「超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!(TVアニメ動画)」

総合得点
67.2
感想・評価
371
棚に入れた
1441
ランキング
2491
★★★★☆ 3.1 (371)
物語
2.8
作画
3.2
声優
3.2
音楽
3.0
キャラ
3.1

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3
物語 : 1.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 1.5 状態:観終わった

キャラの知能は作者を超えることが出来ない。

【概要】

アニメーション制作:project No.9
2019年10月 - 12月に放映された全12話のTVアニメ。

原作はGA文庫(SBクリエイティブ)のライトノベルで原作者は海空りく。
監督は、柳伸亮。

【あらすじ】

総理大臣に就任してから僅か二年間で酷い状態の日本を立て直した「世界最高の政治家」の御子神 司。
金稼ぎの天才で世界中の金の3割が彼に関わっているという「世界最高の実業家」の真田 勝人。
トリックで自由の女神を消してしまう。一夜で百億円を稼ぐ「世界最高のマジシャン」のプリンス暁。
銃弾を躱し、一人で刀一本で突撃しては武装集団を軽々と殲滅する「世界最高の剣豪」の一条 葵。
小型核分裂炉や、放射能汚染の完全除去など一人で生み出した「世界最高の発明家」の大星 林檎。
ひと目で診察し、鍼麻酔で眠らせ、超高速の手術で奇跡を起こす「世界最高の医者」の神崎 桂音。
忍者の末裔で諜報にも戦闘にも優れた「世界最高のジャーナリスト」の猿飛 忍。

現役高校生でありながら、各分野で世界最高の能力を持ち活躍する七人の少年少女たち。
人々は彼らへの敬意と畏怖を込めて、《超人高校生》と呼んだ。

七人は同じ中学の出身の友人であり、久々に集まって乗った飛行機が太平洋上空で消息を絶ってしまう。
御子神が目を覚ますと傷だらけでベッドで寝ていて傍らには金髪のエルフの少女がいた。

他六人も救出されて意識を失った状態。獣の耳と尻尾が生えている種族の村。
墜落してバラバラの飛行機。空を飛ぶ巨大な竜の姿。

どうやら、七人の超人高校生たちは異世界に来てしまったようだった。
彼らは、やがてとある事件をきっかけとして、
自らの知識と能力を使って、この世界にない思想や文化や技術を伝えて、
身分の差で平民が貴族らに虐げられることのない新たな時代を作ろうとするのだった。

【感想】

開始7分で、怪我で体力が低下している御子神総理相手にヒロインエルフがシチューを咀嚼して、
口移しで食べさせたのですが、その表現がぐっちょりした糸引きディープキス(原作通りですが)。
御子神が若いイケメンでなくブサメンやオジサンや爺さんなら同じことをしたのか?という疑問に、
献身的な看護をする可愛い女の子というより、
イケメンゲットしたいという彼女なりの情欲や打算が見られて、いやらしいですね。

何故ならば具を食べやすくするなら包丁&すりこ木などで細かく切ったり潰せば良いわけで、
ヒロインエルフの糸引きディープキスには必然性が無いからです。
優秀な遺伝子を持ったオスを選ぶという本能に根ざしたヒロインの求愛行動と解釈するならば、
唐突感はありますが一応は理にかなっています。
ただ、更にはOPアニメでもデフォで毎週糸引きディープキスシーンを挿入。
繰り返し見せられるおかげでヒロインエルフが痴女に見えてしまうのですが、
それはスタッフの意図したとおりなのでしょうか?

制作スタッフ(『りゅうおうのおしごと!』メンバー)は、
原作の重要なシーンをカットしてでも美少女キャラのサービスシーンに力を入れる傾向があり、
糸引き描写にも気合が入っています。
『りゅうおうのおしごと!』に続いて原作の取捨選択がわかりやすいですね。

・やたら、おっ○いが揺れる作画。
・ただ視聴者に見せつけるためだけに存在している過度な入浴シーン。
・その痴女エルフ含めて主人公に惚れているヒロインたちは全員がおとなしくて内気で献身的という、
 それはもう男目線で都合がいいだけのお人形のようなキャラ付け。
・『ペロペロペロペロ』と擬音を口に出しながら延々指を舐め続ける幼女キャラ然り。

絵的にも演出にも『おまえらこういうの好きなんだろ?』みたいに、
萌えを強く意識しすぎたキャラ付けと、ねっちょりしたくどいやり方が可愛いと思えずに、
個人的には生理的な嫌悪感を抱くレベルで、自分としてはあまり印象が良くないアニメですね。

お話としては、偉人伝に残るレベルの能力を持っている設定の超人様七人の異世界での大活躍と、
正義の民主主義が悪の専制国家を打倒する有様を楽しんでください!てなところでしょうか?

