「星を追う子ども(アニメ映画)」

総合得点
66.2
感想・評価
645
棚に入れた
3184
ランキング
2897
★★★★☆ 3.6 (645)
物語
3.5
作画
4.1
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.4

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

オマージュって言葉は便利ですね!

アニメーション制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
2011年5月7日に公開された劇場版作品。
監督は新海誠。

【概要/あらすじ】

小学校高学年の少女、渡瀬 明日菜は山間の村で看護婦の母親と二人で暮らしている。
母親は仕事で忙しく一緒にいられる時間が少ない。

明日菜は自分で食事を作り、掃除や洗濯をこなし、勉強もできる優等生である。
周りと不仲でもなくそれなりに交友はあるのだが同じ年頃の子どもたちに対して心の底では距離をおいていて、

小さな猫のミミと戯れたり、秘密基地を作ったり、亡き父親の形見の鉱石を利用した手作りのてラジオを聞いたりで、
遊ぶときはいつもひとり。自分の世界に閉じこもる傾向がある子供だった。

ある日、明日菜は鉄橋で見たことのないバケモノに襲われてシュンという不思議な少年に助けられる。
芽生えた感情。シュンと一緒にいると落ち着くしドキドキもする。

しかし、待っていたのは思いがけない別離。その現実を受け入れられず、幼かった頃の父の死を思い出す明日菜。
そして、産休に入る担任に代わって森崎という男性の臨時教師が来る。
森崎の口から語られる「死後の世界」の伝承に興味を抱く明日菜。

シュンに似た少年との遭遇。地下世界の存在。神話の世界から続く古代の技術を狙う秘密組織の暗躍。
組織の工作員であった森崎は十年前に亡くなった妻を蘇らせる目的で古代の力を求め、
漠然としたまま自分の心に足りない何かを求める明日菜は森崎についていく。

これは、二人の地下世界での旅路の物語である。

【感想】

テーマは“生命”

古代神話をモチーフに作られた、ボーイ・ミーツ・ガールと少女の成長譚というところか?

新海作品の特徴として、ファンにもアンチにも褒められる背景作画がある。
写実的な背景作画に比較して特徴のない平凡な人物作画。
そして、エヴァに影響されたかのような世界観や演出。
そして、青臭さ全開の新海脚本。
作家として完成されてないアンバランス感が、ファンの心を掴んだのだろうか?
今までと同じことの繰り返しでは殻を破れないと思ったのだろうか?
前作までの自分の作品を見つめ直して足りない部分を補おうとして、
改良箇所の教科書として選ばれたのが、日本アニメ界を代表する巨匠“宮﨑駿”なのである。
業界で実績のある先人の技術を真似ることによって、気づくことが多く勉強にはなるだろう。

箸の持ち方や口の開け方、噛む速度で登場人物の個性が出る食事シーン。
“作画の日常芝居”で生活感が生まれて、感情表現が格段に豊かになった。
生命ある動植物の動きなど知らないと上手く描けない事が多い。
学ぶこと自体は良い。しかし、お手本そのまんま過ぎやしないか?

動きを参考にした!どころではなくジブリ映画で見たことのあるようなデザインが大量なのである。
影響は作画だけにとどまらない。
これまでの新海作品ではクドイまでに繰り返してきたポエムに近いモノローグが本作では無く、
新海誠作品特有の言い回しそのものが、この作品では存在しないのだ。

やはり個性を捨てて、お手本を参考書代わりに作った継ぎ接ぎコラージュのような模造品である。
技術はあれど、作家としてのエゴが無ければ模倣は模倣に過ぎないのだ。
脂が乗ってたころの本家・宮崎監督は彼の持つ業やフェチズムこそがジブリ作品の魅力であり、
自分の趣味を娯楽にまで昇華してしまう宮崎監督は本当に凄かった。
真似るだけでは技術が上達することがあっても、視聴者に驚きを与えることは出来ない。
本質的な作家性の向上とは関係が無いのだ。

技術を学び、それを自分たちの財産にするために作画やシナリオを意識的に既成作品に似せた習作を、
そのまんま一本の映画にして公開したものに過ぎないと、これを観ていて思った。
一応は公開時に『伝統的な日本アニメの技法を参考にした。』と新海監督が言い訳しているのだが無理がある。

これは、新海監督がレベルアップするための練習台を鑑賞するフィルムである!
そう言い聞かせて観ると良いのかもしれない。
気にせずに楽しもうとするならば、割り切ることも時には必要なのだ。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/03/01
閲覧 : 428
サンキュー:

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