冒険で幻想的なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの冒険で幻想的な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月23日の時点で一番の冒険で幻想的なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

69.7 1 冒険で幻想的なアニメランキング1位
サカサマのパテマ(アニメ映画)

2013年11月9日
★★★★☆ 3.8 (661)
3139人が棚に入れました
どこまでも、どこまでも坑道が続く地下世界。狭く暗い空間であっても、人々は防護服を身にまとい、慎ましくも明るく楽しい日々を送っている。地下集落のお姫様であるパテマは、まだ見ぬ世界の先に想いを馳せて、今日も坑道を探検する。お気に入りの場所は、集落の「掟」で立ち入りが禁止されている『危険区域』。これまでに見たこともない広大な空間には、幻想的な光景が広がる。世話役のジィに怒られながらも、好奇心は抑えられない。いつものように『危険区域』に向かったパテマは、そこで、予期せぬ出来事に遭遇する。何が『危険』であるのか、誰も彼女に教えてはくれなかったから。隠された“秘密”に触れる時、物語は動き出す――

声優・キャラクター
藤井ゆきよ、岡本信彦、大畑伸太郎、ふくまつ進紗、加藤将之、安元洋貴、内田真礼、土師孝也

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

王道にして未だかつて誰も観たことの無いボーイミーツガール&ディストピアSF超大作!

正直全く想像力が追いつかなかった;
今年、色々と驚かせてくれる仕掛けを持った映画はいくつもあったんです
ところが今作は冒頭からラストシーンに至るまで全てが衝撃的過ぎてしばらく頭ポカーンになってしまいました;
凄すぎる、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』
或いはクリストファー・ノーランの『インセプション』を初めて観た時に近い
「感動」ではなく「ショック」










薄暗く狭い地下世界で探究心を抑えきれず駆け回るお姫様、パテマ
自由の無い地上の管理社会で人々が禁忌とする空を飛ぶことに憧れる少年、エイジ
ある日の探検中に地下道の奥底、果てしない暗闇へと落下してしまったパテマ
辿り着いた先はエイジのいる地上だったのだが彼女は空に吸い込まれるように浮き上がって空に向かって「落ちる」と言う
そうそれはつまり、「エイジとエイジのいる世界」「パテマとパテマのいる世界」それぞれの重力の向かう方向が上下真逆だということを意味していた
地上では地に足を付けることが出来ず、「空に落ちる」ことを恐怖するパテマを庇ってやることにするエイジだったが、やがてサカサマ人の秘密を探ろうとする地上の君主によって二人は引き裂かれてしまう・・・









上下サカサマの少女との出会いから始まる物語、ということで劇中では度々に視点が上下逆転します
見慣れたはずの景色が上下逆転するだけで異化効果をもたらすとは、これぞアイデアの勝利


さらに地に足の着かない不安感、恐怖感
いつも身近にある空に吸い込まれていくという未体験の感覚
これらの設定の斬新さ、新鮮な画面構成


そして、手を離せば空に吸い込まれてしまうという相手を必至に抱きかかえ続ける、心をくすぐる様な密着した距離感が魅せるときめき、ドキドキ感


最後の最後まで目が離せない、息も吐かせぬスペクタクルな展開のストーリー


特に素晴らしいのがこの少しややこしい世界観をgdgdと説明するシークエンスがほとんど無いことにあると思う
これは繰り返し視聴に耐えうるモノなんだと、そう実感する瞬間ですね


ぱるたんのレビューにも書いてあるけど、宮崎駿にいま最も近いのは細田守でも新海誠でもなく、吉浦康裕なんだろうかと思う今日この頃
ちなみにファンタジーってよかディストピアSFですね、これ


個人的に一つだけ気に入らないところは音楽が大島ミチルってことで正直五月蝿いことでしょうか(爆
まあそれを逆手に取った演出もあったりで実に楽しませてくれます(本編を観た方はすぐに気付くと思いますw)


