「未来のミライ(アニメ映画)」

総合得点
65.5
感想・評価
228
棚に入れた
862
ランキング
3221
★★★★☆ 3.2 (228)
物語
2.9
作画
3.8
声優
2.9
音楽
3.3
キャラ
3.0

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

痒いアニメ。

【概要】

アニメーション制作:スタジオ地図
2018年7月20日に公開された劇場版作品。
監督は、細田守。

【あらすじ】

くんちゃんは甘えん坊な4歳の男の子。
出産を終えて退院したお母さんが、赤ちゃんを抱いて家に帰ってきた。

妹の未来(みらい)ちゃんは0歳児なので、
壊れ物を扱うように凄く大切に大切にしないといけない。

お母さんもお父さんも、赤ちゃんである妹にかかっりきりで、
寂しさとイライラで妹にイタズラをしてしまって、
お母さんに鬼のように怒られてしまう。

こんなふうに、くんちゃんは問題行動を度々起こすのであるが、
そのたびに、飼い犬のゆっこが擬人化してくんちゃんに話しかけてくる、
未来から中学生に成長したミライちゃんがやってくて文句を言ってくるなど、
数々の不思議なことが起きて、ひとつひとつの事件が、
くんちゃんの幼い心に何かを残していくのだった。

【感想】

アニメに登場する子供は見た目が非常に可愛らしく、
思わず抱っこしてお小遣いをあげたくなるような性格が良い子が多いですよね。
ワガママを言っても反抗的な態度をとっても、
拗ねてる顔すら可愛いらしく、ワガママさでもニヤニヤ出来る。

でも、二次元の子供は大人によって理想化され、
萌えによってコーティングされたデザイナーチャイルド。
自分もそれで楽しんでいることもありますが。

リアルの幼児って大人に接するのと同じ反応を期待できないですし、
親の言うことをあまり聞いてない。それが成長段階ということですけどね。
好奇心の赴くままにあっちへフラフラ、こっちへフラフラ。
叩かれて叱かれて泣きぐずっても、言われたことをすぐに忘れる。

一通り説明されたあとで『わかった?』言われても、
なんで自分が酷い目に遭わされているのだろう?と泣き腫らした目で沈黙を続けて、
『返事をしなさい!』『ハイ!は?』と怒られる。
親も叱り終わったら抱っこしてあやしたりするものですけどね。

やたら臭うし鼻をかませないといけなかったり、
そんな子育てストレス要素を持ち込んだのがこのアニメ。

細田守監督は自分の子育て実体験を参照に、
子供の可愛い部分も嫌な部分も隠すこと無く等身大目線で表現したかったみたいですね。

そして子育てあるある話を、ファンタジーで味付けした微笑ましいアニメとして、
親子で楽しんでほしいと思って作った夏休み映画。

ふしぎ展開の積み重ねのオムニバス形式の構成となっているのですが、
エピソードごとにちょっと成長したように見せかけて、
次のエピソードでは毎度毎度癇癪を起こす、くんちゃん。

それを見て楽しめるかは、ちょっと疑問なのですけどね。
もしイラッとすることがあれば、現実でムカつくのと同様に、
登場人物の気持ちがよく表現されている証明でもありますが。

他人事として見れば、ファミレスで大声で泣きわめいて、
周りの客の食事の迷惑になる子供のような煩わしさではあるし、

子育て経験があるものから見れば、なんで他所様のピリピリした家庭内喧嘩を、
何度も見せられなければいけないの?となりがち。

それを笑って見るためには、くんちゃんの数々の小さな狼藉を我が子のことのように、
『子供だからしょうがない!』と寛容の精神で見守るのが重要なのですが、

くんちゃんの声が全く可愛くないがために、私はくんちゃんが“好きくない!”という問題が。

もともと10歳までの子役からオーディションで選ぶつもりだったのが、
妹の中学生ミライ役でオーディションを受けに来た当時高校生だった女優の上白石萌歌を、
細田監督が、犬の鳴き声演技が気に入ったとの理由で主人公の4歳児役に採用。

“下手”“子供の声に聞こえない”と評されている、くんちゃん役のお芝居ですが、
演出として演技として故意にイラッとする声質をやらせたのかな?

そうでなければ、細田守監督の感性がひとより変わってるような?
着目点がひとと違う点が演出家としてのセンスに繋がっているのかもしれませんが。

『ばらかもん』での小学一年生・琴石なるが、放映時には9歳の子役だった原涼子のお芝居で、
とても魅力的だったのと比べて声で不評な当作品をみると、
アニメって理屈だけであーだこーだ言うのだけじゃなくて、
感覚で気に入る気に入らないって本当にあるのだなと思ったり。

くんちゃんだけでなく、両親も両親で子育てに振り回されながらガミガミガミガミ言い争ってる。
そんな不完全で欠点だらけで未熟な一家(細田監督一家がモデルっぽい)だけど、
小さな日常を積み重ねながら少しずつ未来へと進んで元気でやっています!
みたいな自己弁護っぽさを視聴者である他の家庭にも共感してほしいのかな?というアニメでしたね。

個人的には、あまり称賛できる作品ではないのですが、カッコイイ曾祖父さん関連のエピソード。
あとは、高校生になったくんちゃんがマトモに育ってたのだけが良かったかな?

何が表現したかったの?というと監督の自己満足的な要素が強めであったり、
幼児としては不自然な言葉遣いがあったりと、シナリオ面で不足がありながらも、
前作『バケモノの子』より見せたいものがまとまってはいますので、
それなりには見やすく楽しめる作品でした。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2020/04/17
閲覧 : 311
サンキュー:

36

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