トラウマで小学生なおすすめアニメランキング 6

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのトラウマで小学生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月26日の時点で一番のトラウマで小学生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.0 1 トラウマで小学生なアニメランキング1位
であいもん (TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (300)
893人が棚に入れました
夢を追って上京するも、父の入院を知らされ実家の和菓子屋・緑松を継ぐこ とを決めた納野和(いりのなごむ)。しかし店には跡継ぎ候補で看板娘の少女・ 雪平一果(ゆきひらいつか)が、納野家に居候をしながら働いていた。 和は一果の親代わりを任されるも、一度は跡継ぎを断ったことを理由に冷た い態度をとる彼女と働くうちに、ある一面を知ることに…。 京都を舞台に心温まる絆の物語。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

コンセプトはいいが「八方美人」でいろいろと惜しい →もっと上を目指せたのでは

【レビューNo.111】(初回登録:2024/3/10)
コミック原作で2021年作品。全12話。
作中で紹介されていた「下萌え」という和菓子をようやく見つけ、食すこと
ができたのでその記念にw

(ストーリー)
老舗和菓子屋「緑松」の一人息子・納野和(なごむ)は、大学卒業後にミュ
ージシャンを目指して家を飛び出し、10年間東京でバンド活動していた。
しかし現実は厳しくバンドは解散、そこに父・平伍が入院したことを知らさ
れ、店を継ぐ決心をして実家に戻る。
しかし、店では雪平一果(いつか)という少女が看板娘として働いていた。
一果は1年ほど前に父親に捨てられ、納野家に居候している10歳の少女。
(常連客の父親に緑松に預けられた後、父親は消息不明となった)
そして一果は、平伍からは緑松の跡継ぎとして認められており、和に跡継ぎ
の座を譲る気はないと宣言するだった。
そんな状況下で和は緑松で見習いとして修業を始め、一果にも父親代わりと
して接するよう試みるのだが・・・

(評 価)
・コンセプトはいいが「八方美人」でいろいろと惜しい感じ
 この作品、コンセプトは本当に素晴らしいなっと。
 ・「和菓子」の世界を季節の変化に合わせ彩よく魅せる
 ・少し水彩画っぽい「和」が映える綺麗な作画
 ・一果という幼い少女のキャラクター造形
 ・家族や店員たち等とのハートフルな絆や様々な出会い
 ・これらを縁(えにし)という言葉がピタっとハマる「京都」を舞台に魅
  せるという――
 そういう意味では、もっと大化けしてもいい作品かなっと思うのですが、
 全体的に「優等生」って感じで小さくまとまってしまっているという印象。
 例えば「和菓子」の世界を扱っている作品って珍しいので、ここにもっと
 重きを置いていれば、作品にも尖った感じがでてかなり面白くなったので
 はと思うのですが、原作者が描きたいのは「縁」や「絆」の方のようで。
 それらもソツなくできているが、あと一歩尖ったものがあればという。
 作品自体はよくできているとは思うのですが、素材がかなりいいので、も
 っとの上を目指せたのではという感じがして、なんとなく「八方美人」で
 留まっている現状が非常に惜しいなと。

・一果のキャラ造形は素晴らしい
 ・10歳の少女らしさが活きる愛らしいキャラデザ
 ・それでいて10歳の少女らしからぬしっかりものキャラ
  → その裏には「役に立たなければ居場所がなくなるのでは」という
    父親に捨てられた時のトラウマが・・・
 ・やはり10歳の少女らしく父親を恋しく思う子供心
  → 時々父親を探しており、京都駅で間違えて和の手を取ったのが2人
    のファーストコンタクト
  → 和のことは邪険に扱いつつも、どこか父親の面影を重ねている
 作品のキモとなるだけに、一果のキャラ造形は本当に素晴らしいなと感じ
 ますね。
 ただ・・・
 ~以下重要ネタバレ~
 {netabare}幼い頃に別居し、現在はフランスで仕事をしている母親が一果の所在を突
 き止め、一果を引き取るために緑松にやってくるのですが、一果の選択は
 「緑松の皆が家族扱いしてくれ、和菓子のことをもっと知りたいから」
 ということで母親との暮らしよりも、緑松に残ることにしたのは、ご都合
 主義が過ぎると感じたかな。
 (とはいえ、母親のことをいつまでも描かないのは不自然なので、やむを
  得ないところではあるのですが。
  それにその辺を突くと、そもそもの「『一果の居候設定』に無理がある
  やろ!!」って話になるのかなw){/netabare}
   
・和のキャラがこの作品を象徴
 一方の和ですが
 ・名の通り場を和ませる独自の空気を持っている
 ・コミュ力が高く、相手の懐に入るのが上手い
 その半面
 ・ノリと勢いに流されがちのお調子者
 ・緑松では見習いということもあり、ポンコツ扱い
 ・一果にも距離を詰めようとするも(表向きは)邪険な扱い
 ということで、和が絡むと良くも悪くもコメディや緩い空気になるんです
 よね。
 まあそこがこの作品の味でもあるんですが。
 ただ個人的にはあと一歩上にいけないのは、和のキャラの影響が大きいの
 かなっと。やはり主人公が締まらないので、ちょっと作品が安っぽく見え
 てしまうというか・・・

「惜しい」と書きましたが、タイトルにこめた思い「であいもん」
 ――京言葉で「食材同士が合わさることでお互いの良さを引き出す、
   取り合わせの良い食べ物」という意味――
からすると、原作者が変に「売れる」とか欲張らず、等身大で描きたいもの
を描いている感じもするので、原作者のお人柄もあり、これはこれでいいの
かも。
いうても、他のキャラは2人に絡んで皆いい味出してるしね。
今のままでも十分な面白さはあると思うので、ハートフルな作品をご希望な
らば、かなりオススメの作品ではあります。
(他のレビュアー達さん曰く、N●Kの連続テレビドラマっぽいというのは確
 かにそうかも)
あと原作は今だ連載中ということもあり、話としては「これからだ」END
って感じですね。
~以下重要ネタバレ~
{netabare}特に一果の父親のことはモヤモヤしたままで終わります。
(まあ正体はバレバレですがw)
また原作では一果は中学生まで成長しているようです。
個人的には「原作買ってもいいかなあ」って悩んでいる感じではあります。
(恐らく2期はないでしょうし){/netabare}

OP「菫/坂本真綾」
・坂本真綾の自作詩に「くるり」の岸田さん(この方も京都の人だなw)が
 曲をつけるという、今でも定期的に聴いている良曲。

(追 記)
・個人的にはなんやかんや感化され、(普段は洋菓子派ですが)一時期和菓
 子に目覚め、「下萌え」以外にも「若鮎」や「関西風月見団子」等作中で
 紹介された和菓子を中心に土産に買って帰ってたなあ(笑)
・「下萌え」も最初お店にいったら、「材料の百合根の入荷が例年より遅れ
 てる」って言われて、「本格的な和菓子っぽい」って逆にちょっと感動w

投稿 : 2024/04/20
♥ : 22

pH さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ただ↑いま〜by一果

さては一果、毎話「ただいま」って言ってるな?

神アニメの中の神アニメ。
一果ちゃん可愛すぎだし和との関係が尊すぎる。いとあはれ。あはれみが深すぎる。
最終話とか絶叫しすぎて呼吸困難で病院に搬送されるかと思った。
とにかく心温まるし和は面白いしぽっと出の小梅ちゃんも衝撃的に可愛いし一果ちゃんはもっと可愛いし…
1話からずっと面白かったな。最高の作品でした。
最も良かった日常系アニメの一つ。
続編来ないと許さない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 11

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゆっくり歩いていこう。

この作品の原作は未読です。
正直最初は視聴するかを迷いましたし、1,2話見ただけでは継続するかの判断も難しいというのが率直な感想です。
ですが、視聴を進めるうちにどんどんハマってしまい、気が付いたら毎週の視聴が楽しみになっていた作品です。


2016年に「ヤングエース」で連載開始。
珠玉のハートフルストーリーコミック「であいもん」が2022年にTVアニメ化!

