「TARI TARI(TVアニメ動画)」

総合得点
88.5
感想・評価
4473
棚に入れた
20677
ランキング
105
★★★★☆ 4.0 (4473)
物語
3.9
作画
4.1
声優
4.0
音楽
4.2
キャラ
4.0

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

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『TARI TARI』(タリ タリ)は、P.A.WORKS制作による日本のオリジナルテレビアニメ。2012年7月から9月まで全13話にて放送された。(wikipedia)

ちなみに本作はとても工夫が足りてると思いました。
作品としては部活動を絡めた学園青春ものと言ったところでしょうか、とにかく現実と虚構を上手くマッチさせていたと思います。

漫画アニメの部活動は現実ではまずありえないものも多く、この作品でも「合唱時々バドミントン部」という如何にもなアニメ的部活ではありますが、一方でその成り立ちそのものに関してはちゃんと教頭の方から指摘され、校長の独断というか贔屓により実現するという流れを取っているため違和感自体は薄まっています。実際舞台となる「白浜坂高校」は私学のためこういう特別扱いが無いわけではないと思います。
また、アニメ的な部活では顧問が不存在でも全く問題ないケースも多々あるのですが、この作品ではちゃんと顧問が重要な役割というか一種の「縛り」として働いていた点も好感が持てました。

一方この白浜坂高校は理事長により「利益が低い学校経営から富裕層をターゲットにしたマンション事業を始めるため」廃校との運びとなるのですが、多分これ現実では無理なんじゃないでしょうかね?こんな私的利用で学校を扱えないようにするためにも学校法があったり学校法人を設立するにあたって認可が必要なわけだと思いますし、こんな理由じゃ解散も認められないんじゃないでしょうか。

一応簡単に調べてみましたがちょっとマニアックな話になった上に結論でなかったので一部隠します。
{netabare}

私立学校法
第四節 解散
(解散事由)
第五十条 学校法人は、次の事由によつて解散する。
一 理事の三分の二以上の同意及び寄附行為で更に評議員会の議決を要するものと定められている場合には、その議決
二 寄附行為に定めた解散事由の発生
三 目的たる事業の成功の不能
四 学校法人又は第六十四条第四項の法人との合併
五 破産手続開始の決定
六 第六十二条第一項の規定による所轄庁の解散命令
2 前項第一号及び第三号に掲げる事由による解散は、所轄庁の認可又は認定を受けなければ、その効力を生じない。

これを見る限り本件はまさに2項の定めるところの「第一号及び第三号」のいずれかに該当すると思うんで、やっぱりこれじゃあ認可降りない気がします。

さらに

(残余財産の帰属)
第五十一条 解散した学校法人の残余財産は、合併及び破産手続開始の決定による解散の場合を除くほか、所轄庁に対する清算結了の届出の時において、寄附行為の定めるところにより、その帰属すべき者に帰属する。

とのことですし、当然土地にも及ぶでしょうからやっぱ無理っぽいですよね。

他にも

(役員の学校法人に対する損害賠償責任)
第四十四条の二 役員は、その任務を怠つたときは、学校法人に対し、これによつて生じた損害を賠償する責任を負う。

があったりで、この件だと明らかに学校法人に対して不利益を被らせる行為だと思われますし。

とはいいつつも絶対に無理!とまでは知識がないので言い切れませんが。案外政界にものすごいコネでもあればいける気もしますwでもその場合はむしろ助成金目的で利用した方が懸命っぽいですよねw
いずれにしろ天災だとか老朽化に伴う一時的な工事とかなら別でしょうが、こんな理由で生徒を仮校舎に移転させたりグラウンドを使用不可にすれば保護者が裁判起こせば勝てそうな気もします。校舎自体も通わせる学校の選択基準となるわけですから。

結局のところ現実にこういった「白浜坂高校」事例を聞かないのはそもそも無理なのか、或いはやった方が損だからのいずれかなんじゃないでしょうかね。知らんけどw
{/netabare}