アニメが好きで、冒険が好きなら、この大作をスルーすることはできないはず

投稿 : 2024/05/18
♥ : 38

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

どちらがサカサマなんだろう

約99分

地下に住む人々と地上に住む人々がいる世界、地下に住んでいるヒロインのパテマは地上に憧れて、禁を犯して地上に行きました。そこで出会った少年 エイジとこの世界の謎に迫るファンタジー作品です。

いつも観ている世界が逆になっているってどんな感じがよく分かるお話です。空がこんなに怖いと思ったのは初めてですね〜

タイトルにも書いたようにどちらの世界がサカサマになっているのか錯覚する場面がたくさんあってグルグルしますねw

ドキドキハラハラするシーンがたくさんあります。観ているとあっと言う間にですね〜 ちょっとジブリ作品を思い出すような作品です。

目が離せないほど面白かったです。是非、サカサマの世界を観てくださいね。オススメです^^

最後に、パテマとエイジが徐々にお互いの信頼度がアップしていくところが素敵でした。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 56
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「物質に働く重力の向きが2種類ある」傑作SF

【あらすじ】
 「咎人は空に落ちる」。重力が反転した人々は地下に隠れ住んだ。そして月日は流れ、何も知らない少年と少女が出会う。その果てに待ち受ける真実も知らず……。

【成分表】
笑い★☆☆☆☆ ゆる★☆☆☆☆
恋愛★★★☆☆ 熱血★★☆☆☆
頭脳★★★★☆ 感動★★☆☆☆

【ジャンル】
SF、恋愛

【こういう人におすすめ】
SF好きな人。しっかり考えながら見るタイプの人。

【あにこれ評価(おおよそ)】
68.3点。いまいち。

【個人的評価】
舐めてたけど予想を超えてきた。スタジオ六花の可能性を感じた良作。

【他なんか書きたかったこと】
 地中に重力が逆向きの人々が住んでいて、ひょんなことから重力が逆の少年と少女が出会う。なんと少女は手を繋いでいないと空に落ちて行ってしまうのだ!そして始まる『天空の城ラピュタ』的な二人の冒険劇……。
 分かる。言いたいことは分かりますよ。一つのアイデアでゴリ押しする感じのありがちなストーリーに思えますよね。要するにご都合いちゃいちゃアニメじゃんハイハイご苦労さんって思ってるでしょう?
 少なくとも私はレンタル屋でパッケージを見たときにはそう思いました。
{netabare}
 でもこれ実はすごいですよ!「物質に働く重力の向きが2種類ある世界」というSFとして見ると、物理学的に全然間違ったところが無いです!
 そして、隠された謎も面白い!最後まで明言されない謎なので、ながら見するとストーリー構成の妙に取り残されますよ!

 むしろ頭を使ってアニメを見るタイプの人、緻密なストーリー構成が好きな人にこそおすすめしたいアニメ映画です。「重力が逆向きの二人のボーイミーツガール」というアイデアだけでも十分アニメ映画は作れたでしょうが、そこからさらに一歩テーマを突き詰めた良作SFです。
 映像的にも天地反転のカメラワークが面白くて「おー」ってなります。

↓以下、「一度みたけど何がすごかったん?まあラストあんま意味わかんなかったけど」という人だけ開いてください。これから観る人は絶対開けちゃダメ! 
{netabare}
 物語の始まりでは女の子サイドは地底人。男の子サイドは地上人として登場します。地上の都市の名前は「あいが」。この時点ではなんのことか分かりませんが、ちょっとスルーできない雰囲気を持つ都市名です。

 で、ボーイミーツガール。ここはまあ楽しんでください。
 でもこのあたりでの「都市の外のタブー」地域があとで効いてきます。

 で、女の子捕獲→救出。ここもまあ楽しんでください。
 しかしここで、「あいが」サイドが地底人に対してなんか無駄に敵対心があることが読み取れます。「罪人」という言葉も無駄に出てきます。これは単にジブリの悪役のマネしたいわけじゃなく、ちゃんと裏設定があるのです。”遥か昔”は、地底と地上で交流があったことも示唆されています。