夢を追って上京するも、
父の入院を知らされ実家の和菓子屋・緑松を継ぐことを決めた納野和(いりのなごむ)。

しかし店には跡継ぎ候補で看板娘の少女・雪平一果(ゆきひらいつか)が、
納野家に居候をしながら働いていた。

和は一果の親代わりを任されるも、一度は跡継ぎを断ったことを理由に
冷たい態度をとる彼女と働くうちに、ある一面を知ることに…。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

知っていましたか?
「であいもん」という言葉自体は、京言葉で「食材同士が合わさることでお互いの良さを引き出す、取り合わせの良い食べ物」という意味を持つんだそうです(wikiより)
正にこの作品のタイトルにピッタリの言葉だと思いませんか^^?

「キャラデザ」や「作画の緻密さ」というアニメーションの技術を、この作品は追い求めていませんし、私たちもこの作品に要求すべきモノではありません。
とは言え、物語に登場する和菓子なんかは、メッチャ繊細に描かれていましたけれど…

個人的見解ですが、この作品で一番大事にしているのは、ハートフルな物語そのものです。
特に日常における人と人の関わり合いや接し方が、本当に温かな視点で描かれているんです。

設定もなかなかです。
一果ちゃんは納野家に居候していますが、どうして居候することになったのか…
まだ小学生なので、親に甘えたい盛りだと思うんです。
それでも一果ちゃんは居候という選択肢しか選ぶことができませんでした。

跡継ぎ候補で看板娘という立ち位置…
それも一果ちゃんが自力で掴み取った実力と周囲からの信頼の証だと思います。
ですが、小学生の女の子の選択肢として、これが最良だったかどうかは分かりませんけれど。

それでも、和が戻ってきて緑松の雰囲気が変わったのではないでしょうか。
和が戻ってくる前のお店の雰囲気は良く分かりません。

ですが、和のノリと勢いは時として人を笑顔にするんです。
時には眉間に皺が寄るときもありますけれど…
和が見習いとして頑張った分だけ周りが温かくなっていったような気がします。
そしてそれを如実に感じているのは一果ちゃんで間違いありません。

でも和の周りにいる女性は一果ちゃんだけではありません。
東京に住んでいた頃の元恋人が、会社を退職して京都にやってきたり、緑松の中にも女子高生のアルバイトがいたりと、これに関しても結構色々あるんですよ。

まだ、現状がしばらく続きそうな予感がしますがどうでしょうか^^;?
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、坂本真綾さんによる「菫」
エンディングテーマは、ayahoと曽我淳一さんによる「ここにある約束」

1クール全12話の物語でした。
今期は心の温まる作品が多いのではないでしょうか。
しっかり堪能させて頂きました。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 26

81.9 2 トラウマで小学生なアニメランキング2位
ぼくらの(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1882)
9779人が棚に入れました
政財界の権力者たちは、「子供たちの契約を解く鍵を探す」という建前の元に、ジアースの技術を研究して産業や軍事に利用しようとする。子供の親たちは、子供を救う方向に世論を動かす為に、ジアースの情報公開を目指して協力し合う。しかしその企ても権力者の陰謀によりつぶされ、子供たちはこの地球からも孤立してゆく。

声優・キャラクター
皆川純子、阿澄佳奈、野島健児、三瓶由布子、牧野由依、能登麻美子、浅沼晋太郎、比嘉久美子、宮田幸季、高梁碧、織田圭祐、井口裕香、杉田智和、保志総一朗、阪口大助、東地宏樹、石田彰

IraIra さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アンインストール

鬱アニメ作品で検索すると殆どのQ&Aに名がでる鬱作品。
途中で諦めないで最後まで見て欲しい作品です。
私はこの作品をすべて見終わった後、2,3ヶ月はこの作品が頭から離れませんでした。しかし1話からの戦いが最終的に無かったことになるようなアニメだったら頭からすぐ離れていったでしょう。そこが鬱アニメ好きにはたまらないのですが…
鬱アニメが好きな傾向の方は平気かと…、見る人によっては結構重いかと思いますので、あまりお奨めできないです。
勝手にジャンル付けするならばロボットものですが、ストーリー自体が独特の世界観に重点しているので、バトルものの様なアクション性は少ないです。OPだけ見るのもありかと。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

解釈することが、できないことのこわさ

■意図的な「雑な死」の表現

 「死」の表現が雑な話には二種類ある。
 単に「人が死ねば悲しいだろう」と思ってあざとい感動エピソードとセットにされて、どかどかと人が死ぬ話と、そもそも「死の瞬間」というのが雑な形でしか到来しないという無意味さを描こうとする話だ。
 「あざとい死」がただの泣かせの安っぽい方法論であるのに対して、「乱暴でちゅうぶらりんな死」というのは死そのものを描くことが話の目的になる。死の表現の雑さ、という点においては両者は同様なのだけれども、「死」に対して物語上の意味が与えられていれば前者のような表現になるし、物語上の意味が意図的に放棄されていれば後者のような表現になる。
 この表現は、決してわかりやすいものではない。
 正確にいうと「わかること」ができない。
 人が死ぬ瞬間、というのは、だいたい、たいした理由はない、というそれ自体を描こうとしているわけだから。

■ちゅうぶらりんな死

 いろいろな思いをかかえていた人間があっけなく、なんの理由もなく、理不尽に、ランダムに死んでしまう。そういうかたちで、多くの場合、死は突然にやってくる。「世界をすくうための崇高な犠牲として死を自覚的に選択できる」などというようなことはまず、ない。「ループする世界のはてから脱出するために死を選択する」とか、そういうことも、およそ幸福で稀な事態であると言ってよいだろう。

 鬼頭 莫宏という漫画家は、そういう、理不尽で偶発的な事件が、突如として悲劇としてあらわれてくるような。そういう事態を繰り返し、繰り返し描いている。そこには、巨大な情熱も、巨大な失望も、抱く間が無い。間抜けな形で到来する。


 鬼頭作品は、そもそもそういうタイプの世界の乱暴さを描く話だった。そういう世界の乱暴さばかりを描いてきた作家の仕事としては、『ぼくらの』はやや丁寧に属する部類の仕事だ。設定がこっていて、「死」を迎えるまでの時間が、ほんの短い時間ではあるけれども、ゆるされている。
 だけれども、やはり、その時間は「ほんの少し」だ。しかも、人生で何かをなしとげた人間の時間ではなくて、まだ何もなしとげていない少年少女たちの時間だ。
 死の前の少しの時間の暮らし方は、やはりどう転んでもぶざまだ。ぶざまで、感情移入をするまでには、時間が足らない。時間が足らない、その時間の足らなさ、こそが不気味な表現になっている。
 彼ら/彼女らのなかにある十分な物語を知る時間もあたえられず、ちゅうぶらりんなまま、人がぼろぼろと死んでいく、そういう乱暴な風景こそが、『ぼくらの』の醸し出す物語の怖さだろう。

 エンターテインメントとしてみてみれば、なるほど、描写は不十分ともいえるかもしれない。映画でいえば、絶対にアカデミー賞はとれないだろう。エンターテインメントとしては、ぎりぎりのバランスで成り立っている。わかりやすくないから。
 だけれども、わかりにくいもの、ばかりが世界にはたくさんごろがっていて、そのわかりにくさの、違和感のようなものを、ごろっと露呈させてみせる、その違和感があらわれる瞬間。そこに何かを感じ取ることが可能かどうか、ということが、鬼頭の書く物語を良いと思うか、悪いと思うかということの評価へと直結するだろう。ある人は、その違和感にたじろぎ、ある人は単に雑なものだと感じるかもしれない。


