スタジオコロリドおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのスタジオコロリド成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年04月27日の時点で一番のスタジオコロリドおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.8 1 スタジオコロリドアニメランキング1位
ペンギン・ハイウェイ(アニメ映画)

2018年8月17日
★★★★☆ 3.8 (260)
1207人が棚に入れました
小学四年生の少年アオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録する。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、大人になったときにどれほど偉くなっているか、見当もつかない。そんなアオヤマ君は、通っている歯科医院の“お姉さん”と仲がよく、“お姉さん”はオトナびた賢いアオヤマ君を、ちょっと生意気なところも含めかわいがっていた。ある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか…。アオヤマ君はペンギンの謎を解くべく研究をはじめるのだった。そしてアオヤマ君は、“お姉さん”が投げたコーラの缶が、ペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」“お姉さん”とペンギンの関係とは? そしてこの謎は解けるのか?少し不思議で、一生忘れない、あの夏の物語。

声優・キャラクター
北香那、蒼井優、釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹、能登麻美子、久野美咲、西島秀俊、竹中直人

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

史上最高のおねショタSF映画!もりみー原作が苦手な人にこそ観てもらいたい!

『四畳半神話体系』『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』のもりみー(森見登美彦)の新境地を『陽なたのアオシグレ』『台風のノルダ』の石田祐康と新井陽二郎のタッグが描いたジュブナイルSF


とある郊外の町が舞台
10歳にして勉強や研究に熱心な好奇心旺盛で達観した思考を持つ少年、アオヤマ
ある日、海も無い町中に唐突に大量のペンギンが出現したのを目撃する
アオヤマ少年と友人はすぐさまにペンギンの出自を探す探検に出るが謎は深まるばかり
その後アオヤマ少年はその達観視した口調が災いし、クラスメートのガキ大将と衝突してしまう
そのピンチを彼が淡い恋心を抱く近所の歯科衛生士の“お姉さん”に救ってもらう
アオヤマ少年がペンギンの謎を追っていることを知ると“お姉さん”はジュースの缶を宙に放り投げた
すると彼女が投げたジュース缶が突然ペンギンにメタモルフォーゼした
「この謎を解いてごらん、君には出来るか?」
かくしてアオヤマ少年は“お姉さん”とペンギンの関連を探り出そうとするのが…


まず一連のもりみー原作の多聞に漏れず、達観視した上から目線な主人公による一人称が主軸となっているのですが、早合点するなかれ
もりみー原作でありながらも畳み掛けるような喋り口調でまくし立てる作品ではないのです
主人公が落ち着いた少年であるという点や、アオヤマ少年を演じた北香那の感情を殺した芝居、そして全体的に間を大切にしたテンポ感を含めて、どちらかというととてもゆったりとした時間が流れる作品になっています
かつ暑苦しい青春モノでなく、もっと爽やかなジュブナイル作品というのも手伝っていますから「もりみー原作はちょっと…」という方にこそチェックしていただきたいところです


この辺りの演出、石田祐康率いるスタジオコロリドの若いスタッフが中心となったことも大きいと思います
少年の、自覚なき恋心を大切に描いていますし、その一方で少年が“お姉さん”に興味を抱くキッカケが“お姉さん”の豊満な「おっぱい」というのがエッチでコミカルでとっつき易いです
また、過去作の様にスタジオコロリド内製が強いのかと思いきや、流石に初の長篇ということもあって亀井幹太監督が演出処理を買って出る、佐藤順一監督がクリエイティブアドバイザーとして参加する、等これまでのコロリド作品とは規模の違いを感じます
一言で言うなれば、これまでのもりみー原作アニメが若者向けな文学作品だったのに対し、今作は老若男女広く、もっと言えばファミリー路線にも喰い込める、本当の意味でのエンターティメントに振った作品に仕上がっていると言えましょう
今日までコロリドを見捨てなかったフジテレビにはよくやった!と言いたい


ところでもりみー原作といえば【いまいち何を考えているのかわからないヒロイン】の存在でありますが、今作の“お姉さん”もまたもりみーヒロインであることに変わりありません
彼女のイヤラシさの無い奥ゆかしさを、蒼井優が見事に演じきっていてコレにも拍手です
キャスティングは完璧で、いわゆる大人の事情なども感じさせません
それは主題歌に起用された宇多田ヒカルの「Good Night」も同じで、まさにこの映画の為にある一曲と言える楽曲です
エンドロールで程よい余韻に浸れることを保証いたします


また、途中で『台風』が来たり、『坂のある町を駆ける』のは思わずコロリド作品ファンには笑みがこぼれてしまうところでしょうw
コロリドにとっては今作が初の長篇にして、1つの記念碑となった、のではないしょうか?
まあ細かいことは置いとくとしても、とかく【おねショタ】っていうジャンルは本当に尊いと思ったのがオイラの本音ですよw

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18
ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

表はペンギン、裏はエヴァンゲリオン

世界観:9
ストーリー:8
リアリティ:6
キャラクター:7
情感:6
合計:36

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、「きっと将来は偉い人間になるだろう」と自分でも思っている。そんなアオヤマ君にとって、何より興味深いのは、通っている歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミステリアス。アオヤマ君は、日々、お姉さんをめぐる研究も真面目に続けていた。
夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。街の人たちが騒然とする中、海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちはいったいどこから来てどこへ行ったのか……。ペンギンへの謎を解くべく【ペンギン・ハイウェイ】の研究をはじめたアオヤマ君は、お姉さんがふいに投げたコーラの缶がペンギンに変身するのを目撃する。ポカンとするアオヤマ君に、笑顔のお姉さんが言った。
「この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか?」

(公式ページより抜粋)

