妖怪で中学生なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の妖怪で中学生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月12日の時点で一番の妖怪で中学生なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.6 1 妖怪で中学生なアニメランキング1位
蛍火の杜へ(アニメ映画)

2011年9月17日
★★★★☆ 4.0 (1070)
5192人が棚に入れました
祖父の家へ遊びに来ていた6歳の少女・竹川蛍は、妖怪が住むという山神の森に迷い込み、人の姿をしたこの森に住む者・ギンと出会う。人に触れられると消えてしまうというギンに助けられ、森を出ることができた蛍は、それから毎年夏ごとにギンの元を訪れるようになる。

声優・キャラクター
内山昂輝、佐倉綾音
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

恋は儚い人の夢

「夏目友人帳」の緑川ゆきが原作で、同作品のアニメスタッフによって作成された短編映画です。


恋は儚い人の夢。
蛍の様に光り、白銀の雪のように輝き、やがて……。


誰もが開始3分で「あっ……これは」と思うはず。
分かってるんですよ、分かってるのに30分後には泣いている私がいる。


蛍は裏表のない、明るくも利発な女の子。

ギンは雰囲気こそ神秘的なものがあります。
しかし、その行動は迷い、恋し、決断する、真っ直ぐな男。

ピュアなキャラによるピュアなラブストーリーです。


{netabare}気軽に触れられる{/netabare}男子生徒。
蛍から{netabare}のプレゼントのマフラーを身につける{/netabare}ギン。
二人が{netabare}会えない季節も{/netabare}どんどん距離が縮まっていく。
ちょっとしたシーンにも説得力がありますね。

夏のイメージが強い本作ですが、冬があるからこその夏。
それが夏の風物詩である「蛍」と冬のイメージがある「ギン」という名前に込められた意味なのかもしれません。


そしてラスト。
涙が止まらない。

{netabare}
お面越しのとてもとても美しいキス。
その後ギンは転びそうになった人間の男の子に触れてしまいます。

「来い、蛍。やっとお前に触れられる」

お面の向こうの蛍の顔はそれまでにないほどの笑顔でした。


……でもね、これは事故ではないんです。
何年も何十年もお祭りに参加しているギンが、うっかりミスをするとは思えない。

「何があっても、私に触らないでね」

この約束がある限り、ギンも蛍も直接お互いに触れることはできません。

そして、後の妖怪の言葉。

「ギンはやっと人に、触れたいと思ったんだね」

つまり、これはギンの意志だったわけです。

確固たる意志を持っていたわけではないのかもしれません。
しかし、ギンは、蛍との約束を破ることなく、罪悪感を残すこともせず願いを叶えたかった。

そのためにギンは事故を装い、{netabare}「人の手というチャンス」{/netabare}を掴んだのでしょう。
{/netabare}


わずか45分という短くシンプルなストーリー。
それでいながら洗練されていて、温かさ、切なさ、色んな感情が溢れてきます。

美しいお話で完成度が高く、今まで見たアニメ映画の中では一番。
本当に大好きな作品です。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 140
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

出逢ったのが彼女で良かった

『夏目友人帳』でおなじみのスタッフでおくる50分ほどのアニメ映画で、
なんともせつない、だけど心にやさしくしみるお話。

主な登場人物を公式サイトから抜粋すると


〔ギン〕
山神の森に住むキツネの面をかぶった少年。

〔竹川 蛍〕
6歳の時 森で迷子になったところをギンに助けられて以来、
彼に懐き、毎年の夏 彼のもとへ通うことになる少女。


ある夏、妖怪たちが住むと言われている山神の森で迷子になった蛍。
泣いているところを助けてもらったのが、ギンとの出会い。

それ以来の毎夏 森で逢うことを重ね、強く惹かれ合っていくのだが、
人でも妖怪でもないというギンには
「人に触れると消失してしまう」という掟のようなものがあり、
互いに触れ合えないまま蛍だけが高校生へと成長し、
やがてふたりは・・・というお話。

触れ合えないという大きな枷があるせいで、
手を繋ぐことも、抱きしめることもままならない関係。
蛍がまだ幼さの残る少女だった頃は面白おかしく描かれるのだけれど、
中学、高校へと成長していく彼女の、彼への想い方や、
お互いの向き合い方の変化、そしてなんとも初々しい二人の逢瀬など、
丁寧にきめ細やかに描かれていくので、
観ているこちらはもどかしくも切ない想いに駆られる。