■セカイの生き死に自体がちゅうぶらりん

 ただ、こうした死の乱暴さそのものは、は実は決して知られていなかったものではない。世界の名作文学でも映画でもいい。あるいは、高名な哲学者の議論でもいい。戦争にいったことがない我々でも、そういう乱暴な死が世界中によこたえていることは知っていた。

{netabare} 『ぼくらの』の特殊性は「個人の死」が乱暴で、いいかげんで、ちゅうぶらりんに訪れるというだけでなく、「セカイの死」自体も、いいかげんで、乱暴で、ちゅうぶらりんな形でしか訪れない、ということだろう。
 この話は、「凡庸なぼくたち」が、セカイを救う物語であると同時に、セカイを滅ぼす話でもある。セカイを滅ぼす理由も、救う理由も、これといって明確な理由はない。サイコロを転がして決めているのといっしょだ。ただ、その過程に、たたかいを挟むから、じゃっかん本人たちの努力が可能なだけで、たたかいをする巨大ロボットが強いかどうか、ということはサイコロを転がすのと何もかわりはない。

 「セカイの成立」自体が乱暴で適当だという想像力は、「生命」自体が乱暴で、適当だという想像力の、さらに先にある、おそろしさをもっている。

■セカイ系作品としての異質性

 いわゆる「セカイ系」作品は、少年少女の憂鬱や、情熱の程度によって世界が救われたり滅びたりする。ハルヒしかり、エヴァしかり、エウレカしかり。
 「ぼくらの」もセカイ系の一種だと考えることはできる。滅びるべき世界/救われるべき世界は、「頑張らなければ世界がほろびる」。だが、そうは言っても、異世界の少年/少女たちもまったく同じ状況におかれているという点で、ロシアンルーレットの弾をこめるような意味においてしか、少年少女の憂鬱や情熱には意味がない。

 「セカイ系」においては、世界の救済や滅亡と、少年少女の情熱が、ダイレクトにつながる、ということが少年少女の「わたしには価値がある」という承認欲求を満たすものとして機能していた。
 しかしながら、『ぼくらの』はそういった構造を完全に逆転している。「わたし」ががんばろうが、がんばるまいが、どこかでセカイは滅び、どこかでセカイは残る。わたしの努力は「このセカイ」に対してこそ、一定の有効性はもつが、努力や情熱はごくむなしいものとしてしか、与えられない。少年少女は、みなロシアンルーレットの弾丸、としてしか役割を与えられていない。

 セカイ系の設定をかりながら、<「わたし」の承認欲求を否定するセカイ系>というごく、無残でみじめな世界を示すことを、あえて提示してみせる。
 鬼頭的な、世界の乱暴さをつきつけるという仕業、セカイ系という少年少女の逃げ場を否定することで、どうしようもなく、成立している。
 おまえらに、逃げ場なんてねぇんだぞ、と。
{/netabare}

■作品比較:『イキガミ』『バトルロワイヤル』

 なお、本作とある程度ちかい設定をもった作品としては、『イキガミ』『バトルロワイヤル』などがあるだろうが、いずれも世界の乱暴さを描くという点においては、『ぼくらの』の足元にも及んでいない。

 たとえば、『イキガミ』は、死にいたるまでの、当人たちの「物語」があまりにもきっちりと完結しすぎており、世界はあまりにも残酷ではなさすぎる。死にはきっちりとした意味があたえられ、物語世界はあまりにも簡単に解釈をゆるしてしまう、安易な「いい話」以上のものにはなりえていない。(そもそも心理描写の水準のだめさや、人間観のバラエティがステレオタイプに満ち満ちていて、論外なあたまのわるさ……ということはあるが、それをさておいても、そうだ。)

 また、『ぼくらの』がもし、失敗しているとすれば、やはりエンターテイメントとして作品をみる、という作法以外に作品を見る方法を知らない読者や視聴者層を大量に相手にするマーケットで作品をリリースしているということだろう。そういう視聴者層には、この表現は単に物足りない表現としてしか届かないケースが多い。つまり、『ぼくらの』は失敗している。作品の内容において、ではなく、売り出し方において失敗している。
 その意味では、エンターテイメントとして暴力表現を前面に押し出した『バトルロワイヤル』のほうが、大勢の人への伝わりやすさという点では、『ぼくらの』よりも世間的なインパクトは獲得できている
 しかし、『ぼくらの』の描く死はどうしようもなく中途半端であるゆえに、『バトルロワイヤル』などよりもはるかに残酷な風景を描いている。我々は、恍惚のうちに死ぬことができない。


■漫画版と比較して

 漫画のほうは、まだ全部はよみおわっていないのだけれども、おおむねアニメ版のほうが、見やすかった印象がある。一話完結である程度、はなしの起伏をつけているので。アニメの方がエンタテインメントとしては優れているだろう。
 エンターテインメントとしてではない、評価としては漫画のほうがすぐれているという人も多いかもしれない。
 わたしは、アニメのほうがやや気に入った。単純に映像もきれいだったのいうのもある。

■関連推奨作品:『パルプ・フィクション』『いのちの食べかた』

 なお、アニメでも漫画でもないが、本作が好きな人にすすめたい作品としては、
 まず映画ではもはや、古典ともいえる地位を獲得しているタランティーノの『パルプ・フィクション』は高い確率でハマるだろう。人が乱暴にしんでいく作品としては、まず多くの人が挙げるものだろうと思う。
 また、私個人のおすすめとしては、ドキュメンタリー映画『いのちの食べかた』をぜひおすすめしたい。『ぼくらの』に続けて、このドキュメンタリーをみたひとは、確実にゾッとする体験をあじわえるのではないか、と思う。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 32
ネタバレ

ポール星人/小っさ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

鬱と言うより泣かせメインの作品。昭和の戦争映画的かも。

点数上方修正します。
いい作品だと思ったし不満もそれほどないので、平均4.0では低すぎかなと思いまして。
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観終えましたので追記

 どうも後半のアニメとしてのアレンジが評判悪いみたいですが、私はそれほど気にはならなかったですね。
私が観たのが休日だったのも有りますが、飽きずに一気に観れましたです。
原作未読の私なんぞは、こういうお話なんですと言われれば素直に受け入れられましたです。原作に比べるとかなりソフトにアレンジされてるとの事ですが、充分救いの無い世界ですね(汗)
もう基本シチュエーションだけで残酷な上に、個々の子供たちの身の上まで不幸な訳でちょっとツラい作品なのは間違いないです。
私的には特にダイチの回とマキの回は泣いちゃいましたね。これは私が親だからってのもあるでしょう。赤ん坊・幼児が絡むとオッサンとしては涙腺がユルユルになってしまうもんで(汗)
 確かに重い話ではありますけど僅かながらも光明射す終わり方する作品でもありますので、それほど鬱だ鬱だと臆することなく観てもイイんではないかと。客引きのネタとして子供たちの死を利用した悪趣味な作品とは私は感じなかったですね。
 但し、個人的には女の子持つ男親は観ない方がいいかなと。
チズの件がちと、ね。
うちは息子だからまだ良かったです(汗)

