「COWBOY BEBOP - カウボーイビバップ(TVアニメ動画)」

総合得点
92.2
感想・評価
3196
棚に入れた
15401
ランキング
24
★★★★★ 4.2 (3196)
物語
4.1
作画
4.0
声優
4.2
音楽
4.3
キャラ
4.2

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nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ハードボイルドスペースオペラ。2度と作られないカテゴリーでしょう。

 ハードボイルドというカテゴリーは死につつあります。譲れないものを持った男の物語。雨とか裏道とかパイプ椅子とか煙草の吸殻とかそういう世界の話です。そして定住しない冒険者の物語、スペースオペラも最早過去の舞台となりました。

 人が富と健康と平安と権利を追い求めれば、半径5KM内の生活圏で決まった友人や知り合いに囲まれるか自室でネットを眺めることがすべてになった時代には、やせ我慢と冒険は必要ありません。
 本作はそんな時代、20世紀最後の残り火として生まれた奇跡のような物語でした。2021年では価値観が違いすぎて2度と作られないでしょう。というか脚本が描けないでしょう。1998年ですら古い感覚です。なぜ、この時代にアニメでこれをやろうと思ったのか不思議でなりません。

 音楽が凝りに凝っています。場面場面でいくつ曲を作ったんだというくらい場面に応じて曲が流れます。
 ジャズっぽい音楽が多いですが、時折ポップスあるいはブルースが流れます。また、昭和歌謡のような曲が流れ古い人情噺感を演出しています。

 キャラデザは非常に美しいですし、作画も乱れません。さすがサンライズです。フェイの脚から尻のラインとか、エドの乱れた服の下の胸のあたりとか、かなりすごいので注目ポイントです。
 もちろん、宇宙、宇宙船、星々そして街も素晴らしいです。特にハードボイルド感という意味で、薄汚いダウンタウン的な感じ、見捨てられた惑星、バーや事務所、宇宙船内部などの場末感が秀逸でした。

 フェイの林原めぐみさん素晴らしかったです。この声を聴くだけでゾクゾクしました。

 演出は、前半から終盤に入るところまで、コミカルな部分も多いですが、全体的に暗い雰囲気なのがハードボイルド感やスパイクの素性を表していました。

 ストーリーは、宇宙ルパンといえばそういう見方もできますが、少なくともルパンよりはちゃんとハードボイルドです。それぞれのエピソードは、カッコつけややせ我慢、金より人情みたいな価値観をクールだと思えないとついて行けないでしょう。

 全体としては、スパイクの過去の因縁が物語を通じて描かれ、最後はその因縁に決着がつきます。
 ですのでストーリーは最後の3話のためにあるようなものです。スパイクの結末である2話と言いたいところですが、フェイとエドも物語の主役でした。ジェットは途中ガニメデの話がありましたが、彼は帰る場所でまとめ役でしたので結末をつける必要はなかったのでしょう。

 SFですがハードボイルドです。それも社会派ではなく個人の因縁で動くタイプ「組織を抜けた男に安寧の場所はない、昔の女が忘れられない」的な。

 ゴチャゴチャ書きましたが、非常に面白いです。カッコいいです。そして、非常に綺麗なアニメです。音楽が素晴らしいです。これが26話TV用として放映されたというのがちょっと信じられないレベルです。

投稿 : 2021/09/18
閲覧 : 262
サンキュー:

12

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