このお話は詳しく書いたら野暮なのであまり書けないが、
{netabare}
ギンの正体の真相というか素性に加え、
胸が苦しくなるような出来事が起きた後の妖怪たちの言葉に、
{/netabare}
「あぁ・・・そういうことだったのか」と
山神様がかけた術の本当の意味がわかり、
こらえていた涙がどっとあふれてしまった。

雰囲気的には、『夏目友人帳』1期の8話「儚い光」や
3期の4話「幼き日々に」に近いテーマを感じた。

せつないけれど、悲しいのとは違う温かさ。
妖怪たちや山神の純粋でやさしい想いと、ギンへの愛情。
それらは、観る前に想像していた以上のもので。

また、これは2回以上観るとすぐに気づけるのだが、
蛍の選んだ道がわかる部分にも、ほっとできて。
とても良い後味と、しっとりした余韻に、
エンドロールがなくなってもなお、みつめ続けてしまうほどだった。

満天の星がきらめく夜空や、緑深い森に流れる木漏れ日のようなピアノ曲や
少しとぼけた感じのオルガンのメロディーも、
ふんわりとしたこの作品の空気感を盛り上げてくれる。

現実的に考えれば、少女がたった一人で森に行くというだけで
事件が起きそうな不安がよぎるし、ましてやギンなんて不審者扱いを受けそうな
今の世の中なのに、なんて平和なんだろう・・と。
観ていると・・・のどかでゆったりしていた時代が恋しくなる。

そして個人的に、ずっとずっと大切にしておきたい愛すべき作品の1つです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 81
ネタバレ

cross さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

儚い恋の始まりから終わりを短い時間の中で纏め上げた感動作品【総合評価:77点】

2011年9月に放映された作品。

夏目友人帳の原作、緑川ゆきの短編をこれまた夏目友人帳のスタッフが作り上げた作品です。
夏目友人帳のスタッフが手掛けていますんで、雰囲気、絵、音楽、更には人間と妖怪の心の触れ合い、どれをとっても夏目友人帳を彷彿とさせます。

人に触れられると消えてしまうという妖怪のギン
祖父の家に遊びに来て、森の中でギンと出会った少女蛍。
とある夏の日に森に迷い込んだ蛍と森に住まうギン、二人の偶然の出会いから、徐々に恋へと移り変わる10年に渡る物語
祖父の家に訪れる夏の間の数日だけ会う約束をする二人。
子供から徐々に大人になるにつれ、ギンへの想いが強くなる蛍。
出会った時から、全く姿は変わらないもののギンも徐々に蛍に心を許していく。

触れさえしなければ、何時までもそこに居てくれるギン。
しかし、成長していく自分に対してギンはほとんど成長しない。
いずれ自分がギンの歳を追い越してしまうのか?
そんな不安を抱えながらも、はやく夏になって欲しい、ギンに早く会いに行きたい。
思春期を迎える蛍は、日々そんな風に考えるようになっていく。

蛍とギン、触れ合うことは出来ずとも心の距離を会う度に縮めていった二人の心情がとても丁寧に描かれています。
展開としては非常にシンプルで時間も50分と言う短い作品ですが、それでもラストでしっかりと感動できたのは、やはり二人の心情描写をしっかりと描けていたからでしょう。

{netabare}そして迎えるラストシーンではもう感動せずに入られませんね。
時を重ね、互いへの思いを深めていった二人が最後の最後に抱き合うシーン
消え行く中でも、今まで触れたくても触れる事が出来なかった蛍へと触れられる喜びに「やっとお前に触れらる」と顔をほころばすギン
そして、最後の最後にギンに触れ、残されてしまう蛍に、今まで蛍とギンを温かく見守って来ていた妖怪達の「ありがとう」と言う言葉にも感動でした。
何というか、本当にギンは幸せの中で消えていったんだなぁと感じさせられました。{/netabare}

予想に容易い展開ではありましたが、切なくも儚い展開には感動を抑え切れませんでした。
視聴後、非常に心温まるとても素晴らしい作品、夏目友人帳が好きな方なら、絶対に楽しめると思います。
終始、暖かく優しい展開、それでいて夏目友人帳以上に心情描写を丁寧に描いている様に思えます。
それ故にラストでの感動は、寧ろ、夏目友人帳を超える作品ではないかと思います。
是非とも一度視聴してみる事をオススメ致します。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 60