 ただ、やはり契約してしまった子供達の姿には私は若干の違和感感じましたです。
{netabare}
 勝っても負けても死しかないと言う状況下で、あそこまで狼狽しないなんて達観しすぎじゃないかなと(汗)
ワクとコダマは自らの置かれた状況を把握することなく死んでますから別として、どうも皆13歳らしくない腹の括り方に見えるというか・・・。
ここら辺は個々のシーンをどう観たかと言う個人的な差異はあると思いますけども。
個々の心情描写にムラがあるというか、バックボーンは丁寧に見せる割には戦闘前後の姿の見せ方がアッサリ目な気がします。
13歳の子供が我を失って醜い姿を晒すなんてシーンばかりでは、流石にTV的絵面では無いと言う判断だったんでしょうか?
ここ最近はそういう心理面の描写が巧み且つ生臭いアニメも多い気がするので、今コレをアニメ化したら違ったイメージの作品になるのかもですね。
裏を返せば2007年制作のこの作品には、チズのエピソード以降に関しては散り際の潔さと儚さによる美談として概ね纏めようとしてる作り手側の意図が感じられる気がします。
世間で言われるほど鬱な作品では無いとの感想抱く方居るのも納得です。
私も視聴前は、死を前に泣いてわめいて命乞いをして自暴自棄になる子供達の生き地獄を延々と見せられる強烈な作品と思ってました。
完全に勘違いでしたw
まぁそんなドSな世界にカナちゃん放り込まれた姿は見たくないので、アニメ版位で良かったんだと思います。私的には彼女とダイチの妹が成長した姿だけがこの世界の救いのビジュアルでした(汗)
{/netabare}

人物の細かい描写の不満点とか時系列で?なところが僅かに気になりましたが、アニメ版も単独の作品としての話の収め方も悪くは無いと思います。
子供達主体の中盤までとタモツさんが出てくる辺りの終盤ではなんか別作品みたいな印象も受けるけど、チグハグな印象は無いです。
因みにこの作品も主人公たちの物語は完結するけど、世界の謎の全容は明かされないタイプの奴なので、そういうのがお嫌いな方はスルーした方が良いかも。

どうやら死に対するスタンスが随分と違う様子ですので、機会が有れば原作も読んでみたいですね。

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 以前から観たいと思いつつも、期待していた故に出来に失望したら嫌だなという事で手を付けず。盆の連休だから鬱々するのもいいかなと観始めてみました。
話の骨子は知っているつもりなので、もうしょっぱなから心が苦しいですね。こんな良く言えば悲しい、悪く言えば悪趣味な作品よくも考えたと思います。うちの子はまだ小学校にも上がってませんが、自分の子が・・・と思うとちと抵抗はあるんですよね。
だったら観なけりゃいいじゃんとも思いますが、残酷でも素晴らしい作品なのか否かは自分で感じたいなと思いまして。

 まだ2話しか見てませんが、確かに感情に纏わる描写に違和感有るかもですね。子供でも判るであろう異常なシチュエーションでも異常な程の感情の昂りが有る訳でも無く、ワクの転落に対する狼狽の無さも然り。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 15

63.3 3 トラウマで小学生なアニメランキング3位
しおんの王(TVアニメ動画)

2007年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (142)
879人が棚に入れました
幼い頃に何者かに両親を殺害され、そのショックから事件での記憶と、言葉を失くしてしまった主人公の少女「安岡紫音」。殺害された両親の遺体には、犯人により「将棋の王将」が残されていたが、犯人の意図がつかめぬまま、事件は迷宮入りとなってしまっていた。
 さらに、紫音の両親の殺害された翌日、羽仁真(当時八段)は、神園修から、初めてのタイトル「角聖」を奪取。そして同日、羽仁真の実弟・悟の婚約者であった瀬戸一美が心臓発作で死亡した。瀬戸一美は、事件の数日前に安岡家を訪れ、紫音にも会っていた。これらの事件の重なりは、果たして偶然なのか。

声優・キャラクター
川澄綾子、朴璐美、水野理紗、郷田ほづみ、松風雅也、松本保典、國府田マリ子、中尾隆聖

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

まさにサスペンス

半年前に見た作品。
主人公の紫音が4歳のときに目の前で両親を惨殺された精神的ショックから失声症になるが、最年少でプロ女流棋士となり、活躍していく話。


作画がちょっと怖くて苦手だったのですが(ひぐらし?、神霊狩の作画と似ている???)、その作画と相俟って、両親の殺害シーン、血のりなど詩音の昔のトラウマシーンがちょっと毎回怖い。
ただ、最後まで意外な人物が犯人とわかるまで、一気に見終えたと思う。
ちょっと見終えた後、背筋が凍るかんじだったかと・・・
将棋に関しては、そんなに詳しくなくても見れたと思います。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 18

チヒロ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

本格将棋アニメ!紫苑ちゃんがかわいいw

本格将棋アニメでした。

タイトルの絵が将棋っぽくないのですが、
ヒカルの碁の将棋版みたいな感じかも。

両親を殺されたトラウマを持つ主人公の中学生の女の子が、
将棋のプロを目指し、成長していくストーリー。

よくできていると思う。
OPが糞でしたが、それ以外はとてもおもしろかった。

最後に向けて、徐々に事件の真相が明らかになっていく
ところとかも、とても良かった。

紫苑ちゃんかわいいよ紫苑ちゃんw

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

とうみょう さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

7手で十分

私は将棋なんかに興味はないって人いますね?
でも実は皆さんも常に将棋を指してますよね?

例えば→こうしたら→こうなって→こうなる

↑こんな思考を日常でするでしょ?それが将棋です

ね?指してないとは言わせませんよ!
だから皆さんも立派な棋士ですね!!

では早速始めましょうか!
先手は僕から行きますよ!

それでは、お願いしますm(__)m

先手、とうみょう「このアニメを観てください」

後手、あなた「面白いんですか?」

先手、とうみょう「しおんちゃん可愛いです」

後手、あなた「はぁ?頭大丈夫ですか?」

先手、とうみょう「しおんちゃん可愛いです」

後手、あなた「・・・いや、私の話聞いてます?」

先手、とうみょう「しおんちゃん可愛いです」

後手、あなた「まいりましたm(__)m」

以上、7手を持ちまして、
先手とうみょう初段の勝ちでございます

お疲れ様でしたm(__)m

投稿 : 2024/04/20
♥ : 28

59.1 4 トラウマで小学生なアニメランキング4位
骸なる星 珠たる子 なるたる(TVアニメ動画)

2003年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (207)
865人が棚に入れました
『なるたる』は、鬼頭莫宏による漫画、及びそれを原作としたテレビアニメ。タイトルは「骸なる星、珠たる子(むくろなるほし、たまたるこ)」の意味。
【ストーリー】小学6年生の玉依シイナは小学校最後の夏休みに祖父母の住む島に行き、海でおぼれかけて、星の形をした変わった生き物『ホシ丸』に助けられ出会う。
ホシ丸は少年少女の意識とリンクし、変幻自在の能力を発揮する「竜の子」の一体であった。他の「竜の子」の持ち主(リンク者)との出会いのエピソードを挟みながら、シイナは「竜の子」を用いて世界をリセットしようとするリンク者たちの一派との戦いに巻き込まれて行く。

QMA@MADLAX さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

鬱展開を見せたかっただけのアニメ

大体原作通りに作ってるんですが、ラストは中途半端、唐突、テキトーに終わりました。
ストーリーの根幹である世界のリセット云々は完全に丸投げ。

最後に鬱展開を見せられただけでアニメだけでは結局何を伝えたかったのか分かりません。

原作者作品のキモであるメカ類も動きが少なく作画も雑。

ただキャラデザだけは原作を踏襲した感じになってます。


ちなみに原作読むと分かるんですが、
OPにあるホシ丸がケーキを食べるシーンは設定上絶対にありえません。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 3

bujiharu さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

OP詐欺な最高の鬱アニメ!!

