先輩で芸術なおすすめアニメランキング 3

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月01日の時点で一番の先輩で芸術なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.9 1 先輩で芸術なアニメランキング1位
アニメ ブルーピリオド(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (274)
871人が棚に入れました
成績優秀で世渡り上手な高校2年生・矢口八虎は、悪友たちと遊びながら、毎日を過ごしていた。誰もが思う"リア充"……そんな八虎は、いつも、どこかで虚しかった。ある日、美術室で出会った1枚の絵に、八虎は心を奪われる。「絵は、文字じゃない言語だから」絵を通じてはじめて正直な気持ちを表現できた八虎は、美術のおもしろさに目覚め、衝動のままにスケッチブックへ向かっていく。そして八虎は、ついに進路を固める。「第一志望 東京藝術大学」実質倍率200倍、入学試験まで、あと650日──!国内最難関の美大を目指して青春を燃やす、アート系スポ根物語、開幕!
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ふと足を止めてみたくなる、展覧会の絵

ずっと前、アンディ・ウォーホール展を見に行った時、

  ああ、この人って特別すごい才能があるわけでもないのに、
  シルクスクリーンで一発あてちゃって、
  けっこうしんどい人生を歩むことになったんだなあ。

なんて感想をしみじみと抱いてしまいました。

シルク以前の作品には、ぱっとしたところが感じられないし、
後期の作品には半ばヤケクソみたいな匂いのするものがけっこうあって、
芸術家というのも大変なんだなあと思った次第です。

  いや、もちろんウォーホール好きなんですが。
  そう言えば『中二病でも恋したい』のOPでオマージュ演出ありましたね。
  ママパチオマージュ全盛の中、ああいう使い方っていいなあ、と。


さて、本作『アニメ ブルーピリオド』は、
そういう芸術家というか、
その卵である東京藝術大学の絵画科(油絵)を目指す受験生のお話です。

この作品、放送前は、正直まるで期待していなかったです。

  総監督が『宇宙ショーへようこそ』の舛成孝二さん。
    『マギ』以来9年ぶりの監督で、かなりのブランク。
    作風も、こういうのじゃないという印象が。
  制作が『リリカルなのは』のSeven Arcs。
    作画がちょっとな……ジュニアっぽいというか、かなり微妙。
  主演が元コスプレイヤーの峯田大夢さん。
    所属も声優系ではなく、芸能系のスターダストプロモーションだし。

要するに『いいものができる』と予測する要素が何もないというか、
申し訳ないけれど『コケなければ御の字』ぐらいのつもりで、
とりあえず視聴を始めた次第であります。

  で、結論からいうと、見事に惹き込まれてしまいました。
  まいった。ほんとうにおもしろい。
  偏見もって見始めてほんとうにすまんかった、ごめんなさい。


さて、この作品の魅力は、大別すると以下の三つに集約できると思います。

 ① 絵画技法や芸大受験を全く知らない人でも引き込まれちゃう親切設計
 ② 主人公・八虎を中心とした、悩み彷徨う若者の青春群像劇
 ③ 有無を言わせぬ作品講評のリアリティ


まず①ですが、これ、本当に大事です。

 僕ももちろんそうなんですが、視聴者の大部分というのは、
 絵画の技法だの藝大受験の難しさだのというのは
 まるっきり『知らん』わけでありまして。

 その点、本作ではズブの素人だった八虎が藝大を目指すという、
 視聴者と同じ立ち位置から学びを始める体裁をとっているわけです。

 だからものすごくわかりやすいし、共感できる。
 いや俺アニメぐらいしかわからんし芸術とか言われても……
 というタイプの方でも気軽に見て楽しめる安心設計でないかと。

   おまけに、段々と言われることが専門的かつシビアになってきます。

 初回と二話までは、高校の部活レベルのお話ですから、
 そんなに難しいこととか高度な技法なんてのはでてきません。
 本編後に流れる『ブルピリ豆知識』も基本中の基本ですし。
 {netabare}
 ふふん、そのぐらいオレだって知ってるもんね、
 そんな感じで油断しながら見ているうちに、
 三話目から六話目までの予備校編がスタートします。

   もう、教室に入った瞬間から、雰囲気が全然違います。
   見かけからしてイカレてる奴が多くて、
   リアルなんだろうけど、笑っていいのやら納得したらいいのやら。

 もちろんここは本気で藝大を目指す連中の巣窟ですから、
 知識や技術、さらには視点や意識の持ち方までもが全然違います。
 少なくとも僕は『知らんかったこと』がほとんどだったわけなんですが、
 その解説が自然なうえに丁寧なんだ、これがまた。
 いやあ、勉強になります。

   ここで視聴者は、いろんな技法を知らず知らず学ぶだけでなく、
   プロによる『絵の評価』はどういう視点でなされるのか、
   そんな狭くて難しいことをイチから教えてもらえるわけですね。

 そういうのをこってりアタマに叩き込んだ上で、七話からは藝大入試編。

 このあたりになると見る側もけっこうその気になっていて、
 おお、その手できたか、みたく、
 わかったような感想を持ってみたりみなかったり。

 二次試験の課題がヌ-ドモデルというのも、おおっ、藝大っぽい。
 というか、モデルさんが休憩のたびに前も隠さずストレッチしてるのが、
 新鮮な驚きというか発見というか。 ヨロコビ言うな。
{/netabare}
 総じて、実生活にはまるで役に立たない知識がてんこもりで、
 視聴後はちょっとした知ったかぶりができるぐらいのレベルにあります。
 この辺、うまく知的好奇心をくすぐってるなあと感心してみたり。



そして②の群像劇要素が、じわじわぐいぐいと視聴者を魅了していきます。

 八虎の初期設定は、やるべきことをきっちりやる、イケメンチャラ男。
 それに調子こいてたら単に『イヤなやつ』なんだけど、
 そのきっちりさが『自信のなさの裏返し』なのが、共感度あげています。
 {netabare}
 そしてその自信のなさは、制作姿勢にも現れています。

   俺は天才じゃない。書いた分しかうまくならない。

 そういう自己認識の元、千本ノックのごとく書くわ書くわ。
 講師にダメだしされても、世田介くんに才能の違いを見せつけられても、
 決してココロ折れたりせずひたすら書き続ける。
 もはや『スポコン』ならぬ『芸コン』領域。
 あの『響け!ユ-フォニアム』の、さらにハードモ-ドみたいな感じです。

 そのくせ、わき目もふらず自分のことだけ考えてるわけでもなく、
 藝大受験の二次試験前に、
 親友でもない鮎川に付き合って海まで行くとかね。いい奴なのよほんと。


 その鮎川がまた、いいキャラしているんです。
 性自認は男みたいだから、女装指向のゲイになるのかな?
 いやほんと、告られたら迷っちゃいそうなぐらい美形です。

 鮎川のいいところは『おかしなやつ』じゃないところ。

 外観上は一番かわってるんですが、
 ただ自分の『好き』に正直かつ必死にしがみついてるだけで、
 ポ-ズとはうらはらに、根っこは繊細で、悩める青少年。

 わが道を行ってる顔をしながら自分に対する周囲の目を客観分析したり、
 しんどそうな生き方をしてますが、共感できる部分が多いです。
 八虎にだけ甘えて本音を吐露しちゃう弱さも、なんか純粋でいい感じ。

 てか、この二人、実はけっこう互いを理解し合ってるんですよね。
 そのくせ馴れ合いもせず適度な距離を保っているところが、
 逆に相手を認めている感じがしてステキです。


