「劇場版 ガールズ&パンツァー(アニメ映画)」

総合得点
79.2
感想・評価
891
棚に入れた
4536
ランキング
505
★★★★★ 4.2 (891)
物語
4.1
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.2
キャラ
4.3

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ネタバレ

sekimayori さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「楽しい!」が目いっぱい詰まった、愛すべきおバカエンタメ【84点】

戦車萌えガールズゆるスポ根アニメ、劇場版。
今月頭にやっとこさ4DXで体験してきました。
映画館で観るファンムービーかつアクション娯楽大作としては、圧倒的なテンションを誇る快作です。


一部で大流行した「ガルパンはいいぞ」。
「どういいのか語ってくれよ……」なんて思いながら観に行った私の感想なんですけど、すみません、やっぱり一言で終わるんだわ。
「ガルパンは超楽しいぞ」、これです。
私はさほどTV版にのめり込んでなかったのだけど、劇場では2時間強、終始表情筋を緩ませてしまってました。
ポップコーン食べてた学生さん、ずっとニヤニヤしてる不審者が隣に座っててごめんね(´・ω・`)

何がそんなに楽しかったのか。
先にまとめちゃうと、おいしいシチュエーションしか無かったから。
その意味で、私にとって劇場版ガルパンは、TV版ガルパンの完璧な正常進化系でした。
冒頭のダー様の名言()タイムで勝利を確信したのは私だけじゃないはず。
楽しさを支えるものをあえて分解するなら、大興奮の戦車戦、オールスター映画らしいキャラの使い方、それらをまとめる緩急の妙、でしょうか。


まず戦闘について。
ガルパン戦車戦の持ち味は、戦闘条件を活かした奇抜な戦術と臨機応変な対応で強敵を打ち破る、ジャイアントキリングの快。
劇場版でもそれが冴えに冴え、敵の戦術に一旦は飲み込まれても、個々の力で、チームワークで、そして大胆な戦術変更で、逆転に次ぐ逆転を見せてくれます。
ルールがフラッグ戦から殲滅戦に変更になったことで、遊園地という地形(我に返ってみると相変わらずアホな設定だわw)を活かした各個撃破のワンシーンごとの緊迫感もMAX。


次はキャラクター。
100%ファンムービーと割り切ったことで、オールスターキャスト勢ぞろいが実現。
ここで、ぶっちゃけ大洗女子のメンツより他校のライバルたちを印象的に描けていたTV版の積み重ねが活きます。
{netabare}大洗女子や知波単に対する保護者っぷりが「陽気なアメ公」を超えて「昭和のおふくろ」と化したケイ、優雅に自己犠牲に散る毎度美味しい役回りのダージリン、悲しみを背負い(?)駄々っ子から一人立ちするカチューシャ、そして最終局面で妹を信じ手荒に送り出すお姉ちゃん……。{/netabare}
他方、大洗女子メンバーに関してはさりげない成長の描写が多くて、地味に心を打ちにくる。
TV版から一貫する一年生組の成長劇、生徒会チームの連帯感、戦車道においても頼もしさを獲得したバレー部の自信etc.、これまたあんこうチームが霞むレベルで印象的。


そして、刻一刻変化する戦況とキャラの立ち回りのシンクロを統制するのが、視聴者に胸焼けを感じさせない、緩急の妙。
なんてことはない、燃えるシーンの後には萌えるシーンを、泣けるシーンの後には笑えるシーンを、という緊張と弛緩のバランスを徹底しただけなのです。
ただそのバリエーションとして、キャラのやり取りだけでなく、戦闘描写自体で萌えや笑いを感じさせてきやがるのが、ガルパン劇場版のニクいところ。
{netabare} 水面を飛び石状態で走り抜けるカルロベローチェとか、すべてを蹂躙する観覧車センパイとか、脱力しつつ状況自体に萌えるしかないだろw {/netabare}
また、設定の邪道さと物語構造の王道さのズレが、いろんな感情を一気に掻き立ててくるのもずるい。
{netabare} カチューシャを庇うプラウダ勢のシーン、笑いと涙が一気に出てきてテンションがわけわからんことになっていました(撃破されても誰も死なず、ピョコって白旗上がるだけなんだよねw)。{/netabare}
超絶おいしいシチュエーションを胃にぶち込まれ続けても画面から目が離せない、ずっとにやける、そんな半トランス状態に持ち込まれて、劇場を出るころには体力ゲージが尽きかけてたのもいい思い出……


もちろん本作は、完璧な作品ではありません。
9割5分シチュエーションだけで作られたようなストーリー性の希薄さ、リリカルなキャラの掘り下げ方の徹底した排除(個人的に12話の連続アニメとしては好きな姿勢じゃないけど、短時間の劇場版アニメならOK)は、人によっては好みじゃない割り切り方でしょう。
私も、知波単、継続勢や愛里寿ら新キャラの描き方はギリギリだなぁと思います。
一方で、少なくとも私が本作に期待したのは、一瞬一瞬の熱さと楽しさを最大限に届けてくれることでした。
「んなバカなw」と「うおおおおおお(興奮)!」が同居するTV版の美徳を研ぎ澄ませた、肩肘張らずに最高にニヤニヤできる、ひたすら楽しいお祭りムービー。
過去のライバルたちや成長した仲間との共闘と言う王道少年漫画最終盤の胸アツ展開と、荒唐無稽な設定の上で戦車が暴れまわる視覚的・聴覚的な快楽の洪水。
ストーリー?知るかそんなもん!
ガルパン劇場版は、そんな個人的な要請に120%応えてくれた、愛すべきおバカエンタメでした。
「ガルパンはいいぞ」の声が私まで届いてきてくれたこと、感謝します。


蛇足だけど、完全にファンムービーなのに新規勢にも大ヒットしたのは、「おいしいシチュエーション」の共通理解を皆が持ってるから、なのかもしれませんね。
自分の触れてきた作品のデータベースを参照して、今が泣いたり、笑ったり、熱くなったりできるシーンだとわかるから、キャラが初見でも楽しめる。
文化ってこういうところでも共有されてるんだな、なんて思うのはかっこつけすぎでしょうか。


【個人的指標】 84点

投稿 : 2016/06/24
閲覧 : 363
サンキュー:

18

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