「昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)」

総合得点
81.3
感想・評価
899
棚に入れた
4135
ランキング
408
★★★★☆ 4.0 (899)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.3
音楽
3.9
キャラ
4.0

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tag さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

声優の凄みと、漱石の「こころ」

声優の落語って、難しいと思う。いくら声のプロと言っても落語のプロではない。しかもアニメで。声優のすごさをまざまざと思い知った作品。

アニメはある極端な部分だけをクローズアップし、見せることは得意。つまり、現実にはあり得ない絵が作れる。現実世界では顔も、手も、音も、常に動き続ける。止まっているものはない。しかし、アニメは動かすところだけに聴衆の興味を集中させることができる。つまり、これに向いた芝居と向かない芝居がある。

落語はどうか、たぶん向かないと思う。ちょっとした仕草、手の動き、聴衆のため息や笑、ある種の空気感。これらは、実写でないと表現できないはずだ。

しかし、である。このアニメ、アニメで落語を作品丸々聴かせる。最初は、どうせ無理、ストーリーを追おうと思っていた。が、これが聴けるのです。面白いのです。実写の何十分の一しか情報量の無いアニメで、落語趣味でもない素人の私が、実に引き込まれて聞き入ってしまう。いや、驚嘆、驚愕といってもいい。しかも、主人公二人の芸風は全くことなるが、どちらの落語も聴き言ってしまう。

弟子入り直後のつたない落語は、それなりに。拙いながらも、気合で聴かせる落語は、その熱が伝わる。いやはや、声優のすごさに平伏しました。

さて、ストーリーは、男二人に女一人、古典的な設定です。見ていて面白いと思ったのは、漱石の「こころ」を思い出したから。日本文学史上最初の推理小説。それも犯人当てではなく、主題「ワイダニット」。対照的な二人の主人公と魅力的で妖艶なヒロイン。でも素直に展開しない。まさに「こころ」を彷彿とさせる展開がツボにはまりました。

投稿 : 2020/05/04
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6

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