 かの伝説的鬱作品「ぼくらの」で有名な鬼頭莫宏が原作のアニメです。
 ポップで子供向け番組を匂わせるOPで始まるこの作品は、鬱作者が描くだけあって展開はダーク。子供に見せたらトラウマもの間違いなしの作品でしょう。
 この作品のあらすじを書いておくと、主人公である「シイナ」は海で溺れた際、「竜の子」と呼ばれる生物と遭遇。シイナはその生物を「ホシマル」と名付け、後に出会う同じ竜の子を所持する人間との奮闘する、といった感じです。
 私が個人的に最も衝撃を受けたのは11〜13話です。ここを見るまでは絶対に視聴をやめないで欲しいです。最悪この部分を見るだけでも充分この作品の魅力ならぬ気持ち悪さが分かると思います。
 ネタバレになるのでキーワードだけを記しておきます。

試験管 ミミズ水 目には目を歯には歯を

 またあらかじめ鬱加減を知っておきたい場合は以下の動画をおすすめしておきます。
https://m.youtube.com/watch?v=76V4n1GNeXw
 
 

投稿 : 2024/04/20
♥ : 1

お寿司ちゃん さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

作画があまりにもひどい、後半の失速も最悪

クオリティが低すぎて見る必要のないアニメ。

まずは、作画があまりにも酷くて見てられない。
あまりにも歪み過ぎているのと、
人物のかき分けが出来ていないのも相まって、
登場人物が誰が誰か分からなくなる。
(原作漫画で絵が下手なので、仕方ないのかもしれないが)
近年見た作品の中でも、稀に見る酷さ。

また、前半のストーリー自体はいい感じで進むものの、
後半の失速はハンパない。
王道SFファンタジーなり欝展開なり、
どの視点で展開しても楽しめたはずなのに、
ことごとく全てを外して、中途半端。
ここまで自分から支離滅裂にしている作品は、
なかなか見当たらないという意味では貴重。

欝展開にしようとしている割に、
テーマの的を絞らずに、登場人物の心理描写で誤魔化して、
惰性でストーリーを走らすため、
主題が明確でなくなるのがこの原作者の悪いクセ。
無理矢理、主題を抽象的にして、
青少年の過去パターンに戻るベタパターンなので、
結局、とっ散らかった印象しか受けない。
(「ぼくらの」にしても、このあたりがきちんと
整理されていれば、もっともっと名作になりえたと思う。)

う~ん、濃い欝展開やりたかったんだろうけど、
トータル的にもつまらないし、全然ダメなアニメ。

OP曲とDVDジャケは詐欺です。
こんなにいい感じの内容ではない。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 8

77.6 5 トラウマで小学生なアニメランキング5位
若おかみは小学生!(アニメ映画)

2018年9月21日
★★★★☆ 4.0 (156)
727人が棚に入れました
小学校6年生のおっこ(関 織子)は交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する旅館<春の屋>に引き取られることになった。

旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、小鬼の鈴鬼、ライバル旅館の跡取り・真月らと知り合ったおっこは、ひょんなことから春の屋の若おかみ修行を始めることになった。

慣れない若おかみ修行に、毎日失敗の連続…。

「あたしって、全然しっかりしてないじゃん。」

落ち込むおっこだったが、不思議な仲間たちに助けられ、一生懸命に接客していくうちに、少しずつ成長していくのだった!

声優・キャラクター
小林星蘭、松田颯水、水樹奈々、一龍斎春水、一龍斎貞友、てらそままさき、小桜エツコ
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

【酷評注意】是々非々 貶してから褒めてみる

☆制作スタッフ
▼原作:青い鳥文庫(講談社)
▼原作者:令丈ヒロ子
▼アニメーション制作:DLE、マッドハウス
▼話数:劇場版94分{netabare}
▼監督:高坂希太郎
・実績
(監督)
『CLOVER』『茄子 アンダルシアの夏』『茄子 スーツケースの渡り鳥』
▼脚本:吉田玲子
・実績
(シリーズ構成/脚本)
『カスミンシリーズ』『マリア様がみてる 』『けいおん!』『ガールズ&パンツァー』『のんのんびよりシリーズ』他多数
▼音楽関係
主題歌:「また明日」
▼CAST(略)
テレビ版に掲載{/netabare}

☆エピローグ
冗談抜きに酷評します。
劇場版のみの方、テレビ版と劇場版、原作既読と劇場版と様々な立場があると思いますが、私はテレビ版視聴済みの立場でレビューをします。
なお、閲覧の際、本レビューでは、本作ファンの方々の気分を害する可能性があることを特記します。

原作未読
テレビ版視聴済

【本文】{netabare}
辛辣なレビューになるから、本作の劇場公開が終了したタイミングで書くことにした。
先にテレビ版をレビューするか迷ったが、圧倒的に出来が良いテレビ版のレビューより、問題の多い劇場版からレビューすることとする。
タイトルの意味はそういう事である。
テレビ版を視聴した者の立場として素朴に「これ、劇場版《製作》する必要があったのか?」である。

テレビ版の後半クールのEDは劇場版のカットシーンで、劇場版鑑賞に来て下さいアピールが見え見えだったことからも、本作はテレビ版既視聴者をメインターゲットにしているのだろう。
ま、それでも内容が伴えばそれで良しだが、あっさりと言えば劇場版はテレビ版のダイジェストで横手さんの脚本を吉田さんが書き直したようなものだ。
それでも宣伝効果で前評判が高く、連休中の公開初日から数日は確かに休みも続き客入りも良かったそうである。
しかし、その後は失速し、興行成績向上のために有名監督や評論家を動員しての鑑賞批評をネット媒体やマスメディアでキャンペーンを張ったのも、一般鑑賞レビューが増えるに従いテレビ版と差異がないことが世間に周知されるとともに、テレビ版と変わらないなら劇場版の鑑賞は別にしなくてもいいな、となりつつある傾向に製作側が危機感を抱いたからだろう。
それを裏付けるかのように、他のサイトではステマ的なレビューすら散見された。
一部の劇場では公開延長があるようだが、マスコミが宣伝するように人気が高いのが理由ではないだろう。
私が鑑賞したシネマで本作は一番小さい劇場割り当てであり、かつ、公開最終日前日にも関わらず、客入りは良く見積もっても6割程度。
子供客で確認したのは1人だけ。
後は私のようなオヤジばかりの『ガルパン』と似たような客層だw
つまり、フェイクニュースを垂れ流してまで興行実績を残すことに必死なのが本作の現実ではなかろうか。

劇場版とテレビ版の大きな相違は、①交通事故のシーンとテレビ版第1話「おっこ」が旅立つカットシーンの追加②「ウリ坊」登場シーンの変更③美陽登場シーンの変更④「おっこ」の両親を殺した加害者運転手家族が「春の屋」へ宿泊したハプニングエピソードの追加⑤神楽の舞子をきっかけに「ウリ坊」「美陽」「鈴鬼」との別れを示唆するシーンの追加⑥両親との回想シーンの追加⑦「ウリ坊」と「みねこ」(祖母)のエピソード追加拡大といったところだ。

