来そういうものなのだ。

ネトゲでは可愛さに拘ったアバターの女性キャラで遊んでいるとガチでナンパしてくるプレイヤーも時々いる。
それが恋人プレイなら良いのだが、中には本気で粘着してくるプレイヤーもいる。ネトゲの世界は癒されるどころか、
中の人の相性や人格次第では双方にとっての居心地が両立しないことによる仲間割れや、
“姫扱い”される女性キャラを巡っての男性プレイヤー同士の仲違いといった修羅場も起きるのだ。
ネトゲの美化はいけないと思いつつも、まあ…フィクションの世界だし?どうでもいいよね!とも思うのだが。

もっともリアルのネトゲ世界ではギルド内ルールとしてボイスチャットを推奨されることが多く、
チャラい会話で談笑しつつPT狩りが行われるのが常であり、
ボイスチャットに加わらない=「あ!こいつ実は…だな」と察せられるのが常であり、
ネトゲの世界で性別を隠すのは難しいという現実と比較して、リアリティが無いかな?と思った。

脱線しすぎたので話を戻すが、物語としてのシチュエーションを作るために、
リアルでのネトゲでは隠しても性別がばれやすい・簡単に疑われるのに、作品の中ではそうはならないという点で、
携帯電話(スマホ)が仕事をしない、すれ違いしまくりのトレンディ・ドラマに似た作りというのが、
このアニメに対する印象。

暖かい・優しい作品というのが、このアニメに対する好印象を与える最大の強みなのではあるが、
過去に向き合い森子が成長するといった作品の根幹に流れるテーマ性にアニメでは敢えて踏み入れずに、
森子の受け身の恋愛劇を中心に乗り切った感があり、恋愛以外の部分を随分とバッサリと扱われた上で、
偶然が重なって森子に都合の良い恋の道が舗装されていくという、
あんまり余裕のないシナリオ構成が、作品として消化不足かな?と思わないでもなかった。
特に、作品の重要人物に位置する、森子の元上司の池田女史がアニメでは登場しないことには、
物語としては片手落ちのような気もするが、これは未完の原作では決着がついてない事柄なので、
尺内で未回収の伏線を作らずに物語をまとめるために故意に未登場にとどめておくのは、
一つの方法として有りなのかもしれないが腑に落ちない点も若干ある。

個人的には二周目の視聴では、森子たちカップルのいちゃつきぶりを眺めるだけで、『ふ~ん、それで?』
で、あんまり没頭するほどのアニメではなかったのだが、初見では優しい人たちの暖かさに感動できたのも事実なので、
多分、良いアニメとして受け入れられる要素は備わっているのだろうな!とは思った。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/02/04
閲覧 : 380
サンキュー:

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