 そして、天才、世田介くん。
 圧倒的な才能と傲慢なまでの自信、
 そしてそれ以外は何もないというコンプレックスを標準搭載。

 イケメンで友だち多しの八虎に対して
   おまえ、リア充のくせに美少女アニメなんか見んなよ
 的な敵愾心を抱くあたり、見事なよじけっぷりです。

 ぐいぐいくる八虎を表面上は迷惑げに拒否りながらも、
 内心うれしたったり困惑していたり、
 ほんと、わかりやすくひねくれた性格してるなあ、と。
 
 そのくせ、なんやかんやで二次試験のときには、
   今日だけは無理した方がいいよ
 なんて『対等な仲間』としてアドバイスもしたりして、
 けっこうなついちゃってるあたりが、かわいいんだ、これまた。


 そして、迷える秀才、桑名マキ。
 藝大主席合格の姉など、家族全員が藝大出身という血筋の為、
 世田介くんの絵を見てもビビらないし、タイマンはれる実力の持ち主。

 そのくせ、こっちはお姉ちゃんコンプレックスを抱えていて、
 自分のことを天才だとはこれっぽっちも思っていない。
 謙虚なんじゃなくて、自分と比較する相手がデカすぎるんですよね。

 性格はナチュラルそのもので、ふつうのトモダチ感がすごい。
 ちょっと黒い部分もあるけれど、それをきちっと自己批判しているし、
 あたりまえのように八虎に手を貸してあげたりとか、性格かなりいいんだ。
 あと、弁当箱のデカさは、もはやかっこいいレベル。
 {/netabare}

 その他、個性あふれる受験生がびっしり脇を固めていて、
 しかも一人一人の人物造形がしっかりしているから、
   さまざまな若者が、それぞれの思いを胸に抱いて受験に挑む、
 という『ありのまま感』がびしびし伝わってきます。

 これぞ青春群像劇の醍醐味。いやあ、惹き込まれる。
 

で、③の『作品講評のリアリティ』が、ものっそい説得力あるんです。

 なんと言ってもすごいのは、実際に作品を『描いている』こと。
 それも一枚二枚のレベルではなく、
 講評棚にならぶ作品だのボツ作品だのを全部。

 しかもそれが
 ・うまくはないけれど『いい絵』
 ・うまいけれど『つまらない絵』
 ・うまくて面白いけれど『藝大レベルじゃない絵』
 ・うまくて面白くて『藝大レベルの絵』 
 みたく綿密に描き分けられているわけで。

 あの『響け!ユ-フォニアム』でも、
 プロのトランペット奏者と音大生に実際の演奏をしてもらい、
 実力者同士のオ-ディションを再現してましたよね。
 それと全く同じで『ちゃんと描いている』から説得力が違う。

 美術さん、大変だったけど楽しかっただろうなあと感心してみたり。
 {netabare}
 八虎が最初に書いた渋谷の絵なんか、
 確かにこれっぽっちもうまくはないけれど『いい絵』だもの。
 お母さんの絵はちょっと微妙だったけど。
{/netabare}

 で、その講評をする美術部の佐伯先生と予備校の大葉先生が、
 するどいんだ、これがまた。

 佐伯先生は示唆して気づきを与えるような言い方、
 かたや大場先生はズバっと切り込む言い方、
 方向性の違いはあるけれど、どちらも根っこはわしづかみ。
 {netabare}
   矢口にとって『縁』は糸のカタチをしてた?

 なんて大葉先生のセリフ、よくぞ言ってくれた、と思いましたもの。
 昔から言われている直喩の使い回しなんて、思考停止でしかないしね。
 よく聞いとけ、そのへんのラノベ作家。
{/netabare}
 その他の講評も「ふんふん、なるほど」と納得させられることしきり。

 もちろん実物の絵を前にしたら異論を感じる可能性もあるけれど、
 画面に出てくる絵を見る限りでは、
 僕ごときの眼力では「おっしゃるとおりでございます」と平伏するしかありません。

   ちなみに同じ芸大ものでも『僕たちのリメイク』なんか、
   完成作品を一切見せずに「すげえ」なんて言わせてましたよね。
   それがいかにチープで不誠実な演出か、
   本作と比較すると、しみじみご理解いただけるのではあるまいかと。


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僕的な作品の総合評価は、堂々のSランクです。

もちろんアニメに何を求めるかによって個人差はありますし、
一話まるっとバトルとか、萌え萌えきゅんきゅんとかを求める方には、
ぜんぜん、まるっきりおすすめできません。

ですが、きちんと『人のカタチ』をしていて、
誠実に作られた骨のある青春ドラマを求める方には好適の逸品です。


映像は、絵画作品だけでなく本編自体も、
見せたいと狙っているところはきっちりしっかり描けています。
博物館の背景なんか、かなりやばい。美術さん、えらい。
作画も、きちっと見せたいところは力入ってて、
一枚絵としても充分鑑賞に堪えうるレベルにあります。

  ただ、それが全編で貫けてないんですよね。
  カットによる出来不出来がすごい。
  つなぎのカットなんか「え? 中国?」みたいな。
  それが続くと「あのなぁ、Seven Arcs……」と思わざるを得ず。

  美術さんの頑張りに5点をあげたいところなんだけれど、
  京アニ品質を5点とするなら、
  その部分で-1点は致し方ないところ。むしろかなり甘めかと。


かたや役者さんのお芝居は、高レベルで安定しています。

冒頭に書いたけれど、八虎役の峯田大夢さん、
作った感がほとんどしないナチュラルな基礎性質が好感度高し。
あまり『張らない』自然体のお芝居なんだけど、
きっちり感情を載せて台詞の奥にある核みたいなものをうまく引き出し、
矢口八虎という人物像を見事につくりあげています。

  元コスプレイヤーとかで偏見もってほんとにごめんなさい。
  これからいい役を引き続けられれば、人気出るんじゃないかしら。
  お願いだから、乙女系やアイドル系は出ないでね。

鮎川役の花守ゆみりさんの男声もいい感じ。
演技がしっかりしているだけでなく、声そのものに表情がありますよね。
なでしこ演ってることでもわかるけど、使える音域がすごく広い人なんだ。

  まだ24歳とかなり若いし、
  足のケガもあるけど、信念もってアイドル活動控えてるみたいだし、
  さらなる伸びしろのありそうな、いい役者さんです。

そして宮本侑芽さんの演じる桑名マキも、僕的にはかなり惹き込まれます。
作った感じがほとんどしない、ナチュラルなともだち声。
同じくナチュラルな峯田さんとの相性、抜群かも。耳、おおよろこび。

そして、なんと言っても影のMVPは、
佐伯先生を演じたラムちゃんこと平野文さんと、
大葉先生を演じた和優希(かず ゆうき)さんではあるまいかと。

  このお二人には、揺るぎのない言霊、オトナの説得力がありました。
  だからこそ、物語にびしっと芯のようなものが通ったし、
  迷い、右往左往する受験生の『若さ』が浮かび上がったわけで。


音楽も「え? ヤマシタ?」と思わされるOPも、
きれいな声で実はけっこうエグいこと言ってるEDも、いい感じです。

  劇伴は、いささか狙い過ぎなのが気になったかな。
  あと、なんとかならんかったのか、OPのカット割り。
  EDじゃないんだからもうちょっと動かそうよ。



ちなみに、原作者の山口つばささんと画家の山口健太さんが、
ねとらぼで対談やっておられて、こっちもかなり興味深い内容です。
いま35歳以下で年収300万ある油画家って、20人ぐらいじゃないか、とかね。