 で、二人で空に落ちる!
 この展開、結構面白くないですか?本来は女の子のほうが軽かったので下向きの力の方が強くて地面にいたのですが、この時は女の子が足かせをしていたのでその重さの分だけ上向きの力が勝って空に落ちてしまったのです。なんか物理かじってるとこういうの楽しいです(笑)
 そして空へ浮いて浮いて行き着いた先が、都市!?
 ここまでちゃんと見てた人は大パニックになります。これはむかし空に飛んで行った人たちの都市なのか?いやいや、そうなると空の上にもう一つ地平があることになります。まさか地球をぐるっと囲むようにもう一つの地面の膜が作ってあるのか?
 NOです。
 最後までみると分かりますが、ここには人は住んでません。これは「気象発生+照明装置」です。……はい?って思いました?さあ先に行きましょう!
 
 ここでちょっといい話挿入。でもこれ、都市から気を逸らせるための罠です。にくいことしますね(笑)

 そして地下→ラスト。地下の一番底が抜けて、空が!
 わかりましたね。
 つまり地底人は男の子サイドのほうだったのです。女の子サイドは地下に住むだけの地上人。地底に「あいが」という巨大な空間があり、そのさらに最下層に無人の都市(に見える気象装置)があったのです。
 「あいが」=「さかさまのガイア(大地)」だったんですね。ま、これはチープっちゃチープですがさらっと面白いことしやがる。
 女の子サイドは「サカサマ事件」を起こした実験に関与していた人たちの末裔で地下都市アイガを監視する役目。男の子サイドは地下に追いやられたサカサマ人。アイガの人が地底人を恨んでいるのは当然ですね。しかしお互い長い年月の末、そのことを知るものがいなくなったようです。
 アイガの外のタブー地域はつまり、空間の終わり。つまり地下空間の壁がある場所なのです。
{/netabare}

↓「SFとして面白いこと!ちょっと間違ってること!」これも観てない人は開けちゃダメ!
{netabare} ・まず、アイガの男性陣は結構パテマを軽々片手で持ってますが、これはちょっと握力強すぎ。女の子が片手で懸垂してるのと同じ力が必要です。

・最初に二人で大ジャンプして追手をかわそうとしたシーン。あれはジャンプの瞬間にパテマ側も男の子を押すようにして二人の腕が曲がらないようにしないと成功しません。全体的にこいつら筋肉質だなあ。

・二人がアイガの塔から空に落ちるシーン。ちょっと初速が速すぎますね。もうちょっと風船くらいの速度で行かないと、無人の都市にぶち当たってヒキガエルですよ!

・しかし、無人の都市にぶち当たって死ぬことがない。これは空気抵抗で説明できます。二人の重力の差がごくわずかであればすぐに空気抵抗によって加速しなくなるので、「ゆっくり着地」はあり得ます。まあそうなるとゆっくり離陸するはずですけどね(笑)

・親が昔作った重力反転気球みたいなやつ。動力0で浮遊できる!ちょっとリスキーだけど魅力的な乗り物です!重りの落とし方ミスったら宇宙の果てですね。

・最後本当の地面が抜けた時、アイガ側におちる破片と、本当の空に落ちる破片の2種類がありましたね。芸が細かい!

・これ言ったらSFってジャンルはオシマイですが、地下につくられた空間デカすぎですね。地平線で見えなくなるところまで、認識できないほど地下深く掘られています。
{/netabare}

 さかさまな二人から子供生まれたらどうなるの?とか、ご飯食べたら浮くの?みたいな面白い考察をするレビューがありました。まさしく!そこらへん面白いです!分子レベル、量子レベルで重力が反転していると考えるのが自然なので、理論上「どっちの分子でできているか」によってどっち向きか決まると思います。
 ということはサカサマ人は地上の食べ物を食べ続けて正しい重力方向の炭素を摂り続けたら、地上で暮らせるようになるかも!反転する瞬間が怖いですが。あと、反転するまでは、排泄したう○こが上にすっ飛んで行きますね。
 ……やめとくかこの作戦は。
 あ、炭素など取らずとも数日正しい重力方向の「水」を飲めば重力反転は可能ですね!熱中症とかになって脱水症状がでたら宇宙まで飛んでいくかもですが。
 「生まれてきた子供」はほぼ母体の炭素から構成されるはずなので、パテマ側の重力になること間違いなしです。