まあそんな堅苦しい話はさておいて……
スタッフロールの名前順からいって主人公は坂井 和奏(さかい わかな)のようですが一番存在感を持っているのは宮本 来夏(みやもと こなつ)の方です。wikipediaには出典付きで部員5人全員が主人公とありますが、男性陣、特にウィーンこと前田 敦博(まえだ あつひろ)の影はだいぶ薄いです。田中 大智(たなか たいち)は沖田 紗羽(おきた さわ)との恋愛イベントが一応あったので少しはマシだったと思いますが、いずれにしろ男性陣に関しては数合わせ感が拭えませんでした。

で、その実質主人公の来夏の完全なワガママにより声楽部から合唱部に分化するわけなんですが……いやこいつ逆にすごいですよね。歌わせてもらえないから「じゃあ辞めます!」って……いやまあそこまではアリかもしれませんがそれで類似の部を作るだなんて行動力を褒める前に常識を疑いますwそりゃ声楽部の部長に嫌味の一つでも言われますよ、部活動ナメとんかって。中学ならまだしも高校でこれは無いかな~って確かに思います。
当初彼女は緊張しいの属性を持ってるのかと思ってましたが「恥の上書き」とやらで一瞬で克服。人通りの多い広場で歌うのも商店街でヒーローの格好をするのも文化祭で役を演じるのも堂々と余裕でこなします。むしろこんなメンタルお化けが過去に失敗してたとは逆に信じられません。
他にも実に主人公らしい……といえば聞こえはいいですが、どれもこれも彼女が自分のやりたいことをやるためだけに周囲を巻き込んでいくという流れが多く、実際にこんな奴がいたら参っちゃうよな~という感じで観てました。「才能の無い人はそこ(文化祭)しか発表の場がない!」とか言われてももう一つピンとこないというか、合唱部も普通に(というか強引に)最初舞台たってましたやん発表の場自体はありましたやん。しかもあれ弟を完全に脅迫で巻き込んでましたしね。正直彼女、美少女の皮を被ってなけれや単純にヤベー奴扱いだったと思います。皮被っててもヤベー奴だと思いましたが。

そんな彼女と親友ポジションなのが紗羽なわけですが、まあお色気枠なんやろな~って思ってたらまさかの騎手志望設定!いや~、P.A.WORKSさんはこの頃から逆算的な設定つくるの上手かったんですね~。確かにこれなら色気以外にもナイスバディであることに意味が出てきます。お寺の子ということでファッションが逆に反動で奇抜になるのもわかりますし。そういえば紗羽のCV.早見沙織と彼女の母親である志保のCV.能登麻美子、この二人の肉親関係設定のアニメってどれくらいあるんでしょうね?めちゃめちゃ多そうに見えて案外少ない、かな?

で、本来の主人公と考えられる和奏、確かに彼女が一番ドラマがありましたね。物語の主軸そのものが彼女の母親である「まひる」を中心に展開されてますし。
まひるは教頭でもある高倉 直子(たかくら なおこ)と同級生だったそうですが、そうなってくると今度は彼女達の年齢が気になってきます。パッと見では結構老けてるように見えますが、一個下である志保の様子や死ぬ間際のまひるの様子からして意外とそこまでいってなさそうでもあります。ただでさえ漫画アニメに出てくる両親って若いこと多いですからね。下手したらまだ40歳手前ってこともありそうです。だとするとそんな若さで教頭にまでのし上がれるだなんて……一体何があったんでしょうかねぇ?(ゲスの勘繰り)
おっとこれはそんな昼ドラ熟女物語じゃなくてさわやかJK物語でしたね。とはいえ教頭も和奏も一種のまひるコンプレックスのようなものに苦しんでいました。最終的にはそれは解消されることになるんですが……にしても父親の圭介さん、娘がピアノ要らないっていったら即断即決で翌日には撤去するとはあんまりじゃないですかね?実際にはブラフだったわけですが脅かすにも程がありますよ。

