カーチェイスアニメ映画ランキング 3

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のカーチェイス成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月14日の時点で一番のカーチェイスアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

67.5 1 カーチェイスアニメランキング1位
LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標(アニメ映画)

2014年6月21日
★★★★☆ 3.9 (155)
837人が棚に入れました
今回の主役は孤高のガンマン・次元大介。ターゲット奪取作戦、強敵との対決、そしてルパンと“相棒”になっていく男の生き様を、ハードボイルドかつダンディズム満載のアクションで描く。
秘宝「リトルコメット」を狙い東ドロアに潜入したルパン三世と次元。東ドロアは自国の歌手クイーン・マルタが、隣国・西ドロアで暗殺され、この事件を契機に、西ドロアと一触即発の緊張状態が続いていた。「リトルコメット」奪取に成功したルパンと次元。だが、逃走中に次元が狙撃されてしまう。次元を狙ったのは誰か?

声優・キャラクター
栗田貫一、小林清志、沢城みゆき、山寺宏一
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

あばよ、次元

小池健監督作品、原作モンキーパンチ。
ハードボイルドな大人のルパン。
キャッチコピー「あばよ、次元」

舞台はヨーロッパ、
東西に分断されているドロア。
秘宝「リトルコメット」を狙い、
東ドロアに潜入したルパンと次元。
歌姫クイーンマルタが西ドロア領内で暗殺され、
両国は一触即発の緊張状態が続いている。

ルパンと次元、まだ出会って間もない頃の話。
ハードボイルドへの原点回帰。
世界観が徹底されていて気持ち良い。
コントラストを強調した絵が素晴らしい。
シケモク、ボルサリーノ、コンバットマグナム。
粋なガンマンの浪漫が詰まった作品。

次元らしいセリフが聞けて嬉しい。

ラストはファンサービスでしょうか。
{netabare}有名なあのキャラ出て来ますよ。{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 39

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

『~峰不二子という女』から『1stルパン』へ・・・新シリーズ幕開けの序章か!?

2012年春期に27年ぶりのテレビシリーズとして放送された『~峰不二子という女』でキャラデザを務めた小池健が監督
監督とは『REDLINE』でタッグを組んだジェイムス下地が音楽を担当


物語の7日前
緊張関係にある隣国に平和活動のため訪れていた歌姫、クイーン=マルタから個人的にボディガードを依頼されていた次元大介
だが彼女は凄腕の殺し屋、ヤエル奥崎によって狙撃され絶命してしまう
謎に包まれたプロフィール、やけにフォーマルで奇妙な出で立ち、サイコロで出た目に従って殺害までに使う弾数を決めるという銃の腕前
ヤエル奥崎がクイーン=マルタの次に標的したのは、なんと次元大介だった・・・


原作漫画や『~峰不二子という女』の作風を意識し、現代ではなく1970年代が舞台
お馴染みのテーマ曲は流れずハードボイルドなストーリー、アダルティな描写、グロテスクな描写が絶えず、とにかく人がバンバン死ぬアクションスリラー的な要素も含んでいます
みどころはガンマン同士の対決ってことでモチロン銃撃戦
アルファロメオGTVとマセラティ・ボーラのカーチェイス
それと【ぬるんぬるんのローションの中でもがく“全裸”の不二子ちゃん】(´∀`)b
ルパンシリーズというよりは『~峰不二子という女』がお好きだった方には特にオススメしたい1作です
かくいうオイラも前作がとても好きだったので今作には満足b


前作では本筋と並行してルパン一味の出会いが描かれていましたが、今作では「次元、死す」等と大袈裟なキャッチコピーを掲げておきながら、ルパンと次元が如何にして“相棒”となったのかが描かれるバディものとなっております
ちなみに五右ェ門は出ません


原作や初期シリーズに習って、表立って社会に報道されている“悪”の裏には必ず“真の悪”が潜んでいて、それらとルパンが対峙する・・・という単純なストーリー
オチが『007』的なガジェットってのは良い意味でも悪い意味でもルパンらしい
しかしながら25分×2の短い時間の中でよく魅せてくれたものだと拍手です
尚且つラストに待ち構える“ある男”の登場によって
『峰不二子という女』

