不気味でダークファンタジーなおすすめアニメランキング 5

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86.3 1 不気味でダークファンタジーなアニメランキング1位
東京喰種(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (2769)
15615人が棚に入れました
人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人・喰種が蔓延る東京。ある青年「カネキ」は喰種に襲われ瀕死となるが、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることになる―――・

監督に本年度米アカデミー賞ノミネートの森田修平を迎え、前代未聞のスタッフ陣によって彩られる「東京喰種」の新たな世界に乞うご期待!

声優・キャラクター
花江夏樹、雨宮天、花澤香菜、宮野真守、菅生隆之、諸星すみれ、小西克幸、中村悠一、豊永利行、浅沼晋太郎、櫻井孝宏、伊藤健太郎、梶裕貴、浪川大輔、速水奨、立花慎之介、津田健次郎、土井美加、仲野裕、釘宮理恵
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

おし…え…てよ おしぃえ…てよ…、この…魅力を…。。。

2014年7月放送。
全12話。


【前置き】

ヤングジャンプで連載されている人気漫画のアニメ化ということで、放送前から話題になっていた作品でしたね。
原作未読の私としては、知名度の高い人気漫画なだけに差異の生じかねないうメディアミックスから入ることに少々躊躇いはあったものの、
「アニメだし、実写よりはキッチリ原作再現してくれるでしょ!」
という淡い期待の元、視聴しました。

さて、結果としてこの選択は正しかったのでしょうか…。
おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…。



【あらすじ】

人間世界に紛れ込み、人を喰らう正体不明の怪人『喰種(グール)』が蔓延る東京。

平凡な大学生『金木 研(かねき けん)』は、好意を寄せていた少女『リゼ』との初デートで、彼女が喰種であることを知ります。
襲われ瀕死の重傷を負った金木ですが、直後にリゼが鉄骨落下事故に巻き込まれ即死状態となるのでした。

病院に搬送された後、医師の判断で金木に喰種であるリゼの臓器を移植したことで、彼は『半喰種』となってしまいます。
それ以来、金木の人間と喰種との間で揺れ動く苦悩と恐怖に満ちた日々が始まります…。


※※※
『カニバリズム(食肉の風習)』を表現する作品は、どうしても内容を説明するに辺り視覚的なグロテスク描写を含みます。
こちらに関しては、ホント人それぞれの許容量の問題なので、見る前に御自身で御判断下さい。



【語ってみる】
{netabare}
まず、見る前と見た後では内容のギャップに驚きましたね。
『半喰種』という主人公の立ち位置も魅力的でしたが、喰種の持つ「赫子(かぐね)」と呼ばれる背中から出る捕食器官に関しては、異能バトルをする上での特殊能力そのものに思えましたので。
しっかり、ヤングジャンプの層をとらえた、バトルを想定した作品だったわけですね。
徹底的に人を喰う葛藤を重厚に描き抜いてくれるのかと思っていたので、そこは少~し残念な気もしましたが…、まぁ売れないよねそれじゃ…。


まず第一話での、その衝撃的展開を彩る作画の気合いの入りようには驚きましたね。
中盤のバトルは、前半と終盤に比べると少し息切れした感もありましたが、それでも常に一定以上のクオリティーを維持したように思います。
ただ、その内容からTV放送にあたっては黒塗りで表現された部分が圧倒的に多く、内容ありきのグロが魅力の一つであろう本作にとっては、残念で仕方ありませんでしたね。
絶妙な隠し具合で、何がどうなっているかは理解出来ない程ではないので、話についていけなくなることはありませんでしたが。

演出面において記憶に残ったのは、オープニング曲「unravel」の絶妙なかかり具合でしたね。
第1話の終わり、そして最終話での終わりでもそうでしたが、あの「おし…え…てよ、おしぃえ…てよ…」から始まる歌詞は勿論、凛として時雨ボーカルのか細い声色の演出が、作中の金木君の内心と非常にマッチングしており、まさに主題歌と呼ぶに相応しい曲だったのではないでしょうか。
曲としてはエンディング曲の「聖者たち」の方が好きですが、アニメ版「東京喰種トーキョーグール」と言えば、この「unravel」ナシでは語れないとさえ思いました。



ただ、そのストーリー展開としては、まさに目まぐるしいと表現するのが一番正しかったように思います。
原作ファンの方は特に声を大にして訴えていたようでしたが、原作の丁寧な感情描写をスッパ抜いて展開が早過ぎるといった具合だったようで…。

原作未読の私からすると、毎回衝撃的な展開が続きヒキも非常に上手いので、毎週見たくはなりました。
ですが、最終話まで見て結果的に面白かったかと問われると、少し疑問が残ります。
なんというか、キャラクターを好きになるタイミングが掴みづらかったといった感じでしょうか…。

本作に限っては、原作漫画を先に見た方が良かったのもしれませんね…。
だとするとアニメ版の本作に、更に不満を言いたくなったのかもしれませんが…。
ストーリーとしては、ある程度魅力的なのは自分の中では間違いなく、それぞれのキャラクターの葛藤も片手間では見れない吸引力がありましたので、いつかゆっくり原作を熟読したいと思います。


人物の葛藤の中でも、とりわけ記憶に焼きついたのは、喰種でありながら平和に暮らしていた母娘

『笛口(ふえぐち) リョーコ』(←美人)と『笛口 雛実(ふえぐち ひなみ)』(←可愛い)

でしたね。
いや…決して双方見映えが良いからとか、そういう邪な気持ちが働いたワケではなく…。

喰種だからと言って、誰もが好きで人を襲って食しているわけじゃないんですね…。
ただ…人間の言う美味しいものを食べても、全く喉を通らない…、吐き出してしまう…。
そういう風に生まれてしまったばっかりに人目を避けなければならず、娘(←可愛い)を小学校にも行かせてやれない母親(←美人)の気持ち。
何も悪いことをしていないその彼女達(←美人母娘)は、人間が組織した喰種対策局により、一方的な制裁を受けることになります。

社会としては喰種は全員駆逐すべきという考えが一般的なようですが、それでもそういった喰種もいるのだと世論が学んだ時、この社会が考えを改める機会がくると良いですね。
決して邪な気持ちによる同情とかではなく。

作中でも、人間と喰種の対比の表現として、ヒロインの『霧嶋 董香(きりしま とうか)』がこう言う場面がありました。

『ねぇ、ケーキっと本当はどんな味なの?

 吐くほど不味いから分かんないんだけどさ、アレ…人間は美味しそうに食べるじゃない。』

「自分がもしそうなってしまったらどうする?」という問題提起を孕んだ本作。
この状況で主人公のように、目の前にある食肉に手を伸ばす自分を律せられるような『人を見失わない人』は、果たしてどれくらいいるのでしょうか…。
平和に暮らしても殺されるかもしれない、この世界で………。



作中で金木は、「あんていく」と呼ばれる初老の喰種が営む喫茶店に身をおき、以降生活をしていきます。
自殺者等を回収し、比較的罪を犯さず食肉を得られる環境を整えた本店は、この区での喰種の生活の支えとなっていたんですね。
当初は「自殺者の数だけで何人も十分に養えるの?」なんて考えておりましたが、日本の自殺者数や行方不明者数を換算して都心部の人口で割り当てた場合、結構まかり通る数なのだそうで…。
日本コワイ…。

金木はそこで、臓器を移植した大喰いの喰種『リゼ』の片鱗を見せながらも、喰種として少しずつ生活に馴染みをみせ始めるのですが…。
喰種対策局や別の区の喰種が、その生活を脅かします。

そして最終話、カタの外れた喰種による度重なる拷問で、『人を見失わない人』であった金木も、遂に『リゼ』の心に耳を傾けるのです。


『間違っているのは僕じゃない、

 間違っているのは…、この世界だ!』


『それでいいのよ金木君…、生きるというのは他者を喰らうこと…。』


ここから白髮と化した金木が魅せた、これまたカタの外れた…というより足首の骨を外した圧倒的な戦闘能力は、気合十分の作画も含めて物語のターニングポイントに感じ惹きつけられましたね。
そこから何の後日談も予告も無く終わってしまうのもこれまた衝撃的でしたが、まぁ…2期はしてくれるでしょうし、ゆっくり通知を待とうと思います。
{/netabare}



【人を喰ったような発言を繰り返す、美食家月山の魅力】
{netabare}
さて、急速な場面展開からも今ひとつ心象に欠けるキャラクターが多い中、それでもやはり異彩を放つ奴が一人。
それが、喰種対策局から「美食家(グルメ)」と呼称される『月山 習(つきやま しゅう)』でしたね。
はぁ…どーしてまたこういうキャラ好きになっちゃうかなぁ…。。。
でも、原作者の石田スイ先生も彼がお気に入りだとか…。
ですよねぇ、キャラの当て方に愛が感じられますもの。

はてさて、そんな月山という男。
見た感じはモデルを思わせる端正な顔立ちで、言葉の節々に英語や音楽用語を用い艶めかしく話すキャラクターです。
呼称としては他にも「20区の厄介モン」「気持ち悪いキザ野郎」「(ストレートに)変態」等多数。
うん、やっぱり愛を感じます。(愛の表し方は、人それぞれです。)


実際、彼は金木君に共通の話題である本を用いて近付くのですが、その本心はまさに彼を食すことであり、彼の血が付いたハンカチーフを鼻に擦りつけて


『柔らかな甘みと、芳醇なハーモニー。

 ああああああぁぁぁ、新しいごちそうの発見はっ!

 人の幸福にとって、星の発見以上のものだ!!!』


と迷言を吐き散らす、まさに変態野郎でしたね。
声を担当された「宮野真守さん」はまさにハマリ役で、「DEATH NOTEの夜神月」等の冷静沈着タイプから「STEINS;GATEの鳳凰院 凶真」といった厨二病キャラまで突き抜けてこなせる宮野さんだからこそ、存分に魅力を見出せたように感じました。


第5話で月山は、金木君をどうやって食べようかと試行錯誤した末、

『金木くぅんンがっ!! 食べながら

 金木くぅんうおっ!! 食べたい!!!』

という奇想天外な発想に辿り着き、人質をとって彼に迫ります。
ここで金木君から「変態」発言が飛び出るのですが、彼は侵害だと返しながらも「そうさせたのは君なのだから責任をとれ」と責任転嫁する天晴ぶり。
中の人繋がりで言うと、まさに「駄目だこいつ…、早くなんとかしないと…」状態でしたね。

ただ、実際に董香が割って入り彼を制止するも、「美食家」を名乗るだけあって良い物ばかりを食してきた月山は、食事が戦闘能力に直結する喰種の中でも、抜群の実力を持っていました。
そこで奇策として、董香が金木を食すことになるのですが、それを見た月山の

『僕のだぞっっ!!!』

発言には、シリアスな場面展開にもかかわらず笑ってしまいましたよ。
きっとそういう方も多いのではないでしょうか。


そんな彼も、金木くんが攫われた終盤では、

『アモーレ!! heartbreak…。

 無二の友人である金木君が…、ワケの分からない連中の手によって危険な目にあってるなんて…

 No kidding!!』

と言い放ち、「あんていく」と共に、彼を助けに?向かいます。
この月山が本作において、こういう味方とも敵とも呼べない立ち位置のキャラになったわけですね、にくい構成でした。
彼の言動を全て「お前が言うな!」で収めてしまうのは簡単ですが、皆さんもどうか彼を温かい目で見て愛でてみませんか?


そうそう、少し余談となりますが。
TV放送のCMを飛ばさない方はご存知かと思いますが、金木君と月山が行なうBlu-rayの販促CMは面白かったですね。

金木「月山さん、イベント抽選券付きBlu-rayが発売ですよ!」

月山「チュレェヴィアアアアァン!!

   イベントと言うことは、皆に祝福されながら、僕達が一緒になる日が遂にやってくるんだね!!?」

金木「人を喰ったような発言はやめて下さい…。」

最期の金木君の冷静なツッコミが良いですね。
これが聴きたくてCMは毎回飛ばしませんでしたよ、私は。
{/netabare}



【総評】

作品として魅力に感じる部分は大いにありましたが、その原作をアニメで100%活かしきれなかったように感じます。
原作未読の私から見ても、全12話で表現しようとするシナリオ構成の幅に、若干無理が掛かったように見受けられました。

それでも、内容として手を抜いた作品では決して無く、演出面にも秀でておりグイグイ見させるだけの吸引力はしっかり兼ね備えておりました。
全般的にシリアスな内容ではありますが、その分Cパートで小ネタを挟み楽しませてくれますしね。
次に見る機会があれは、ちょっと恐いですが黒塗りが無い完全版で是非見たいですね。

2期はやるのか…いつになるのか…。
今現在まだ噂の粋を出た情報はありませんが、どうせなら熱が冷めない内に放送してほしいですね。
展開が早かった分、視聴者の熱が冷めるのも早い気がしますし。

その時は、また作中にハマったを主題歌だと尚嬉しいですね。


ではでは、読んでいただきありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『月山 習』声 - 宮野真守さん

◇一番可愛いキャラクター◇
『笛口 雛実』声 - 諸星すみれさん



以下、カニバリズム(食肉文化)について。
(途中から妄想に突入してしまったので、〆ます。)
{netabare}

ちなみに私は恥ずかしながら、正直なところまだ一度もカニバリズムを体験したことがありません。
偏見を持たず多種多様な食文化に触れることは、人生観を広げる意味でも重要だと私は感じておりますので、ここは偏食なぞせずに、いつか体験しなければいけないなと考えております。

しかし、現代の日本において、そんな「ハンニバル•レクター」みたいな真似が出来る状況は早々ありません。
やはりここでも、『東京喰種トーキョーグール』の世界に妄想を抱くことで、脳内体験するのが社会人として果たすべき選択となるでしょう。


まぁ…どーせ喰べるなら、私好みの『チュレェヴィアアアアァン!!』な人間を捜すことにしましょう。

おっ、かなり好みの人間を発見!!
早速、声をかけてみましょう。


「あっ、お嬢ちゃん可愛いねぇ。

 ヒナミちゃんって言うんだぁ…。

 うんうん、髪型が(私好みな)ショートカットで似合うねぇ。(グヘヘ)

 へぇ、字のお勉強してるんだ、偉いなぁ。

 それならお兄さんが、こっちで詳しく教えてあげるよ。

 さぁ、おいでおいで!!(ゴクリ)」



……さて、数分後。
細切れになった私は、彼女の胃の中にいたワケですが…。

こんな可愛い美少女になら、喰われる側というのもまた乙なものでした。

でも、ちゃんと「ごちそうさま」って言おうね、ヒナミちゃん。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 61
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

喰べたら「ごちそうさま」するまでが作品なのに

人を喰らう正体不明の怪人・喰種。
主人公カネキは喰種に襲われ瀕死となるが
喰種の臓器を移植されたことで半喰種となってしまう。
それ以来、カネキは苦悩と恐怖に満ちた日々を送ることに…。


凄惨な食事現場で始まり、凄惨な食事現場で終わった一話だったが
その課程には実に多彩だった。
Aパート開始時は安らぎや暖かさを感じさせつつも
黄色い道をゆっくりと歩む美女の姿が「迫る注意」「迫る非日常」を感じさせ
そこから緩急を織り交ぜ喜びから恐怖、救済に戸惑い、葛藤に絶望と
「赤い日常」へと変貌する様を流れるように観せてくれた。
この一話だけでジェットコースター一周分の感情を体感できる様な内容で
すぐにおかわりが欲しくなってしまった。
掴みとしては今期一番良いかも。今後も期待が高まってしまう。

考え過ぎかも知れないが、カネキが半喰種になる課程も単なる偶然とは思えず
どこか作為めいたものも感じている。
医者もグル(グール)かな?…とか、ミステリー好きの血も少々騒ぐ。

またこの世界での半喰種の存在意義がどうなるかにも注目している。
既存のグールなら自我を持っていないので、
その間に当たる半喰種には無条件で価値が生まれるが
この作品の喰種は既に自我や規律すら持ち合わせている模様で
半喰種との違いがどう現れるか気になる。
カネキの葛藤は半喰種ならではのものでずっと続いてしまうのだろうか?

