「火垂るの墓(アニメ映画)」

総合得点
80.0
感想・評価
840
棚に入れた
5519
ランキング
466
★★★★☆ 3.8 (840)
物語
4.0
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

かしろん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

心に爪痕を残すラスト

DVDを持ってはいるが、見るとなると体力を使う作品なので、中々にリピートしづらい。
かぐや姫の物語上映記念でTV放送されていたのを見て。

{netabare}
見終えてやっぱり思うのは「疲れた・・・」の一言。
やはり見るとキッツいです。
開始1秒から主人公の男の子が死にかけている、という強烈なインパクトをもって物語が始まり、3分後には持ち物のサクマドロップスの空き缶から遺骨が出てくる演出。この時点で見ようか見まいか悩んでしまうほどの疲れを感じさせる。


さて、物語はこの死にかけ男の子の走馬灯を追うという形式で流れていく。

ざっくり話を書いてしまうと、空襲で母、家、学校を失った幼い兄妹が、叔母の家に居候するも折り合いがつかず、何とか自分たちだけで生きていこうと母が残してくれた貯金を使い河原の横穴で二人きりの生活を初めて見るも、最初はうまく行ってた生活はどんどん困窮していき、遂には妹が死亡するという事態に陥る。それに絶望した兄も駅の構内で死亡するのだった。という内容だ。

はてさて、
「兄は意地の張り方を間違えるなよ。意地でも叔母の厄介になり続けて妹の命を守れよ」
とか
「妹は結局栄養失調じゃねぇか。お前、ピンピン走り回って畑に火事場にと泥棒稼業しまくりじゃねーか。妹を食わせなきゃ、って免罪符で自分が栄養を多くとった結末がこれじゃ、居候させてやってる、って叔母さんがお前らにとった態度とかわらねーぞ」
とか思ったりもしますが、14歳にそれを求めちゃいけませんね。端々に兄の後悔も描かれていますし。


見終えて思うのは、やっぱ強烈なラストだな、と。
普通に物語を終えるなら、この二人が仲良く綺麗に成仏して「あぁ、可哀想な一生だったけど、あの世では二人で仲良く暮らしてね」という締めだと思う。
が、この物語はそんな生易しさなんかくれない。
最後のシーンは、小高い丘のベンチに座る清太と膝枕な節子が現代の夜景を見下ろしている、というもの。
「さぁ、物語を見終えて如何でしたか?
可哀想でしたか?
涙しましたか?
今の社会はこんな可哀想な兄弟たちを礎として築かれたものなんですよ。この映画を見て、泣ける・・・などと思える平和な社会も、こんな悲惨な物語がいっぱいあった上での今なんですよ。」
二人の生き死にのエピソードで疲れきったところに、監督からのきっついメッセージである。心穏やかに見終えることなんか許さねぇ、と言われてる感満々。
この映画の上映が1988年。今から25年前。バブルで浮かれた時代に対する監督の思いが詰まってたのかな、とか思えてきますね。
{/netabare}

これがトトロと同時上映だったんだからなぁ。
すごい時代もあったもんだ。

投稿 : 2013/11/25
閲覧 : 322
サンキュー:

7

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