『次元大介の墓標』

「初期ルパン作品」
という時間軸を成立させ、旧作シリーズファンへのサービスもこなしてみせました
(ココで言う「初期ルパン作品」とは監督が『1stルパン』と明言してますが、今後ありうるやもしれない旧作のリブートという意味でしょう)
今後は『VSコナン』のようなファミリー向け路線と並行して、こういったアダルティーな新生ルパン三世シリーズも展開していくと見受けられます


しかしまぁ、単館1週間限定上映ってのはいくらなんでもナメてる気がしましたけど;(延長はされましたが・・・)
これはOVAなのか?映画なのか?オイラにはワカリマセン┐(´~`)┌


最後に一番のお気に入りのシーン、寡黙で冷酷なヤエル奥崎がやたら美味そうにステーキを頬張る場面が好きですw
久々に画面の中の食べ物にヨダレがw

投稿 : 2024/05/11
♥ : 22

紫煙の心 by斑鳩 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

時の流れは残酷

劇場版『カリオストロの城』以来このシリーズからは遠ざかっていたが
本作『次元大介の墓標』を視聴してみた。
私のとってはルパン役が栗田貫一さんに変ってからはじめてのルパン3世であり
また不二子や今回は出番が無かった五右衛門の担当声優が変ってはじめてのの作品。

TVシリーズ第一作の時、視聴率が振るわず途中からテコ入れとして参加した
宮崎駿が改変して作ったコミカルな宮崎色が強いルパン3世が原型のストーリーに
慣れ親しんだアニメ「ルパン3世」のファンにはとても違和感があるであろう
歴代のアニメ『ルパン3世』とは違いどちらかと言えばモンキーパンチが書いた
原作に近い雰囲気の全編ハードボイルドな物語と渋いキャラデザで
実に私好みの作品でしいた。

作画は手間を掛けたであろう丁寧な仕上がりで、アクションシーは俗に言う
ヌルヌル動く作画と迫力のある画面構成が相まってとても満足できる絵が
良かった。
ストーリーも歴代の作品のように突飛なご都合展開にならないストーリーが
とても満足できるストーリーだったが、いくら次元がメインの物語とはいえ
五右衛門が出てこないのはちょっとさびしいな。

そして本作で惜しむのはキーマンである「次元大介」の担当声優である御年81歳
の小林清志さんの声の衰えかな、本作で次元大介の第一声を効いた時の感想は
「おじいちゃん」としか思えず、しかも滑舌も悪いのでさらに老けて聞こえて
しまっているのは残念。
TVシリーズ第一作製作時に担当声優が変更になった旧レギュラー陣とは違い
旧レギュラー陣の中でも一番古くパイロットフィルムから関わり、ルパン担当
声優だった故山田康雄氏などと作ってきたキャラクター像には敬意を払うが
そろそろ担当声優の交代も考えた方がよろしいのではないかな
事実、不二子や五右衛門、銭形は高齢を理由に交代している。
栗田貫一さんが演じているルパンを始めて見たが、もう代役のルパンではなく
立派なクリカンのルパン3世なっていて、また不二子役を交代した沢城みゆきさん
の演技も他の担当している役とイメージが多少かぶってしまう事は否めない
けど満足できるものでした。

本作は2012年に放映された『峰不二子という女』の流れを汲んでいるらしい
ので、当時はスルーしていたが改めて視聴してみようかと思う。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 16

69.4 2 カーチェイスアニメランキング2位
ルパン三世 ルパンVS複製人間(アニメ映画)

1978年12月16日
★★★★☆ 3.7 (238)
1350人が棚に入れました
一人の男が処刑された。その男がルパン三世であることは、鑑識の結果確実だったが、当然銭形が信じるはずがない。銭形はルパンが埋葬されているドラキュラ城へと赴き、そこでルパンの生存を確認する。銭形はルパンを捕まえようとするが逃げられてしまう。ルパンはエジプトでピラミッドから「石」を盗み出した。それは不二子の依頼だったが、不二子もまたマモーなる人物に依頼されていた。その石は人間に永遠の生命を与えるとの言い伝えがある「賢者の石」と呼ばれるものだった。マモーはルパンを使って不老不死に関する品物を集めていたのだ。しかし、ルパンは偽物を渡したため、マモーに狙われることとなる。

声優・キャラクター
山田康雄、増山江威子、小林清志、井上真樹夫、納谷悟朗、西村晃

keylove さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

昔観たので思い出しながらですが、レビューしておきます。

意外と、深夜アニメとかラノベから入ってる人が多いと思うので、レビューしておきます。

まず、ルパンシリーズは全部観てます。
が、リアルタイムでしか観てないので(カリオストロ以外は)なかなかどれがどれだったかわからないんで、レビューしてないんですよね。