※2話感想{netabare}
ヒデを救うためグールの力を借りグールの力に飲まれヒデを襲う衝動に駆られる…。
泥沼の葛藤が更なる深みへとハマっています。

それでも「人」の事「グール」の事、そして「自分」の事を知ろうとして
向き合う姿は立派でした。
ヒデも勘がいいので判っているご様子。良い友達じゃないか。
血の臭いだけでなく感動の匂いもしてきました。

あと触手を絡めた戦闘シーンもかなり上等で衝撃的でした。
そしてこの作品「目力」がハンパない! 夢に出そう…。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
アンティークを中心に活動するグールの生活が覗けた回。
どうやら安定区と掛けてあるようでグールの中でも穏やかに
生活する者が集まっている様子。
食事も自殺者を確保している様で納得できた。…ここまでは。

でも、他の区に多数の凶暴なグールが居るとなると
描かれている平穏無事で危機感の無い人間社会に疑問が湧く。
グールの数が多すぎる。

設定通り、毎月グールの人数と同じだけの人間が殺されるとなると相当な被害で
もはや警察が事件としてどうこうでは無く
軍が出来て対応していたり半分以上グールとの戦争の状態に成っていておかしくない。
…というか成っていて普通、それくらいの危機だと思える。
面白そうな作品なだけにバランスも考えて練って欲しかったと思ってしまう。

ちょっとケチが付いたが今後の展開で
グールの繁殖方法やジェイソンみたいな奴の素性や存在意義が明かされれば
もう少しは納得行くかも知れない。
【予想】{netabare}グールは元々政府が作り出しているが隠蔽されている{/netabare}
みたいな話なら判らなくもない。期待はしている。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
美食家、月山の裏の顔が見られた回。

人と仲良くしようとして無理矢理不味いモノを食べる霧嶋さんとは対照的に
美食を謳歌する月山。
狂った様に映るけどグールとしてはこちらが正常なのかな。
グールの味覚に着目したこの作品ならではの存在は面白く、次回以降も注目です。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
早くも月山の食指がカネキに迫り、錦の切ない過去も露わに。

前回に続き月山の個性が圧倒的。颯爽登場!宮野真守無双。
狂気の中、生き生きしていてキャラ的にはみんなを喰ってたと思う。

錦もイイ話で単なる憎まれ役から脇役レギュラーへと躍進したかな。
でも、錦自身は内蔵の九割方破損した所から復帰したのに
姉さんは一般人相手に呆気なく死亡。(詳細不明)
そう言えば路地裏でカネキと最初に会ったグールも蹴り一発で死んでたし、
グールの耐久力に差がありすぎてご都合感が出ている。

美味しく質の良い餌を食べると即効でパワーアップ!
ってキノコマリオみたいな事を急に言い出してるし
話が進むにつれ、設定の詰めの甘さが見えて来てちょっと残念にも感じる。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
何とか危機を脱したカネキ達。そして改めて浮き彫りになったグールと人との距離。

グールも人と同様に心があり愛があり家族があり。
「お母さん!」と言うヒナミの叫びがとても痛々しく突き刺さる。
同情できる話で何とかしてやりたいのだが、
「人喰い」…いや「人しか喰えない」と言う生態は致命的で
言葉や理屈が通じ心があるとしても相容れない存在になってしまうよなぁ…。

カネキの存在がグールと人との心の橋渡しになるかも知れないけど心が繋がったとして
約定作って「人を襲わない代わりに故人の体を提供する」って訳にも行かないし…。
設定上では既に詰んでいる…と言える落とし所のない問題にどう挑むのか
見物だと思うけど、ホントどうするんだろう?
バトルで何となく解決した風には成らないで欲しいけどな。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
人にもグールにも義はある。それ故に復讐と憎しみの連鎖は止まらない。

カネキが到着するもヒナミのお母さんを助けられず悲しい結末になりました。
ヒナミにとっては本当に最悪の結末。
でも、母の表情から察するに復讐は望んではいない筈。
それは幼いヒナミに伝わっているのか?理解できるのか?
葛藤の中、芳村さんの道か薫香の道か何を選択するのか
この作品の肝になりそうで興味深いです。

真戸さんはグールにとって脅威だけど人側から観ると逞しい。
彼処まで出来る様になるには相当な修羅場と仲間や知人の死を経験しているのだろう。
グールに情をかけて殺された者もいそうだし、少々壊れてなきゃ務まらない。
悪っぽく描かれているけど背景を察していくと憎めないキャラだと思う。

一人殺されたとはいえ亜門達は何とかクインケ無しで対抗してましたが
身体能力考えると全員瞬殺されて当然なレベルで無理がある気がします。
せめて刃物弾くって設定無くしてくれないと人に勝ち目がなくないかな?
グールって設定自体矛盾だらけなので小さい事は寛容には観てるけど、
バランス感覚がちょっと悪いなって気がします。

次回は真戸と薫香の戦いが更に激しくなりそうで、
そして復讐に走る薫香をカネキはどう見るのかも楽しみです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
真戸さん亡くなってしまいました…。
良い悪役だっただけにちょっと寂しくもありますが復讐に囚われた者の末路として
意義を投げかけてくれました。

一方ヒナミは復讐に囚われず深い悲しみの中から「生きる」ことを決意。
溢れる涙が心に響きます。強く生きて欲しいですね。

カネキは不戦を貫き悲しみと復讐の連鎖を断ち
グールと人とを繋ぐ希望になって行きそうですが6話感想の懸念が個人的に引っかかる。
共生目指すならグール用の食料開発出来ないものかな?
{/netabare}

※9.10話感想{netabare}
悲しみを乗り越え日常を取り戻そうとするアンティークの面々、
そして新体制でグール対策に当たる捜査官達。

近隣の11区が騒がしく嫌な予感がしていたらやっぱり飛び火です。
捜査官も絡んできてなんだか仁義なき抗争モノの雰囲気が強くなってきましたね。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
人とグールが入り乱れた抗争、そして拷問と血生臭く暴力の砦と化しています。
覚醒しつつある亜門くんをいつの間にやら応援しちゃってます。
現状アンティークの敵ですが何れ手を組む事もありそうですよね。

カネキくんから新たなカネキくんが生まれそうですし、
屋上には何やら怪物が…ってあれまさかマスターなのか!?
次回も気になります。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
心身共に死よりも凄惨な地獄の様な苦しみ中、今までの全て否定し
生まれてしまったダークカネキくん。
これからこの作品はドコへ向かうのか?…って所で最終回!

せめて…せめて外での戦いにケリ付けてくれないと投げっぱなしにも程があるし
痛々しい拷問が最終回ってのも後味が悪すぎる。
この終わりならアニメ化しなくても良いんじゃない?って気さえします。
{/netabare}


【総評】
心理描写や戦闘描写は良く描けているしキャラも立っている。
そして設定上袋小路になっている人とグールの関係がどうなって行くのか
どういう結末になるのか期待と興味を持って観てこれたがとにかく後味が最悪でした。

人として生まれそしてグールとして再生して価値観や感性などを培い
積み上げたモノを最終回に全否定させて結論出さずにハイ退場!!

結局、1話で身体を失い、最終話で心を失った可哀想な青年の怪談のような話で終幕。
闇芝居なら三分で終わるわッ!
中身は投げっぱなしでブッツリ終わるアニメの中でも指折りの作品になってしまいました。
続きやるのですかね? やらない事には話にならないし観る意味もない作品です。
事情があるにせよ、この終わりを平気で観せる制作側の神経を疑います。
期待と観て来た時間までも全否定されるこの終わり方は許容できません。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 64
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

嫌われたっていいじゃないか 人喰いだもの

2018.08.17記


原作既読。いや、アニメ観てから原作揃えた人。
もともと職場の子から原作を薦められてたんだけど、その時スルーしてたのを後悔するはめに・・・


マンガはけっこうな売れ行きで、アニメも海外含め評価が高く、そのあと実写化までした大ヒット作です。
なにせ人を喰うおどろおどろしいバケモノの話なので、実写映画版では出演女優さんの一人が良心の呵責を覚えてなのか出家してしまうという騒ぎを起こしたほどです。
タイトルだけ見たら、人間視点でバケモノとの闘いを描いたバトルものか、グロ主体のホラーみたいなのを想像しがちです。そう、頑張れ人間!

 嫌われたっていいじゃないか 人喰いだもの

はいこれミスリードです。
ん?みんなもう知ってるって?

スプラッタホラーか超絶バトルものはちょっと、、、という先入観で本作を避けてしまうのはもったいないと思われ、むしろその先入観、この際棄ててもらってかまいません。

人間と喰種を分かつもの、それはたまたま人しか喰えない種族としてこの世に生を受けたか?そうではないか? 細かいところを除けば一点それだけ、この作品の基本設定です。

時には人間、時には喰種側の視点で
何が正しくて、何が間違っていて
勝利も敗北もないまま 孤独なレースは続いていきます

{netabare}8話戦闘シーンでの言葉の応酬に端的に表れてます。

亜門VS金木戦での亜門
『罪のない人々を平気で殺め…己の欲望のまま喰らう』『親を殺された子供たち…残された者の悲しみ…孤独…』『貴様はそれを考えた事があるか?』

真戸VS董香戦での董香
『訳もなく命を狙われる恐怖 あんたにわかる?』『大切な人が虫けらのように殺される あんたにこの気持ちわかる?』{/netabare}

単純に視点をどちらか一方のサイドに寄せて、というわけではない極めてドラマ性の高い作品といってよいでしょう。グロやバトルは作品を飾る要素として欠かせませんが、メインはあくまで人間?ドラマです。


そして人間でも喰種でも多少の個体差はあれ自分サイドの視点しか持ち合わせてません。
そこに{netabare}「もとは人間、今は半分人間半分喰種の」{/netabare}主人公金木研くんがどう割って入っていくかが作品の見どころとなってます。

{netabare}『自分の意思と無関係に、自身の体に改造がなされる。』
このへんは初代仮面ライダーみたいです。世の少年少女たちが心躍らせる伝統芸と言えるでしょう。
昭和の本郷猛はいかついあんちゃんでしたが、平成の金木研はナイーヴ優男である、というのも時代の流れでしょうか。{/netabare}


OP『unravel』は物語にドはまりしてる秀曲です。ムービー含めてインパクトがあり、カラオケのアニソンランクでも上位に食い込んでます。ただし、これ原キーで歌いきれる人っているんだろうか??
OPに隠れてますが、EDもクールダウンにちょうど良い曲です。ED後の巻末4コマ的なショートアニメもほっこりできますよ。


キャラは喰種も人間も多士多彩で登場人物多めです。
1期1クール12話で全員掘り下げきれるわけにもいきません。2期待ちか必要最低限か、私は掘り下げ不足を理由に感情移入できないといったことはありませんでした。

声優さんもキャラの多さに合わせて人数多めです。回によってはEDクレジットで3カット分使うほど用意してました。そして無駄に豪華です(褒め言葉)。
{netabare}
※印象深い演者さん
■金木研:花江夏樹
悲鳴に近い絶叫を担当するのに適任でした。梶さん(今回はアヤトの役)の絶叫も捨てがたいがよりナイーヴな感じを出すには花江さんじゃなきゃ無理かな。
■ウタ;櫻井孝宏、月山習:宮野真守
ハマってることはハマってるんだけど逆も見てみたい。
■エト:坂本真綾
ただ私が好きなだけです。
■真戸呉緒:大川透
マジキチぶりが伝わる好演。 病気からの復帰おめでとうございます。(2018年8月現在)
■鈴屋什造:釘宮理恵
意外な組み合わせ。什造を女性声優でというのはすごいアリ。什造の「見た目は青年中身は子供」感がよく出てました。
{/netabare}


※以下ネタバレタグは本当にネタバレ

引き込み充分な第一話。
{netabare}リゼを媒介におどろおどろしい喰種をまずは視聴者に印象づけます。そうですよね、人を喰うんですから我々人類の敵ですよ。
それで喰種の生態やら人間と喰種の関係性など適度にレクチャーが入るので初見殺しにはならない設計。Bパートからは半喰種になってしまったカネキ君の苦悩です。そしてクール通じてカネキ君は悩みに悩みます。{/netabare}
第二話アバンで物語のコア部分に触れるので、ノリが合わなさそうなら撤退を視野に入れてOK!
{netabare}
金木「僕は人間だ。お前らバケモンとは違うんだ。」
董香「どう?あたしがバケモノならあんたはなんなんだよ?」
金木「お願いします。教えてください。僕はどうしたらいいんですか?あの日から全てが最悪なんです。」
董香「最悪か?あたしだって教えてほしいよ。」
  「ねぇ?ケーキって本当はどんな味なの?吐くほど不味いから分かんないんだけどさ、あれ、人間がおいしそうに食べるじゃない?」
  「平和な生活はどうだった?CCGやグールに怯える必要のない日々は?
全てが最悪?ざけんなよ!」
  「だったらあたしは生まれた時から最悪ってわけ?なああんた!教えろよぉぉぉ!!」

・・・からの『おっしぃえってよっ』unravelインですからねぇ。カッコよすぎです。
{/netabare}
序盤に世界観の提示がなされるので、そこに抵抗がないなら最終話までいけるでしょう。無駄回無かったと思いますよ。1期の区切りもあの箇所までだったら納得です。


グロですか?

カレー食べながら観ることができましたので平気です。
そのへんは所詮アニメーションということで実物の映像とは違いますし、規制も効いてることから血しぶき+α程度のグロです。
{netabare}ただし画よりも音が嫌だということはあると思います。11話12話の拷問シーンでの悲鳴絶叫はきつい人にはきついでしょう。画はそうでもありません。{/netabare}
受け入れる視聴者側も、進撃の巨人あたりがこのへん切り拓いてくれたおかげで、出来上がった土台に乗りやすかったかもしれません。


さてさて金木くんは葛藤の末、どういった結論を出していくんでしょうか?

 しあ○せはいつも じぶんのこ○ろがきめる

最後に一つの結論を出します。共感するもしないもそういう物語なのでね。


続きは2期で!



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2019.06.28追記
《配点を修正》


視聴時期:2017年11月

シリーズは2018年秋クールまでの全48話をもって完結しました。
金木くんやトーカちゃんをはじめ、1期ではまだ子供っぽさの残る登場人物らが次第に深みを増していきます。
残念なことにあにこれでは期を重ねるごとに評価を落としていきましたが、私は好きですね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 36

79.4 2 不気味でダークファンタジーなアニメランキング2位
寄生獣 セイの格率(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (1604)
7723人が棚に入れました
ある日、空から多数の正体不明の生物が飛来してきた。その生物は鼻腔や耳介から人間の頭に侵入し、脳に寄生して全身を支配し、他の人間を捕食するという性質を持っていた。寄生後も見た目は人間そっくりに擬態する、彼ら「パラサイト」は、高い学習能力から急速に知識や言葉を獲得し、人間社会に紛れ込んでいった。
平凡な高校生である泉新一は、一匹のパラサイトの襲撃を受ける。間一髪で脳の乗っ取りは免れたものの、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化してしまう。右手にちなんで「ミギー」と自ら名乗るパラサイトと人間の奇妙な共生生活の幕開けである。

声優・キャラクター
平野綾、島﨑信長、花澤香菜、沢城みゆき、安野希世乃、前田玲奈、田中敦子、吉野裕行、KENN、芹澤優、鈴木琢磨、村瀬歩、石田彰、水島裕、二又一成、井上和彦、青柳尊哉、浪川大輔
ネタバレ

ユキオウ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある日人間でも化け物でもない僕の戦いが始まる。

原作既読、20年以上前の作品のアニメ化になります。
現代に合わせた時代設定、キャラデザの一新など新規ファンにも受け入れやすい点が多く見られます。
※グロ描写が苦手な方は視聴をオススメしません。

■あらすじ
どこにでもいる高校生の泉新一はある日宇宙から来た謎の寄生生物に右手を寄生されることから始まる。
『人間』・『寄生生物』・『新一とミギー』と大まかにこの三者との間に物語は進行する。

■作品紹介
この物語は特殊な主人公がリアルな日常でSFサスペンスの世界に引き込まれてしまったらどうなるのか!?といった感じです。
主人公の新一が人間代表だと思いきやミギーという秘密兵器を所持しある意味最初からラスボス的な立ち位置なのが面白いです。
規模が大きくなってしまう物語が多いなか、主な場面は一つや二つの市内で行われる話なので登場人物の心理描写がとても丁寧ですし何よりも魅力的に感じると思います。

■OP、ED評価
{netabare}
OP ☆2.5
♫Fear, and Loathing in Las Vegas/Let Me Hear
現時代的で派手なロックバンドの音楽。
マッドハウスのアニメとFear, and Loathing in Las Vegasは相性が良い。
アニメの構成は曲と合うようにスタイリッシュなんですがビジュアル的に普通な人が多いのでクールな演出がアンバランスになっている印象。
新一がアメコミヒーローみたいなのも残念です。

ED ☆4.5
♫三浦 大知/IT'S THE RIGHT TIME
OPと反して白を基調とした良い浄化ENDです、これを見て泣く回もあっていいと思います。
定番といえば定番な感じですが平穏な日常を淡々と映し出すこのシンプルさが素晴らしい。
{/netabare}

■各話あらすじとレビュー

【第1話】
{netabare}
『変身』
新一と寄生生物の出会い。
各地で寄生生物が活動し始める。(全国ニュースで残酷な殺人事件のニュースが話題に)
宇宙から来た生物であると右手が説明、新一の血液を養分に生きている為、共生することになる。
登校中、仲間がいると右手は察知する。
そこには飼い犬に寄生した生物と戦いを繰り広げる。
右手は生物の心臓をもぎ取り、勝利する。