【各論】
<物語の批判点>
(1)前述のとおり、テレビ版視聴前提であれば②を除き「美陽」や「鈴鬼」の登場シーンを焼き直して尺を浪費する必要はなかった。そのまま「春の屋」の幽霊として登場させればいいし、テレビ版未視聴者でもさして不思議とは思わないだろう。
(2)②の「ウリ坊」の登場シーン変更だが、おっこが事故にあった瞬間ウリ坊が救出した設定としている。
その後の物語の展開を考えると「ウリ坊」が「おっこ」の両親を殺して、おっこを春の屋へおびき寄せた「悪霊」ようにも見えてしまう、かなり、疑問を抱いた設定変更だった。
なお、⑦は「ウリ坊」が「春の屋」の地縛霊となった経緯のエピソードであるが、さして尺も浪費しておらず「みねこ」のCVに花澤さんを起用し、ファン層の拡大という意味からも設定すること自体はストーリーの大局上、毒にはならない。
(3)③だが、妹を庇う姉としての登場が劇場版、「秋好旅館」に居場所が無くて「春の屋」に悪戯しに来ていたのがテレビ版、劇場版は「おっこ」と「真月」の出会いと合わせて登場シーンを設定し直しているが、前述のとおり物語に大きな影響を与える準主役の「ウリ坊」と立場が違う「美陽」の登場シーン変更ため態々尺を取る必要はないし「美陽」の境遇を考えるとテレビ版の方が共感する。
寧ろ、劇場版でイメージまで変更する必要はないキャラなのだ。
(4)⑥の演出にも関わらず、両親を失った「おっこ」の子供らしい感情発露の心理描写はテレビ版の方が遥かに丁寧であり上手だった。
劇場版では回想シーンを増やしたにも関わらず、テレビ版より劣ったのは、回想シーンのカット映像と他のエピソードとのジョイントの意味付けが希薄であり、結果、共感に至らなかったこと。
テレビ版のように「おっこ」の心理描写は派手な事故アクションや両親との思い出カット挿入ではなく、独立した尺を取り丁寧に描写をするべきだった。
(5)①の事故シーンだが、作画に関しては迫力があった。
しかし、このシーンの挿入は微妙であり、子供が鑑賞する想定ならショックが強すぎる。
もう少し和らげるか、子供には理解し難くても、続く電車内でハシャグ親子を窓の反射で間接的に眺め、悲しみを堪える「おっこ」の心理描写のメタファーと事故を繋げるメタファー演出と後の④のエピソードとオーバーラップするように繋げた方が作品の「品」が断然向上する。
(6)「真月」のキャラを立て過ぎている。
テレビ版でもやり過ぎではないかと思っていたが、劇場版ではよいよ…?(苦笑)である。
テレビ版では小学生らしい描写があったから救いもあったが、劇場版では彼女の部屋の描写を含め小学生が「哲学」に達観するなど、ほとんどギャグに等しい設定だ。
このため同じクラスメートの「おっこ」とのギャップが更に激しくなり興醒めした。
更にキャラデザがテレビ版以上にデフォルメされたプリキュア状態で見るに耐えなかった。
(7)「真月」もだが「美陽」のデフォルメも激しかった。ただでさえ本作の子供キャラは子供の視聴を前提としたデフォルメ系である。
確かに劇場版では背景美術に拘っただけあって素晴らしい出来だ。
しかし、逆に子供キャラがデフォルメされ過ぎていて、折角の素晴らしい背景に対し著しく浮いてしまうのだ。
『ゆるキャン△』のレビューでも述べたが、作品とは総合的な観点で評価されるものである。
キャラデザの性質を考慮せずに、背景に力を入れても徒労ではないのか。
自動車の精密描写も含めて作品の基軸ではなく傍系に拘っても、単に演出の自己満足にしか見えないのだ。
(8)テレビ版と同じエピソードを劇場版でやる必要性を感じない。
特に「あかね」と「おっこ」のやり取りはテレビ版第2話横手脚本、劇場版吉田脚本と明確に分かれるシーン。
だが「あかね」に説教する「おっこ」に説得力があるのは断然テレビ版である。
何故かというと、テレビ版では「あかね」への説教の以前に両親を亡くした「おっこ」の子供らしい素直な悲しみの感情表現が伏線として丁寧に描写されていたが、劇場版ではこの部分が圧縮され「おっこ」は両親を亡くしたという事実のみで、父親が健在で母親を亡くした「あかね」に説教を垂れただけの説得力の片鱗もない描写になってしまっている。
演出や脚本が「(4)」で述べたような「おっこ」の心理描写は既に済んでいるとしたのか、はたまた、テレビ版を視聴したのであれば深い説明が要らないと判断したのか定かではないが、その程度の描写なら「あかね」のエピソードの意味はなく不要であったし、尺の無駄遣いだ。
(9)これは批判というよりも疑問に近い。
⑤のシーンは本作の「完」を連想させるのだが、劇場版では曖昧な形「暗喩」で表現されている。
テレビ版の最終回を視聴した限りでは2期もあり得る終わり方であり、ネタバレになりかねない⑤のシーンは本当に必要だったのか?
テレビ版の2期はありません!劇場版でシメます!という製作ポリシーがない限り、やってはいけないシーンであったのではなかろうか。
喉にモノがつかえたような後味の悪さである。
(10)「グローリー」とのエピソードも焼き直しでありほとんど必要がない。これも「グローリー」の紹介程度にして、既に「おっこ」とは信頼関係が構築されている前提で劇場版のストーリーを立てれば良かったのだ。
このエピソードを冗長化させたのは、背景に拘った動機と同様に「ポルシェ911タルガ4」の3Dモデリングを観客に自慢したかった演出の自己満足にしか見えないし、本当にポルシェのステマ?wかと思うほどこれだけは良く出来ていた。(ステマをしなくても売れる有名なスポーツカーだけどねw)
本エピソードは物語がもうダメだと考えていた頃なので、ポルシェばかり見入っていた。
欲しくても買えないからねw
それにしても、本作のスタッフは相当カーマニアなのだろう。
現代では非現実的なT型フォードや初代クラウンが現役で花の湯温泉街を走り回っている。
「おっこ」の学校も木造校舎で現代では非現実的なのだが、クラッシックカーも遊び心のあるファンタジーとして許容は出来る。
しかし、ポルシェをあれだけ精密なモデリングとするなら、フォードやクラウンもポルシェと同等の精密モデリングとするべきであり、中途半端である。

以下はどうでもいいことだが、和の風景に合わせたオープンカーなら、マツダロードスターや絶版ではあるがホンダS2000など、国産の名車をプロップとして採用するのもアリではないかな。
「グローリー」のブルジョア生活を強調するのなら、ホンダNSX(23,700,000円)レクサスLFA(37,500,000円)という手もあるし、本作は子供が対象なのだから、我が国の工業技術の結晶である国産高級スポーツカーを採用し、将来の日本を担う子供達にモノ作りの夢を託す配慮があっても良かったと思う。
因みに、本作に登場するポルシェ911タルガ4だが、外観で分かる範囲で推測してみると、LEDヘッドライトが標準装備であるからグレードはGTSで21,540,000円。
ブレーキキャリパーがイエローであるから、オプションのセラミックコンポジットブレーキ(1,545,000円)がプラスされる。

<物語で評価される点>
残念ながら本当に少ない。
(1)ポルシェに乗って買い物に出かけた「おっこ」が事故の記憶を思い出しPTSD症状を起こした点。
これが、批判点(5)で述べた事故のメタファーだが、折角こういう名演出があるのに作品全体の軸として繋げきれていないのである。
(2)④はテレビ版にはないエピソード。
加害者一家が春の屋に泊まったシンクロニシティと、両親を殺した加害者を知った「おっこ」が両親との死別を乗り越えて花の湯での新たなスタートを誓い、明るく前向きに生きようとしていた矢先の実に残酷なシーンだ。
「おっこ」の複雑に絡み合った、いたたまれない心理描写は見事であった。
劇場版では実質吉田オリジナル脚本はここだけだが、流石、吉田脚本だと感じたシーンである。

(★は一個0.5点)
物語
★★★★★☆☆☆☆☆2.5
(各論のとおり。)
キャラ
★★★★★★☆☆☆☆3.0
(デフォルメ減点有り。)
音楽
★★★★★★☆☆☆☆3.0
(劇伴はまあまあだが、劇場のサウンドシステムを活かしているとは言い難い。主題歌は記憶に残らなかった。)
作画
★★★★★★☆☆☆☆3.5
(各論のとおり。)
声優
★★★★★★★★☆☆4.0
(テレビ版と一部キャスト変更があるが、大局には影響を与えていない。)

