姉弟で家族なおすすめアニメランキング 10

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86.3 1 姉弟で家族なアニメランキング1位
東京マグニチュード8.0(TVアニメ動画)

2009年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2691)
13810人が棚に入れました
中学1年生の小野沢未来は弟の悠貴のお守りとして一緒に東京のお台場へロボット展を見に来ていた。その最中、東京にM8.0の海溝型大地震が発生、連絡橋は崩壊し、東京タワーが倒壊するなど、東京は大きな被害を受ける。
未来と悠貴はお台場で出会ったバイク便ライダー日下部真理の力を借りて世田谷の自宅へ帰ろうとする。

声優・キャラクター
花村怜美、小林由美子、甲斐田裕子、喜多村英梨、豊崎愛生、高平成美、遠藤綾、沢城みゆき、野中藍、中博史、井上喜久子、滝川クリステル
ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

長尺の目と、fuushinの妄想、もう、よそう。2018.12.5 追記。

本作のレビューからズレてしまうことをお許しください。

{netabare}
先日の大阪の地震は、愛知県では震度4でした。
私は職場にいて、「あ、ついに来た!」と身構えました。
熊本地震、東日本大震災、阪神淡路大震災の実情。
桜島、霧島連山、御嶽山、草津白根山などの噴火の記憶も生々しい。

しかし、私の知識はほぼほぼ中学生レベルで止まっています。
高校で、地学を取りましたが記憶するばっかりで、実学には結びついていません。

本作では、地震学者から見ると、待望の啓蒙作品でもあるし、危機管理と対策の教本的なものなのかもしれません。

マグニチュードという言葉を調べていて、ちょっと理解が進んだのですが、先日の大阪の地震はM6.1でした。震源地は地下13㎞です。

これは、広島に投下された原爆(20キロトン)の放出エネルギーと同じです。地下13㎞のエネルギーは、地表ではあの爆発規模になるのですね。

ちなみに、東日本大震災(M9.0)は、関東大震災の約50倍、阪神・淡路大震災の約1400倍です。

(ここまでは、「日本の地下で何が起きているのか」(鎌田浩毅氏著。岩波科学ライブラリー。2017.10.18)より一部引用。)

さて、私はザックを担いで鈴鹿、比叡、伊吹山などから琵琶湖を眺めるのが好きで、その大きさに感銘を受けるのですが、同じように、北、中央、南アルプスを縦走するのも好きです。雄大な山並みや巨大な山塊には地球のパワーに圧倒されます。
体力的には2泊3日が限界ですので、そうそう長い距離は歩けませんが、見るだけなら、160㎞くらいは(富士山から槍ヶ岳)。思いを馳せるだけなら、九州・北海道の山も・・見て見たい。

それで、南海トラフの距離は、東西約700㎞と、全く私の想像を超えます。ここが動くかも・・・ということですね。


ここから先は、fuushinの虚妄です。はい。

本作を観た後のレビューとして適切ではないかもしれません。
いつものようにちょっぴり、スピリチャルっぽく書いていますので、お好みでない方はスルーしてくださいね。
 
私は、「君の名は。」や「かぐや姫の物語」などで、いささか異質なレビューを書いていますが、その視点は、縁の不思議さや魂の錬磨といったたぐいのものです。そして、そのアプローチには、言霊、数霊、シンクロニシティといったたぐいの概念を使っています。

前振りした地震についての妄想なのですが、今、こう思います。

ひとつは、ジュセリーノ・ダ・ルース氏の「予言」です。ネットでは「怪情報」としての扱いです。まあ、そうでしょう。

2018年6月21日。(夏至ですね。陽の極点です)

明日ですが、東海地震の発生を「予言」しています。本当かどうかは分かりませんが、この人の予言は結構な確率で「的中」させているので、個人的には全否定はしていません。もちろん当たらないことを祈りますが。

マグニチュードは、10.6。 東日本大震災が9.0でしたから、放出されるエネルギーは、数100倍(詳しくないのでごめんなさい)。

日本地震学会では、「中央防災会議での「現状では東海地震の確度の高い予測は困難」との議論もあり、より範囲の広い南海トラフ地震の想定震源域全体(駿河湾〜宮崎沖)を対象とした「南海トラフ地震に関連する情報」の運用が平成29年11月1日から始まりました。」と述べ、ホームページの「東海地震に関する項目」はすべて「改定中」になっています。つまり、学会としては見解を出してはいません。

これを受け、気象庁は「当面の間、気象庁は「南海トラフ地震に関連する情報」を発表することとしました。この情報は、平成29年11月1日から運用を開始しました。」としています。

ちまたの官民合わせた情報においても、「いつ起きても不思議ではない」となっています。そういういろんな科学的な知見、防災予防、啓蒙に機運がかつてなく高まってきてはいます。そう思うと、私は、ジュセリーノ氏の予言もあながち間違いではなく、当たらなければいいわけで、当たれば困る・・・ということです。


それで、fuushinの思いとしてはこうです。

日本を、龍体と見立てたとき、琵琶湖は「子宮」、淀川は「産道」になります。震源地はその付近でした。それは陣痛?何かが生みだされる?それは何?

琵琶湖には、竹生島があり、都久夫須麻神社(つくぶすまじんじゃ、竹生島神社)が坐しています。
主祭神は、市杵島姫命(イチキシマヒメ)。
天照大神の子で、皇孫(こうそん)邇邇芸命(ににぎのみこと)が降臨に際し、養育係として付き添い、邇邇芸命を立派に生育させたことから、子守の神さま、子供の守護神として、崇敬されている」との謂れがあります。
女性の人格を持った神様ですね。
仏教(4次元界)になると、弁財天です。日本最古・最初の弁財天で、日本三大弁財天とも言われています。江島神社(神奈川県 江の島)・厳島神社(広島県 厳島)

女性・子宝・生産の象意をもつ神仏の働きを予感させます。

また、『近江国風土記』には、夷服岳(伊吹山)の多多美比古命が姪にあたる浅井岳(金糞岳)の浅井姫命と高さ比べをし、負けた多多美比古命が怒って浅井姫命の首を斬ったところ、湖に落ちた首が竹生島になったという記述があって、ここにも"夷"の文字がありました。
(今季、春アニメには、この"夷"に纏わる作品がちっくと多いような・・・。ちなみに、夷→エビス→外国人→外来の知見(特に農業生産技術)→尊敬・崇敬→神社の主祭神という流れがあります。また、夷=戎≒十戒=モーセの十戒ですね。伊吹山の隠された主祭神はどなたかしら、なんてね。)



プールの壁が崩れたのは、"寿栄小学校"。
被害にあわれたのは9歳の女の子。

この小学校の校章は"六芒星"を彷彿とさせます。(一般的にも校章に6角形を取り入れたデザインは多いのですが)
六芒星は、伊勢神宮、元伊勢とも呼ばれる籠神社(京都府宮津市)の隠された印章です。一説には「ダビデマーク」とも言われています。
ダビデは、約3000年前にイスラエル王国の王となり、12部族をまとめたと言われています(旧約聖書)。

寿栄という言葉は、歴史的には地元の寿町と栄町の両方の名前を使ったものなので、それだけをみると深い意味はありません。しかし、非常に印象的な言霊の響き(ことほぎ、さかえる)です。

9は数霊では「尊いもの・人間」を意味します。
女の子は「社会的な弱者」の暗喩になるでしょう。
壁は、「重い何かが覆いかぶさっている」「出るに出られない状態=どうにかして間もなく出てくる」という意味かもしれません。

これらを、シンクロニシティしてみると、日本で、あるいは世界情勢に、なにか大きくて尊いものが現れる前兆、狼煙(のろし)のような、加えて、南海トラフ地震への直前の警鐘のようにも感じるのです。



・・・はい、そうです。ただの妄想です。もちろん大きな地震は起こらないにこしたことはありません。ただ、科学的には「いつ起きても、明日起きても不思議ではない」という評価もあるので、ちょっと気になっただけなんです。

それをどう捉え、どう乗りこえるのか。
魂をどう磨くのか。どう守るのか。
自助、共助、公助にどんな知恵を働かすのか。
当面のポイントはここのような気がしています。

不快な気持ちにさせてしまったら、本当にごめんなさい。
{/netabare}

本作を鑑賞して、ふと、要らないことを書いてしまいました。

2018.6.22追記。
{netabare}
今日から、予言は予言でなくなりました。ただ、ホッとしていいのかどうかは一概には言えなくて、これで安心して眠れるという訳にもいきません。まんじりともしない気分です。
例えれば、今日から"毎日が8月31日"のような気分です。ごめんなさい、告白します。学校なんてなくなっちゃえばいいって、何度も思ってました。懺悔します。本作の主人公と同じです。
 
ものの本によると、"正しく怖がりましょう"と書いてありました。
地域ごとで言い伝えられている伝承とか史跡とかは、激甚災害から生き延びてきた先人たちのしたたかな知の財産ですし、最新の科学(プレートテクトニクス理論からプルームテクトニクス理論へ)もまた、未来につなげられる知の財産のひとつだと思います。

プレートが4つもひしめき合っている地域は、日本、インドネシアとその周辺、コロンビアとその周辺くらいです。
この地域は、文学的に言えば、地球規模の"ムスビとすれ違い"のもっとも激しい場所。
大地と海洋の感情と情動を、敏感に感じ取って生きている地球人の一人として、こうした国々とネットワークを組み、世界一の災害強国としての知性と見識、行動と体制作りなどを共有して70億人の人々に還元できるようになるといいですね。

長尺の目で、100年、500年、1000年、1万年というスパンで、自分と周りの人たちの命も同様に、慈愛で視る目を持ち、率先避難者(逃げるが勝ち)になろうと思います。
そうして何があっても、生き延びねばと思います。サッカーならいいけど、戦争や紛争なんてしている場合じゃないな。

そういう意味でも、本作の魅力を発信し続けていくことは大事ですね。先輩レビュアーさんの感想を読んでそう思いました。感謝しかありません。
{/netabare}

2018.12.5 追記。
{netabare}
またぞろ、こんなことを書いて不謹慎なこととは重々承知しています。
おバカな fuushinの妄想かと笑い飛ばしていただければと思います。

ジュセリーノ氏ほか、直近の地震の予言をなさっています。
12月7日、9日です。9日が本震で、マグニチュードが8.5と言う人もいるようです。
書籍、ネットにも記されています。関心のある方はご覧になってみてください。
ないにこしたことはありませんが、準備だけはしっかりとしておきたいと思います。
{/netabare}

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本作が、みなに愛されますように。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 28
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

後悔、先に立たず。

制作はボンズ×キネマシトラスのオリジナルアニメです。
ジャンルはリアル地震シミュレーション・ヒューマンドラマです。
ノイタミナ作品になります。


中学一年生の少女・小野沢未来を主人公とし、M8.0の直下地震に襲われた東京を舞台に描かれる作品。
未来は弟の悠貴とともに、お台場のロボット展へと来ていた。
名門私立に通う彼女はどこか厭世観を持っており、鬱屈とした感情を抱えていた。
それを晴らすためか「こんな世界、壊れちゃえばいいのに。」とインターネットに描き込んだ、その時…。


東日本大震災の発生で一際注目され、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞している作品。
ノイタミナ作品の中でも、かなりの社会派に分類されます。
こういった題材の作品ですので、いつになく真剣に書きます。