村上春樹さんの小説の中に、
 「ピアニストの世界っていうのは神童の墓場なのよ」
なんて台詞がありましたが、油画の世界もどっこいどっこいだなあ、と。

  それでも後先考えず飛び込むのが『若さ』の特権だし、
  それぐらいイカれたやつじゃないと
  突き抜けたものなんか創れないんじゃないかと思ってもみたり。

もちろん、イカれたまま最後まで突っ走れる人はほんの一握り。
ほとんどの人は川石のごとくカドを削られ、
海に近づくころにはまあるい普通のおっさん・おばさんになってしまいます。

  何かを『好き』になるのは簡単なことです。
  だけど『好き』に向かって突っ走るには、相応の覚悟と根性が必須。
  さらに『突っ走り続ける』なんて、めったにできることじゃありません。

  そして、足を止めたとき、
  その人の『青春』と呼ばれる心的情景が終わるのではないかと。

だからこそ、本作は『ブルーピリオド』なんですよね。
ブルーピリオド=青の時代=青春時代と掛けたタイトルそのものが、
この作品が描こうとしている情景に他ならないわけで。

  うん、よく描けてる、と僕は思います。


玉石混合のいまのアニメ業界は、
絵をまるでわかってない大富豪が買い漁ったコレクションを一堂に会した、
カオスやサバト的な展覧会のよう。

変な画商が売りつけた、
『なにを描きたかったのかちっともわからない絵』
みたいなものが、相当数まぎれこんでいます。

そんな中で本作は、
思わず足を止めて見入ってしまうだけの『青い輝き』をもっています。

  両手をポケットに突っ込み、
  軽く息を吐いて首なんか回したりしてから、
  改めてじっくりと眺めてみたくなる。

  ぐちゃぐちゃな展覧会で時折見かける、そんな一枚なのでありますよ。
  

投稿 : 2024/06/01
♥ : 26
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

美大を選択するという生き方

アニメーション制作:Seven Arcs
総監督:舛成孝二、監督:浅野勝也
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:下谷智之
美術監督:仲村謙、金子雄司、
美術設定:緒川マミオ、中島美佳
音楽:井上一平、原作:山口つばさ

よく行く飲み屋には、美大出身の人が何人かいた。
多摩美、ムサビ、東京藝大の人もいたように思う。
ひとりはフィギュアを制作する会社に勤めていて、
ほかには、三越に勤務している人や、
飲み屋を経営している人もいた。
彼らと話していると、美大出身の人は
インテリが多いのだと感じさせられた。
幅広い知識を持っているし、音楽や文学、芸術には
やはりこだわりがあって詳しかった。
彼らと話す時間は楽しかった。

今回、美大受験がテーマのこの作品を観ていて、
彼らがなぜ深い知識を有し、面白い話ができるのかが
分かったような気がした。
東京の美大は難関が多いのはよく聞いていたし、
彼らはやはりほかの人と少し違った性質を
持っていたように思う。

それは美大を選択するという困難さ、
そして、受験するに当たり、
自分という人間を深く理解しなければならないという
難しいテーマについて、この若い時期に対峙するからだろう。
しかも、美大に入学したとして、
それが良い就職につながるというイメージはない。
もちろん、美大は優秀なところが多いので、
それなりに良い就職先はあるだろうが、
普通のサラリーマンになることを考えるような人は、
まず選ばない進学先だと思う。
美大を選択することは、将来の仕事というより、
生き方を選択することに近いのかもしれない。

主人公の矢口八虎は、ノルマをクリアする感覚で
楽しく人生を謳歌している人間だった。
頭は良いし、何でもそつなくこなす。
ピアスと夜遊びで、周囲から不良と見られているが、
それは、自分が何を好きなのかが分からないことの
裏返しの行為だった。
趣味のひとつは、サッカー日本代表の試合を
スポーツバーで観戦し、友人たちと騒いで、
喜びを共有することだった。

ある日、八虎は学校で美術を本気で志している人の
F100号という大型サイズの天使の絵を目にする。
そのことによって自分のなかの何かが動く。
美術講師から授業で「好きな風景」の課題を出され、
徹夜明けの渋谷の街が心のなかで膨らむ。
自分の感じたもの、自分の目に見えた渋谷の街を
ブルー基調で紙に表現する。
その絵を多くの人から感じ取ってもらえたことで、
自分の好きなもの、自身の感覚を大切にする
真っ直ぐな生き方に心が動かされる。
そして、絵を描くことで、これまで見えていなかった
現実の景色も、より明瞭に見えるようになるのだった。

この作品は、矢口八虎が美術に出会い、
美大受験に取り組んでいく話でしかないのだが、
内容はとても深く、哲学的ですらある。
物事の「価値」は、一体どこにあるのか。
自分にとって大切なものは、何なのかを
一人ひとりに突き付けてくる。
もちろん、美大受験、あるいは好きなことを
目指すことだけが幸せになるとは限らない。
しかし、自分の好きなことに対して、
真正面から取り組むことは、きっとその人の人生に
豊かな彩りを与えてくれるのだろうと思わせてくれる。

私は美大受験に対して全くの無知なのだが、
東京藝大出身の作者が描くこの世界の論理は
スッと自分のなかにも入ってくる。
結局、東京藝大を目指すには、
「好きなもの」や「表現したいこと」が
自身のなかではっきりしていないといけないし、
そこには誰もが知っているありきたりなものではなく、
自分自身が何度も反芻して導き出した
理屈が必要になってくる。
そこは、企画書作成のやり方に似ているかもしれない。
誰もが分かりやすい表現方法で、問いに対する明快な解答を
オリジナリティを加えながら行わなければならない。

「美術は生き方」だと予備校の大場講師は言う。
人によってゴールの場所が違うし、
ゴールに行くまでの方法は、自分で考えなければならない。
正しい解答があるというよりも、
見た人を納得させられるロジックと技術力が必要なのだ。
これはもう「受験」という部分とは外れているように思える。
一般的な大学と違い、2浪、3浪、4浪以上までが
たくさんいるのもかなり特殊だろう。

受験で興味深いのがスケッチブックを提出すること。
普通の試験なら解答が合っているか間違っているかでしかないのに、
美大受験の場合、作品と一緒にその過程を表現するものも
提出しなければならない。つまり作品を補完する役割のもので、
これがとても重要になってくる。
その解答に至った「過程」や「考え方」を重視するのだ。

受験は人生の重要イベントのひとつだ。
思春期ということもあり、
人によっては色々なことが起こるだろう。
でも、私自身の経験では、やはりかけがえのない日々だったように思う。
自分が将来何をやりたいのかも見えない時期に
ただひたすら勉強ばかりするのは辛くもあるが、
自分の知らなかったことをどんどん吸収できる喜びがあった。
勉強のことしか考えていなかったのに、
未知の世界を旅するような感覚だった気がする。
八虎はそんな時期に龍二の悩みにまで入り込み、
自分自身の問題として捉える。
海に飛び込まないと、冷たさや暗さ、怖さなど、
本当のところが分からないのなら、飛び込むしかないと思える。
これは、八虎が美大受験を通して受け入れた副産物ともいえる
他人に対する考え方でもあったのだろう。

{netabare}東京藝大の一次試験・自画像に続き、
二次試験のモチーフはヌードモデル。
実際に若い裸の女性が現れてモチーフにするという。
こんなテーマが受験で出されることがあるのは驚きだ。
やはり美大受験は一筋縄ではいかない。
八虎は龍二との小旅行時に自分の裸を描いたことで、
自分にとって裸が意味することを理解していた。
毛の生えた薄いゴムのように情けないのが裸で、
だからずっと武装しようとしていたのが
自分自身だと気づいていたのだった。

