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「雨を告げる漂流団地(アニメ映画)」

総合得点
71.3
感想・評価
53
棚に入れた
236
ランキング
1330
★★★★☆ 3.8 (53)
物語
3.6
作画
4.1
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.6

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雨を告げる漂流団地の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

fuzzy さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

キライキライミンナキラーイ的な。。

絵は綺麗
ペンギンハイウェイのとこと監督さんなのね
クオリティは良い

こういう数人異世界飛んじゃったり特殊なとこに閉じ込められる系は実写でもパニくったりするからしゃーないけど
なんか中盤まで誰かしらギャーギャー言ってた印象
で観る気がダウン
パニックものなんだから叫ぶのはいいけど、生理的にこいつ嫌い的なものでもギャーギャー言ってるからうーん多いなぁと。

で結局結論なんだったんだろ
うる星やつらのビューティフルドリーマーを少し思い出したけど、あれは無邪鬼とラムの無垢な願望が原因だったけど。
取り壊される団地に宿ったなにかとヒロインの家のゴタゴタでのストレスが呼び起こした感じ?なの?レベルEの甲子園のように。
今ひとつはっきりしてなかったような。

実はヒロインを守りたいと少し思っていた団地🟰のっぽの無意識が原因で、そんなこと思ってはいけなかったんだ。。っと気づき、その時点で朽ち果てたら胸熱だったかもねぇ


CMとかで絵が綺麗なので期待したのですが
私には残念でした

投稿 : 2023/10/06
閲覧 : 66
サンキュー:

2

ネタバレ

tinzei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

観終わった後、どうやったら尺を減らせるかを考えてしまった

『ペンギンハイウェイ』の石田監督作品。
かつて団地で一緒に遊んだ男女が友達と共に団地ごと海に流される話。


石田監督の完全オリジナル作品。『ペンギンハイウェイ』の時は原作者が森見登美彦だったから面白さは保証されてたけど、今作は未知数だった。


アニメーションの出来は悪くないけど、ストーリーは途中のテンポが悪いから集中力が途切れて観てられなくなる。
『ペンギンハイウェイ』と同じく2時間の作品だけど、場面が基本的に団地から変わらないし、物理的状況はともかく人間関係(特にナツメ、コウスケ、レイナ、ノッポ)の展開は似たようなものばかりだから正直飽きる。
散々引っ張ったナツメの団地と祖父に対する想いも、何で今まで黙ってたの?って程度の話だったし、同情を誘うためにナツメの両親の喧嘩シーンを入れたんだろうけど感情移入させるまでがクド過ぎるし、中盤のベランダで仲直りするシーンでお互い本心を言わせた方がもっと(尺的に)スッキリした最後になったはず。そうすると終盤でナツメがノッポと残る展開に繋がらないけど、テキトーに事故っぽくすれば良いだろうし、そうすれば海の上で同じような回想をすることは無かった。


それと団地を舞台にした割に団地がどういう場所でどうな人たちが住んでたかは大して描かれていないし、どちらかというと廃墟になった団地が主な舞台だからそれほど団地が重要な要素になったとは思えない。住んでたのもコウスケと祖父だけだし、ナツメ以外のメンバーに至っては何の思い入れもないわけだから、わざわざ団地を舞台にした意味が分からなかった。


最初に言った通りアニメーションは悪くなかったけど、『フミコの告白』とか『アオシグレ』でもあった一人称視点の疾走感あるアニメーションが欲しかった。途中のデパート捜索の時に少しだけあったけど、そこよりも最後のノッポ、ナツメ、コウスケが沈んでいく団地の上に取り残された時に荒波を乗り越えるシーンにあると良かった。


石田監督に限らずコロリド(制作会社)の作品は大体見てきたけど、その中でも上位に入るくらいつまらなかった。

投稿 : 2023/04/01
閲覧 : 69
サンキュー:

0

ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

この映画を見終わった後に湧いた疑問。
雨が告げるのではないのか?
団地が雨を告げているのか?
では雨が指し示すのはいったい何だろう?
作中では団地が漂流する直前と、沈み始めたあとに雨は降ってきた。
雨と聞いて連想するのは監督の卒業制作rain town。
あちらのテーマは「雨」「記憶」だったが・・・
こちらは記憶というより「思い出」といったほうが近いかもしれない。
カメラの存在や、柱に刻まれた名前などもまた、思い出を連想させるものだろう。
団地は漂流してくる思い出の地によって、どんどん削られていくがこれは大人になるにつれて過去の記憶だったり思い出が削られていくことの暗示なのだろうか。
団地=思い出とするなら、団地にこだわる夏芽は団地という場所ではなく思い出にすがっていたのだということになる。
では、たどり着いた場所は一体なんだろうか。
のっぽくんは帰る場所と言っていたが、のっぽくんは団地の思い出とかではなく、普通に幽霊なのか?
幽霊団地と呼ばれていることもあっていてもおかしくはないし、のっぽくんが去ってからも団地は子供たちと一緒だった。ことからのっぽくんと団地はきっと別物なのだろうと思う。
のっぽくんもまた団地の思い出にすがっていたひとりということなのだろうか。
話を戻すと、団地の記憶が雨を告げるのなら、なぜ作中の雨はあのタイミングで降ったのかということになる。航祐と夏芽が喧嘩していたタイミングではあるが、必ずしも団地に関わる話だったろうか?
のっぽくんは二人が笑いあう顔が好きと言っていた。のっぽ君と絡めるならのっぽくんの感情に対応して雨は降っていたのだろうか。
仮定に仮定を重ねてそういうことにするのであれば、雨を降らせているのはのっぽくんということになるが、それだと航祐も夏芽もその場にいるのに団地が告げるのはよくわからない。
ここは雨を告げるを雨を降らせると言い換えて、
「漂流団地はのっぽくんの戸惑いを察知して雨を降らす。」という解釈にするのが、落としどころな気がする。
現実か夢かという話に対し、現実であるという見方がこの作品で強く描かれているが、危険な行い・浅はかな考えを含めて子供のできる範囲で物語が展開されていくのは、やはり子供の想像力の限界なのかもしれない。
作中でものっぽくんが引き込んだ原因と言われているし、きっとのっぽくんが作り出した空間なんだろうな。

投稿 : 2023/03/11
閲覧 : 102
サンキュー:

2

ネタバレ

しゅん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ギスギスしすぎ?いやいや素晴らしい大冒険!!