64.4 2 妖怪で中学生なアニメランキング2位
ももへの手紙(アニメ映画)

2012年4月1日
★★★★☆ 3.7 (277)
1309人が棚に入れました
「お父さん、ほんとうはなんて書きたかったの?」 いちばんそばにある愛が、いちばん見えにくい愛かもしれない。父が遺した書きかけの手紙。そこには、ただ、「ももへ」という一言があるだけだった。「何を伝えたかったんだろう」 心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、11歳の夏、その想いを抱えたまま、母と、瀬戸内の島に移り住む。そこで待っていたのは、おかしくも、不思議な出会いだった。豊かな自然と、やさしい人々が生きる小さな島を舞台に、いま、いちばん大切にしたい、家族の愛の物語が生まれる。

声優・キャラクター
美山加恋、優香、西田敏行、坂口芳貞、谷育子、山寺宏一、チョー

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

親子愛と多島美に感動

父親が不慮の事故で亡くなり、母親と瀬戸内の小島に移り住んだ主人公もも。
ももは、父親との別れ際の気まずさを後悔していました。
このアニメは、多島美の瀬戸内を舞台に綴られる親子愛の物語です。

このアニメのスパイスはトラブルメーカーの妖怪3人組。
ももと妖怪3人組のコミュニケーションとコメディー的ドタバタ劇が前半の見どころです。
後半、妖怪3人組が起こす事件によって、母親との絆を新たにしたもも。
ラストの手紙は心にくい演出です。
この出来事により、ももは、父親・母親の思いを理解し、一歩成長します。
思春期の少女と両親との心の絆に感動必至です。

絵がとにかく綺麗です。
瀬戸内の風景美と相まって、感動的な仕上がりとなっています。
個人的には、暴風雨の微細な表現に感心しました。

声優演技が棒なところが、気になります。
また、物語に刺激が少ないので、少々退屈かもしれません。
だだ、古き良きジブリ映画のような新鮮さを感じました。

余談ですが、モデルとなった島は大崎下島の御手洗地区。
たまゆらの舞台にもなっています。
舞台が被るのは珍しいですね。
それだけ絵になる風景と言うことでしょう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 36

とまときんぎょ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

良質なひと夏 妖怪の夏

絵は細い描線がスッと通って、色はのっぺりつや消しで落ち着きあって
清楚な日本画みたいな上品さです。

安藤雅司 キャラクターデザイン、作画監督ということで
あの、眼球の目元の赤みがかった肉のとこまで描く感じです。

お父さんを失って、慣れない島暮らしに不安そうにまつ毛をふせる薄着の少女の背後に…
ひたひたと殺人鬼やストーカーの魔の手が忍び寄っているんじゃあるまいかという(今敏作品からの…)連想を振り払いながらの視聴。



やはり忍び寄っているものが いた
妖怪だった

ハートフルなお話にしては絵がリアルでデフォルメ調の可愛さはないのが輪をかけて、この妖怪たちは本当に可愛くない〜手癖の悪い顔色の悪い中年です。
朝起きて居たら普通に怖いです。


しかし、イノシシに追われながらの逃走劇には、私も子供達も大爆笑していました。
しかし、途中で低年齢層より「他の妖怪は出てこないの」という飽きが入る。
(妖怪ウォッチのバリエーションとフランクなサービスに慣れすぎです。)
しかし、クライマックスの妖怪連携大技にはまたまた観入っていました。


見慣れるとこの絵でのハートフルもいいですね。
妖怪たちもだんだん愛嬌が見えてきて、リロ&スティッチに出てくる大きい奴・細い奴・小さい奴に見えてこないでも…ない。
西田敏行の悠々たる声は楽しいですね。さすが。




さっぱり観られる質の良いお話でした。
思い出の中のお父さんの表情が切ない。
嫌い、なんて言われてもお父さんは寂しさの裏返しだとわかっていて、寂しがらせたことにすまないなぁと、思っていた…のかな。
きっとももちゃんは、子供は忘れてるだろうけど、物心つくまえからそんなわがままな事を言っては甘えていて、それを繰り返し愛しく受け止めてきたご両親だったんじゃないかなー、と、お父さんとお母さんの優しい表情を見ていて感じました。


