奇跡で夏休みなおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの奇跡で夏休みな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月12日の時点で一番の奇跡で夏休みなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

63.8 1 奇跡で夏休みなアニメランキング1位
虹色ほたる~永遠の夏休み~(アニメ映画)

2012年5月19日
★★★★☆ 3.7 (126)
579人が棚に入れました
ネット小説として人気を博した原作を、大人気アニメ『ワンピース』のシリーズディレクターを勤めた宇田鋼之介を監督に迎え映画化。現代から1970年代にタイムスリップしてしまった少年のひと夏を、日本を代表するアニメーターたちが表情豊かに描く。自然の美しさや、子どもたちの活き活きとした姿を“アニメならでは“の表現で描いている。

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ボーイ・ミーツ・ミステリアス・ガール

これはホントもっと評価されるべきっ!!!
今年一番面白かった映画の最有力候補です!!!


原作は『ネットから生まれたベストセラー』の代表格、川口雅幸が04~05年頃に自身のホームページに掲載したものから


亡くなった父親との思い出の地へ昆虫採集にやって来た小学六年生の男の子『ユウタ』は山奥のダム湖で不思議な老人に出会う


山からの帰り道で大雨と土砂崩れに巻き込まれてしまい、気を失ったユウタに老人は救いの手を差し伸べるのだが、気が付いた時にユウタはなんと1977年にタイムスリップしてしまっていた
そしてこれからダムの湖底に沈むはずの地に、小さな村と人々の営みが広がっているのを目撃する


なぜか全く見覚えのない祖母と名乗る老婆はユウタの素性を知っており、心温かな村人や村の子供達にすんなりと受け入れられる
謎の老人はユウタを元いた時代へ帰すことを約束してくれるが、それは1ヶ月も先になることを告げて姿を隠してしまう


そんな中、村で一番最初に出会い「ユウタくんは私の従兄弟」だと言い張る謎の少女『さえ子』にも秘密が隠されていることをユウタは知ることとなる・・・


さえ子に隠された秘密が、今作を大きく引っ張ってくれる魅力になっています
最後まで目が離せないっす!










まず今作は色々と不幸な偶然が重なってしまったことで業界内外での話題が振るわなかったことが非常に残念でした


『虹色ほたる』と『タイムスリップ』というキーワードが、まんま【今年の映画ドラえもん】の『ゴールデンヘラクレス』と『タイムスリップ』というキーワードと丸被りだったのです
オイラもてっきりドラえもん的なSF映画なのか?と激しくカンチガイw


さらに1ヶ月ほど先立って公開された映画【ももへの手紙】が今作と同じ『主人公が母子家庭』で『日本の田舎風景が舞台』というのですからトコトンツイてないw
こうなってしまうと“圧倒的に後発の方が不利”なのは古今東西相変わらずですよね;


ただ今作で描かれている村の風景は『地方の○○が舞台』という特定のものではなく、日本の原風景とも言うべきドコの田舎にでもありふれていそうな親近感あるものとなっています
ダムの底に沈んでしまう村という儚いお話も、ダム大国日本ならではのポピュラーなネタで、老若男女問わず入り込み易い作りになってると思います


それとCGなどは使わず、暖か味ある手描きの背景画で日本の自然を表現することへの拘り、これ自体は割りとドコの作品でも見られるんですが、今作の最もたる特徴の<作画>
この作画が世界観を引きたてる画面作りに大いに発揮されておるんです!


例えば、ふと空を見上げたときの『太陽から照り付ける夏の強い日差し』といったエフェクトの類は、普通ですと撮影処理で作り出すもので作画することは無いんです
ところがこの作品の場合、なんとその日差しのエフェクトを手描きの作画でやってしまっているのですw
もうこれは正気の沙汰とは思えないwwwwwwwwwwww
他にも川の水しぶき、舞う様に飛び交う蛍の淡い光とゆるやかな動き
なぜこうもアニメ向きじゃないことばっかり手描きでやってしまうのかw
これらデジタル技術に片寄らぬ手描きによるアニメートが、作品全体の雰囲気を作っているんですよ!
ちょっといくらなんでも凄すぎますw