あにこれの評価は低いですけど、それって今の作品に評価が偏っていて、昔のアニメ作品は観ていない世代が多いからかな?って思ったりします。

昔からアニメファンなので、かなりの数を観てますけど、あえてレビューしていないものも多くて、ある意味でそれはもったいないので少しずつ挟んでいこうと思います。

逸れましたが、この作品はキャラデザとかは秀でているわけではなくて、テレビシリーズに近い感じですね。
実際にテレビシリーズすべてを書いている人が手がけているようです。

でも、この物語はなかなか息がつけないと言うか、かなり引き込まれる内容だと思います。
ルパンが窮地に追い込まれるってのは毎回のことなんだけど、これはしょっぱなから急展開(超設定)なので、格段に面白かったです。

それと、この作品のラストは最高でした!
これはカリオストロの次に良かったラストだと思います。

すべてを含めるとこれより上はまだありますけど。


で、ルパンに関しては登場人物の紹介はしません。

サザエさんの登場人物を紹介するようなものなので(笑)

ただ、この時代を完全に黄金時代にした声優さんたちですね。
それは感謝の域に達するはずです。


で、これはちょっと余談ですが、この作品は当時「ルートノベル」という本があって、自分がこの後の展開を選ぶという小説スタイルの書籍があったんですよね。

あれが最高に面白かったんです(笑)

ゲームでルートを選ぶのと同じなんだけど、最悪のルートを選んだ時の喪失感は半端ないものがありました。

今でもあるのか知りませんけど、ラノベとかだとありそうな気もしますけどね。


ということで、ルパンが好きだけど何を観ていいのかわからないな?
って人には一応オススメできる作品だと思います。

レビューというより追憶って感じになりました。
失礼しましたー^^;

投稿 : 2024/05/11
♥ : 17

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ルパン三世史上最高傑作

いままで本作を超えた映画,金曜ロードショーのTVシリーズは無いだろう。本作ほどルパンの良さを引き出した作品は他に無い。
カリオストロの城で見せたようなおじさまルパンの印象とは違い、ルパンの泥棒の美学や、未知への挑戦など本来のルパンらしさが生き生きと出ている。次元と五右ェ門は不二子の事で仲たがいするが、結局は腐れ縁でルパンを助けに行く。
マモーのところへ乗り込もうとするルパンに
次元が「行くな、ルパンっ!」と言ったシーンは良かった。
ルパンの未知への挑戦。銭形のルパンを追う姿。
ルパンと次元・五右ェ門の関係。不二子の謎めいた魅力。
そしてクローンというテーマ。
まさにルパン史上最高傑作と言えよう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 13

大和撫子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ルパンの代表作品

不老不死をテーマとした劇場版第1作目の作品。
面白さは他のルパンの作品が上回るかもしれませんが、ルパンアニメとしての完成度はこの作品が間違いなくNO.1。
ルパンの作品は数多くあるのに、TV(地上波)で毎回再放送されるのは、私の記憶上おそらくこの作品とスタジオジブリが制作した「カリオストロの城」のみ。
この事実がこの作品の需要性を示しています。
まさにルパンアニメの真骨頂と呼ぶのに相応しい作品です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 8

70.3 3 カーチェイスアニメランキング3位
少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録(アニメ映画)

1999年8月14日
★★★★☆ 3.9 (114)
604人が棚に入れました
その独特な世界観と音楽性で大人気を博したTVシリーズ「少女革命ウテナ」。本作品は'99年夏、全国東映洋画系にて公開された劇場版「少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録」。全寮制の名門鳳学園に転校してきた美少年、天上ウテナ。彼の正体は、ある事件をきっかけに、志高く生きる決心をし、その決意から男装するようになった少女だった。鳳学園でウテナはかつての恋人、桐生冬芽と再会する。彼の指には、薔薇の刻印の指輪が妖しく光っていた。それと同じ指輪を手に入れたことがきっかけで、ウテナは学園の生徒会副会長である西園寺と、決闘することになってしまい…。TVシリーズ同様、ミステリアスな展開は健在。ミッチーこと及川光博が声優に初挑戦したことでも話題を呼んだ。