【物語の評価】
最初予告とか見ていた時は{netabare}「あぁ~この『のっぽ』はあれだな、死んだ安じいだな~」{/netabare}って思ってたんだけど、{netabare}「あれ?!もしかしてのっぽって団地の付喪神とかそういうやつ?!」{/netabare}って。だまされちゃいました・・・・・・・・(って、こっちが勝手に勘違いしていただけだけど)
ギスギスしすぎているって言われているみたいですが、ドラえもんとかクレしんでも我儘言ったり、泣き出したり、足引っ張ったりするやつがいないわけじゃないからなぁ(誰とはもちろん言わないけど)。それに明るい場面もそれなりに多かったから大丈夫だと思う。むしろこれよりもっとギスギスした作品は多いと思う。
【作画の評価】
背景がきれいだった。
【声優の評価】
【音楽の評価】
主題歌が良かった。
特に、自分も団地というか官舎に住んでいたことがあったが、ドアの「ギィイ・・・・」って音が昔を思い出すほどリアルでした。
【キャラの評価】
令依菜(れいな)が6年にしてはなんだか・・・・・・・くそっ、色気づきやがって・・・・・・・・気絶したとき漏らしても良かったんだぞ・・・・・
それに珠理も3人の女子の中で唯一ブラだったのも・・・・・・・・いいな、うん。
【感想】
{netabare}夏芽が戻れなかった世界線とか帰ったら何年も経っていた(3年前のプールや6年ぐらい前のデパートに追いついたから)世界線とかの二次創作を見てみたい。{/netabare}

投稿 : 2022/10/25
閲覧 : 142
サンキュー:

4

ネタバレ

ひろたん さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「未練」を「思い出」に変える瞬間

私は、この作品の鑑賞に先だって、スタジオコロリドの過去作品を一通り観ました。
そして、この作品を観て確証を得たことがあります。
それは、コロリド作品は、人が成長する瞬間を描くのがとても上手いと言うことです。

『陽なたのアオシグレ』は、小学生がちょっとだけ大人になる瞬間を描きました。
『泣きたい私は猫をかぶる』は、自分の気持ちに素直になる瞬間を描きました。
『寫眞館』は、人の気持ちが分かる瞬間を描きました。
そして、この作品では、「未練」を「思い出」に変える瞬間を描いています。

「未練」とは、その前提となる積み重ねたものの大きさに比例します。
この物語の舞台は、それこそヒロインが生きてきたこの団地です。
子供にとっては、生きてきた世界そのものと言えるぐらいの場所です。
それが取り壊されることになり、今の自分もなくなってしまいそうに感じます。

人は、「未練」を断ち切りそれを「思い出」に変える時、成長できるのだと思います。
はたしてヒロインの「夏芽(なつめ)」は、それができるのでしょうか?
この作品は、そんな瞬間を切り取った作品です。


■「未練」と「思い出」
{netabare}
「未練」と言う言葉は、とてもマイナスの印象があります。
エスカレートすれば「執着」にもつながります。
「夏芽」は、なかなか未練を断ち切れません。
解体中の団地に忍び込んでは、過去の楽しかった時のことを思い浮かべるばかりです。

一方、「思い出」には、良いことも、嫌なことも両方含まれます。
しかし、この言葉には、どことなくプラスの印象があります。
「未練」も「思い出」もどちらも過去の記憶でしかないのに、なぜでしょうか?

それは、良いことにせよ、嫌なことにせよ、自分の中で区切りをつけたもの、
それが「思い出」だからです。
自分の中で整理をつけ、心の引き出しにきれいにしまったものだからです。

しかし、「未練」は違います。
いつも心の中で散らかったままなのです。
それがいやだからと、見えないように無理やり心の引き出しにしまってもダメです。
何とも言えない感情がそこから漏れ出して、自分を苦しめます。
なぜなら、それは、見て見ぬふりをしているだけにすぎないからです。

この作品は、そんな葛藤を「漂流」する「団地」と言う情景で映し出します。
「未練」は、その前提となった積み重ねが多いほど大きな感情となります。
「夏芽」にとっては、団地は、それまでの楽しかった人生そのものです。
しかし、今の自分が置かれている状況は違います。
すると、気持ちは過去に向き、その過去にすがるようになっていきます。
そんな「夏芽」の心を「漂流団地」が上手く表現していました。
{/netabare}


■「未練」を「思い出」に変えると言うこと
{netabare}
「未練」を「思い出」に変えることにより、人は、前進できます。
なぜなら、過去にケリをつけことで前(未来)を見て進めるようになるからです。
この作品は、そんな成長を描きました。

実は、この作品は、それだけではないんです。
それは、「未練」を「思い出」に変えることにより、見えてくることがあるのです。

この物語では、「夏芽」は過去の経緯から母親との間に距離を感じていました。
そして、母親は自分に関心がなく、甘えてはいけないものと思い込んでいました。

しかし、未練を思い出に変えることにより、実は違っていたと言うことに気づきます。
そして、母親に甘えてもよいと素直に思えることができるようになりました。

未練があると、どうしても視野が狭くなって見えなくなっていることがあります。
しかし、それを思い出に変えることにより、素直になることができます。
そして、今まで見えなかったものが見えるようになります。
すると、人の気持ちを理解できるようになるのです。
この物語では、「夏芽」は、母親の気持ちを理解できるようになりました。
この、素直になって、人の気持ちを理解できるようになることもまた成長なのです。