次にほぼ数合わせの男性陣一人目、大智くん。部員一人でベスト8ってもう天才でしょ。それも途中から兼部状態で。というかそんなレベルの選手がいる部活なのに新入部員すら入ってこなかったんですね……最近週刊少年ジャンプでバド漫画やってますけどギャップがすごいですw彼は姉に対するコンプレックスというか思慕のようなものを匂わせてはいましたが特に発展することもなく紗羽ちゃんとの伏線をちょっぴり盛り込まれた上で言うほどオチることなく終了。まあ最終回のあの様子から見るとダメだったんでしょうけど、正直取ってつけ感の強い恋愛イベントでしたしそもそも不要だったと感じました。とはいえ逆に言えば紗羽みたいなえちえちなのがすぐ傍にいるのに好きにならない男子っているの?という見方もできますし、そういう意味で不自然さをなくすためだけに恋させられたのかもしれません。他の女性陣に対しては好みの問題が入ってくるでしょうし、ウィーンに関しては元々変わり者ですしね。

そんな数合わせの男性陣二人目、ウィーン。何故か彼は名前まで奪われてしまっているという可哀そうな人です。「僕達、似た者同士だね」と言ったあたりで和奏と何やらあるのかと思いましたが特に何も無し。ヒーロー回をメインでまわしたぐらいで後はほぼ見せ場もなし。小道具係として意外な才能を見せつけただけじゃちょっと寂しいです。
そういえば彼の父親って顔面は鼻までしか描写されなかったんですよね。なんでわざわざこんなことしたのか意図不明ですが、本作では物語に絡んでこない両親ってこんな扱いばっかでした。ちゃんと出てきたのは和奏と紗羽の両親だけで、後は無し。単にキャラデザの問題でしょうか。来夏は弟、大智は姉。ウィーンは血縁でもないヤンだけの登場でした。
彼のオーストリア語が正しい発音に基づいている……ということは多分無いでしょうけど、さすがにそこまで声優さんに要求するのは酷でしょう。ちなみにあれは何ていう言語だったのでしょうか。何となくドイツ語っぽかったですし実際公用語自体はドイツ語らしいですが他にも色々あるようです。というかどういう理由でオーストリアを選んだんでしょう、まさかウィーンって音楽っぽいからとかじゃないでしょうね……。

前述したように物語の軸はまひるにあり、そこを中心に音楽、合唱部、教頭そして和奏と派生されているわけですが、どちらかというと和奏はヒロインポジションが適正のように見えました。そこに本来は来夏という主人公ポジションが彼女を助ける流れになれば良かったのですが、実際のところ彼女は和奏と単独の絡みがあまりなく紗羽の方とのシーンが多いわけです。この状態で来夏をスタッフロール一番手においてしまうと二番手を和奏にすのはどうしても不自然で紗羽が来る方が適切になります。ですがプロット的には来夏は合唱部を設立し和奏を強引に誘い込んだことぐらいにしか役に立っておらずこれでは主役としては役者不足となってしまい繰り上がり的な形で和奏が一番手を獲得したのかもしれません。先ほどこの作品では5人全員が主人公とありましたが、これはそれぞれのファンに対するリップサービスというよりこのような軸となる主役の不在からくる苦し紛れな言い分だった可能性があります。(もっとも、単にプロジェクト設立当初では和奏が明確な主人公ポジションであり、そのつもりで声優を充てたという政治的な理由で彼女が一番手のままとなったのかもしれませんが。)

