ERRUE さんの感想・評価

2.3
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.5 状態：----

説明『放棄』の典型例

この作品は原作とアニメ制作会社が、世界観を説明しようとしない。それどころか『異世界に関する情報（どうしてそうなったのか？という理屈）すら与える気が無い』姿勢を貫いている。

{netabare}
物語冒頭から、スライムから人間（主人公）がドロップしたり、もやしがドロップしたりする。主人公の疑問に対するエミリーの答えが

『このダンジョン1階のスライムドロップはもやしです。常識なのですよ』

いやいやいや、答えになっていない。確かに『なろう系』は主人公が転生した過程や動機が一瞬で説明されたりするけど、転生先の『異世界の重大な仕組み』すら”常識なのですよ”で片付けるのは酷い。

分かりやすい例で言えば

幼稚園児：ねぇねぇ、地球はどうして丸いの？？
大人の答え：何故って、そういうもんなんだよ。常識なんだよ。

こんなレベルの話です。言われた側（このアニメの視聴者）からすれば

”はぁ？？？答えになっていないけど？”
”流石に何の情報すら与えないのは酷い”

アニメ1話から『説明放棄・思考放棄』を強要されては、この先何が起こっても

”これが常識なんだよ”

で片付いてしまう。つまり何でもアリの究極のご都合主義。

今まで”どうしようも無いレベルのなろう系”は沢山見てきました。
所謂「考えちゃだめだ！感じるんだ！目の前の現象を受け入れるんだ！」という『思考放棄』の典型例でした。物語の基礎である『起承転結』が『起結結結』っていうものは沢山ありますが

『結結結結』は初めてなのでビックリしましたね…。これは全然笑えない。
このアニメの酷い部分を簡潔に述べると

「世界観・時代考証・理屈？？んなもんねぇよｗそういった説明を一切し・な・い・のが”このアニメの常識ですよ♪”」

となり、思考放棄だけは無く制作側から異世界についての『説・明・放・棄』まで追加されました。こうなってしまっては、完全な虚無アニメ。

視聴者がこのヘンテコな異世界について疑問に思う事も、何故立て続けにトラブルが起こってもアッサリ解決するのか？？etc・・・考えるだけ無駄なんです。これが異世界の常識で想定の範囲内、このアニメに対して何か思うことがあったとしても

『大丈夫だ！問題ない』
『レベルを上げて物理で殴れ』もとい『悟りを開いて虚無で見ろ』

と言い張れば眺める事は出来ます（視聴とは言っていない）。ただ、果たして”それで面白いのか？”となりますが、このレビューを読んでくださっている方が思った事が答えだと思います。

自分はお勧めしません。タイトルからして不安だったものの「いや、もしかしたら面白いかも知れない」と好奇心に負けて”パンドラの箱を自ら開けてしまった気分”です。

あ、でもこのアニメには良い部分もあります。それは内容が虚無である以上、視聴者から『怒りの感情(ストレス)すら湧かない』事です。これをポジティブに捉えるなら、

”つまらない”という感想は出ても”stressfully(精神的に疲れる)にはなり得ない”ので、これが本当の『Stress Free』でしょう。
{/netabare}

◎2話
{netabare}
1話に引き続き、制作側の状況説明の『放棄』は継続中。

1話途中から出てきた、厚かましい『アタオカバニーガール』の人参クレクレが止まらない。何故こんな奴がバニースーツを着ているのかはもう触れない。エミリーが大量の人参から晩飯を作ってくれたのだが、

『どうして、ピーラーが普通にあるのか？』

も触れないでおこう。その後もダンジョンの中までストーキングされる主人公は、自分だけステータスアップする種？「あれか、ドラクエの種のパチモン」を拾う姿をアタオカバニーガールに見つかるが”都合よくごまかしに成功”

結局、ギルド受付広場までストーキングされた主人公は人参をアタオカバニーガールに渡そうとすると突然ギルド内がざわつき始める。

”キャロットジャンキー”←もうちょっとマシな言い方は無いのか…
”人参ソムリエ”
”空手チョップがエクスカリバー”←もうヤケクソかｗ
”口癖は『Dead or 人参』”←せめてcarrotにしろよｗ
”只の人参が一瞬で45万ピロに化ける”←アタオカバニーガールの匙加減で決まる人参の相場、もう意味不明だよ。それに口癖とやらはそれじゃない、視聴者からすれば

”やだ、低レベル嫌い”←その姿格好で言われると痛いだけです。

が正解です。このアニメはその場で思いついた様な設定がポンポン出てくる。ちなみにこのマシンガントークによるアタオカバニーガールの自己紹介は1分弱という省エネシナリオ。

※この後なんやかんやありましたが、全部書くと長くなるので割愛させてください。

もうこうなっては視聴者は蚊帳の外。まるで

”自分だけ会話グループに入れて貰えず、楽しそうな会話を「断片（紆余曲折を省いた結果）だけ」盗み聴きしている”

という謎の背徳感が味わえる。ここまで見て来て気付いた事、それは

”このアニメは、視聴するのではなく『傍観する』が正しい”

のだと。これを原作者が意図してやっているのだとすれば、ある意味天才かもしれない。更にこの表現手法には別の狙いすらある可能性が浮上する。

上の例えに出した通り、視聴者もとい傍観者は”作中のキャラ達からハブにされている状態”であり自分達（主人公も含む）だけ、世界の常識について詳しく教えて貰えない。普通なら何故自分だけに教えてくれないのか？と悲しむものだが、

中には『女の子から意地悪されたり、ツンケンされて興奮する特殊性癖を持った人達』がいる可能性がある。

アニメ例で言うなら　ブレンド・Ｓ　のマイカさん。
彼女の塩とタバスコ入りの『ドＳパフェ』を食べたがる様な性癖のお客さんが本当に実在するのなら

『視聴者だけを蚊帳の外に追いやって、肝心な内容だけ「君には教えな～いｗ」を貫いたストーリー』

はドMの特殊性癖の方には溜まらない（ご褒美）かもしれない。

↑悪ふざけが過ぎましたが、此処まで妥協しないと感想すらまともに書けません…。1話の感想でも述べた通り、変化の兆しは全くありませんね。
{/netabare}