超人だの最高だの肩書は『水戸黄門』『暴れん坊将軍』などでいう将軍家の権威みたいな箔付け。
そして活躍の説得力。なんかすげー連中がすげーことしてるぞ!みたいな展開を、
“頭空っぽにして楽しめる”人たち向けの内容ですね。

魔法が実在する異世界の住人すら騙しきるプリンス暁の手品も、
とにかく凄いことやってるぞ!て話で種も仕掛けも作者が全く考えていない。

異世界に21世紀の地球の科学文明などを持ち込むフェーズでも、
超人様がなんとかしました!で説明終了の能力と結果ありきで、
仕事の過程のトライアンドエラーが存在しない点で、ありがたみが皆無ですね。

この物語にモヤッとするところがあるのですが、

前総理大臣が某人民共和国の主席の如く絶対権力者として日本に君臨して様々な不正、
更には自分の不正を知る邪魔者を消すために乗客を巻き添えにして旅客機丸ごと墜落させた殺人教唆、
外患誘致罪など数々の悪事を息子ら超人高校生の活躍で暴かれて裁判も長期化せずに死刑執行。
極悪人の父親を弾劾して日本を救った英雄として前総理の息子が92%と国民から絶大な支持を受け、
その未成年の息子を政界入りさせるためだけに憲法改正。
16歳で初当選即、初の首相公選制で内閣総理大臣に当選。

更にはアニメではカットされていますが、
国民からは圧倒的な支持のカリスマ高校生総理は野党の友愛党から白昼堂々殺し屋を差し向けられ、
拳銃を所持した中国出身の張・首席補佐官によって返り討ちにしてしまう。

オウム真理教の教祖レベルの重罪人で国賊である前総理の息子が、
世論の後押しで憲法改正してまで未成年で総理大臣になれてしまう世界観。これは日本らしくなくて、
共産主義が権力を握った国々で顕著に見られる個人崇拝じゃないの?と思えてしまいます。

とまあ、トンデモ尽くしの、まるで異世界みたいな架空の現代日本からやってきた、
世界最高の政治家とかいう高校生総理が上から目線で、
ファンタジー異世界をディスるという突拍子の無さ。

そもそも英雄政治家とやらの個人に丸投げして依存するようなシステムに日本はなってない。
総理大臣に強力なリーダーシップを求めながら、
なにかしようとすると独裁だーヒトラーだと喚く矛盾した連中に乗っかる国民がいたりで、
現実の政治は、物語のようにはいかない。

フィクションの世界が現実世界と違うことに突っ込むことは、よろしくないとは思うのですが、
ただ、この作品の場合はリアリティから遠い設定のトンデモ日本からやってきた、
ギャグ漫画世界の住民レベルな超人高校生たちが、デモクラシーとリアリズムを説いて、
ファンタジー異世界にマウンティングしまくるという点でオヤオヤ?と思ってしまうわけでして、
その異世界人も明らかに劣った下等な存在として扱われている。

主人公らに成敗されるために都合のいいサンドバッグに設定された商人や領主であるとか、
貴族らに搾取される平民にしてもバニーガールとマヨネーズと手品で懐柔されて、
『こいつわすげーぜ!』気軽に帝国から寝返るであるとか、
こいつらに脳みそついてるの?みたいな異世界原住民の扱い。

そこに民主主義の啓蒙と現代の科学知識とやらでマウンティングするのですが
中世の騎士団を相手の軍事行動で『弓矢も弾丸も通さない奇跡の超合金ジュラルミン!』
(実際のジェラルミン盾は暴徒鎮圧や投石を防ぐ程度しか効果なく今は使われてない)
みたいに間違った知識でドヤりながら敵を圧殺してはスゲエスゲエされる、こっ恥ずかしさ。

世界設定や科学知識や価値観についてツッコミどころが満載過ぎて、
それでいて銀髪で左右の瞳の色が違う中二病な外見な高校生総理とやらを使って、
真面目に民主主義を語らせようとする内容。
(発言の内容は民主主義国家の政治家というより革命家そのもの)

創作はフィクションであり現実との違いを楽しむ心の余裕が重要であるとは思いますが、

虚構設定をガバガバと呼んで蔑む無粋さとは別の意味で変な内容だなと思ってしまうわけでして、
これがギャグアニメであったり、1から10まで全部トンデモで押し切る内容ならばともかく、
政治という繊細なテーマを扱って中途半端にリアルを混ぜたうえに、
その実態は民主主義の皮を被った過激な革命家思想を正義として押し付けようとする内容。
それがフィクションとしてのエンタメ性と結合した結果として、
どうにも鼻につく内容なので高く評価できないアニメでした。

最後に。

見てる人の殆どが気にしてないような、このアニメで変な部分。
圧政を敷く領主に対するレジスタンスのリーダーにブルームハルト伯爵がいるのですが、
アニメでは台詞で語られるだけで出番が一度もない。圧政領主ギュスターヴ公爵とは、
かつての親友で弱肉強食の帝国を変えようと誓いあった同志だったのが、
皇帝に屈して残忍な狂人へと変貌してしまったかつての親友であるギュスターヴ公爵を、
自らの手で討たざるをえなくなってしまった、そのブルームハルト伯爵のくだりが全部カット。

せめて部下のジャンヌが伯爵を語るシーンで台詞とともに、
自分を取り立ててくれた恩義ある伯爵との出会いのシーンを見せて、
伯爵こそ帝国を治めるべきだった。との台詞を略さずに言わせるべきではなかったのか?
そもそも、アニメしか見てない層からみれば、『え?ブルームハルトって誰?知らないよ!』
と、なってしまいます。

このアニメは美少女の活躍とか、マヨネーズ推しや、
おっ○いぷるんぷるんなどの頭の悪いサービスシーンに尺を割く一方で、
脇役枠のオジサン関係とかにかける手間暇は無え!とドラマの組み立てに無頓着すぎるというか、
サービスにならない要素の扱いが正真正銘雑すぎますね。
『りゅうおうのおしごと!』でも感じたこのスタッフのダメな部分が再び!
で、こんなもんかと思ってしまいました。

あ!このアニメの良いところ言うの忘れてました。
作画の破綻なく、アニメーション自体はしっかりしていました。
かといって、負の部分が大きいためにアニメの評価にあまり関係しないですけどね。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/05/11
閲覧 : 800
サンキュー:

45

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