ありのままを認めること

それが人生において、生き方において
とても大切なことなのだと八虎は最後に行き着く。{/netabare}

受験を通して、主人公が自分自身について深く考え、
成長していく様子をつぶさに見せてくれる。
これはどの世代にも響くだろう。

私は、この作品がとても気に入っているのだが、
はっきり言ってアニメ自体には不満も多い。
いろいろな事情で制作の難しい面はあっただろう。
12話で受験までを構成しなければならないのは、
どう考えても必須だっただろうし、
そのためには、時間をかけずに物語を
進めなければならなかったのも分かる。
ただ、個人的にはメリハリが不足していたと思う。
というのも、内容は良さそうなのに1度観ただけでは、
ぼんやりしている部分が多すぎるのだ。
これは、見せ方や演出、そして捨てる部分を
増やすべきだったのではないだろうか。

内容はとても好きだったので、
アニメを全話鑑賞したあとに、コミックスを全巻購入した。
そして、読後に感じたのが、漫画で大切にして
2ページを使って表現しているような部分を
アニメでは軽く流してしまっているので、
そこが、重要で心に響くシーンなのだということに
気づきにくいのだ。これは演出の問題だと思う。

この作品は作者の「言葉の選び方」も秀逸で、
そこをきっちりと視聴者に伝えないといけないのだが、
アニメでは無頓着に感じる。
原作者との打ち合わせなど擦り合わせが必要な部分も
多かっただろうが、個人的には制作会社の力不足を感じた。

しかし、それはあくまで作品の良さのいくつかを
表現できていないというだけで、
私はアニメを鑑賞して原作購入を決めたので、
十分に奥深い魅力を伝えてくれているとは思う。
あくまで、原作レベルでの良さを
伝えきれていないという意味だ。

おそらく時間や人手不足もあったのだろう。
本編のアニメーションの質自体は、
崩れる一歩手前というレベルの部分など、
観ていて引っかかる場面は多数あった。
美術作品をアニメーションのなかで表現しないといけないという
とてつもない高いハードルもあったので、
仕方ないのかもしれないが、良い作品だけに
余計に気になってしまったのかもしれない。
ただ、OPとEDのアニメーションは、
とても良く出来ていたと思う。美術アニメとしての
イメージを存分に生かして落とし込んでいる。

私の感覚でしかないのだが、
この作品のアニメにおける続編は
BDがよほど売れない限り、
ほぼ期待できないのではないだろうか。
内容がそもそも一般受けしないことに加え、
視聴者に伝わりにくいと思えるからだ。

「青の時代」なのか青春なのか、
それとも全く別の何かなのか。
タイトルへと導く物語の行く末は、
コミックスで最後まで見届けたい。
(2022年2月19日初投稿)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 44

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

青い熱量を感じた。

タイトルがおかしな日本語なのは自分でもわかってる。
だけど、この表現がぴったりだと思ったのでそのままにしておきます。

1話視聴時点で、熱量が感じられた。
物語の導入部から主人公の心情の変化のきっかけとなると気づきが描かれる。

気づきを得ることの大切さと気づきを与えてくれる人、承認してくれる人の大切さをしみじみと感じた。

そして、自分のやりたいことに気づき、自分自身の思いを表現する事、したいという欲求。
その思いを評価、承認される喜びというものに気づき、エネルギーが高まっていく。

これは、人というものが「何」を求めているかという根元的な「問い」に対する、大きな「答」の一つであると思う。
勿論「金」「名声」「モノ」等々、欲するモノは人それぞれ、その人のおかれた環境、タイミングにも影響を受け、変化していくものだとは思うが、大抵の人は共感と承認を求めているものだ。



1話の段階で主人公は大きな方向性とエネルギーを得ることとなった。

ワンテーマな青春群像劇なら、テーマは違えども他にも類作品はある。
今回はそれが、たまたま芸大を目指し美術部に入った主人公だっただけ…。

と終わらせてしまえないほど好みの作品だった。

芸術、美術という正解のない世界での「答え探し」は、私の「仲間ができる話が好き」というモノサシと同じくらいのレベルで良作と判断する価値基準の一つになっているみたいです。
ちょっと哲学的な部分とかかな。
ああ、そう言えば「人でない「人」の物語」を好み、良く練られたその手の物語を高く評価するっていうのも、同じか近い感覚かもしれません。


正直、こんなヤロウが主人公の作品で心が震えるような感覚を覚えたのは久しぶりです。
是非とも、今現在、中学~高校生くらいの若者に観て欲しい作品だと思っています。
広い目で観てもらえば、きっと役に立ち、正しいエネルギーをもらえる作品ではないか、と考えます。
そして、自分、自分の好きなモノ、自分のやりたい事を考え、深掘りする機会になるのではないか、とも思っています。
主人公の「思考を動かす」プロセスをじっくりと受け止めてみて下さい。
今後のあなたの方向性を整理、動かすエネルギーが得られるかもしれません。

また、登場してくるキャラクターもとても魅力的でした。
人間的と言うか、個性が強く感じられました。
当然、クリエイターとしての狂気(こだわりや譲れないもの、表現者としての探究心)も感じられます。

ライバルであり、同級生であり、同じ部員であり、友達であり・・・、と複雑な立場、立ち位置が絡み合い、それがいい形で表現されていました。
それぞれが、それぞれの思いを抱え、それを外へ表現する者、抱え込む者、本当の思いに気づいていない者、飄々としている者、色々です。
そんな中、八虎と龍二のカラミは一番大きな固まりかもしれません、確かに私にとっても印象深かったですし、八虎にも大きな影響を与えたと思います。
物語の中でも、見所と言ってもいいと思いました。
しかしながら、全体的な印象としては、各キャラクタの関係性は、ドロドロでも、ねちょねちょでも、アッサリでもなく、本当にいい塩梅だったと思います。
なぜか、いやな気持にならず各キャラクタを観れました。

もっとも、これは各キャラクタの進むベクトルが同じ方向だったのもあるかもしれませんね。
乱れというか、ノイズをあまり感じなかったからかもしれません。


あと、美術部の顧問の佐伯先生と美術予備校の大場先生はいい先生でしたね。
こういう恩師と出会えた生徒さんは幸せだと思います。
「出会い」というモノの大切さを実感します。


この作品は、本当にワンテーマ、ワンクールで表現をした作品としては突出した作品だと感じました。
コンパクトにスピーディに、そしてしっかりと締めくくっていました。
もちろん、各キャラの悲喜交々や今後の姿も気になる終わり方ではあるのですが、主人公の矢口八虎のスタートダッシュの物語としては、完成されていると思います。

私は、エネルギー不足になった時や迷ったとき、もやもやしたときにきっとこの作品を見返すことがあると思っています。
そして、見返したときにきっと新たな発見やエネルギーを貰う事があるんじゃないかと感じています。

ちょっと、誉めすぎかもしれませんが、
本当にコンパクトでよい作品と感じています。
作品の印象は人それぞれだとは思いますが、まだ、見ていらっしゃらない方は観る機会をつくってみてはいかがでしょう。
おススメしたいと思います。



ところで、作品の中で「美術作品」は作家の思いや表現したい事を具現化するために計算しつくされている旨の説明があったかと思いますが、これは、本当にそうなんですよ。
美術展や絵画展などで、学芸員さんの説明を聞きながら回ってみるといいと思います。
最近は、そういう機会を作ってくれている会場も多いはずです。