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

アニメ史上に残る美しいキスシーン。ウテナが〇〇〇になるんだよ!という頭おかしい最高なシーン。

 人生の一本を選ぶとしたらみんなが大好きな完璧に近い作品も良いが、スキがあっても自分の魂に決定的に刺さる作品を選ぶ方がより自分の一本といえるのではないだろうか?。


 テレビシリーズの「ウテナ」もまさにそんな作品だったが、それを濃縮した劇場版はより自分には決定的な作品であった。奇々怪々な物語は濃縮されたから、テレビシリーズを見ていなければ間違いなくサッパリわからないだろう。さらにミッチーの起用は正直…な印象である。しかし、美しい物語としての「ウテナ」の要素も濃縮されているので、その感性が刺さる人にはずば抜けた作品です。


 キャラクターデザインはアニメ版より進化し、ウテナの白黒の学ランに短帽というよりとんがった衣装や、メガネ無しのより色っぽいアンシーなど全場面でキャラ絵の美しさだけでもうっとりする程に気合いが入っている。


 そのキャラクターたちが活躍する物語や舞台もまた美しい。最初の決闘シーン、薔薇の舞、鏡越しの別れ、ウテナカー誕生、世界の果てを超える二人、全ての場面がウテナが培ってきたアバンギャルドでありながら他には絶対ない美意識に支配されている。


 特にラストシーンの二人のキスシーンは、恐らくアニメ史上に残る美しいキスシーンだろう。単に美しいだけでなく二人が絡み合って一つの機体となり、偽りの平穏な世界から脱出するというシーンは、テレビシリーズと同じく性を超越した対等な掛け替えのない二人を象徴していてまさにシリーズの終わりに相応しい。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 14

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

TVアニメ版からたった2年…ですがキャラデザはかなり良くなっていると思います。

この作品は、少女革命ウテナの完全新作の長編アニメーション映画です。
完全新作ではありますが、TVアニメ版を視聴してからの方が物語の世界観を含め入り込み易いと思います。そのため、39話ありますがTVアニメ版を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

・ウテナが転校生
・生徒会長である桐生冬芽とは幼馴染
・姫宮アンシーは眼鏡をかけておらず、髪もストレートのロングヘア
この様にTVアニメ版とは若干設定が異なりますが、登場人物の立ち位置や薔薇の花嫁を廻る決闘は変わらないので、すんなり物語の中に入ることができます。

物語の序盤…TVアニメ版のウテナに慣れ親しんできたせいか、ウテナの姿にはちょっとビックリしました。黒の学生服に赤のスパッツ…ピンクのロングヘアが彼女の特徴でしたが、劇場版では学生服が白と黒…これはまだ許容範囲でしたが、一番ビックリだったのは髪の毛がショートカットになっていたことです。あのピンクのロングヘア…綺麗で魅力的だったのに…と思いましたが、ショートカットのウテナも捨て難いのは事実です。

でもデュエリストの姿に変身すると髪の毛はTVアニメ版の様なロングヘアに戻ります。
変身に伴って髪の毛の長さも変わるのかな…と思って視聴していましたが、レビューを書くためにwikiをチラ見したところ、普段はロングヘアをショートカットに編み込んでいたのだそうです。
プリキュアだって変身したら髪の毛の長さが変わるんです…ウテナが変わっても違和感は無いと個人的には思っていましたが…^^;

一方物語の方ですが「革命が再び訪れる…」という表現がピッタリだと思います。
TVアニメ版でも革命は起きました。それについては理解も納得もしています…
けれど、情報が断片的だった事から消化不良感が否めないのも事実です。

でもこの劇場版では、しっかり尺をとって「革命」について描いています。
そのため、TVアニメ版のラストが分かりづらいと思った方もこの劇場版を視聴する事で腑に落ちる事もあるかと思います。

革命を起こすのは決して簡単な事じゃない…
革命は誰かが起こしてくれるものじゃない…だから雛鳥は卵の殻を割らなくちゃいけない…
革命は起こして終わりではなく、むしろそれが出発点にしかすぎない…
革命には決まった形は無い…だから革命の形は十人十色…
これからの道は決して平坦ではなく、荒れた険しい道が続いている…
一人では乗り越えられない壁が待ち受けているかもしれない…
でも…

ウテナは革命のカードを切ります…
それがどんなカードだったのか、気になる方は是非本編でご確認下さい。
「革命に携わった者の大いなる意思…」が感じられる展開だったと思います。

劇中で使われた挿入歌で印象に残ったのは、やはりTVアニメ版のオープニングでもあった「輪舞-revolution」です。やっぱりこの曲…恰好良いです。

約90分弱の作品ですが中身は濃厚で時間が過ぎるのがあっという間でした。
TVアニメ版を視聴された方は一見の価値のある作品だと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 11
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

さぁ革命だ!