この作品に限らず、コロリド作品は、こう言った成長した後の姿もきっちり描きます。
そして、この成長する前後の対比をハッキリと印象付けます。
それにより、「今、成長したんだな」と言うことが分かります。
そのため、人が成長する瞬間を描くのがとても上手いと思えるのです。
{/netabare}


■まとめ

コロリド作品は、よくまとまっているなと言う印象を受けます。
『アオシグレ』も『猫をかぶる』も、そしてこの作品も。
いずれも後ろ向きな感情が原因で不思議な世界に入り込んでしまいます。
その世界が心の葛藤を描き出します。
そして、現実に戻ったとき成長できていることを実感できます。
するとこの不思議な世界と現実との間にメリハリが生まれます。
そのため起承転結がとてもハッキリしてくるのでよくまとまっている印象になります。

また、コロリド作品は、なんとも言えない余韻が残る作品が多いです。
今まで、それはなぜだろうかと思ってきました。
この作品を観た結果、1つハッキリしたことがあります。
それは、人が何かを「思い出」に変えると言うことに深く関係していたのです。

子供の頃のひと夏の出来事、甘酸っぱい体験、そして、未練・・・。
良いこと、悪いこと、はずかしいこと、なんでもいいのですが、
人は、それを「思い出」に変えることにより、心の整理をします。

それらは、その時々の自分にとっては、一生懸命だったはずのことです。
それを「思い出」に変えると言うことは、ケリをつけると言うことになります。
すると、あんなにも一生懸命だったことが終わってしまったと感じられるからです。
それにより、なんとも言えない哀愁感が生まれ、それが余韻になるのだと思います。

私は、とても楽しめた作品でした。

投稿 : 2022/10/12
閲覧 : 159
サンキュー:

21

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

アベノ橋魔法☆商店街を真面目に纏めた感じ?のジュブナイルアドベンチャー映画。意外と優等生的な良作

「ペンギン・ハイウェイ」の石田祐康監督の3作目で120分。
小学6年生の少年少女たちが、廃墟団地ごと海(異世界?)に漂流、サバイバルしながらジュブナイルアドベンチャー。
ケンカしたり恋したりしつつ、思い出の詰まった団地を舞台に成長していく。

【良い点】
異世界漂流系で、団地というコンセプトがユニーク。
団地の廃墟を探索して食料や物資確保したり、サバイバルしたり、奇抜な設定を上手く活かしたアドベンチャーで面白かった。
漂流する団地間で、極自然に時間制限を設ける作劇も上手かった。(互いに流されてるので長く留まると危険)
前半の廃墟探検的なわくわく感から、後半の次第に危機に陥っていくハラハラ感どちらも良かった。
終盤の観覧車活用しての救出劇はかなりハラハラした。
怪我していく展開がリアル、死と隣り合わせな緊迫感で飽きさせず。

ジュブナイル、アドベンチャー、仄かなラブコメや友情、現在問題抱えている少女の過去への郷愁と成長などなど、設定の奇抜さとは裏腹にテーマやメッセージは素直で分かり易い。
ヒロインのナツメちゃんは家庭に問題抱え、主人公コウスケの亡き祖父を慕い、大切な思い出が詰まった解体予定の団地に心が囚われている。
漂流アドベンチャーを通して主にナツメちゃんの葛藤や成長ドラマを瑞々しく描き、団地で過ごした大切な思いを胸に、前向きに未来に進もう的な、ベタだが真っ当な物語として綺麗に纏まっていて後味も良い。
…作劇構造は「アベノ橋魔法☆商店街」と共通点多い(小学6年生の男女が身近な土地ごと異世界漂流、心象が影響?祖父がキーキャラ、一方が過去に囚われている)が、アベノ橋のラストが良くも悪くも捻ねくれているのに対し、漂流団地は至極真っ当なテーマと結論だった。
アベノ橋を2時間で完成度高めた感じ。アベノ橋とは男女の立ち位置逆なのも自分としては面白い。
男女の立場が互角なのも現代的な良さかも。

団地漂流の理由付けが無い点は別に問題ではない。セカイ系ファンタジーに理屈は不要。
またナツメ母との確執や和解描写がアッサリなのもむしろ良い点。
大事なのはナツメちゃんが親絡みで団地に心囚われている事実であり、不愉快なシーンは省いて正解。

少年少女特にリーダー格のリーダーシップが高く、知恵と力を合わせて難局乗り越える連帯感も心地良い。
キャラが活き活きしており、掛け合いが楽しい。ケンカしてギスる展開が多い割には不快感少ない。
レイナちゃんみたいなきつい本音ぶつけてくるキャラは嫌われ役になりがちだけど、主張自体は至極真っ当で、感情的にも納得できる。
萌え的に可愛いのも大事、コウスケへの切ない恋心や、ジュリちゃんとのユウジョウなど、他キャラとの関係性が良く可愛げがある。

作画が綺麗。団地が漂流する幻想的な風景もさることながら、キャラデザも良い。特にレイナちゃん。
声優陣に実力派の本職起用している点も良い。
特にレイナちゃんみたいなタイプは水瀬いのりキャラとして珍しくて可愛かった。

【悪い点】
あまり印象に残らなかった子もいる。全員の見せ場や掘り下げは用意できなかった。
ノッポの同族?な観覧車の精霊的女の子とか、登場が唐突でレイナとの交流が物足りずイマイチ。

前半は探索、後半は嵐を凌ぐだけなので、展開がやや地味。

完成度が高い反面、ストーリー的にも展開的にもベタで予定調和。
奇抜なシチュエーションと裏腹に、悪い意味でもベタで驚きや感動が物足りず。
コウスケとナツメついでにレイナの団地への思い入れは分かるが、描写が淡白で感情揺さぶられるには弱い。
例えば祖父との過去エピソードとか、もう少し回想に尺割いてもよかった。
ノッポとの交流が、ノッポの一方通行気味だったのも惜しい。
特にレイナちゃんの遊園地エピソードはやや唐突で浅い。最後まで部外者代表貫いてほしかったような。

