イムラ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
「とらドラ!」もいいけど「わたしたちの田村くん」も良い
<2021/4/18 追記>
以前からうっすら感じていたことを。
竹宮ゆゆこさんという作家さんの作家性。
かなり独特ですが、一方で明治時代からの文学と目指すところが近いのかなとも思ったり。
高尚とかそう言う意味じゃないですよ。
そもそも文学が高尚なんて言ったら文学マニアの皆さんに叱られそう。
(と言っても文学あんまよくわからないで言ってますが)
人間の内面奥深くの無垢なところ、汚いところ、情けないところ、自分勝手なところ、滑稽なところ、切ないところ、愛おしいところ。
それは現実世界なら人に知られたくなくて表に出さないようにしてるであろう感情。
そんな生々しい感情を、余分な物削ぎ落としまくってできるだけわかりやすくストレートに描こうと悪戦苦闘してる感じがするんですよ。
その結果、竹宮作品の場合は「キャラがみんな変な人に見える」ことにつながっているのでは、と。
「とらドラ!」も「わたしたちの田村くん」も
実際の現実にこんな人がいたら、という目線で見たら恥ずかしくて見れたもんじゃない。
小説、アニメだからこそ伝わる表現なんじゃないかと思ってます。
竹宮ゆゆこさんのそんな感性が大好きです(告白か?)
<2018/8/18 初投稿>
<2020/10/16 加筆訂正>
竹宮ゆゆこさん原作小説のアニメ化です。
私は原作から入りました。
ラブコメものとしては深夜アニメ界で一世を風靡した本作。
見た目怖いけど実は温厚で主婦力の高い「高須竜児」
見た目はちっちゃくて可愛いけど実は凶暴で「手乗りタイガー」の二つ名を持つ「逢坂大河(たいが)」
二人の片想いする高校生を主役としたラブコメです。
ですが、よくあるラブコメのようでいてその実キャラ造形がかなり変。
主役二人も、脇を固めるキャラたちもみなキャラがおかしい(褒め言葉)
本作の特徴は、とにかく原作が個性的でパワフル。
激しく暴れる変人キャラたちをそのパワー溢れるシナリオで上手く動かし、時に爆発させ、上手くまとめるという離れ技をしています 笑。
ちなみに竜司を除く登場人物のみなさん。
言動のクセが強すぎて、普段なに考えてるかわかりづらいことこの上なし。
常日頃から変な小ボケが続いたりすることもあり、いざ大事なシーンで「え?ボケてる?それとも熱いシーン?どっち?」と見ててまごつくこともあったり。
でもみな真剣です。
真剣に恋や友情に悩みます。
変な人たちがものすごい勢いで悩み、時にはパワフルで突拍子もない行動に出たりします。
なので日常のゆるい笑いが続くゆったりした流れから、突然ものすごい勢いでお話がぐるぐる展開したりします。
気がつくと我々視聴者はそのパワーに飲み込まれテンション上がりまくり。
(冷静に飲み込まれなかった人はつまらないと感じたかも)
つまり乗ったもん勝ちのジェットコースター。
そういう作品です。
竹宮ゆゆこさんという変わった感性の作家さんの良いとこが出た良作、私は大好きです。
(個人的には竹ゆゆさんのデビュー作「わたしたちの田村くん」がさらに好きです。アニメ化してくんないかな)
そして原作の良さを損なわずにアニメ化したスタッフのお仕事に感謝です。
ご存知の方も多いかと思いますが本作は、「あの花」や「心が叫びたがってるんだ」「ダリフラ」と言ったヒット作をかっ飛ばした長井龍雪 岡田麿里 田中将賀の三氏が初めて組んだ作品だそうです。
勝手な推測ですが「とらドラ!」の成功がその後の作品に大きな影響を与えたんだろうなとも感じられます。
そしてそこには功罪もあるのでは
というのはそれこそ私の身勝手な妄想なのですが。
というわけで「あの花」レビューに続く。。