右手の生物の声に違和感、見ていけば慣れるとは思いますが…よく言えばキャラっぽさが増した感じはするので親しみはあるのかなと。
☆3.5
{/netabare}

【第2話】
{netabare}
『肉体の悪魔』
不良に絡まれる女性、助けた男性は寄生生物だった。
言語を覚え、右手に寄生した生物は自らを“ミギー”と称する。
ここまで地球の社会を研究し悪魔に一番近いのは人間だと言うミギー、寄生生物によって凶悪事件が発生するなか、人間のために戦いたいと決意する
新一であった。
街中で寄生獣と遭遇、人気のない空き地で対決。
ミギーは敵の誘導を無視し、撃退する。
新一と村野さんがデート。(村野さんは真一の異変を感じる?)
暗闇の一室で向き合う裸体の男女(男性はアバンで登場した寄生生物)

右手の生物にめでたく名前がつきました!覚えやすい!
グロい戦闘が続く中、臆せず戦う新一は勇敢ですが脳を侵食されてはいはいないもののミギーの影響は受けているようです。
村野さんとデート中に絡まれた不良を食ってやるぞと鬼気迫る表情でひれ伏せます、新一どうなってしまうんだ…
最後に登場した男女はただものではないですね。
一人は寄生獣確定なこともあって新一が学校で散々ミギーにいじられた生殖機能のことが伏線になってたようです。
シリアスな中にギャグっぽい要素も入っているのでただグロを当てつけられているわけではない気がします。
☆3.5
{/netabare}

【第3話】
{netabare}
『饗宴』
満員電車の車内で痴漢に気づいた妊娠中の女性は停車した駅で常人の力ではない勢いで車外に痴漢を突き飛ばす。(前回の最後に現れた女性である)
その女性は3年3組の副担任(村野さんのクラス)に配属されることとなる名前は田宮良子。
ミギーは人間社会に溶け込んでいるため、公の中で殺意はないと推測する。
放課後、田宮に呼び出され詳しい話を外でしたいとのこと。
喫茶店でA(寄生生物)と言う男と現れる田宮、生殖行為をしたものの、人間の子が生まれることがわかり私達は生物なのか何なのか気になると述べる田宮。
Aは新一を生かしておくと危険であると言いその場を去る。
翌日に白昼堂々新一の学校に侵入するA。
皆が避難するなか、Aに向かう新一。
ミギーは我々の違いは何かと問い、新一に一緒に効果的に戦えと指示する。
そこにAが登場。(新一が廊下に設置した机のバリケードは役に立たず、窓ガラスを突き破って外から侵入される)

新キャラの田宮良子は今後のキーパーソンになりそうです。(寄生生物にしては物事を論理的に考えてます)
彼女と一応協力関係になりますが展開次第で敵対することになることでしょう。
寄生獣にもそれぞれ性格の違いがあるようです。
次回はAとの戦闘が始めから繰り広げられると予想されるので序盤の重要な回になるかもしれないです。
☆3.5
{/netabare}

【第4話】
{netabare}
『みだれ髪』
戦うミギー。
ミギーは我々ができるのは分業だと言う。
机の足をAに刺すミギー、重傷を負い移動し身体を変えようとするA。
ガスボンベを爆発させAを殺した田宮。
教員としての居場所に限界を感じ田宮良子を辞めると言う田宮。
人間を食べるのは何かしらの命令を受けているのだと言い、この種(人間)を食い殺せと命令されたとも言う田宮。
そんな田宮は子供は産むと宣言。
新一が僅かに混じっていると察する田宮。
田宮の実母にバレる田宮。
分離していられるのは3分だと実験するミギー。(理屈では頭から頭へ移動できると解釈)
両親に悩み事があると感づかれる新一。
母親と幼少期の新一(回想)
キッチンで新一をかばい、火傷する母の姿を思い出す。
食卓で涙するお母さん、秘密が言えないので嘘をつく新一。
旅行に行く父母。

家族の絆を描いた回でしたがやはり寄生獣と合い対する場面での精神的な怖さがあまり伝わってこないのが残念です。
蛇足ですが原作の意味不明なものへの恐怖感というかジャパニーズホラーの冷たい恐怖というよりアメリカンホラーっぽい感じで作り手の「どうだ怖いだろ!」って見せられている感じがイマイチです。
ホラー苦手な人に対してはこの作品の表現はより大衆向けだと思いますので、多くの人が見るのには支障は来さないレベルではあるので見易いとも言える点なのかもしれません。
☆3.5
{/netabare}

【第5話】
{netabare}
『異邦人』
夜ドライブ中の男女(女は寄生生物)、事故に会い男に頭への移動を試みる寄生生物。
脳に変化がありそうな新一。
長井をボコボコにする不良グループ。
ミギーには献身の心が特にわからないという。
新一をボコボコにする不良リーダー(ミツオ)。
新一の狂気に気づく不良グループ女の子加奈。
最近幅を利かしていると話す上条。
放課後またミツオ達に絡まれる新一と村野さん。
勝ち目のない戦いを避けろと助言するミギー。
一方的に殴打される新一だが上条と長井達が大勢連れて参上。
新一と村野さんのニヤニヤするシーン。
村野さんを見送る新一の背後に加奈が現れる。
村野さんより感覚が鋭い加奈。
―旅行先の両親、母が寄生生物に殺される。
重傷の父が公衆電話から化物が母を…と言う。
新一は寄生生物のことだと察する。
夜が明け、母さんかと思ったら寄生生物だった。
ショックで気が動転する新一に母(寄生生物)は胸を貫く!!

君嶋加奈が登場、重要なキャラになりそうである。
カーチャン…
人間と寄生生物に対しての新一の葛藤による苦しみがひしひしと伝わる回でした。
最後のシーンのBGMががっかり過ぎる、序盤はいいんだけど音数が増えて電子音が多くなっていくとくクオリティの高い作画と声優の演技をぶち壊してる気がしてならないです。というかむしろ無音にしてもよかったのでは。
☆4.0
{/netabare}

【第6話】
{netabare}
『日はまた昇る』
倒れる新一、去っていく母。(寄生生物)
心臓と同化を試みるミギー。
学校では新一の心配をする村野さん達。(新一がモテモテ)
新一を看病するミギー、目覚める新一。
母が寄生生物になったことが事実だと意気消沈する新一。
桜崎病院から電話があり父がいると連絡が入り向かう新一。
警察から事情聴取をされる父。
父と対面する新一。
化物に殺されたのは夢だと意地を張る父。
病院のすぐ裏の民宿に宿泊する新一。
新一の修復でミギーの体質が変わり一日のうち4時間完全に眠ることとなる。
新一ここでも民宿の娘にモテる。
寄生生物を察知し、浜辺で発見する新一。

新一がモテモテ過ぎて羨ましいですね。
ミギーが眠っていたのでより新一の一人語りが多い回でした。作画の休憩といったところかもしれませんが要所での原作を意識した作画のカットが印象に残ります。
☆3.5
{/netabare}

【第7話】
{netabare}
『暗夜行路』
脳が生き残っている人(寄生生物)に会う。(口に寄生、寄生生物の声がミギーのようにかわいい)
崖から飛び降り自殺をしようとした宇田守に寄生するパラサイト。(宇田さんはいい人そうです、良かったね新一)
心臓の治癒でミギーの30%が全身に散っていることを新一は知る。
流れない涙にそのことを実感する新一。
寄生獣が現れたと電話する宇田さん。
向かう新一、刃物に変化し眠ってしまうミギー。
新一母に会ってしまう宇田さん、あっさりとやられる。
新一登場!(タイミングが遅かった!)
人間離れの動きをする新一。(寄生生物30%配合されているだけはある)
トドメを刺す宇田さん、新一は母に寄生した寄生生物を倒す。
家に帰る新一と父。

宇田さんが登場しました。彼も寄生獣に身体の一部分だけ寄生された人間、涙もろく人情味溢れる存在です。
テレビで言葉を覚えたパラサイトは声が荒っぽくどこかかわいい(笑)
新一に母を殺させないよう手を下す宇田さんに人間らしさを感じます。
帰ってきた新一がイメチェンしてました。
新一の変化と今後の展開に拍車をかける回。
☆4.0
{/netabare}

【第8話】
{netabare}
『氷点』
田宮と食人中の謎の寄生生物、新一を監視しろと言う田宮。
新一が気になる加奈、新一にいちゃもんつけるミツオ。
対マンで楽勝になった新一。(雰囲気がずいぶんと変わってしまった)
新一を不信に思う村野さん。
飲んだくれの父。
涙が出なくなり人として何かを失ったという新一。(聴覚が鋭くなる)
助けを呼ぶ声、事故により瀕死で車道に横たわる犬だった。
ゴミ箱に犬を捨てる新一(無慈悲)とガチ引きの村野さん。
校舎内でミギーは田宮以外の寄生生物を察知。
島田秀雄と名乗る。
田宮は別の名前になっており、寄生生物でも人間として生活していると語る島田。
新一を待っていたら島田に捕まる新一。
テレパシーを感じるという加奈。
島田に惚れる裕子。
やはり女を食べていた島田。
飲んだくれの父。(Part.2)

島田秀雄が登場、自分は人を襲わないと言っていますが田宮より信用できなさ過ぎです。
新一がどんどん化け物になっていってます、自分が否定していた寄生生物になりつつあるのでしょうか。
村野さんもショックが大きいようです。
加奈の方は新一に運命を感じているようですが島田に捕まえられそうになるなど危なっかしい印象。
☆3.5
{/netabare}

【第9話】
{netabare}
『善悪の彼岸』
島田につけられる加奈、そこにミツオが登場。
公園のトイレで島田にボコボコにされるミツオ。(いつも殴られてる)
家で警察と話をする新一の父。(寄生生物の似顔絵を描いたスケッチ)
寄生生物は何のために生きているのか探していると語る田宮改め田村。
警察の兄に人相を聞く裕子。
島田に殺意があると察知するミギー。
新一の力にビビる矢野さん。
前と変わった新一にショックな村野さん。
生物として進化した新一。
顔を変える島田を目撃する裕子。
兄にスケッチの件を聞くが自分が見た光景について言わない裕子。
直接島田と話して聞いてみようとする裕子は理科室に島田を呼び出しまんまと引っ掛かる。
島田の殺意に気づき、席から立ち上がる新一。

裕子回ですね、島田を探って成果が出ましたが事態は悪い方向に。
最後の島田の変身シーンに良い意味で恐怖しました、なぜAはあぁならなかったのか残念です。(ここの音楽は良かったです。)
☆4.0
{/netabare}

【第10話】
{netabare}
『発狂した宇宙』
裕子を襲う島田は裕子に酸を掛けられる。
裕子の決死のダイブ。
顔を潰され感覚が狂う島田は無差別に人を襲う。
3階では人が沢山惨殺されていた。
一瞬人間としての感覚が戻る新一。
無事だった村野さん、島田に瞬殺されてしまうクラスメイト2名。
村野さんを学校から救い出す新一。(リアル超人)
警察に発砲されながら徘徊する島田。
向かいのビルから屋上に立つ島田に石を遠投し倒す新一たちであった。(正確すぎるコントロール)
毎度のように悩む新一。
島田がされる解剖。
考える筋肉だと言う研究者。
政府は公表しなかったが髪の毛を抜きあう挨拶を影で情報操作した。

案外だけれど裕子の予防策もあってか島田は割とあっさりやられてしまった。
村野さんと話せるようになった新一。
ようやく政府が寄生生物を認識し、国家規模での対策が始まりました。
もともとこの世界の日本の治安は悪かったようでだいぶ被害者が出てからの開始になった気がします。
対応の遅さは本物の政府っぽさが出てますね。
☆4.0
{/netabare}

【第11話】
{netabare}
『青い鳥』
髪の毛の挨拶でバレて人を食べる寄生生物。(無慈悲)
化物に襲われ、新一に助けられる夢を見る加奈。(なかなかロマンチスト)
新一の髪の毛を抜いてみるが何も起こらない。
加奈と話す村野さん。
ヤクザの事務所に乗り込むタンクトップの寄生生物、いとも簡単に構成員達を倒していく。(笑顔に恐怖を感じます)
拳銃や刃物を持った人間とどこまで相手にできるか実験するためだった。
ボスと話す先ほどの寄生生物。(新たなグループの登場)
新一と村野さんのデート。(微笑ましい。)
ところどころ新一に悲壮感を感じる。
キスする新一と村野さん。
村野さんへの想いで人間としての自分を感じる新一に対して、以前と違う新一を悲観し涙する村野さん。(こっちが切なくなる)
加奈に呼び出される新一は選挙活動をする寄生生物達と出くわす。

戦闘がないと話がもっさりした感じなのが否めません、少しテンポが悪いなぁとか思います。
政界に進出する寄生生物が現れました、人間社会を理解して成長していることはなかなかの脅威です。
☆3.5
{/netabare}

【第12話】
{netabare}
『こころ』
前話と同じ夢を見る加奈。
情報を把握するために政治家になろうとしていると話す新一とミギー。
寄生生物の成長を探す新一とミギー。
加奈と出くわし自分以外に反応する者はいるのかと聞く新一。
ミツオ登場。
加奈への情で俺を殺すなと言うミギー。
―夜、寄生生物を察知する加奈。
加奈にミギーの秘密を打ち明ける新一。
新一だけを嗅ぎ分けられるという加奈。
寄生生物の選挙候補者(広川)が当選する。
ストーカー化する加奈。(こええ)
本物のストーカーっぽいミツオ。(こええ)
加奈の能力が強まり寄生生物が探知する信号を放つようになったと言うミギー。
加奈のヤンデレ化が深刻というかこの娘完全にストーカーじゃねーか。
電話スルーの加奈。
廃墟で寄生生物を見つける加奈。
新一が来た瞬間、胸を貫く。
新一無双…したものの、加奈は亡くなる。
悔やむミツオ、人間じゃねぇと言うミツオ。
人間じゃねぇよと返す新一。

人間で新一の理解者になるかもしれなかった加奈が亡くなってしまいました。
今後新一の味方となってくれる人が出てきてほしいですね、最後のミツオとの場面は前半のベストシーンだと思います。
☆4.5
{/netabare}

【第13話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
学校の帰り道に新一と村野さんをつける謎の男性。(田村が手配した探偵だった、名は倉森)
田宮良子=(田村玲子)達、寄生生物グループの会議。(新一の件は私に任せろと言う田村)
いつの間にか子供を産んでいた田村。
加奈の事件の件で噂になっている新一、村野さんの不信感が増す。
探偵に新一の変化を聞く田村。
村野さんにした行動などがようやく普通じゃない行動だと気づく新一。
ずっとつける倉森探偵。
新一は事件現場に向かう。(人間としての悲しみを思い出し、忘れずにいるためだった)
倉森探偵に撮られる新一とミギー。
新一は人間としてミギーの倉森探偵の殺害を阻止する。
倉森探偵の正体がつかめずピンチになる新一とミギー。
村野さんと話をするため夜の公園に呼び出す新一。
新一の心を心配する村野さん。(可哀そう)

神回でした、新一の葛藤と何も知らない村野さんとの悲しいやりとりが胸に刺さります。
寄生獣の奥深さを表しているというか…主人公の肉体は一つなんですが同時に二つの異なった生命を宿していて片方には感情がない。
感情を捨てる世界で人はどうなるのかといったらある意味これは戦争に赴く兵士なのでしょう。新一のたった一人の孤独な戦いのようでただ悲しい。
☆5.0
{/netabare}

【第14話】
{netabare}
『悲しみよこんにちは』
村野さんに別れを告げる新一。
敵は案外小規模だと言うミギー。
宇田さんに協力を頼む新一。
宇田さんは自分に寄生している生物の名をパラサイトからジョーに変える。
田村と話す倉森探偵、新一の右手の異変に気づく。
笑う田村。(気持ち悪い)
帰宅する倉森探偵(夜中にうなされたりと結構精神的ダメージがきてる)
世間をアッと言わせると妻に話し意気込む倉森探偵。
新一達は倉森探偵を捕まえる。
話を聞き落ち着く倉森探偵だが、あまりに不可解で懐疑的にはなる様子。
ミギーが珍しく倉森探偵を人道的に諭す。
お前は寄生生物(田村玲子)に依頼されたのだと言うミギー。
大学で講義を受ける田村。
愛のように思えるのは利己的遺伝子、しかしこの説は例外もあると講義する大学教授。
寄生生物は闇雲に人を殺さず共存する予定だと言う新一。
子供を実験材料にしようとする田村。
占い師にアドバイスされるがその相手は殺したと言う新一。(表情がこええ)

新一達はようやく倉森探偵とまともに話します。
田村は人間を少しずつ理解し成長はしているもののあくまで自分の存続のためだであり、寄生生物側である。
新一は人間側のためにどう動くのか気になる回でした。
☆4.0
{/netabare}

【第15話】
{netabare}
『何かが道をやって来る』
田村と外から出てきた寄生生物をつける倉森部下。
地下駐車場で殺害されていた女、捕まる倉森部下。
力を貸してほしいと言う倉森探偵。
女性が寄生生物の胸を貫かれる。
広川(市長)によって組織的に人食いが行われているのを知る。
寄生生物をまじまじと見て戦意をなくす倉森探偵。
普通の人間じゃないと言われる新一。
1匹ずつ倒そうと考える新一。(1人でも人間を救いたいと考える)
広川らは新一の殺害を決議する。
後藤と三木が登場。
夢で寄生生物から鏡で自分の姿を見せられる。(鏡の新一は化け物)
学校で3匹を察知する新一達。
眠ってしまうミギー、タクシーに乗り逃げる新一。
寄生生物に狙われる新一。
3匹の寄生生物で構成される三木との戦闘になる。

