ファンタジーで姉妹なアニメ映画ランキング 5

あにこれの全ユーザーがアニメ映画のファンタジーで姉妹な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番のファンタジーで姉妹なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

72.0 1 ファンタジーで姉妹なアニメランキング1位
王立宇宙軍オネアミスの翼(アニメ映画)

1987年3月14日
★★★★☆ 3.9 (274)
1124人が棚に入れました
所属が10人に満たず「失敗ばかり」「なにもしない軍隊」と揶揄され、世間に落第軍隊として見下されているオネアミス王立宇宙軍の士官・シロツグ=ラーダットは、欲望の場所でしかない歓楽街で献身的に布教活動を行う少女・リイクニ=ノンデライコとの出会いをきっかけにそれまでのその日暮らしの自堕落な生活を捨て、宇宙戦艦という名目の人類初の有人人工衛星打ち上げ計画に参加し宇宙を目指すことになる。

声優・キャラクター
森本レオ、弥生みつき、内田稔、飯塚昭三、村田彩、曽我部和恭、平野正人、鈴置洋孝、伊沢弘、戸谷公司、安原義人、徳光和夫
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

庵野秀明、貞本義行、坂本龍一、藤原カムイ、山賀博之、、、

[文量→特盛り・内容→考察系]

【総括】
1987年にガイナックスが初めて制作したアニメ。SFアニメ映画で、2時間ほどの作品。

とにかく制作陣が豪華。

レビュタイのメンツの代表作を並べると、

監督 山賀博之(ピアノの森)
脚本 山賀博之(0080ポケットの中の戦争)
音楽 坂本龍一(戦場のメリークリスマス)
キャラデザ 貞本義行(エヴァンゲリオン)
作画監督 庵野秀明(エヴァンゲリオン)
デザイン 藤原カムイ(ロトの紋章)

他にも、

プロデューサー 山科誠(バンダイ 社長)
企画 岡田斗司夫(トップをねらえ! 原作)
助監督 樋口真嗣(ひそねとまそたん 監督)
助監督 増尾昭一(ブレイブストーリー 作画監督)
作画監督 飯田史雄(宇宙戦艦ヤマト2199 作画監督)
作画監督 森山雄治(うる星やつら 作画監督)
美術監督 小倉宏昌(ストライクウィッチーズ 美術)
脚本協力 大野木寛(創聖のアクエリオン 構成)

など、豪華なメンバー。

声優陣でいくと、

森本レオ(俳優・ナレーション)
弥生みつき(逆襲のシャア チェーン・アギ)
曽我部和恭(破裏拳ポリマー 鎧武士)
内田稔(俳優・吹き替え)
大塚周夫(ゲゲゲの鬼太郎 ネズミ男)

特に作画が評価されていて、同期(1987年)のテレビアニメでいくと、「シティーハンター」や「きまぐれ☆オレンジロード」、映画でいけば「ルパン三世 風魔一族の陰謀」「ドラえもん のび太と竜の騎士」
なんかと一緒。当時の中では、神作画と言えるでしょう(今見ても、わりと度肝を抜かれます)。

アニメ自体が面白いかは、それぞれの見方があるでしょうが、アニメ史に残る作品として、1度は観ておくのも良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、観た感想としては、「こりゃ売れんわな(苦笑)」というもの。

凄い作品だというのは、誰でも感じる。でも、終始暗く、静かで、難解。ストーリーを重視する見方をする自分としては、正直、退屈だった。3回、寝落ちをした。

総製作費8億円に対し、配給収入は3億4700万円に終わったのも頷ける(ただし、ビデオなどの売り上げがよく、15年をかけて、総製作費を回収)。

でも、この作品には、大きな価値があると思う。特に、今の若い人にオススメしたい1本である。

私の感想を書く前に、まずは、当時の巨匠達がどう評価しているか(以下、Wikiから引用)。

シド・ミードさんやマイケル・ビーンさんらは{netabare} 「素晴らしい映像美」を高く評価した。{/netabare}

宮崎駿さんは、{netabare}金のない無名の若者たちが集団作業で作る姿勢に好感を持って応援し、完成した作品にもある程度の評価をしているが、劇中のロケット打ち上げのシーンで将軍が簡単に打ち上げを諦めたことや、主人公以外の努力してきた年配者を描かないことを批判。{/netabare}

安彦良和さんは、{netabare}「全然素晴らしいとは思わない。何のメッセージもない。ただ映像は素晴らしい。誰がやったんだこんなとんでもない作画。そういうことをやって何を言いたいんだっつったら、地球は青かったって言うんですよ。それガガーリンだろ、50年代だろ、ふざけんな(笑)。青いの当たり前じゃない、みんな知ってんだよ。それが物凄い気持ち悪かったんですよね。こんなに無意味なもの、これだけのセンスと技術力を駆使して表現しちゃうこいつら何なの?って」と、厳しい言葉を交えつつも評価している。{/netabare}

押井守さんは、{netabare}「本格的な異世界ファンタジーをちゃんとやりきれたフィルムなんて数えるほどしかない」と述べ、アニメでの例として『風の谷のナウシカ』とともに本作を挙げている。{/netabare}

これらの指摘は、全部正しいような気がする。

私はこの作品を観て、「ただ世界を描きたかっただけ」だと思った。

この作品のストーリーは、「やる気のなかった主人公が、宇宙船を作って、宇宙に行く」というだけ。そして、その「宇宙に行く」ということすら、「何のために」ということが欠けている。きっかけは女のためだったし、宗教や哲学的なことが絡んでくるが、深くは語らない。

この作品を読み解く前提は、「宇宙に行く」=「アニメを作る」だと思う。

本作の世界観の中で、有人宇宙飛行に対し、即物的なメリットは示されない。人工衛星などはすでに実用化され、その利益を得てはいるが、有人である必要はない。ただの浪漫、趣味、道楽であると言っても良い。

アニメというものも、そういうものだと思う。別に今すぐなくなったって、世界はちゃんと回っていく。

そういう「無駄なもの」に、命を懸けて、全ての時間と情熱を傾ける、価値を求めるのが、主人公のシロツグであり、庵野秀明さんをはじめとした、ガイナックスの面々なのだろう(シロツグやその仲間、ガイナックスの面々はほとんど、20代)。

つまり、極度の厨二病で、極限のオタク。

現に、ロケット打ち上げ段階で敵に攻め込まれ、「命」か「打ち上げ(宇宙)」かの選択を迫られた時、年寄り(53歳)のカイデン将軍は、こう言う。

「やむを得んだろう。悔しいのはワシも一緒だ。今度こそは上手くいくと思ったんだがな。仕方がない、引きあげよう。くだらんことだ。命を懸けてまでやって割りが合うようなもんではない。諦めよう。」

それに対し、シロツグはこう返す。

「ちょっと待ってくれ。俺はやめないぞ。なぁにがくだらないことだよ。ここでやめたら、俺達なんだ? ただのバカじゃないか。ここまで作ったものを、全部捨てちまうつもりかよ? 今日の今日までやってきたことだぞ? くだらないなんて悲しいこと言うなよ、立派だよ。みんな歴史の教科書に載るくらい立派だよ。俺、まだやるぞ! 死んでも、上がってみせる! 嫌になった奴は帰れよ! 俺は、まだやるんだ! 充分、立派に元気にやるんだ! 応答しろ!」

このシロツグの演説中、うつむいていた老人達は顔を上げる。演説直後、若者で現場に立つものは、「電圧いける!」「油圧充分!」「ポンプ、やれる!」と、「自分の判断で」打ち上げを強行する。それにつられ、老人達も動き始める。そして、カイデン将軍は「やってみるか」と、心を動かす。

この場面は、あからさまに「(アニメ界における)若者と大人達」が意識され、自分達若者がアニメ界をリードしていくというガイナックスの意気込みが感じられる。と同時に、上の世代を否定する、挑戦状でもある(ちなみに、宮崎駿さんが「主人公以外の努力してきた年配者を描いていない」と強く批判した場面でもある。ちなみに、唯一、努力した年配者であるグノォム博士は、早々と無意味に死ぬ)。

そして、ロケットは宇宙に飛び立つ。

この作品には、「意味のないもの」がたくさん描かれているが、私には、ガイナックスの面々が「描きたいものを、ただ描いているだけ」に思えた。写実主義的であると言っても良い。

数えきれない墓標。煩雑で猥雑な街並み。宗教にどっぷり漬かる少女。過去の打ち上げを失敗を嘲笑う若者。美しい雲の上の世界や、星空。仰々しい儀式。やたらとリアルに揺れる、乳首丸出しのおっぱい。戦車や戦闘機といった戦争の道具。

それら全てが生きる上で必要不可欠かと問われれば、そうでもない。世界は実に無駄に溢れている。

押井守さんは本作を「本格的な異世界ファンタジーをやりきった」と評価している。

それは多分、世界にあふれる無駄なものを、正しく描写しているからだ。例えば、ポーカー風だが謎のカードゲームに興じたり、本が縦開きだったり、カメラのフラッシュがおでこに付いてたり。そんな細かいことろまで、「異世界」なのだ。ストーリーにはなんの貢献もしない、無駄な部分にまでこだわる、狂気。

その「無駄なもの」の極致である、「有人宇宙船」が宇宙に飛び出す瞬間、敵も味方も全員がその姿に見惚れ、戦いを止めた。たとえ一瞬だとしても。

宇宙船が離陸する時の描写なんて、あれを手描きで作ってるんだから、狂気以外の何者でもない。完全に自己満足の世界だ。

最後に、シロツグは宇宙で述べる。

「地上でこの放送を聞いている人、いますか。私は、人類初の宇宙飛行士です。たった今、人間は初めて星の世界へ足を踏み入れました。海や山がそうだったように、かつて神の領域だったこの空間も、これからは人間の活動の舞台としていつでも来れる、くだらない場所になるでしょう。地上を汚し、空を汚し、さらに、新しい土地を求めて宇宙に出ていく。人類の領域は、どこまで広がることが許されているのでしょうか。どうか、この放送を聞いている人、お願いです。どのような方法でも、かまいません。人間がここに到達したことに、感謝の祈りを捧げて下さい。どうか、御許しと、憐れみを。我々の進む先に暗闇を置かないで下さい。罪深い歴史のその先に、揺るぎない、1つの星を与えて下さい。」

このあと、これまでの地球の歴史、人類の破壊と発展が一気に描かれる。

数多ある工業技術や科学技術。芸術作品なんて最たるものだが、人は、なんの役にたつか分からんものを作っていても、それが誰かの心を動かし、人類は歴史を紡いできた。

「宇宙飛行=アニメ制作」とした時、この作品、特にラストシーンは、「無駄なモノを作っている自分達は、無駄じゃない」という物凄い自己愛、自己憐憫に溢れている。

実にオナニー的である。

こういう作品は(絵でも音楽でも映画でも)、大衆にはウケない。売れない。

私自身、大衆的な感性の持ち主なので、シンプルに楽しめなかった。だから、☆は3止まり。

でも、芸術とは元来、自己愛に満ち、自己憐憫的でエゴイスティックなものだと思っているから、彼等の創りたかったものは、コレで良いのだと思う。そして、後世に残っていくモノって、そういうモノであることが多い。

何を感じるか、あるいは何も感じないかは、受け手の自由。何を作るかは、作り手の自由。

安彦良和さんの皮肉混じりの評価には、ある種の侮蔑と羨望があるように思う。

私はこの作品を楽しめなかったが、1アニメファンとして、この作品に出会えたことは感謝したい。

あと、「やっぱりオッパイにこだわりがあった」。

と軽く韻を踏んで、この映画くらい長くて退屈なレビューを終わりにしよう(最後の感想が、それ?)w
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 28
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

マナの微笑みの意味を考察すると、答えが見つかる気がします。

 月とライカと吸血姫を見て、久しぶりに見たくなって再視聴しました。

 正直申し上げて、面白いかといわれれは面白いですが、エンタメ性はそう高いものではありません。作画の凄さがあるのでアニメ作品として見ると驚きはありますが、それはあくまで中身があってのことです。

 で、中身です。テーマは、ちゃんと物語で語られていると思います。アナロジーというか直接述べていない部分があって、分かりづらいところはありますが、神と人類の罪である火。それをリイクニと宇宙開発で表現した映画と言えるでしょう。


 内容についての解釈です。{netabare} さて、本作の最大のポイントは後半半ばくらいでリイクニの妹、マナがシロツグに向かってニコっと笑う場面ではないかと思っています。

 シロツグは当初は恐らく不純な動機でリイクニに近づき、カッコつけというかいところを見せようとパイロットを目指します。

 リイクニの純粋さだと思いますが、シロツグはリイクニに心を惹かれて行きます。と、同時に宗教に傾倒してゆきます。

 シロツグは宇宙飛行士としてもてはやされると同時に、宇宙計画の意義について問われます。この時、シロツグは教会の天井にある神の姿を模したステンドグラスを見上げます。彼にとっての意義は宇宙に行くことそれ自体だったのでしょう。ですが、問われてみれば、神の教えと自分の行動の矛盾に気が付いたのかもしれません。

 そして宇宙計画には膨大な予算が必要で半分の金額で飢える人を3万人救えると言われます。シロツグは教会の前にたむろしていた貧民にお金を投げつけます。つまり、この段階では彼は自分を肯定しきれていないということでしょう。

 その直後、リイクニとともにビラをまきます。ここが彼の悩みを表現していたのかもしれません。本当に宇宙に行くことが正しいのかという自問自答。あるいは神に許しを乞うていたのか。

 ですが、ここで小さな出来事が起きます。今まで敬虔で穏やかだったリイクニが、雨に濡れてイライラしていたのでしょうか。マナに対して一般の小うるさい母親のように小言を言います。そして、靴からお金がこぼれるという描写がありました。これがシロツグにとって、リイクニもやはり普通の女性であるということが解ったのでしょう。有名なレイプ未遂のシーンになります。



 そして、その後のリイクニの反応は狂気でした。シロツグに対しシロツグは悪くない悪いのは自分だ、と理屈にならない理屈を述べます。恐らくここでシロツグはリイクニの異常性に気が付いたのでしょう。そして狂信的に宗教にのめり込むことについて恐らく疑問をもったのでしょう。

 多分、ここでだったら神というものを確認するために、あるいは人類の罪とは何なのかを確かめるために、宇宙に行く決意を固めたのではないか、と思います。

 マナは別れを告げにきたシロツグに対し微笑みます。それが恐らく答えなのでしょう。リイクニに対して一切笑わなかったマナの微笑みの意味はリイクニの否定、シロツグの肯定と取れます。
 
 最終的にシロツグの宇宙からの問いかけの意義については、まあそれぞれが何を思うかでいいと思います。

 リイクニが最後に言葉を止めて空を見上げたのはなぜでしょうか。シロツグが空にいることを思い出したのか、それとも自分の行いに初めて疑問を持ったのか。{/netabare}

 テーマが深いかといわれると、実はそうでもないです。「2001年宇宙への旅」を初め文明の進化についての映画など腐るほどあります。ただ、SF設定の凄さは持ちろんですが、キャラ造形が良いのと、物語とテーマの関係がすごく自然で脚本のうまさが光っていると思います。

 前半ちょっと飽きる部分はありますが、後半からどんどん面白くなって行きました。ただ、再視聴のハードルは高いですね。前回見たのは10年以上前だと思います。

 アニメそのものの凄さは語りつくされているので、これくらいでいいでしょう。1点だけ下衆な話で申し訳ないですが、リイクニのヌード。すごい美しいスタイルでした。さすがガイナックス、力の入れどころを間違えません。


追記 肝心なところを書き忘れました。初見のとき、リイクニの売春的なものを疑った記憶があります。家を失いおじさんにコートを貰った、良くしてもらっている。そしてお金をばらまきますからね。しかも、シロツグが拗ねていました。シロツグには手をつなぐことにすら拒否したのに…と。その直後にレイプに踏み切った、という動機から考えてもそう採れなくはありません。

 ただ、現在はそうではないと思っています。リイクニは電車に乗っていましたから、文明の恩恵を全否定していないし、お金も使っています。それに彼女の宗教的な純粋性を否定してしまうとテーマがぶれる気がしました。どちらが正解かはわかりませんが、キャラを読み解くとやっていないのが自然な気がします。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ン十年前の若き才能を乗せ、高らかに羽ばたいたオネアミスの翼!!

自分にとって、大変思い出深いアニメである。

私が漫画やアニメに触れたのは、ひとえに家族の影響だ。
母は漫画を描くのが好きで、松本かつぢや岡本一平(古っ;)ばりの画力の持ち主だったし、画力こそ皆無であったが、父は漫画雑誌「アクション」を定期購読し、「どん亀野郎」等、趣味の良い珠玉の漫画単行本を所蔵していた。
そんな両親の影響を受けてか、子である私たち4人姉妹も、マンガ本を買い漁っては読み回していたのだ。

「私、アニメーターになるっ!」宇宙戦艦ヤマトにインスパイアされた長姉は、ある日、鼻息荒く高らかに宣言した。当時アニメーターは、子供がなりたい職業のNO.1であったこともつけ加えておこう。
とはいえ、アニメはまだまだちびっ子の観るべきモノだった時代、思春期になりたての姉は恥ずかしさを隠すためか、まだお尻の青みもとれていない3番目の妹である私を、アニメ映画が上映している映画館へ連れ回した。
長姉には逆らえなかったが、内心、私はそれがイヤでイヤでたまらなかった。地元の映画館は吐き気をもよおすほど臭くて、ゴキブリが肩に止まったコトもある位の汚らしさだったのだ。それにそもそも、姉の観たいアニメ映画は、ちびっこ向けの内容では無かったのである。
当初はイヤイヤ連れ回されて観るアニメ映画だったが、物心がついてくるに従い、アニメの素晴らしさに目覚めていった。
前置きが長くなったが、本作「王立宇宙軍オネアミスの翼」は、そんな私がイヤイヤではなく自分の意思で、初めて観たアニメ映画だったのである。

アニメがお子様向けのみならず、大衆文化へと変化する黎明期。
昨日までアニメーターのバイトをしていた大学生が、いきなりTVシリーズアニメのキャラデザをまかされて、花形アニメーターとして羨望を集めちゃったりしていた時代だった。
うちの長姉のみならず、多くのアニメ好きの若者が、そんなシンデレラを夢見たのであろう。。本作「オネアミスの翼」は、まさに夢見る若きアニメーター達を乗せて羽ばたいたのだ!!
監督の山賀氏を始めとして、ナンとスタッフの平均年齢24歳。当時の若き才能が集まり、NASAまでロケハンへ行き、執念といえる程の情熱が込められた本作、否が応にも数々のアニメを見慣れた私が口をアングリ開けるほど、作画は当時の最高峰で本当に素晴らしかった。
だがその内容は。。アニメ好きとはいえ、胸もペッタンコ(今もだが;)だった私には、面白味も感動(スゲー作画以外は)も、何も得られなかったのが正直なところだ。

思うに大人向けのアニメだったのである。
それも本当の大人ではなく、夢いっぱいで青臭い情熱に満ちた、大人の入り口に立ったばかりの。。そんな作品に、思春期も迎えていない少女が共感できるワケがない;
今、観直しても無理だろう。だってもう、大人の入り口なんか、とっくにスルーしちゃったから;;
じゃあ、本作を今の若者に。。ともいえない。
ン十年前の若者が作ったアニメは、作画のみならず内容もキツイと思えるからだ。もし共感してくれるなら、それも面白いけど。。

長姉の影響で、「じゃあ私もアニメーターになるぅ~」と無邪気に触れ回っていた私だったが、映画館を出る頃には、アニメーターはムリだと自覚した。アニメーターになる!と高らかに宣言していた姉も、社会に出て普通の会社員である。
。。そんなワケこんなワケで、自分にとって大変思い出深いアニメなのだが、さして評価できる作品でもない。
唯一、作画がスゴかった(当時)ので、★3.5にしとこー。

申し訳程度に追記しておくと、オネアミスの翼に乗った若き才能は、ちゃんと高らかに羽ばたいている。
興味のある方はウィキってみてください♪

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

66.5 2 ファンタジーで姉妹なアニメランキング2位
テイルズ オブ ヴェスペリア-Tales of Vesperia(アニメ映画)

2009年10月3日
★★★★☆ 3.9 (187)
1046人が棚に入れました
人と魔物の大きな戦い「人魔戦争」終結から数年。人々は根源たる力・エアルによって、繁栄を築き上げようとしていた。帝国騎士団ナイレン隊に所属する新人騎士のユーリとフレンは、先輩である双子の姉妹騎士ヒスカ、シャスティルとともに、シゾンタニアの町を守る任務に就いていた。しかし町にほど近い森でエアルが異常噴出し、凶暴な魔物が増殖する事態が発生。これを深刻に受け止めたナイレン隊長は、独自調査を開始する。

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

販促作品としての役割を全うした・・・と思いますが、続きが気になります!

この作品の原作は未プレイです。テイルズ オブ エターニア、テイルズ オブ ファンタジア、テイルズ オブ ジ アビスに続く第4作目のテイルズ作品・・・だと思っています。

物語の舞台は、テルカ・リュミレース・・・この世界ではそれぞれの街が、地下に眠る世界が最初に形作られた際の余剰エネルギーであるエアルを吸収して作動する魔導器よって結界を張り、魔物の侵入を防いでいます。
大半の人々はその結界から出ることなく生涯を全うするとか・・・

この物語の主人公は辺境の騎士団に所属する青年ユーリ・ローウェル・・・その騎士団には幼馴染のフレン・シーフォも一緒なのですが、自由奔放なユーリとは真逆な性格の堅物である事も手伝って顔を合わせる度に喧嘩ばかり・・・
そんな二人を何かと気にかけるお姉さん的存在が、先輩騎士である双子のシャスティルとヒスカ・・・
そして隊長さんが、部下や市民から慕われている質実剛健なナイレン・フェドロック・・・が主要な登場人物です。

この世界では、エアルによる魔導器の恩恵を受けていますが、それはエアルと魔導器の需給バランスが取れているから・・・
だからバランスが崩れると当然恩恵も受けられなくなる訳ですが、バランスの崩れ方によっては最悪の事態を迎えてしまう・・・そんな諸刃の剣でもあったんです。

予兆はありました・・・決して手をこまねいていた訳ではありません。
ただ、魔導器は古代の遺産であり現代技術では全容が解明できず、どうしても調査に時間を要してしまいます。
そしてコップから水が溢れるようにエアルの量が増大し・・・様々な突然変異を起こしながら物語が大きく動いていきます。

最初は騎士団の軍用犬であるランバードに・・・
ランバードはとても忠実で賢い軍用犬でした。魔物退治の際に部隊を支援するなど働きも上々・・・
だから軍用犬でも騎士団のメンバーにとっては大切な家族も同然なんです。
そんな忠犬にもエアルのまるで毒の様な牙は全然容赦なんてありませんでした・・・
たくさん名前を呼びました・・・
いつもなら二つ返事で反応があるのに・・・
その決断・・・心が痛みました・・・

悲しみの・・・最悪の連鎖は止まりません。
魔導器の使用にも支障をきたす様になってしまったのです。
この事態が更に深刻化すると、街を守っている結界そのものが消滅してしまう・・・
そしたら、魔物が一声に街になだれ込んでくる・・・

諸悪の根源を絶つべく立ち上がった隊長・・・
この先にどんな困難が待ち受けているか、きっと皆んな察しがついています。
それでも守るために立ち上がる騎士たち・・・
この雄姿は本当に格好良かったと思います。

ここから物語はクライマックスに向け駆け抜けていくのですが、やはり順風満帆ではありません。
得たモノに対する代償・・・とても等価だとは思えませんでした。
気になる方は是非本編でご確認下さい^^

約2時間弱の作品でしたが、物語は綺麗に纏まっていました。だけど、これがRPGなら正直世界観はあまり広くないなぁ・・・と思っていましたが、エンディングを見てそんな思いは吹っ飛んでしまいました。
これまで見たことのないキャラや乗り物が次々と出てくるじゃありませんか・・・
面白そうなカットの連続に「こんなの隠してるのってズルい・・・」と思っちゃいました。
このエンディングを見たら誰だって続きが気になると思います。
・・・と思っていたら、この劇場版はゲームの始まる前の出来事が描かれていたそうです(wikiより)。
どうりで見た事の無いカットが続くわけだ・・・^^;

引き続き「テイルズ オブ シンフォニア」を視聴したいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

でんでん虫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

事件は現場で起きてるんだ!!(青島)

 主人公ユーリが騎士団にいた頃の話。上の指示に従うだけでなく、現場での判断も時には必要だという内容。後のユーリと友のフレンの行動に影響していると思われる。
 後付けの設定にしてはそこそこ良いものに仕上がっていた。多少つっこみたい個所があり原作との矛盾もあるのだが、まぁギリギリ無視できるレベル…か?そこはあまり言及しないでおこう。この作品はゲームをプレイしてから見た方がいいかな。
 カロル、ジュディス、パティは話に出てこない。しかしカロルはちょこっとだけ出演しているから探してみよう。

以下ゲーム紹介


「正義」を貫き通すRPG

 魔導器(ブラスティア)に頼りきった世界を改革しようと奮闘する話。ブラスティアを使うにはエアル(エネルギー)を消費するのだが、それの使いすぎで世界に悪影響を及ぼしてしまう(言わば温暖化のようなもの)。主人公達は魔導器を捨て、それに頼らない世界を作り上げようとする。一方、ラスボスは魔導器を使うのは人間であるので、人間をすべてを消すことで世界を救おうとする。まぁテイルズらしい展開だ。

・ユーリ:ダークヒーロー。国のやり方に不満をもっており、外から変えようとしている。法を破り、自らの手を汚してでも虐げられている人々を救おうとする強い正義感の持ち主。後に民間組織であるギルドを結成する。
・エステリーゼ:王族の血筋で博識の持ち主。困っている人を見かけたら助けようとする放っとけない病患者。
・カロル:ギルド側の少年。臆病者であるが、主人公達との旅で成長していく。
・リタ:ツンデレ天才魔導師。誰よりも魔導器を愛している。
・ラピード:犬。
・ジュディス:歩く18禁。ある目的で旅をしている。
・レイヴン:謎のおっさん。
・フレン:騎士団に所属しており、国を中から変えようとしている。
・パティ:謎の少女。