前半は地震に対する恐怖と三助(自助・共助・公助)・それにまつわる人間ドラマについて描き、後半は未来が{netabare}PTSDとなって悠貴の存在の大切さに気づき、心理的に{/netabare}成長する姿を描きます。
流石に地震のみを題材に作品を作ると重すぎるし、尺も取れないから人間ドラマを主体にした構成としたのでしょう。
全11話ですが、正直8話くらいでも上手くまとめられた内容かとは思いますがね。


本作における“リアリティ”は“地震”という現象の捉え方や初動時の対応、一般人の描き方にあるかと思います。
この面における過剰描写はほぼなく、すっと物語に入り込めました。
建物崩壊の描写は、多分見たらゾッとすると思いますよ。
やたら性悪な人物とかが出てくると冷めてしまいますけど、そこの塩梅も上手かったですね。
もちろんフィクションなので扇動的な描写もありますけど、許容範囲かと。


逆に主要人物たちの心情描写は雑に感じる場面も多かったです。
主人公の未来は捻くれた性格という設定ですが、それを引っ張りすぎている感はあります。
最終的に改心させて、視聴者を泣かせる意図が最初から透けて見えてしまったのは少々残念なところ。
また、姉弟とともに行動した日下部真理。
正直、なぜ姉弟と一緒に行動したのか終始分からず。
劇中で触れられていますが、幼い娘がいるならばそちらを優先すると思いますが…。

また、どの建物もほぼ半壊以上というのはやりすぎではないかとも思いました。
世田谷区は密集住宅地ですのでまだ分かるのですが、都心三区の一つである港区はそこまで軟な耐震基準じゃないはず。
地震描写に関しては、ここだけ納得できなかったです。




以下ではネタバレありで、細かい部分について詳しく書きます。

○終盤における“あの演出”
{netabare}見た人の中で多分最も賛否両論となるのが、“実は終盤の悠貴が幽霊だった”という事でしょう。
最初に書きますが、私自身この設定には否定的です。

本作は“リアル地震シミュレーション”という触れ込みで制作されています。
リアリティを重視しているはずなのにファンタジーを入れてしまったら、それはもう何だか分からないシロモノになってしまいます。
人間ドラマを主眼とし、終盤の盛り上がりのための設定だと思いますが、もう少し上手く出来なかったかなと。
後述しますが、幽霊で通すならば細かいところまで描写してほしかったですね。

でも最終回は上手く泣かせに来ていますね。
幽霊だから、ちょっと「あの花」と被りましたけど、こっちの方が上手かったような気もします。
まあ “質の良い涙”ではないですから、何とも。{/netabare}



○“影”について(「妄想代理人」の第8話、「明るい家族計画」のネタバレも含みます)
{netabare}細かいところだと思いますが、私は“影”が気になりました。
正直、8話時点で悠貴が死んでいるのは読めましたので、類似していた「妄想代理人」を思い出して“影”を見ていました。
8話から10話までは実は普通に影がありますが、11話だけ悠貴自身の影がないです。
「妄想代理人」では死んでから自身の影は完全に消していたので、ここは是非とも統一してほしかったところ。
8話から10話は演出次第で上手く誤魔化せると思いますしね。

同じような論点ですけど、悠貴が物体に触れていない点は良かったと思います。
彼は幽霊として出てきてからは何も触れていませんから。{/netabare}



○ “性格”と“思慮分別”
{netabare}ここについては思う人も多いのではないでしょうか?

まず主人公の性格。
キツくて、合わない視聴者も多いのでは。
ここに関しては合う合わないの問題なので追及はしませんが、前述の通り、体の良い主人公像に見えてしまう部分もあります。
設定自体はそれでも構わないですが、経過の部分をもっと大切に描いてほしかったかな。

続いて“思慮分別”。
ロボットオタクの少年が出てきますが、彼は別に登場させる必要がなかったと思うのですが…。
ロボットを救うために自分が崩壊しそうな場所に立ち入るっていうのは、いくら中一だからって“危なすぎる行為”だと分かりそうですけど。
彼の登場が以降のエピソードに影響しているわけでもないので、ここに関しては無駄と感じてしまいました。
悠貴がロボットを追うというのならば、まだ分かりますがね。{/netabare}



○9話の真理に関する演出
{netabare}具体的に言えば、真理が小学校で娘・義母?の遺体と対面する場面です。
布で顔が隠れているわけですけど、同じ地域に、同じ年齢構成の、同じ髪型の女性二人が生活し、それが死亡する確率はいったいどれだけのものでしょう?
気が動転していて勘違いしていたでは済まされない部分だと私は感じてしまいました。
この後、娘・義母ともに生きていることが分かるわけですけど、ちょっと無理がある演出だと思います。
感動の気持ちがサーっと引いてしまった。{/netabare}



総括して、確かに悲しくて泣ける作品です。
防災に対する啓蒙作品としても優れています。
私自身、心情的には惹かれる部分も多々ありましたが、論理的には納得のできない部分も同様にありました。

でも本作を駄作・凡作とは露ほども思いませんし、「一度は見ておいてよかった」とも思います。
地震について考えてみたい方は、一度ご覧になってはいかがでしょうか?
家族で見れば、防災について考える良いきっかけにもなるかと。

点数の割に酷評気味な書き方ですが、いろいろ思うところがあったからです。
本作自体に興味がなかったら、こんなに長文を書きませんからね。
それでは、長文失礼しました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 51
ネタバレ

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

東京で大きな地震が発生。そして家族のかけがえのなさに気が付いた…。

この作品は、観るかどうかとても迷いました。

震災の恐ろしさや悲しさ…
そんなやるせなさの中に自ら飛び込む勇気が持てなかったからです。

自分たちの身にもいつか…
なんてことを考えてもどうしようもないし、

もしもの時のために備えをしても、
どれだけ覚悟をしたとしても、

「よし、これでいつ大きな地震が来ても大丈夫!」
なんて言える日は絶対に来ない。


幼い頃、阪神淡路大震災を体験しました。

あらゆる記憶がはっきりとしていないほど幼かったのですが、
それでも地震発生時の事は今でもはっきりと、鮮明に覚えています。

体験したことのない激しい揺れ。
横並びで寝ていた私と妹の上に覆いかぶさりながら、何かを叫んでいる母。
起き上がることも何もできず、
ただ揺れが収まることを待つことしかできなかった時間。

そして揺れが収まった後に見た、家の中の有様。
高速道路の下敷きになって死んだ近所の人の話。
水道が復旧するまで、地下水を汲みに行くのは私の仕事だったこと。

幸いにも大きな被害のない地域でしたが、
あの時感じた揺れと恐怖、非日常な日々は、はっきりと私の中に残っています。

その記憶で十分…
今さら、わざわざ怖いものを観なくても…。
そんな迷いがありました。

だけど観終わった今、
この作品を観てよかったと思っています。

そして、たくさんの人に知ってもらいたい作品だと思いました。

全11話です。


● ストーリー
未来の事なんてわからない。

共働きで忙しくしていて、
口を開けば小言ばかりの両親。

家族、自己中心的な人たち…
いろんなことにイライラが募る日々。

夏休み、弟の悠貴(ゆうき)に付き添って、
お台場のロボット展にやってきた小野沢未来(おのざわ みらい)。

「いっそのこと、こんな世界、壊れちゃえばいいのに。」
何気なくそうつぶやいた瞬間、その地震はやってきた。


東京を襲ったマグニチュード8.0の地震。

これは、
大きな震災を体験したことがない人ほど見てほしい作品です。

そしてこんな現実に、
いつか直面するかもしれないイメージを持っておくべきだと思います。

この作品で描かれていることは、
決して大げさなことではないから。

むしろ現実はもっとひどいと思うから。


主人公の未来が常にイライラしていて、

元気づけようとしてくれる悠貴にさえ当たり散らすのは、
観ていて気分がよくありませんが、

そこに目をつぶることができれば、
ストーリーの構成は素晴らしい。

地震発生、
お台場から世田谷の自宅へ歩いて戻る道中、
家族の安否に募る不安、
そして自宅に到着…。

こういうアニメを、本気で作ろうとする意欲が素晴らしい。
国家認定のアニメにするべきだ!

11話 {netabare} 家族との再会と、悠貴の死と、悲しさを乗り越えようとする未来の姿 {/netabare}には大泣きでした(´;ω;`)


● キャラクター
中学1年生の女の子、未来。

いろんなことに不安が募って、
毎日がイライラ。

それは等身大な中学生の姿だと思います。

だけど、ちょっと性格が歪んているのが難点。笑

弟の悠貴(小学3年生)は、
とてもいい子なのにな…。

だけど、この震災を通して、
一番心が成長するのは彼女です。

観ていてイライラする子ではありますが、
この作品の主人公としてはふさわしい子だとも思います。


偶然未来と悠貴と知り合い、
途中まで一緒に帰ることになった、マリさん。

自分の娘と母の事も心配でたまらないはずなのに、
2人の事を放っておけず、あれこれ面倒を見てくれるなんとも優しい人です。

自分がマリさんの立場だったら、
ここまでできる自信が私にはない…(;´Д`)

マリさんと出会えたことが、
2人にとって最大の幸運だったと言えるでしょう。


● 音楽
【 OP「キミノウタ」/ abingdon boys school 】

abingdon boys schoolは、
西川貴教さんがボーカルを務めるバンド。

曲もかっこいいですが、
何よりも私が衝撃を受けたのは、映像ですね。

OPで流れるのは、震災後、倒壊した東京各地の様子。

写真やテレビで見たことある有名な観光地も、
震災にあうとこうなるのかも…

というリアルな映像が、
とても衝撃的でした。

いつもOPもEDも必ず観ますが、

あまりにもOPの映像がリアルで怖くて、
とばしたくなってしまったほどです。

この映像だけでも観る価値ありですね。


【 ED「M/elody」/ 辻詩音 】

この曲単体でも、
十分いい曲です。

この作品を最終話まで観たなら、
より魅力が増します。

明るい曲調には、
未来を信じて、というメッセージが込められているような気が…。


● まとめ
「もしも大きな地震が起こったら」というテーマを、
見事に描き切ったと思います。

恐怖、不安、不便さ、心配、我慢、
家族への想い、辛い別れ、辛い想いを抱える人々…。

今ある当たり前の生活は、簡単に壊れてしまうかもしれないこと。
今ある当たり前の生活が、とても幸せで恵まれたものであること。

それを忘れてはいけないですね。
傍にいる人の大切さに気づけなかった後悔が生まれないように。

もっと多くの人に観てもらいたいと思う作品でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 35

90.5 2 姉弟で家族なアニメランキング2位
凪のあすから(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★★ 4.2 (6453)
25532人が棚に入れました
海と地上、そのどちらにも人が暮らす世界。中学が廃校になり、幼なじみと共に地上の学校へ通うことになった海村の少年・先島光が転校初日目撃したのは、大切に守ってきた少女まなかが、地上の少年と特別な出会いをした瞬間だった。

声優・キャラクター
花江夏樹、花澤香菜、茅野愛衣、逢坂良太、石川界人、小松未可子、石原夏織、名塚佳織、天田益男、間島淳司、清川元夢、鳥海浩輔
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

