てとてと さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態：観終わった
ライトノベルの異世界召喚系ラブコメの金字塔的名作。誇りと平和そして愛、全50話の積み重ねが素晴らしい
平凡な日本人少年が異世界の魔法使い少女に召喚されて使い魔にされる、異世界ファンタジーラブコメ時々バトル。
1期13話、2期12話、3期未放送含め13話、4期12話で全50話。
(4期まで通してのレビュー)
【良い点】
「現代日本人」が「西洋中世風の剣と魔法の異世界」に「召喚」されるファンタジーを確立した草分け的名作。
良い意味で素朴でスタンダード、このジャンルの王道お約束を素直に丁寧に見せてくれる。
現代人少年と異世界少女のラブコメとしても良い意味で素朴でベタなお約束を、日常コメディーと非日常ファンタジー活劇織り交ぜて全50話に渡り丁寧に描いた。
50話といえば1年放送級の尺で、余裕をもって大らかに紡がれるラブコメと波乱万丈な異世界生活は珠玉の日々だった。
波乱万丈、戦いも恋も完全決着させて、二つの世界行き来できるラストも完璧。
行きて帰りし物語の王道と思いきや、一歩前に進むハッピーエンド、ラノベファンタジーのポジティブな物語を示した。
主人公の「武器ならばあらゆる操作が可能」という異能設定の使い方が絶妙。
安直なチート無双ではなく、要所でしっかり主人公している。
異世界で現代兵器路線の先駆けでもあり、ゼロ戦がドラゴンや魔法相手に活躍するのも燃える。
現代兵器だけで無双せず、現代兵器駆る主人公と異世界魔法使いヒロインが力合わせて難局乗り越えるのが素晴らしい。
現代人が異世界に来る物語として、全編通して価値観の相違を丁寧に描き、これがラブコメの行方を左右する。
日本の高校生である平賀才人は身分に拘らない、国家の為に命を懸けるのに躊躇う、平和を貴ぶ。
異世界の貴族であるルイズは貴族の誇りノブリスオブリージュと国家や主君や名誉の為に命を捧げるべき、戦うべき。
ふたりは度々衝突し、恋のライバルたちの存在もあり想いがすれ違う、陰謀や戦争に巻き込まれて危機に陥る。
その度に丁寧に積み重ねてきた日々と、相手への想いが大きくなっていく流れが非常に丁寧だった。
50話通して幾多の危機を乗り越えて結ばれていく純愛ドラマは最高。
誇りや戦いを否定しているわけではなく、愛する者の為には戦う意志が貴し。
長い話数を通して、才人とルイズが互いの価値観を理解し合い歩み寄る形で成長していく、その結果愛が深まる。
平和、反戦が大事なテーマであり、異世界を舞台に戦時中のラブロマンスを描いた作品でもあり。
2期9話のコルベール先生の過去エピソードがカッコイイ、過去の過ちと平和への願いは、才人にしっかり受け継がれた。
3期そして4期と敵対する種族間の共存的な雰囲気も良い。
真面目なシリアスとお気楽萌えラブコメの配分が絶妙で50話飽きさせず。
ラブコメとしては何となく、るーみっく作品めいた良い意味でのベタさが素晴らしい。
次第に小悪魔的魅力発揮するメイドのシエスタちゃんがいいキャラ。
才人とルイズの天丼お約束な掛け合い、ハーレム路線で嫉妬、才人の方もライバル登場で嫉妬などなど。
才人にとってルイズを巡る一番のライバルは女性であるアンリエッタ姫という、2期11話辺りの緊張感は特に良い。
あざとい萌えコメディーの積み重ねがシリアス展開での真剣な恋の盛り上がりに繋がり、危機乗り越えた成果が日常萌えコメディーにフィードバックされる流れで回を追う毎にラブコメが深まる。
全50話として見ると、3期以降のベタ甘ラブコメに積み重ねによる説得力がある。
この積み重ねで、気位が高くコンプレックスの塊なルイズがデレていく破壊力は抜群。
ヒロインのルイズが抜群に可愛い。デレていく過程の可愛さは圧倒的。
釘宮ツンデレの代表格、コピペネタで発狂者が出るのも頷ける。
底の浅い記号的なツンデレにあらず、とにかくかわいい。
男女ともに魅力的キャラ多数。
書ききれないがアンリエッタ姫が特に素敵だった。
姫後に女王ヒロインとして理想的な距離感、天然な無防備さと女王の責務と恋に揺れる、素晴らしい。
方向性は違うが女王ヒロイン史上で自分的にダンバインのシーラ様と双璧。
あまり見せ場はないがギーシュをはじめ友好的な貴族たちがいいキャラしている。
3期以降彼らの存在感が楽しさと仲間との繋がりを感じさせる。
あまり見せ場はないがモンモランシー可愛かった。
作画はやや素朴だが綺麗、キャラデザも可愛いが、特にルイズのデレシーンなど要所の見せ場が素晴らしい。
時折お色気もあり。
主題歌は4期通していずれも素晴らしい。真摯にテーマに沿っている。
釘宮氏が歌うEDはあざとくルイズの想いが伝わる。
【悪い点】
細かいストーリーやキャラ描写は割と雑な面もある。
陰謀や戦争の細かい経緯や展開が説明不足だったり唐突だったり。
2期ラストから3期開始とか。
タバサ関連のストーリーもやや物足りず。
タバサとキュルケの友情とか、タバサが才人にデレる過程が唐突だったり。
ギーシュなどのサブキャラの掘り下げも物足りず。
魅力的キャラ豊富なだけにやや勿体無かった。
良い点と裏腹、るーみっく作品ぽい？ベタなハーレムラブコメのノリがややくどい面も。
【総合評価】10～9点
色褪せぬ名作。
1話1話見ればこれより面白い作品は多々あるけれど、
4期50話を通しての魅力は未だ本作超えるアニメは滅多に無い。
評価は若干惜しい面もあるが「最高」に値する。