作画、のお話が出たところでオイラが最も燃えたポイントをば・・・


この作品が公開される直前まで、オイラは例の【ももへの手紙】での素晴らしい作画に感銘を受けていたわけなのですが、今作は【ももへの手紙】とは全く違うアプローチの作画をしているんです


【ももへの手紙】はスタジオジブリ作品など大型アニメ映画作品の例に従い、作監によって整ったカタチに修正された、アニメ映画として最も純然たる美しさを目指したまさにメジャー向けな作品でした
多少ですが原画を担当したアニメタの個性が見え隠れしますが、それをキャラ表のデザインに近づけたり、特定のカットだけ突出してヌルヌル動いたりしないように
と、作品全体の画面作りに調和が図られているのがよくわかります


対して今作では腕は立つがアクの強い絵柄のアニメタを場面ごとに上手く配置して各々のアニメタの個性を打ち消すことなく自由に作画させているのがポイント!
アニメタによってはやたらとフルアニメーションでヌルヌル動かしたがって、それが涙に揺らぐユウタの心情を表現していたり
また大平晋也さんなんかは相変わらずキャラデザを無視しまくってラフなアウトラインのデッサン調でいわゆるリアル系に描いていたりもして、それが使われるのが現実と虚構の入り混じった極めて抽象的な場面であったりとか
作画に興味の無い人にしてみれば「キャラの顔がコロコロ変わってイミフ?」なことになること請け合い;


単純に綺麗なのはモチロン【ももへの手紙】タイプなのですが、【鉄腕バーディーDECODE】や【ハガレンミロ星】の作画に理解を示していただける方ならきっとこの作品の作画の凄さに気づいていただけると思います!
オイラ的には今作の方が断然好きで、どちらも作画評価は5.0点にしてるんですが気持ち的に今作には10点ぐらいあげたいですw
マジでw


で、もちろんどれほど作画が良かろうがお話がツマランかったら容赦なくぶった切りたいトコロだったのですが、、、お話もホント良いんですよ!


はじめにユウタが手に持っている携帯電話がロッドアンテナ付きで白黒液晶
それと1977年の村の少年の「ゴレンジャーの何が好き?」という問いに対してユウタの「タイムレンジャー・・・とかかな?」という会話
これらですぐユウタのいた時代が2000年前後に設定されている、とオイラにもわかったんですが、それにしてもなんで?
そこは2012年でいいだろw
超無意味じゃん!
そう思っていた時期が、、、オイラにもありましたw


その辺をしっかりラストで伏線回収
マジで最後の最後までハッピーエンドに転がるのか?切なさを残すような〆方に転がるのか?もう目が離せないんすよ!
とにかく手放しのエンディングってワケではないんで!作画だけでなくお話にも期待していただきたいっす!


時を経て、人は変わる、風景も変わる、子供も大人になる、でも変わんないものもある
それでも、こどもたちは今を生きる―――そして未来へ


【銀河へキックオフ】といい、オイラの中で最近の宇田鋼之介監督の株は急上昇ですw
ホントにいい映画をありがとうございましたm(__)m
今作、埋もらしておくにはモッタイナイ名作ですぞ!

投稿 : 2024/05/11
♥ : 35

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

失われた村に置き忘れた夢という名の現実

2012年公開の劇場版アニメ 105分

原作 川口雅幸 監督 宇田鋼之介 脚本 国井桂 音楽 松任谷正隆 由美
制作 東映アニメーション

作者は個人サイトで1年にわたってこの作品を書き、
ネット上で人気を博し2007年に書籍化されたという労作のようです。
もう完全に芥川賞直木賞の時代は終わっていたんですね。

やはり、賞狙いでない場合は作法がなおざりになります。
60年も続いた作法など死んでしまえという感じですが(笑)、
人気だけを気にして物語がばらばらになっている作品も見受けられるようです。

この作品はなろう系のような逆の作法(読者の声最優先)とも違う、
作者が自由に書き連ねるタイプのものだと思いますが、未読のため不明です。
タイムリープというよりは、古~い映画「失われた地平線」を思い出すような、
ユートピア願望が感じられる設定でした。
70年代の過疎の町が楽園のように描かれますが、夢幻でしょう。
この作品内ではそうでもないようですが、原作力が弱く、うまく伝わらないもどかしさを感じました。