溢れ出る感情の波に幾度も心をかき乱されてしまう、感銘も感動も大きいが視聴に難儀する《名作》

(2019年3月) 制作情報等を追記

◆感情描写の濃度が桁外れに高い作品

私は、恋愛などの感情描写系アニメを視聴するときは、作品中に不意に差し込まれる微妙な心情変化を見逃さないようになるべく集中して視聴するようにしているのですが、本作の場合、多数の登場キャラたちのどんな目線の動きにも手足の仕草にも確りと意味が込められていて、そうした一つひとつの挙動に暗示される各キャラの感情推移を読み取るのに視聴中ずっと頭をフル回転させている状態が続きました。
そのため1話視聴する毎に物凄く疲れて、暫く頭を休ませてから次の話に行く、ということの繰り返しで、これまで本作を余裕を持って視聴できていなかったのですが、3周目を終えた時点で漸(ようや)く、そうした感情を読み取る作業を自分が納得いく程度に終えることができた感じを持てました。
そして念を入れて行った4周目の視聴で、やっと余裕をもって本作全体を楽しめ、かつ自然な感じで感動もできたように思ったので、それに合わせて本作の評価を ★ 4.3 → ★★ 4.7に大幅に引き上げました。
(※1~3周目も視聴中に感動はしていましたが、果たしてその自分の感動が辻褄の合った納得のいくものなのか確証がもてずに警戒しており、本作の総合評価を ★ 4.1~4.3と低めに据え置いていました)
だいぶ苦戦しましたが、頑張って繰り返し視聴して良かったと思いました。

◆起/承/転/結のはっきりしたシナリオ構成

本作は、純粋な日常系の恋愛作品ではなく、①ファンタジー設定と②セカイ系設定を上手く組み込んだ変則的な恋愛感情描写系作品ですが、よく見るとシナリオ構成の基本に忠実に、全26話を以下のように、【起】【承】【転】【結】に上手に振り分けていることが見て取れます(※詳しくは◆各話タイトル&評価へ)。

【起】第1~7話(計7話) {netabare}海村とウロコ様の存在というファンタジー設定が示される{/netabare}
【承】第8~13話(計6話){netabare}地上の異変と海村の冬眠・人の滅びの予告というセカイ系設定が示される{/netabare}
【転】第14~20話(計7話){netabare}5年後の世界に切り替わり海村の3人の冬眠からの目覚めが描かれる{/netabare}
【結】第21~26話(計6話){netabare}登場人物たちの錯綜した恋愛状況が世界の命運と連動しつつ収束していく{/netabare}

◆作品テーマ

ひとことでいえば、{netabare}恋愛感情をもつがゆえの苦悩とその最終的な肯定{/netabare}、を描き尽くすことにあると思います。
この作品テーマは、第5話(あのねウミウシ)での美海と光の会話によく現われます。
{netabare}
美海「もう、あんな悲しいお腹になるのは嫌だ。大好きにならなければ、あんなに苦しくならない。だから、だから美海・・・」
光「大好きにならなければ、好きにならなければ、辛くならない。確かに、そうかも知れねぇな。」
美海「え?」
光「なんか俺も人のこと言えねぇ。好きとか、なんないほうが、やっぱ楽なのかも知れねぇと、思う。だけどよ、誰かを好きになるの駄目だって、無駄だって思いたくねぇ。」{/netabare}

→この会話は最終話で見事に回収されます。

※なお、本作で最終的に肯定される「恋愛感情」とは具体的にどのようなものか?をさらに一歩踏み込んで考察すると本作を一層深く楽しめるようになるのではないか、と思います(※その点、◆本作品に描かれた恋心(恋愛心理)の整理へ)。


◆制作情報
{netabare}
原作         Project-118
監督         篠原俊哉
シリーズ構成     岡田麿里
脚本         岡田麿里(12)、横手美智子(4)、吉野弘幸(4)、和場明子(3)、根元歳三(2)、西村ジュンジ(1)
キャラクターデザイン ブリキ(原案)、石井百合子
音楽         出羽良彰
アニメーション制作  P.A.WORKS{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得のいかなかった疑問回