↓私発案!正しい重力の戻し方!
{netabare}
1、地下の一室に閉じこもり、天井に磔にします
2、この状態で水だけを正しい重力方向のものと代えて、数日過ごします。その間、おしっこは浮くかもしれません。
3、何日かすると重力が反転します。
4、次にご飯も正しい重力のものに代えて数か月過ごします。この時期には頃合いを見て地上に出ることも可能です。
5、完成!もうサカサマ人じゃないよ!サイヤ人だよ!(髪の毛は逆立ちます)
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/18
♥ : 40

72.0 2 冒険で幻想的なアニメランキング2位
ファンタジックチルドレン(TVアニメ動画)

2004年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (308)
1971人が棚に入れました
南の島で両親と暮らす11歳の少年・トーマは、ある日島の遺跡で一人の少女と出会う。少女の名前はヘルガ。無口で、どことも知れぬ場所の絵を描いては、そこに行きたいと言う不思議な少女。トーマは、ヘルガを慕う少年・チットと共に、ヘルガを“行きたい場所”へ連れていこうとする。
何十年かおきに現れる、謎の黒衣の子供たち。“ベフォールの子供たち”と呼ばれる彼らは、長い長い年月をかけて、ある一人の人物を追いかけ続けていた。繰り返される年月に疲弊し、また謎の少年・デュマの妨害によって仲間を減らしながらも、彼らはただ、ひたすらに“彼女”を追い求め続ける。
少年少女の連続失踪事件を追う刑事・クックスは、捜査の中で“ベフォールの子供たち”と呼ばれる存在に辿り着く。追い求めるほどに深まる子供たちの謎、不可解な現象、そして現れる謎の青年。一体、失踪した子供たちにどんな秘密が隠されているというのか。
平行する3つの物語は、やがて複雑に絡み合い、500年の時を超えた、ある惑星の悲劇へと収束していく。


声優・キャラクター
河原木志穂、皆川純子、花輪英司、小林希唯、浦田優、高口幸子、はらさわ晃綺、松本さち、矢口アサミ、坂本真綾、鈴木千尋、甲斐田ゆき、辻親八、住友優子、後藤哲、羽多野渉

屋根広し さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

作画で損しているアニメの代表

確実に作画から判断して観ない人が多いと思う。
物語がすばらしいので作画が気になりません。
もし作画が万人受けしそうなものだったらもっともっと上位にいっていること間違い無しです。

観終わった今ではこの作画でよかったと思っています。感情表現がわかりやすく、素直に感情移入ができたような気がします。

これから観る方へ
序盤は若干退屈かもしれません。中盤あたりでいろいろと明らかになり見入るようになると思います。
あと、終盤の挿入曲で涙すると思いますのでお楽しみをw

投稿 : 2024/05/18
♥ : 11

琴娘 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

人を選ぶが、ハマるひとは本当にハマる!

本放送時から強い思い入れをもって見ていました。
終わってもなお大好きな作品のひとつです。
まず、誰もが最初に躊躇してしまいがちなこの独特な絵柄、なのですが、これに慣れて気にならなくなってからがこのアニメの本番!です。
さらに2クールある物語のほぼ半分を伏線をとことん張ることに注力しているこの作品を退屈だと思わないかどうか、
この作品を心から面白いと感じて楽しめるための条件は以上の2点を我慢できる(?)人のもとで初めてそろいます。
これがクリアできればもうこの作品を大好きになれること間違いなし!です。おそらく。
伏線が回収された瞬間の爽快感ったらありません…!
そうだったのか…! えっあの人が…!?
そんな瞬間がたくさんあります。
音楽も素晴らしく、心地良いメロディや音色は今でもわたしの心の癒しの源です。実は今も聴いています。