東映の技術力はベテランの風格ですが、絵だけで勝負できるものではなく、
原作脚本の弱さが災いして、劇場版としては相当地味な作品に見えました。
子供が見た幻想風景、そして大人になっても変わらないたった一つの想い、
とか地味ながら、じっくり心象風景を堪能してみたい大人な視聴者に訴えかける作品でしょう。

と、ここまで割と真面目に書いてきましたが、
実は私は風呂で見ている途中で寝てしまい、危うくおぼれかけたという、
風呂で寝ることなんて今まで一度もなかったのにwww

普通に、なるほどと最後まで見てはいたんですが、
そんなに面白くはなく、どちらかというと空虚な思いだけが残る作品でした。

ただ、感動を狙ったラストシーンは、失われた地平線を思い出して、
「まさか?」と思いつつ手に汗握って観ていて、別の意味で目を離せませんでした。
「失はれた地平線」1937年
「失われた地平線」1973年
前者のほうがおもしろいんですが戦前の白黒映画ですね。

ちょっとレビューをたどるとすぐに2012年にたどり着く忘れられた作品。
地味に心を込めた作品を見て自分の感性を試してみたい人にお勧めする、
自分探しのようなアニメ作品だと感じました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 23

しゅりー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

このまま行けば個人的に2012年最優秀劇場アニメ。

2012年5月公開、東映アニメーション制作の本作は2004年から2005年にかけて
川口雅幸さんがWEBで連載していた小説を原作に持つ劇場用アニメです。
監督はワンピースの映画や「銀河へキックオフ!!」などの宇田鋼之介さん。

小学6年生の少年ユウタが亡き父親との想い出の場所である山奥のダムに
一人で昆虫採集に出掛け、奇妙な老人と出会うところから物語ははじまります。
豪雨に見舞われたユウタが約30年前(ダムが出来る前)の村にタイムスリップし、
そこで出会うさえ子やケンゾーなどの人々と交流をしていく感動系の物語です。


本作はどうしても同時期公開の「ももへの手紙」と比較されてしまう
宿命を背負ったように思えるアニメではありますが、フタを開けてみれば
物語が持つベクトルがかなり違う作品であるように感じました。

舞台となる場所から夏目友人帳第1期のとあるエピソードを思い出してしまったり、
昨今の泣けるアニメによくある母子(父子)家庭という予め大事な人を
喪失している設定に目が行ってしまいがちですが、本編が始まった瞬間に
そんな雑音がどうでもよく思えてしまうような魅力が本作にはありました。

その魅力は劇中を縦横無尽にかけまわるユウタ達の活発な動作や、
場面ごとに見事に印象が変わる豊富な表情といったキャラクターの表現と
作品全体に行き渡る作画で描かれた光や影などの独特な色彩表現、
松任谷正隆さんの手掛けられた素晴らしい音楽などの様々な要素が
一つのアニメの中で自然に調和していったことで生まれた「虹色ほたる」独自の
世界観によるものが大きいのではないかと私は思っています。


物語は眺めているだけでグイグイと視聴者を引き寄せていく吸引力があり、
それでも難しく考えて観る必要のない爽やかな人間ドラマといった印象を持ちました。
伏線の張り方とその回収についても丁寧にされていて説得力があります。

本編の挿入歌が流れるシーンや松任谷由美さんのED「愛と遠い日の未来へ」
についてもニューミュージックと呼ばれたジャンルの音楽が好きだった
私にとってはとても素晴らしいものに思えました。


私は視聴から1週間ほど経ちましたが興奮が醒める様子がなく、
このアニメに対してただただ素晴らしかったという印象しか湧いてきません。
色々褒め過ぎているきらいはありますが、あにこれ向きな良いアニメだと
思いますのでお近くで公開されているか、BD発売/レンタルになった際には
騙されたと思って是非観てほしいとオススメします。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 20

69.3 2 奇跡で夏休みなアニメランキング2位
きみの声をとどけたい(アニメ映画)