倉森探偵の協力も借りられず結局一人で戦うことになる新一。
倉森さん新一達にプラスになりそうにないなぁ。
三木は今までの敵よりも強そうなので次回が楽しみな展開。
☆4.0
{/netabare}

【第16話】
{netabare}
『幸福な家庭』
家族を寄生生物に殺害される倉森探偵。
三木との戦闘に入る新一とミギー。(がっかり戦闘BGM、生死分けた戦いで軽
過ぎる)
刃の多さに苦戦する新一達、寄生範囲の広さが気になると言うミギー。
寄生部分は頭と両腕部分だけではなかった。
頭が他部分を統率しているため頭が弱点だとわかったミギー。
頭を切断したが本当は5匹宿っていたことがわかる。
5匹を統率していたのは後藤だった。
トラックに乗り逃げる新一、足を変形させ追いかける後藤。
対向車線のトラックと衝突させ後藤から逃げることに成功する新一。
警察と面会する倉森探偵。
生き抜くことを理由に泥棒するミギー。(新一は食事と服を購入)
家から逃げろと父に頼み了承する父。
警察に敵を田村だと密告する倉森探偵。
前話を合わせて夢で16回新一と会い会話するミギー。(意味深である)
―寄生生物グループのアジト
倉森探偵を殺さず家族だけ殺した男女(寄生生物)を田村はミスだと指摘する。
田村を本当の仲間か疑い、危険視する男女。
新一を心配する村野さん。(定期)
田村を狙う倉森探偵。
味方の殺意、敵意を察知し3匹の寄生生物に囲まれる田村。

前半の三木との戦闘はなかなかスリリングで迫力のある作画が印象的でした。特に三木の首を刈るシーンは見どころ。
三木は3体ではなく、本当は5体編成で統率を取るのは後藤なのは驚くポイントですね。(名前でネタばれ感は否めませんが)
家族を殺され復讐する倉森探偵はどこまでも普通の人間だなぁと思いました。寄生生物に関わってしまった彼はどうなるのでしょうか。
また、窮地に立たされた田村、今後も寄生生物との戦いを控える新一、自宅から逃げることを余儀なくされる父、新一をけなげに待つ村野さんと登場人物の運命やいかに。
☆4.5
{/netabare}

【第17話】
{netabare}
『瀕死の探偵』
広川や後藤とは違う田村を囲った寄生生物達。
寄生生物にも性格や能力の個体差があることを実感する田村。
半分を分離し攻撃する田村、1匹を誘導する。
2匹を倒し、寄生生物の殺意を利用し誘導した1匹も倒す田村。
帰宅する田村は倉森探偵に子供を誘拐されたことを知る。
(幼児用ベッドに貼り紙“お母さまへ 明日午後5時 ひかり第一公園 名探偵ホームズ”)
人間と寄生生物の中間にいる新一に渡したいものがあるので午後5時20分、ひかり第一公園へ来てほしいという田村。(新一の家から電話)
新一の家の前で田村と話すいつものように待っていた村野さん。
田村の家へ潜入する警察は貼り紙を見る。
―翌日、ひかり第一公園
田村の子を抱える倉森探偵と田村。
田村の波長を察知するがこれまでと違うと言うミギー。
倉森探偵が子供を高台から落とすのを阻止し倒す田村。(子供に対する愛が芽生え始める)
田村を追う村野さんも公園に来た模様。
倉森探偵を見つけた警察。
新一達のことを秘密にして亡くなる倉森探偵(あんた名探偵だよ)
田村と会う新一。

倉森探偵はどこまでも普通な人でした、死に際に名探偵になったのはある意味彼としては大往生なのかもしれない。
田村にこれまでなかった感情が生まれてきているようです、今のところ寄生生物として一番進化している印象。
次回田村が新一に渡すものは何か、警察といよいよ顔を合わせるのかと面白い展開。
☆4.5
{/netabare}

【第18話】
{netabare}
『人間以上』
人間を38人殺したという田村。(寄生生物の中では希少な数字)
寄生生物は必ずしも人を殺さずに生きていけると話す田村。
我々は人間の子供だ、一つの家族だと言う田村。
後藤とは戦うなと言う田村。
笑う田村。
平間さん(警察)に囲まれる新一と田村。
発砲する平間さん、部下の警官も発砲する。
子供を守る田村。
この世に何のために生まれてきたのか今まで考えてきたと言う田村。
新一にありがとうと言い戦わず死ぬ田村。
母の死に泣く子供。
久しぶりに涙を流す新一、以前の新一が帰ってきたと言う村野さん。
囚人の浦上が登場、面会室で新一と対面し他の人間との違いに気づく。
「俺の目を真っ直ぐ見ろ。」と言う浦上。

田村がここでこの世を去ります、他の寄生生物の中では最も好奇心旺盛だった印象です。それ故、寄生生物であることに疑問が多かったのであるしある意味感情を持つ人間に憧れたんだと思います。
新一も顔を母に変えてまで訴える田村に心を開き、人間の感情をまた思い出すことに至ったのでしょう。
浦上は新一の正体を知るのでしょうか、というかなかなか声が合ってる。
☆5.0
{/netabare}

【第19話】
{netabare}
『冷血』
浦上を見て人間だとわかる新一、眠るミギー。
浦上は人間と寄生生物を見分けられる。(今まで犯した殺人などで人間の品質を理解できるため)
他の生物と同様、多種と同種を見分けられる能力がある。(野生の勘)
新一を紛らわしいと言う浦上。(目の奥に何か潜んでいると疑う)
警察の実動部隊の指揮を取る山岸が登場。
害虫駆除をすると言う山岸。(完全に殺る気である)
―話す広川と後藤。
新一帰宅を狙って校門で待つ平間さん。
実動部隊の会議で話す新一と山岸。(火炎放射機が効果的だと話すミギー)
市役所で寄生生物をあぶり出す実動部隊。
ミギーは新一に寄生生物が相当な数潜んでいると言う。

浦上が良いキャラしてますね。(畜生だけど)
敵の本部に突入といったところでしょうか、話数的にもそろそろ人間と寄生生物の決戦が始まります、新一とミギーはどうなるのか!
☆4.0
{/netabare}

【第20話】
{netabare}
『罪と罰』
寄生生物を1匹射殺する実動部隊、浦上を使えと指示する平間さん。
2階に市民がいるからと逃げる広川達(寄生生物)。
装置が破壊され人間と寄生生物の差が分からなくなり人間にも被害者が。
敵の殲滅が目的だった為、次々寄生生物を倒す実動部隊。(市民にも被害)
後藤を見て逃げる浦上。(そりゃ怖い)
散弾で蜂の巣になっても血が出ない後藤は吸収した散弾を跳ね返し実動部隊を射殺する。(レベルが違い過ぎる)
議会場に立つ広川を実働部隊は発見する!

装置が破壊されました、予想はできた方も多いと思います。
実動部隊と寄生生物との戦いで市役所が血みどろに…全話で村野さんが言ってたなぁ。
後藤と広川が満を持して登場、圧倒的な力に人間側はどうなるんだ!
…新一とミギーの出番少なかったね。
☆4.5
{/netabare}

【第21話】
{netabare}
『性と聖』
広川を駆除しろと指示する山岸。
今回は君たちの勝ちだ、間引きしろ、人間は多過ぎるのでピラミッドの上に立つのは寄生生物だと言う広川。
「人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!…いや、寄生獣か。」と言う広川。
射殺された広川は人間だった。
計画は全て終わったと言う後藤。
刑事を打つ浦上。(逃げようとする魂胆)
戦いこそ目的だと言う後藤。
役目は終わったと言うミギー。
その気になれば人間の勝ちだと言うミギー。(新一は何か変だと言う)
後藤無双。(ここはヤツの巣だと解説する山岸)
部下を倒した後藤と一対一になる山岸。
単なる野生生物だと語る後藤、山岸を倒す。
お前を殺すと言い逃げていく後藤。
新一にまだ何か隠しているだろと言う平間さん。
別れを決意する新一、街中でミギーが眠るのに恐怖する新一。
村野さんを抱きしめる新一。(つらそう)
どこか逃げようか考える新一。
夜の公園で新一会う村野さん。
結ばれる二人。
生きようと決意する新一。

なんと広川は人間でした、あとタイトルの意味が明かされます。
タイトルの意味は始め原作を読んだときなど寄生虫と人間が混ざったような敵が出てくるからだろって思ってたんですけど劇中の人物のセリフで出してきたのはビックリですよね。
新一に関しては散々の恐怖の中でも村野さんへの愛は変わらない、愛する人のために生きようとするあたり人間って悪くないよねって思います。
☆5.0
{/netabare}

【第22話】
{netabare}
『静と醒』
後藤の気配を察知するミギー。(ミギーが車を運転して新一達は逃げる)
一か八かの方法を思いつくミギー、崖から車を突き落とすが後藤は生きており失敗する。
戦は勝機だと打ち合わせするミギー。
後藤の頭を切り離せと指示するミギー。
作戦を失敗する新一とミギー、ミギーが死ぬ。
山で見ず知らずのお婆さん(美津代)に会う。
助けてくれる美津代さん、不法投棄が深刻だと現場を見せる。
新一の夢でミギーは生きていると言うミギーの細胞。
最近妙なことが起きていると言い美津代さんの家に来る住民達。
地元の警察が現場検証する。
美津代さんに俺の責任だと言う新一。
軽々しく命を使うとか言うなと諭す美津代さん。
できるだけ多くのことを考えろ、決して諦めず臨機応変にと最後に言う美津代さん。
鉈を持っていく新一。

ここまで一緒にやってきたミギーと別れ、新一は参ってしまいますが山で美津代さんに会ったことで後藤と無謀でも戦う決意をするんですね。
後藤強い、純粋に戦いを楽しんでいる彼が生物の究極体(身体のみ)みたいに思えます。
ミギーは夢で生きていました、また再会はあるのでしょうか。
☆4.5
{/netabare}

【第23話】
{netabare}
『生と誓』
暗闇の中、五感が研ぎ澄まされる新一は後藤の寝込みを襲う。
考えを巡らせる新一は木の上から木の枝を刺そうとするが失敗する。
後藤にブッ飛ばされ生死の境で弱点に気づく新一。
不法投棄現場にあったゴミを後藤に突き刺す。
後藤の攻撃をガードした瞬間、後藤の中に吸収されたミギーが蘇生する。
後藤の体内にいた三木や他の寄生生物の反乱を促すことに成功する。
後藤はこの種を食い殺す怒りで戦闘マシーンと化したのだと解説するミギー。
ゴミにシアン化水素が含まれていたのが勝因だそう。(猛毒)
天に任せると言いその場を去る新一。
地球のためにと言う人間が嫌いだというミギー。
後藤に対し君は悪くないと言いやっぱり倒す新一。
帰ろう…新一は街へ帰る。

ミギーは生きてました、良かった!後藤戦一番面白い話だと思います。
新一が後藤に手を下すシーンは人間でいる以上、同種の敵は倒さねばならないという生物としての運命を感じました。
まだ彼には守らなけらばならないものがあるからでしょう。
☆5.0
{/netabare}

【第24話】
{netabare}
『寄生獣』
序々に人間社会と溶け込んでいた寄生生物達。
夢の中で永眠すると新一に話すミギー。
起きたら自分のことは忘れて欲しいと去り際に言う。
目覚めた新一は忘れるわけないだろ!!馬鹿野郎!!と一喝。
―新一、村野さんとデート
新一の意見。(ここはこの作品のテーマを話してると思います)
浦上を街で見掛ける新一、村野さんが捕まる。
―ビルの屋上
人間と寄生生物が混ざった中間の立場の新一に意見を聞こうとする浦上。
浦上を化物以上の化物だと言い放つ村野さん。
浦上を制し、ビルから落ちる村野さんを救おうとする。
失敗かと思いきや村野さんを救出。(おそらくミギーのおかげ)

エピローグ回、ラスボスは寄生生物の後藤ではなく人間の浦上というのが面白い。
新一の悟りを開いたような話にこの作品を通しての岩明均先生の考えを聞いているようでした。
最後の最後で村野さんが新一への答えを出していたりと終わり方としては申し分ないと思います。
☆5.0
{/netabare}

■総評
{netabare}
―重複しますが原作、新規ファンにも入りやすいキャラクターデザイン。
・原作ファンには違和感があるかと思いますが設定が現代に変更されている点や実際のアニメの作画から見て個人的には納得のいくレベルでした。
時折見せる原作のシーンをそのまま抜き取ったような演出は嬉しかったです。

―ミギーの声優の方が女性なのは意外でした。
・生まれて間もない生物ですしマスコット的な立場ではありますが、能力的に乏しい主人公を冷静に諭しながら戦っていくポジションなので落ち着いた大人な男性の声にして欲しかったのが個人的に正直な思い。
・プロデューサー中谷敏夫氏のインタビュー記事にこの件が書いてありました、周囲をわかっていたようでの配役みたいです。
・平野 綾さんの演技は良かったと思います。

―原作とストーリーはほぼ一緒なので安定して楽しめました。
・しかしながら原作の力が大きく、アニメとしての出来(構成、演出など)はもう少しどうにかなったのではないかと思ってしまいます。

―戦闘シーンの緊迫感がいまいち湧かない箇所がある。
・音楽のKen Arai氏の楽曲にエレクトロの要素が強く合ってない箇所が見られるのが残念、音楽プロデューサー・音響監督にはがっかり。
・どんな傑作でも音響は重要なんだと示してくれる作品だと思います。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

原作読んだ?

 全24話。マンガ原作。原作既読。

 この作品に限った話ではありませんが、私はもともとアニメ派ではなくて、マンガ派です。マンガ版寄生獣にももちろん注目していました。マンガ版寄生獣は、連載物の宿命か右往左往してしまったところはあるんですが、それでもマンガとしての完成度は極めて高いです。構成力は素晴らしく、無駄なコマもありません。歴史に残る一作と言っても決して過言ではないと思います。

 アニメを見るようになって痛感するのは、やはりマンガとアニメはメディアとして違うということ。マンガとしての面白さが、アニメとしての面白さにリンクしないところがある。その点では、私は必ずしも寄生獣のアニメ化を期待していたわけではありません。実写映画化もしかりです。
 ただ、映像化権が米国にあり、どんなキワモノが出てくるのか分からなかった期間を考えると…。時を経て日本に権利が戻り、実写映画化され、メディアミックスとしてアニメ化されたこの現状の方が良いのかもしれないな、なんてことも思いますけどね。

 以下、長文になってしまったので、お暇なときにどうぞ。


環境問題?:{netabare}
 寄生獣が環境問題への警鐘からスタートした話であることは間違いありません。そして、「人間と自然」という対比を用意し、自然側に寄生生物を置いていたことにも異論はないでしょう。ですが、最後までこの主題が継続されていたという指摘には強い疑念があります。

 マンガ版寄生獣の最終巻、作者のあとがきでこのような指摘がされています。後藤の最期についてです。
 作者は、後藤を「『美しき野生』『偉大なる大自然』の代表選手」とした上で、当初後藤は「死ぬ予定ではなかった」と述べています。後藤の敗北後、「新一はあのままスタスタ帰ってしまう」のだそうです。
 また、その後の後藤についての当初案も書かれています。「完全復活したものの、汚染された日本を嫌い、(中略)美しい自然をめざし飛び去ってゆく」という案。そして、「完全に復活できず、人間に無害の別の生き物として山の中でひっそり生き続ける」という案です。
 両案のいずれにも共通するのは、「偉大なる大自然」が存在し続けているということです。これなら「人間と自然」の対比は生きていますし、「自然が人間から乖離してしまう」第一案も「自然が人間のせいで変容してしまう」第二案も、環境問題への警鐘に対する答えとしての合理性は担保されます。

 ですが、作者は最終的に、新一の手によって後藤が殺されるという結末を選択しました。果たして、これが環境問題への警鐘として成立していると言えるのでしょうか?
{/netabare}

人間とは似て非なるもの:{netabare}
 寄生獣における「人間と寄生生物」の関係で、「人間と自然」の対比以外にもう一つ重要なことがあります。それは、寄生生物が「人間とは似て非なるもの」として存在しており、「人間と人間とは似て非なるもの」という対比がなされているということです。

 このような対比をさせる作品は数多くあります。対比先は、アンドロイドや宇宙人など様々です。これらの作品は、「人間とは似て非なるもの」を観察することで物語が進みますが、これらを明らかにすることを着地点としていることは、まずありません。そのほとんどは、「人間」との同異点を探ることで「人間」を明らかにすることを目指しています。