その人がアニメに何を求めているのかにもよりますが、SFの類が好きな人にとっては満足していただける作品だと思っていただいて間違いないのではないでしょうか。
最終回、終わり方の解釈もさまざまあります。
この解釈を自分なりに考察するのもまた一興、というところですね。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 12

いっき さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

壮大な恋物語

当時3話まで見て切ってしまったアニメ。切った理由絵がちょっと受けつかなくて話が難しくて週に一度のペースで見るのが苦になってしまったから。

しかしこのアニメは評価が高くいつか見たいと思って見てみました。

26話見終わって、なんて壮大な恋物語なんだろうと・・・物語がしっかりしてて見ごたえがありました。

話は難しいですが1話1話じっくり見ればこの恋物語の謎や答えが分かります。最後にはすべての謎が解けてスッキリした気分で完走できました。

自分もそうでしたが絵が苦手とか最初から話が難しくて「いみふ」と受け止めてしまうかもしれませんが物語り重視でちゃんと完結するアニメを見たいという人にはおすすめかもしれません。

物語重視な分、物語の進行が淡々と流れますのでしっかり見たほうが良いです。なんとなく見てしまう人は話がわからなくなり置いてかれます。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 13

76.8 3 冒険で幻想的なアニメランキング3位
ソマリと森の神様(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (380)
1666人が棚に入れました
森の中で私は"それ"と出会った。それ(人間)は、わたし(ゴーレム)を「おとうさん」と呼んだ----。地上は異類異形の人外たちが支配する世界。人間は迫害され、絶滅の危機に瀕していた。そんなある日、森の番人である「ゴーレム」とひとりの人間の少女が出会う。滅びゆく種族「人間」と森の番ゴーレムの父娘の絆を綴った旅の記録・・・

声優・キャラクター
水瀬いのり、小野大輔、七海ひろき、鈴木達央、小野友樹、早見沙織、小林ゆう、速水奨、関智一、茅野愛衣、高垣彩陽、柴田理恵
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ファンタジーだからこそ心理描写が大事

原作未読


つくづくジブリは偉大だと思う。


『ラピュタ』のロボット兵が『トトロ』のメイちゃんを連れ『千と千尋の神隠し』並に素性を知られてはいけない世界を闊歩する話。


これでこの作品どんなん?の回答となり得るからである。共通認識ができてるんですよね。

完全なファンタジー世界です。先述のロボット兵みたいなのが“ゴーレム”森の番人。メイちゃんみたいなのが“ソマリ”ゴーレムに拾われた人間。
長寿命であるゴーレムは寿命が尽きる日が近いことを自覚し、ソマリのために同種族の人間のもとへ彼女を返すあてのない旅に出ます。種族はいろいろ。人間は捕食対象で絶滅種扱いという世界です。

例によって世界観構築が勝負のファンタジー世界ということでは、概ね成功しているように見えます。
原作連載中の事情もあってか中途半端な終幕ではありましたが、一区切りつけてはいるのでそこは賛否両論というところですね。


ソマリのフード姿。目的のあるあてのない旅。このへんは↓

 {netabare}『銀河鉄道999』のメーテルと星野鉄郎の関係を彷彿させる。{/netabare}

感情のない大人と身寄りのない娘の交流。このへんは↓

 {netabare}『LEON』のレオンとマチルダの関係とも言えなくもない。{/netabare}

いずれも名作の予感を感じさせる立ち上がりではありました。


 {netabare}二人はどうなるのか?{/netabare}


本作のテーマです。
そしてこのテーマにこだわるか否かで作品評価が変わるといえるでしょう。
私はテーマ(と感じたもの)にこだわるとした上で「きちんとした結末から逃げたな」とネガティブな評価をしてます。なぜ逃げたのかな?と考えると原作(未読)のまずさに落ち着きました。このへんは後述。
意見は別れるところで、ファンタジーの世界観、全12話で一区切りと評価すべきポイントもある作品です。1クールだし観て損はない作品だと申し添えておきます。
そして声優“柴田理恵”。これはこれからどしどし仕事来るんじゃないかなというくらいの水準でした。貴重なのでこれ見たさという視点でもお釣りくるかもしれませんよ。