本作は構造として見るとお世辞にも綺麗だとは言えないと思います。プロットとしては和奏がメインなのにシーンとしては来夏がメインというねじれた状態になっているからです。先に述べたように来夏と和奏が密接に絡み合っていれば問題なかったのですが、来夏の相手は紗羽の方、結果的に和奏まわりがぽっかりと浮かんでいる状態となってしまっているのです。一瞬ウィーンが絡む兆しのようなものが見えたのですが、彼女にはこれ以上の余計な展開は不要との判断なのでしょうか、紗羽と少々の絡みを見せるだけで終わっています。
実際のところ、この構造なら和奏エピソードはサブプロットとして扱った方がしっくり来たんじゃないかと思います。来夏が能天気に合唱部のことしか考えてない裏で色んなドラマがあったという伏線が仕込まれるくらいが全体的な形としては整っていたんじゃないでしょうか。が、それだとちょっとありきたりというかパンチに欠けるのも事実です。完成形においても尚5人分のエピソードでようやく1クール埋められたわけですから、来夏メインだけじゃちょっときついという判断だったんでしょうかね。

物語の基本的な手法としては「嫌な奴が実はいい奴」。メインとしては教頭、サブ及び来夏エピソードとして途中から声楽部部長、紗羽エピソードでは一応父親もそのくくりかもしれません。で、最後にババを引かされる形で理事長が一身にヨゴレ役を担って物語は幕を閉じます。その過程において校長が一念発起で生徒たちのために身を挺するわけですが、その後ジャージ姿で合唱部の演劇を微笑みながら見守るシーンをもって出番終了と相成ります。ぶっちゃけ彼が一番体張ったわけなのですからちょっと可哀そうではありました。何やら過去にも合唱部で漢気を見せたようなのですが、それが何だったかは今となってはもうわかりません。

実は本作では何故教頭が嫌な奴と成り果てたのか?という疑問に正面から答えを出していません。何やら才能の有無みたいなものを匂わせてはいましたが、それと過去の合唱部に何があったのか、そしてどうして声楽部に変わったのかという理由自体は提示されないままで終わりました。物語そのものが途中から曲を完成させることそのものよりも文化祭を実現させるということに目標が変わったので見落とされがちですが(この辺が特に顕著な和奏エピと来夏エピのねじれ構造です)、まさかこれの答え合わせがされないとは思いませんでした。というかそもそも合唱部という名称自体が偶然の一致だったんですよね。ここぐらいせめて「昔(合唱部が)あったらしいし」との台詞ぐらい欲しかった気がします……って、無かったよね?聞き逃しってことないよね?
人気作ですし、実際それなりに面白かったのも確かですがやや作為的に視点を逸らされたのかなという気もしています。逆に言うとそれが本作の「工夫」とも言えるわけですが。

本作のテーマとしては「目標」があげられると思います。和奏にとっては音楽、紗羽にとっては騎手、大智にとってはバドミントン、ウィーンにとってはヤンとの再会又はヒーローになること。来夏にとっては合唱部設立、そして文化祭の強行……というわけなのですがこのように彼女だけ高校で目標が終わってしまってるんですよね。だから最終回エピローグで新しい目標を見つけたというシーンを入れたのでしょうが……。

ラストは大団円で明るい未来を目指して銘々が歩んでいく……というわけなのですが個人的には少々物悲しい印象を受けました。皆がそれぞれの道を行くといえば聞こえはいいですが、イベントごとを一つクリアすると後はバラバラとも言えるわけですし。
ただどうやらアラサーとなった登場人物たちの物語が小説として出てるようでこの辺は一応解決したとも言えるんでしょうかね。

2012年の作品という事ですが携帯電話がガラケーなくらいで時代背景的な古さはあまり感じません。作画の方は現在の基準からすればやや見劣りする気もしますが充分許容範囲内だと思います。

ちなみにJRAでは騎手の身長制限はないみたいですね。本作では架空の団体相手だったのでそこにはあったという設定なのかもしれませんが、いずれにしろ馬に乗るための斤量の問題なわけなので海外にいこうがどうしようが体重絞らなきゃいけないことには変わりありません。紗羽ちゃんの苦難は続きます。

投稿 : 2022/06/18
閲覧 : 268
サンキュー:

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