2017年8月25日
★★★★☆ 3.6 (115)
517人が棚に入れました
湘南・鎌倉の海辺の町を舞台に繰り広げられる、少女の悩み、葛藤、夢、そして届けたい“声(想い)”の物語。
将来の夢が見つからず少し焦っている16才の少女・行合なぎさは、幼い頃に祖母からきいた「コトダマ」言葉には魂が宿るという話を、ある出来事により信じている。
ある日、なぎさは何年も使われていないミニFMステーションに迷い込み、軽い気持ちでDJの真似事をする。すると、放送されたコトバは 思いもかけない人に届いていて―。

声優・キャラクター
片平美那、田中有紀、岩淵桃音、飯野美紗子、神戸光歩、鈴木陽斗実、三森すずこ
ネタバレ

おぼ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

これぞ王道の青春感動映画!こういうのが見たかった!/レビュー追記(8.31)

女子校生達がラジオ局を復活させようとする話。
見ててスッキリできる青春映画の良作でした。
(以下ネタバレほぼなし)

( 'ω'o[総括レビュー]o
{netabare}
ことだまとラジオを巡る青春物語。
(詳しい内容は自分で確認推奨)

全体的に分かりやすい展開で、最後まで飽きずに視聴出来たと思います。
キャラの性格も個性豊かで、ちょっとクッスっとしたりうるっとしたりの連続で楽しかったです。

その他にも全体的によく出来ていると思ったのが「音楽」
ラジオ局の話なのでもちろん色々な挿入歌が出てくるのですが、全てを曲が素晴らしかったです。

特に良かったのが最後の曲。
詳しい内容はネタバレになるので言いませんが、皆の思いが重なってからのあの曲は完全に涙腺をやられましたね。

少し不満を言うとすれば、ラジオ局の復活課程をもう少し詳しく描いて欲しかったかなーと思います。

まとめとしては、いい意味での王道の展開で最後にはしっかり泣かしてくれる。普段アニメをみない人にも遠慮なく勧められる良作でした。

是非1度劇場へ!{/netabare}

総合点数【86点】

投稿 : 2024/05/11
♥ : 31

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

言葉には、魂が宿っているんだよ。ちゃんと声に出せば、その願いは叶うの。

たまたま手に取った作品だったので
高い期待はしていなかったのですが、

見てみると、
個人的な好みにハマった作品♪

新人声優発掘育成企画
「キミコエプロジェクト」と連動していて、

本作のメインキャラ7人のうち6人が
プロジェクトのオーディションでの合格者で、
この作品がデビュー作です。

だけど、下手だとか素人っぽいとか、
そんなマイナスな印象はまったくありませんでした。

90分ほどの作品でした。


● ストーリー
高校2年生の行合なぎさ(ゆきあい なぎさ)は、
言葉には魂、“コトダマ”が宿っていると信じている。

たまたま雨宿りをした喫茶店。
閉店して誰もいない店内にあったのは、ラジオスタジオ。

ラジオDJの真似事をしたつもりが、本当に電波が飛んでいて、
ラジオ番組「アクアマリン」のDJの娘・矢沢紫音(やざわ しおん)と出会う。

「アクアマリン」の元DJであり、紫音の母である朱音(あかね)は、
12年前に事故に遭い、それ以来昏睡状態が続いていた。

ラジオを通して朱音さんに呼びかけることを提案したなぎさは、
仲間と共に「アクアマリン」を復活させる。


言葉には魂が宿っている。
“コトダマ”を信じ、言葉を大事にしている主人公・なぎさ。

なので、
自然と“言葉”がテーマとなっています。

どんな気持ちでも、
言葉にすると、それは力を持つものになる。

いい言葉も、よくない言葉も…。

友だちが友だちの悪口を言う、
そんな姿を見たくない。

どうせ口に出すなら、
叶えたい願い事を。

そんな前向きななぎさの言葉、
私にはたくさん響いたよ^^


≪ みんなでラジオ番組を作る! ≫

ラジオ番組でトークしたり、
オリジナル曲を流したり…。

そういうのが新鮮で、わくわくしました♪

女子高校生のひと夏の物語としては、
十分な展開と盛り上がりでした!


