「映像研には手を出すな!(TVアニメ動画)」

総合得点
80.0
感想・評価
583
棚に入れた
2214
ランキング
465
★★★★☆ 3.8 (583)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

個性的ではあるのですが。

【概要】

アニメーション制作:サイエンスSARU
2020年1月6日 - 3月23日に放映された全12話のTVアニメ。
原作は、漫画家・大童澄瞳によって『月刊!スピリッツ』で連載中の漫画作品。
監督は、湯浅政明。

【あらすじ】

芝浜高校に入学した新入生の浅草みどりは、好奇心旺盛で想像力が豊か。
幼い頃にネット配信で観た『未来少年コナン』に魅せられた影響で、
ヘリコプターは何故浮かぶのか?プロペラの回転数は?などみたいに、
理詰めで原理や仕組みを覚える重度の設定マニア。
そして、目に映る道端や水路などの風景に、
こんなものがあったらいいなと設定を付け足しては、
その嘘設定をスケッチブックに描きまくる。
そして、自分で考えた設定で構築された「最強の世界」での冒険を妄想するのが好きだった。

小心者で人付き合いが苦手な、その浅草氏は常々アニメを作りたいと思っていた。
浅草氏は、アニメには興味ないがマネージメントと金勘定が領分である友人の金森さやかを誘って、
アニメ研の見学に行った先で、同じく新入生でセレブでカリスマ読者モデルでもある、
水崎ツバメと出会う。水崎氏は人や物の動きを解析して作画で表現することに喜びを見出す、
アニメーター志望だった。

設定と背景の浅草氏、キャラの水崎氏。素人らしからぬ作画力を持つ二人は意気投合するが、
水崎氏は俳優である両親からは自分たちと同じ芸能界入りを望まれているので、
アニメーターの道に進むのを反対されていて、アニメ研への入部も禁止されていた。

そこで、金森氏の考えで(アニメ研が既にあるため)実写系の部活だと教師を誤解させて、
新たに映像研を立ち上げることに。創立されたばかりなので、三人だけでゼロからのスタート。
これは、アニメーションでやりたいことをやる映像研の活動の物語である。

【感想】

アニメを作るアニメということですが、アニメを作る人達が主役の「SHIROBAKO」に対して、
こっちは、アニメーションそのものの魅力を感じてもらおうというギミック満載の作品っぽい。
「未来少年コナン」の作画の解説など、専門的な視点が多めですね。

技術解説と並行してこのアニメで表現したかったことは、クリエイターの精神?
作画マンが何を考えながら絵を描いているかをつぶさに説明することで、
純粋なアニメ愛なるものを視聴者にわかってもらい共感して欲しかったのかな?

登場人物が役割からキャラを作られてて、どこにでもいる普通の人というよりはキャラがマンガ的。
キャラがひとりひとりの人間と言うより、作者によって作られた駒っぽさが強く、
アニメ制作を愛してる人々というより、キャラの人格と設定がアニメ制作の従属物みたい。
なので、個人的には刺さるアニメじゃなかったですかね。
まあ、映像研メンバーのアニメに関わるルーツみたいな過去話は良かったですけど。

アニメ制作の実演販売的なというか、情報を視聴者に食べてもらう教養番組っぽいのがこれ。

浅草氏らが目の前のリアルを作画に落とし込む過程がこのアニメの魅力として扱われていますが、
このアニメの登場人物が住まう世界もマンガ的過ぎるというか、まるでRPGの街みたいだったりで、
それに純粋にワクワクできればいいのでしょうけど、風景もあまりにも作り物すぎるであるとか、
それが作品の売りであることは解っていても、このカットをこう見て楽しんで欲しい!という、
あざとさが強めのせいで、ワクワクを感じると言うよりフムフムで納得させる感じで、
観てて純粋に気持ちよくなること無く、はまり込むことが無かったですね。

掴みはオッケーだった序盤のワクワクも何度も何度も同じパターンで繰り返されていれば、
次第に慣れて目新しさが無くなる言いますか、
キャラが自分の創作物を詳細に説明するのも、自画自賛の駄サイクルに聞こえてしまいます。
一応は設定上は作画能力が高い人達なので、言うことに説得力がないわけではないですけどね。

作品内で明示する情報の数々に、アニメ関係の薀蓄を仕入れるには手頃な構成なのですが、
映像研メンバーのワクワクにシンクロしきれなかった自分としては、
エンタメ作品としてはいささか物足りない、それはシナリオが単調なせいかもしれません。

単なる『アニメ作り楽しいねー!』なだけの話で終わらせないためか、
金森氏がマネージメントの視点から、浅草氏と水崎氏にダメ出しをする。
それは、こうすればアニメ制作が失敗するの見本市みたいで、
ためになるお話だらけで、そこは好きでしたね。

・正確に指示出しをしないと、監督の想定とは別のものが出来てしまう。
・作品がコケたら監督は責任転嫁できない。

などなど、アニメの中で明示される話が頷けることだらけでした。

ただ、これ高校が舞台で女子高生キャラで部活動でやる話である必然性が無い部分が多くて、
例えばスポンサーやお金の話を突き詰めていくなら、
プロのアニメスタジオで経営が死活問題であるとかいう話でやればいいわけでして、
ビジネスやコンサルタントの話をするにもテーマ性を持って視聴者に時間を割いて解説し、
きちんと答えを持ってくるわけでもなく見せ方も中途半端で、
この作品はどこに向かっているのだろう?とも思いました。

作中作が3本あって、映像研によるアニメ制作が話の軸なのですが、
2本目までは、アニメ動画そのものの魅力を感じてもらおうという作りで、
そこは間違いなく評価される部分ですが、
3本目のUFO戦争のアニメを作る話はつまらなかったですね。

それは何故かというとトラブル対処とストーリーをどうするかがメインになって、
このアニメのメインであるはずの作画はどうするか?の話から若干外れ気味、
ストーリーの組み立ても、ただアマチュアの自己満足を見せられ続けているみたいで、
(実際、作家としては映像研はアマチュアのクラブ活動なんですけど。)
1クールの作品の締め括りとしては、最終回の話が弱すぎる気がしました。

映像の面白さを見せて知ってもらう作品として序盤の期待値に反して右肩下がりの内容に、
中途半端に終わってしまった微妙な作品というのが、正直なところでした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/04/03
閲覧 : 364
サンキュー:

57

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