======================= 凪のあすから(2013年10月-2014年3月) ====================

~~~~~~~~~~~~~~ OP「lull〜そして僕らは〜」、ED「アクアテラリウム」 ~~~~~~~~~~~~~~
     ※ まなか・ちさき・光・要・紡(中学2年)、美海・さゆ(小学3年)
  - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 【起】 第1~7話は、{netabare}海村の4人が陸村の中学に転入したことを切っ掛けとして、彼ら内部や彼らと陸村の人たちとの間に発生する心の揺れ動きを描出{/netabare}
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}第1話 海と大地のまんなかに ★ 海村の4人の転校初日、まなか・紡の出逢い
第2話 ひやっこい薄膜 ☆ 美海・光、さゆ・要の出逢い、あかりの恋愛事情
第3話 海のいいつたえ ☆ 海村の掟、あかりの男の事情、紡と海村の4人が打解ける
第4話 友達なんだから ★ お女子様の破損事件、さゆの要への思慕の始まり
第5話 あのねウミウシ ★★ ちさきの想いを知ってしまう紡・まなか、美海家出・光への思慕の始まり
第6話 巴日のむこう ★ 光・紡の水泳競争、ちさき・まなかの喧嘩~仲直り
第7話 おふねひきゆれて ☆ 海村と陸村の対立、あかり海村から離れ地上へ{/netabare}
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
 【承】 第8~13話は、{netabare}地上の異変~海村の冬眠決定を契機とした海村の4人や陸村の人たちの決断・行動を描出{/netabare}
 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
{netabare}第8話 たゆたう想いのさき ☆ 美海・光・紡・まなか・ちさき町へ(プレゼント探し)
第9話 知らないぬくもり ★ 地上の異変、紡→ちさき「今のあんた嫌いじゃない」、廃校でハグ(光→まなか)
第10話 ぬくみ雪ふるふる ★★ 冬眠の準備、まなかの想いはウミウシへ、要の告白
第11話 変わりゆくとき ☆ お船引き決定~準備、あかりの決断(結婚・お女子様に)、ちさきの決断(光へ)
第12話 優しくなりたい ★★★ 廃校での告白(光→まなか、ちさき→光)、第1話のリフレイン(まなか・紡)
第13話 届かぬゆびさき ★★ 冬眠、お船引き、お女子様(あかり→まなか){/netabare}
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ OP「ebb and flow」、ED「三つ葉の結びめ」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ※ まなか・光・要・美海・さゆ(中学2年)、ちさき(看護学校1年)、紡(大学1年)
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 【転】 第14~20話は、{netabare}5年後の海村の3人の目覚め、彼らと地上に残された人たちの戸惑いを描出{/netabare}
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{netabare}第14話 約束の日 ★ 5年後の世界(主にちさき・美海の視点から)、光の目覚め
第15話 笑顔の守り人 ★ 光・ちさき再会、美海の光への思慕、紡→ちさきへの希望表明
第16話 遠い波のささやき ★★ 光とのデート(美海・さゆ喧嘩)、美海にエナ、要の目覚め
第17話 ビョーキなふたり ☆ 要・ちさと再会、さゆ・要再会、海村へ(美海・光・要) 
第18話 シオシシオ ☆ 冬眠中の海村の様子、まなか発見~救出
第19話 まいごの迷子の… ★ 大人になった事に気付くちさきと、紡・要の彼女への想い
第20話 ねむりひめ ★ まなかの目覚め(必死に手を尽くす光と揺れる美海の心){/netabare}
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 【結】 第21~26話は、{netabare}海神様とお女子様の伝承をリンクさせつつ、登場人物たちのそれぞれの想いの着地点を描出{/netabare}
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{netabare}第21話 水底よりの使い ☆ OP映像マイナー変更。まなかの異変、ちさきと光たちとの距離・紡との距離
第22話 失くしたもの ★ ウロコ様探し、まなかの失ったもの(人を好きになる心)
第23話 この気持ちは誰のもの ☆ ウミウシの石、紡・光の殴り合い、紡の想いがちさきに伝わる(紡にエナ、海村へ)
第24話 デトリタス ★★★ お船引き再び、ちさきの本心(要へ)、さゆ→要へ告白・完結
第25話 好きは、海と似ている。 ★★ まなかの本心(美海・紡へ)、紡・ちさき完結、美海失恋、お船ひき
第26話 海の色。大地の色。風の色。心の色。君の色。~Earth color of a calm~ ★ 美海の心を知る光・お女子様の心を知る海神様、光・まなか完結、ぬくみ雪やむ{/netabare}
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★★★(神回)2、★★(優秀回)5、★(良回)10、☆(並回)9、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.7


※このように本作は前半のラスト2話(第12-13話)・後半のラスト3話(第24-26話)にそれぞれクライマックスが来るように巧みに構成されていますが、その他の回も万遍なく楽しめる平均点の高い作品となっています。
(前半が詰らなくて後半がグンと面白くなく『とらドラ!』とは好対照)


◆本作品に描かれた恋心(恋愛心理)の整理

私たちがラブストーリーを批評する場合、「きゅんきゅんする」「甘酸っぱい」「純情」というのは常套句ですが、そうした感覚的で曖昧な表現だけでは、恋心(恋愛心理)の分類としては舌足らずであり不明確だと思うし、また本作に描かれた恋を「青臭い」の一言で切り捨てるのはいかにも粗雑な感想だと思います(※もし「青臭い」と断言するならば、どこがどう青臭くて、それとの対比で「青臭くない」恋とはどんなものなのか?が具体的に示されないと説得力に欠けます)。

そこで、ここでは本作に描かれた恋愛模様をより具体的に考察するために、以下の分類を用います。

{netabare}<1> 出逢い方による分類

①幼馴染型 → 海村の4人の場合(光・要×まなか・ちさきの関係)
②ボーイ・ミーツ・ガール型 → 陸村と海村の出身者の間の場合(紡とまなか・ちさきの関係)
③年上への憧れ型 → 陸村の小学生と海村出身の中学生の場合(美海・さゆ×光・要の関係)

<2> 恋の回数による分類

①初恋 → この作品の大部分の恋
②2回目以降の恋 → 無意識のうちに進行してしまうちさきの紡への恋
③その他(既婚者との恋など) → あかりの美海の父への恋

<3> 恋愛感情の内容による分類

①趣味的恋愛感情(※相手の好意の獲得を目的とした駆引き的な恋であり、恋に恋して恋を自覚的に楽しんでいる状態)
②虚栄的恋愛感情(※ブランド品を見せびらかすように恋人を持ちたがること、また人の恋路に嫉妬して燃え上がる恋)
③肉体的恋愛感情
④情熱的恋愛感情(※説明が難しいが、本作で描かれるほぼ全ての恋愛感情はこれに当てはまる){/netabare}

このように本作は、都会から遠いファンタジックな小村(海村も陸村も)で生まれ育ち、世の波風にまだ汚されていない中学2年(13~14歳)の少年少女の初恋という設定に基づき、全26話を通して、①~③の要素をほぼ排除して、④情熱的恋愛感情の描出一本槍で突っ走るという、ラブストーリーとしては些(いささ)か稀な作品となっています。

また、本作で描かれる心理関係のほとんどが、幼馴染の間か、さもなくば年上への憧れとして発生していることも、彼らの④情熱的な恋愛感情に説得力を持たせています。

《一般的な恋愛作品との違い》

これがもし高校生以上の関係で、かつボーイ・ミーツ・ガール型の出逢いだったなら、いきなりの④情熱的恋愛感情の発生には余り説得力がなかったことでしょう。
例えば、あにこれでも高評価の恋愛アニメの代表格『とらドラ!』は、
{netabare}
(1)序盤から中盤にかけて、ヒロイン大河の北村君への恋のときめきや躊躇いを繰り返し描き出していますが、そうした大河の恋心は、実は「駆引きを通して相手の好意を獲得することを目的とする恋」つまり①趣味的な恋愛感情であって、
(2)第16話(すみれさん乱闘事件)を機に大河は自分の恋心の浅はかさを悟らざるを得ず、そして、
(3)第19話で、大河はとうとう自分の本当の恋心は北村君ではなく竜児にあることを自覚するに至り、なおかつ、この自らの恋の成就を目指すのではなく、これを秘匿し押し殺して竜児の恋の成就を密かに支援する側に廻ることを決意する、
{/netabare}
・・・という流れになっていますが、このように大河の恋心が、①趣味的な恋愛感情から、④情熱的な恋愛感情に移行してしまうストーリー展開の巧みさに『とらドラ!』の凄みがあって、それがこの作品が高評価を取っている本当の理由と私は考えています。

この『とらドラ!』の例のように、優れた恋愛作品というのは、アニメ・実写あるいは小説といった表現媒体に関係なく、

(1)①趣味的な恋愛感情、②虚栄的な恋愛感情、あるいは、専ら④肉体的な恋愛感情からスタートした心理的関係が、
(2)いつの間にか、④情熱的な恋愛感情に転換してしまい、本人の意思では簡単に逃れられなくなっている様

・・・を説得力をもって描き出している作品であるのが一般的だと思います。

※因みに、そのような説得力を持ったアニメ作品は、実は結構少ないと私は思っており、例えば、あにこれで「恋愛タグ」に高いポイントがついている作品であっても、その内容をよく見ると、①趣味的恋愛や②虚栄的恋愛の範囲内で終始していて、④情熱恋愛への転換を描くに至っていないものが幾つもあると思います(例えば、『CLANNAD』、『初恋限定』)。

《本作視聴の難儀さの理由と魅力》

そうした一般的な恋愛作品との比較から、本作はやはり、
{netabare}
(1)海村という閉鎖的な環境で自然に芽生えた幼馴染同士の恋という設定、また、
(2)小学3年生の少女の5歳年上の少年への憧れと、少年の5年間の冬眠状態~解除により、本来は恋愛が成立しないはずの関係が“成立し得る関係”に転換してしまう、という現実世界では在り得ない特殊設定
{/netabare}
を巧みに用いて、序盤から終盤まで一貫して、④情熱的な恋愛感情の進行過程の描出だけでストーリーを展開している点で、恋愛作品として特殊であって、

(1)その④情熱恋愛一本槍という特徴から、本作に独特の息詰まるようなナーバスさが発生し(※注釈)、
(2)その結果、私たちは毎話のように視聴に難儀してしまう羽目に陥るのですが、
(3)そのナーバスさ・難儀さは私たちにとって、懐かしくまた切ない感覚を伴ったものでもあって、
(4)結局のところ本作の最大の魅力は、そうした感覚を私たちに思いがけず(かつ繰り返し)惹起させてしまう点にある、

・・・と私は結論づけたいと思います。

(※注釈)もし本作に、①趣味的・②虚栄的・③肉体的な恋愛感情が一定量混在していれば、他作品によくあるように、それらが適度に陽気な冗談や下ネタやおふざけを作品中に呼び込んでいたはずです。

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◆(参考)過去に書いた感想・レビュー

※前述のとおり、私は3周目までは「自分が安易に感動させられてしまうこと」への警戒から本作に対して相当に身構えていて、本作から自分が受ける感動の性質を慎重に見究めようという批判先行の視聴姿勢を取っていました。
以下はその当時の感想・レビューの一部です。

2015.3.10 三回目視聴を完了。
各話評価を追記。総合評価を4.1→4.3に改訂。
1クールに上手く圧縮されていたなら私も本作を名作(総合評価4.5以上)と評価していたと思います。
ですが、2クールはちょっとやり過ぎ感あり(稀に見る美酒も味わい過ぎると食傷気味になってしまう感じ)。
そういう意味では、かなり残念な作品でした。

2014.7.19 二回目視聴を完了。
全体に遊びとかギャグ要素が非常に少なく、重く沈鬱な印象。
この作品は毎話毎話、ほんの一瞬のカットに感情の微妙な変化や発露を盛り込んでくるので、安直な気分で流し見するわけにはいかず、全26話を通しで視聴するのに今回もかなり時間がかかってしまいました。

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※以下は第1回目視聴直後の感想・レビューです。

《岡田シナリオのメタ分析》

{netabare}★岡田シナリオの基本パターン

このアニメのシナリオ構成・脚本を担当した岡田磨理という方のシナリオは、表面的には色々ヴァリエーションを取りながらも、大雑把にいえば、

==========
A子はB男が心底好きだ。
だがB男は、A子の親友のC子の方に恋をしており、A子にはそのことがよくわかる。
A子も親友のC子が大好きで、彼女の美点を沢山知っている。