【雑感】
本作は原作も素晴らしく、また、テレビ版は良い出来で一定の評価ができるのに何故こうなったのか不思議でたまらない。
問題の核心はテレビ版を焼き直したプロットにあるのだろうか。
その責任が何処に起因するかと推測するとき、DLEやマッドハウスをはじめ製作委員会が制作に相当関与したと思われる。
おそらく、製作委員会で企画したプロットありきで、コンテと脚本を仕上げた結果が本作ではなかろうか。
つまり、監督も脚本もほとんど関与出来ない次元でプロットが決定している可能性が高いのだ。
原作ではテレビ版以外のエピソードもあるはずだが、テレビ版のエピソードを多用したところをみると、芸術的判断よりも政治的判断が濃い印象を受ける。
国内のファン向けであれば、テレビ版のエピソードよりも劇場版オリジナルの④のエピソードを軸に、テレビ版では触れられていない「おっこ」と両親の平和で心温まる日常、つまり前日譚にも尺をしっかり取り、天国と地獄の如く不幸のどん底に落ちた「おっこ」をより強調することと、若おかみ修業を通して悲嘆から立ち直り成長していく「おっこ」の成長物語とすることが出来たし、脚本吉田さんの起用はこのようなオリジナル性があってこそ生きるのだ。
純粋に芸術的視点で作品を作り込むのなら、テレビ版に左右されず、一からプロットを考えるはずであるが、本作はそういう構成にはなってはおらず、国内のファン向けではなく「アヌシー国際アニメーション映画祭出品」審査員向け作品と考えるのが妥当かもしれない。
審査員は恐らくテレビ版を観てはいないだろうから、相応の評価は受けるだろう。
本作ファンの一人として、可能であれば、マッドハウスのエースいしづか監督を起用し、吉田さんとコンビで作品を作り直してもらいたい気持ちだ。

高坂監督はマッドハウスで活躍し、ジブリ作品も参加経験が多く『風立ちぬ』の作監も務めた有名なアニメーターではあるが、業界キャリアに対して監督経験はそう多くないし、テレビ版のマッドハウス増原監督やDLEの谷東監督とは違いフリーだ。
この状況で劇場版の監督を依頼された経緯を考えてみると、公開されている事情の他、本作はアヌシー祭出品に向けて、カンヌ経験があり、ジブリ作品を手がけていることから国際的に名の通る監督の起用が政治的に必要であったのだろう。

なお、公式の高坂監督コメントに、本作はマルクスの世界観【下部構造が上部構造を規定する】で表現したとのコメントがあるが、本作を鑑賞した限り、テレビ版のシーン流用で独自性発揮の制約もあるし、また、演説でもない限り94分程度の映像では弁証法的唯物論のフル展開は厳しいだろう。
穿った見方をすれば小学生が労働する様は『蟹工船』的とも言えるが、本作はプロレタリアの悲惨さを強調し階級闘争を求めたものではないことは皆様御承知のとおり。
また、実際、本作はそのような組み立てにもなっていない。
ゆえに、誰かが本作を高く評価したといっても、それはコミュニズムへの感化とは無縁の出来事であると、あえて釘を刺しておく。
ま、あのコメントは当然好ましくはないが、監督本人の思想がマルキシズムに立脚しているという程度の意味だろうから。{/netabare}

率直に本音を述べれば、本作を鑑賞した後の気分は詐欺にあったときと似たような感覚だった。
テレビ版を視聴済みなら、あえて1,500円を支払い鑑賞に行く必要は感じられないし、いずれ「Amazonプライム・ビデオ」にエントリーされるだろうから、それを待って視聴しても良いと思う。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 43

てっく さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

全てを受け入れるという事の難しさと大切さ。

ふらっと唐突に映画館へ行きたくなり視聴。
原作を知らなかったので、タイトルと立ち絵を見た時には『大人が一人で観ても良いやつなのかな?』と思いましたが、公開されてから時間が経った遅い時間帯な事もあり、大人の方々が数名居るだけでした。

<あらすじ>
両親を事故で無くした『おっこ(関織子:小学六年生)』が、祖母が経営する旅館へ引き取られる事になる。
旅館へ到着するなり、おっこには幽霊の男の子『うりぼう』が見え、うりぼうの口車に乗せられる様に旅館で若女将として頑張ってみると言ってしまう。
その他にも、仲良くなる幽霊達やクラスメイトで同じ旅館業を営む『ピンふり(秋野真月)』などともドタバタしながら若女将として奮闘するお話。

原作は知らないですが、ストーリーは違和感なく入って来ましたし、内容も上映時間内で上手くまとめられてる作品だったと思います。
そして何よりも、
『大の大人が映画館である大衆の面前で、ほろっとさせられた事』の自分自身に驚かされました^^;
終盤の展開も、観ている時点で何となく気が付きましたが、それでもウルっとさせられたという事は、それだけ“おっこ”の頑張りが素敵なお話だったんだと思います。

可愛らしくも悲しく、でもステキな暖かい作品でした☆

投稿 : 2024/04/20
♥ : 20
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

今期イチの注目株と聞いたので観てみました

テレビ版と原作は触ってません。


以下ネタバレ内に推測上のテレビ版との比較を入れています。
(こんな状態で語るのはおこがましいと思いますが、あにこれに劇場版の感想書いてる人が少ないので一応記載させていただきます。勘違いしている部分があったらその都度指摘してください。詳細を書いてくれる人が現れたら消しますので参考程度で)

{netabare}1スタッフが違う
脚本もキャラデザも監督も違います。つまりはTV版のつぎはぎ総集編ではないということが言えます。

2原作は同じ
オリジナルエピソードではなさそうなので、エピソードの被りはあるかもしれません。

3視点を変えている
これでしょうね。テレビ版は織子が若女将として仕事をする中で、様々な困難に挑み、失敗しながら少しずつ成長していくお話がメインなのかな?{/netabare}
映画版は両親を亡くした織子のトラウマを少しずつ克服して行くところを中心に描いています。

これよりネタバレを含む感想{netabare}
家族との幸せな時間…両親との別れは突然に訪れます。
反対車線に飛び出したトラックに突っ込まれた乗用車。数分前まで会話をしていた両親が亡くなるのを目撃した織子はいったいどれほどのショックを味わったでしょう。
しかし、描かれたのは落ち込んだ様子の無い織子。
おそらくいつもやっているように誰も居ない我が家に挨拶をして離れ、引き取り先の祖母のもとへ向かいます。
移動中は特に両親の話題に触れず夏休みの間だけ親戚の家にお泊りに行くただの女の子のよう。

勿論徐々に両親について話題が出てきますが、
最初は「お父さんとお母さんは生きてる気がする」と言っていました。
幽霊がみれたことも一因なのでしょうか。
現実に目を向けられていない織子。仲居さんが気の毒そうな表情を浮かべますが、織子は気にする様子がありません。
そんな中、母を失ったばかりだという親子が旅館に泊まることとなり、時にお客さんと言い争いになりながらも、親身になってもてなしてゆく織子。
最初はやり場のない怒りを織子にぶつけていた同じくらいの年の子は、織子のやさしさにふれ、たまらず泣いてしまいます。

このあかねという子が布団に潜り込んで泣いてたところは印象深いシーンの一つです。
おそらくあかねさんは同い年の織子が両親を亡くしながらも強く正しく生きているのをみて、恥ずかしさ少々、自分に尽くしてくれたことで愛情を感じ安心して堰をきったのでしょう。
ひとしきり泣いて気持ちに整理をつけたあかねさんは、登場直後のひねくれた感じではなく素直で優しそうな子に変わりました。

続いて登場したのは恋人と別れた直後のお姉さんなお客さん。
織子と意気投合し、織子をドライブに誘いますが、事故のトラウマで震えが出て呼吸も大きく乱してしまいます。
最初は大丈夫でもちょっとした拍子でトラウマが呼び出されてしまう様子は、震災の体験談などで聞いたことがあります。
物語に関わりのないちょっとした仕草ですが、これによって物語のディティールがより細かくなったように感じます。

