「ちいさな英雄 ―カニとタマゴと透明人間―(アニメ映画)」

総合得点
65.9
感想・評価
28
棚に入れた
91
ランキング
3032
★★★★☆ 3.5 (28)
物語
3.4
作画
3.9
声優
3.3
音楽
3.3
キャラ
3.4

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

ジブリの血を残すとかなんとか。

【概要】

アニメーション制作:スタジオポノック
2018年8月24日に公開されたオムニバス形式の、
19分+17分+18分(エンドロール除くと13分)=合計54分間の劇場版アニメ。

監督は、
カニーニとカニーノ … 米林宏昌。
サムライエッグ   … 百瀬義行。
透明人間      … 山下明彦。

【あらすじ】

3つ書くのが面倒なのでやりません。

【感想】

前作の「メアリと魔女の花」でも書きましたが、
ジブリのアニメ制作部門の解体で、元ジブリのスタッフの受け皿として作られた会社?
宮崎駿監督と高畑勲監督のもとで磨かれた技術を資本にこれから成長する予定なのでしょう。

さて、観てみましたが、木村カエラがリズム良く歌うテーマ曲がスタジオポノック連呼でダサい。
この歌で、ジブリの後継ブランドを定着させたいのかな?いらすとや風味に描かれた子どもたちが、
気球で空中に浮かぶ機械仕掛けのポノック島(勝手に命名)に近づいていく。
多分、子供向けに作られたものなのでしょうね。うん?これが企業ロゴなのかな?
そのポノック島が巨大な映写機になっていて、夜空に投影してアニメがスタート。

①「カニーニとカニーノ」

カニが擬人化した小人の親子が離れ離れになったり、
川で魚を食べたり食べられそうになる小さな冒険話。
昭和のNHKアニメっぽいものを平成末期の技術でリファインしたような作品ですね。
幼い子どもたちに水の世界を楽しんでもらうために作ったのでしょうか?
カニと妖精みたいなトンボだけが擬人化してて、カニーニたちとは別に普通のカニもいますし、
世界観が良くわかりません。カニーニたちも妖精なのかな?

ヌルヌル動くのと水の映像がきれいですが、
山中の本物の川の水中は緑がかってて澄んでませんね。
トンボの羽根とか怪物みたいな魚が気持ち悪かったです。
アニメーションは良いかなと思いましたが、ネットの書き込みによると、
実は動物や水鳥などの動きがいろいろと間違ってるらしいですね。

アニメーターも動物の動きを再現するには,たくさんの知識と練習が必要で勉強の日々。
単純に絵がうまいとかスピーディーに描ける以上の能力を求められる仕事なのですね。

尺が短いせいかストーリーらしいものもなくて、あまり面白くはなかったですね。
米林宏昌氏は宮崎駿監督から学ぶ姿勢はあるものの、動きの模倣など技術の習得にとどまり、
クリエイターとしての芯が不在で物語が弱すぎると言いますか、
ポノックはその米林氏に監督としてアニメを作らせるための会社ということですが、
大丈夫かな?と不安になるアニメでした。抽象的な感想になってしまいました。

②「サムライエッグ」

生命に関わる重度の卵アレルギーの子供とその母親の物語で、ファンタジー要素なし。
これも幼い子とその親で見るアニメでしょうか?
百瀬義行氏は迷作の「二ノ国」の監督でもありますね。
かつては高畑勲監督作品で、びっちり書かれた理屈っぽい文章を絵コンテに翻訳する演出家として、
高畑氏から重用された人材っぽいですが、自分で監督をするとそれほどでもないような。
クレしん映画の「オトナ帝国の逆襲」を彷彿させる階段のシーンとか、
アニメーションの構築力はあるとは思いますけどね。
アニメーターとしては実績あっても自分では面白い作品を作れない演出家と評価しています。

三作品の中では短い時間で唯一キャラを立ててドラマを作れていたですね。
ただ、これも短すぎるせいか盛り上がるところ無く終わりました。

カニアニメでも思ったのですが、
ジブリ派のアニメは子供の描き方が古くて映像に瑞々しさがないですね。
これの何十倍も子供を魅力的に描き、体温を感じる作画芝居が出来てるアニメ会社がありますので、
なおさら鎖国されたガラパゴス化を感じた作品でありました。

③「透明人間」

山下明彦氏はジブリ以前の15年間のキャリアがあるベテランでして、
ジブリで純粋培養された演出家と違って、
映像がジブリの模倣で無い点では一番受け入れやすかったかな。他の二作品と違って対象年齢が高め?
社会に溶け込めずに希薄な存在である自分に悩む現代人の心の隙間を透明人間に置き換えて表現して、
オダギリジョー氏が演じる主人公・透明人間の寂しい心に共感してほしい!
との、明確な意図がありましたね。

面白い・面白くないは別として、
ジブリとは別の方向性を見出そうとしてる点でこの中では一番に評価しています。

④まとめ

結局このアニメで何がやりたかったの?内容が薄すぎて映像見本市以上の価値を見いだせない。
結局ジブリって日本のアニメ史のビッグネームの二人の名物監督を支える技術者集団どまりで、
クリエイティブな能力を持った人材が育ってない。映画専門の巨匠商法会社でなくて、
TVシリーズを定期的にやってスタッフが若い頃から各話演出をやらせないと。
それをやってこなかったツケがポノックだなと思いました。宮崎吾朗氏が言ってる通りに、
宮崎駿・高畑勲のふたりにやりたいようにやらせるだけのアニメスタジオがジブリで、
その直系を自負しているのがポノックですが、ジブリで学んだ技術を守るだけでなくて、
外部の血や技術を入れて自分たちが変わらなきゃ、ジブリの劣化コピーで終わってしまいますね。
子供向けの作風を目指しながら、子供の目線に立ってない古臭くて退屈なアニメを作ったりで、
いろいろずれてるのが、ポノックだと思いました。
きちんと最前線で子ども向けアニメを作り続けてる東映アニメーションと比較すれば、
ポノックの古すぎる自己満足体質にどっぷり浸かったアニメづくりの姿勢がわかりやすいですね。
「透明人間」だけはジブリからの脱皮の可能性があるアニメでしたけどね。

人気とか評判とか気にせずにアヌシー賞とかに出展して自己満足してるならこのままでも良いですが、
プロデューサーが本気でアニメを売りたいのなら、今のままでは無理だなと思いました。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/07/26
閲覧 : 125
サンキュー:

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