「ハコヅメ~交番女子の逆襲~(TVアニメ動画)」

総合得点
73.5
感想・評価
262
棚に入れた
802
ランキング
942
★★★★☆ 3.7 (262)
物語
3.8
作画
3.6
声優
3.7
音楽
3.4
キャラ
3.8

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ネタバレ

エイ8 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

これフィクション……だよね?

『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』(ハコヅメ こうばんじょしのぎゃくしゅう)は、泰三子による日本の漫画作品。
2022年1月から3月までAT-Xほかにて放送された(wikipedia)

冒頭のOPを最初に観た印象としては姉妹の物語かと思いました。で、ちょっかい出してくる男達を追い払おうとするとかそういうラブコメ的内容なのかと思ったらこれまた全然違う。姉っぽく見える方が藤 聖子(ふじ せいこ)という巡査部長さんで、もう一人の方が川合 麻依(かわい まい)という新人巡査だそう。一応藤さんは美女設定らしく、川合の方はそうでもない田舎娘設定の模様。ただまあ、絵的にはどっちも変わらんくみえるのは事実陳列罪に基づいた逮捕案件。で、その二人を中心に警察官の実情を主にシュールコメディー、時にシリアスに描いているようです。尚、原作ドラマ共に未読未視聴。

正直にぶっちゃけると、よく許されてるよなコレって描写が結構多いんですわ。特に前半はナチュラルに女尊男卑、男性蔑視な視点で描かれていたりなんかして、まあ今の時代ならギリセーフだけどもう少し経てば危ないんじゃなかろうかとか思うことが割とありました。逆に言うと男女逆でコレやったらまずアウトでしょうね。捜査一係の牧高 美和(まきたか みわ)が女子高出身なそうなのですが、これに川合が一係の男性陣を原始人の進化の途中とか「お花畑からスラム街へ」なんて平気で喩えたり。わかりますよ?ユーモアのつもりってことぐらい。でもこんなんも男女逆にして例えば「草木萌動からゴ〇屋敷へ」とか言おうもんなら各種SNS等でどえらい目にあわされちゃうこと請け合いです。

この程度のブラックユーモアくらい軽く受け流すのが男の度量的な感覚はあるかと思います。それ自体は別に間違ってるとは言わないですけども、時が流れるにつれ価値観自体が変遷していくわけで、現状は「本当はアウトだけど男に対してなら可w」という狭間の時代なんだと思います。逆に言うとそれは将来的にどうなるかわからんわけで、ようするに何が言いたいかと申しますと後数年たてばドン引き作品になってる危険性があるんですよね、この作品。賞なんかも取られたようですが、ちゃんと見て審査したのかちょっと気になりました。

正直本作はレビューとして残すかどうか自体結構迷ったんですが結局匿名を良い事に正直に書くことにしました。もしこれが身元が割れるところだったら作品自体を靴紐直して観てなかったことにしてたと思います。皆さんももし実名でこの作品に対して言及してるなら今のうちに削除しといた方が無難かもしれません。特に序盤はマジで数年後どういう扱いになってるかわからない作品です。原作自体2017年に始まってる様子なので、当時の時代背景ならセーフだとも言えないですから。

とはいえ作者もちゃんとバランスを取ろうとしている感は見受けられます。藤部長に対してゴリラだとか人間とは思ってなかったとか。外見がいくら美人でも中身がクソだから女性として見ていなかったみたいな流れの時に出たシーンなのですが、この度僭越ながら一般男性を代表して意見を述べさせていただくと、どれだけ最低な女でも外見良けりゃ大概チャラになってしまうという悲しい現実があるのでこの時の山田 武志(やまだ たけし)巡査長の意見は参考になりません。実際その後ちゃんと張り込み先のラブホ内で転がされてましたがどちらかというとあれが普通です。
このように中盤以降はそういった男性だけに対する蔑視感はなくなっていきますが、ひょっとしたら原作の段階でちょっと怒られたとかあったのかもしれませんね。単にネタ切れというだけかもしれませんが良くも悪くも今のご時世的に厳しい「尖り」のようなものは失せていきます。

好意的に言って素直なんだと思います。例えば夜勤明けに行方不明者を捜索するため山に入ったとき、消防隊員たちに「女性なのに大変ですね」みたいなこと言われて藤さん普通に喜んでるんですよ。それなのにうち(警察)の男共と来たら……と言った感じでブラックだと嘆いておられたんですが、気持ちとしてはとてもよくわかるのですがむしろこれって現代的な感覚だと女性蔑視だと怒らなきゃならないところだと思うんですよね。実際その後巡査の敷根に女性には酷だからデスクワークに回してあげた方がいいとか言われた時はちゃんとイラッとこられてましたし。まあ矛盾といえば矛盾ですがそれをあえて正直に吐露するあたりあまりそういった「意識高い声」を気にされておらず、またそれが良いか悪いかは別にして見逃されていた作品なんだと思います。