A子は、自分がB男に恋しているのと同じように、B男もC子に恋をする権利があると考える。
A子は、B男の恋心を捕らえている親友のC子を羨ましく思い、そしてそのようにC子に嫉妬している自分の心に気づいて、自分を浅ましく醜いと思う。
A子は、B男のC子への恋が実ることが、自分が恋をしているB男にとって一番幸福なことだと思い込む。
こうしてA子は、自分の恋心を押し殺して、B男のC子への恋を実らせるために密かに行動を始める。



ところがC子は、ずっと以前から親友のA子がB男に激しく恋していることを知っており、A子のB男への恋を実らせるために、B男に対して無関心を装うどころか、B男ではなく全然関係ないD男に恋している振りまでして、B男の自分への恋心を挫こうとしている。
実はC子も本当はB男を恋しているのだが、親友A子の恋心を犠牲にしてB男の恋心を受け入れようと時折考える自分の心を醜く浅ましく思い、許せないでいる。



一方、B男は・・・
また、D男は・・・
==========

という複数の男女の恋心が錯綜しループして、それぞれの善意と誤解から軋みと混乱と和解とが繰り返され、こうしたカオス的状況の中から次第に着地点が現われてくる、というパターンを、凡そ踏襲しているように見える。

この「凪のあすから」という作品も、これでもかと畳み掛けるような感じで、こうしたパターンが集積して出来上がっているように見える。

さすがにここまでくると、ちょっと食傷気味で、私の個人的評価は低くしてしまいましたが、でも、やっぱり実際視聴してみたら、相変わらず面白いんだよね、これが。

逆に言うと、なぜ岡田磨理さん以外のシナリオライターが、こうしたワンパターンながら安定的に私たちの心を揺さぶるようなシナリオ・脚本を書けないのか?ということの方が疑問なくらいです。

★岡田シナリオとその他の人のシナリオの違いとは何か?

一言でいえば、登場人物たちが、根本的な部分で、自分の恋心の成就を望むか否か、の違いではないか。

上にも書いたとおり、岡田シナリオの登場人物たちは、

①自分は誰かに激しく恋しながらも、
②自分の恋の対象者は、自分と同じくらいの強さで別の誰かを恋する権利を持っており、あるいは、
③自分とは別の誰かも、自分と同じくらい自分の恋の対象者に強く恋する権利を持っている、

ということに何時も気づいて、結局

④自分の恋心を押し殺して、自分の恋の対象者の恋を成就させることが正しい、という結論に達し、
⑤そのために密かな行動に出て、かつその行動を決して誰かに悟られまいとする、

という行動パターンを踏襲する(しかも一方ではなくほぼ全員が)。

要するに、岡田シナリオの登場人物たちは、他の、言ってみれば趣味的な恋愛感情のやり取りをしている作品の登場人物とは全然違って、アニメ作品でありながら、かなりリアルな情熱恋愛的な行動パターンを取っている、ということになり、そこから岡田シナリオの独特の迫力が生まれるのではないかと考えます。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 161
ネタバレ

れんげ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

全てにおいて丁寧に描かれた、恋愛アニメの傑作

2013年10月より放送。
全26話。


【前置き】

冒頭部分を見ていた時は、まさか今現在のような高評価を出せる作品に発展するとは思いもしませんでした。
本作は、恐らく視聴した誰もが仰るでしょうが、後半からが本番と言わんばかりの尻上がりの面白さを見せる、大器晩成型のシナリオでしたので。


アニメーション制作は、安定と信頼のP.A.WORKS。
「true tears」から始まり、「Angel Beats!」「花咲くいろは」「Another」「TARI TARI」「有頂天家族」等、今現在では、またオリジナルで「グラスリップ」も放送されていますね。
ただ、特にオリジナルの作品に関しては「true tears」以降、個人的にいつもホームランを打つような感じではなく、どこか惜しい佳作止まりな感じがしていました。

しかし、本作は違いました。
ファンタジーを織り交ぜながらも、ラブコメとは全く違うガチの恋愛作品として、人気作「true tears」を越えたかも…とさえ思わせてくれる出来でした。



【あらすじ】

舞台は、かつて全ての人間達が海の中で普通に呼吸し、生活を営んでいた世界。
ただ、ある時を境に陸に上がって生きる人達が現れはじめ、やがて人は海と陸に分かれ深く関わることを避け生活するようになっていました。

物語は、汐鹿生(しおししお)と呼ばれる海底の村に住む4人の少年少女達が、その村の中学校の廃校をきっかけに地上の小さな港町の中学校に転入するところから始まります。

ただ1つ、その汐鹿生の村には破ってはいけない掟がありました。
それは、海の人間と陸の人間とが…恋をして結ばれること……。



【前半は、後半への壮大な前振り】
{netabare}
あらすじだけ聞くと、よく聞く可愛らしいお伽話のようにも聞こえます。
実際、当初は海中にある村の世界観やオープニングの雰囲気からも、ファンタジー要素を全面に押し出した作品に思えました。

しかし蓋を開ければ、その世界観を丁寧に説明しつつも、7人の少年少女のいじらしい恋愛模様を生々しく描いた作品でした。

冒頭は、話数に余裕があるが故のその丁寧な解説が少々退屈に感じる節もありましたが、今思えばそれは壮大な後半へ繋がる前振り。
今思えば、存分に描いて下さって本当に良かったと思っています。

ただ、オリジナル作品故にどうしても先を予見出来ず、この冒頭で切ってしまった人も放送当時はやっぱり多かったようですね…。
「3話程度では本筋がまだ見えてこない」という点は、本作の難点でもあるでしょう。


私的に、視聴を継続出来た理由として、その丁寧に描かれたシナリオ以上に丁寧に彩られた、安定と信頼のP.A.WORKS(←何度でも言いたい。)の、作画の存在が大きかったですね。

中でも、海底にあるの村の汐鹿生は綺麗でした。
塩が粉雪のように降り積もり細かくキラキラと輝いた町並みは、とても幻想的でした。

水面では泡の一つ一つから、海面では船の揺らぎ方一つ見ても、海の演出は特に目を見張るシーンが多かったです。
作画だけでも見たくなる、安定と信頼のP.A.WORKS。(←はい、だから何度でも言います。)



本作の前半最後の山場。
海の村の人は、いつ覚めるか分からない冬眠に入ってしまいます。

仲違いしていた地上と海の関係が少しずつ緩和され始めていた中の、突然の冬眠勧告。
その冬眠を受け入れられる人もいれば、受け入れられない人もいました。

この冬眠は、いつ覚めるかも全く分からないようでしたので、実際不安に感じるのも当然でしょうね。
特に、自分だけ目が覚めるのが遅かったら…。。
周りだけ成長している中、自分だけ起きた時取り残されていたら…。。


この『冬眠』という要素が放つシナリオの盛り上がり方は、作中でも随一でした。
想像したら、やっぱり恐ろしいですしね。

大好きな人が自分の知らない間に成長していて、自分だけ眠り続け取り残されるかもしれない恐怖。
……いや、そもそも…、もしかしたら一生目覚めないかもしれない。


当初は互いに歩み寄り始めた地上と海の展開から、「これ2クールもして後何するの?」なんて思っていましたが、こういうことだったんですね。

シナリオ構成は、「true tears」「とらドラ!」「あの花」も担当された、岡田麿里さん。
この御方は、やっぱり見せ方が上手ですね。
{/netabare}



【時を進めた者と、そうでない者】
{netabare}
そして、その本番の2クール目。
前半とは打って変わり、かなり切なげな雰囲気のモノローグも入る新オープニングは、まさに本番開始という感じがしました。

5年の歳月が流れた同舞台で、海中で冬眠についた者、地上で5年の時を過ごし成長した者の物語。
主人公を始め、冬眠から目覚めた者が少しずつ地上に姿を表し、再び止まっていた恋愛模様が動き出します。


後半冒頭では、海の人間でありながら冬眠に入ることが出来なかった、「比良平ちさき」のエピソードには胸が苦しくなりましたね。

5年前の、中学生だった自分はもういない。
大好きな相手はその中学生のまま地上に戻ってきたのに、自分は大人になってしまっている。

それでも、やっぱり会えば好きな気持ちは蘇ってきてしまいます。

「あの…私……、変わっちゃってゴメン…。」

そういうちさきに対し、その大好きな人は、見た目にとらわれず

「オマエ、全然変わんなくて安心した!!」

と言ってくれるんですよね。
ちさきは、嬉しくて涙しながら

「アンタに言われたくないわよ!」

っと、くいかかっていましたね。
……うん、コレはごもっとも。

した人は勿論、端から見ている側さえも世界観を大きく変えてしまう「冬眠」の恐ろしさが描写される中で、ここは大好きなシーンでした。


そして、5年前に恋をしていながらも、年齢差があって想いを伝えられなかった、小学生の女の子2人組、「美海(みうな)」と「さゆ」。

彼女達の視点から言えば、当時大好きだった中学生の男の子が突然いなくなってしまったワケでしたが、自分達が同じ年齢の中学生になった今、当時の年齢のまま戻ってきたというワケですね。

前半は、ハッキリ言って

「この小学生達の恋愛模様、こんな念入りにいる?」

と思ってしまい、蛇足や尺稼ぎにすら思え、少々退屈だとさえ感じていました。
(いや勿論、小学生は最高だぜよ?)

しかし、こういうエピソードに発展する為の伏線だったんですね。
これまた上手いですね、やられました。


この後半は、毎回少しずつ冬眠から目覚めてくるキャラが出て恋愛模様が入り乱れていくので、全く退屈しないどころか非常に毎話盛り上がって楽しめました。
小出しにされる焦れったさは多少感じましたが、決して尺稼ぎ感はなく、それぞれ進展する恋愛模様を丁寧に描いてくれていました。
これもまた、全26話のという話数の強みですね。

小学生から中学生になった2人。
中学生から大学生になった2人。
そして、中学生のままの3人。

それぞれの視点から描かれる5年を経ての恋愛模様は、それぞれの昔のエピソードが序盤で丁寧に描かれていたからこそ、感情移入しちゃうんですよね。
正直な話、要所要所で私は泣かされっぱなしでした。
{/netabare}



【要君から見る、凪のあすから】
{netabare}
さてここからは、後半から個人的に一番好きになって注目していた、海の人間の中でも物静かで空気の読める大人っぽさが魅力の

『伊佐木 要(いさき かなめ)』

を通して、作中の魅力的なシーンを、熱く語っていきたいと思います。


当初から同じ海の人間の ちさきが大好きで、でも彼女の気持ちが自分に向いていないことに昔から勘付いているので、中学生ながら基本的に傍観者でいた男の子。

しかし冬眠前に、その先行きの不安もあり、ちさきの家族にも公表するカタチで堂々と、

『ボク、ちさきのことが好きなんだよね、かなり前から。』

と、いつもの笑顔で告白。
しかしちさきが地上に残ってしまった中…自分だけが冬眠に入ってしまい、目覚めたらその大好きな ちさきは大人になっていたワケですね。


世界が変わっても

「変わらないものもある。

 変わるわけ……ない。」

と、自身の ちさきへの想いを再確認する要。

ただ、これまでは同じ年齢同士なので、その達観した物言いや立ち振る舞いにも余裕があった(ように見えた)のですが、流石に本物の大人相手にはその余裕も通用しないんですよね。
しかもその恋敵は、ちさきと5年を共に過ごした…非の打ち所なしのこれまた超絶イケメン紡(つむぐ)なのですから。

「大人だね…、ちさきは…。」

そう言いながらも、精一杯に顔色を変えず立ち去り、「クソッ!」と襖越しに言うしかない要。

今までにない余裕の無さ、それ故の焦りがリアルに描写され人間味が出てきて、私は後半からグンと好感が湧いてきました。

「ちさきが光とうまくいかなくても、次は僕じゃなく紡だってわかってたから。」

と、昔からの友達とはいえ、大人を相手に精一杯達観して喋るその仕草は、もぅたまらないぐらい いじらしかったです。



結局、本人の言う通り勝ち目のない恋だったのかもしれません。

でも、そんな要のことをずっと好きでいてくれた…、自分と同じく5年経っても変わらない想いをブツけてくれた女の子、さゆがいたんですね。

前半では、小学生が憧れのお兄さんへ抱く淡い恋のように描かれていた、さゆの恋。
それが、遂に一つの形となり本人の元へ、『不器用ながらも』思いっきりブツけられたのでした。


『ずっと…ずっと見てたよ……。

 私、アンタのことずっと見てた、ずっと待ってたんだからっ!!

 アンタがいるから、だから頑張ろうって…。

 アンタに釣り合いが取れるように、アンタに子供扱いされないように、

 アンタにちゃんと…、女の子として見てもらえるようにっ!!

 アンタがいない間も、アンタはここ(心)にいた。
 
 ちゃんと…、この真ん中にいたっ!!!』


この告白で、これまでずっと大人ぶっていた要が、冬眠から覚めても家族がいなくて寂しかった本音を、初めて吐露しました。
誰も自分を待ってくれていなかったんじゃないか…、と。

ただ、ずっと想って待っていてくれた さゆの気持ちを知り、救われたかのような嬉し涙を見せるのでした。


要「これからちゃんと見てみる。ちっちゃな女の子じゃなくて、同じ年の一人の女の子として。」


さゆ「上から目線だよね。」


こういう憎まれ口も、さゆらしくて良いですね。
振り返れば、告白中も「アンタ」って7回も言ってるしww


「あの頃はさ、遠くから見てるだけだった。一緒にいるけど、すっごく遠くて……。」