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。90分くらいの学園ファンタジー。
 おすすめされたのをきっかけに視聴しました。テレビ版の続編ではないということでしたが、一応5話まで視聴しております。5話で切ったわけではなく、1・2話の段階でストーリーの外観がはっきりしていることと、5話までで序盤の安定期に入っていそうでしたので、映画にシフトしました。非常に面白かったので、テレビ版も継続的に視聴していこうとは思っています。映画版はまごう事なき傑作でした。

 この映画は、キャラクターに関してはわかりませんが、世界観に関してはテレビ版を踏襲しているようです。テレビ版のレビューで書いた説明は端折りますので、適宜テレビ版のレビューもご参照ください。

世界観の概要①(テレビレビューまとめ):{netabare}
 テレビ版で書いたこの作品の世界観をまとめます。

・この作品では、「絶対運命黙示録」、つまりメタフィクションをしたい。
・製作者は、このアニメを「学園モノ」、主人公を「王子様」に決めた。
・主人公は、創作の世界では絶対的な存在であり、創作の世界を自由に革命できる。
・登場人物は、この力を欲しがり、「王子様(主人公)」になりたがっている。

・主人公になっても、変えられないものがある。それはアニメの設定である。
・これを変えるためにはアニメの世界を壊し、現実の世界に行かなければならない。
・これこそが真の革命である。


 製作者が言っている「世界を革命する力」とは、「アニメの世界」を脱し、「現実の世界」へ到達することです。しかし、「アニメの世界」にいることを知らない登場人物たちは、主人公になり、アニメの中を自由に変えることだと思っています。

 つまり、この作品の革命者とは、
  ①主人公になり学園(アニメの世界)を支配する仮の革命者
  ②「アニメの世界」を脱し、「現実の世界」へ到達する真の革命者
という2種類の革命者がいるのです。

 また、製作者が言う革命を起こすためには、
  ①登場人物が「アニメの世界」にいることを「自覚」し、
   「アニメの世界」を壊そうと「決意」する「意識の革命」
  ②実際に「アニメの世界」を壊し「現実の世界」に到達する「構造の革命」
という次の二つの革命が必要となります。
 なお、映画では、「現実の世界」は「外の世界」と表現されていました。
{/netabare}

世界観の概要②(映画内での表現):{netabare}
 「構造の革命」に関する生徒会の革命宣言がなくなってしまいましたが、同じことを示したセリフが散在しています。まずはジュリのセリフから。
  ジュリ「この暗闇の奥は、世界の果てへと続いている。」
     「もうすぐ始まる。革命が。」
     「私は(私を縛り付ける)全てを断ち切るために、この力が欲しいんだ。」

 ジュリは、革命の力は、ジュリというキャラクターを縛り付ける全てのものを断ち切ることができる、と言っています。また、「アニメの世界」は「世界の果て」へ通じており、革命が始まることで「世界の果て」へ到達することを示しています。「世界の果て」を越えた先が「外の世界」です。ジュリ自体は革命の力を誤解していますが、どちらの革命であっても、ある程度「断ち切れる」のは事実です。

 トウガとアキオのセリフ。次のセリフは、「アニメの世界」を説明したものです。
  トウガ「全て王子様を中心に作られた場所なのに、生身の王子様だけがいない。」
  アキオ「生きながらに死んでいられる、あの閉じた世界」

 トウガの「全て王子様を中心に作られた場所」というのは、ここが「王子様」を主人公とした創作の世界であることを示唆したものです。実際、「王子様」決定戦である「決闘」をすることで、主人公の座の奪い合いが行われています。
 また、トウガは、「本物」と表現せずに「生身」の王子様がいないと言っています。「アニメの世界」だからこそ「生身」がないのです。「現実の世界」の生がないために、アキオの言う「生きながらに死んでいられる」世界なのです。テレビ版の「生まれているのに、生れずに死んでいく雛」という概念に対応するセリフです。
 そして、アンシー・トウガ・アキオという死者すらも生きていられる世界、これが「アニメの世界」です。「現実の世界」では有りえないことが、起こりうる世界です。