● キャラクター
キャラの作画は少しクセがあるかな?
あまりかわいいとも、きれいとも言えません。笑
(作画が悪いわけではないのだけど…。)

口がωとなっているのも、好き嫌いがあるかも。

なぎさのキャラには合っていたと、私は思いますが♪

メインキャラの声優さんはほとんど新人さんということでしたが、
皆さんお上手だったと思います^^

特に主人公のなぎさ役の片平美那さんの演技が自然体でよかった♪

なぎさの台詞には、
何度かうるっとさせられました(´;ω;`)


● 音楽
メインキャラによる挿入歌が
たくさん使用されていました。

どれもいい曲でした♪

特に山場の挿入歌がよくてですね…(´;ω;`)

音楽担当は松田彬人さん。
BGMは優しい曲が多く、印象に残ったものが多かったです♪

映画で聴いて惚れたので、
すぐにサントラ手に入れました(`・ω・´)


【 挿入歌「Wishes Come True」/ メインキャラ7人 】

山場で流れました。

曲もいいし、
曲に合わせて涙をこらえながら歌う紫音にこちらが涙(´;ω;`)

クライマックスの盛り上がりは、
間違いなくこの曲の力が大きいです!

音楽の強い力を感じました。


【 ED「キボウノカケラ」/ NOW ON AIR 】

メインキャラ7人のうち、
新人声優6人によるユニットです。

明るくて、この作品のEDにふさわしい曲だと思います♪

この曲好きだな~^^


● まとめ
90分という、やや短い時間だからか、
展開に無駄がなくて思い切りがあり、よかったです♪

まっすぐななぎさに引っ張られて、
重い話も重すぎず。

正直ストーリーはベタな流れで、
展開もありきたりではありますが、

挿入歌がとてもよかったのも手伝って、
私はこの作品の雰囲気好きでした♪

映画公開時にはそれほど話題にならなかったけれど、
知らない人が多いのはもったいない作品です!

言葉にできる強い想いは、きっと叶うはず。

言葉の力を信じて、
前に進む勇気をくれる作品でした^^

投稿 : 2024/05/11
♥ : 30

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

コミュニティFMを舞台とした高校生の物語…清々しいほどの青春ストーリー

この作品を劇場で見ることはありませんでした。機会があれば見に行こうと思っているうちに、あっという間に公開終了してしまったという感じでした。「よりもい」を見て、同じマッドハウスの青春ものなら面白いのではないか、そう思い、レンタルで借りてみました。

結果、見て全く損はない作品だったというのが感想です。

とにかく強引で、ガンガン進んでしまう展開。しかし、これは青春ものを90分で収めるための処置であり、映画なら当たり前にあるものなので気にしません。
90分で主要人物たちの背景、関係性、心情、問題の発生にその解決と、とにかく詰め込んでいます。その分、物語に重みはなくなっています。が、話が進んでいくうちに登場人物たちの会話や思いの丈に入り込んでしまい結局夢中にさせてしまう魔力がこの作品にはあります。さすがは「言葉」の力を押した作品だと思いました。

6人の主要人物、なぎさ、紫音、かえで、雫、夕、あやめ、乙葉が街角にかつてあった喫茶店のミニFM局を夏休みに復活させて、それぞれが抱えている問題や悩み、青春のぶつかりといったものを、放送を通じてクロスさせていく話になっています。
先にも書いた通り、かなり強引な設定と進め方なのですが、とにかく爽やかで気持ちの良い感じを受けます。また、湘南が舞台なので、すごく背景が綺麗で見ていて心地が良いです。よりもいもそうだったけど、マッドハウスの描く背景は登場人物たちをより魅力的にさせる何かがある気がします。人物線を白にしているから尚更そう感じるのかもしれませんが。

これだけの内容だったら1クールの作品として成り立たせることもできたんじゃないのかなという気もします。舞台裏は分かりませんが、「よりもい」とこの作品は同じ次期に発想されて、内容もある程度固めながら話を進めていくうちに映画とTVに分けたと。そうでなければあの詰め方はできない、そんな気がしました。

青春ものとしては佳作だと思います。ただ、ストーリーにプロセスや積み重ねを重んじる人は見ない方が良いと思います。自分みたいに流し見ているうちにはまってしまい、最後になにかを感じる人にお勧めします。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 29
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