教えてもらうと、構図、作品の意味や作家の意図、思い、考え、表現したい事が実感でき、その事に気づけると思います。

そして、ごく稀にですが、とんでもないことまで、意図されている作品に出合う事もあります。ひねくれた作家さんのひねくれた思いや、あるいは他の作家さんへの嫌味や批判、嫉妬さえも内包されているケースもあるんですよ。
ほんと、おもしろいものですね。

作品を観て、好き、嫌い、綺麗、そうでもないという視点はもちろん大事ですが、人から教えてもらって、初めて気づき解ることもあります、何でもそうなんでしょうが、そういう機会があるのとないのではだいぶ違うかもしれませんねw。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20

71.7 2 先輩で芸術なアニメランキング2位
ひだまりスケッチ(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (775)
4451人が棚に入れました
憧れのやまぶき高校美術科に、見事合格したゆの。
自宅から遠いため、親元を離れ学校の門前にあるアパート「ひだまり荘」で一人暮らしをすることなった。
隣室に住む同級生の宮子、階下に住む上級生のヒロ・沙英とともに、やさしくあたたかい仲間に囲まれながらも、4人が巻き起こす楽しくもにぎやかな日々を描く。

声優・キャラクター
阿澄佳奈、水橋かおり、後藤邑子、新谷良子、松来未祐

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あんハピ♪でストーリーの所々でキャラクターがSDキャラになる・止め絵のアイキャッチなど本作を意識しているシーンが多い。

憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。
親元を離れ、学校のまん前にある小さなアパート『ひだまり荘』で一人暮らしをはじめたゆのは、そこで同級生の宮子、先輩の沙英とヒロの三人に出会う。
美術家の変わり者が集う事で有名なひだまり荘では、毎日がてんやわんやな出来事ばかり。
しかし、慣れない生活に戸惑いつつも、優しく温かい仲間に囲まれながら、ゆのは今ゆっくりと夢に向かって歩き出す。

ひだまりスケッチ 1(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第1巻。
憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。
親元を離れ、アパート「ひだまり荘」でひとり暮らしを始めた彼女の日常を綴る。
第1話「1月10日 冬のコラージュ」と第2話「8月21日 ニッポンの夏」を収録。

ひだまりスケッチ 2(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第2巻。
デッサンの授業へと向かったゆのは、教室で全身に布を巻いた美術教師・吉野家先生と遭遇。
自らデッサンのモデルになると言い出した先生は…。
第3話「6月17日 またはインド人」と第4話「5月18日 ふかふか日和」を収録。

ひだまりスケッチ 3(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第3巻。
風邪を引き、学校を欠席したゆの。
昼過ぎに目を覚ました彼女は、額の上に濡れタオルが置いてあり、新しいパジャマに着替えていることを不思議に思い…。
第5話「2月13日 こころとからだ」と第6話「7月14日 ひんやり・まったり」を収録。
第3巻映像特典 ゆの役(阿澄佳奈)インタビュー

ひだまりスケッチ 4(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第4巻。
曇天のある日、宮子たちの下校時間にはすっかり風雨が強まっていた。
宮子は自分の部屋に置いてある乾燥剤が雨漏りにより発火することを心配し…。
第7話「10月12日 嵐ノ乾燥剤」と第8話「「3月13日 3%の希望」を収録。
第4巻映像特典 宮子役(水橋かおり)インタビュー

ひだまりスケッチ 5(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第5巻。
宮子と一緒に通学したいたゆのは、道端に落ちていた宝くじを拾う。
落とし主のサラリーマンに渡すと、謝礼としてくじを何枚か貰い…。
第9話「9月4日 裏新宿の狼」と第10話「11月3日 ゆのさま」を収録。
第5巻映像特典 ヒロ役(後藤邑子)インタビュー

ひだまりスケッチ 6(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第6巻。
校外学習で動物園を訪れたゆのたち。
お弁当の時間、動物に見立てたおかずを見せ合う一行だったが、宮ちゃんのお弁当にはキャベツが丸ごと入っており…。
第11話「4月28日 まーるキャベツ」と第12話「12月24日 ChristmasEve 12月25日 サヨナラ…うめ先生」を収録。
第6巻映像特典 沙英役(新谷良子)インタビュー

病気療養中の声優・松来未祐さん死去 「ハヤテのごとく!」鷺ノ宮伊澄、「這いよれ! ニャル子さん」クー子など演じる
アニメ「ハヤテのごとく!」の鷺ノ宮伊澄役などで知られる声優の松来未祐(まつきみゆ)さんが27日に死去していたことがわかった。38歳だった。2日、所属事務所の81プロデュースが公式ホームページで発表した。

ホームページでは「病気療養中のところ平成27年10月27日 38歳で永眠致しました。ここに生前中のご厚誼を深謝し、謹んでご報告申し上げます」と松来さんの死去を伝えた。

また松来さんの公式ブログでも死去を発表。葬儀は、遺族の意向により親族のみで執り行われた。

松来さんは今年7月14日に自身のブログで「今年に入って熱が下がらず、病院で検査を繰り返していたのですが、急性の肺炎で検査を重ねたところで、少しでも早く治療に取り組まないといけない病気であることが分かりました」と明かし、病気療養のために当面の活動を中止すると発表していた。

松来さんは1998年にプレイステーション用ゲーム「御神楽少女探偵団」で声優デビュー。アニメ「D・C・~ダ・カーポ~」の鷺澤頼子や「這いよれ!ニャル子さん」クー子、「ひだまりスケッチ」吉野屋先生の声などで知られ、ファンには「まつらいさん」の愛称で親しまれていた。

『魔法少女まどか☆マギカ』から『ひだまりスケッチ』まで秘蔵資料&作品多数! こだわりの“蒼樹うめ展”10月3日より開幕

●内覧会には蒼樹氏も登場! ライブドローイングを披露
マンガ『ひだまりスケッチ』や、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のキャラクター原案などで知られる蒼樹うめ氏の展覧会“蒼樹うめ展”が、2015年10月3日(土)~12日(月・祝)の期間、東京・上野の森美術館にて開催!オープン前日となる本日10月2日(金)、報道陣向けの内覧会が行われた。

蒼樹氏初の個展となる本展では、マンガ原稿やイラストだけではなく、初公開の設定資料やデザイン画、描き下ろし作品など、貴重な作品・資料が一挙展示! キュートで華やかな“蒼樹うめの世界”を存分に味わうことができる。

そして内覧会には、蒼樹氏ご本人も登場! 報道陣を前に、その場でイラストを描く“ライブドローイング”を披露してくれた。登壇した蒼樹氏は、「最初に個展のお話をいただいたときには、なんと分不相応なと、大変不安でした」と率直な感想を語り、「私なりに、肩肘張らずにリラックスして、ニコニコと観ていただける展覧会ができたらいいなと思い、今日までコツコツと作らせていただきました」と本展をアピール。展示はもちろん、グッズなどの細部に至るまで蒼樹氏の意向が反映されているそうだ。

ライブドローイングでは、本展のメインビジュアルにも登場している『ひだまりスケッチ』のゆのと、『魔法少女まどか☆マギカ』キュゥべえを生描画。色えんぴつで頭の大きさなどのアタリを取ると、そのまま太さの違う2種のサインペンで直描き! 約20分ほどの間で、ゆの&キュゥべえが描かれていく。ちなみにゆのは蒼樹氏の美大生時代に生まれたキャラクターだというが、キャラクター自体は「私が落ちこぼれていた、予備校生時代の分身」とのこと。本展の作品には蒼樹氏直筆の制作秘話も併せて展示されており、こういった制作秘話を知ることで、より一層作品を楽しむことができそうだ。

さて、ここからは展覧会の模様をちょっとだけご紹介。第1章~第5章の章立てで、幼少期から学生時代、『ひだまりスケッチ』に『魔法少女まどか☆マギカ』、そしてイラスト制作や同人活動などの多岐にわたる創作活動まで、蒼樹氏の歩みを一望することができる。実際に蒼樹氏が使用している機材を展示した“原稿の部屋”も必見だ。

◆第1章“蒼樹うめとは”
蒼樹氏の幼少期の作品や、学生時代のデッサンなどが展示。蒼樹氏手作りの焼きビーフンを再現した食品サンプル(!)の傍には、レシピも!