視聴経緯については、先日見た「若おかみは小学生」同様、2018年に公開されたアニメ映画で、さよ朝やリズ青と共に名前があげられることが多かったから。

若おかみ~があまり響かなかったので、4作品中トップにあげられることの少ない本作は正直あまり期待していなかったのですが、意外にも高得点でした。

冒頭のあらすじを読むとこじんまりとした作品のようですが、スケールが大きく、SF、セカイ系と言ってよいでしょう。それでいて、個人の思春期の問題がテーマにされており、私はエヴァンゲリオンを連想しながら見てしまいました。

{netabare}本作はいくつかのもの(お姉さん、海と呼ぶ球体、ペンギン等)が象徴的に描かれていて、それを何と捉えるかで様々な受け取り方になると思いますが、全体のテーマは私にとっては「異性への憧憬」や「アニマの昇華・離別」(それによって少年は成長するのだ!)であると捉えました。(ペンギン・ハイウェイが象徴する道も、少年が通る成長の道ではないか)

個人的に、自作長編小説におけるテーマのひとつであり、お姉さん的なキャラを登場させたことがあるので、最早そういうテーマでしか見られなかったのですが(苦笑)
注.私の言う「アニマ」とは、ユングのものとはズレていると思いますが、精神的な異性に対する憧憬の原点(簡単に言えば理想の女性)みたいなもので、例えば、初恋の相手が2次元(アニメキャラ)みたいな形で接触する人も多いのではないかと思われます。

ですので、万人受けはしないと思いますし、特に女性は共感できるのか不明。女性にも異性への憧憬はあるでしょうが、本作のモチーフがそれに符合するのか全くわかりません。

そのようなごく個人的な体験により、お姉さんが偶像でないかという疑問は、最初の喫茶店のシーンから出てきて、コーラがペンギンに変わったところで確信に変わりましたね。

普遍的なテーマに寄って考えると、幼少期は想像(内的)世界と現実(外的)世界が共存しているけれど、どこかで想像世界に踏ん切りをつけて現実世界のみを見るようになるということでしょうか。

小説を書くことでお姉さん的存在と問答し、離別した私としては、アオヤマ君がお姉さんに再会できるのは内的世界に向き合うかもしれない老後、究極的には死んだ時だと思ってしまいますが、そうやって大人になった自分にとって、彼には昔の自分を重ねてしまい、背中を押してあげたくなりました。{/netabare}

青春の原風景を見に行けた感じでしょうか。主人公の性格や豊かなお姉さんの憧れが真っ直ぐで、爽やかな満足感を得られました。

客観的にも、テーマが深くて濃いものである割に、テーマに対応するぎりぎりの低学年を主人公にし、愛くるしいペンギンを登場させることで巧みにカモフラージュされているので不快感はあまりなく、終盤はジェットコースターのようなアニメーションも堪能でき、楽しめる作品と思います。

(2020.6視聴)
(参考評価推移:4.3)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

愉快で不思議で、ちょっと切ないファンタジー

これからの季節にお勧めです!

科学的探究心が旺盛な、小学校4年生のアオヤマ君のひと夏の活躍を描く、
ミステリーのような、冒険譚のような、楽しくて、ちょっと不思議な味わいのお話しです。
いろいろ辻褄合わなくても全然かまいませんw そういうお話しじゃないって思うから。

小学生のくせに、大人ぶっていて、でも大人の女性の胸に興味津々で、
それを恥ずかしいと自覚するまでにも至ってない、二次性徴を迎える前で
恋とか愛とかも、当然知りもしないアオヤマ君。
潔い、というより、まだ性に目覚めていないから、
素直に「おっぱいが好きだ」って堂々と主張して悪びれもしない。
なんだかそんなところ、すごく可愛い!
きっと2~3年もしたら、自分の「お姉さん研究ノート」が、
死ぬほど恥ずかしくなって、
黒歴史として封印しちゃうんだろうなあww
ああ可愛い(^^)
わたしショタとか全然趣味じゃないですけど、
こんな、無自覚に背伸びして小理屈こねくり回してる子供がいたら!!
可愛くて堪らなくていじりまくりそう!

お姉さんもなんだかとっても素敵です。
奇麗なだけじゃなくて、キュートでファニーな、
それでいてちょっと謎もある、少年の目にも大人過ぎない、
ちょうど魅力的に映える感じで。
あと重要なファクターの、
お姉さんの胸の描き方が、いい意味でアニメっぽくなくて、
グロテスクな巨乳とかじゃなくて、ちゃんと普通に、女性の胸らしく、自然で綺麗な線で描かれているのがとってもナチュラルでいいって思います。

それと、サブヒロインになるのかな?
ハマモトさんもすごく、可愛いんです。
プライドは高いんだけど、子供らしく真っ直ぐに生きてて、
年相応に賢いのがとっても好感度高いです。

お話し自体は、ジブリっぽいっていうか、
トトロとポニョを足して二で割ったような感じで、
夏休みにファミリーで楽しめるように作られていて、
森見さんの原作なのに嫌味な感じが全然しなくて。
監督も、教えられるまで気付かなかったけど、
あの「フミコの告白」作った石田祐康さんなんですね。
初の長編商業作品で、ここまで出来るってすごい!

アニメ上級者の方にはちょっと物足りないかもですけど、
そんな方以外の、普通の人なら、
誰が観ても楽しめるんじゃないでしょうか。

アニメ初級者の私は、すごく楽しめました(*^▽^*)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 40

72.6 2 スタジオコロリドアニメランキング2位
泣きたい私は猫をかぶる(アニメ映画)

2020年6月5日
★★★★☆ 3.7 (134)
646人が棚に入れました
見つけた、君に会える魔法――自由奔放、ちょっと変わった中学2年生、笹木美代(ささき・みよ)。クラスメイトから「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれ、学校でも家でもいつも明るく元気いっぱい。ムゲ熱烈に想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)に毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。大好きな日之出のそばにいられる唯一の方法、それは猫になって会いにいくこと。≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには日之出に近づける日々。猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになっていく。このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――「猫」の世界を通して繰り広げられる、私をみつける青春ファンタジー。

声優・キャラクター
志田未来、花江夏樹、寿美菜子、小野賢章、千葉進歩、川澄綾子、大原さやか、浪川大輔、小木博明、山寺宏一
ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

既視感がある猫物語

絵柄が幼いので、あまり期待せずに観ました。
しかし、巧みな物語構成に徐々に夢中に。
それは各キャラの背景が描かれていたからかな。
人猫関係が有機的に結合し、クライマックスへなだれ込む。
見応えがありました。

恋愛ファンタジーストーリー。
破天荒な女の子ムゲはちょっとクールな日之出が好き。
でも、日之出はムゲのアタックをむげに断る。
だから、ムゲは猫に変身し、日之出に会いに行く。
しかし、ムゲはデブ猫の陰謀にハマり・・・という感じの物語。

私のもっとも好きなのは{netabare}エンドロールの映像です。
暖かい余韻に浸れて清々しい。
日之出のお姉ちゃんが可愛そうとか。
ヨリちゃんの照れ顔が可愛いとか。
本筋と関係ないところが楽しいです。{/netabare}

ムゲの声は志田未来さん。
本業ではないけど、役に合っていたと思います。
並みいる声優陣に引けを取りません。
こっちの世界でも十分やっていけるでしょう。

背景は常滑に似ているなあと思ったら本当に常滑でした。
遠い昔に同級生の実家へ遊びに行った街。
狭い路地を上った先は・・・「猫の森?」
谷山浩子好きの同級生のことを思い出しました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見つけた、君に会える魔法…

サトジュンと岡田麿里さんがタッグを組んだオリジナルアニメ…
と聞けば気になりますよね。

ですが、私にとって結果的にラッキーでしたが、劇場での視聴を楽しみにしていた方には残念だったのではないでしょうか。
コロナウィルスの影響により、前売券の発売延期、公開日の延期…
そして劇場公開せずNETFLIXでの配信に変更されたからです。
私はNETFLIXに入会しているので視聴できましたが、多くの方々が入会している訳では無いと思うので…


私はあなたの力になりたい。好きって言われたい…

笹木美代(ささき・みよ)は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。
空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」という
あだ名で呼ばれている。
しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。
そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人(ひので・けんと)へ
毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。
めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えないとっておきの秘密があった・・・。

それは、猫の姿になって 大好きな日之出に会いにいくこと。

実はムゲは、ある夏祭りの夜お面屋にいた猫の店主から、「かぶると猫へと姿を変えることができる」という
不思議なお面をもらって以来、猫・太郎として日之出の家に通っていたのだ。
普段はクールに振舞う日之出だが、太郎にだけは素直な気持ちを打ち明けることができ、
いつしか太郎は日之出の支えになっていた。
≪人間≫のときには距離を取られてしまうが、≪猫≫のときには近づけるふたりの関係。
ムゲもまた、猫でいれば周囲との関係に悩むことない自由さを知り、次第に心地よさを覚えていく。

猫として長く過ごすほど、いつしか猫と自分の境界があいまいになるムゲ。
ある日、再び現れた猫店主から、猫の“お面”とムゲの“顔”を交換し、
≪人間≫を捨て≪猫≫として生きるよう迫られる・・・

このままずっと、彼のそばにいたい。でも、《私》に戻ることができなくなる――
自分が誰に支えられているのか。大切なものに気がつくとき、二人の世界が変わり始める。


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

始まって直ぐ、サトジュンワールドにジブリ感がプラスされた感じがしました。
ネコと摩訶不思議な空間との組み合わせは、まさにARIAそのものです。
それに「千と千尋の神隠し」の世界観が雰囲気を助長してくれている感じ…
もう期待感が右肩上がりです。

気になるあの人は今、何をしているんだろうか…?
誰でも一度は気にしたことのあるシチュエーションだと思います。
勿論、自分では会いに行けないし、仮に会ったとしても教えて貰えないかもしれません。
そもそも、会いに行くための口実がなかったり、嫌われたくないからあと一歩が踏み出せず躊躇してしまう…

青春のど真ん中って感じが羨ましくもありますけれど…

でも、それが「自分とは全く違う何か」でなら、見せて貰えるかもしれない…
見てどうするか…それはきっと実際に見てみなきゃ分からないと思いますが、この作品の根底にはそんな「もしもワールド」が息づいていました。

この作品で秀逸だと思ったのは人との関わり方です。
最初は、ムゲが日之出の力になりたいと思い動き出しますが、人との関係性ってそんな一方的じゃないんですよね。

お互いが支え、支えられている…
何かをしてあげたいという気持ちは交錯する…
そんな心情が巧みに描かれているんです。

そして物語を彩る主題歌 ヨルシカさんの「花に亡霊」も抜群だったと思います。

作画も綺麗、キャラはしっかり動くし背景も繊細且つ緻密で申し分無しでした。
日本のアニメーションの素晴らしさが感じられる作品だったのではないでしょうか。
私はしっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 18

さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

期待通りのものが出てきて大変満足

正直、劇場で観たかったですわ…

Netflixだけで配信とかマジかよと思いつつ登録しましたよ。
まあ、普通に映画館で観るより安いっすけど、最近の映画館は音響や画質凄いっすからね。
IMAXで観てたらきっと泣いてました。

さて、タイトルの件について、
「泣きたい私は猫をかぶる」
オリジナルものならティザーを見て、どんな話だろうと想像するじゃないですか。アニメ映画で猫、それにスタジオコロリドの作品系統で言ったら、「猫の恩返し」のようなものを期待するじゃないですか。
いやー、まさに期待していたものが出てきたという感じで、個人的には大変満足しております。

新宿に麺屋翔という行列のできる大変おいしいラーメン屋があるのですが、そこで初めて塩ラーメンを食べた時のような感動がありました。
見た目はシンプルな塩ラーメンなのですが、一口スープをすすると確かに塩ラーメンの王道にも関わらず、コクがあって箸が止まらなくなるんです。


しかしスタッフリスト的に、もっとマリー感とかサト順感が出るかと思ったのですが、見事に調和がとれて子供から大人まで楽しめるような丸くて柔らかい映画になってましたね。もしかしてこれが柴山智隆監督の色なのでしょうか?
マクドナルドのCMとかも手掛けられてるんですよね…確かにあのような爽やかな感じが作品に漂っています。

背景の色使い素敵でした。
ペンギンハイウェイから洗練されて落ち着いた空気感を持つようになりましたね。
写実的な背景と異世界の混ざり合った感じが面白かったり…

そうそう、主演の志田未来ちゃん、声をあてるの上手かったです。
しんちゃんでゲスト声優してた時は、正直あんまり上手くないなと思っていたので意外でした。
あれ、もしかして、志田未来ちゃんに反応すると年代がバレる?
逆に私はヨルシカって、先月初めて知ったぐらいなんですけど…
え、時代に取り残されてる感が強くて急にもやもやしてきたぞ…

えっと、うん。良い作品です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 13

52.7 3 スタジオコロリドアニメランキング3位
台風のノルダ(アニメ映画)

2015年6月5日
★★★☆☆ 3.0 (124)
383人が棚に入れました
スタジオコロリドの作品。


その少女は、台風にのってやって来た。

僕たちに「本当に大切なこと」を教えてくれた、不思議な少女との一夜の物語。

舞台はとある離島、文化祭前日の中学校。

幼いころからずっと続けていた野球をやめたことがきっかけで親友の西条とケンカした東は、突如現れた赤い目をした不思議な少女ノルダと出会う。

「“地の渦”と“空の渦”と“私”が一つに繋がれたとき、この星は生まれ変わる…」。

その頃、観測史上最大級の台風が学校を襲おうしていた──。

声優・キャラクター
野村周平、金子大地、清原果耶

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

間違いなく2015年を代表する、そして今後語り継がれるであろう【迷作】ジブリの血は今もココに生きていることの証明

スタジオコロリドの最新作で約30分の短編
観に行く前に『サイコパス』とか『ラブライブ』とか『ガルパン』とか劇場に観に行く人は沢山いるかもしないけど、コロリド観に行くのは“ガチヲタ”だけですねって話をしました
観客少ねー(笑)
テレビCMまで打ったのに!


監督は若くしてスタジオジブリのアニメタを経験するもコロリドに加わる為ジブリを離れた新井陽次郎
キャラデザと作監は学生時代から作品を発表し続け、その才能を注目されている石田祐康
奇しくも2年前にオイラが手放しで絶賛した短編映画『陽なたのアオシグレ』の監督と作監の立場が入れ替わったカタチ
コロリドが誇る二人の若き天才が再びタッグを組むこととなったわけです


舞台は本土と橋で繋がれた小さな離島
文化祭の準備が進められる中学校で親友同士の東シュウイチと西条ケンタは東が野球部を辞めるという件をキッカケに揉み合いの大喧嘩をしてしまう
気不味さから孤立しようとする東だったが、観測史上最大の台風が迫っているという空をふと見上げると、なんと高圧線の上に立ち吹き荒れる空を仰いでいる一人の少女の姿を目撃してしまう・・・


30分という短い尺の中に、一人の少女の謎を巡るスペクタクルが繰り広げられる本作
内容自体は少々詰め込みすぎている感が否めませんが、最も注目したいポイントはその演出
元ジブリということもあってか、新井監督が手掛ける画面は初めから“ジブリっぽさ”を意識しており、コンテや設定には堂々と「山田君やかぐや姫のように」などの具体的な指示が書いてあります


序盤の慌しく進められる文化祭の準備、揉み合いの喧嘩とそれを取り巻くクラスメイトなど大量の登場人物が画面の中でひしめき合い、所狭しと動き続ける様はまさにジブリ映画の作画


文化祭ということで色とりどりに飾られた校舎、豪雨に荒れる島の自然、終盤鍵を握る旧体育館の朽ち果て方、CGが駆使された雲など背景も見どころ


声優未経験な若手俳優をメインキャストに起用しているのもジブリっぽさ(日常っぽさ)を出す為の一端でしょう


それに詰め込みすぎなストーリーも裏を返せば近年「もっとファンタジー色が欲しい」と叫ばれてきたジブリへの声に応えるかのようです
惜しくもジブリ自体は長編映画制作から撤退してしまったわけですが、その想いや技術は新井監督を通していまココに、コロリドの中に甦ったというわけです
ジブリみたいな映画を作れる会社はあるんだ!ということの証明、それもこんな若いスタッフの手で、ですよ


今後も新井陽次郎、石田祐康、スタジオコロリドからは目が離せませんね
彼らこそ【ポスト宮崎駿】【ポスト高畑勲】なのかもしれません

投稿 : 2024/04/27
♥ : 16

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

26分縛りでジブリっぽい作品を作った結果

割と面白かったです。

なんか終わりっぽい?ってシークバー見るとマジで26分ぐらいで終わりみたいで焦りました。

いろいろ詰め込んでますけど、これで26分ならまぁまぁ楽しめたのかもしれません。しかしながら、余りにも尺が短過ぎるので、言葉一つ一つに至るまでの過程の描写を端折り過ぎており、感動の安売りという感じが否めません。

が。決して悪くない。設定は悪くないのです。むしろ好みなのであります。(ToHeartネタで分かる一同爆笑)
これを1クールでやったらイリヤの空をライトにしたような感じでとっても良いかもって思いました。

ところどころホモネタに走ったりMAD素材を狙っているのかネタパーツが多いのもご愛嬌。いろいろと詰め込んでますが、アレですね。忙しい人向けのアニメです。つまり社会人が荒んだ心を癒す郷愁を想い起こすサプリメントと考えられます。現代社会に生きる社会人という名の闘士には、たまにはこういう成分も補給しないと病んでしまうのであります。

声優がちょっと目に余るって方もいましたが、僕としてはむしろコレで良かったと思います。こういうのでいいんだよ、こういうので。「諦めるな!」という主人公の声がかなり聞き取りづらかったですが、中学生っぽさが出て逆に良いなって思いました。

ぶっちゃけ声とかどうでもいいからね。萌え豚の僕でも近年の声優豚の鳴き声は目に余ります。声優とかどうでもいいじゃねーかっつーの。しかも近年雑誌に声優の顔写真が出てグラビア飾ったりしてるし。そういうのじゃねーだろうがって思います。裏方なんだから裏方を支えてどうぞ、なのです。声優にビジュアルを求める奴は正直いらっときます。顔の良い女はどんな職業についても大抵どうにかなるんだから、顔の整ってない女にこそ声優をやらせるべきなのだと思うのです。顔の整ってない女の方がもっと良い声出るんじゃないかと思うのです。むしろブスにこそ活躍出来る現場をサブカル界は与えるべき。声とかテキトーでいいんだよ。テキトーで。違いなんてほとんど無いんだから。格好良い声、可愛い声に慣れ過ぎてナチュラルな声の良さを理解しない奴の声のデカさはデカイことこの上無い。
味の濃い食べ物ばっかり食べまくったせいで舌がイカれて素朴な味わいを感じる事ができねーんじゃないかと。

まぁ学園祭の雰囲気も世界観も秋山混じりなのでつまりはそういう事なのでしょうが、良いのです。

もっとこういうのを作って欲しいです。実験作や意欲作だというスタンスを踏まえた上での評価になります。百円レンタルで借りれそうな多忙なサラリーマンにお勧めです。EGFマダーの瑞っ子はこれでも観て正気を保ち続けましょう。

こういうあっさりな作品ってありそうで無かったので新鮮で良かったです。
是非このまま挑み続けて頂きたい。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

62.4 4 スタジオコロリドアニメランキング4位
陽なたのアオシグレ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.7 (75)
264人が棚に入れました
内気な小学4年生(ヒナタ)は、クラスで人気者の女の子(シグレ)のことが大好きな男の子。でもシグレと話をすることも出来ないヒナタは、彼女のことを思い描きながら妄想する日々を送っていた。そんなある日、突然シグレが転校してしまうことに…。悲しみに暮れるヒナタ、クラスメイトに見送られ去っていくシグレ。「僕はシグレちゃんに想いを伝えるんだ!」決心したヒナタは走り出す。

声優・キャラクター
伊波杏樹、早見沙織
ネタバレ

さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

西壁に刺さります

監督は石田祐康氏
学生の時に制作したフミコの告白で文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を獲得した若手のアニメーターにして演出家。

この人の作品の良さはとにかく場面展開が気持ち良いところ。
設定の面白さや物語の深さに重きを置いている方は合わない可能性もある。
しかし、この気持ちの良さは、出そうと思っても簡単に出せるものでは無いし、観る人にちゃんと気持ち良いと感じさせるのは更に難しいはず。
それが出来てしまうのは、監督自身の鋭く磨かれた感性、そして研究の成果もあるだろうけれど、丁寧な作品作りがあってこそなんだろうなー
これは短い作品だから出来た事かもしれないけれど、妥協することなく手間暇をかけて制作したからこその結果なのだと思った。

フミコの告白から引き継がれたドジな主人公に、精一杯の走り描写。
最初は随分ませた小学生だなあなんて思っていたけれど、ひなたくんの一生懸命過ぎる想いに、次第に目が離せ無くなって、最後はボロ泣き。

涙脆くなったよなあ…前はそんなでも無かったのになあ…と思いつつ円盤をポチった。
そして限定版を持ってるのにも関わらず、ゲオでレンタル版を借りるという奇行に走る。

声優の演技力も凄いし、作画の演技力も高いし、スピッツの曲「不思議」もピッタリで感動する。
セリフの半分くらいを「ひなたくん」「しぐれちゃん!」で占めていても良いと思う。ジョンレノンとオノヨーコだって二人の名前を呼びあうだけのCDを出してるし、語彙が無くても想いは伝わるもの。


たった18分の物語。是非多くの方に見てもらいたい。


そういえば、物語の内容について{netabare}しぐれちゃんが行ってしまう時の演出で、なぜ電車が飛んでいるのだろう?鳥を魅せたいための演出かな?と勘ぐっていたら、もう一重重ねた設定になっていたのには驚かされた。{/netabare}
根幹は凄くシンプル。
しかし、さりげなく散りばめられたイベントが面白いかったり、盲点を突いていたりするから面白く感じるのかもしれない。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

【妄想】と【淡い想い】と【スピッツ】が東京の空を駆け巡る18分のトリップムービー

『フミコの告白』、『rain town』で世界を震撼させた新鋭、石田祐康の最新作


内気で妄想と絵を描くことが好きな小学4年生、ヒナタ
彼が想いを寄せる同級生の少女、シグレちゃん


小学校の鳥小屋を世話するシグレちゃんに、ヒナタは鳥達と戯れる彼女の姿を妄想し絵に残すことを密かな趣味としていたのだが、ある日突然シグレちゃんの転校が決まる


胸に抱いた想いを伝えられぬまま別れの日を迎えたヒナタ
葛藤の末に決意した彼はシグレちゃんの乗ったタクシーを追いかけて走り出す
やがて「妄想」は美しい一羽の「白鳥」の姿となってヒナタを乗せて飛び立つ
東京の空を、シグレちゃん目掛けて駆け巡っていく・・・









石田監督にとっては初の商業作品
ぶっちゃけるとお金の掛かった『フミコの告白』豪華版といってしまっていいと思います
裏を返せばあのフミコの高揚感、浮遊感、疾走感が再び帰ってきたわけです
声優に早見沙織、挿入歌にスピッツを使用するなど商業作品ならではの贅沢っぷりもあります
そしてフミコにも増しての圧倒的スピード感が最大の見どころ
新宿西口を目にも止まらぬ速度で飛んでいく映像の興奮、カタルシスは2013年どの映画にも負けてません


まあオチどころが「日野」なのはワケワカメでしたがw
2013年、最高の短編映画でした、拍手です

投稿 : 2024/04/27
♥ : 25

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ああ、そういえばアニメってこういうことだったなあ。

「ああ、そうえいばアニメってこういうことだったなあ。」
 このサイトでおすすめされて視聴。普段無駄に長めの感想を書く私ですが、この作品にはこの言葉で十分です。観ればわかります。

 と、思いましたが一応概要を。
 これはアニメ映画ですが、15分くらいのショートムービーです。ストーリーとしては小学生の男の子が女の子に恋をするんだけど、その子が転校することになっちゃった。というお話。あとは観ればわかります。観ればわかります。

 監督は石田祐康氏。これのひとつ前の作品「フミコの告白」とこれの次の作品「台風のノルダ」も見ました。そして言いたい!「ノルダ」はこの人の良さが死んでる!次はもっとこう、なんだ、あれだ。もっと赴くままのアニメを作ってほしい!ストーリーとか設定とかセリフとか気にしないで石田さん!この作画はそういうの抜きでも人を惹きつけます!

投稿 : 2024/04/27
♥ : 21

71.3 5 スタジオコロリドアニメランキング5位
雨を告げる漂流団地(アニメ映画)

2022年9月16日
★★★★☆ 3.8 (53)
236人が棚に入れました
まるで姉弟のように育った幼なじみの航祐と夏芽。
小学6年生になった二人は、航祐の祖父・安次の他界をきっかけにギクシャクしはじめた。
夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに
取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。
その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家。
航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。
すると、突然不思議な現象に巻き込まれ――
気づくとそこは、あたり一面の大海原。
航祐たちを乗せ、団地は謎の海を漂流する。
はじめてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。

泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?
果たして元の世界へ戻れるのか?
ひと夏の別れの旅がはじまる―
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

団地は思い出を巡る方舟

石田 祐康監督のオリジナル青春アニメ映画及びNetflix配信作品({netabare}120{/netabare}分)
(劇場版を鑑賞)

【物語 3.5点】
小6最後の夏休み。少年少女たちの団地での“漂流記”を描く。
物語の柱は、団地育ちの航祐、夏芽二人。あとは団地に棲む謎の少年・のっぽ君。
特に取り壊しが決まった団地への未練が捨てきれないヒロイン・夏芽の抱えた物を、
漂流中の不思議なサバイバル体験、それに伴う子供同士の衝突などにより解き明かし、
ひと夏の成長を促すジュブナイルの王道。

よって種が明かされない漂流団地の仕組みについて説明を求めるよりも、
夏芽の心情周辺に焦点を当てた方が、迷わず航海できると思われます。
この視点から見れば、ここで起こしたトラブルで夏芽の何を掘り起こそうとしているのか、
明確な脚本意図が伝わると思います。
何より思春期一歩手前の小6の背伸び感たっぷりの人間模様は瑞々しく、
ロリショタは歓喜できると思いますw

惜しむらくは、団地アニメとしての個性がもっと欲しかった所。
築60年、様々な人生を見守ってきた団地。
とありますが、メインシナリオから共有できるのは航祐、夏芽の6年くらい。
歴史を感じる団地の描写や、団地伝統の夏祭りを示唆するカットなどで、雰囲気は味わえますが、
そこは団地建築当時の住民の営みなど、エピソードとして頂きたかったです。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・スタジオコロリド

同スタジオの真骨頂である、ゲリラ豪雨などの圧巻の天候描写。
加えて“団地監修”を迎えて、描き込んだ漂流団地ほか建物、廃墟も出色の出来。

躍動する人物描写により再現された小6のワチャワチャ感も上々。
ちょっと目を離すと何しでかすか分からないガキンチョの危なっかしさが、
子供たちだけの漂流で解放されるドキドキの冒険要素。
終盤だけでなく、頭ぶつけたりするシーンも結構あったりして。
一歩間違えれば一人二回ずつくらい死んでます。


【キャラ 3.5点】
主人公格の航祐と夏芽。ツートップのキャラ解像度、団地への愛着度は良好。
“やすじい”に関するわだかまりと掘り下げは感動的。
夏芽は居場所を見失い漂流しがちな現代っ子の縮図です。

が、ここも団地と縁が深いのがこの二人とのっぽ君くらいというのが……。
七人で漂流するなら、過半数は団地関連の子供で固めて団地への愛を叫んでもらった方が、
クライマックスの共感度もアップしたと思うのですが……。
結局、団地以外のキャラの家族愛は隅に追いやられがちでしたし。
パワー担当で、{netabare}母ちゃんのコロッケ{/netabare}くらいしか愛を叫べなかった譲(ゆずる)君が不憫でなりませんw

ただし、団地を知らない子供たちの中でも、
令依奈は高飛車な憎まれ口で、シナリオの転換点として機能していました。
男子を原始人呼ばわりしつつ、航祐の前では赤面する。
ロリのツンデレは最高の遊園地アトラクションですw


【声優 4.5点】
主役の航祐役には田村 睦心さんの少年ボイスを、ヒロイン・夏芽役には瀬戸 麻沙美さんを、オーディションで選出。

他にはおっとり眼鏡枠の珠理役に花澤 香菜さんを指名し、
令依奈役の水瀬 いのりさんの喧嘩腰をなだめて見守る構図。

のっぽ役には声変わり前の少年も巧みに演じる村瀬 歩さん。
一人で場を賑やかにする大志役の小林 由美子さんのワンパク少年ボイス。

などなどキャストは声優陣で固める。

音響は、同じセリフを雰囲気を変えて複数収録し選りすぐる手法をしばしば用いる。
これは高確率でOKを連発できる実力を有した声優でないと難しい方法。
人気声優の名前じゃなく、技術を求めて、それを作品に生かせていると好感します。

ジーンとくる場面も多々ありましたが、
私にとっては物語以上に声優さんの演技にグッときた面が大きいです。

総じてロリショタ大歓喜ということで(←クドいw)


【音楽 4.0点】
劇伴担当は石田監督とは『ペンギン・ハイウェイ』でも組んだ阿部 海太郎氏。
ストリングスを押し出した感動系だけでなく、
“お化け団地”要素もフォローしたコミカルなホラー系も提供しエンタメ性を付加。
店内放送風のBGMで、思い出のトリガーとなる演出も、ノスタルジーを醸し出す。

効果音も、実際に団地で生音を拾うなど、多彩な音源を駆使して、
団地が漂流する超常の中でも、地に足が付いた実在感で、あの夏が夢じゃなかったことを示す。

主題歌は、ずっと真夜中でいいのに。「消えてしまいそうです」
他に挿入歌「夏枯れ」も提供。
小6にしてはチョット背伸びし過ぎな感はあるものの、
詩的な歌詞で夏の思い出を噛み締めることができる佳作サマーソング。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 27

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

期待通りの正統ジュブナイル。思い出は帰る場所じゃない、明日へと運ぶ方舟なんだ。

 「ペンギン・ハイウェイ」でも感じていたが、始まった瞬間から伝わってくるアニメーションと背景美術の詩情こそ監督の持ち味で間違いなかろう!。ストーリーやキャラ以上に、まず映像が心を打つものが出来ているというのは言うは易し行うは難しである。小綺麗な安定している仕事の作品は増えているが、その域に達しているのは数少ない。


 本作はジュブナイルものとして大きくはみ出すものは特にない。キャラもそんなに類型を超えているわけじゃないし、ストーリーは少々切り詰めた方が良い部分もあるように思えた(100分とかで良かったかな)。正直同じような事で何度も揉めるのは勿体なかった。


 ただ、とにかく映像の力が弱い部分を遥かに超えてこちらを高く導いてくれる高揚感が他の作品よりずっと勝っている。タイプは違うが「トップガン マーヴェリック」に通じるものを感じました。


 そこにちゃんとテーマとドラマが絡み合うように作れてるのが上手い。本作のテーマは「デジモン ラストエボリューション」と同じく思い出、或いは幼年期からの脱却とそれらが未来への道を拓いてくれるという点だろう。故にそんなのガン泣きするしかない案件である。しかも、これが家に帰ってもNetflixですぐ見直せるとか嬉しぃ〜!。


 なにより私の嗜好として美味しそうなショタが出てくれてるだけで大感謝である。ロリが溢れている日本アニメ界だが、良いショタは本当に希少だからそれだけでも嬉しくなってしまう。もっとショタ好きのためのアニメ出来ないかなぁ〜。あと、このツンデレって釘宮さんじゃないのにめっちゃ聞き覚えあるなぁ〜って思ってたらプリキュアのシエルやってた時のトーンの水瀬さんか!とクレジット見てやっと得心しました。


 

投稿 : 2024/04/27
♥ : 14
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

哀しみの感情、包み込む幸せ

アニメーション制作:スタジオコロリド
監督:石田祐康、脚本:森ハヤシ、石田祐康
キャラクターデザイン:永江彰浩、
演出:渡辺葉、間﨑渓、竹内雅人、木村拓、増田惇人、
作画監督:近岡直、西村幸恵、黄捷、加藤万由子、
荻野美希、三浦菜奈、薮本和彦、水野良亮、坂口歌菜子、
渡辺暁子、平井琴乃、櫻井哲也、宇佐美皓一、篠田貴臣、斎藤暖

海上を漂流している、
SOSの文字の描かれた団地。
屋上には人の姿。
石田祐康監督が映画制作に取りかかる前に描いた
1枚のイメージボードだ。

その絵から生まれ出たのは、
それぞれの心のなかで、
ひっそりと留まって固まっていた残滓が
海上を漂う物語だった。

主人公は小学6年生の熊谷航祐と兎内夏芽。
幼馴染の男の子と女の子。
ふたりは、夏芽の両親の離婚と母の仕事の事情から、
同じ団地で姉弟のように育ったが、
航祐の祖父である安次の死がきっかけで、
関係性が変化してしまう。
そのふたりに加えて、航祐のことが気になる
羽馬令依菜と令依菜の長年の友人である安藤珠理、
航祐の親友である橘譲と小祝太志、
謎の少年・のっぽという登場人物たちが
不思議な漂流生活を送ることになる。

どちらかというとイメージ先行の作品だが、
それが好ましいものなので、安心して観られる。
昔は絶妙なコンビだった航祐と夏芽。
今でもお互いのことを大切に考えているが、
安次の死によって負った傷があまりにも大きすぎて、
なかなか修復できない。
ふたりにとって、大切な思い出は、
取り壊しが決まった団地での暮らしだった。

幸せな時間は住んでいた場所に残り続けるのか。
大切な思い出は建物がずっと覚えていてくれるのか。
暮らしていた団地や場所が、
人に対して何か影響を与えることがあるのか。
{netabare}簡単に言うと「付喪神」と呼ぶのかもしれないが、
この作品に限っては、団地自体が
色々な人々の想いを受けて持つことになった
「心」と言ったほうが正しいと思う。{/netabare}

映画を観て思い出したのは、
重松清のニュータウンを題材にした一連の小説だった。
日本で一時期流行った、東京や大阪郊外の大型マンション群。
夢見て購入した自分たちの未来が次第に変容し、
思い描いた夢と大きくずれていくさまを
ユーモアとシリアスを交えて情感たっぷりに
描いた作品で、多くの共感を呼んだ。
そこにあるのは、心の底から求めた願いの形。
人々が傷つきながらも、大切なものを渇望する物語の流れに
どこか似た香りを感じたのかもしれない。

ただ、この作品で思うのは、
細部におけるキャラクターへの寄り添い方や
心情の描き方が物足りないということだった。
中心は航祐と夏芽なのだから、
このふたりの心情をもう少し丁寧に描いて欲しかった。
イメージとしては、とてもよく分かるのだが、
例えば夏芽と母親の関係性や
航祐と夏芽の大切な思い出を
もっと丁寧に描き、現在につなげても良かったと思う。
{netabare}正直なところ、令依菜絡みの話は、
ほとんど必要がなかったと思うし、
珠理との話ももっと短縮できたのではないだろうか。
そもそも遊園地の部分の話が長すぎるし、
個人的には枝葉に時間をかけ過ぎているように思えた。{/netabare}
これは構成と脚本の問題が大きい。
もっと時間を短縮できただろうし、
その分、航祐と夏芽のつながりが強固になる部分を
膨らませて欲しかった。

とは言え、絵的なイメージやキャラクターの感情表現などは
目を瞠る箇所がたくさんあった。
子どもたちと一緒にひと夏の冒険譚を楽しませてもらった。

誰にでも大切な思い出が心のなかに必ずある。
そして、昔の想いを自分のなかで
昇華させながら成長する。
マイナスの感情もプラスの感情も併せて、
心のなかで何かを生み出す。

そうやって、私たちは大人になっていくのだ。
(2022年9月24日初投稿)

投稿 : 2024/04/27
♥ : 29

63.5 6 スタジオコロリドアニメランキング6位
ポレットのイス(Webアニメ)

2014年3月21日
★★★★☆ 3.7 (57)
190人が棚に入れました
フジテレビの深夜アニメ放送枠『ノイタミナ』10周年記念スペシャルムービーとして制作。YouTubeノイタミナ公式チャンネルで無料配信中。監督は、学生時代の自主制作短編『フミコの告白』が話題となり、2013年に短編『陽なたのアオシグレ』で劇場監督デビューを果たした石田祐康監督。スタジオコロリド制作。ひとりの内気な少女ポレットと、彼女の遊び相手となる一脚の「椅子」の物語。

Nagi* さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

イスと、時の流れと、ポレット。

3分でクスっと、ホロっと、してみませんか?

セリフのないショートアニメーション。

少女“ポレット”と 彼女の“イス” のものがたり
ちょっぴりファンタジーな、ほのぼのアニメです

セリフの代わりに “ピアノの旋律” が
物語を奏でるというところがなんとも魅力的(*^_^*)

ピアノって、こんなに人の感情を表現できるものなんですね
多彩な音楽ってスバラシイ。
普段、BGMって二の次になりがちなんですけど
視聴の際は耳を傾けてくださいね♪

物語も作画もキャラも文句なしの★5つ!!!

目がキラキラしてる女の子って可愛いですね
なんだか…癒されるなあ…

約3分のアニメ。

カップラーメンできるの待ってるそこのアナタっ!

“ポレットのいす”

見てみませんか…?

投稿 : 2024/04/27
♥ : 22

コマキノ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いつも背中を押してくれるのは「イス」

フジテレビノイタミナ10周年記念作品として制作されたショートアニメ
監督はペンギンハイウェイの石田祐康氏
youtubeのノイタミナ公式アカウントが公開しているのでそちらで視聴できます

友達作りであと一歩踏み出すことが出来ない少女
彼女の背中を押してくれるのは歩く「イス」
一歩踏み出すことでそこに楽しい世界があることを教えてくれる、ほっこりとした3分30秒のショートアニメとなっています

特徴的なのが、会話が一切ないこと
浜渦氏の音楽と環境音のみで構成されており、それが優しいタッチの絵柄とマッチし、心温まる世界観へと昇華しています

3分半という非常に短いアニメです
気軽に視聴できるので空き時間にどうぞ

投稿 : 2024/04/27
♥ : 3

スワンa さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

アニメはいつまでもそうあって欲しい

悲しい時には座ってごらん、この小さなイスに。

楽しかったあの時のように、きっと君を導いてくれる。

いつまでもずっと。


「あなたにとってアニメーションが、
         この椅子のようであったなら....。」

         
アニメーションが人々にとって特別なものであって欲しい
という願いが込められたノイタミナ10th短編スペシャル。

放映3分半、会話の無い映像から伝わるアニメーションが
持つ力に思わず笑みがこぼれてしまう心温まる作品です。

投稿 : 2024/04/27
♥ : 8

65.7 7 スタジオコロリドアニメランキング7位
寫眞館(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (32)
162人が棚に入れました
時は戦前。丘の上で写真館を営む主人の元には、色々な人々が訪れる。ある日訪れたのは一組の夫婦。婦人は恥ずかしそうに下を向くばかりだったが、写真館の主人はあの手この手で婦人の笑顔を写真におさめた。だが翌年、その夫婦と共にやってきたのは、ムスッとした彼等の愛娘だった。主人は必死に笑顔を引き出そうとするが―。

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

とても濃密な16分の良作です

丘の上にある写真屋さん。

一生懸命お客さんの笑顔を撮ろうとがんばります。

物語は母から子へ。
明治から昭和まで続きます。

セリフは一切ありません。
でもしぐさや表情などで丁寧に物語を描いていきます。

音楽はしっとりとしたピアノの曲。

16分ほどの小品なのですが、とても濃密で見終わった後、いい作品を観た時の満足感をとても感じました。

地味な作品なので、知っている人が少ないと思いますが、こういうのを隠れた名作っていうのかな、と思いました。

2020.7.31

投稿 : 2024/04/27
♥ : 6
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