以降に展開するのは、本作品を面白いと感じた方には面白くない内容かもしれませんのでご容赦を。

※ネタバレ所感


■ソマリちゃんごめんよ

水瀬さん良かった!の声が並ぶはずですが、そここそ声が甲高くて苦手でした。周波数高めです。

{netabare}声だけでもないです。お使いにもいけるので5歳以上小学生低学年程度の設定でしょう。教育受けてないからの言い訳も立つし物分り良い必要はないです。だが我慢ならぬ鬱陶しさ。当初は天真爛漫キャラなんだろうなぁくらいで流してましたけど、作品自体の人間種の描き方が雑で、単に人間を描けないのね、という方向に考えが向いていきました。{/netabare}


■種族としての人間(重要)

ゴーレムとソマリの関係が作品のテーマとしたら、人間とその他種族との関係や未来は作品テーマを貫いてる重要な部分です。
この人間の描かれ方に首を捻りまくった私です。さっき後述するとした原作の不味さに繋がる部分。

{netabare}排他的になる理由が薄くないですか?むしろ「理由は無い」といってもいいんじゃないですか?
自分と違うからといって排斥する。そんな人間種の描写が繰り返されました。

・ケモノに襲われた人間の子供を助け、負傷してるその子を抱きかかえ親元を訪ねたら銃殺さる
 →さすがにそれはヒドイんでないかい?
・それまで仲良くやってたのに人間の幼女助けるために空を飛んで身バレしたらアウト!
 →え?目の前で助けてるの見てるのに言い分も聞かないんですか?
 →幼女とだけは理解し合えてた!っていい話にならんよ

“排他的な人間”を描きたいがための結論ありきで深掘りできず無理筋な描写になってます。こっち(異形)は何にも思ってないのにむこうがヒドイからは充分伝わってくるけど。人間があんなん(DQN)なのでこの点は説得力ありましたがなんだかなぁ。{/netabare}

これは嫌な感覚でした。

{netabare}人間だけが排他的でだから滅亡したというのを言いたいのでしょう。
なお、人間以外の異形の種族間での軋轢は一切描かれてません。

異なる種族は始めから仲良しなのです。以前は軋轢があったけど克服したよ的発想が作者になさそう。
人間だけひどい奴らです。そのひどい理由が全く描けてません。差別する奴はただ差別したいから差別するんだ!って浅っ!!そして薄い。杉村太蔵の政治評論ばりに薄口でございました。{/netabare}

この人間とその他種族との関係が納得感のあるものであれば幾分ましだったことでしょう。
巡り巡って異種族間のつなぎ役にもなってたソマリの存在意義が生じてくるからです。
ここも原作者はせいぜい「話せばわかる」くらいの発想なんだろうなぁと気持ちがひいてきました。
さらに巡り巡って連載終わってないのを考慮するとしてもアニメの結末はしょうがないだろうと諦観。きっと{netabare}「シビアなの描けないな」「描いてもつまんなかっただろうな」{/netabare}期待できなかったので、このお茶濁しエンドが限界だったと思えるのです。



あらためまして、、、ジブリは偉大です。
一方で巨匠の限界は主に後期の作品で露呈してました。
戦闘機設計者の意思や奮闘を描きつつ、その熱意の結晶の活躍の場は徹底的にぼかす。そんな作品が彼の最後(一応ね)の作品となってます。

奇しくもそれと同じ感覚が湧いてきた『ソマリと森の神様』。全般的に悪くない雰囲気で流れてくのに「そこ描かなかったら意味ないじゃん」という残念さ。そんなとこまでジブらなくていいのになぁ。



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.04.06 初稿
2020.05.02 タイトル修正/修正
2020.10.11 修正