 アキオは「どうせ行き着く先は世界の果て」だと言っています。彼は、ハイウェイでお城をクリアしたその先から出てくる人物です。アンシー殺害シーン(車の鍵を探すシーン)でも、この世界がアニメであることを知っていることが明かされています。
 彼は、この世界が「アニメの世界」であると「自覚」していながら、革命を「決意」しなかった人物です。そして、「アニメの世界」にいることを選んだ「仮の革命者」なのです。

 彼に対してアンシーは「でも私たちの意志でそこに行ける」と言っています。これは「外の世界」へ行こうとする「意識の革命」の話です。アンシーも元々は「自覚」していながらも「決意」しなかった人物ですが、ウテナに感化されて「決意」をしたのです。
{/netabare}

終盤①ウテナの「自覚」:{netabare}
 終盤で描かれているのは、「意識の革命」がもたらした「構造の革命」です。まずはウテナが「車」に変わる直前から確認してみます。

 ウテナはトウガとの対話により、トウガが死者であることを思い出しました。この世界が、死者でも生きていられる「アニメの世界」であることを「自覚」したのです。

 このあとのアンシーのセリフです。
  「あなたは今、学園の王子様。
   どんな奇跡もどんな永遠もその手に掴める。この世界にいる限り。」
 「アニメの世界」にいるかぎり、主人公であれば、思いのままだと言っています。
 アンシーは、自分が死んでいることを知っています。つまり、この世界が「アニメの世界」であることを「自覚」しているのです。ですが、この世界を壊すことを「決意」せずに、仮の革命者を歓迎しているのです。
 ウテナはアンシーの申し出を断り、「外の世界」へと誘います。なぜ、アンシーを誘ったのか。
 アンシーに「バラの花嫁」というキャラクターを捨てさせることは、この「アニメの世界」にいては達成できないからです。つまり、二人ともが真の革命者にならなければいけなかったのです。ここから先の展開は、ウテナとアンシーの起こした革命です。
{/netabare}

終盤②二人の革命と車:{netabare}
 最初の革命者はウテナです。ウテナは製作者が用意した「王子様になりたい少女」というキャラクターを捨てました。これが「自覚」と「決意」に基づく「意識の革命」です。これにより「馬車を模した車」に変化します。

 ウテナがもたらした「構造の革命」は、非常にシンプルです。「車」になるということは、中世的かつファンタジックな世界を捨て、現代的かつ科学的な世界へシフトすることです。また、「車」が走ることで、「学園モノ」から脱し、ハイウェイに至りました。「車」が馬車を模しているのは、王子様のいる中世的な世界が現代に変わったことへのメタファーです。
 つまり、「中世的かつファンタジックな学園モノ」という「少女革命ウテナ」を作っている世界を、「現代的かつ科学的な現実の世界」へと「構造の革命」を起こしたのです。「少女革命ウテナ」という「アニメの世界」を「車」という存在のみで革命してみせたのが、この終盤の意義です。

 次の革命者はアンシーです。アンシーも少女というキャラクターを捨てました。「車」の運転というのは、男性的であり大人の象徴です。これがアンシーの「意識の革命」です。
 アンシーの革命は、ウテナの革命を押し進めるものです。アンシーの「意識の革命」により、「車」はF1マシンのような形態に変化しました。前輪にあった馬のモチーフが、後輪になりました。ウテナが作った現代的な世界を未来的な世界へとシフトさせたのです。ウテナを近代的として、アンシーを現代的でも構いません。いずれにせよ、もう一段階前進させる「構造の革命」を起こしたのです。

 ウテナとアンシーは、真の革命者となることで、互いにないものを補完しました。
 革命前のウテナは、男性的な振る舞いという特徴を持っていました。
 革命前のアンシーは、人間ではなく所有物であると自ら認識しています。
 革命により、ウテナは物へと変化し、アンシーは男性的な振る舞いを獲得しました。互いに不足している部分を補完し、真の革命者として同質化されたのだと思います。

 なお、「車」の鍵はバラの刻印でした。トウガは「これが俺をここに導いた」と言っています。バラの刻印は、製作者がキャラクターに送った主要人物の証であり、「絶対運命黙示録」の一部なわけですが、それは「外の世界」と「アニメの世界」をつなぐものでもあるのです。
{/netabare}