◆第2章 『ひだまりスケッチ』の世界
4度にわたりテレビアニメ化もされた、蒼樹氏の代表作『ひだまりスケッチ』。各種イラストや原稿のほか、“ひだまり荘”を再現した一角も!?

◆第3章 原稿の部屋
蒼樹氏の仕事場を再現したコーナー。幾多の作品が、すべてこのコーナーと同じ環境で制作されたのだ。

◆第4章 キャラクター原案『魔法少女まどか☆マギカ』
社会現象にもなった『魔法少女まどか☆マギカ』は、蒼樹氏がキャラクター原案を担当。キャラクターたちの魅力を、蒼樹氏みずから解説している。

◆第5章 「蒼樹うめ」の仕事
連載作品やイラスト提供、企業とのコラボなど、さまざまな作品も一挙展示! コミックマーケットのカタログイラストには、蒼樹氏の熱い想いも添えられていた。

本展では作品展示やグッズ販売のほか、蒼樹氏が不定期で来場し行うドローイングイベントやサイン会、蒼樹氏本人や声優の阿澄佳奈さん(『ひだまりスケッチ』ゆの役)、悠木碧さん(『魔法少女まどか☆マギカ』鹿目まどか役)による音声ガイド(700円[税込])など、“蒼樹うめ展”を味わい尽くす仕掛けが盛りだくさん!

蒼樹うめさん初の個展「蒼樹うめ展」 7月3日から前売り券が全国にて発売開始
10月3日~12日に上野の森美術館にて開催される人気イラストレーター・マンガ家の蒼樹うめさん初の個展「蒼樹うめ展」。前売り券が7月3日から発売されることがWebサイトや公式Twitterアカウントにて発表されました。同時にWebサイトもリニューアルされ、「見どころ」「チケット情報」「関連イベント」が新たに公開されています。

2007年1月からTBSほかで第1期全12話が放送された。

内容は原作にほぼ忠実だが、各話の順番はバラバラで、また時系列順でもなくバラバラである。第1期ではゆのは1年生である。

このアニメの大きな特徴として、実写取り込み画像とスクリーントーン状の背景を効果的に使用していることが挙げられる。特に第1期では料理の実写取り込み画像が多用されており、オーディオコメンタリーによれば、スタッフが実際に調理した物を撮影して使用している。

パートの冒頭には映画のフィルム音と併せた5秒前からのカウントダウンが流れ、1期では太陽を見立てたデザインのものが使われている。

蒼樹は「主要登場人物のフルネームは設定しておらず、今後新たに設定するつもりもない」と語っている。

オープニングテーマ
「スケッチスイッチ」

エンディングテーマ
「芽生えドライブ」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 42

しんばくん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これが本来の日常系なのかも。だが異色に見える。

物語:3.2 作画:4.0 声優:4.6 音楽:3.4 キャラ:4.8 【平均:4.0】                           (67.9)

ジャンル        :学園、美術、日常生活、ギャグ
話数          :12話+特別編2話
原作          :蒼樹うめ(四コマ漫画)
アニメーション製作 :シャフト
総監督         :新房昭之(第1期のみ)
シリーズ構成     :長谷川菜穂子
キャラデザイン    :伊藤良明
音楽          :菊谷知樹
主人公声優      :阿澄佳奈
OP           :「スケッチスイッチ」作詞 - 秋乃零斗 / 作曲 - 前澤寛之 / 編曲 - 安藤高弘
                         / 歌 - 阿澄佳奈、水橋かおり、新谷良子、後藤邑子
ED           :「芽生えドライブ」作詞 - micco / 作曲・編曲 - 菊池達也 / 歌 - marble

参照元         :Wikipedia「ひだまりスケッチ(アニメ)」
公式ページ      :http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/1st/

【あらすじ】
 憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。親元を離れ、学校のまん前にある小さなアパート『ひだまり荘』で一人暮らしをはじめたゆのは、そこで同級生の宮子、先輩の沙英とヒロの三人に出会う。 ひだまりスケッチ公式「STORY」冒頭

【特徴】
①日常系、ほのぼの
②時系列シャッフル(1年間)
③新房昭之、シャフトらしい演出(一様な柄の背景、平面的に見せる、実写の取り込み、コミカルなSE等)
④時々キャラのデフォルメ化
⑤放送回によって雰囲気が異なる

【特徴の補足】
①ひだまり荘に住む4人の1年間を描く日常系作品。またその他の登場人物として、ゆのと宮子の担任である吉野屋先生と、いつも吉野屋先生を叱る校長などが登場する。
②始めのうちは意味の分からない事もあるが、後の回でその意味が明らかになります。
③上記で挙げた演出以外では、主に口以外の動作の無い体の一部をアップしたカットを多用します。
④手は腕だけ、顔は更に横長に、目は縦棒という具合にキャラを大胆にデフォルメします。これだけ大胆にデフォルメする作品は珍しく、本作の主な特徴になります。 
⑤基本的に温かいエピソードですが、回によってコメディー、ほっこり、ほのぼの等エピソードの主軸が異なります。従っていつも面白おかしい事柄だけでは無く、実際の日常で起きそうなエピソードで構成されています。

【総括】
 終始顔がほころんでしまうような内容の日常系作品でした。しかしその反面強く笑いを誘うオチが少ない気がしました。その為、"ほのぼのエピソード"がメインとなる作品に感じました。また独特な演出を始め、時系列シャッフルや回によって微妙に方向性を変えるなど、その他の制作会社の日常系作品と被らぬよう工夫を凝らしていると感じました。しかし、ローコスト感を強く感じさせてしまうのは玉に瑕で勿体無いとも感じました。
 最後です。どの様な人にお勧め?と問われたら「本当にほのぼのしたい方にオススメ」と答えます。


【思った事・蛇足】

観終えてみるとゆの達のほのぼのとした話より
新房昭之×シャフトの演出について色々と頭に浮かんできてしまって
自分が本当に楽しめているのか疑問に思ってしまいました。
うーん。
これだけインパクトの強い演出だと仕方のないことなのかもしれませんね。



それから
私の感覚ですが
本作はシャフトらしさを色濃く感じました。
だからシャフトの演出がダメと言う方が本作を完走出来た場合
他のシャフト作品も問題なく観ることが出来るのではないかと思いました。



さて
中身についての感想ですが
良くも悪くもフラットになりました。
心が。
含みのある言い方に感じるかもしれませんが
コレが正直な感想です。
ひだまり荘の4人については少し離れた所から
頬杖を突いてニッコリ微笑みながら見守る感覚で観ていました。



それで私が4人のこと以上に面白味を感じていたことは何なのかと言うと
吉野屋先生と校長先生のバカバカしい遣り取りです。
この2人はギャグ担当でした。
吉野屋先生は教員にあるまじき行動をする変わり者でしたが
校長に至っては頭は細長いわ全身が常に震えてるわで
容姿から既にギャグ。
怒った時のリアクションなんかは可笑しくて結構好きでした。



それにしても
4人に対する感想が浮かんできませんが
次期を観ることで何かしらの感想が浮かんでくることを信じます。



因みに「ひだまりスケッチシリーズ」は全4期です。
1期ではゆのと宮子は1年生ですが
シリーズを追う毎に時間が進み、進級し
更にはキャラも増えるようです。
これは仲良しの輪も広がって
面白味の幅も増えるということなのでしょう。



うん。
是非ともシリーズの最後まで観てみたい!