とはいえちょっとやり過ぎだなと思うところもしばしばありました。PTSDなんて言葉もしれっとユーモアとして使われてましたけど、この辺もそろそろ気を付けた方が良いんだろうなと思います。
他にも居直るチカン加害者への実況見分といった形で何度も何度も執拗に同性の臀部を触らせたり局部を押し付けさせるシーンがあるのですが、他の人はともかく藤部長は完全にアウトだと思います。これでは捜査にかこつけて公権力を悪用し自身の性的嗜好を満たしていると言われてもしょうがない行為ですよ。「ジジイのそんな姿を観たがる性癖あるわけないだろ!」って決めつけは現代ではもう通用しなくなってると思いますし、仮にそうであっても単純にセクハラですしね。(その後性犯罪には人形使うみたいな話が出たので余計にそう思いました。)
これ藤さん……というか作者からすれば「目には目を」のつもりなんでしょうが、こういう私刑がダメだからこそ法律があって警察があるんですがねえ。勿論フィクションであると信じたいんですが、これ作者が警察官をやめて漫画家になった動機として「「漫画家になりたいから」ではなく「警察のことを知ってほしいから」」ってwikipediaに出典付きで載ってるんですよね。冗談抜きで変に目を付けられていたら「警察は裏でこんなことやってるのか!?」って大変なことになっていた可能性があります。ドラマも流行ったそうですが、よくもまあご無事でって感じです。

もっとも仮に現実でこんな事件が発覚したとしても現代SNS界隈やヤフ〇メ辺りではギリまだ「犯罪者の自業自得」という意見の方が主流になりそうですが、もう数年後には難しくなってる気がします。こういう犯罪者には何やっても良いというのはダークヒーロー達のお仕事であって警察官のお仕事ではないと思うんですよ。

それと男性目線からはちょっと気になった事として、女性犯罪者にはそこに至るまでの感情と動機があるのに男性犯罪者には無いんですよね。ただ犯罪を犯しただけ。それに非行少女にもそうなるに至った原因が用意されてるのに男子の方には無い。原作の方がどうなってるのかはわかりませんが、少なくともアニメで見た限りでは女性には犯罪や非行に至るまでの同情に足る事情があるが男には無いと言ってるかのようでした。

また性犯罪被害にあった少女のためならオッサン刑事は使い捨てられても良い、みたいな表現もあって、これも現実に言われてるのか作者の演出なのかはわかりませんが、言うまでも無くそのオッサンにも家族はいるわけで当たり前の話ですが彼に何かあれば家族が困るわけなんですよね。場合によれば未成年の娘がいるかもしれない。「警察官」なのだから社会平和のために身を粉にして働けというのならまだわかります。副所長もそれでそれで自分のプライベートを犠牲にしたシーンがありました。また女性であるにもかかわらず川合は危険な犯罪者を追いかけ続けたりと、あれらは警察という仕事がいかに大変であるかということを表したかったんだと思いますが、そういうのとはわけが違うと思います。何というか根本的に俯瞰的な視野に欠けてるなというのはすごく感じました。
で、これは単純に警察という職業だったり年齢層に基づく価値判断なのかと思ったら、被害にあってる少女をすぐに身を挺して助けなかった少年に対する特に女性陣の反応の厳しい事厳しい事……いや普通は無理だと思いますよ、あんなの。むしろよく戻ってまで助けたと感心します。作品でも明言自体はしてませんでしたが、ガチで警察ってあんな少年にも果敢に助けに入るよう指導するなり空気読ますなりするんですか?あれはたまたま安田が逃げてくれたから良かったものの、普通あんなヤベー奴なにをしでかすかわかりませんよ。というか既にしでかしてるわけなんですから。二次被害まったなしだったと思います。
先にこの作品には女尊男卑だったり男性蔑視のきらいがあり、一方話が進むにつれそれは薄まっていったと書きましたが、やっぱり根底には年齢職業にかかわらない「男の役割」みたいな価値観が前提として有ると強く感じました。河合が「女性」であるにもかかわらず危険な犯罪者を追いかけたシーンを入れたのもそれの裏返しなのでしょう。ただこれが現代警察にも脈々と流れる伝統なのか、作者としての「素直」な感情の吐露なのかまではわかりませんが。いずれにしろ極めて保守的な作品であることに違いは無いと思います。

また犯罪者たちが揃いも揃ってステレオタイプな人達で、まあよくあることだからこそステレオタイプなんでしょうが、逆に本当にこんな人いるの?というケースもちょくちょくありました。まあいるから描いてるんでしょうが。
そういえば最終話に出てきた塩山、こういうのに関しては男性向き作品ならばよくある「優等生っぽい奴ほど実はヤバイ奴」そのままのステレオタイプキャラだと思うんですが、問題なのはこの作品自体がどちらかというと女性向きということなんですよね。勿論男性から見てもそれなりに面白かった作品ではあるのですが、やはりそもそもが女性警察官の心理に着目した作品ですし、また先述してきたような男性に対する「偏った視点」なども相まって視聴を断念した男性視聴者もそれなりにいたんじゃないかと推測します。その中でこういうキャラを出してしまうと、ただただ女性に対して「あなたの優しい彼氏や夫も裏で何やってるかわかりませんよ」というメッセージになってしまうんじゃないかと老婆心ながらちょっと憂慮しました。安田みたいな如何にもなキャラだったら捕まって拍手喝采スカッとハコヅメ!って感じでしょうけど、実際のところ女性視聴者はどんな気持ちで見てたのかちょっと気になりました。まあテメーが余計なこと言うまで気にしてなかったのにこのヤローって人もおられるかもしれませんね。だとしたらすまんやでw

投稿 : 2022/07/08
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サンキュー:

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