5年前を振り返りそう言っていた さゆが、中学生になって見せた要への5年越しのド直球アタック。
ココは個人的に、作中でもクライマックス以上に大好きなシーンとなりました。



話はそれますが、さゆを演じた石原夏織さんは「あの夏で待ってる」の谷川柑菜や「変態王子と笑わない猫。」小豆梓などを始め、恋愛的に報われない負け確定ヒロインを演じることが多く、今回もそうなんだろうな…と勝手に思っていました。
いやはや思いの他、大健闘でしたね。

今作では、いつも以上に良い演技も見せてくれましたし。
上記のシーンの他にも、第22話で光とブツかった時の、あの可愛らしくもドスの利いた

「おいタコスケ!!、ゥルェディイ(レディー)を突き飛ばしといてそのままかよ!!!」

も、とても印象的でした…、あぁ…中学生ってコワイ…。。。
やっぱり、小学生は最k(ry

2014年は、あまりアニメ担当数はふるいませんが、好きな声なので今後の活躍に期待したいです。



最後は、全員が見事なカップリングとは行かずとも、良い着地点を見せてくれたかなと思います。
変に話をぼかしたり、続編を匂わす描写が無いのも良いですね。

ただ、7人というのは奇数なワケで……、やっぱりそういうことになりますからね…。
(ちょぉっとは救いの目も見えましたケド。)
最後にもう一捻り欲しかった気もしましたが、これは大好きな作品故の小さなクレームです。


エンディングでは、エンドテロップとともに最初のファンタジー色の強いオープニング「lull~そして僕らは~」の別バージョンを存分に流し、キャラクター達の最後が海と地上でぞれぞれ、最後まで丁寧に描かれておりました。
この世界観と主要キャラ皆に好感が湧いたからこそ、120%楽しめたエンディングでしたね。

見終えた時「とても良い作品を見たなぁ…。」と非常に後味も良かったので、今でもとても好感触な印象で記憶に残り続けているのでしょうね。
{/netabare}



【総評】

序盤で切ってしまうには非っ常に惜しい、是非とも後半の盛り上がりを見て判断して欲しい作品です。


短気ながらド直球な男らしさが光る、ひー君。

無邪気で屈託ない笑顔を見せてくれる、まなか。

団地妻のような妖艶な色気を見せる、ちさき。(昼下がりの、じゃないよ。)

大人びたクールガイながらイクところはイク、要。

「海」という一言で全てを伝えることが出来る水陸両用イケメン、紡。

一番女の子らしく いじらしい気持ちが描かれる、美海。

ちんちくりんだった小学生から一転し、最後は女を見せた。さゆ。


世界観も、このキャラクター達も、シナリオ展開も、そしてそれを彩る作画も含めて。
私は半年間(特に後半3ヶ月)、大いに楽しませてもらいました。

『海と大地のあいだで揺れる 青の御伽話(ファンタジー)』と題されていた本作。

それは、想像していたよりもずっと重く、そしてなにより全てが丁寧に描かれた傑作だと、私は感じました。

またひとつ、大好きな作品に出会えました。


長々と読んでいただき、ありがとうございました。


◆一番好きなキャラクター◆
『伊佐木 要』声 - 逢坂良太さん


◇一番可愛いキャラクター◇
『潮留 美海』声 - 小松未可子さん

※※※
以降は、視聴済の方向けに書かれた、ただの私の妄想なので〆ます。
{netabare}
さて、本作のように世界観や物語が魅力的な作品に出会うと誰しも、

「一度でいいから作品の中に入ってみたいっ!!」

と、妄想してしまいますよね?


………ねっ!!!


というわけで、もし

【「私」が、この世界の8人目として、同じ年齢で恋愛模様に加わっていた場合】

を想定して、この綺麗な物語の展開を、更に味付けしてみました。



■第0話■
ひー君達が後に転入するクラスの隅に、「私」登場。



■第1話■
ひー君達、汐鹿生の4人が転入。
「私」まなかの屈託の無い笑みを見て、「この子は俺に惚れている!!」と勘違いする。



■第9話■
クラス皆で、おじょし様を作っている際に「私」、小学生の美海を見かけ何かに目覚める。

以降、「俺には、まなか がいるのに…」という、不必要な葛藤が毎晩続く。



■第13話■
葛藤で睡眠不足ののまま迎えた、おふねひき当日。
「私」荒れた海の中、人知れず海に落ちる。
(当然、エナが発動することはない。)

汐鹿生の村人が冬眠に入る中、一人永眠に入る。



■第13話と第14話の間■
偶然にも、紡が海へ出していた定置網に、最早原型を留めていない「私」が引っかかる。

紡、顔色一つ変えず無言で、手荒に海に返す。



………というわけで。。


どう想像しても「私」は、後半に駒を進めることが出来ませんでした。

私がいれば、男4女4で綺麗に恋愛模様もまとまっていた(に違いない!!)でしょうに…。

ゴメンよ美海……。。。


こんな綺麗な世界に『どざえもん』を出してしまうことになり、誠に申し訳ありませんでした。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 76
ネタバレ

アリス★彡 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

懐かしい匂いがした

最初はただの絵本を手にする気分でした。
かなりファンタジーチックで最初は淡い恋愛感情を描く恋愛物だと思っており、そこまで期待はしてませんでした。
ですが、確かに絵本のようなおとぎ話だったものの、今まで読んできた絵本よりもとんでもなく素晴らしい絵本でした。

淡い恋愛物のふりをしたドロドロの恋愛物です。

人間が海の中に住んでいるというファンタジーな世界観。
この世界観を存分に活かした展開が本作品の魅力です。

キャラクターデザインは、
『僕は友達が少ない』や『電波女の青春男』の挿絵や表紙を手掛けたブリキさん。

シリーズ構成は、花咲いろはやとらドラの岡田麿里さん。

前半は淡い子供の恋愛物語、三角関係、海の人間と陸の人間の関係、などを中心にお話が進んでいきます。
ドロドロした人間関係を描いたお話で、とても岡田麿里さんらしいドラマチックな脚本でした。

前半は正直キャラクターの精神年齢が子供だったりするので、キャラクターに共感出来ずに、だるくてつまらない印象を受けるかもしれません。
暴言や喧嘩、恋愛の考え方もかなり子供っぽいです。
前半も良い感じのラブコメで楽しめたという人もいるので、前半は評価が分かれます。

この作品は前半で張った伏線を一気に回収する中盤から見所で、後半に進むにつれ一気に面白くなります。
また、大人が共感出来るようなシーン{netabare}(例えばちさとと紡が大人になったり) {/netabare}もあるため、ここから一気に大衆向けの作品に化けます。

また子供っぽいと思ったキャラクターも徐々に成長していき、大人になっていきます。
これが本作の魅力です。キャラクターの子供の時代を描くことにより成長した時、さらに感情移入が出来るようにしています。

この後半の展開は前半に張った伏線が無ければ、描写が足りずに感情移入が出来にくかったでしょう。
前半の甘いラブコメがあるからこそ、後半の壮大な世界観を描けるのです。

終盤になるにつれて、世界観の壮大さが強調されていきます。前半は、小さな恋愛物語を使って若年層の共感を呼び、そのあと徐々に前半に張った伏線を回収しながら設定を活かした壮大な話を描く。

本当に計算されている作品だと思います。
説明しなくても分かるシーンは、視覚のみ情報で理解できます。また陸と海との関係で、感情的になるところは、対立は中々終わらないということの、少し説得力が増えて良かったかなぁっと思いました。
ネタバレ有りのところでも書きますが、勢い任せの展開は、視聴者の感情を高揚させるためのテクニックであり、テクニックに現実世界のような心理を求めるのは、的外れもいいところです。この作品は、とてもそれに優れていて、とにかく感情を高ぶる良いシーンが多いです。
なので、私は視聴者の感情を高揚させることが本当に計算されているな、と感じました。(どういう風に感じたかはネタバレ有りのレビューで語ります)


深いテーマ性も物語を楽しむ上での醍醐味なので、ぜひぜひ考えてください。


↓以下ネタバレの長文。かなり書いてます。。。すいません。


{netabare}

■まなかが紡のことを好きだと思わせるミスリード
前半は、まなかが紡のことを好きだと思わせる徹底的なミスリードが行われています。
まなかが紡に釣り上げられるシーン、まなかが赤面して教室から出て行くシーンや、紡がまなかを助けるシーンなどなど。
例を上げればキリがありません。

1話目で、
紡「綺麗だ」
まなか「え、あ、なんだ魚のことか・・・」
紡「あんたも」

なんて台詞を入れているんですから、まなかは紡と結ばれるのかな、と思っちゃったりしました(笑)
完全に製作者の意図に騙されましたね(笑)

最終的にまなかは紡ではなくて光が好きだということは分かります。
その展開を視聴者に読ませないために、わざわざあんなフラグを作ったんですね。


■海の人間と陸の人間の対立
学校のシーンやおふねひきの件で揉める件で強調されています。

学校のシーンでは、通ってきた中学が廃校になったため転校してきた光たちに対して、陸の子供たちは、からかったり馬鹿にしたりしました。
海の人間と陸の人間の関係について数話を使って、上手く描写していたなと感じます。

また中盤のシーンでもその対立は描かれています。
おふねひきの件で、光のお父さんを含んだ海の人間と陸の人間が口論から喧嘩に発展するシーン。

結局、どちらが悪いのか分からないですけど、とりあえず凄く対立しているんだな、ということが分かりました。


その対立も、海の人たちが冬眠することで、陸の人たちが海の人たちに支えられていることに気づいて、また海の人たちも冬眠する前はなんだか寂しげな表情をしていました。

お互い憎んでいたけれど、お互い支えあっていたり、お互いいなければ分からないことがあったと気づきました。

■要
告白するというのは自分を納得させるため。
要は、冬眠の前に、ちさきに告白したり、光に、まなかに告白するように迫ったり、突然理解できないような行動を取ります。

しかし、全て告白するというのは自分を納得させるためだ、という要の自論に基づく行動なら納得がいきます。


相手に気持ちを伝えないということは、自分の気持ちに嘘をついたまま過ごすということ。
例え、相手の事を大好きでも、自分の気持ちに嘘ついてしまっては、なんだか心の仲が落ち着かない感じになってしまうかもしれません。
だから自分を満足させるために告白するんだ、というのが要の自論です。


その考えは告白すると人間関係にひびが入るかもしれないから嫌だ、というちさきやまなかに否定されてしまうのですが...

まぁこのあたりの価値観の押し付け合いは、子供っぽいなぁと思わせるシーンでした。

■変わらないもの

冬眠から覚めた光は、変わった街を目にして、変わらない自分と比較してなんだか途方に暮れます。

「自分はつい前まで、おふねひきをしていたのに、いきなり街が変わって、美海も大きくなって、もう何がなんだか分からない。
これ以上、変わったものを見てしまったら、俺は耐えられないかもしれない。
だからちさきには会いたくない。
もっと変わったものを見ちまったら、もうおかしくなりそうで見たくない。」

そう思っていた矢先にたまたま成長したちさきに会います。


「あぁなんだ
変わらないものもあるんだ」


5年間という空白は大きかった。
けど、5年間立っても変わらないものはある。
どれだけ変わろうとも、変わらないものは絶対存在するんだ。

そういうことを思わせるシーンでした。


■変わるもの

光達が冬眠している間に、ちさきと紡は二人で三人が目覚めるまでゆっくり時間を過ごします。

ちさきは、もしも光達が帰ってきたら、自分が光を好きでなければ、光達がなんだか遠い存在になるような気がするので、光のことを想い続けます。
自分が光の気持ちを無くしてしまえば、戻ってきたみんなは自分の変化に気づき、複雑な心境になるからでしょうね。


光達が戻ってきてから、ちさきは徐々に自分の好きという気持ちが紡に移っている事に気づきます。

分かっていてても認めたくないちさき。
そう、それを認めてしまったら、みんなを複雑な心境にさせてしまうかもしれない。

だから、認めたくない。


元々、ちさきは変わるのが嫌だから、告白して自分自身を満足させている要の考えには同調していませんでした。
今の関係が壊れるのが嫌だから、光に告白しませんでしたし、要が告白したほうが良いと勧めても、拒否しました。

そういった考えだから五年立っても人間関係が壊れるのが嫌で、光の事を想い続けたままでいます。



要はそんなちさきを見て、おふねひきの事を思い出します。

あの時、自分が紡を救わなければ、自分はちさきと一緒に入れたのではないか。
そうしていれば、ちさきが今好きな相手は紡ではなく自分だったのかもしれない。

でも、自分が紡を救わなかったら、確実に紡が死んでいた。


けど、最初からちさきは紡の事を気になっていた。
自分が紡を救わなくて、誰かが紡が救っていたとしても、結局、ちさきは紡の事を好きになっていただろう。


だって 人の気持ちは変わるものだから


どれだけ変わらない事があっても人間関係は何年もすれば変わるもの。
人の気持ちは移り変わるもの。



ちさきは紡の事を好きだって認めたくない。


けど、人の気持ちが変わるという事を知る。


だから気持ちが変わるという事を受け入れて、紡のことを受け入れる。



やっぱり時間が変われば人間関係が変化するんものなのだなぁっというのを感じたシーンでした。






■美海