●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※ネタバレ注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
ネタバレ

智慧ノ輪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

個人用メモ

【製作】
シャフト
【CV】
ゆの - 阿澄佳奈
宮子 - 水橋かおり
ヒロ - 後藤邑子
沙英 - 新谷良子
乃莉 - 原田ひとみ
なずな - 小見川千明
吉野屋先生 - 松来未祐
校長先生 - チョー
大家さん - 沢城みゆき
夏目 - 福圓美里
智花 - 釘宮理恵
うめ先生 - 蒼樹うめ(原作者)
{netabare}
※蒼樹うめ先生による4コマ漫画原作のアニメ。
美術の学校が舞台なのでシャフトの演出が合ってると思う。
時系列をバラバラにしてるのもいい感じ。

関係ないけど、ゆのっちと吉野家先生の会話シーンを(声優が同じだから)
這いニャルのニャル子&クー子に脳内変換してみるのにハマってますw

アニメではカットされてるけど原作1巻のゆのっちが酔って愚痴?を言うシーン、普段では見れない黒い部分が新鮮で好き♪
{/netabare}
ここから先はネタをネタとして見れる人しか開いてはダメかもしれない。
{netabare}
『本当は怖いひだまりスケッチの世界』


その1 【恐怖!101号室に潜む伝説の魔物】

仮にここではHさんとしておこう。Hさんは普段とても大人しい姿をしているのだが、主にひだまり荘の202号室の住人M子さんとの会話中に時折本来の姿を現す。そしてこの生物は、髪の毛があたかも生きている蛇の様に動き出すのだ。オカルトや神話に詳しい方ならピンときたかもしれない。そう、ギリシャ神話の伝説の魔物「メデューサ」そのものではないか。伝説とされている魔物は確かに存在したのだ。しかも「ひだまり荘」というこのアニメの中で一番描かれている場面の多い建物内にだ。筆者はこの事実に気付いた時、あまりの恐ろしさにしばらく震えが止まらなかったのを覚えている。…話を戻そう。この魔物の暴力的かつ残虐的な行動は語るまでもないのだが、その他にもこの個体には顕著な特徴がある。それは「食」に対する異常なまでの執着心。真夏に暖房をガンガンに効かせて鍋を食したり、鍋の締めとして鍋いっぱいのお汁粉を用意したり…と、その異常性は極めて高い。ちなみに余談ではあるが、メデューサの神話は芸術面においても関わりが深い。古代ギリシャやローマでは武具や防具にその首が描かれていたり、子供の悪戯防止と魔除けの意味を込め、竈にメドゥーサの絵を描いていた物も残っている。ひだまりスケッチの舞台となっているのが、やまぶき高校美術科だというのもなにか関係があるのかもしれない。

その2 【驚異!狐が憑いた女】

怪談でしばし語られる中には「呪われた○○」というものがある。いわゆる「いわくつき」というヤツだ。このひだまりスケッチの中にも例外なく登場しているのだ。1期2話をご覧になって欲しい。内容は浴衣を着て夏祭りに出かけるという、一見ごく普通のお話。そして浴衣を持ってなかったM子さんは、Hさんが子供の頃に着ていた魔法少女モノの浴衣を借りる事に。しかし、ここからが本編なのだ。その浴衣は着ると色々と悪い事が起きる「狐が憑いた浴衣」いわゆる「いわく付きな浴衣」だったのである。案の定それを着て夏祭りに出かけたM子さんが取り憑かれるのだが、その顛末は皆さんにアニメを実際に見て確認してほしい。

その3 【怪奇!やまぶき高校に棲む怪異】

「学校の七不思議」というのを聞いた事がある人も多いだろう。怪談では定番となっている物だが、勿論ひだまりスケッチに登場する学校にも存在する。其の中でも最も筆者が恐ろしいと感じたのは、学校の代表とも言える存在「校長先生」がとても人間とは思えない異形の姿をしているように見える…というものだ。一言で言えば「在り得ない程に頭部が長い」のである。この校長は度々出現しているので、これも実際にアニメを見て確認をしてみてほしい。またこの他にも妖怪の類だと思われる「チクリン」の存在や、過去の卒業生が彫った「やまぶき地蔵」にまつわる伝説、学校の目の前に佇んでいる「血溜り荘」(お黙り荘と呼ばれる事もあるらしい)と呼ばれる建物…等々が七不思議には存在する。こちらも検証が済み次第、記事にしていこうと思う。


…え?ひだまりスケッチは癒し系の日常アニメだって?
「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな。」(CV阿澄佳奈@黒ゆの
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

71.0 3 先輩で芸術なアニメランキング3位
ハチミツとクローバーII(TVアニメ動画)

2006年夏アニメ
★★★★☆ 3.9 (351)
2184人が棚に入れました
美大生・竹本祐太はアパートの同僚で先輩の森田忍や真山巧らに囲まれ、日々大学生活を楽しんでいた。ある日、竹本達は大学の教師の花本修司から花本の親戚の花本はぐみを紹介される。人見知りが激しく口数も少ないはぐみだったが、その愛らしさに竹本は自分でも知らぬ間に一目惚れする。そして、変人として知られている先輩の森田もまた、はぐみを気に入ってしまう。はぐみと森田は惹かれ合って行き、お互いにその事を自覚していく。しかし、2人の恋は通常のそれとは違い、常人には理解出来ない天才同士の魂の結び付きのような物であった。「恋愛」と呼ぶには少し不思議な関係のはぐみと森田。そんなはぐみと森田の様子を見て、2人が共有する世界に入っていけない竹本は疎外感を味わう。

声優・キャラクター
神谷浩史、野島健児、工藤晴香、うえだゆうじ、高橋美佳子、杉田智和、藤原啓治、大原さやか、竹若拓磨、堀内賢雄、根谷美智子、浜田賢二、土田大

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「はぐちゃん、頑張れっ・・・」←頑張れって、何て主体性の無い言葉なんだろう・・・と感じた作品でした^^;

この作品は、ハチミツとクローバー2期目の作品です。物語に繋がりがあるので、1期を未視聴の方は是非そちらからの視聴をお薦めします♪

この作品は、美術大学を舞台とした青春群像劇です。
主要登場人物は、美術大学に通う5人です。
群像劇だから当たり前なのかもですが、それぞれが同じ時間を過ごしているのに、目指すものや一つの言動に対する反応がそれぞれ異なっているので、ストーリーの奥深さを感じる事ができる作品・・・第2弾です。

竹本 裕太:何となく建築科に入学
花本 はぐみ:芸術に対する天性の才能の持ち主
山田 あゆみ:陶芸の才能があり、卒業後は学校で授業のアシスタント
真山 巧:大学卒業後、有名建築デザイン事務所に就職
森田 忍:多岐にわたる有り余る才能の持ち主

性格も個性も趣味もバラバラな5人が集まって過ごした大学生活・・・でも大学を卒業と同時に少しずつ人数が減っていき・・・裕太君とはぐみちゃんが大学に残り毎年恒例となっている学園祭の準備に勤しんでいました。