そして、心の支えにしていた幽霊が徐々に見えなくなっている織子。両親が死んだことも理解できるようになり急に孤独を感じるようになります。
織子役の小林星蘭さんの「置いていかないで!」と泣き崩れる演技、真に迫っていて織子が気の毒に思えて非常に胸が苦しくなりました。
一時自暴自棄になり飛び出す織子にハラハラ。
しかし、これまでの若女将の経験でいつの間にか大人になっていた織子、
事故で正面衝突をした張本人を前に、「私は関織子ではなく春の屋の若女将おっこです(どうぞくつろいでいってください)」と伝えます。
この時の織子がもう、どうしてこの娘はこんなにも逞しいのだろうか。まだまだ小学生だというのに…こんな良い子が…と、我が子の成長を見守る親の気持ちといいますか、そのような感じで胸がいっぱいです。
冷静になれば、菩薩か!と突っ込みを入れたくなるところかもしれませんが、そんな気分にはとてもなれませんでした。{/netabare}

物語の展開はほんとファンタジーです。しかし映像や見せ方のディティールがリアルなのでドキュメンタリーのように錯覚してしまう節があります。
また、両親の死を使った感動ストーリーに一瞬思えますが、最後まで見るとこの作品が織子の成長を描いたものであることがわかります。
この作品は一言で表すことが非常に難しいです。
変なレッテル貼りになっていないかとドキドキしています。

やはり、実際に見ていただくのが良いでしょう。
そして、それぞれ心に感じたことを自分の中で消化していただくのが良いと思います。
私は私の感想を大切にして、さらに読み込んていきたいです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 16

67.9 6 トラウマで小学生なアニメランキング6位
岬のマヨイガ(アニメ映画)

2021年8月27日
★★★★☆ 3.5 (40)
131人が棚に入れました
居場所を失った17歳の少女。彼女が辿り着いたのは、どこか懐かしさと共に温かみを感じさせる、海の見える古民家“マヨイガ"だった。それは、“訪れた人をもてなす家"という、岩手県に伝わるふしぎな伝説。血のつながりがない新しい家族たちとの、ふしぎだけどあたたかい共同生活が、新しい居場所“岬のマヨイガ"でいま始まる――。

テナ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

古いけど色々と良い家じゃん

見に行くか、見逃すかを悩んだ作品です。
でも、せっかくなら見に行こう!と見て来ました。
最初は岬の上にある家が頭上から映し出されるシーンの私の感想は。

森と草ばっかり、景色めちゃ綺麗じゃん、絶壁じゃん落ちたら死ぬ、家の庭めちゃデカいじゃんでしたw

私はユイとひよりは姉妹かと思って居たら違うのですね。
元々は他人同士だった2人をお婆ちゃんが引き取りマヨイガで生活する事になります。

ひよりは両親を居眠り運転の車に衝突され失ってしまいます。
きっと、それが原因?で喋れないのだと思いますが、その辺の説明がなくて……多分。

ユイは両親が離婚して父と二人暮しです。
父は、母が出ていったのはユイのせいだと言います。
挙句の果てに、ユイが用意していたご飯を、いきなりキレだして机から弾き飛ばすし。
自分が辛く当たるのは、全てはお前の為だ!と言う始末……

明らかに、奥さんが出てったのは貴方のせいですよ。って思いました。

作中で私が良いシーンだと思ったのは、ラストのユイが偽物の父に無理やり連れていかれそうになるシーンです。
ユイは父が怖くて何も出来なくて何も言えなくて……ひよりも助けようとするけど何も出来なくて……

でも、ひよりにとって、お婆ちゃんとユイと3人は家族だから、新しい家族を二度と絶対失いたくないから、彼女は声を出す!
両親を失って無くした声だけど、姉を失わない為に出した声……血なんて繋がってなくても、出会って数日でも間違えなく家族で大切だから、守りたいって気持ちから出た声。


後は、お婆ちゃんのピンチに駆け着けた、ひよりが、お婆ちゃんの「自分に出来ることを」って言葉から考えて行動したシーンが凄く良かったです。

さて、作品としては面白いと思います。
原作はもしかしたら面白いかもしれません。
でも、映画で見たら……設定がイマイチ理解しにくかったり視聴者側が想像で補わないとならない点が多すぎる気がします。

キャラの心情のヒントが少なすぎて感情移入が出来にくく、最後まで見ても消化不良って感じが残ってしまいます。
うーん、面白くはなくはないですが……普通くらいかな……

声優さんも余り上手くはないかな?
なるほど、ゲスト声優さんですか……
私はアニメでは物語が1番楽しめるポイントで物語が良かったり、キャラに感情移入しやすければ、あまりも酷くない限りは言わないのですが、物語も中途半端と感じる部分もあり。
そちらが更に浮き彫りになって感じたりもしました。

声優さんで言うと、座敷わらし役で、ナナニジの藤間さくら役をしてる天城サリーさんが出てます。
私のアイコンもナナニジの佐藤麗華ですが、ナナニジのアニメはともかく、ナナニジの音楽も聞くし、計算中も見てて好きなので、その辺も楽しみにしてましたが、セリフ少なっ!w(*꒪꒫꒪)

作中には、座敷わらし以外にもカッパや雪女など妖が沢山出てきます。
実は、私は妖怪が割と好きです。
理由としては父が妖怪などが好きで小さい頃から、妖怪番組やら本やらを見て育ちました。

だから、その辺も気にしてましたが、あれだけ妖怪居て殆ど山火事を消す方に回って出番と言う出番もなくw

面白いのは面白いとは思うし作品のメッセージ性も伝わりはしましたが、オススメしますか?となれば話は変わってくるかな?とは思ってしまいます。
好きな人は好きになれそうな作品かな?と思います。

お婆ちゃんの昔話の語りは面白いしわかりやすかったと思います。
作風をガラリと変えてくるのもいいですねꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

あっ、冒頭の山道の作りもすごく良かったです。
私の母方の実家がド田舎なのですが、山道の再現が凄く良かったです。
後は、落ち葉や枯れ草の種類や葉の色や道の色もリアルで上手く再現してるなぁ〜って少し懐かしい気持ちになりました(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/04/20
♥ : 7

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

マヨイガは、人を取り込む邪悪な魔物でなかった

 避難所でユイが、喋れないひよりと出会い、キワと出会うです。キワが孫として2人を引き取り、人里離れたマヨイガという古民家で一緒に暮らすお話だったです。

 マヨイガというと、「迷家-マヨイガ-」や見たような邪悪な妖魔を思い浮かべるけど、似ても似つかないモテナシガだったです。住む人に尽くし、喜ばせたいと思う自然の精霊??のような存在のようです。

 おかしいと思って警戒するユイだったけど、家族として三人で生活して地元の人たちと仲良くしていくうちに、マヨイガを認めるようになっていったデス。

 ふぃぎっとという妖怪と何気なくコンタクトを取ってるけど、ユイもひよりも何気ないようだったです。キワが、鬼太郎に近いものを持っているです。人と妖怪のつながりも、このお話では面白いものです。
 良い妖怪もいれば悪い妖怪もいるわけで、それが悪さをして対峙することになるのです。キワを思うユイ、ひよりが力を合わすとき、見てのお楽しみになるのです。

 昔話みたいなマヨイガをはじめ妖怪の存在があったです。お互いを大事にしたいという三人の家族として、在り方を見せてくれたどこか心の温まる要素も描いていたと思うです。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 5

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

夏休みの妖怪映画

妖怪ウォッチが下火になってきたはずが、まさかの妖怪映画バブルが到来しましたねえ。
震災後の岩手が舞台という事で、どんな闇の深い映画なんだろうと気構えていましたが、心配していたような事はなく、10歳未満でも安心して楽しめる物語になっていました。良かった。
だからそうだとは限らないのですが、緊迫感は薄めです。大人が見るにはやや退屈に感じる場面がありました。
じゃあ、面白く無いの?
いえ、そうではありません。流石のデイビッドと思えるだけの作画良さがありました。
(マヨイガのCGはもう一歩踏みこんで欲しかったですが)
作画で楽しめるオタクならそこそこ楽しめるんじゃないでしょうか。

投稿 : 2024/04/20
♥ : 6
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