「コクリコ坂から(アニメ映画)」

総合得点
66.2
感想・評価
560
棚に入れた
2841
ランキング
2898
★★★★☆ 3.6 (560)
物語
3.5
作画
4.0
声優
3.3
音楽
3.7
キャラ
3.5

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 4.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

ノスタル爺。

【概要】

アニメーション制作:スタジオジブリ
2011年7月16日に公開された91分間の劇場版アニメ。
佐山哲郎の原作、高橋千鶴に作画によって、
『なかよし』で連載されていた少女漫画作品が原作。

監督は、宮崎吾朗。
企画・脚本で、宮崎駿がクレジットされている。
(脚本は丹羽圭子と併記)

【あらすじ】

1964年東京オリンピックの前年の昭和38年の横浜。

主人公で高校2年生の松崎海(メル)は、
海の見える丘にある「コクリコ荘」という祖母と営んでいる下宿で、
祖母と妹と弟と下宿人らと食卓を囲む生活をしていて、
家事など一切を自分でやっている。
亡くなった船乗りの父に向けて航海の安全を祈る信号旗を上げていたが、
それを詠んだ詩が、学級新聞に載ってしまう。

海が通う港南学園は歴史ある木造建築の校舎で、
明治時代に建てられた元が洋館の男子文化部の部室棟「カルチェラタン」があり、
老朽化による取り壊しを巡って、生徒間で集会を開いて激しい論戦が繰り広げられていた。

反対派で3年生の風間俊は、カルチェラタン存続運動の中心人物で、
部室を使って、週刊で学校新聞を発行している。

何度も行動をともにしていくうちに、お互いに惹かれ合っていく海と俊だが、
1枚の写真が原因で、俊は海へ距離をおいた態度をとっていく。
海が俊に詰めよってみると、自分たちは同じ父親を持つ兄妹。
役所で確認してきたと言うのだった。

【感想】

原作は1980年代を舞台にした少女漫画ですが、
amazonのkindle版にて冒頭部分の無料サンプルを読んだところ、
キャラの見た目も性格も全く違います。
海はアニメでは礼儀正しい生真面目優等生ですが、原作では表情豊かで仕事で雑な部分がありますし、
これまた真面目そうな見た目と口調の俊は、原作では軽薄そうな見た目です。
ついでに、下宿人の北斗さんは原作では男性で海の憧れの人ですが、
その手の話を避けたのかアニメでは女性になっています。

青春アニメ映画を作ろうということですが、
宮崎駿氏(1941年生まれ)と鈴木敏夫氏(1948年生まれ)がノスタルジーを全開にして、
自分らの理想の青春を押し付けるために、わざわざ1963年に設定を変えて、
キャラを人格改造して年寄り目線での自分の理想の少年少女にしてまで、
息子の宮崎吾朗に監督にしてアニメを作らせてしまったモノ。

若者は学生運動が盛んでみんな元気があった、昭和のあの時代は良かったと懐かしむ、
その老人の武勇伝みたいな話は、「平成狸合戦ぽんぽこ」ではリアリストな高畑勲氏と比べると、
昭和を美化した宮崎駿氏のロマンチストぶりに非常に後ろ向きな内容に思えました。

ジブリが毒にも薬にもならない日常アニメを作ったらこうなったというモノですが、
キャラの生活や感情にシンパシーがあればとても心地よい優しい世界に酔えるのでしょうが、
キレイな明るく楽しい学生運動と物わかりの良すぎる権力者などが自分としては、
とある思想の持ち主によって美化された妄想の昭和の世界に閉じ込められてるかのようで、
ある種の気持ち悪さで拒絶反応が起きてしまい、10分おきに中断しながら観ていました。

思い出も大事ですが今を大切に生きましょうというメッセージ性のある「オトナ帝国の逆襲」と違い、
21世紀の現実世界と断絶したような妄想アニメ。
それはジブリのアニメを象徴してるかのような内容でして、
好きな人には大変申し訳無いのですが、自分の心に刺さるものは何もなかったですね。

情緒豊かな日常アニメは本来は好きなのですが、
昭和から使い古された演出を繰り返すジブリのやり方と、
それを教科書にして伝統芸能のようにただ受け継ごうとしただけの宮崎吾朗監督。
自分にとってはジブリは過去の存在なんだなと、ただそれしか心に残らない作品でした。

先人の技術を参考にしつつも先鞭をつける存在として、
アニメの未来を切り開いていっているアニメ会社の方が好ましいという自分の考え方が、
ジブリ作品を色褪せて見せている。ただ、それだけの話かもしれませんけどね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2022/10/10
閲覧 : 148
サンキュー:

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