そこで、衝撃的な事件が起こってしまいます・・・
運命の神さまの悪戯だとすると、こんな惨たらしい仕打ちは無いです(;_;)

これまで何とかやってこれたのは、これがあったから・・・
という自分の自信に繋がる大切なモノって、誰にでもあると思います。
でも、ある日突然この大切なモノを手放さなければいけなくなったら・・・?
抗い、抵抗したくなると思います・・・でも、時にはそんな瞬間も与えて貰えず、一瞬で何もかも失うこともあるんですよね・・・

私はこの衝撃的な事件を通して2つの事を教えて貰いました。
まず一つは「失う事って怖いこと・・・?」
確かに怖いです・・・大切なモノなら尚更です・・・
でも、本当に怖いのは「失ったモノをもう二度と取り戻せなくなる・・・」という事です。
私にはそこまでの強さはありませんが、失ったのなら取り戻せばいい・・・もう一度作ればいい・・・これが本当の強さなんでしょうね・・・

そして、二つ目には「尽くす覚悟」です。
そもそも「尽くす」という言葉の意味は、そのことのために全部を使ってしまう、ある限りを出し切る。
その事柄の極みまで達する、なしうるまでする、極める・・・という事です。
決して軽い言葉じゃないです。だからこそ、覚悟を決めて尽くすという事はどういう事なのか・・・
登場人物の想いが・・・強い気持ちが胸に染み渡ります。

だからでしょうか・・・この作品を視聴していると「頑張れっ」という言葉に主体性が感じられないんですよね・・・本当に怖いモノを目の当たりにしている人と覚悟を決めて尽くしている人・・・
彼らの居場所には中途半端な気持ちで入り込めない・・・だから、凄く遠い言葉に感じたのかもしれません^^;

一方、真山君の身の回りにも進展は無し・・・強いて言うなら、真山君が勤めていた元会社の先輩に陶器の仕事の関係で山田さんを紹介したくらい・・・
でも、一度巻かれた歯車は・・・動き出さずにはいられないんですね^^;
1期から個人的に推していた山田さん・・・彼女には何としても想いを遂げて欲しい・・・そう想い続けて視聴していましたが・・・^^;

2期は1クール12話なので、あっという間に視聴を終えてしまいました。
原作も終了しているので、回収しきれていない伏線は想像にお任せ・・・という事なのでしょう^^
そして、最後の最後で明かされるタイトルの意味・・・もちろん貰い泣きです^^;
大学を離れ、それぞれの道を歩いている5人の後日談があったら是非見てみたいような気がします^^

投稿 : 2024/06/01
♥ : 29
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

甘酸っぱい  (´ー`*)

原作 漫画 未読

2期 12話

1話目は、1期の総集編なので、実質11話

登場人物の関係、恋愛模様は1期のレビューに書いたので省略します。


1期から森田先輩が怪しいバイト?をして、チョクチョク大金を稼いで来た訳が分かります。(これでスッキリしました。)
{netabare}
この件では、兄さんの気持ちに共感でき、チョイ泣けました。
{/netabare}

~感想~
{netabare}
1期の終わりに、竹本がはぐちゃんに告白したのだけれど、あの後 はぐちゃんは、竹本の側には来なくなり・・・

やっぱり森田先輩の方が好きなのかな~って思ったけど、最後はやっぱり、何だかんだいって主人公の竹本の想いに答えるもんだとばかり思ってました・・・。

でも、はぐちゃんが選んだのは、12歳以上はなれた いとこ?のしゅうちゃん(花本修司)でした・・・

確かに修司は優しいし、面倒見がいいし・・・でも、妹の様に可愛がっていただけで、恋愛対象として見ていなかったとばかり思ってました・・・。(^^;

過去(原田を亡くした理花の件)に縛られ、大学から離れられなくなっていたところに、はぐみがやって来て、徐々に変わって行った修司・・・

この作品の中では、実は修司が一番辛い恋愛、立場の人生だったのかもしれない・・・(理花には、想ってくれる真山がいるので、まだマシ)
そう思うと修司には、はぐみと幸せになって欲しい。

ただ、恋愛もので、男の主人公が悲恋で終わる作品を始めて観た気がする・・・
(´・ω・`)   
基本、主人公目線で観てるので、ハッピーエンドが好きな自分としては、ちょと残念でしたが・・・
でも、リアルっぽくて、これはこれでアリだな・・・って思えました。


真山と理花の恋愛は、まだハッキリと両想いになった訳ではないけど、ちょっと進展して、理花も心を開いた感じでした。
この先きっと、真山の想いに答えてくれそうな雰囲気の終わり方でした。^^

山田は、自分を想ってくれてる野宮匠に、少しづつだけど、心を開いてました。(*´ω`*)

欲を言えば、彼らのその後を観たかったですが・・・(^^;
{/netabare}

自分は、大学には行ってないのだけれど、この作品を観てたら、大学が凄く楽しそうに見えました。
行っとけば良かったな~って、今更ながら思いました。 (。・w・。 )

総評すると、とても良かったです!
こう言う作品も好きです。^^

リアル系恋愛ものが好きな人にはオススメです。
!(*^ー゜)b! グッ

投稿 : 2024/06/01
♥ : 64

ユニバーサルスタイル さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ハチクロは人生。

当時大ブームの頃からラブコメだと思って敬遠していて、今の今まで見なかったことに後悔です。

大学生の恋愛要素を軸にして、それぞれの人間がどう成長していくか、どう自分に向き合い過去を清算し未来に目を向けていくか、恋愛にとどまらない色んな人生が詰まっている物語でしたね。


1期の頃は本当に学園生活を中心にしたラブコメって感じで学生たちが大人に助けられながら成長する様子がゆっくり進行していくんですが、
2期に入ると成長した学生たちが大人と対等に付き合いだしお互いに強く影響を及ぼし合っていきます。

この2期が本当に面白い。正にCLANNADでいうところのAFTER STORYを見ているような気分でした。


青臭さを残しながらも大人が見ても楽しめるドラマに仕上がっていると思います。


どのキャラも2期に入ってから魅力がアップしました、特にはぐちゃん!

はぐちゃんは最初の頃はコロボックル(小人)と言われ馬鹿にされるぐらい幼かったのに、いつの間にか大人びた容姿と表情を見せるようになって思わず惚れ惚れしてしまいました。


作画・音楽はシリーズ通して良い仕上がり。

J.C.STAFFは時期によっては作画が不安定なときも見られますが、ハチクロはかなりの安定感。
原作の絵柄の淡さを表現しながら大きな崩れもなく感心しました。

音楽は主題歌にYUKI&スネオヘアー、挿入歌にスピッツ&スガシカオで誰が聴いても共感できる曲の数々だと思います。

1期OPの映像は正直意図が読めませんでしたが2期はタイトルと掛かっていて良い。

あと挿入歌を流すタイミングがほんとに絶妙。流石「泣かせの長井監督」と思わせてくれる演出力でした。

追記:ハチクロⅡはDVDのメインメニューがすごく綺麗で素敵です。流れている音楽も使われている映像も一目で気に入りました。
これからDVDで見る方は是非そちらに注目してみてください!


キャストも一人残らず名演、素晴らしかったです。

神谷浩史さん、杉田智和さんなんかは最近では珍しい繊細な役回りが新鮮でした。

藤原啓治さん、大原さやかさん、うえだゆうじさん辺りのベテラン力も凄い。

ヒロイン役を務めた工藤晴香さんと高橋美佳子さん、大好きでした。


ラブコメと敬遠せず是非見てほしい良作だと思います。特にハチミツとクローバーⅡの見事な群像劇は一見の価値ありです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
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