 寄生獣も最終的にはこちらの話にスライドしました。
 「人間と寄生生物」の対比が「人間と自然」であったのなら、自然の代表である後藤を殺すことは出来ません。それは対比の否定につながり、論理破綻を来すからです。作者が用意していた当初案のような結論にならざるを得ません。
 ですが、「人間と寄生生物」の対比が「人間と人間とは似て非なるもの」であったのなら、それは可能になります。観察さえ終了してしまえば、「人間」を明らかにするのに、「人間とは似て非なるもの」の存否が影響しないからです。

 この結末変更について作者は、このように述べています。
 寄生獣の開始時は「『愚かな人間どもよ』という人間が滅多やたらにはいなかった」が、「世の大多数の人が同じようなことを言い始めてくると」「作品内で復唱するのが何やら気恥ずかしいのだ」。「ともかく次には『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ、と言いたくなってくる」。
 つまり、寄生獣という作品は、環境問題への警鐘としてスタートしたものの、ここへの安易な着地を嫌い、「人間が言うなよ」との主張に変化したのです。その結果が、「人間」を語る作品へのシフトとして現れました。

 このシフトは、二つの示唆をもたらします。
 一つ目は、「人間と自然」の対比が終わることで、「自然」としての寄生生物の正体については、追及されなくなるということです。事実、寄生生物の卵やヘビのような幼生体などには、最後まで説明が加えられませんでした。「人間」を明らかにする作品においては、それが意味を持たないからです。
 二つ目は、「人間とは何か」を改めて語る必要が出てきたということです。

 この二つ目の論点を進めるために登場した人物がいます。彼が寄生獣という作品を締めくくりました。
 「人間」の浦上です。
{/netabare}

人間:{netabare}
 「人間」について考えるというのは、目指すべき人間像を探ることに同じです。「良い人間とは何か」「理想的な人間とは何か」などのようなものです。この説明の仕方に作者の特性が強く出ていました。
 原作者の岩明均(敬称略、以下同じ)は、対比を用意することで物語を説明していくタイプの作家です。このレビューもこれに準じて書いています。そして、岩明均は、対比の両側を説明しないという特性を持ちます。「裏側を書くから表側は考えてね」というスタンスです。

 「人間」について考えるとき、「良い人間と悪い人間」または「理想的な人間と現実的な人間」という対比が想定されますが、「良い人間」や「理想的な人間」を直接には描こうとしないのです。最後に描かれたのは、「悪い人間」と「現実的な人間」です。すなわち、「悪い人間がもたらす忍び寄る現実」、ここを浦上が担っていました。「人間」を明らかにする作品になったからこそ、その裏側にいる浦上が物語を締めくくることになったのです。
 そして、「良い人間」と「理想的な人間」への説明というのは、最終的には欠落されます。これが読者への問題提起として残るということです。

 なお、この作者の特性は、人物配置にも色濃く表れています。
 強い思想を打ち出した登場人物には、寄生生物としては田村や後藤、人間としては広川や浦上がいます。これらを対比先に置くことで、新一とミギーの立ち位置が定まっていました。
 ですが、どこを見ても表れない人物像があります。「共存を願う人間」です。主人公やヒロインですら共存への奔走を見せませんでした。この最後まで隠された部分、これが原作者の思いとしてあるのかもしれません。もちろん、単なる綺麗事嫌いの可能性もありますけどね。
{/netabare}

 ここまでが前提の話です。
 寄生獣では、対比のシフトが行われ、「人間」の話にスライドしました。そして、その過程において、「生物とは何か」にまで踏み込みが行われています。
 このシフトの起因と踏み込みの原因というのは、同じところに答えがあります。それが、第三部の主題となっていた「母子関係」です。


四部構成:{netabare}
 寄生獣の構成を検討してみると、四部構成であることが分かると思います。

 第一部は、マンガ版第3話/アニメ版第2話までに該当します。作者も「わずか三回にして終わるところが…」と述べていますから、とりあえずの結末を迎えていることが見て取れます。
 ここまでの話が骨子となり、ここを繰り返すことで後の物語が展開しているのも分かると思います。例えば、子ネコを助ける話は、子イヌを助ける話として再登場しています。バトルを通して新一とミギーが変化していくという定型が作られたのもここです。

 第二部は、母親の敵討ちである伊豆の一件が終わるまでです。マンガ版第16話/アニメ版第7話までです。この一件で、新一とミギーはその一部が融合することになりました。
 新一とミギーは、人間と寄生生物の間にいたわけですが、これ以前の話では「分離した状態」にありました。この伊豆の一件を経て、「融合した状態」で語り始めることになります。人間と寄生生物の境界があいまいになり、二人の思考が相手側に寄っていく決定打となりました。

 第三部は、田村との公園のシーンまでです。マンガ版第17話/アニメ版第8話からマンガ版第48話/アニメ版第18話途中までに該当します。マンガ版では第17話よりも第18話の方がより大きな意味を持ちます。

 第四部は、作品全体のエンディングです。浦上が登場し、後藤との決着がつき、「生物とは何か」が言及され、再度浦上登場することで幕が引かれました。

 以下では、第三部だけを見ていきます。
{/netabare}

第三部のオープニング:{netabare}
 第三部のスタート時、新一は大きな問題を抱えていました。それは、母親を亡くしているのに泣けないということ。
 胸に開いた穴を埋めるために新一とミギーは融合したわけですが、身体の穴が埋まる代償として、心の穴を抱えることになってしまったのです。この「心と身体」の対比に基づくのが、第三部の主題である「胸の穴」の問題です。ベンチマークには「涙」が採用されました。

 この第三部のスタート(マンガ版第18話)では、「胸の穴」に関する論理的な整理が行われています。第三部の問題提起であり、第三部のエンディングへのフラグ立てでもあります。これを確認してみます。

 マンガ版第18話は、新一が「涙」を流すところから始まります。泣けないと言う新一は、田村との公園での一件の前に、実は泣いているのです。もちろん「心の涙」ではありません。目にゴミが入ったから反射的に「涙」が出たという「身体の涙」です。つまり、泣けないことは身体の問題ではない、心の問題だ、という説明がされているのです。この描写に1ページ以上も割きました。通常では考えられないほどに強調されています。

 そして、心の問題と言えども心の全てに及ぶのではない、という説明が入ります。
 聴覚の鋭くなった新一が市井の音に耳を傾けるのですが、その過程で村野の心音を聞くことになります。3コマも使って村野の胸元を順にアップするという強調がなされ、その後に新一の照れる表情が1コマ入ります。
 つまり、新一が、少女の胸元に注目してしまう一般の男子高校性であることと、恋愛においては非情になっていないことが説明されているのです。変わらぬ心があることの説明です。

 最後に、変わってしまった心の説明がされています。ここで、第一部をリフレインする子イヌが登場します。子ネコを虐待から助けていた新一が、子イヌの死を「肉の塊」と表現しました。これにより、心の問題が「死」の一点に収束していくことになります。子イヌの話の重要性は言わずもがなでしょう。

 このような三段階の説明がなされたことで、新一の抱えていた問題が心の問題であり、その中でもとりわけ「死」への態度であることが明らかにされました。
{/netabare}

第三部のエンディング:{netabare}
 第三部のエンディングは、田村との公園のシーンです。新一が田村の「死」に触れることで、「心と身体」の問題が解決され、「涙」に至りました。ここで用いられたのが「母子関係」です。

 「母子関係」には、「田村→田村ベイビー」と「新一ママ→新一」の二つがあります。田村が新一ママの姿を取ることで、この二つの母子関係が混ざり合います。そして、「田村→新一」という疑似母子関係が成立しました。これによって、新一が体験した母子関係の喪失が疑似的ながらも回復し、新一の心の「胸の穴」が回復します。さらに、田村ベイビーの涙、すなわち、子供側の涙に触れることで、子供である新一もまた母親の死を許容し「涙」を流すことができました。
 これが第三部のエンディングの内容です。


 では、前述した「人間」を明らかにする作品へシフトした起因と「生物とは何か」にまで踏み込めた原因としての「母子関係」について話を進めていきます。

 この第三部で、「母子関係」が広がりを獲得しました。なぜなら、「田村→新一」という非血縁に基づく母子関係の成立を許容したからです。起因と原因になっていたのは、この「広がりを持った母子関係」のことです。

 「人間と寄生生物」における「人間と自然」の対比は、両者の対立構造です。田村はこの対立構造から離れ、寄生生物を弱者に置きました。人間と寄生生物の間に、庇護と被庇護の関係が生まれたのです。ここには「広がりを持った母子関係」が成立していますから、「人間と寄生生物」の関係は、対立構造から「母子関係」へと置き換わります。
 つまり、第三部で「母子関係」の成立を準備したからこそ、「人間と自然」の対比が持つ意味を減退させることができ、「人間」の話へとシフトさせることができたのです。

 ここで用いられた「強者であると認識していたものが弱者でもあった」という論理展開は、「人間」にも同様に機能します。例え「人間」が寄生生物の親であったとしても、また別のものの子である可能性があるのです。この論理展開は、他の生物にも同様に連鎖をしていき、すべての生物が親であり子である可能性を持つことになります。
 ここで、タイトル回収がされます。寄生獣とは、序盤では「寄生生物」のことです。中盤では「人間」のことです。最後には、寄生し寄生される「すべての生物」、親であり子である「すべての生物」、寄り添い合い生きる「すべての生物」、となりました。「生物とは何か」、それは「寄生獣」であるという結論です。
 「母子関係」なくして、「生物とは何か」にまで踏み込めなかったということです。
{/netabare}

おわりにかえて:{netabare}
 なぜ私が第三部のオープニングの話を詳しく書いたのかを、もう少しだけ説明させてください。

 おそらく、多くのアニメ版視聴者は、「母親が死んだ事実」と「涙が出ない事実」の間を「心の問題である」とごく自然に解釈したことと思います。ですが、それが主観に基づいていることを理解して欲しいのです。
 もし、「寄生生物は泣かない」のであり、「寄生生物と融合したから泣けない」のであれば、それは「身体の問題」になるはずなのです。作者はその可能性を理解していたからこそ、わざわざマンガ版第18話を用意して、「死に対する心の問題であること」を丁寧に説明してくれたのです。そしてこれが、「他の生物の死を悲しめるほどに、心に余裕がある生物」との人間賛美となり、「『愚かな人間どもよ』と人間が言うなよ」という主張につながるのです。

 ですが、アニメ版ではマンガ版第18話の再現を盛大にやらかしてしまいました。
 目にゴミが入り涙が出るシーンはカットされています。「心の問題なのかな」という新一の独白に頼っているだけです。客観的な説明なくして、なぜ身体の問題であることを否定できるのか、はなはだ疑問が残ります。
 胸元に照れる新一の表情もカットされてしまいました。トラック音に驚いた後の照れる表情だけがあります。これでは胸元に注目していたことへの照れ隠しではなくて、トラック音に驚いたことへの照れ隠しになってしまいます。それが、一体どれほど重要なのでしょうか?

 作品内での客観的な説明がなければ、視聴者は主観的な判断をするしかありません。それは当然のことですから、私には視聴者を責める気など微塵もありません。責めるべきは、作品への理解が乏しかった監督に他なりません。

 マンガ版第18話のサブタイトルは「人間」です。「寄生獣」という作品において、なぜここが「人間」というサブタイトルを冠しているのか、そこにある原作者の意図を汲むべきだったと思います。理解が及ばなかったのなら、忠実な再現を目指すべきでした。アニメ版寄生獣は、表面上は上手くなぞりましたが、作品全体への理解に懸念を感じてしまいます。少なくとも、原作マンガをきちんと読めているとは思えませんでした。
 私が第三部のエンディングとして整理している田村との公園でのシーンについて、Aパートで終わらせているアニメ版は構成としておかしい、と指摘している方がいらっしゃいます。そのような指摘も極めて妥当なものだと思います。

 もちろんこれらの論理性の欠如だけをもって、アニメ版が駄作であるなどというつもりはありません。良いところももちろんありました。特に、細かな象徴物はかなり機能しています。携帯電話とか髪の毛とか洋服などのデザイン文字とかですね。それぞれに意味を持った良改変だったと思います。

 ただ、アニメ版を視聴した際に、少し残念に思ったのは確かです。マンガ版はおそらく歴史的な一作としての地位を獲得しているものと思います。環境問題への警鐘としてではなく、マンガとしての質の高さゆえです。ですが、それほどの価値をアニメ版からは感じることができませんでした。メディアとしての違いなのか、論理性の欠如のためなのかは別論に譲りますが、マンガ版の良さを再認する結果となってしまったと感じています。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。

 内容は至ってシンプルである。感想はひと言で「なんか普通」である。傲慢じゃない。「なんか普通」だから、面白いとも思えない。純粋な物足りなさ。しかし実写映画化にアニメ化とは、急に流行り始めたものだと思う。まるで生態系の崩壊が”急に”来るように。

 つまり、(と言って要約に入る。)…しかし要約する必要性はない。全て作中で語られるから。 ああ、じゃあ何も書かなくていいのか。

以降はネタバレです。

要するに…、{netabare}

 生態系には天秤があり、それは環境資源に比して均等に保たれようとする力が働いている。つまり、バランスを保とうとする力がある。一つの生物が偏って増大すると、その生物は下位の食糧(肉食動物は草食動物、草食動物は植物など)を食らいつくし、結局食べるものがなくなって、自らの種も激減し、食らい尽くした食糧が回復するまで、その生物種も増えることはない。
 北米で実際にあった捕食者のいなくなった鹿が好例である。狼が絶滅し、捕食者のいなくなった鹿は増大し、木の皮や若木などの食糧を食い尽くし、食べるものがなくなって激減し、山原は荒れ果て、他生物にも危害を与え、自然の回復には多くの時間を費やした。   
 人類も全く同様で、近代化に伴って人口は増大し、凡庸な欲に生物資源を使い潰し疲弊することによって、やがて膨大な需要に生態系からの供給が行き届かず、人類側が激減する、というシナリオだ。歴史的に見ても、どうやら現代のここらが古き良き時代であることがわかる。

 一つの生物種数が偏って変化すると(然も、人類という規模の違う並半端な偏り方である)、バランスを保とうとする生態系側から種数を変化させないようにに規制が掛かる。しかし人類は、農作を覚え食糧を備蓄するようになり種数を増やし、産業革命やエネルギー革命やらを起こし種数を増やし、何段階かに分けて種数を増やしてきた。必ずしも右肩上がりが平均ではなく、革命や発展があって、そこから種数をぐっと増やして来たのである。つまり、生物資源からより効率的なエネルギー供給を得られる技術を、段階的に確立させ、それに伴って人々の生活は裕福になり、人口爆発が起こった。端的に言えば、人類は生物資源を濫用することで発展して来たのである。
 段階的に増えたので、技術革新前は人口グラフが横棒だったのである。人類もまた一生物でしかないことがわかる。
 寄生虫(パラサイト)の出現は、自然界側からの人類種数増幅の規制であると見て取れる。しかしそれは、作中に見られるように、人類にとっては撃滅可能なパラサイトという小さな規制である。それは新型ウイルスなどと全く変わるものではない。バランスが偏ることで、環境や人体に変化が生じることで、今まで見過ごせてきたもの見過ごせなくなったり、見えなかったものが見えるようになったり、現れなかったものが現れるようになっただけの話である。
 そして、本作品の物語を物語たらしめる(面白くする)要素は、主人公の人間とその右腕に寄生したパラサイトとのコミュニケーションだが、第一に上記からわかるように、パラサイトの出現が未来の人類激減による混乱期を示唆するという点である。パラサイトは人間の脳に寄生し、四肢を支配することで、コミュニケーションをとることも出来るのである。しかも、知能まで高めることができるので、「我々パラサイトは何の為に生まれたのだ?」「我々パラサイトはなぜ人間を食らうのか」などと、本来は意志の疎通ができないはずの人間種数を規制する自然界側を見取ることができるのである。つまりは、ウイルスと話しているようなものである。まあ、こういう環境破壊風刺モノは、自然界側の発言者と人類側の発言者の対話、という構図がわかりやすいのだろうと思う。本来、話せないものと話せる、ということがこの物語のいい要素だ。
 第二に、人間視点として、虫が寄生した人間が、寄生されてない人間を食べることで、いつもは搾取側の人間が、搾取される側になったのであることだ。搾取される側になったという問題が現前にある人間模様が物語となったのである。 (編集ここまで、以降だらだらと)

第二のこれを掘り下げると、
 まず、「人間を殺すなんて!人の命は尊いんだよ!」と主人公が叫ぶシーンがあるのだけれど、誰が「人の命は尊い」だなんて決めたのでしょう。「人権」でしょうね(民主主義の一角として)。「人の命は尊ぶべき」なんて、民主主義思想を創造した昔の西欧の賢人たちが、「これって人類の普遍性にしちゃっていいんじゃね?」と定めたものでしかないんです(注意、ニュアンスは違うかも知れないけど)。「人間を殺すな!」って言っているわりには、人間は他の生き物を殺しまくってる。人類によって、過去にない圧倒的スピードで生物種は絶滅していっています。それで、人間を殺すな、とかまだ言うの?つか早く殺させてくれる?というパラサイト側からの提言は通用しますよね。いや、通用はしてほしくないのか苦笑 ありえるよね。
 産んだ子が死んで、悲しむのは人間。だけど、アフリカのどこかの先住民は、ある話で、死んでも産まれても、それを何年も育てることになっても、別に劇的な出来事ではないそうです。だって、周りに共存している野生動物だって、みんな同じ、よく死んだり、よく産まれたり、育てたり巣立って行ったり、日常的にやっている。産まれた、だから育てる。病気で死んだ、悲しいけど、よくあることだ。驚くほどのことかい?と先進国の旅人に訊いたそうです。この発展し成熟した社会の下では、無いように見えますが、本来、死生というものは日常的にありふれていて普通のことなんです。
 話しを戻すと、こうしたところから、本来の死生観というものに考えさせられるところがあります。人間というのは、偏っていて、偏っていることすら知らないことが結構多くあるのです。理解していると思い込んである観念に縛られて生きていると、不条理なことってありますよね。理に適っていなくて、考えないから、不幸なんでしょうけど。