 リタの家の引き出しの中身ってなんだったんだろう。きっとエッチなものに違いない(´∀`)9 ビシッ! 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

だわさ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ゲーム原作作品ではなく、ゲームのシナリオの0話のポジ。

テイルズオブヴェスペリアと言えば、主人公ユーリローウェルが絶大な人気を誇っている。
テイルズシリーズ通して、3回連続人気キャラ投票1位を貫いたキャラは初めてだったんじゃないかな。
そんなモンスタータイトルにはファンもそれなりについている。はず。
さて、この作品の内容は・・・
テイルズオブヴェスペリアの、ゲームストーリーの少し前の話。
アニメでいう「0話」みたいなポジ。
ゲームを遊んだ人はもちろん、初見の人も意外と楽しめる内容になっている(と、思う)。
俺の場合はゲームやったからいろいろキャラ背景が透けて見えて面白かった。満足満足。
ゲームはこの作品の後から綺麗につながるストーリーになってるから、気になった人はやってみたらいいかも。
物語のテーマは「正義」だったと思う。そんな少年ジャンプの3本柱かよっていう明確なテーマだけど、
これがなかなか難しいところまで踏み込まれる。まあ、それはあくまでもゲームの本編の話。
あとは・・・まもさんの演じる頭固い系の正義お兄さんがなかなか見もの。
テイルズスタジオ解散とかいろいろヒヤヒヤさせられたけど、
頑張ってくれよテイルズ!また出たら買うから!絶対買うから!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

65.1 3 ファンタジーで姉妹なアニメランキング3位
魔女っこ姉妹のヨヨとネネ(アニメ映画)

2013年12月28日
★★★★☆ 3.8 (116)
738人が棚に入れました
その時代その国には、魔法や呪いをかけたり解いたりすることを生業とする 人々がいました。その時代の魔の国。樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を日々解決していました。そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています。それは、22 人が住む魔の国にはないはずの、現代的な高層マンションだったのです!さっそく調査にあたるヨヨさん。建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、不思議な光に包まれて……。ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、自宅へ逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは……何と“化物”になってしまった両親の姿でした!目の前の出来事が信じられない孝洋たち。そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。「これは……呪い!!」異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!!かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの不思議な冒険が始まるのです!!!!

声優・キャラクター
諸星すみれ、加隈亜衣、沢城みゆき、櫻井孝宏、佐々木りお、子安武人、中川翔子、長克巳、本田貴子、氷上恭子
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

ほいっ!

 あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 初見でした。100分くらいの子供向けの魔女っこファンタジー。
 生と死を軸として信じる心を問う作品、ってところですかね。あまり有名ではない作品のような気がしますが、もっと評価されていい作品だと思います。大人でも感動できる秀作に仕上がっていました。


もう少し子供への配慮を:{netabare}
 魔法の触媒の影響で魔の国に異変が起こる、というオープニングテーマ直後のシーンなんですけど、こんな感じで描かれていました。「触媒をまじまじと見る」→「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」→「会話」→「異変が起きる」
 この流れがちょっと不親切に感じました。触媒が光ったことが原因で異変が起きるんですけど、会話の当事者の誰もが触媒の光に気付かないんです。会話に気を取られたとはいえ、目の前に置いた触媒は露骨に光りますからね。何で誰も気付かないの?と違和感を感じてしまいました。

 普通こういうシーンでは、触媒を少し離れたところに置くとか全員が触媒から目をそらすカットを入れるとか、「登場人物は触媒を見ていないから、その光に気付いていませんよ」っていう説明をきっちり入れると思います。これによって「登場人物は知らないけど、視聴者は手掛かりを持ってるよ」という両者の情報ギャップが生まれます。

 この情報ギャップって、この作品に限らずかなり大事なものだと思います。視聴者は物語の概観が分かりませんから、どこを手掛かりにストーリーを追えばいいのかも分かりません。そこで、視聴者と登場人物の間に情報ギャップを生じさせることで、視聴者に「登場人物がいつそれに気付くのか?」という指針を与え、ストーリーの展開を予測させるのです。
 第一話が見終わっても、この作品は何をしたいの?なんて疑問が生まれてしまう作品は往々にしてありますが、その多くはこの「視聴者に予測させる」って視点が欠けているからなんだと思います。

 こういう情報ギャップって、ごく普通に使われているためにほとんど意識することはないと思います。例えば、名探偵コナンなら「犯人側の動きを見せる」だし、エヴァなら「ゼーレの会話を入れる」だし、戦争ものなら「敵国の動きを見せる」って感じですね。たったこれだけで「主人公たちは知らないけど、私たちは知っている」情報が生まれます。私たちが知っている情報に対して主人公がどう向かっていくのか、すなわち、どのように情報ギャップが埋まるのかっていうのがストーリーの理解に役立っているってことですね。

 で、この作品では出来てないって話ではありません。仕事の依頼人の顔が視聴者にはしばらく分からないんですけど、これも情報ギャップとして機能しています。「登場人物たちは知っているけど、私たちは知らない」っていう前掲の逆パターンで、「私たちがいつ知ることが出来るのか?」をフラグとして機能させるものです。つまり、私が言いたいのは「出来てない」ではなくて、「子供向けとしては不親切だ」って話です。
 触媒が光った後に会話のシーンがあるので、会話に気を取られて触媒を見ていなかったんだな、という理解は可能なんですけど、理解に労力を使ってしまうせいで予測が不十分になってしまいます。もちろん大人は理解した上で予測も出来ると思いますが、子供には理解するのが精いっぱいかも知れないな、とも感じました。子供に順序良く説明するって姿勢がやや欠けている気がしたってことです。子供向けの映画を作るのなら「大人が分かる」レベルではなくて、「子供にも分かりやすく」って意識の方が重要だと思います。
 これは単なる一例に過ぎませんが、信じる心が大事っていうメインテーマもちょっと分かりづらかった気がしました。
{/netabare}

話の進め方はかなり上手い:{netabare}
 上記の話っていうのは、正直言っていちゃもんレベルです。平たく言うと「触媒を目の前に置く」→「触媒が光る」の間にある「目をそらす」っていうのをもっと子供に分かりやすくしろってだけの話ですからね。大人向けの作品ならあの描き方で十分ですし、あのシーンのみをもって作品の質がどうこうって話でもありません。
 ただ、平尾隆之監督の作品を見るのはこれが初めてでしたので、こちらとしてはどんな監督なのか探ろうと細部まで目を凝らしますし、子供向け作品に必要な子供への配慮のところは優先的な確認事項になりますからね。


 じゃあ、この監督の話の作り方がヘタなのかって言うと、そんなことはありません。大きな流れも小さな流れも、話の進め方自体は非常に上手い監督だなと思いました。

 魔の国からこっちの世界に飛んで来て、「違う世界に来ちゃった!」と気付くシーンがあります。
 多くの作品では、飛んで来た直後にパノラマで別世界の景色を見せて「違う!」とやってしまう気がします。飛んで来たタイミングと気付くタイミングを一致させるのです。

 この作品ではちょっと凝ってて、「子供たちを追ってこっちの世界にやってくる」→「消火器を魔法のホウキ代わりにして追いかける」→「追いついた後に家の中で会話する」→「消火器に掛けてた魔法が解けて、部屋中に煙が充満する」→「『窓開けろ!』から外の景色を見て『違う世界に来てる!』」てな感じになっています。
 ここでの「子供たち」っていうのが主人公ではない主要人物なんですけど、主人公と主要人物の出会いのシーンと異世界に来たことに気付くシーンが、ぶつ切りにされずに綺麗につなげられています。オープニングではこれでもかとホウキで空を飛ぶシーンが描かれていますし、そこからもつながりを感じられます。
 また、このシーンからは、主人公の性格も分かりますよね。状況確認を優先する冷静沈着型ではなくて、考えるよりまず行動するタイプだったのが伝わってきます。話をスムーズにつなぐだけでなく性格付けまでしているわけですから、素直に話を作るのが上手い監督だなぁと思えました。

 小さな話の流れだけじゃなくて、大きな話の流れも上手かったですね。魔の国の死生観とこっちの世界の死生観が違うっていうのが、テーマ的にもストーリー的にも重要な要素になっているんですけど、ここも段階を踏んで綺麗に作られていました。
 主人公のヨヨが交通事故から小さな子を助けた後に、そのお母さんから感謝されるシーンがあって、このときヨヨは「なんで感謝されるのか分からない」と言っていました。こっちとしては感謝して当然の場面ですから、そんな感想を持ってしまうヨヨの方が分からない、というしこりが残ります。
 この後の魔の国のシーンで、いとも簡単に死者蘇生がなされます。そのため、「魔の国では死が重たくないんだ」という解答を得ることができて、件のしこりが解消されることになります。この後の展開は、こっちの世界での死に触れて、生に触れて、そして…って感じに流れますが、ネタバレが過ぎるのでここまでにしておきます。
 まず疑問を持たせて、次にそれを解消して、疑問が溶けているのに「この後どうなっていくの?」と感じさせるこの展開の仕方はお見事でした。
{/netabare}

山場がちょっと弱い:{netabare}
 これ100分くらいの作品なんですけど、最終局面に入ってからが40分くらいあります。感動を作るスローテンポな部分も含まれていて、それ自体は非常に良いんですけど、全体としては冗長な感じを受けました。
 子供向け作品には終盤のアクション要素って大事だと思います。子供の集中力ってそんなに長くは続かないですから、子供に気を引かせるための派手なアクションは欠かせません。大人ですら冗長な感じを受けたのなら、子供には尚のこと退屈だったかもしれません。

 で、この作品のアクションは序盤から空を飛びまくっているのもあって、結構派手で楽しいです。でも、ずっと同じ派手さではメリハリが無くなって息切れしてしまうっていうのもありますよね。しかも、終盤のアクションはビルをよじ登るっていう地味なシーンに尺が取られていますし、感動シーンはスローテンポだっていうのもあってかなり失速してしまったような気がします。

 個人的には、あのロボットにもっと活躍してもらうか、歌のシーンを入れて欲しかったです。
 ロボットの活躍はちょっと地味でしたよね。もっと街を破壊してもいいのではないでしょうか。子供向け作品とはいっても遠慮はいらないと思います。ポケモンでもドラえもんでも、人的被害の無い破壊シーンは結構派手にやってますからね。
 それか歌ですね。序盤の歌のシーンは、かわいくて楽しくてすごく良かったです。魔女っこもので序盤に歌を入れたのなら、最後の締めも歌で盛り上げちゃえばいいんじゃないの?と思いました。あれだけ楽しませられるのに序盤だけってのももったいないですからね。
{/netabare}

雑記:{netabare}
 平尾隆之監督って本作が監督デビューではなくて、「空の境界 矛盾螺旋」っていう作品を撮っているみたいですね。私は見ていないので分かりませんが、タイトルから察するに子供向け作品ではないと思います。平尾隆之監督が今後も子供向け作品を続けるかどうかは分かりませんが、小学生以下の子供をターゲットにした作品を撮るつもりなら、もっと分かりやすさを意識して欲しいかなぁなんて思います。

 なんか文句ばっかり書いているように思われるかもしれませんけど、決して文句が言いたいわけではありません。冒頭でも述べましたが、作品全体は良いものに仕上がっていますし、私は結構楽しめました。子供向け作品にはそれなりの気の使い方をすべきだっていう私の個人的な思いを述べているだけですからね。大人向け作品は相当良いものが作れそうだな、と思ったのは事実なので、次は続き物じゃない大人向け映画を見せて欲しいかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

最高!最高!!最高!!!老若男女問わずして、この映画の魔法にかかって存分に癒されて下さい!\(^ω^)/ホイ!(^人^)

原作はイラストレーターの「ひらりん」がCOMICリュウに連載していた漫画『のろい屋しまい』
漫画自体は割りと殺伐とした絵柄と内容なのですが、この『のろい屋シリーズ』は連載終了後も派生作品が作り続けられ、【絵本や児童文学】といった非常に多岐に渡る展開を見せており、コアな漫画ファンのみぞが知るところならぬ多くの世代から支持される作品なのです










この物語の主人公は幼い姿をしながらも絵本級大魔法使いと謳われ、底なしの魔力を持ち、33歳で世界を征服するであろうといわれる“ヨヨさん”
そしてヨヨさんが好きで好きで堪らない努力家の最優秀お手本級魔法使いの“ネネちゃん”
二人は姉妹で「かけます ときます のろい屋」をキャッチコピーに魔法や呪いが現実に存在する『魔の国』で『のろい屋』と呼ばれる職業を営んでいます


ある日のこと、魔の国に突如として高層マンションを抱え込んだ大木が姿を現し、それを調査していたヨヨさんはエレベーターに閉じ込められ、そのまま現代社会の日本、横浜へと転移させられてしまいます
ヨヨさんが現代社会で最初に出会った少年“孝洋”と幼い女の子“亜紀”の家族に起こった呪いと思われる不思議な事件を解決すべく、ヨヨさんはのろい屋として仕事を引き受けます
一方のネネちゃんはなぜ魔の国に現代社会の建造物が現れたのか?ヨヨさんが元の世界に戻る方法はあるのか?、を魔の国の側から調べていきます
二つの世界に裂かれた姉妹の絆、やがて明かされていく事件の真相のスケール感
老若男女ヒトを選ばない魅力は“いま最もジブリに近い作品”と言えるでしょう
前半は笑いが、後半は涙が止まらない、そして最後は癒される、一大エンターティメント作となっています^^b










まず魅力的な原作をあえてスルーし、本当の意味で子供も大人も関係なく楽しめるように練りこまれたオリジナルストーリーが素晴らしい
特にサムネイルを拝見していただくとわかるよう、異世界に渡ってしまったヨヨさんの体を彼女の精神年齢を具現化したような中学生ぐらいに設定したことはナイスです


また、始めは異世界の出来事に興味を示さなかったヨヨさんの心境変化の描き方
クライマックスで絶体絶命の危機に立ち向かうヨヨさんのひた向きな姿勢もアツいみどころです


ヨヨさんを心配するネネちゃんとの姉妹の絆は涙を誘う場面でありますが、この辺りは原作を読んでいるとネネちゃんがヨヨさんを溺愛するワケなんかも解って感動倍増しますよ



監督には『矛盾螺旋』『ギョ。』『桜の温度』の平尾隆之
これまでの監督の作品は画面のほとんどが一色の色で統一されていました
矛盾螺旋では小川マンションの電灯の色で“オレンジ”
桜の温度では廃屋に振る月明かりで“ブルー”といった具合です
対して今作では森林の木々一つとってもピンクやライトブルーを豊かに織り交ぜた色彩で魔の国の姿を描いているのが興味深いところ
尚且つこれが“温かみのある色”で目にドぎつい感じにはなっていないのがイイ!


音楽には『ゴッドイーター』の以降の平尾作品の常連、椎名豪
今作では電子音、クルマのエンジン音、時計の音など効果音を楽曲の中に組み込む実験的な挑戦をしつつ
ディズニーよろしくミュージカル風に歌い出すヨヨさんが楽しげに歌う挿入歌から
そして物語後半を盛り上げる厚みのあるオーケストラやスピリチュアル風のコーラスまで
いや、盛り上げるというよりかヨヨさんの悲しみや憤りのスケール感を演出するのに一役買ってるんですよね、凄いんですよ
よく聞けば挿入歌こそが今作のメインテーマであり、BGMのほぼ全てのメロディラインが挿入歌に集約されてることに気付きます


キャストの熱演も素晴らしく、みゆきち、しょこたん、本田貴子さんは言うに及ばず、特にヨヨさん役の諸星すみれちゃんが目(耳)を引きます
この近年成長が著しい“天才”の起用は実にナイスセンスでしたb
2013年はシュガーラッシュといいコレといい、個人的にはすみれちゃんイヤーでしたわぁ・・・


兎にも角にもこの作品の全部を諸手を挙げて絶賛したいんです!\(^ω^)/
監督も大人向けに作ったつもりは無かったというものの、“アニメの面白さ”や“魔法への憧れ”といった原初的体験を思い起こさせる今作は、それらを忘れてしまったオトナの心にも響くんだと感じましたよ!
2013年における【ベスト映画】でした!間違いねー!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 40

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

かけます! ときます! のろい屋しまい!

この作品の原作は未読ですが、完全オリジナルストーリーだったみたいですね。
すみれちゃん、くまちゃん、みゆきちが出演されているのを知り、視聴が楽しみになった作品です。


その時代その国には…
魔法や呪いをかけたり解いたりすることを
生業とする人々がいました。

その時代の魔の国。
樹老長さんの森で、のろい屋を営む魔女の姉妹がいました。

のろい屋では、姉のヨヨさんと妹のネネちゃんが、
魔法や呪いに関する人々の悩みの依頼を
日々解決していました。

そんなある日、森に突然異形の大樹が生えてきました。
よく見ると、大樹は見たこともない建物に絡みついています…
それは、2人が住む魔の国にはないはずの、
現代的な高層マンションだったのです!

早速調査にあたるヨヨさん。
建物内で見慣れない人影を見つけて追いかけると、
今度は足元に謎の魔法陣が浮かび上がり、
不思議な光に包まれて…。

ヨヨさんが飛ばされた先は、見知らぬ異世界。
そこでヨヨさんは、孝洋と亜紀という二人の子供に出会います。
孝洋たちは突然目の前に現れたヨヨさんに戸惑い、
自宅に逃げ帰りますが、孝洋の自宅で待っていたのは…
何と"化物"になってしまった両親の姿でした。
目の前の出来事が信じられない孝洋たち。
そんな様子を見てヨヨさんは呟きます。
「これは……呪い!?」

異世界に迷い込んでしまったヨヨさんは、
まずは孝洋たちの両親を化物に変えた魔力の元をたどることにしました。
一方、魔の国に残されたネネちゃんは、魔の国と異世界で
起こっていることには何か関連があるのではと考え始めました。
魔の国と異世界に一体何が起こったのでしょうか!?
かくして、2つの世界をまたいだヨヨさんとネネちゃんの
不思議な冒険が始まるのです!!


公式HPのSTORYを引用させて頂きました。

少しボリュームのあるSTORYですが、この作品のポイントを的確にとらえていると思います。
主人公のネネちゃんは、元気いっぱいの女の子…すみれちゃんの声質も生き生きとしたキャラに彩りを与えています。。
何でも絵本級の大魔法使いなんだとか…

くまちゃん演じる妹のネネちゃんは、最優秀お手本級魔法使い…
姉のヨヨは無尽蔵な魔力の持ち主ですが、ネネちゃんは生まれつき魔力は多くありませんでした。
でも、努力家で魔法中学校を首席で卒業する頑張り屋さんなんです。

ネネとヨヨはとっても仲良しで、お互い思い合っているのが手に取るように分かるところも心地よかったですし高評価です。

ヨヨが飛ばされた異世界は、現代の日本みたいな感じ…
だから魔の国とは見た目からして大きく違うのですが、違いは見た目だけじゃなかったんです。
それは魔法使いの根幹にも関わる禁則事項…

全年齢対象の骨太ファンタジーなので、勧善懲悪的な展開は微塵もありません。
そう、最初は良かれと思って…それが人の役に立つから…幸せをおすそ分けしたいから…
きっとこれ以上の純粋な気持ちなんて無いくらいの場所がスタート地点なんです。
だけど、際限無い人間強欲が純粋な気持ちを汚していくんです。
そしてそれは気持ちから形へと姿を変え、きっちり本人に還元される…
所謂、この世の理というヤツでしょうか。
でもそれを不条理だと感じる人間を守るため全力で抗うのがヨヨさん…なんですよね。

一方、ヨヨだって万能ではありません。
それが在り方から異なる異世界ならなおのこと…
だからヨヨにとって今回の冒険は、貴重な体験になったことと思います。
命の尊さ…温かな心遣い…自分より他人を優先する心…
どれも魔の国じゃ体験できなかったことなのではないでしょうか。

アニメーション制作はufotableさん…
作画もしっかりうごいていましたし、本作品でも良い仕事してくれていますよ。

上映時間約100分程度の物語でした。
掛け値なしに面白い作品だと思います。
あにこれでの人気は決して高くはありませんが、もう少し評価されても良い作品なんじゃないかと思いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

72.2 4 ファンタジーで姉妹なアニメランキング4位
魔法少女リリカルなのは Detonation(アニメ映画)

2018年10月19日
★★★★☆ 3.9 (46)
267人が棚に入れました
人気アニメ「魔法少女リリカルなのは」の劇場版4作目で、前作「魔法少女リリカルなのは Reflection」とあわせた完全新作の劇場版2部作の後編。死にゆく故郷の惑星エルトリアを救うため地球に存在する「永遠結晶」を求めてやってきたキリエだったが、キリエは旅の同行者イリスに利用されていたことを知る。イリスの本当の目的は、永遠結晶の中で眠っている存在「ユーリ」への復讐だった。高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてら地球の魔導師たちは、イリスやユーリを止めるために戦いに身を投じる。

声優・キャラクター
田村ゆかり、水樹奈々、植田佳奈、戸松遥、佐藤聡美、日笠陽子、清水香里、真田アサミ、柚木涼香、一条和矢、ゆかな、阿澄佳奈
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

全力全開!魔砲少女大戦!!~東京クライシス~

小学五年生になったなのはたちが、滅びゆく惑星エルトリア絡みで起こる危機に、
時空管理局の一員として全力全開で対応する劇場版第三弾の後編。

前編に続いて公開後まもなく劇場鑑賞しましたが、
前後編で一年以上間隔があいたので、記憶をたぐり寄せながら戦いに挑みました。


魔法戦は相変わらずド派手でした♪
2ndまでのミッドチルダ式魔法&ベルカ式カードリッジシステムの融合に加えて、
特殊なナノマシンを肉体に取り込み能力を発現する
エルトリアの技術体系“フォーミュラ”も加わり、
空中戦はさらに高速化&高火力化。

それにしても、巡り会った強敵(とも)にぶつかる度、
リスクを恐れず体系ごと自らの魔導に取り込みどんどんパワーアップしていく
なのはさんマジ半端ないですw

代名詞の収束砲撃も“フォーミュラ”融合の効果か?
速射性が増して一層、危険度がアップしていてヤバイですw魔砲ゼロ式!?

界王拳やトランザムの如き、時限パワーアップの機能まで実装され
もはや一般的な魔法少女が纏うメルヘンな雰囲気は皆無w

なのはのバリアジャケットから零れる桜色の燐光が
私には段々ユニコーンガンダムに見えてきましたw
砲撃の発射音とか発射光とかはファーストガンダムだしw
来月新作公開の『ガンダムUC』はCGアニメ映画版『ゴジラ最終章』だけでなく、
『なのは』ともコラボすれば良いのにと思ってみたりw

バトルステージが東京と明言されたのも本作の特徴。
魔法戦が都市に実害を与えない&敵を捕捉するための結界ポイントが、
時空管理局により首都の要所に一方的に定められ激戦地に。
後でどうせ修復されるだろうと分っていながら、破壊されるビルや名所等を眺めていて、
私は呆然と口を開けつつ、このままだとオリンピックは中止だなと苦笑してみたりw


一方でシナリオは、多すぎる登場人物の想いが乱反射した前編の流れを引き継ぎ混迷ムード。
各々が主役級の葛藤を抱えており、断続的に感情が振り切れる訳ですが、
私は正直チョット感情移入が追い付かなかったです。
ぶつかり合うハートが極まる度に投入される挿入歌の歌合戦も乱戦模様でした。
エンディングクレジットで改めて主題歌&挿入歌の多さに驚かされますw


私としては、本作では八神隊長が若かった頃の活躍を堪能することを第一目標に、
目的意識を持って挑んだので比較的楽しめました。
「闇の書」もとい「夜天の書」の過去も垣間見ることができたのも収穫でした。

ただファン以外の方が優先順位を付けずに
乱戦に巻き込まれるのはチョットきついかも?とも思いました。


そんな中、最後に私の胸を打ったのは、
主人公なのはが抱えていた心情の吐露でした。

クライマックス……{netabare}激戦を終え、なのはが夢の中で、幼少の頃の自分と対話する中で、
文字通り命懸けで街を守り切ったと言うのに、
尚、自分を好きになれない?との主旨のやり取りを自己問答しているのに驚かされました。

見ていてふと、TVアニメ1期の第三話を思い出しました。
あの話でも、なのはは、{netabare}慣れない魔法戦に疲労する中、ちゃんと街を守ったのに、
自分がもっとしっかりしていれば……と凄く自分を責める。{/netabare}
なのはの利他の精神はちょっと異常だな?とあの時抱いた感想が蘇りました。
家庭内での孤独からなのか、平凡な自分と言う自信のなさからなのか。
なのはの慈愛精神は時に、他者救済依存なのでは?
と言っても過言じゃないくらいの自己犠牲過剰に感じます。

世の中、自分の利益優先、自己愛だけじゃ幸福になれないと、
他者に尽くす喜びや、ボランティア精神による自己救済、幸福論が説かれています。
では、なのはみたいに星や次元世界の一つや二つを救っても尚、満たされない
自己はどう救済されれば良いのでしょうか?

TVアニメ2期~3期の間のなのはと言えば、今後、
{netabare} なのはが任務中に大怪我を負い、二度と歩けない&魔法が使えないかもしれない。
と言う大きな試練が待ち受けているわけですが、
他者救済に自己を見出していたなのはが、魔法と言う誰かを助ける力を失いそうになった時、
彼女のメンタルは無事でいられるのだろうか?との不安が重くのしかかって来ます。{/netabare}

いつも全力全開で、泣いてるあの子をほっとけない、みんなを守りたいと
なのはは己を投げ出す覚悟で、実際に多くの人間を救っても来ました。

けれど一番救済されるべき、話を聞いてもらうべきは、実はなのはなのではないか?
最後の最後に魔法少女の孤独がハートに塞ぎがたい穴を穿った。
重たい余韻も入り混じった魔法少女アニメ映画鑑賞でした……。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

貫く想い、翼に載せて。

この作品は、先に上映された「魔法少女リリカルなのは Reflection」の続編となります。
物語の内容に繋がりがあるので、前作未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

ですが本作をより堪能されるには、時系列的に劇場版の前となるTVアニメ1期の「魔法少女リリカルなのは」と、TVアニメ2期の「魔法少女リリカルなのはA's」を先に視聴するのがベストだと思いますが、「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 1st」と「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's」の先行視聴でも話は通ると思います。

というのが、この物語の根幹となっているのが登場人物同士の繋がりを何より大切にしているからです。
どうしてそんなにも強い絆が生まれたのか…こればかりは過去作を見ないと分からないんですよね。
本作もこれまで大切に培われてきた絆の全力全開がしっかり描かれています。


惑星エルトリアからの来訪者、キリエ・フローリアン。
死に瀕した父親と故郷を救うため、
地球に存在する「永遠結晶」を求めたキリエだったが
その旅は同行者「イリス」が
キリエを利用するための嘘だった。

イリスの目的は、永遠結晶の中で眠っていた存在「ユーリ」への復讐だった。

妹キリエとイリスを追って地球を訪れていたアミティエ・フローリアン。
イリスによって呼び起こされた、3つの魂、
ディアーチェ、シュテル、レヴィの3人。
地球の魔導士たち、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、八神はやてたちは
それぞれにイリスとユーリを止めるための戦いを始める。

イリスとユーリの過去とは?
かつてのエルトリアに存在した「惑星再生委員会」で起きた悲劇とは?
過去から連なる謎と宿命が、今、新たな物語を紡ぎ出す。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

高町なのはの戦いはこれまで熾烈を極めるモノばかりでしたが、ある意味「越えてはいけない一線」を越えてきたのが今回の相手だったのではないでしょうか。
惑星エルトリアから地球にやってきたのは、死に瀕した父親と故郷を救うため…
罪悪感はゼロでは無かったでしょう…
ですが、どうしても成すべき矜持が彼女たちにはあった…
相手をがんじがらめにしていた呪縛から、なのはが開放することで手を取り合ってこられたんです。

ですが目的が明確にすり替えられ、そこに矜持なんてなかった…
だからといって非情に徹する訳にもいきません。
「諦めて後悔するのも、それで誰かが悲しんでいるのを見るのも、もう嫌なんです。私の魔法はそのための力なんです。」
ユーノに会ったのが小学3年生の頃…最初にレージングハートに触れた時にはヨチヨチ歩きの魔法使いだったのに、たった2年でこんなにも成長するなんて…

一方、物語の方は見どころ満載です。
公式HPではイリスとユーリの過去について触れていましたが、この2人の過去に触れることがどれだけ波紋を広げることになるのか…
イリスによって呼び起こされた、3つの魂であるディアーチェ、シュテル、レヴィの3人は何者?
ユーノって何者なの…どうして復讐の対象にされなきゃいけないの?
何より矜持を持たないイリスの物語はどこに着地するの?

これらの膨大な伏線をしっかりと回収し、なおも見せ場が沢山用意されているのですから堪りません。
今回もなのはの台詞にしっかりと心を震えさせて貰いましたよ。
なのはシリーズのファン必見の作品に仕上がっていると思います。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

約120分弱の物語でした。
物語を初期の頃から支えている声優さんの熱演…聞いていて目頭が熱くなるくらいホント凄いです。
作画も綺麗でヌルヌル動いていますし、この作品を視聴して改めてずっと続いて欲しいシリーズだと確信しました。
いつかまた、なのはに会える日を楽しみにしています。
しっかり堪能させて貰いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4
ネタバレ

フェイルン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

もうこれで終わってもいい…だからありったけを…

期待を込めて初日に観に行きました。
最初に言うと、色々と残念。

パワーインフレしてて、バトルは多く派手にはなってある意味楽しめるところはあったけれど、ドラゴンボールで言うところのセル編以降のような蛇足感を感じました。
見た目はなのはさん達がMS少女している感じです。設定はもはや魔法から大分遠のき、魔法だかビームだか分からず。かなりガンダム寄りです。
説得力のあるブレイカー級の魔法が見たかったのですが、ほぼノーアクション発射なビーム戦の印象。

■変身シーンがほぼ無し
1st、2ndの作画の丁寧さや、魔法少女ならではのサービス満点な変身シーンが無くなり、残念です。

■心理描写が薄い
1st、2ndで垣間見たなのはさんの優しさと自分への厳しさ辺りは本作は描写が欠けていた。具体的には、StrikerS教導官なのはさんについて語られている「復帰も難しい程ボロボロになってからの復帰する」という過程も相当に端折られていた。ボロボロになってからの復活劇が1番見たかったので、とても残念です。
{netabare}
更になのはさん、自らの内発的動機付けについて唐突に語り出す。えっ?今までそんなに悩んでたの!?ってくらいに唐突なので相当な違和感だ。尺足らずなのを、なのは本人に解説させているという、やっつけ仕事ですかね。
{/netabare}
キャラクターも増えすぎた為、一人一人の特に心理的な描写が薄かったのが残念です。
{netabare}
■宇宙に生身はやばいでしょ
最後は宇宙へ。
宇宙までほぼ生身のような感じで行きましたが、宇宙放射線による被爆がやばいですよね?
それとも、魔法やナノマシンやらの設定で放射能なんてへっちゃらですか?
だとしたら、もはや地球が滅んでも生きて行けそうな気がしてきます。
オーパーツレベルの謎です。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

69.7 5 ファンタジーで姉妹なアニメランキング5位
KUBO/クボ 二本の弦の秘密(アニメ映画)

2017年11月18日
★★★★☆ 3.8 (25)
106人が棚に入れました
 三味線の音色で折り紙に命を与え、意のままに操るという不思議な力を持つ少年・クボ。幼い頃、闇の魔力を持つ祖父に狙われ、助けようとした父親は命を落とした。その時片目を奪われたクボは、最果ての地まで逃れ母と暮らしていたが、更なる闇の刺客によって母さえも失くしてしまう。 追手である闇の魔力から逃れながら、父母の仇を討つ準備を進めるクボは、道中出会った面倒見の良いサルと、ノリは軽いが弓の名手のクワガタという仲間を得る。やがて、自身が執拗に狙われる理由が、最愛の母がかつて犯した悲しい罪にあることを知る―。

声優・キャラクター
アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、ルーニー・マーラ、レイフ・ファインズ

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

日本へのリスペクトは物凄く伝わる

この作品は、トラヴィス・ナイトが
初監督を務めたストップモーション・アニメ映画である。
封建時代の日本が舞台になっている。

おおまかなあらすじとしてはこんな感じ。
主人公のクボは、三味線で折り紙に命を宿し、思いのままに
扱うことが出来る特殊能力を持っていた。幼い頃、闇に
取りつかれた祖父に襲われたことがあり、父は彼を守るために
命を落としてしまう。その時に片目になったクボは、母と遠い
場所で暮らしていたのだが、祖父からの刺客に目を付けられ
母さえも亡くしてしまう。両親の仇を取るため、仲間になった
サルとクワガタと共に旅をするのだが…。

良いと思ったのは、ストップモーションアニメとCGによる映像美。
これは、ストップモーションなのかと一瞬疑ったほど。細部にまで
徹底した滑らかな動きに見とれてしまう人もかなり多かったのでは。

アクションシーンもかなり気合が入っており、緊張感を生み出す
ことに成功している。
個人的には、巨大な骸骨との戦闘がお気に入り。でも、
倒し方は結構呆気なかったような。
まあ、敵キャラの中では一番好きだったので、そこが
強く記憶に残っているだけなのだが。

だが、ストーリー構成は卓越したものではない。普通なのだ。
よく言えば王道だが、悪く言えば捻りがない。
後半に進むにつれて、尺が足りなくなってくる点は否めない。

特に終盤。主人公が黒幕と対峙するシーンは、かなり急展開だと感じた。
その際、主人公は「瞬きすら、してはならぬ」と言っていた
ような気がするが、あの結末では瞬きする人が出ても
不思議ではない。むしろ、瞬きしていない人を探す方が難しい気がする。
その上、全体的にテンポよく進まないので、退屈だと感じる可能性が高い。

劇中において、魅力的なキャラクターがいなかったのもきつい。
主人公は良くも悪くも普通な少年。要は、大衆にはない特殊能力を
持っているだけに過ぎない。
終盤においては、主人公の折り紙と三味線を組み合わせた
特殊能力が強すぎて、剣の存在が掠れてしまうほど。恐らく、
あの剣はサルとクワガタが、クボを守るための武器として配慮
されたのではないかと推察される。

サルとクワガタの正体も、勘がいい人ならすぐに気づきそうだ。
クワガタに関しては、一瞬「あれ?」と思ったがよくよく
考えれば拍子抜けするほどでもない。サルに至っては、丁寧
な前振りがついてくる有様。
気づていない人がいたら、それこそ瞬きしてしまいそうな
心境に陥るだろう。

黒幕の存在が、予想していたよりも薄っぺらいものに見えてしまった。
なぜ、悪の道に進んできたのかの説明が不十分なので、特に
記憶に残らないのだ。
異形の化け物に変身する場面が、一番の見所だという印象が強い。
道中で出てきた、巨大な骸骨や一つ目の化け物の方が感情が
見えない分、身震いしそうになる程怖い。彼らと比較しても
全てにおいて完璧に負けている。
彼に関してはもう少し描写すべきだった。本当に勿体ない。

映像に関しては、文句なしと言えるレベルで素晴らしかったのだが、
それにストーリーが追い付いていない作品だと感じた。
内容重視の方は、無視してみる必要はないだろう。
個人的には良作だと思う。

※2019年3月下旬に公開されたバンブルビーを
劇場で視聴したので、それに関する追記を。
トランスフォーマーシリーズの一つであり、ベイ・ハムでお馴染みの
マイケル・ベイが監督を務めたトランスフォーマーのスピンオフに
当たる。
バンブルビーを視聴済みの方なら、既にお気づきであろうが
バンブルビーの監督は、このアニメ「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」
と同じトラヴィス・ナイトなのだ。

意外とハートフルな作風になっており、伏線回収もされていた
良作であった。迫力溢れる爆発やカーチェイスの描写に定評がある
破壊大帝ベイトロンとは違い、トラヴィス・ナイトは
キャラクターの心情に焦点を当てていたように思う。
他のアニメ映画に例えるとアイアンジャイアントが一番近いと思われる。
アイアンジャイアントを視聴済みの方なら、ピンと来るかも?

ベイトロン版トランスフォーマーだと、終始、トランスフォーマー
が満員電車レベルの終結具合になり、ぐっちゃぐちゃな戦闘シーン
が多いのだが、トラヴィス版トランスフォーマーでは、中盤以降
無闇に主要ではないトランスフォーマーのキャラは出ておらず、
凄い見やすかった印象がある。

デザインがアニメに忠実だったのも大きなポイントだ。
物心ついた時に、80年代のトランスフォーマをよく見ていた方なら
直に引き込まれるであろう。私も見ていてオオッとなったのは事実だし。
只、ベイトロン版トランスフォーマーのデザインが嫌いという訳ではない。
かなり、ディティールに凝ったデザインではあるが、それはそれで
味があるという考えだ。

メガトロンや、ショックウェーブ、サウンドウェーブといった
ディセプティコンのデザインは今でもお気に入りだ。定期的に
見直したくなる程である。(但し、ベイトロン版の映画そのものを
支持しているという訳ではないので、そこは勘違いしないように)

雰囲気が80年代の映画に近いという意見を見て納得した。
実際、劇中でよく80年代の音楽流れるし。まあ、これに関しては、
自分が好む映画に80年代の作品が多いからというのも一つの理由だが。

少なくとも、今までのトランスフォーマー映画の中では一番出来のいい
良作であることに変わりない。

KUBO/クボ 二本の弦の秘密が好きな方は勿論の事
従来のトランスフォーマーファンなら見る価値はある。
機会があれば是非。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

世界最高峰のコマ撮りアニメスタジオが制作、日本を舞台にした長編アニメ映画

という触れ込みに興味が出たので、東京国際映画祭で一足先に観てきました。

制作会社はLAIKA
アメリカのコマ撮りアニメーションスタジオで、コープスブライドの制作にも関わったそうです。

観るにあたって、アメリカの会社が何故日本を舞台にしたのか、どのようなイメージ感を持たせているのか、アカデミー賞にノミネートされるに値する、魅力はどこか等、気になっていましたが、上映終了後のスタッフトークショーを含めておおむね納得できました。

注目点①
何故日本を舞台にしたのだろう。
スタッフのトークショーより、企画者の友人にクボという相性の日本人がいるそうです。直接の要因は語られていませんでしたが、そのご友人のおかげで親近感を抱いてくれたのだとしたら、嬉しいですね。
商業的には2014年のベイマックスのヒットも要因となっているのかも。
2015年に公開されたリトルプリンスでは、和紙を使ったコマ撮りアニメが話題になっていましたし、意外と人形劇と和モノって合うのかもしれませんね。

注目点②
日本に対してのイメージは如何様なものだろう。
例えばベイマックスは、架空の町のようで、端の方に日本らしさを感じる侘寂のような趣がありました。日本らしさを前面に出している訳ではないけれど、日本人スタッフ総動員で行うリサーチの徹底ぶりで流石ディズニー、コレジャナイ感を全く感じることはありませんでしたが、やはりアメリカ映画では、未だに?(其方の方が面白いから?)日本に対するプロトタイプな見方が主流ですよね。
別にそれが嫌という訳ではありません。制作体制に日本人がいなかったのかなとか、日本に対しどのようなイメージ感を持っているのか、いろいろ推測するのも楽しいです。
それでは、この作品は何方なのでしょうか。
小物系は日本っぽいのですが、建物の配置がどうもファンタジーっぽい感じがしました。
クボのおじいちゃんが豊臣秀吉風だったり、灯篭流しがあったり、かなりリサーチをしている雰囲気はありましたが、微妙にニュアンスが違うのが違和感であり、面白いなと思いました。

注目点③
アカデミー賞にノミネートされるほどの魅力はどこ?
けれはもう、映像の凄さでしょう。
このコマ撮りアニメ、バトルシーンが沢山あるんですよ。
アクションシーンは黒澤明監督作品を参考にしたという話が、トークショーの最中にありましたが、迫力ある映像でした。(恥ずかしながら黒澤明監督作品観たこと無いので比較しようがありませんが)これを一コマ一コマ撮っているのかと思うとこちらまで気が遠くなりそうです!


娯楽と言うより芸術作品なのかなと思います。
楽しいかどうかは、感性次第でしょう。話はシンプルで分かりやすいです。感動的なシーンもあります。しかし、私は泣いたり、笑ったりという気分にはなれませんでした。
ただ、上でも申した通り、コマ撮りの技術を観るという点において申し分ない完成度だと思いました。コマ撮りでここまでのアクションは観たこと無いので、良い物を観れたな、と視聴後の満足度は高いです。充分おススメ出来る作品だと思いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人形、細工に魂を宿す

吹き替え版を配信レンタル視聴。

海外制作会社がストップモーションで構築した
封建時代の和風ファンタジー世界を舞台にした冒険活劇。


西洋人が好奇の目で日本を面白おかしく取り上げた
軽薄な諸作品とは一線を画した良品だと感心しました。

万物には魂が宿っている。意志を込めれば物に命を吹き込むこともできる。
日本という対象を咀嚼し、その精神性の深い所まで掘り下げて行く。
それらを、人形やセットを多角的に、丹念に一コマ一コマ撮影して映像化することで、
キャラクターや世界観を躍動させる撮影技術の根幹と共鳴させる。

こうして始まった折り紙に三味線の音色で紙細工としての命を与える少年の冒険譚。
結果、実現した映像美には目を見張る物がありました。
人形劇の弱点である表情描写も多彩なパーツで見事に表現されていて驚かされました。
あまりにも緻密で、時々、最近の海外CGアニメは綺麗だなぁ~といった感じで、
本作がストップモーション・アニメであることを忘れてしまう程ですw


永遠は完璧で不変だが冷淡。命は不完全で有限だけど温かい。
命は尽きても、他者の思い出となって継承されていく。
物語はいつか終る。けれどキチンと締めくくることで新たな物語が始まる。

物にも命を宿すことで、去りゆく存在の形見となり得る。
灯籠に願いを込めれば、刹那、死者との再開の夢も垣間見えるだろう。
ただ、それすらも永遠ではない。形ある物はいつかは壊れる。
だが、そこからまた新しい物が生まれ、魂が宿り、想いは連綿と続いていく。
かの地では魂を持った有限の万物が語り出すことで、物語が動き始めるのだ。

本作の撮影もまた、被写体となった多数の人形、道具が、
各々受け継いだ役割を完遂し、次にバトンタッチしていく
果てしない物語のリレーにより成立しています。
こうした部分でもストップモーションと日本が
共有する精神性が伝わり、感嘆の溜息が出ました。
特にEDアニメーションにて、一つの物が次々と変化し物語を紡いで行く演出に、
その真髄が表現されていたと思います。

決してネタに困窮して、奇をてらって日本に手を出したのではない。
ストップモーションの心技を極めた先に
万物に神が宿る日本の精神性と鉢合わせた。
日本である必然性を終始感じた有意義な鑑賞でした。


私も精神を疎外し、能率を優先する現代物質文明に毒され、
墓参りとかネット墓地でいいんじゃないか?
などと自堕落な戯言をのたまう今日この頃ですがw
本作を観ていると、やっぱり命ある物は大事にしないといけないな。
祖先には感謝しなければならないな。
と日本人として正気に戻った気分になります。

1週間の平均制作尺3.31秒。制作期間94週。途方もない時間を費やしたことで、
人形やセットに取り憑いた魂が、日本人の心の琴線にも触れる逸品です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16
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