今思い返すと、光と美海を5歳差にしていたり、美海が光に助けられたシーンを描いたりしたのは、全てはラストのためだったんだなぁ、と感じます。

まなかさんも好きだけど、自分も光が好きだから、まなかさんとは恋敵になってしまう。
そういう複雑な状況になり、精神的に追い詰められます。

さらに、光と同い年になった事で、いつも遠くから見ていた光と傍で一緒に学校に行けるという事に喜びます。

ですが、その考えも光の「これ以上、変わったものを見たくない」という発言を受け、「私馬鹿だった」と自らの考えを否定しています。

良いことがあった、と思ったら、すぐ嫌なことがある。
美海の人間関係は複雑で嫌な感じですね(笑)

そんな美海の出した答えとは?


■好きになってもいいんだよ
これを伝えたかったのかな?
これだけドロドロした恋愛物語を見せられてきて、「好きにならなければいい」、と一瞬でも思えるシーンがありました。
しかし、それらのシーンは全てこのテーマを伝えるためだったのですかね。

美海の出した答えでもあります。


製作者の主観的なメッセージ。
もしも、相手を好きになったら、それなりに苦しいことや辛いことが待っています。
場合によっては相手と結ばれるのは、難しい場合もあります。
けれど、好きという気持ちを無くしてしまえば、そもそも好きから生まれる味わい深い感情を得られないので、多少損していることになります。
そういう寂しい人生は嫌だな、そういう好きを感じない人生は嫌だな、という少し子供っぽくもとれるメッセージ。

それを14歳の美海を使って、最終話で伝えています。
誰かを好きになるというのは、海神様とおじょしさまのエピソードのようにとても素晴らしいことなんだよ。
好きにならなきゃこういう感情を味わえないんだよ。
だから私は嫌だな。
誰かを好きになった気持ちを忘れたくはないな。
例え叶わない恋でも、この感情がただの感情になるのは嫌だな。
だから、好きになっていいんだよ。
光も海神様も。
もっと素直になっていいんだよ。

ということを、主観的なメッセージであるもののしっかり伝えています。






子供っぽくても、子供っぽいからこそ、枯れた心には良いメッセージになりました。

好きという感情がどれだけ味わい深い感情かを再認識させてくれる。

とても良い作品でした。


あ、あともう一つだけ。
好きな気持ちは人間を変えてしまうことがあります。


例えば、作中の中で、
光はまなかを救うために、何回も海の中に潜りましたし、
美海は光を庇いましたし、
人間を突然本気にさせたり感情的にさせたりします。


光は美海を別のベクトルでしたが好きでしたが、ベクトルは違えど、最後のシーンで必死で助け出そうとしました。






どういうことかというと、


人の強い想いは時にとんでもない奇跡を起こすことがある。




これだと思うんですよね。


好きだということは相手を強く思うこと。
強く思うというのは人間のやる気が湧く要因になるということ。
やる気というのは、人間が行動するというためのエネルギーになる。

行動するというのは、時にその行動する量により周りに影響を与えることがある。
周りに影響を与えるということは、大いなる流れを変える可能性がある。



一つの大きな想いが、大きな行動を生み出して、大きな流れを変える可能性があるということです。


明治維新であれ、フランス革命であれ、大きな想いが無ければ大きな行動は生み出せませんでした。


何か大きな行動を起こそうと思うとそれなりのやる気が必要です。

やる気の源になるのは感情です。強く思う事です。


好きだと強く願えば、その好きのエネルギーが世界を変える原動力になるかもしれません。
その好きがやる気になって、世界を動かすやる気の一つになるかもしれません。


可能性が低くてもゼロではありません。


だから私は好きな気持ちは、時として人間を変えてしまうということがあり、その時に生まれた強い感情が世界を変えてしまうこともあるのだと考えます。


例え小さな変化だったとしても、その小さな変化が大きな流れを変えてしまうことがあるのだと考えます。








『海神様、まっこと面白いですなぁ人間と言うものは』


『傷ついて答えはなくても、それでもひたすら足掻き夢を見て』



『その想いが大いなる流れを変えるやもしれん』






『ぬくみ雪が止みましたな』


byうろこ様



{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 50

68.3 3 姉弟で家族なアニメランキング3位
ブレンパワード(TVアニメ動画)

1998年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (163)
883人が棚に入れました
自然災害で荒廃した近未来の地球を舞台に、海底から浮上した謎の遺跡・オルファンとともに宇宙へ飛び出そうとする思想を持つリクレイマーたちと、それを阻止しようとするサバイバル艦ノヴィス・ノアのクルーたちとの物語である。

声優・キャラクター
白鳥哲、村田秋乃、朴璐美、青羽剛、渡辺久美子、磯辺万沙子、名越志保、佐古正人、堀部隆一

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

女体がすごい。自然崇拝原始共産制的母系社会という富野氏の理想か?

 地球と裸体の女性から始まる物語。プレートから生まれるブレンパワード。こういうところから「母」の物語だろうというあたりが付きます。がそれだけではなさそうなのは見ているうちに感じられます。

 キングゲイナーで「漢」を描いているのと対照的に「女」な気もしますが、本作の方がテーマの幅は広いし深さを感じます。

 富野氏はミソジニー(女性嫌悪)であることは過去作でわかりますが、しかし母性としてマリアとしての女性に対する憧れもあると感じます。バブル経済やフリーセックス的な退廃などへの嫌悪などもあるでしょう。そして、軍事覇権国家としてのアメリカ嫌悪。核兵器嫌悪。原始共産制への憧れ。平和主義というよりは母系社会的自然崇拝です。

 ストーリーは、唐突な展開で一見分かりづらいですが、ちゃんと見ていると普通に話はわかると思います。むしろ、キャラの言動に戸惑いが残ります。
 ですが、ちゃんと対比として女性の生き方について表現しています。戦いや地球の滅亡を図るオルファンにいるときの特に女性たちの言動が頭を使って優秀ですが攻撃的で非常に感情的です。一方でノヴィス・ノアにくると女性たちは他人を思いやれるようになります。言動がちょっとスピリチュアルになってくるので違う意味で論理性に欠けるように感じます。
 ブレンパワードの制服が非常にフェミニンな感じでマタニティに見えなくもないのは意図的でしょう。もちろん比瑪は姫。つまりお姫様です。

 またオルファンを牛耳っていた伊佐未一家。ジョナサンによる母と姉の不倫というか親子丼みたいなバブル的退廃…権力至上主義とあいまって結果的にイケメンに操られるところなども描かれています。家族崩壊です。
 一方で、バロンとジョナサンの関係性がオチになっているところもまた、家族関係についての愛憎劇になっています。
 家族の因縁はいたるところに描かれていました。その一方で孤児である比瑪ちゃんなり子供たちが重要な役割を果たすことから毒親、親のエゴなどの視点もありました。


 オルファンはそのまま「孤児」という意味です。比瑪ちゃんが孤児院にいたことと子供たちがでてくることが重なります。ビープレートが子供あるいは孤児という意味ですね。
 プレートからブレンパワードなりグランチャなりが生まれることや、ビープレートが対になっていることから子宮とか精子とか男女のアナロジーでもあり抽象的な生命を産み出す仕組みのようにも見えます。登場人物がほとんど男女ペアになって行きますし。
 そもそもオルファンが初めは2つが争っていて、一方が女体なら…も一体は、という宇宙夫婦喧嘩だろうなという想像もできます。つまり、本作は性交妊娠出産育児という具体的な事象のアナロジーと遺伝、社会をつないでゆく子供たちという抽象的な象徴とがあえて曖昧に描かれていた気がします。

 オーガニック…と言う言葉は有機ですね。無機=機械との対比です。花のエネルギーですからね。それと人のつながりですから、随分と牧歌的な結末ではあります。

 と言う感じで盛沢山のものが入っているので、ストーリーそのものは唐突感がありますが、どこかに考えさせられる要素があるし、結果的に面白いです。3話くらい乗り切って見方がわかると面白くなります。

 アニメそのものの全体の設定は、やはりベースにはガンダム+エヴァという感じですね。リアルロボットに世界系的手法を入れて見た感じです。一方で「マクロス」で有名な河森氏の「エスカフローネ」時に顕著に見られた自然崇拝も感じます。オルファンの設定は「ラピュタ」+映画「インデペンデンス・デイ」のような感じがしました。


 ガンダムのララアとか、逆襲のシャアの女たちとか、Vガンダムのカテジナとかなどとのつながりを感じます。
 そういうものを分かりやすく抽出した「女」「母性」「出産」の話ではありますが、しかし、比瑪ちゃんは内面がほとんど描かれないのが面白いですね。結局富野氏は女性が単独では描けないのでしょう。

 むしろ伊佐未一家の母姉とユウの内面描写が見どころだと思います。グチャグチャともめている一家の醜さとか男から見た「おっかない女性・ビッチ」に見える女性という点で非常によく描けています。もちろん女性から見たらそんなのは男の幻想でしょ?という気もします。


 女性といてばそれにしても「女体」がいいですよね。もちろん全裸OPが顕著です。女性の輪郭線をよく見ると分かると思いますが、非常にリアルな線でしかも美しく描かれています。それでいてエロくないけど女を感じる素晴らしい線画でした。服装も胸を強調していますし。女体の描き方についてはアニメで一番すごいかもしれません。

 OP曲最高です。歌い手の方は他のアニメや曲でお見掛けしませんが、アニソンの中ではベスト10には入るいい曲です。

 ということで、少子化の今。本作は注目されていいのではないでしょうか。昔見終えましたが深く入り込めなかった印象がありましたが、改めて最近ちょこちょこ見ていたら、のめり込みました。本当に面白かったです。

 ブレインでパワード。頭脳で強化された。意味は?「お前等頭をつかえ」?




 

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

レタスの人 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

理解できるけど理解しがたいアニメだった

サブカル系アニメには多い理解できるけど理解しがたいアニメ

父親が異常なほどにアニメ好きだった反動からか、私はアニメ自体余り得意なほうではなく、ガンダムとかもまるで見たことが無いのだが、調べてみるととある有名な監督の影響でこうなっているとの事だ
有名なのにキャッチーじゃない作品というのもおかしな話だが

話を戻すと下手な雰囲気サブカルアニメよりも非常にテーマが曖昧、遠まわしで難解になっている分演出自体はわかりやすい人間模様が見える

これが典型的な雰囲気アニメと貶められるアニメだとやりたいことはわかるが伝え方がもっと芸術性を高めようと抽象的なものになる事が多い(結果何かを誤ってホラーやグロアニメ等と称されることになる)

要するにこの監督が他にどんな作品を作っていて、この人はどういう趣向や性癖をしているか私の知る由ではないのだが、この作品を見た上で言わせてもらうなら自己主張の通し方がある意味でうまい人だとは思った

これはもう土台からしてわざとわかりにくく作っているのは明白だが(正直この人は雰囲気アニメを作れない直情型、というよりもキャラ立ちや台詞回しその他演出を見る限り、人を楽しませられるエンターテイメント性に強い人だと思うからこれは失敗だと思う)

もっと娯楽性に富んだキャッチーなアニメを製作した場合、物語性に於ける面白さだけに優先せずにそこに一貫したテーマや意味、伝えたいことをしっかりと封入できる才能があると思った

例えば昨今で多く量産されている若者などに大人気の萌え系、モテモテ系やらバトル系やらにはそういったものは介在しない
これは話に何の意味も持たせず、瞬間的な多幸感や娯楽性を重点としているからだ

当然そういったアニメはまた一つの正しい形であるが、古くから続けられてきたロボット作品などには大体一貫したテーマ、反戦争やらなんたら主義についての意見等が物語性に含まれているらしい
こうなってくると、物語を進めていく上での謎や伏線を回収していくにつれて第二の物語が進行していく様を垣間見るのは、悪者が現れてそれをただ悪いというだけで倒すだけで終わらせたり、なんか楽して強くなって何の脈絡もなく女の子にエッチな事してもらえたりしてグッドエンドするのとでは視聴への楽しみが二倍違うわけだ

小説やシリアス系の映画を好むタイプであれば、やはりアニメにもこういった伝えたい主張や意見を汲み取った上で納得できる楽しみがあれば面白さはぜんぜん違う

そして、こういった主張をしつつエンターテイメント性を欠く事のないだろうこの監督には頭が上がらないばかりだ

この作品では悪い部分が垣間見えた結果だと思われるが、少なくとも私としてはこの監督は高い評価に値すると考えられる作品だった

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

オーガニック的な台詞で印象に残りやすいSFロボットアニメ

このアニメは、「機動戦士ガンダム」などで
非常に有名な富野監督が制作した作品の一つである。
「白富野」作品の一つとして、あげられることが多い。