 本作が物語になったのは、上に書いたように、パラサイト側の人間理解にもあるでしょうね。
「人間社会というのが、ひとつの生命体だ」みたいな台詞もありました。
 まあ、これもシンプルで、一匹では無力で何もできないから、弱さを補い、なお効率化を図って、群れた。群れて社会ができた。蟻一匹じゃしょぼいけど、数百万だったら森ぐらい呑み込めるよね(グンタイアリ)、と大まかに同じ。
「パラサイトと人間はひとつだ。我々(パラサイト)は弱い、だからいじめるな」みたいなのもあったかな。
 これは、人間は無意識の内に生物とは単体だと思い込んでいるのが、全ては繋がっていて、生命という全体性の内に内包されているのだ、ということ。
 生態系の崩壊が急に来ると書いたのはここから押し広げられます。蜂が絶滅したら、花は受粉できなくなって…みたいに。そしたらもう連鎖的に襲われるでしょうね。

 無敵のパラサイトを手こずって倒して、とどめを刺そうかと迷う主人公は、守りたい大切な人たちを思い出し、「それでも人間は生きたいんだよ」と、そのパラサイトを殺すことを決意します。

 もっと突き詰めて意味深いこと描けないかと思うけど、それは傲慢かも知れませんね。それでは世間に伝わりにくいだろうし。実際、環境汚染やら気候変動やら生物多様性減少の課題とかの中から、個人のパーソナリティーに訴えかけるべき倫理道徳って、はなはだ単純なもので、警報としてはこのくらいが丁度いいのかも知れません。作品価値を上げるなら、濃い内容でもいいかもしれないけれど、もしそれが世間に伝わりにくいからってやらないのは、制作段階で作品の未熟を認めつつ見過ごす行為だから、未熟でしょ。まあ、風の谷のナウシカの原作を読んでしまったら、ねえ。うん、警報としていいかもしれません。

 良作ではあるけれど、ピンとこない。市長が人間だったところが、一番よかったです。「おおー」ってなります。

 実写版の方が迫力はありますかね。内容は削られていますが、荒削りではないし、原作を映画二編に収めたのだから多少は仕様がありません。役者さんとアニメだと、やっぱり響き方として実写がいいです。原作は、台詞の伝わり方がいまいちでした。

 論理的をやめて、今回はちょっとだらだら書いてみました(編集で最初の方は推敲しましたが)。だらだらしていられるのも今の内、なんでしょうかね。…なんて諦観しているわけじゃありませんよ。なんとかなると言って誰かに任せっきりで何もしないのは、違う気がしますからね。器量がなくても草の根活動ぐらいできるんじゃないんですかね。どうにもならないから、はじケル?野性生物の人類は、端的に言えば、理性生物に進化できればいいのですよね。できなかったとしても、幕には下り方ってもんがあるでしょう。何が格好良いのでしょうかね。カジュアルスタイルが格好良いんでしょうかね。化粧に香水にキャメルのコートで恥じらい隠して、同じようなイントネーションで話していれば格好良いんですかね。
 要するに、この物語を見て、風刺を理解し、自分のこととして身に据えれば、「そんなことしてる暇なんかあるの?」とグサリと刺されることになるんでしょう。それでも弁償したい人は、例えば「それでも人間は生きていたいんだよ」の台詞に勝手な救いを求める。でも、その台詞は文脈の意味合いがそもそも違いますよね。ギリシア哲学に於ける「善」の定義とは、自分にとって都合のいい選択のことなんです。そろそろ、人間は善悪判断(倫理観)の範囲を、人間界から生物界へと広げなくてはなりませんね。だって、それができなきゃ滅ぶんだから。
 全ての生きとし生けるものに包括された一つの種としての人間、その人間にとって、一体何が格好良いんでしょうね。 {/netabare}

以上、今日は気分が悪くて皮肉屋でした笑 ほら、不条理なことが、ね。わかるでしょ?私情を持ち出すなんて未熟者ですね、人類は。※責任転嫁(笑)

2015/5/14「生物として人間は何が普通なのだろうか。人間として生物は何が普通なのだろうか。」投稿。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7

71.1 3 不気味でダークファンタジーなアニメランキング3位
ブギーポップは笑わない(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (414)
1736人が棚に入れました
竹田啓司は、同じ学校の後輩でもある恋人の宮下藤花を待っていた。しかし約束の時間が過ぎても彼女は現れず、連絡も通じない。日も暮れ始め、あきらめて帰ろうとした竹田の視界に涙を流しながらふらふらと歩く男の姿が映る。どう見ても普通ではない男の姿に、竹田自身も、そして周囲の人間たちも我関せずを決め込んだそのとき、不思議な人物が男に駆け寄ってくる。大きなマントに身を包み、奇妙な帽子を被った不思議な人物。ソレは竹田との待ち合わせをすっぽかした宮下藤花と同じ顔をしていて……。

声優・キャラクター
悠木碧、大西沙織、近藤玲奈、小林千晃、下地紫野、諏訪彩花、榎木淳弥、市川蒼、竹達彩奈、宮田幸季、八代拓、市ノ瀬加那、細谷佳正、長谷川芳明、阿澄佳奈、上田燿司、花澤香菜

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

時の壁

【未評価】*少し修正

ストーリーが読み取り辛い。
妙に訳知り顔の学生たちが、利いた風なセリフを演説するような印象ばかりが強く、話している内容が素通りしていく感触がある。

この分かりにくさは、カットバックを多用した演出や、キャラの描き分けといった技術上の問題ではなく、原作小説の発表された20年前と現代との時代差にあるように思える。


世界に侵入した世界の「敵」を、二重人格のような「学生」の主人公が密かに排除してゆく。

日常的な社会の運営とは隔絶して、「世界」の根本的な危機に社会参加していない「学生」がダイレクトに関与していく作品構造は、原作発表当時に萌芽し始めていた「セカイ系」を先取りしていた。
「学生」が訳知り顔で利いた風な能書きを述べるのは、社会参加していない「身分」と、「社会領域」が存在しない「セカイ系」世界との相互作用による必然だろう。

全体の構造が把握しきれないまでに複雑化して、感覚的に「よくわからな」くなってしまった社会が、社会を不可視化して排除する「セカイ系」の想像力を生んだ。

世界に侵入する「敵」は、政府や大企業などの「上のほう」の「えらい人たち」が「秘密」に独占して抱え込んでいる本作の陰謀論的な「世界」は、典型的な「セカイ系」構造だ。
一般人=大衆=社会から隠された「秘密」を巡って、「えらい人」と「学生」は同水準に立つことになる。
「社会」から秘匿して独占した「秘密」を、「えらい人」と共有していることが、社会参加していない「学生」が、多くの「セカイ系」作品で、世界の命運に接近して利いた風な口をきける根拠だ。

だが、こうした「セカイ系」構造の説得力が、この20年で変質したことが、本作の「分かりにくさ」の理由ではないだろうか。
原作でストーリーに説得力を与えていた時代感覚が変化してしまったのに、現代へと時代設定を変更してそのまま同じ舞台設定を使用してしまったことが、細かな技術上の齟齬などではない、根本的な「伝わりにくさ」の原因である気がする。


20年前、「セカイ系」に説得力を与えていたのは、逆説的に現実の「社会」は強固で不変であるかのような時代的な「信憑」だったのではないだろうか。

自律作動する複雑で「よくわからない」機械のようなものとしてイメージされる「社会」。

「よくわからない」ままに、自分とは無関係に自動的に作動していく複雑な機構としての「社会」、という現実の「世界観」が、逆に「社会領域」が削除されても「日常」は何の不都合もなく維持されていく「セカイ系」の「リアリティ」を支える。

「学生」が訳知り顔で「世界」の根本に関与していく背後で、電車は時刻表通りに運行され自動車は信号に従って走行する。
水は蛇口から流れ、スイッチ一つで電気は点き、コンビニに並んだ商品は望むままに購入できる。

本作でも同様に反復されているこのような「日常」のあり方は、逆説的に「社会」の不動の安定を暗黙の前提としている。

だが、この20年という時間は、こうした暗黙の信憑を掘り崩す過程であったのかもしれない。


こうした「セカイ系」世界の「安定」を支えていたのは、陰謀論的に歪曲された権力者=「えらい人」だった。(時として企業経営者がこれに加わる)
「ズル賢」く「悪賢」い権力者は、自らの権益を確保するために、権力の源泉である「社会」を自分に都合の良い形で「安定」させる強い動機がある。
「世界」の動揺と切り離して「日常」を安定させるために、「秘密」を独占する「敵」としての権力者は陰謀家として登場するしかない。
(世界の危機を「秘密」にしたまま「密かに」戦う主人公とは、「安定」を口実とした「陰謀」の共犯者であるともいえる)
多くの「セカイ系」で、「政治家」を始めとする権力者が役職も権能も不明な「えらい人」として現れるのは、「複雑系」の社会を「よくわからない」の一言で理解する裏返しだ。

本作もまた、この構造をなぞっているのは上述の通りだ。

当然、こうした「設定」は、読者=視聴者の現実感覚との連続性があるからこそ採用されてきた。
しかし、現代の視聴者には、こうした世界構造は説得力が薄れているのではないか。

そう、この20年で暴露されたのは、現実の政治家=企業経営者=権力者は「ズル賢く」もなければ「悪賢く」もないという事態ではないだろうか。

単に「ズル」くて「悪い」だけで、「賢く」などはない。
「ズルくて悪い」だけのバカではないかと。

「自分は何もしなくとも自律運動する社会」の「信憑」を支えていたのは、「えらい人」が自己利益のためにズル「賢く」社会を操作しているはずだ、という、ある種の合理思考だ。

しかし「えらい人」が「悪い」だけのバカならば、合理思考など存在していたはずがない。
「社会」の自律運動は、「複雑さ」から目を背ける反知性の怠惰が見せていた幻影ではなかったか。

「ズルい」バカが、思い付きで「権力」を振り回すことで、「社会」の機能不全を引き起こしてくるさまを目撃してきたことが、「自律運動」の幻想を、もはや「信憑」できない地点に視聴者を連れてきたのだろう。

おそらく現代の視聴者には、「学生」が利いた風なセリフで「世界」を救う背後で、日常が「自動的に」維持されているようには見えていない。

誰かが電力網を維持し、運行を管理して電車のダイヤを維持している人がいる。
信号機をメンテナンスする人に支えられて自動車は運行し、その流れに乗って商品の配送する人が、24時間のコンビニでの買い物を可能にしている。

こうした個々の「社会人」たちの肩で支えられた「社会」では「自動作動の安定」がリアルさを喪失するのであれば、「安定」のための共犯行為が要請する、「密か」に戦う「聖戦」の密儀性もまた説得力を失う。
社会参加していない「学生」が訳知り顔をする本作が、わかりにくいものとなるのは避けられないだろう。


時代的に失効した「世界観」を、無自覚に「現代」へ持ち込んだ設定が、本作を分かりにくいものにした。

だが、これは原作小説が現代では無価値になってしまった、という事ではない。
水準を超えて構築された作品は、その時代を離れても物語の訴求力は、衰えない普遍性を持つ。

ただ、その時代と強く結びついて説得力を発揮した「もの」を、十分に検討することなく時代だけ現代へスライドさせた不手際が、作品の語るものを不明瞭にしてしまったという事だ。
おそらく同じ失敗をアニメ版『BANANA FISH』にも指摘できるだろう。
東京もニューヨークも同方向に等質のものとしてフラット化する圧力に晒される21世紀世界で、温室の「日本」に対する「リアル」の渦中にある「アメリカ」、という80年代特有の誤解の対立構造に基づいていた原作マンガの説得力は機能しない。


「社会」や「世界」の理不尽さへ対する若者の不満は、いつの時代でも繰り返されるだろう。
可視化装置として、ある時代では有効であった「自動作動する不変の社会」への信憑を利用した「セカイ系」は、現代では有効性が薄れた。
新たな装置が求められるし、試みも多くなされているが、しかし、そうした「改変」を加えれば「原作」とはまるで異なる「作品」となるわけで、原作の「アニメ化」とは難しいものだと思う。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

どっからどう見てもポップ・・・ではないよね

『これは猟奇サスペンスであり青春群像劇であるんだよ』 

相反しそうな言葉を同一の意味合いのものとしてキャラに語らせる。するとあら不思議!深淵なる哲学的ななにかに聞こえてきます。

『猟奇サスペンスである一方青春群像劇』 並列は×
『猟奇サスペンスである以上に青春群像劇』 序列も×

いずれもパンチが弱いため、ここではあくまであたかも相反するものが一体となってるような表現に努めねばなりません。

・レトリックのみでくどく、キャラをイタく感じてしまうのが “梅”
・レトリックがハマリ、キャラに魅力を感じてしまうのが “竹
・レトリックとストーリーがマッチし、作品に魅力を感じてしまうのが “松”

本作『ブギーポップは笑わない』はまごうことなき松!
抽象的な「世界の危機」という大問題を巡って登場人物たちの極めて主観的な台詞回しで進行していくサスペンスタッチの青春群像劇のようなものと言ってよいでしょう。猟奇性を帯びたキャラクターも複数登場するため、グロ描写も所々出てまいります。


1クールなのに全18話のお得感。トリッキーな放送スタイルのおかげで何話か飛ばしましたがなんとか視聴を完了しました。配信やタイムシフトのある時代で良かったです。
そんな便利なサービスの欠片もなく、ラノベという単語も浸透してなかった1998年に刊行されたヒット小説のアニメ化です。
元ネタの刊行年度を考えれば古典といって良いでしょう。私としては珍しく原作既読の作品です。作品の意義だったり影響等についてはgoogle先生あたりをご参照くださいませ。

実際に視聴してみて巷で言われるような “古臭さ” というのが実はよく分かりませんでした。
だいぶ原作の記憶が薄れているためほぼ初見のような新鮮さで堪能できてます。全18話を通してキーになる人物(人格)がブギーポップ。いくつかに別れたエピソードはこちら、

(1) 第1話 - 第3話 ブギーポップは笑わない
(2) 第4話 - 第9話 VSイマジネーター
(3) 第10話 - 第13話 夜明けのブギーポップ
(4) 第14話 - 第18話 オーバードライブ 歪曲王

計4つのエピソード。時系列は前後してたりするのでながら見は禁物です。時系列の掴みづらさと同様に、キャラ相関が難解、そして台詞回しが難解です。私は後者をあきらめました。
ただキャラ相関は小難しそうに見えて意外とシンプルなのではなかろうかと思ってます。ここが掴めてくるとテーマらしきものも見えてくる作品でした。


◆相関その1 二つの二項対立
・《世界の敵》 と 《世界の敵の敵》 の二項対立。
{netabare}《世界の敵の敵》はブギーポップ。前者はブギーポップに“自動的に殺される”人が目安でした。合成人間もいいセンいってますが、MPLSと呼ばれる元は普通の人間でふと異能に目覚めちゃったのが敵認定される場合が多かった気がします。{/netabare}

・《社会の敵》 と 《社会の敵の敵》 の二項対立。
{netabare}霧間お父さんの「社会の敵」というセリフに引っ掛かりを感じました。統和機構に殺されるのが《社会の敵》に見えます。ブギーポップは社会の敵は殺しません。{/netabare} 

《敵の敵》の主語は一つで《敵》はいろいろですが、《世界の敵》か《社会の敵》かに分けて整理するとスッキリします。《世界》と《社会》の違いはようわかりませんでした。
{netabare}強いて言えば
《世界の敵》はマジやばいやつ。世界を滅亡に陥れる者。
《社会の敵》はプチやばいやつ。世界を大混乱に陥れる者。{/netabare}

{netabare}ここでふと、《世界の敵》は超異能だけどスケールが小さいというか世界はさすが言い過ぎじゃね?と思ってみたり。
この作品でいう世界の規模感や質感が我々がイメージできるものならば、目立ってマークされてそのうち一個師団が出てきて壊滅させられる程度の異能ぶりです。おそらく煮詰まった上で殺される前といいますか勃興期のイケイケな時にブギーポップが登場するのかもしれません。だからこう噂されてるのかな。

{netabare}「その人が一番美しい時に、それ以上醜くなる前に殺す」{/netabare}{/netabare}


◆相関その2 宮下籐花はモブ
ブギーポップが主要人物であることはよいとして、肉体を間借り!?している籐花にも焦点をあてると混乱します。
先入観だと、ふつう主役はこの人だよって観る側に柱を作ってあげてから話を進めるとか、群像劇でもグループ(だいたい5名くらい)を作ってその囲いの中で話を進めるものだと思うのですが、それがありません。登場人物の母集団に大きな変動はないのにです。さらに4エピソードと分けてることでなおさらこんがらがります。
前のエピソードで主役を張ったかと思えば次のエピソードは台詞なしとか、ブギーポップに視点を置きたいけどなかなかもったいぶって出てこないとか。
{netabare}当初は、別人格に悩まされる少女(宮下籐花)と恋人竹田啓司との奮闘記を想像してしまったせいでとても混乱した私です。{/netabare}
{netabare}霧間凪も髪型変わってヴィジュアル判別が難しくなったりとかホント勘弁して~{/netabare}


対立の構図や人物相関が整理できたらあとは身を委ねて完走です。
こういった「世界の危機」といった抽象的な大問題をさも大事のように扱う作品って、外からだと馬鹿馬鹿しくつまらなく見えがちなのですが、中に入ってみるとけっこう陶酔できるものです。
作品が世に出た1998年あたりで例えれば、ヴィジュアル系バンドの歌詞世界とライブ模様みたいなものかと。「破滅」「追憶」「世界の果て」「彷徨」「闇」「孤独」「血」「薔薇」「憂鬱」「堕ちる」・・・とだんだん楽しくなってきちゃったのでこのへんで。あと「とりあえずフランス語」。

極めて私的で閉じた空間でのダークな物語。
きっと中学生や高校生くらいの思春期に出会ってたらドはまりしてたと思います。では思春期が遥か遠い大人の私はどうだったかというと、「とても楽しく鑑賞できました」になります。
毎度OPが楽しみだったのと、意外と大人がいい役回りをしてたことが理由としては大きいですね。語り部的な大人らしい大人もいれば、大人になりきれなくて身を滅ぼす大人と。
彼ら高校生が抱く未来への期待と不安を象徴するような大人ばかりでした。
子供ばかりだけだったら見られなかったような気がします。

思春期世代の抱える不穏さをファンタジーでふわりと包んだ良作です。

この作品に影響を受けた奈須きのこ氏の『空の境界』にドはまりした私にはとても相性の良い作風でした。



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2019.09.19追記 


視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴



2019.04.27 初稿
2019.09.19 追記

投稿 : 2024/06/01
♥ : 51
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ブギーバックは笑えない

ダンスフロア~に鮮やかな光~。
…。
ピエール瀧ぇ。
ってことで妙に薬物ネタが出てくるこの作品、もうちょっと時期遅かったら世間に「配慮」して放送できなかったってことは…無いか?大丈夫か?

{netabare}噂には聞きつつもどんな作品なのかは全然知らず、「よしこれで内容知れるぜ」と1話見てみたら全然意味分からなくて一旦脱落。
脱落したといっても妙に後ろ髪引かれる部分があって…まずOPカッコ良いよね。
爆発したビルをボケーっと見てたら何者かが空をスッ飛んでいってハっと白昼夢見て最後は再びハっとする所に戻ってという内容で、「しょうゆおいしいです」みたいな。
それとこれ結構重要だと思うんだけど、女性キャラをワザと絵的にブサイクに描いてない?
青ブタのように美女に生まれて大変って内容ならまだしも、意味も無く美少女に描かれてる限り媚びてる匂いってのはどうにも付きまとい、それでいて所謂「意識高い系」をやられるとな~~んか気持ち悪い。
意識高い系でないならどんなに媚びてても平気なんだけどねぇ。
新シリーズ版のなんとかの旅とかヴァイオレットなんとかとか…自分的には評価低いんだけどブサイクに描かれてたらまた違ってたんじゃないかなー?と最近思ってて。
また色づくなんちゃらはそこら辺考えて、ブサイクになりかけギリギリのラインを攻めてた気配を感じます。
ってことで、この作品はめっちゃ思い切ったことをしてるという認識で、1話で脱落したといっても録画溜めて後で見るつもり満々ではいました。
これがきゃろ~んとした美少女だったら1話で完全に切ってたと思う。
(小声:というかですね、「ワザとブサイクに描いてる」と言うと普段深夜アニメ見ない人の食いつきが良いゾ)

でもって全話見てみたところ…ナルホドそういうことねー。
自分はどうしてもSF的に(機械的にと言った方がいいのか?)処理しがちで、哲学的・情緒的に考えるのが苦手というか。
つまりはコトの発端はエコーズが地球にやってきた、もっと厳密には過剰に進化したことが東亜機構の設立も含めたキッカケなのかな?と思っちゃってて。
なので全てはエコーズが余計なことをしたせい(実際、カミキシロはエコーズに優しくしなければ死ななかっただろう)、観測者が観測対象に接触してしまったのが悪い(=ブギポの敵)と思ってしまったのだけど、そうではないみたい。
実際は「(人類が)影響受けるのはどうでもいい、進化したいのならどうぞお好きに、但しそれが間違った方向だと判断したら始末しまっせ」ってことみたい。
あ、ブギーポップのスタンスのことね。
正義・悪の基準が曖昧というか、ブギポは別に身近な人を助けるために出現するってことではない。
むしろ場合によっては身近な人には迷惑な存在にもなりえたり。
ここら辺、どんな選択をしようが主人公の選ぶことが正義と扱われたサクラダなんとかより全然好感が持てる、自分は。

とはいえ…今作最終章になる歪曲王編、能力の合わせ技かぁ…。
これやられると何が起きてるのか一気に分かりにくくなる。
何が幻覚で何が現実か、または幻覚のどこまでが現実に影響したのかとか、よく分かりませんでした。
ってか田中お前も能力者だったのか…。
改めて考えるとカミキシロに始まりカミキシロに終わる構成だったのかな?
とりあえず歪曲王編以外は実はそんなに難しい内容ではなかった、1話でかなり身構えてたのでホっとした感じ。
むしろ簡単な話を必死に難しそうに装った感じ?

進化についてはこちとら園芸(生き物)を趣味としてるので色々と思うところがあるのだけど(書き始めたら止まらなくなるので割愛)、ある意味真っ当な捉え方だと思います。
まぁ能動的じゃあないよね、と。
漠然としたものを漠然と流してて、「現象」を紹介したものに近いので地味だし感想も書きにくい。
実はそんな難しいこと考えずに各キャラが微妙なタイミングでニアミスするのを「フフッ」っとほくそ笑むのが正しい楽しみ方だったりして。
ナギが父親と、知らぬ間に助けてくれた黒田の仇(実行犯なだけで一番悪いのは命令下した奴だけど)だと知らずに佐々木と手を組んだり、委員長何度も巻き込まれて災難だなぁとか、先にも書いた通りカミキシロと付き合ってた田中がアレだったり、人間関係を追うだけでも面白いかと。
キスギ先生の元へ宮下藤花がかかりに来たのもナギとニアミスだったのを演出しただけで、世間で言われる二重人格そのものはあまり重要じゃないんじゃないかな、だってブギポはそれを超越した存在だろうし。
1話があんなんだったので身構えがちだけど、軽くダラーっと流し見でもOKな気がする。


余談
16話が恐竜の頭のデザインが妙に上手くて、またキャラの顔(特に目)の描き方が他の回と違って「リトルウィッチアカデミアみたいだなぁ」と思ったら作監が半田修平で大正解。
やったぜ、本編からスタッフ当てるのは自分にとっては稀なのでチト嬉しい。
もし「派手なアクションシーンだけ見たい、その回だけ教えろ」って方が居たら、16話お勧めでっせ…まぁトリガートリガーしたアクションですが。{/netabare}

追記{netabare}
例えばライオンが草食獣を狩るシーンを、ナレーションやBGM入れずにただ淡々と流す映像があったとします。
それを見て「ライオンかっけぇ」と思う人も居れば、逆に草食獣に感情移入して「草食獣可愛そう」と思う人も居るでしょう、中には「自然はなんて荒々しくも美しいんだ」と涙を流す人も居るかも知れない。
どう思おうともそれは間違ってはいない、↑で書いた「現象を紹介したもの」というのはそういうことになります。
ブギポでいえば「何が起こったのか」を理解するのは実はそんなに難しくない、歪曲王編は除いて。
但し「これで作者は何を伝えたかったのかを言え」と言われたら…それは非常に難しい。
現象映しただけなので…掴みどころがないというか、自己主張が無いというか。
自分は性格ヒネくれてるので「露悪趣味披露したかっんじゃね?」と答えちゃうけど、こういう場合って大抵鏡のようなものになるのでお察し。
(そうはいってもさ、織機の設定はちょっとチンピクしたぞ?)

──なんてことを思ったら、冒頭で書いたキャラをワザとブサイクにしてる意図が分かった気分。
キャラに感情移入させないためだったのかなー?、と。
キャラが魅力的じゃないっていうのは狙い通りなんだろうなぁ、と。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 23

65.9 4 不気味でダークファンタジーなアニメランキング4位
ベルセルク(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (316)
1364人が棚に入れました
ミッドランド辺境の安酒場にて、黒衣の剣士・ガッツは言いがかりをつけてきた盗賊たちを撃退。居合わせたエルフのパックと少年・イシドロは、ガッツの手際と大剣に興味を抱き、彼を追う。

村を出たガッツは通りがかりの荷馬車に誘われる。そこには僧侶と娘のコレット、そしてパックが乗り合わせていた。ひと時の安らぎと思いきや、ガッツを狙う闇が迫る――。

声優・キャラクター
岩永洋昭、水原薫、日笠陽子、興津和幸、下野紘、安元洋貴、行成とあ、櫻井孝宏、大塚明夫、石塚運昇、沢城みゆき、高森奈津美、平川大輔、竹達彩奈、寿美菜子、中村悠一、石井康嗣、小山力也、稲垣隆史
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

鍛えなおされた切れ味の悪いドラゴンころし?

漫画「ベルセルク」黄金時代篇の続きのお話、断罪篇以降を描くアニメの様です。

ベルセルクと言えば、ダイナミックなアクション描写を思い浮かべる人も多かろうと思われますが、映画版に準拠したCG表現過多のバトルシーンは、やはりセル画アニメと比べてスピード感が足りず、迫力も美しさも感じられませんでした。甲冑を着けた兵士を切っても、生身の生物を切っても、フライパンで硬いものを殴った様な軽い金属音しかしないのも※1リアリティとはかけ離れたもので、動きについても時によっては兵士達の動きが※2ストップモーション・アニメで作られたロボットの様に見える事もあり、こちらにも重さが感じられず、私見ですが、かなり興を削がれました。妖精(エルフ)のパックの声と口の動きが全く合っていないシーンにも前時代のCGアニメを観ている様で、目を瞑れぬ程の違和感を覚えます。

脚本についても映画版と同じく、原作漫画に沿ったもの(省略などはあります)の様なので、凄惨な描写や一部のコミカル表現など、忠実に描かれている部分はありますが、返せばそれはアニメ化に当たって、何の工夫も成されなかったという事にもなるのではないかと‥。漫画版を読んだ限り、小さなコマにギャグ描写(それでも私はあまり好きでない)がある分にはそこまで気にならなかったのですが、画面一杯に栗頭のパックが表示されるシーンなどでは、まるで違うアニメを観ている様な錯覚さえ覚えました。作品の雰囲気を台無しにしていた様に思います。

前アニメシリーズ「剣風伝奇ベルセルク」ではアクションシーン自体、原作漫画と比べて少なめで、省くべき所は省き、物語の骨子となる残すべき部分はしっかり残すと言う、取捨選択が秀逸で、最後まで飛ぶ様に物語を追えましたが、今回のテレビシリーズでは原作自体の持つ断罪編以降の鈍重とも言える展開の遅さがそのまま表に出てしまっている印象です。

OP、ED曲について、OPは前テレビシリーズと比べると普通のヒーローものとの明確な差異が見られず、EDについては作品と切り離して鑑賞する分には素敵なのですが、とても綺麗な印象で、それゆえに暗さと重さが足りず、作品の雰囲気とかなりずれている様に思われました。

続く次回予告については一変して無骨な印象で、不揃いの大きさの文字がドカドカと表示される大雑把な演出で、とても見辛く、却って軽薄な印象を受けました。タイトルロゴもそうですが、わざとバランスを崩している様なフォントのデザインも、迫力よりもけれん味が前面に出ている感じで好感が持てませんでした。

以上酷評となってしまいましたが、あくまでもシンプルなものを好み、奇を衒う表現を好まないブリキ男の私見です。こういう意見もあるのだなぁと一歩引いた視点で読んで頂ければ幸いです。

漫画版の初の映像化という事だけでも価値のある作品だとは思いますので、てこ入れなどを期待しつつ、続けて視聴していこうと思います。(5話にててこ入れと思われる描写あり、ドラゴンころしの効果音なども変わりました。)

以下は5話以降の感想

5話
{netabare}
CGキャラのギクシャクとした動きには相変わらず違和感を禁じ得ませんでしが、クシャーンのアサシン集団とガッツの戦闘シーンは緩急やスピード感があり、かなりの迫力を感じました。ドラゴン殺しを振った時の音も「ガイーン」じゃなくなったし‥。(でも時にバズーカでぶっとばした様な音になっていて妙に不安定。)ドラゴンころしが鍛えなおされたのと同じく、本当にてこ入れでもあったんだろうか?という印象を受けた回でした。

今回からルカ役、沢城みゆきさんが加わった事もあって、アニメとしての魅力が増した様に思えます。
{/netabare}
6~7話
{netabare}
やはりアニメ化すると、声優さんの演技や動画による存在感の割り増し感があり、漫画版よりもコミカル描写が目に付きます。剣風伝奇の様にバッサリ切り捨ててしまった方が良かった様な気がしてなりません。アクション部分については前回のてこ入れ(と思われる)回以降、鈍重さが消え、鋭さが増しました。初回と比べると雲泥の差かと思われます。
{/netabare}
8話
{netabare}
百戦錬磨の叩き上げのガッツに対して、地の利を生かした戦いとは言え、終始優位を崩さないセルピコの剣技と機知は天才的とも言えました。CG苦手気味、原作読了済み(未完なので途中までだけど)の私にとって、作画への期待が薄い場面でしたが、見事に再現されていました。5話にてこ入れがあったのか、以降は毎回溜飲が下がる思いです。でもやっぱり私的にはギャグ描写は抜きにした方がこの物語は映えると思います。イシドロはまだしも、パックはやはり目に付きます。キャラとしてはとても美しいので、登場するにしても栗頭無しで無言の方がカッコ良かったのではと思わないでもないです。

それにしてもガッツ、ドラゴンころしだけでなく、取り回しの良い※レイピアかショートソード、あるいはブロードソードの一本くらい持った方が良いと思われ‥。使徒との戦いだけでは済まないともう分かっているので‥。あんな巨大な鉄塊しょって旅してる彼の体力なら最大重量2キロ程度の剣など小枝にも等しいでしょうとか思ったり思わなかったり‥。

※テレビゲーム等の誤用から、刺突剣として広く認知されているレイピアですが、実態はその様なイメージとはかけ離れたものです。はっきり言って、ゲームやアニメなどで散見されるフルプレートの継ぎ目に一太刀あびせる事など不可能に近い神業です。(こういう用途にはコリシュマルドとかタックと呼ばれる刺突専用剣の方がまだ向いていますが、これらの剣にしても鎧そのものを貫通する目的で開発されました。)

西洋においてはふいごの発明とそれに伴う鋼鉄の精製が可能になった事によって、銑鉄によって作られる従来の分厚く重いロングソードの代わりとして、細く強靭なレイピアは生まれました。中世後期における銃器の発達による白兵戦の軽視と、それに伴う甲冑の簡略化が、"鈍器"としての剣の役割を卑小せしめたのもレイピアという兵器が台頭する要因になりました。しかしその活躍の期間は長くなく、やはりこの武器も銃火器の発達により衰退の一途を辿ります。
{/netabare}
9話~11話
{netabare}
モズグズ編? やはり大河ドラマ然としていた黄金時代編と違ってバトルものの色合いが強いです。原作がそうだし、分かってはいた事ですが、必殺技名とかギャグ描写は熾烈な戦いや悲壮感のあるドラマに水を差している気がしてなりません。バトル要素のある作品が長期連載となると避けられぬ宿命だとしたら悲しいものがあります。

剣風伝奇から続投の平沢進氏による劇中歌「灰よ」は次回予告でも使われている印象の為かゴリ押し感ありますが、心沸き立たせるものを感じます。
{/netabare}
最終話
{netabare}
グリフィス受肉シーン、何故にロック? 何故にごつい声のナレーション? 美しさが全て台無しでした。神聖さ、厳格さのある、著作権フリーのクラシックを起用した方がずっと良かったかも知れないという印象を受けてしまいました。ファルネーゼの独白も説明的という以上の価値を見出せませんでした。

不謹慎なギャグも相変らず‥。一視聴者としての印象は、ほぼ全編を通して見所が殆ど無い、原作を追うだけの作品でした。これまでの視聴、黄金時代編を知っていただけに、惰性で先を追っていただけなのかも知れません。(漫画版も含む)円盤を買いたくない作品の筆頭に上げられる荒削りでがさつな印象を残す作品でした。
{/netabare}

※1:海外には奇特な方がおられます。黄金時代編のガッツの大剣やドラゴンころしの模造品を実際に造って試し切りされている映像がネット上にあります。興味のある方は「武器職人 ベルセルク」でぐぐってみて下さい。スゴい迫力です。餌食になった椅子とか勿体無いけど‥。新品とかまだ使える品とかで無い事を願う。

※2:静止画を繋ぎ合わせて作られるアニメの事、クレイアニメとか人形アニメとかに用いられる手法。レイ・ハリーハウゼン氏やヤン・シュヴァンクマイエル氏の映画等でも割と広く知られているはず‥。これらの映画では主にロボットやクリーチャーの表現に用いられ、おどろおどろしい不気味な感じが出ていて非常に効果的。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 30

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

圧倒的な存在感…これぞガッツです!

この物語は、TVアニメ版「剣風伝奇ベルセルク」、劇場版3部作の続編に位置付けられる作品です。前作のTVアニメ版は2クールで、劇場版やTVアニメ版の焼き直しとなっています。
私はTVアニメ版は未視聴ですが、劇場版3部作を視聴してこの作品の視聴に至りました。

世の中は混沌さを増し、宗教、異教、邪教が世の中に蔓延っていました。
それでも変わらないのは、「蝕」の際にガッツの首に刻まれた刻印と刻印が呼び寄せるこの世ならざる者たち…

ガッツの目に映っているのはキャスカ…「蝕」のショックで自分自身を壊してしまったキャスカ…
もう2度とあんな思いはさせたくない…そんな気持ちが彼を突き動かすのでしょう…
これまでその強靭な肉体と精神によって戦場を生き抜いてきましたが、再び私たちの前に圧倒的存在感そのままに帰ってきてくれたのは嬉しい限りです。

ガッツの直向きさは周りに伝染します。
そして彼の自然な振る舞いは結果として自分の応援者を増やしていました。
ガッツは、行きがかり上止む無い時以外、誰にも一度たりとも「一緒に来てほしい」と頼んだ事はありません。
ガッツがそんな事を頼む相手はキャスカただ一人です。
それでもガッツの直向きさと強大な力に魅せられてしまうんです。

妖精のパック…「最強剣士」を目指す少年イシドロ…
ここまではお互い天涯孤独の身なのでフラッと付いていく事はできるでしょう。

でもファルネーゼともなると話は別です。
名門貴族としてこの世に生を受けた彼女は、修道院に入り聖鉄鎖騎士団団長に就任しました。
でも聖鉄鎖騎士団団長でいる限り彼女は何も変わらない…
ガッツに見透かされた彼女は激怒するのですが、これまでの人生経験と修羅場を…死線を潜ってきた差が歴然なんですから仕方ありません。
どんなに頑張って自分を繕おうとしてもできない時があるのと一緒です。
どんな状況になっても自らの生き様を変えず、自分自身で運命に抗い続けるガッツが琴線に触れたのでしょう…

ガッツの通り過ぎてきた道は、通る前と状況が明らかに変わります。
でも今期の作品の中で一番変わったのはファルネーゼだったのではないでしょうか。
これまではツンツンした女の子としか思えませんでしたが、これからどの様な接点が生まれていくかが楽しみです。

殺伐とした世界観…あちらこちらで行われている恐喝と密告…
根も葉もない噂を引き金に行われるのは連行…そして拷問…
その日食べる物にすら窮する一般市民の命の価値はいかほどだったのでしょうか…

そんな中、沢城さん演じるルカ達の話は、ささやかな幸せからは程遠いですが、人間の持つ温かさが失われていない場所だと思いました。
思いやって分け合って…何もかも決して独り占めする事無く公平に分配する…
本当に困ったときの助け合い方って…やっぱりこうですよね。

そんな中、ガッツの来訪により引き起こされたのは、全ての人への「試練」だったのではないでしょうか。
暗く険しい試練だったと思います。でもそこで同時に「過去の清算」も同時に行われたと考えると、生き残るべき人間が生き残った…と言えると思います。
この試練と過去の清算の顛末が気になる方は、ぜひ本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、9mm Parabellum Bulletさんの「インフェルノ」
エンディングテーマは、やなぎなぎさんの「瞑目の彼方」
ガッツの激しさとこれからの苦難を象徴するようなオープニングアニメに合わせてインフェルノが流れてくるのですが、TV放送版の90秒がこの曲のフルバージョンなんです。
90秒に圧縮された思いがさく裂する…そんな勢いを感じる曲でした。
エンディングはやなぎなぎさんだったので、発売日当日にゲットしました。
私はAmazonでデジタルミュージックを購入しているのですが、好きな曲を1曲から購入できる事に魅力を感じています。

1クール12話の物語でした。物語は思い切り途中ですが、2017年春から続編の放送が既に決まっています。
今期は早くに続編が決まっている作品が多いのではないでしょうか。
販促目的の様に途中で投げ出さない作り手のスタンスは、視聴する側の作品への思い入れも変わってくるので、この傾向は嬉しい限りです。
もちろん続編もしっかり視聴させて頂きます。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 22

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

何も知らずに観たのが幸い

一応コメント書きますけど、正直殆ど参考にもならないと最初にお断りしておきます。。
というのも、原作が世界的にヒットしている有名な漫画だということは知ってはいましたが、
自分は内容を全く知らなかったんですよね。


☆物語、全体の感想☆

だいぶ前に制作されたアニメの続き?ということで、
そっちを観てないと正直楽しめないだろうなぁ、とは思いつつも、
CGを大胆に導入しているのもあって、興味本位で取り敢えず最初だけでも観てみるか、
と思って視聴を開始してみると...面白い。。

いや、とにかく話は以前を観てないので当然分からなくて、
(普通にこれまでを振り返ることもなく続きって感じで始まるのでなおさら)
ガッツっていう主人公がキャスカっていう人物を探している、
邪魔するものは誰であろうとなぎ倒す、ってだけしか判らないんですが、
判らないからツマラナイ、観る気が起きない、っていう風にはならず、
結局最終話まで毎週楽しみに観てました。

分からなくても重厚な世界観に引き込まれますし、
CGの良さを生かした戦闘シーンは迫力があってグロさもあり、
BGMもド派手で単純に娯楽的に観てて飽きなかったんですよね。
結果的には漫画を読んでなくて、以前のアニメも観てないのは、
色々と比べてしまうということがないので、むしろ良かったのかもしれません。
どうしても原作の再現性が~、とか、CGじゃない以前の作画と比べて~、とか先入観で観てしまうでしょうからね。

これから続編が春にまた始まるということで、
それまでに以前のシリーズをおさらいしておこうかなと思います。


☆声優☆

何と言ってもガッツ役の声優さん、凄くハマってて渋く格好良かったです。
声優陣はベテラン&人気声優がバランスよくキャスティングされてて、
何も不満はなかったです。

☆キャラ☆

これまでの過去を知らないので、ガッツがどういう思いなのか、
とかそういうのは分からないので、評価できません。
ガッツ自身が口数少なく語ることもないですしね。
ましてや、キャスカはあんな状態ですし。

ガッツ以外のファルネーゼやモズグス、
ニーナなんかの方がキャラ的には内面が窺い知れました。
で、まだよくわからないんですけど、
「完璧な世界の卵」ってキャラの台詞が重かった。。


☆作画☆

自分は以前のアニメを観てないので、OPなんかでちょっと出てくるのを観ても全然違うな、
とは思うものの、これはこれで良いんじゃないかと思いますね。
本作の戦闘シーンなんかを作画だけで描こうとしても限界があるように思いますし、
キャラや背景はかなり精細に描かれてて凝ってるなぁと関心しました。

作画に関しては自分が原作や以前のアニメを観てなかったのが幸いでしたね。
これから以前の作品を見比べてみてどう思うか分かりませんけど、
以前作られた劇場版もCGメインの作画だったみたいなので、
それと比べてどうなのか?ってのは気になりますが。。

自分はCGのアニメにもだいぶ慣れてきたというのもありますけど、
これからのアニメ制作の未来を考えると、CGの導入にいつまでも抗っているよりは、
むしろ発展の方に期待するべきだと常々思うんですよね。

労働スタイルも絶えず締め切りに追われ、寝る間を削って働かないといけない過酷なものですし、
人口減少につれて原画描きも当然人手不足になってくる事が考えられます。
現実に背景以外の原画まで海外に委託する制作会社が最近増えてきてますけど、それで良いのか、と。。


☆音楽☆

ドラムのツーバス連打&ギターのタッピングから入るOPがメチャ格好良かったです。
EDの方は逆にしっとりと聴かせるもので対照的でした。
で、何と言っても平沢進の劇中歌「灰よ」でしょう、文句なしに最高。

また作中BGMや効果音の方も仰々しさや棘棘しさ満点で全般的に音量もデカくて派手でしたが、
世界観を再現するのにかなり拘ってるように見受けられ、素晴らしかったと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

65.7 5 不気味でダークファンタジーなアニメランキング5位
魔法少女隊アルス(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (100)
661人が棚に入れました
魔法にあこがれていた人間の少女アルスは、ある日、魔法の世界にいた。
なぜか人間なのに魔法を覚える事ができたアルス。見習い魔女のシーラ、エバと出会い、アルスはこの未知の世界に期待を膨らませるが、実際は「魔法は人を幸せにする」というアルスの思いが通用しない世界だった。
妖精の捕獲、魔女と魔族という魔界の勢力同士の対立と戦い、アルスが父親からもらったという真の魔道書の存在と秘密、そして渦巻く陰謀…さまざまな状況に巻き込まれたアルスの運命は…。

声優・キャラクター
小島幸子、桑島法子、広橋涼、田中敦子、来宮良子

あいすまん.第一形態 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

これ・・・面白いんですよ。(迫真)

レビューが少ないようなので贅沢に。

皆さん天才ビットくんをご存知でしょうか?NHKで午後6時くらいに子供がキャッキャッしてたあれです。
これはこっそりあれの合間に1話10分弱のアニメ枠として放送していたアニメです。ジャンルはダークファンタジー。

中学生の頃に家に帰ってチャンネルを変えてると第1話をやっていました。絵を見てわかる通り明らかに小さな子供向けではない。深夜アニメを見慣れていない自分は「なんだこれ!?」と驚きました。

呆気にとられていると1話はすぐに終わってしまい、また少年たちがはしゃぎ始めました。何か変な夢でも見たような心地だったのを覚えています。
ネットなんて触れないし友達にも天才ビット君なんて恥ずかしくて聞けないものですから、何の情報も入ってきません。

翌日部活を終えて急いで帰宅すると、またやっていました。しかしやはりすぐに終わり、また少年たちが画面に映って遊び始めます。
部活が遅くなったり、晩御飯の時間とかぶったりで見られない事も多く、そのせいか僕はこのいつ消えるか分からない10分間がたまらなく待ち遠しかったんです。

何が言いたいかって? 少なからず補正がかかってるって事です。

でもそれはこのアニメの魅力だとも思います。「1話10分弱」「子供の見る枠なのに子供向けじゃない」この2つだけでも宝物を見つけた気分になりませんか?


さて内容について。

第1話は少女アルスがいきなり魔法の世界に迷い込んでいる所から始まり、そこで彼女は2人の魔法少女と出会います。
人間の世界でも彼女は勝気な少女。いじめっ子ぽい男子にも引けを取りません。
彼女はもともと魔法や魔女の存在を信じていて、彼女なりの理想があるようでした。

しかしこの世界で魔法を使うのにはある対価が必要だったのです。
魔法の世界を夢だと思う一方で、現実の魔女と自分の空想の魔女とのギャップに苛立ちを覚えるアルス。
「魔法は誰かを幸せにするためにある」「信じていれば魔法は使える」アルスのおとぎ話のようなセリフに苛立つ魔法少女。

何故か魔法を使え、魔女におびえる精霊とも仲良くなってしまうアルスはこの世界で明らかに特別です。どうして彼女は魔法の世界に迷い込んだのか。どうして魔法が使えるのか。それも魔法世界の姿と共に少しずつ明かされていきます。

テンポが速く絵も凝っていて、ストーリーを追うのにストレスを感じることは少ないと思います。

wikiによると中盤は物語が破綻しがちなんだそうです。
これにも一応監督さんの狙いがあるそうなのですが。
自分は短編集のような気分で見ているので気にならないんですよね。

某魔法少女よりも断然こっちが好みです。

可愛らしいけどちゃんと大人も見られるダークファンタジーだと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9

ひげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

魔法少女隊ア○スいうなや!魔法少女隊ブレイドブレイバーだ!!

まわりにア○スア○スいわれて、なんで突然マイナー作品が・・聞いたらスロットなのね。クソ台とかみんないってるけど、アルスバカにするな。法様の声だけでも打ちたいわ。シーラはあんまアツくないよって・・知らんがな。


作品は近年の絶滅危惧種、ハイファンタジー。
枠はNHK教育の10分のやつ。実質8分か。

万人ウケしない作風でしょうけど、好きな人は1話とパケでハートをキャッチされちゃうんです。
かっこいいんだわぁ、参考出品のパイロット版を見ると近年の鳥山先生みたいだった。CGで線が太いとそう見えるんだな。
放送版はカクカクした独特のライン、とても子供番組ではないダークな色合い、世界、ちょっと荘厳な音楽。スロでサントラのプレミア度がまたあがったとかなんとか・・。

キャラデザ、世界観が非常にツボ。物語上一言だけとかヒントがあるだけで歴史、設定に相当に作りこみのされた世界。
ビジュアルもシーラの箒が排気管の塊になってたり、箒の柄を曲げてアメリカンみたいなアウトローの少年少女たち。
終始立ち乗りの主人公アルスw
そしてドラゴンハウス・・ほしいわあれ。

アリス方式の構成も良くできていて
・なぜアルスが魔法界に来てしまったのかその経緯がまったく分からない。
・人間のアルスになぜ魔法が?
・なぜ人間のアルスが究極の魔道書をもっていたのか
・OPの中世的な不気味な絵の意味は?
・たまに挿入されるアバンが意味不明
これらのなぞが少しづつ解けていきます。

マイナス要因としては、
アクターズレコーディングというが要するにプレスコでシビアにタイムが決まっていてドラマCDを聞いてから絵を付ける感覚。
イメージボードオンリーでデザイン、コンテも声を撮ってかららしい。

8分枠でストーリーモノをやろうってことでの模索だろう。テンポが非常にいいが、
逆に先撮りされた声に束縛されている感があり。
できるだけ口パクシーンを見せないようにしているのも伺える。喋り手が首を動かす、カメラが聞き手側になったり、次のシーンへ重ねたりなどなど。ほかのシーンの尺確保。全体のタイム合わせのためだと思う。

特に最終回付近、スケジュールか、脚本か、ひどい急ぎ足。
アラを探せばけっこうあるが・・。なんかスタッフの苦悩を感じてしまって・・。2本まとめたDVD,総集編でも16分、そんな間に導入、引きって無理がある。詰め込むのに相当苦労したんだろうなって・・。

逆に言えば最後の演出以外は相当いいセンいってる作品。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

心底に来るアニメ切望 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

昔、総集編を当時のNHKBS2で観ました。何か(特にファースト)ガンダムのアンチテーゼ感をとても出していた様に見えましたが、個人的には、正直、心底には不思議と全く来ない刺さらなかったです…。

うーん、放送当時は特徴があって良いor観づらいと賛否両論があったがダーク調な独特の画、(放送当時の時点で)良いも悪いも言われる典型的な美しくセクシーなビジュアル中心を売りにした魔法(美)少女モノとは一線を脱した各キャラの設定&ストーリー展開はもしかしたら大化けするのでは!?と思って総集編を観ていたが…。
個人的な結論を言うとタイトルにも書いたが、何か製作サイドが(特にファースト)ガンダムのアンチテーゼ感を出そうとしたのかあの悲惨と殺伐とした一年戦争の物語よりも、こっちは上手く美しく綺麗に強引に仕上げようする感が特に中盤から終盤あたりで強く感じてしまい、全体的な出来としては決して駄作では無かったが、正直、心底に来なく刺さらずの優等生的な普通(凡)作だった…。
このアニメを観ていて、幾ら画がとても綺麗、設定や展開•演出が教科書通りに良く出来ていても、ファーストガンダムの様な良い意味での冒険心があって強い独特な味が無いともう一つ面白味を欠いてしまうだと強く感じました…。
本当に出来自体は今放送しても充分に満足出来るレベルに良いアニメだっただけに、上手く美しく綺麗に纏め過ぎた感がとても感じてしまい、もう一つプラスアルファが有ればと更に面白味があったのに…と観終わった時に強く思いました…。
(ちなみにこのアニメのスピンオフは本編とは一転して痛快で観やすい展開なので、個人的にはそちらがオススメだと思います。)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 0
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