団地への共感を共有できるかを、視聴者の体験に依存している感も。
サバイバルに尺取られて去りし日の団地描写がやや手薄かも。

映像や声優に比べ、楽曲は主題歌含めてあまり響かず。
悪くはないんだろうけど。

【総合評価】7点
アベノ橋魔法☆商店街からおふざけギャグ抜いて完成度高めた感じの良作映画。
奇抜さと裏腹に良くも悪くも優等生的な内容、欲を言えばもう少しロックな要素も見たかった。
とはいえ水準以上には面白く、欲を言えばの話。
評価は良い以上は確定だけど、とても良いかは迷う「良い」

投稿 : 2022/10/04
閲覧 : 132
サンキュー:

9

ネタバレ

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

残念ながらノスタルジーには浸れません。

これですね。実は最初見に行くつもりなかったんですよ。

だって子供が漂流する話っていっぱいあるやないすか。

まあ、こおゆうのんて冒険譚の王道なんで基本的に何見てもおもろいんですけど、どおしてもおなか一杯感が否めないといいますか。

なんですけど、この作品なんだかやたら評判がいいのんと10月1日は映画が安く見れるとゆうのもあって心斎橋迄見に行ってきましたっすよ。

いやー。見に行ってよかったっすわ~。
めちゃくちゃよかったっすわ。
もー泣きまくりでしたってば。

映画始まってすぐえらい勘違いしてたなーと気が付くんですが、このハナシ、子供が漂流するんじゃないのですよ。

団地が漂流するんですよ。
おお。よく見たらタイトルが『漂流団地』になってるやんけと。

だからといって団地が漂流するだけの映画なんか作っても誰も見ませんので、この映画自体は話の筋としてその団地とゆかりのある子供達が偶然そのタイミングで団地と一緒に漂流することになり、そしてその子供たちの心と成長と開放に至る話をうんまい具合に絡めた1級のエンタメ作品にと仕上がっております。

ボクは昭和41年生まれですのでもちろん団地、デパート最上階のレストラン、屋上遊園地等それらみな子供の頃の思い出がよぎるノスタルジーあふれるゾーンではあるのですが、残念ながらノスタルジーには浸れません。

なぜか。

それはどれも全部{netabare}朽ち果てて{/netabare}いるからなのですよ。

なので途中で気がついちゃうわけですよ。

戦後の焼け野原から高度経済成長を成し遂げた人々の心の支えになっていたであろう生活インフラとしての{netabare}役目を終えてこの団地は墓場{/netabare}に向かっているのだと。

そのほかたとえば遊園地。

ディズニーランド・USJは大盛況。

でもボクらが子供の頃に愛した遊園地はドリームランドだったり、あやめ池遊園地だったり、伏見キャッスルランドだったり、宝塚ファミリーランドだったり。

ボクら世代の思い出の地はもうどこも残ってない。

要するに海外から入ってきたものに全部駆逐されちゃってるわけです。

かつてはジャパンアズNO1とゆわれた日本の主だった産業も多くのものはここ30年ほどの間に海外のものに駆逐されちゃってるわけです。

この作品の監督の石田祐康氏がどおゆう意図でこおゆうテーマにしたのかわかりませんが、ボクには『日本よ!頑張れ!前を向いて!』そういうメッセージが込められているのだと勝手に解釈しました。

そしてこう続けます『子供たちを見ろ!過去を清算して再び前を向いていこうとしているぞ!お前たち大人は何してんだ!』と。

そう思ったらとたんに涙がぽろっぽろ出てきて止まりませんでした。


この映画は見る人によって、または見る世代によってとらえ方がいろいろなんじゃないかと思わせる実に懐の深い、素晴らしい映画です。

航祐くんと夏芽さんの心の描写にうーんとうなるもよし、のっぽくんと遊園地の精の生きざまに心打たれるもよし昭和を支えたインフラたちへ思いを馳せるもよし。

映画を見終わった後、何とも言えない満たされた気持ちになることうけ合いです。

超超超おススメです。

投稿 : 2022/10/03
閲覧 : 156
サンキュー:

12

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

想い入る思いと、思い出への想い。

スタジオコロリドと言えば、私は「ペンギン・ハイウェイ」を思い出します。
本作も同じながれをくむ作風ですが、主人公は小学6年生と少し上の年齢。
「雨を告げる」、「漂流団地」は、彼らの心情に寄り添った素敵なテーマだったなと、一人悦に入っています。

~    ~    ~

お話は、まさしく12歳のジュブナイル。
思春期の入り口に差し掛かった個性豊かな小学生たちの"ど真ん中な冒険活劇"です。

内容と言えば、「小学生の漂流物語」というニュアンスからはほど遠く、想像をはるかに超えるクライシスぶり。
中学生どころか高校生でも手こずるような場面設定でした。

始まって30分くらいはのんびり構えていたのですが、いつのまにかハラハラドキドキを通り越して、もはや身体のあちこちが痛々しくて困るくらい。

そこで、ちょっと不思議だったのは、ここまでのシナリオにする必然性、通底するファクターは何だったのかということです。

~    ~    ~

種明かしは、本当に終わりぎわまで待たねばなりません。

キーワードはやっぱり"団地"にありました。
余分な言葉は雑音にしかなりませんから、今回は完全封印です。

もしもこれからご覧になられる方は、どうぞ気を抜かないで、どのキャラも、どんな背景も、舐めるように観てくださいね。

それにしても、12歳の心象が本作にシンクロするのであれば、私は彼らの想像力と創造性への豊かな共感について、その見立てをいくらか変えねばならないかもと感じました。

つまりそれは、石田監督の"思い入れ"ということになるのでしょうけれど、ね。

~    ~    ~

とは言え、すこぶるSF的な解釈もできそうでしたし、えっ?と驚くくらいなファンタジックな演出も、どっかりてんこ盛りでした。

ペンギン・ハイウェイでは、お姉さんがアオヤマ君にいろいろと謎かけしては掻き回していましたが、本作にはそういうキャラはいません。

となれば、大人の感性をのせられないわけですから、ストーリーを詰め切るにはコツが必要です。

せめて、大人アタマとジュブナイルの心を、上手に使い分け、ときには主人公たちのキモチに全振りしてみるのが突破口になるのかもしれません。

私としては、視聴後の気持ちをまとめるのは少してこずりそうですが、率直に「観て良かった。とても面白かった。」と深い満足を得られました。

だって、すっかりジュブナイル色に染められてしまっている琴線です。
それでいて、ガチガチな演出が、抜かりなくさりげなく用意されているのですから。

手始めは、{netabare} 団地の屋上に通じる蓋でした。
開かずの扉、異界への入り口・・・、いかにも特別な通過儀礼って感じでした。 {/netabare}



さて、公式ホームページのグッズ欄をながめると、「上映劇場限定販売のブルーレイ(数量限定)」が紹介されています。

詳細はお読みいただきたいのですが、販売対象は「当該劇場のチケット半券をお持ちの方に限る」というもの。

今後、通販展開がないのであれば、購入の機会はこの数日が勝負になるのかもしれません。

お小遣いで買うにはちょっとお値段が張るので、私の半券はポケットのなか。やむなくパンフレットで我慢しました。

皆さまには、ぜひ視聴していただきまして、「これは!」と思うところがございましたら、よろしくご検討くださいませ。



おまけ。
{netabare}

登場人物は12才の少年少女たちであるにもかかわらず、なぜか上映は夏休みが終わってからという不思議。

小学最後の夏を過ぎ越し、もう一度「君たちの夏休みはどうだった?」と言わんばかりなのですが、そこは案外ひねりが効いていて、私は心憎いなぁと感じています。

小学6年生にとっては、最上級生として、最初で最後の夏休み。
それは青空ばかりではなく、雨を告げるようなシーンもあったでしょう。
どんなふうに立場や環境に流されたとしても、自分なりにがんばってベストを尽くしたことでしょう。

本作は、12才の痛みや喜怒哀楽も、全部抱え込みながら自分を作っていく総仕上げの時期にいよいよ来ているんだよと、そんなことを教えてくれていたように思います。

その意味で、やはり本作視聴のメインは、"夏休み明けの12才の皆さん" になるのでしょう。

~    ~    ~

さて、もう一つ。
メインゲストが12才だとするなら、ホスト役の大人と児童との鑑賞条件の前提について少し触れておきたいと思います。

前述したように、シナリオ上の荒唐無稽さ、首尾一貫のなさ、奇想天外ぶり・・・。
そんな演出にする必要性は何だったのだろうかと感じています。

大人の目線で言えば、本作の動機は、夏芽の喪失感が第一で、航祐とのすれ違いが第二のように見えがちです。
大人の才覚であれば「根拠はそこにある。展開もきっとそこから始まる。」と期待するのも訳ないことですね。

でも、留意すべきなのは、大人と児童では、持っている時間の総量、密度の違い、それらを振り返る能力などに、天と地ほどの違いがあるということです。

とあるレビューに「冒険活劇」と評価されていましたが、まさにその通りだと思います。
世界観設定(あるいは世界観認知)は、12才の目線と想像力の範囲のなかに描かれていたと言っても良いでしょう。

夏芽も航祐も、もの心ついてからのほぼ全部を、同じ団地(112棟)で過ごしています。
彼らの時間はそこにあり、持ち合える価値があり、掘り下げられる過去があります。

二人がサッカーのツートップという設定は、恋愛感情に寄せるよりも、競い合い、助け合う良きライバル(=フラットな対等性、信頼性)という意味合いを強化しています。

サッカー仲間(譲と太志)と、別のクラスの女子児童(特に航祐に思いを寄せる令依菜)が絡むのも、それぞれが等間隔なポジションを保つ役割と意味合いを明確にしています。

お話の入り口は夏芽の団地への執着心でしたが、途中、令依菜のエピソードが盛り込まれていることからも、6人が一致結束するなかで、それぞれの帰還(≒ 古い居場所からの心的な卒業)を果たすという「集団的成長譚」として収束し結実を見せていきます。

それに、のっぽ君は、もしかしたら転校生のような立ち位置なのかもしれません。

そんなことを考えていると、本作のベースラインは、やはり12才の子どもたちの心的な成長に主題があるように思います。

大人から見ると、夏芽と航祐の関係性のなかに作意を見いだしがちです。
でも、子どもから見れば、彼らの関係のなかで一緒に乗り越えていくという作調のほうが、よりフィットするんだろうなと思っています。

~    ~    ~

ゲストとホストで見方が変わるのは、作品に深みがある証拠です。

小学生なら、夏から秋への実りへの期待とか希望とかの実感でしょう。
でも、大人にとっては、過去から現在への秋波とか、現在から未来への余波がじんわりと効いてきます。

例えてみるなら、一粒で二度おいしいグ○コのキャラメルでしょうか。
甘やかな風味が口の中を満たし、いつの間にか蕩(とろ)けて消えちゃってる。
そんな嬉しさと寂しさの記憶が、芳醇なノスタルジーとなって鼻先をくすぐらせる。

大人だってジュブナイルだったんだし、そんな夏休みがあったのです。

全く心憎い作品です。
{/netabare}

投稿 : 2022/09/27
閲覧 : 213
サンキュー:

22

ネタバレ

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

安全で卒のない「漂流教室」

「ペンギンハイウェイ」の石田 祐康さんの2作目。ディストピアSFではなく子供のジュブナイル作品です。

美術など新海誠さんを意識しているのかもしれませんが、非常にきらびやかで色彩豊かな色使いになってます。

内容ですが、大昔のディストピアSFで楳図かずおの「漂流教室」(1972年)を思い出したのは僕だけではないはずです。あの頃はオイルショックや公害問題などの社会問題が蔓延していた時代なので、小学生を対象にしているにも関わらず、暴力教師、伝染病、カニバリズムなど内容も暗く陰鬱な作品でしたが、こちらはわかりやすく「ジュブナイル」になってます。

明るく楽しい雰囲気は「機動戦士ガンダム」に影響を与えた「15少年漂流記」な感じで、けして「蝿の王」のような展開にはなりませんw

僕は正直、「蝿の王」の方がこの世の本質だと思っているので胸に刺さらなかったですが、お子様にトトロを見せるような感覚で見せるにはちょうどいい気がします。

投稿 : 2022/09/24
閲覧 : 167
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6

ネタバレ

icefish7 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

物を壊したことや、怪我をした事のない人が演出したアニメ

ストーリーもとっ散らかってるし、子供達に魅力もリアリティも感じませんでした。
団地の精霊と観覧車の精霊がキャラデザ含め魅力的だった。
子供達全員の失われた思い出の廃墟が出てくれば良かったのに。
癒し系の樹里の抱える思い出とか、重そうで見応えがありそう。

閑話休題

物を壊したことや子供の頃怪我をする遊びをしたことある人ならわかるんだけど、屋上は真っ黒になるくらい汚いし、ロープはあんな棒では基本ターザンできず、ロープが中心から滑って手を摩擦で怪我するのがオチ。
経年劣化したスレート屋根や耐候性プラスティックの屋根はああいう壊れ方をしない。弾力を失ってパリパリと割れる。
転んで膝をガラスで切っても、その後も呻いて横たわったりしない(痛みは後から来る)し、さらにその割にはすぐ立ち上がってるのもおかしい・・・。骨折レベルの悶え方なのに、次のカットではテレビ持ち上げてるとか見てられない。笑ってしまう。
人の乗ったバスタブを一本のロープで慣性をつけて遠くに送り出すことは出来ないし、バスタブの縁をガムテープで止めただけでは絶対に安定しないので、あの筏は秒で沈む。
団地屋上の塔状の鉄筋コンクリートは余裕でもげるし、あの太さのワイヤーが張るときは聞いたことない音するし死ぬほどの怪我をする。

これらのようなアニメのデフォルメを超えて物理法則に逆らっている描写に違和感を感じて、どんどん興醒めしてしまった。

監督や演出は子供の頃塾ばっかりだったのかな、などと制作側のストーリーのが気になるわ。

悪いところばっかりあげてしまったけど、ナツメが樹里を助けるためにコンクリートをよじ登る作画とスピード感は良かった。
あそこだけ破綻しない程度のバランスの取れたアニメ的デフォルメが入っていたように感じる。

残念だけど、この映画は友達に勧めることはできない。
子供にも見せたくない。とくに子供達の成長もないし。

これより団地ともおを勧める。

投稿 : 2022/09/21
閲覧 : 115
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4

ネタバレ

タイラーオースティン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

再生の物語

冒頭時点から主人公とヒロインの仲は険悪で、周りの登場人物達も男子同士と女子同士では親友みたいな関係ながら、彼ら彼女らだとそこまで仲が良いわけではなくギクシャクした関係ゆえに騒動に巻き込まれてからも衝突は絶えず、全編の8割は仲間内での揉め事という印象でした。

それでも、男子と女子とかそういうので派閥を作っていじめるとかは無く、誰かが不平不満を言ったり、誰かに文句を言った時には必ず、それを止める役割の人がいて、しかもそれが親友であった時にはなんか良いなと感じさせるものがありましたね。

それにしても、ヒロインの身体能力の高さには驚かされるといいますか、作中で見る限り運動神経は主人公以上、男ばかりのサッカー部の助っ人に呼ばれるのも納得でした。

漂流物というと、やはり15少年漂流記やロビンソン・クルーソーみたいなのを想像すると、本作はやや暗めで極限の状況が最後まで続くので正直、自分もこういう体験したいなという気にはならないかな苦笑。

過去の出来事が原因で仲が険悪だったのが最終的に和解するという流れは世界名作劇場の「アルプス物語 私のアンネット」を思い出しますが、騒動を通しての少年少女達の成長、主人公とヒロインの仲直りをしっかり描けていて、良い映画だったなと思います。

投稿 : 2022/09/19
閲覧 : 109
サンキュー:

9

ネタバレ

タック二階堂 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

幼年期の終わり。

詳細は劇場へ。あるいはNetflixの配信をご覧あれ。

で、終わってはレビューにはならないので、ネタバレを避けて感想を。

築60年というおばけ団地(いわゆる「団地ともお」が住んでいるような公団あるいは都営・市営団地)。住民は新たな団地へと転居し、いよいよ建て壊しという状況。そんな解体現場に、ヒロインの夏芽が入り込み、主人公の航祐たちが見つけ、屋上で揉め事を…

そんな折、夏芽が屋上から転落しそうになった刹那、なんと“おばけ団地”は海上を漂っているのであった。

という始まりです。
{netabare}
いわゆる「幼年期の終わり」といったストーリー。甘く、やさしい思い出。しかし、時代は移り変わり、自分たちも大人へと変貌していく。そんな幼年期に後ろ髪を引かれる子どもたちが、大人への扉を開くまでの物語といった印象を受けました。

建物を擬人化し、幼年期の自分たちを見守ってくれた存在として描くといった建て付けは、まあ想像の範囲内ではあるものの鉄板の面白さ。

荒唐無稽だが、劇場版のアニメ映画なんて、こういう空想劇こそ至高。

まあ、ある意味では新海イズムの“世界系”ではありますが、そこは「ペンギン・ハイウェイ」「泣きたい私は猫をかぶる」のスタジオコロリド。しっかりとファンタジーな世界観も見せてくれます。

声優陣も、主人公の航祐に田村睦心さん、ヒロインの夏芽を瀬戸麻沙美さんという、いわゆる「ちゃんとした声優」を起用しているのも好印象。まあ、そろそろ製作委員会も気づいたんでしょうね。アニメ映画に、へったくそな棒演技俳優を起用したところで観客動員にはつながらねえってことに。

文句のつけようがないです。うん。なんというか、鼻の奥がツンとなるような、遠い昔の置いてきたノスタルジーを思い出したような、そんな素晴らしい映画だったと思います。

うん、これ、僕は好きですね。

僕はネトフリで視聴しましたが、できれば劇場でご覧ください。
{/netabare}

投稿 : 2022/09/18
閲覧 : 115
サンキュー:

7

ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

SOSの涙を君に。

「ノスタルジアは危険なものです。郷愁をそそるものに進歩はありません。サッカーはつねに前進していくものです。今日のサッカーよりは明日のサッカーの方が向上しています。人生も同じです」
――――イビチャ・オシム





公開日当日、早速観てきました。まずはこの素晴らしき劇場アニメを映画館で観れた事について、深く感謝申し上げたく思います。
今年はどうも昨年と比べて心に響かないアニメが多く、2022年もこのまま終了、例年稀に見る不作の年かと落胆していた矢先の事。そんな僕に待っていたのは、過ぎ去りし郷愁と過ぎ去らない愛情に情緒が流れ落ちていく涙の劇場映画でした。待望していた作品が期待以上の出来に仕上がっていた事、大変嬉しく感じております。本当にありがとうございました。


さて、予め申し上げておくに、この『雨を告げる漂流団地』は決してお気楽気儘な夏休みバカンス映画ではありません。「鴨の宮団地」(別名:「おばけ団地」)と言う名の航祐と夏芽の想い出に殺される事なきサバイバルを始める、小学6年生少年少女の諍いと葛藤、葛藤からの諍いが所狭しと詰まったアニメです。喧嘩はするわ、怪我もするわ、命を落とす危険に陥る事も少なくなく。その過程は思わず目を背けたくなる程の苦しさと切なさで満ちています。
数多溢れし漂流モノが、人間関係の構築や心の遣り取りに主軸を据えているのと同様に、本作もまた誰もがそれぞれ個性を抱えながら、決して一辺倒に留まらない小学生の魅力で紡がれておりました。対立する見解と真っ向から議論しなくてはならなかったり、思い遣りとして放った言葉が相手を傷つけてしまったり、心で強く分かっているのに体が上手く反応しなかったり……人によっては観ていてかなり辛くなる作品かもしれません。
ただし、それは「決して『嘘』のままで終わらせない」と言う制作側の決意表明でもあると感じます。言い争いや取っ組み合いによる擦れ違いを踏まえたからこそ、誰1人欠けては至れなかった結末の深みを本作では見事に描いており。だからこそ久し振りに、キャストの方の演技そのもので涙を流してしまいました(「これはやられてしまったな……」と、正直強く思わせてきた始末)

そんな感涙を与えたと言う点において、彼と彼女に触れない訳には参りません。熊谷航祐と兎内夏芽。本当に完璧なキャラクターであり、配役であったと、切に痛感しております。
所々で弱さを見せつつも、只管強気の振る舞いを見せる夏芽に切なさと虚しさが込み上げ。そんな彼女を陰ながら見守っている航祐の悔しくも遣り切れない感情に、気が付くと至極共感しておりました。
無理に大人にならざるを得なかった子供程、切なくも虚しい境遇はない。傍から観ても無理している事が分かるのに、どうする事も、どうしてやる事も出来ない鬱屈とした苦しい感情。要所要所で挟まれし過去の記憶がアクセントとなって襲い掛かってくるからこそ、団地生活再開からの彼等の心の変遷と葛藤には、感情が甚く締め付けられます。
SOSを発するあの娘に応える事が出来なくて。でも真摯に彼女を大切に想い考え行動したいと願って過ごした時間があり。しかし小心者の自分には勇気が出なくて出来なかった、確かな過程も其処にはありました。そしてそんな悲哀へ浸ってしまったからこそ、支離滅裂で片っ端から言いたい事だけ打ちかます名演技の妙に心は強く動かされ、感情の渦へと呑み込まれていくのです。

「俺はやっぱりこんなオンボロ団地嫌いなんだよ! お前隠れて泣いてたのに知らねえ振りした事思い出すし、そういう俺を殴ってやりたくなるし! だし……俺ん家とお前は関係ねえとか言っちゃって関係大アリじゃん……! お前は土足で上がってねえんだって! 此処は立派なお前ん家だよ、でももう捨ててかなくちゃいけねえんだよ! だってお前と一緒に帰れねえじゃん! のっぽなんかより俺の方がなあ! 夏芽と一緒に居たいんだよお!!」

今年出たアニメーションの中でも上位に君臨する珠玉の名シーン。この支離滅裂で前後の文脈の繋がりも無い、只々夏芽への想いだけを放った発言にどうしてここまで心震わされるのか。それは彼女と共に歩みたいと願った少年に感情移入出来たからこその賜物であり、彼が勇気を見せた事で紡がれし格好良さが見事発揮されていたからでありましょう。
航祐の想いに触れた夏芽は、初めて人前で涙を流します。それは「もう嘘をつかなくてもいい」事に触れた証明の涙。彼との約束を裏切ってしまったが故の懺悔の涙。そして、自分が「いなくなった方が良い存在ではない」と心で理解した故の安堵の涙に他ありません。彼女のSOSは、1番気にしていた彼の元に届いていた事を知ったのです。「嘘」で彩られし物語が「現実」と感じられるようになった瞬間。夏芽と同じく此処で僕も我慢が出来なくなったのは、最早言うまでもない事でしょう。


子供の頃には分かっていなかった事が大人になって分かると言うのは、いつの時代もどんな場所でも、往々にして存在するかと思います。僕もその限りでなく、肉体年齢上は大人になった今へと至るにつれ、分かった事が多くありました。
大人とは子供が思っている以上に大人じゃないと言う事。子供とは大人が思っている以上に子供じゃないという事。
そして、成長するにつれて色濃く脳裏に現れしノスタルジアは、人の未来を殺す劇薬でもあると言う事です。

振り返ってみて思います。漂流していたのは、果たして本当に団地の弊害によるもの……のっぽだけが原因だったのか?

子供の頃と言うのは「今を生きるこの瞬間」が思い出となる事に実感が湧きません。その点において、郷愁の味を知っている夏芽は皆より早めに大人への階段を上っている事となり、その分、誰よりも孤独だったでしょう。のっぽと2人で来た事もある程には、死の匂いに取り憑かれし彼女は……ずっと孤独だったでしょう。
そんな夏芽が大人びた遠慮をせず、嘘もつかず、本音で子供の頃のままの想い出を語り合える相手が居るなら……淋しさを感じてもきっと「大丈夫」なのです。航祐が居てくれるなら。其処に共有出来る関係があるなら。「死」が近くにある幻想の世界へ逃げずとも、きっと大丈夫なんです。
それは航祐と夏芽が辿り着きし、キラキラしたノスタルジアとの折り合いのつけ方。見方を変えればとても残酷な事に。しかしそれでも乗り越えなくてはいけない別れ。残さなければ朽ちて死んでいく想い出全てに敬意が込められた、いずれ必ず訪れる成長と別れの軌跡です。
死期が近づく大人へとなるにつれ、色濃く脳裏に現れしノスタルジア。しかし、生きている子供達含めた全ての人には、これからを生きる「未来」があります。僕もその先をしっかり歩んでいこうと、心に深く刻み込まれた次第。


前述したように、本作は『小学生男女が織り成す夏のサバイバル漂流記』でありながら、その本質は『苦しくも切ない過去との別れの物語』です。昨今の創作物は態々辛い描写を観たくない視聴者の方にかなり配慮されていると何処ぞの噂で聞きましたが、そんな方々にとっては観ていてかなり辛くなる作品でしょう(僕も正直、観ていて本当に辛く苦しく虚しく切なかったです)
しかし最後まで観届けるにつれ、僕の中ではそれに付随した価値を見事戴けたように思います。それは彼等と共に過ぎていく時の中、取り残されしノスタルジアを内に秘めていたからこそ出会えた奇跡。「郷愁に浸る」……何故「郷愁とは水と同じく『浸る』ものなのか?」疑問視した事のある幼少期の頃を自然と想起し、其処から数多くの体験と経験に彩られし懐かしさに、上映中は深く包まれておりました。それはこの歳になったからこそ出会えた奇跡なのだと、鑑賞後の今は強く思うのです。


輝かしかった過去を忘れられない。大切な人との想い出を今でも思い出す。ノスタルジアを秘めた大人になれない大人にこそ、本作のシナリオは偏に響きます。
この先の人生を生きていく上で忘れないだろうシーンが幾つも出来ました。その場面達を後になって思い返す度、感極まって思わず涙が零れそうになりますが、本作を観て感じたそれら全ての記憶もきっと、この通り過ぎていく時間の中で、決して色褪せる事の無い大切な「想い出」として昇華されていくのでしょう。あのラストシーンの幻影のように、それは切なくもありながら、やっぱりどこか温かい名残を心に残して、天高く空まで飛翔していくのでしょう。


それが今は、凄く嬉しくてならないのです。


さて、最後に改めて感謝の結びを。彼等のように振り返る事の出来る「想い出」を創り上げて下さったスタッフ・キャストの方々に、改めて深く敬意を込めて。想い出を共有した仲間とこれからも仲良く、特に航祐と夏芽はいつまでも仲良く、これからもずっとツートップのまま、ラブラブ喧嘩していて欲しいという未来への祈りも内に秘めて。締めの運びと致しましょう。
2022年9月、漸く素晴らしい劇場アニメーションに巡り会えた事、大変感謝しております。本作と巡り会えて本当に良かったです。本当に、ありがとうございました。



P.S.
鑑賞後にパンフレットを買って読んだのですが「物語の軸がのっぽと夏芽に寄って、航祐は存在感がかなり薄まった、人によっては恋愛に捉えられかねない2人の話の時期」も実は存在していたそうです。
反省済みの石田監督も仰った通り、のっぽと夏芽の物語にならなくて本当に良かったと思います。もしそんな事してたら恐らくぶっ叩いていたと思いますので。



P.P.S.
航祐……「祐」とは「(神・精霊が)助ける」と言う意味の漢字。神・精霊のご加護で以って、彼は航り助けます。
夏芽……漂流団地の夏を芽吹かせる存在。「夏よ終わらないで」

2人共、本当に良い名前ですね。

投稿 : 2022/09/18
閲覧 : 131
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8

Ricky さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2024/02/27
閲覧 : 14

AKIRA777 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2024/01/17
閲覧 : 3

nana さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/07/30
閲覧 : 8

ゆた さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/07/26
閲覧 : 11

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/06/16
閲覧 : 10

おふとん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/12/17
閲覧 : 14

ネムネムサラダ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/11/14
閲覧 : 13

どれっど さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/11/10
閲覧 : 14

クラーリィ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/10/29
閲覧 : 13

老倉育 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/10/18
閲覧 : 17

甘党DX さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/10/10
閲覧 : 14

ねも さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 2.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/10/05
閲覧 : 12

kuronotuki さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/10/01
閲覧 : 15

ぷちぷち さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/09/26
閲覧 : 15

ゆー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/09/25
閲覧 : 13

3mei さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/09/24
閲覧 : 11

KANO さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/09/19
閲覧 : 21
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雨を告げる漂流団地のストーリー・あらすじ

まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。
小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに
取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると、突然不思議な現象に巻き込まれ――
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
はじめてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。

泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?
果たして元の世界へ戻れるのか?
ひと夏の別れの旅がはじまる―(アニメ映画『雨を告げる漂流団地』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2022年9月16日

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