新しい暮らしの中、お母さんはいっぱいいっぱいで、ももちゃんは寂しい。島の風に吹かれて、受け止めていく。子供心に印象に残る親の背中や表情って、ありますよね。ももちゃんがふと気づいた、お母さんのうつむいた背中のように。



この島の景色は緑美しく、人の暮らしはさびさびと古びながら大事に使われ続けたものがたくさん詰まっていて、きれいですね。いろんな匂いが立ち上ってきそうに描かれています。

爺ちゃんが造る藁船の乾いた香り
雨が降り出して濡れてゆくコンクリートと、湿る木造家屋の砂っぽい匂い
黒い梁の下の静けさ、屋根裏の物置部屋のちょっと黴臭そうな落ち着く感じ
子供達が飛び込む前の橋の手すりのざりざりした感じ…

走ってゆく景色がまるごと文化遺産とか保護地区のようでした。
繋いでいってほしい景色ですね。
私の住んでいる方でも昔の建造物や通りを保護したり、風景遺産的に観光に売り出してるけど、部分的で周囲の普段の暮らしぶりと噛み合ってないと、不十分なつぎはぎテーマパークになってしまうなぁと…ヒヤヒヤします。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 33

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

【喜×怒×哀×楽】が織り成す瀬戸内のしまなみ模様 そして作画とはすなわち【演技させること】であるとの再認識

まず最初に推しときたいのですけど!
特段に期待はしてなかったものの、ハートフルな内容とストイックな画作りが相まってかなり好感触な作品でした!


喧嘩したままの父親と生き別れてしまった小学6年生の女の子、『宮浦もも』
生前の父が最後に残したのは、ももへ宛てられた書きかけの手紙でありました
父がももに何を伝えたかったのか分からぬまま・・・ももと母親は東京から親戚を頼って瀬戸内の島へ越してくる


センシティブな年頃の女の子にとって、『父の死』と『見知らぬ土地への引越し』はとてもデリケートな問題でありました
(あれ!?似たようなアニメ、最近やってた?w)


なかなか土地柄に馴染めないももでしたが、思いもよらぬ不思議な事件が起こります
家の屋根裏にあった黄表紙(江戸時代頃の漫画みたいなもんす)から出てきた、三匹の妖怪が家に住み着くようになってしまうのです
悪戯ばかりする三匹の妖怪に手を焼くもも
しかし妖怪たちは、実はもも達親子を見張らなければいけないという、とある使命を帯びていたのでした・・・









監督の沖浦啓之といえばアニメタでもあり作画、特に表情の作り込みには定評がありますよね
ハイライトを用いない簡略的なフォルムでありながら、写実的なリアリティを感じる繊細さを併せ持った今作のキャラデザに加え
序盤は少し気だるそうで無愛想だったももちゃんが、お話の進行に合わせて少しずつ表情の移り変わりが豊かになっていく様が描かれるのは流石であります


さらに今作では喜劇的な要素が大部分を占めているため、コミカルにデフォルメされた、所謂『ギャグ顔』みたいなものも使ってきているのが可愛らしくて好感が持てました
(たぶんキムタカさんかコモタンの仕事なんでしょうけどw)


それに常々作画においてオイラが重要視しているポイントでもある、細かな仕草の一つ一つをあえて手間をかけて描くか否かという部分
単にヌルヌル動くか動かないか、という話ではなく
椅子に座ったときの足の組み方とか食事のときの箸の持ち方
実写であるなら、それは役者の演技で表現できる自然な動作であっても、アニメでそれをやろうとなるとアニメタの高度な技術と多大な労力が必要とされる部分なのですよね


そんな部分の作りが今作はすんごく丁寧
作画クオリティが底上げされている昨今のアニメ界でも、このレベルに達している作品は片手の指で足りるぐらいしかありません
改めて【良い作画】=【良い演技をキャラクターにさせる事】だと感じさせていただきました!








余談ですがモナーみたいな妖怪がニョロニョロ動き回るシークエンスが度々あるのでwww(もちろん、コミカルな要素としてwですよw)
ブラシーの最終回にトラウマがある方はご注意を(笑)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 32
ページの先頭へ