終盤③革命の結末:{netabare}
 このウテナとアンシーの革命の結果は描かれていません。その答えは明らかです。「絶対運命黙示録」が革命されたからです。革命がもたらしたのは、「アニメの世界」からの離脱と「現実の世界」への到達です。
 「アニメの世界」を描かないのは、ウテナとアンシーがいなくなるです。
 「現実の世界」を描かないのは、私たちの世界(実写の世界)だから描く必要がないのです。

 荒野を走るウテナとアンシーのセリフを引用します。
  ウテナ「これから僕たちの行くところは、道のない世界なんだ」
  アンシー「私たちはもともと、その外の世界で生まれたんだわ」
 「現実の世界」は、「アニメの世界」のような設定もなく、未来も分からない道なき世界です。でも、彼女たちキャラクターを産むことができたのも、この「現実の世界」だけなのです。
{/netabare}

エンディングのキスシーン①アドゥレセンス黙示録:{netabare}
 エンディングは、ウテナとアンシーのキスシーンです。これは「アドゥレセンス黙示録」に関する事柄です。

 「アドゥレセンス黙示録」、カタカナだと分かりにくいのですが、おそらく「adolescence黙示録」です。テレビ版は分かりませんが、少なくとも映画版では、「思春期の恋愛を示す」ことが重要な要素として加わってきているのが分かります。

 この映画で描かれている恋愛模様は、全て異常なものです。サイオンジとアンシーは、人間と所有物。ウテナとトウガは、生者と死者。アキオとアンシーは、兄と妹、などなど。ここに並列されるのが、ウテナとアンシーの女と女、です。
 最も異常性の低いものは、ジュリとミキの女性が年上、でしょうか。現代の価値観ではあまり異常性は感じませんが、「姉さん女房」という「女房が年下であることを前提とした言葉」があるわけですから、やはり異常なものの枠内に入れるべきなのでしょう。少なくとも、ごく一般的な普通の恋愛は皆無だったと思います。なぜ普通の恋愛が描かれなかったかというと、「アドゥレセンス」を革命するためです。
{/netabare}

エンディングのキスシーン②アドゥレセンス黙示録の意義:{netabare}
 「アドゥレセンス黙示録」の革命が意味するところを理解するために、もう一度、「絶対運命黙示録」の革命をおさらいしてみます。
 ◆今の世界が、「アニメの世界」であることを「自覚」して、
  まとったキャラクターを捨てる「決意」をすることで、
  「アニメの世界」を壊し、「現実の世界」に到達しよう、です。

 これを一般化してみます。
 ◆今の世界が、普通の世界ではないことを「自覚」して、
  固定観念を捨てる「決意」をすることで、
  今の世界を壊し、新たな世界を創造しよう、となります。

 これを「アドゥレセンス黙示録」の革命で言い換えます。
 ◆普通の恋愛に基づく世界が、普通の世界ではないことを「自覚」して、
  普通の恋愛を捨てる「決意」をすることで、
  普通の恋愛に基づく世界を壊し、新たな恋愛に基づく世界を創造しよう、となります。
 普通の恋愛を捨てる「決意」を見せるために、異常な恋愛を描き続けたのです。

 製作者は、「アドゥレセンス黙示録」、つまり、この世界は普通の恋愛により成り立っているんだ、と示した上で、「あなた達が思っている普通の恋愛に基づく世界って、本当に普通なんですか?」という問題提起をしているのです。その「決意」を先に見せることで、アニメのキャラクターではなく、私たちに「無自覚を自覚しろ」と言っているのです。
{/netabare}

エンディングのキスシーン③アドゥレセンス黙示録の結末:{netabare}
 恋愛は精神面の問題ですから、「意識の革命」に属するものです。
 この映画では、革命が起こった先は描かれておりません。なぜなら、「意識の革命」とそれによる「構造の革命」が起こってしまうと、「現実の世界」に至る、つまり私たちの問題になってしまうからです。

 このような異常な恋愛がまかり通る恋愛革命が起き、そのような思春期が一般化されると、「構造の革命」は起こるのでしょうか。おそらく「起こる」というべきでしょう。

 少なくとも現代社会においては、LGBTの認知度が上がるにつれ、性転換や同性婚が許容される世界になり、いくつかの国では法制化も進んでいます。その可否はともかくとして、恋愛革命は確かに社会の構造を革命しているのです。そして、構造の革命が起こると、革命前の異常を正当化させる力を持ち、批判を許しません。