投稿 : 2024/05/18
♥ : 58
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ソマリの笑顔のもとは・・・

とても暖かい物語です。
見終わった後、優しい気持ちになれます。

物語は遥か未来。
異類異形の人外が世界を支配しており、人間が迫害されている世界。
ロボットのゴーレムは、森の神様として森に生けるものを見守っていました。

だが、ある日、ゴーレムが一人の幼女ソマリと出会います。
ソマリに出会うことで、ゴーレムに奇跡が起こります。
感情を持たないはずのロボットに優しい感情が芽生えるのです。

でも、ゴーレムは自身がまもなく寿命で、活動を停止することがわかっていました。
活動が停止する前に、ソマリを人間に預け、幸せにしたい。
それがゴーレムの願いでした。

ソマリは、ゴーレムが大好きで、いつも「お父さん」と呼びます。
ソマリは人間に出会うよりも、お父さんと一緒にいたかった。
お父さんさえいれば、あとは何の願いもなかった。

やがて…、{netabare}ゴーレムは気づきます。
自分が最もなすべきことは、ソマリの傍にいることだと。
それがソマリを最も笑顔にすることだと、気づくのです。{/netabare}


笑顔の素敵な天使と一緒に暮らしてられる人は、
決して天使を手放さないでください。
自分がいない方がこの子の幸せだ…などとは、決して思わないでください。
だって、その笑顔は、貴方がいてこそ見せることができるのですから。


オープニングは、森山直太朗が歌う「ありがとうはこっちの言葉」
エンディングは、ソマリ役の水瀬いのりが歌う「ココロソマリ」
どちらも優しく美しい歌です。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 52

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

「人間」とは何か? 「親子」とは何か?

== [下記は第4話時まで視聴時レビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで観た時点で、このレビューを書いています。原作は未読です。

ここでいう「人間」は、作中の種族としての人間って意味ではなくて魔物も含めた「心を持った生き物」って意味ですけど、ゴーレムは人工生命的なもので本人(?)も「ゴーレムに心や感情はない」って言ってますが、じゃあそもそも「心」とか「感情」って何なのかという、わりとAI研究寄りでもある問題がこの作品では扱われているように思われます。

また「実の親」に対して「育ての親」という言葉があるわけですが、成長途中の子供にとっての「親」とは何なのかという問題もこの作品では扱われているように思われます。

そういった問題について、ファンタジー世界をバックに考えてみようという中々の意欲作のようですね。背景美術が美しかったりする点もあって、あにこれではわりと高評価を得ているようです。

こういうストーリーへの向き不向きはあるとは思うのですが、ハマる方はハマる感じの作品じゃないでしょうか。

上記の他にも人間とその他の種族たちとの関係とか、それと関わって残されている伝承とかもわりと気になりますよね。

追記:「共同体への帰属意識」という問題も扱われそうですね。ソマリの生い立ちでは、もはや「普通の人間の社会」では暮らせないように思われます。
== [第4話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.3.27追記:
第12話(最終話)まで視聴終了。

最初のレビューで「気になる」と書いていた「人間に関する伝承」については、作中でけっこう明かしてもらえたように思います。

「人間」にしろ「魔物」にしろ、「被害を受けた」と思っている当事者たちはどうしてもその怨恨を拭い去ることができませんし、それを子々孫々に渡って語り継いでしまうというのは世の常といったところでしょうか。

一方、森の中で共同体との関わりを長らく絶っていたゴーレム、あるいはそのゴーレムに育てられたソマリにはそういったわだかまりはないわけです。

本作の問題を現実の人種や国籍に当て嵌めて考えてみるといろいろと思うところは出てきます。そういう意味で「良い作品」だったんじゃないでしょうか。

もちろん情緒面でも心情に訴えてくるものは多かったです。親子関係とは最初から「ある」ものではなく「作る」ものといったところでしょうか。仮に「生みの親」であったとしても、「親であろう」としない限り親子関係は成立しないんですよね…。

投稿 : 2024/05/18
♥ : 49
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