「めぞん一刻 完結篇(アニメ映画)」

総合得点
65.5
感想・評価
46
棚に入れた
226
ランキング
3218
★★★★☆ 3.6 (46)
物語
3.6
作画
3.4
声優
3.8
音楽
3.5
キャラ
3.8

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 2.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

裕作の結婚前前夜。

【概要】

アニメーション制作:亜細亜堂

1988年2月6日に公開された65分間の劇場版アニメ。
原作は、『ビッグコミックスピリッツ』に7年間近く連載されていた高橋留美子による恋愛漫画。

監督は、望月智充。

【あらすじ】

昭和末期。雨が降り注ぐ東京の時計坂の町。坂の途中に戦前からある木造アパートの一刻館では、
管理人の音無響子と5号室の住人の五代裕作の結婚式を2日後に控えて、
住人たちによる結婚記念の10日連続の大宴会が9日目を迎えていた。

婚約相手の響子の帰りが遅くてそわそわしているところ、
一の瀬・四谷・朱美らは、他に男ができたと五代をからかい、
住人たちのいつもながらの態度に腹をたてる彼であった。

響子が誰かからの手紙をさかんに待っている話題が出て、
「五代はふられた」「別の男と響子は駆け落ちする」との、
住人たちの好き勝手な言い草にをバカバカしいと思いながらも、
手紙のことは気がかりになる五代なのだった。

そんな折に、かつて五代が教育実習で赴任した女子高の生徒で、
今は女子大生になっていて、五代に惚れている八神いぶきが、
婚約のことを知らないままに、一刻館を訪れる。

自分を振り向かせようとする八神に婚約のことを打ち明けようとする五代だったが、
あっさり教えたら面白くないと、住人たちの邪魔が入るのだった。

【感想】

「うる星やつら 完結篇」との同時上映でこちらは中篇映画。
一刻館にいろんな人達が訪れて、一刻館の中での会話劇のみで構成される物語。

原作の最終回と、その1話前との間を埋めるアニメオリジナルストーリーですが、
TVアニメ版の変更部分(2号室に二階堂望が引っ越してこない、
五代の卒業後の就職浪人編のストーリーをが4年生時に前倒し)が無かったことになってる、
というか原作漫画準拠設定でTVアニメ版とはパラレルストーリーっぽい作品です。

一刻館の酒飲み三人衆による五代いじりが酷くてそれにイチイチむかっ腹をたてる五代の姿に、
響子を支えられる男に成長したはずの五代といった原作終盤の空気が台無しと思いつつも、
この人達の人間関係は、元々こんなものだったかな?と思い返すと納得するほうが良いかも。

原作終盤では登場せずにエピローグでちょこっと姿を見せただけの、
八神いぶきの五代や響子らとの新たな絡みが見れたことには意義があったかもしれません。
八神は失恋して、落ち込むことが有るけど彼女なりに心の整理をつけて元気です…みたいな話。

三鷹と明日菜も一刻館を訪れるのですが、前日譚のそこでその話をしたら、
原作&アニメの最終回の会話との重複で矛盾してしまうだろう?と思ってしまい、
完結篇もまた、独立したIFのパラレルストーリーとして認識したほうが妥当でしょうか?

出番が多くなかったサブキャラを含めて様々なキャラクターが入れ替わり登場して、
祝福したり思いを語るオマケの同窓会的な話として、
あまり細かいことは気にしないほうが良いかもしれないですが。

はっきり言うと、かなり地味な映画です。
今回はTV版初期でキャラデザをした、もりやまゆうじ氏が、中期以降からの高田明美氏を経て、
キャラデザへの再登板ですが、今回は目が小さくて可愛くないキャラデザですね。
実写の邦画を意識したかのような、日常芝居などの作画は丁寧なのですが、
やたら強調された鼻の穴が気になって仕方なかったです。
このキャラデザは有る無しで言ったら無しかな。
アニメにリアルを求める人もいますが、敢えて省略したりリアルじゃない表現をするのにも、
それぞれに意味があって敢えてやっていると思いますが、
そうして作られたTVアニメ版に慣れ親しんだ人こそ、この絵柄には馴染めないかもしれません。

BGMもかなり控えめであり、殆ど最小限と言ってもいいです。
一応は終盤に感動させる話?があるのですが、
当に淡々と緩急もなくて静かに話が進むので、65分間の実時間以上に長く感じます。

今どきのアニメ映画の演出やカメラワークや劇伴が過剰だと主張する人も世の中にはいるのですが、
それらを排除したら会話の間が持たない。リズム良く映像を作って「目が滑る」ことなく、
展開を頭に入りやすくする工夫としての演出。それがないこのアニメ映画を観て、
それがあるアニメの作り方にも何事にも何かしらの理由があるのではないか?
そんな事を考えるきっかけにはなりましたね。少なくとも、
TVアニメの「うる星やつら」と「めぞん一刻」にはあった情緒的に盛り上げる演出方法と、
静謐が過ぎて湿っぽさすら有るこの映画の手法は違いますね。

構成の都合で二階堂望の存在と話が抹消されたTV版に若干の不満を感じた人、
八神ファンの人には、良かったのではないでしょうか?
その意味では、全く無駄ではないのでしょうけど、
個人的には蛇足であり、必要性が薄いオリジナルストーリーのアニメ映画でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2023/12/07
閲覧 : 61
サンキュー:

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