 これは今だからこそ「起こった」と言えるものです。当時の製作者がどこまでこれを予期していたかは分かりませんが、少なくとも預言(予言じゃないよ)ではあったのでしょう。「アドゥレセンス黙示録」の先見性は、非常に高いものでした。
 ウテナとアンシーは、異常性愛であるレズを現実の世界へ持ち込むことで、私たちの世界を革命してみせたのです。「アドゥレセンス」の革命を、「絶対運命」の革命により現実化したのです。
{/netabare}

ウテナ・女性像・男性像について。随分長文になってしまったので、駆け足で。

まずはウテナから:{netabare}
 映画のウテナは、その性別に対するニュートラルさが強調されていました。オープニングのトウガとの再会シーンでは、十字架に絡みついたバラが描かれています。これは「女性の死」を描いたものです。男性側にシフトするかと思いきや、サイオンジとのバトルでは「男だと行った覚えはないぜ!」ですから、男と女の両方を否定しています。
 バトル中では、剣を抜くとともに、髪の毛が伸びます。男性の象徴を手にすると同時に女性化しますから、やはり性別に対して中立さを維持し続けます。
 女性側へのシフトのきっかけは、トウガだと思われますが、確定するのは「車」が壊れたあとの長髪全裸のウテナです。王子様のコスチュームを脱ぎ去り、誰が見ても女性になりました。女性ウテナが女性アンシーとキスをして、「アドゥレセンス黙示録」の革命となりました。
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続いて女性像:{netabare}
 この作品の女性像は二つだけです。お姫様と魔女です。お姫様は男性に守ってもらうもの、魔女は男性をたぶらかすものです。
 もちろんウテナはどちらにも該当しません。そもそも女性を否定していますし、サイオンジとのバトルでは露骨にホウキ(魔女の象徴物)を壊しています。
 ウテナが両方を否定しているせいで、両方を背負ったのがアンシーです。バラの花嫁の正体は、お姫様兼魔女で、全ての女性像を内包したものです。男性は当然求めますし、女性は否定したくともこの魅力に贖えません。その反面、象徴化が過ぎるためモノ化してしまい、所有物になってしまいました。この傾向は、アンシーが「車」に乗るまで続きます。自我を持って物から人間になり、女性を捨て男性化することで、バラの花嫁ではなくなりました。
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最後に男性像:{netabare}
 男性像は王子様だけです。本物の王子様と偽物の王子様。
 本物の王子様は、個人的なものであって、一般的なものではないというのが結論のようです。王子様を自称する人は、演じているだけで、偽物の王子様だとされていました。

 偽物の王子様の最たるものはアキオでした。このサイトのレビューを見る限り、アキオの声優である及川光博さんへの風当たりは相当強いようです。私は加点対象にしたんですが…(涙)。
 上手いか下手かと言われると、下手です。超下手です。どれくらい下手かと言うと、聞いているこっちが恥ずかしくなるくらい下手でした。でも、これが良かったんです。

 ほかの声優さんが「声優」を全うしている中、一人だけ「声優」をやっていないんです。現実の声なんです。異様な現実感を生んでいるんです。ハイウェイのシーンで、この現実感を見せられてしまうと、「外の世界」つまり「現実の世界」が確かにこの先にあるような強い説得感を持っていました。
 アンシー殺害シーンもとても良かったです。このシーンは、一般的な王子様なんていないんだ、そんなことを言っているやつは偽物の王子様なんだ、と暴かれるシーンです。この時のヘタレっぷりというか、偽物っぷりが輝いていました。
 「現実の偽の王子様」である及川光博さんが、「少女革命ウテナ」の世界でも「現実の偽の王子様」を存分に発揮してくれました。文句なしの偽物の王子様でした(←褒めてます)。
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 キャベツ畑とか、蝿の王とか、たくさんの黒い車とか、藁人形とか、まだまだ言いたいことはたくさんあるんですが、そちらは皆さんにお任せします。

対象年齢等:
 女性はまず大丈夫でしょう。芸術性が高いので男性も問題なし。年齢的には少し高めの方がいいですかね。性表現ではなく、象徴物の処理の難易度の高さゆえです。
 象徴物が多いからというか、象徴物と暗喩でしか語らないから難しいという作品です。逆に、打開策が見えると芋づる式、という感じもありますけどね。お腹いっぱい。

投稿 : 2024/05/11
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