大きな特徴としては、タイトルでも挙げている通り
独特な台詞回しだ。
普段の会話では、めったに出てこないだろう。
例をいくつか示す。

「な、なんだ?この、げっっそりする感覚は!」
「死ねよや!」「ストレッチくらいさせろよ」
「それはよくない」 「ひゃっこい!!!( >Д<)」
あまりにも多すぎるのでこの位に。

一番難易度が高いと感じたのは、主人公の勇が
ヒロインである比瑪に言った台詞
「お前のブレンパワードの扱い方、イエスだね!」 だ。
何回か、リピート再生したのだが
まったくもって理解できない。
このセリフの後、なぜか比瑪が納得しているため
難解さにさらに拍車をかけている。
このやりとりに関し、完全に理解できた方が
いたらぜひ教えて欲しい。

このアニメが良いと感じたところは、
親子関係を丁寧に描いているところ。
主に、主人公・勇の家族と
そのライバルであるジョナサンの
家族に焦点を当てている。

オーガニック的な台詞でやりとりされる故に、
とても印象に残りやすいものとなっている。
また、そのセリフのほとんどが、確信を突いており
考えさせられることが多い。
見ているときは、笑ってしまうのだが。
一番強烈なのは、9話におけるジョナサンと
アノーア艦長のやりとりだろう。
その後の、ジョナサンとクマゾーの会話もすごいが。

OP映像も、脳裏に焼き付くレベル。
なぜか、女性の裸がこれでもかと言わんばかりに
登場するのだ。リアルタイムで見た方は確実に
驚いたであろう。ちなみに、女性の裸があそこまで赤裸々に
映し出されるシーンは、本編にはないのでそれ目当てに
視聴すると確実に後悔する。

良くも悪くも、富野作品が好きな人向けのアニメ
であることは間違いない。某動画サイトで
台詞をまとめたシーン集があるので、それを見てから
判断することをオススメする。
個人的には、間違いなく良作だと思う。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

82.0 4 姉弟で家族なアニメランキング4位
DARKER THAN BLACK-ダーカーザンブラック 流星の双子[ジェミニ](TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (1735)
10285人が棚に入れました
突如東京に出現した謎の不可侵領域『地獄門(ヘルズ・ゲート)』。それに呼応するかの様に世界中で『契約者』と呼ばれる特別な能力を持つ者たちが現れた。ゲートの秘密を得ようとする各国の諜報機関は『契約者』を利用し、エージェントとして東京に送り込まれた彼らは異能の戦いを繰り広げる。その果てに起きた未知の災厄『トーキョー・エクスプロージョン』より2年、冬のロシアを舞台に新たな物語が始まる。
ネタバレ

mikura さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

衝撃のラスト(へのつっこみと解釈)

 まず一番いいたいのは、オープニングの曲がとても良かった。
 ステレオポニーの「ツキアカリのミチシルベ」。
 曲も最高ですけど、歌詞もモラトリアム世代にとって切なくて苦しく、聴いていると心を抉られて魂を抽出されそうな素晴らしい言葉があふれています。

 肝心の本編。
 契約者同士のバトルはジョジョのスタンド対決、あるいは甲賀忍法帖の秘術対決のようで、見応えがあって楽しめます。
 1話で009ばりの加速能力を持つゴランが、ちんたらと雨粒を降らせたエイプリルの前にあっさり自滅したのには笑いました。
 
 しかし、CIAとかFSBとかMI6とか三号機関とか「組織」とか、誰がどの集団に属していて、それぞれの集団は最終的に何を目的としていて、なぜ敵対しているのかなど、物語の背景がわかりずらいです。
 それでもwikipediaで補完しながらなんとかついて行ったのは、「ゲート」をはじめとしたこの世界の秘密がいつかすっきり明かされるのではないかという期待感からでした。

 で、最終話まで見たのですけど、以下ネタバレ。
{netabare}

結局今作でも「ゲート」と契約者、そしてドールが誰によって作られ、なぜ現れたのかは分からず。
紫苑(イザナギ)は契約者になってしまった者たちが普通の幸せな暮らしを営む世界を望み、自身の「ものをコピーする能力」を使って地球を丸ごとコピーする計画を立てる。
契約者を自殺させてその魂を集める銀(イザナミ)と協力して、コピーした地球に契約者たちの魂と記憶を送り込み、楽園ともいうべきもうひとつの地球を作ろうとする。

主人公の蘇芳は実は5才の時に死んでおり、現在の13歳の彼女は2年前に紫苑自身のコピーとして作られ、ME技術によって記憶を創造して与えられた存在だった。
 性別が違っているのは紫苑のコピーする能力が「本物と一つだけ違う点がある」という性質のため。
 
 なんかもうまさに古事記の序盤で、イザナギとイザナミがオノゴロ島を作った場面ですね。
 古事記は過去の神話じゃない、未来の予言書だったんだよ!
 しかしまってくれい。
 銀って、前作では単なるドールだったじゃん。
 人間の時はキルシーって言って、ピアノが好きなかわいい子だったじゃん。
 感情を表せないドールになっても、指先で笑顔を作ろうとするけなげな子だったじゃん。
 それが「契約者の魂を抽出して集めて、もうひとつの地球に送りだす」なんて巳真兎季子もはるかに凌ぐ能力をいつ授かったのでしょうか。
 まあそれはいいとして。

 地球を丸ごとコピーするということ。
「あれは月じゃない。もうひとつの…(地球よ)」とオレイユさんは言ってましたけど、万有引力って最近になってなくなったんですか。
 コピーして隣に作ったら、すぐ衝突するだろ物理学的に考えて。いや衝突の前に潮汐力で崩壊するな。
 
 それともイスカンダルとガミラスのごとく、二重惑星になるように、二つの地球の中間地点を重心として、ロシュ限界の外側でお互い公転しあうように、もうひとつの地球を作ったのでしょうか。
 普通に考えるとそれしかありえない。
 でも最後にこのコピーの地球は、本来の地球から離れていくんですよ。
 その莫大な推進力はどこから来たんだよぅ。そしてどこにいくんですかい。 

 コピー地球では蘇芳がパパやママ、そして人間のジュライたちと平凡で幸せそうな生活を送っています。
 あれっ?
 契約者やドールであった蘇芳やジュライはいいとして、パパやママ、その他一般人の魂までは、銀は集めてなかったんじゃないの?
 これはつまり、もとの地球で死んだ契約者たちの魂は意識と記憶、自我とともにコピー地球に行ったが、他の一般人たちは単なるコピーってことですかね。
 
 蘇芳のママは、もとの地球でも死んではいないから、コピー地球の方と合わせて二人同時に存在することになるからね。もちろんコピーされた一般人たちも、それぞれ記憶と自我はあるんでしょうけど、地球のオリジナルの魂が乗り移ったわけではない。

 つっこみどころと謎が多すぎますが、すべてを解決する答えはある。
そう、この作品は唯識の世界を描いた作品だったんだよ。
つまりバーチャルリアリティの世界。「13F」みたいな。
 だから物理法則を無視して地球のコピーができても、それが動いても何の不思議もないんだ。
 これを言っちゃあおしまいだぁ。
 結局こんな解釈しかできず申し訳ない。
 
 しかし私はとても面白かったんです。
「世界の秘密が明かされる」系の話は大好きです。
 続編はなさそうですが、出たとしても、もう頭がついていけないでしょう。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

旅の終わりに待ち受ける運命

制作はボンズのオリジナルアニメです。
ジャンルはSF・スパイバトルアクション・ヒューマンドラマです。
精神衛生上良くないシーンもありますので注意です。


前作「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」のレビュー。
http://www.anikore.jp/review/839168/


まず精神衛生上良くない例のシーンが3話、加えて8話にも若干あります。
私には本当に気持ち悪かったので二度の注意。
人によってはマジモンのトラウマになりますw(私がなりかけた)
{netabare}Gはあかんでしょ…
Gに蝕まれて死ぬなんて絶対嫌だ…{/netabare}


舞台は前作の二年後のロシアから。
黒もとりあえず主人公ですが、実質的な主人公は13歳の少女、蘇芳(すおう)・パブリチェンコ。
彼女と黒の逃避行を中心に描かれます。
よくよく考えれば、花澤さんがヒロインではなく主人公の作品を多分初めて見ました。


悪くはないです。
というか、途中まではむしろ素晴らしい出来。
でも、典型的な「ストーリー自体は面白いんだけど尺が足りねええええええええええ」という作品ですw

内容自体は前作以上にダークでシリアス。
正直、8話終了時点で「これは傑作来たか?」とか勝手に思ってしまったw
でも収拾がつかなくなり、最後に駆け込んでゴールした感は否めません。
ホントのホントにもったいない作品。


蘇芳の幼馴染たちの話も悲しくて切なくなったし、黒との逃避行も私は結構好きでした。
事前に「外伝」を見ていたから黒がいろいろ変ってしまった設定は問題なし。
ストーリーラインも考えられているし、降りかかる残酷な運命に立ち向かう蘇芳の姿も良かった。
前作に引き続いて登場する霧原美咲、ジュライ、そして{netabare}猫{/netabare}なども良い味を出していたし、新キャラのターニャの存在感がいろんな意味で凄かった。


では、気になってしまった点。
まず、ゲストキャラの扱いが雑な点でしょうか?
前作はここが売りだったのですがね。
蘇芳が主人公というのは分かりますが、ゲストキャラで良キャラが一人もいないw

次に、ストーリー的には重要なキャラのはずなのに、掘り下げがほとんどない点。
蘇芳の弟である紫苑と父であるミハエル、情報屋のマダム・オレイユ。
彼らは超重要人物なのですが、作中での描写は数えるほど。
これでは最終回に納得いかないという諸兄がいてもおかしくないw

最後に、伏線の張り方と設定の説明。
伏線の張り方がエグいため、多分ちゃんと見ても最終回で納得いかなくなること必至。
それに加えて、前作同様に設定の説明が不親切なのでやっぱり訳が分からなくなってしまいます。


これで完結したようですが、ちょっと不完全なようなそうでもないようなw
誰を主人公として見ていたかでこれは変わりそうです。

以下詳しいネタバレ。
{netabare}蘇芳は紫苑の能力で作られたクローン。
彼の能力は一か所だけ不完全になってしまうみたいですが、性別が変わってしまったようです。
だから僕っ娘だったのね。
最後の最後に登場した銀の男の子バージョンは、蘇芳とジュライを“もう一つの地球”へと転生させる取引で紫苑が作り出したものでしょう。
続編作ったら面白くなりそうだけど、もうないらしいw

このストーリーの核は、紫苑によるゲートや契約者のいない平和な“もう一つの地球”複製計画にマダム・オレイユが協力していたこと。
マダム・オレイユは人類の歩みを保存するために協力していたこと。(人類補完計画?)
蘇芳の旅は、“流星核”を用いてクローンである彼女が記憶を定着させられるかという実験だったこと。

これらのことを分かっていると、ストーリー展開に納得がいくはず。
蘇芳とジュライの最期はちょっとしんみりしちゃった。
でも、基本的に一回見て分からないストーリーはダメだと思いますけどw
紫苑の言動が全体的に分かりにく過ぎる。
鎮目の唐突な裏切りや、銀と黒のその後、オーガスト7の謎の登場など、よく分からんところも相変わらず多いです。

“もう一つの地球”に転生した蘇芳からしたら幕引き、黒と美咲からしたら「俺たちの戦いはこれからだ!」ですねw{/netabare}


総括して、残念ながら傑作になり損ねた大作という感じですw
引き込まれて一気見した立場からすると、まとめ方には納得いかないかな?
前作のハードボイルドな雰囲気や黒が好きな人は視聴を考えた方が良いかもしれません。
どうでもいいですが、OPが良曲でドハマりしました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 43
ネタバレ

天啓 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

タイトルなし

ダーカーザンブラック 二期

一期より二年後の話
全12話(1クール)作品
一期及び二期の完全続編

物語
銀を失い 失意の黒
髪は伸び無精髭を生やし、生気を失ったような風体
しかし、生きる為 CIAに雇われ 相変わらず危ない橋を渡る

今回の舞台は、ロシアと日本
ゲートとMEと呼ばれる記憶操作の研究者の双子の姉弟を中心に
物語は展開する

銀の居場所やその他の情報を掴むためと生活のため
一期であれだけ雇い主である組織に裏切られた黒なのに
CIAや、他の組織に雇われる黒


この科学者が殺害され、双子の弟(シオン)は行方不明、姉(スオウ)もロシアの諜報部に
シオンと間違え拉致されそうになる
CIAより シオンを探し、シオンの持つ流星核なるアイテムを奪取する様指示された黒

ロシアや日本の機関と争奪戦を繰り広げ
シオンの拉致に成功と思いきや・・・これがスオウだった。
スオウもシオンの行方を知りたい、黒も当然しりたいと利害関係が一致

各国機関に追われながらも、シオンが日本に居るという情報を掴み、彼女と共に日本へ旅をする

シオンの方が実は物語のキーとなる人物

双子の姉(スオウ)も兄と間違われ、各国諜報部より追われる(人違いなのに)
それを救いながら真実に迫ってゆく黒

本作のメインