「宇宙戦艦ヤマト(TVアニメ動画)」

総合得点
69.3
感想・評価
154
棚に入れた
801
ランキング
1791
★★★★☆ 3.8 (154)
物語
3.9
作画
3.3
声優
3.8
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

雷撃隊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 3.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

わがアニメ人生の原点  鋼鉄の浪漫ここにあり

2199を見終わったので初代ヤマトの感想書きます。この作品は我がアニメ人生の原点である。もちろんリアルタイムではなく再放送や映画番組での放送だが、その衝撃は凄まじかった。今見ると作画が粗いが、宇宙船によるスペースバトルの迫力とカッコよさにシビレタものだ。自分はガンダムより先にこれを見たためロボットよりも艦隊戦や航空戦の方が好きである。主砲をぶっ放す戦艦や空母の飛行甲板から発進する艦載機なんかはロボットバトルとは一味違った魅力がある。「総員戦闘配置」、「砲雷撃戦用意」、「1番発射管開け」、とか今では当たり前のやりとりだが、すべてがこのヤマトが原点といっても過言ではない。さらに軍艦や航空機の描写もこれまた素晴らしい。戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦、水雷艇、機動部隊、戦闘機、急降下爆撃機、雷撃機、重爆撃機、偵察機、対艦攻撃機、主砲、副砲、広角砲、魚雷、爆雷、レーダー、ソナーetc
明治末期から昭和初期の水上船舶の世界を再現している。なぜ宇宙空間で海軍のバトルを?という突っ込みは野暮でっせ。んなこといったらガンダムもスタートレックも宇宙SF全部の否定でっせ。因みに自分はヤマトに参加していた舛田利雄監督から辞書の逆引きみたいなかたちで「トラトラトラ」という真珠湾攻撃の映画をみてヤマトの世界との共通点の多さに驚いたものである。自分はヤマトのおかげで昭和や明治の艦船に興味を持ち、歴史にも興味が湧くようになった。ヤマトに感謝である。不思議なのは、ヤマトがあんなに流行ったのにリアルタイムの世代に歴史好きや艦船ファンが少なく、ヤマトをまるでマンガの絵空事と思っているのが不可解だ。

さて、2199との比較だが、作品そのもののパンチ力や底力はこちらの方が上だ。遊星爆弾は核弾頭だし人類滅亡の理由も放射能汚染で、恐怖感が格段に上だ。ヤマトも戦艦大和そのもので、寸法まで同じでキャラクターとしての存在感が凄まじい。鉄の塊が大暴れするカタルシスは最高に熱いぜ。人間ドラマを描いたのは松本零士氏だが、そのため松本氏の私小説的な部分が多い。沖田艦長は松本氏の父親で、島や真田たちは家に出入りしていた父の戦友たちだそうだ。佐渡先生は下宿屋の大家さんだし、古代進は松本先生ご本人だ。そのため沖田艦長と古代は単なる上司と部下ではなく「親子」として描かれている。ヤマトの乗組員と沖田艦長の絆は2199よりこちらの方がはるかに強固だ。さらにもう1つのテーマとして、欧米列強諸国に対する日本民族並びに松本氏の父の世代の人々の正当性がある。そのシンボルとしての戦艦大和である。
つまり戦中派の人たちがまだ現役だったころの戦争エッセイでもあるわけだ。だから2199みたいに現代の思想上乗せしてもヤマトらしさを殺してしまうわけだ。さらに歴史に対する敬意やテンションの盛り上げ方もこちらが上だ。ドメル艦隊との決戦時の水杯の場面なんかさながら日本海海戦にのぞむ東郷平八郎艦隊そのものだし、マゼランの航海記やペールギュント組曲やニーベルングの指輪なんかのエッセンスもバランスよくブレンドされている。因みにビジュアルイメージは昭和の艦船だが、戦争そのものの精神は明治の日露戦争に近い。昭和は特攻精神で敗北したが、明治は特攻は厳禁であり恥ずべき行為だった。沖田も度々撤退命令を出し「生きていてこそ」という意思を示す。そこには「さらば宇宙戦艦ヤマト」以後の特攻精神の入り込む余地はない。まあそこから松本、西崎の確執が始まるわけだけど。結局2199って芯になる思想や哲学が感じられない訳だ。余計な道草やらかすエピソードも無いし続編の予定もまだ無かったため全部の伏線を回収してるし妙なモヤモヤ感も無く後味よく旅の達成感を満喫できる。設定の矛盾に関してはつつけば穴だらけだが、2199も穴だらけなので一長一短だろう。

あと、この時代はまだ男性主人公に単独での需要というか商品価値があったんだね。今は女性キャラがいてナンボだからね。
「女には理解出来ない男の浪漫」を地でやらかしてるよ。女性乗組員が大量発生した2199は「もーやだ、ふざけんな」とイライラしっぱなしだった。ヤマトは萌え豚に媚びて欲しくなかった。最後の砦が崩れたみたいで悲しかったよ。いやマジで。

キャストもこれまたいい。富山敬さんの古代、納谷悟郎さんの沖田、伊武雅刀さんのデスラー、広川太一郎さんの古代守、青野武さんの真田さん、佐々木功さんの島、麻上洋子さんの雪、神谷明さんの加藤、永井一朗さんの佐渡先生、この面子こそヤマトクルーだなって感じがする。後に彼等はヤン艦隊のクルーとして活躍するぞ。比べてみると好対照ですごく味がある。声優って凄い。ラストの「何もかも、皆懐かしい」の納谷悟郎さんと息遣いだけの永井一朗さんのやり取り、何回見ても感動するよ。「ああ、やっぱり俺って男の子なんだ」と。

あれから二十数年たってすっかり魔法少女大好きな萌え豚になっちまった俺だけど、もともとはスペースバトルものが好きだったわけで、年に何回かは見たくなるんだよね。これ見てる間は萌え豚から男の子に戻れるからね。機会があればヤマトシリーズまたレビューします。

投稿 : 2013/09/08
閲覧 : 341
サンキュー:

9

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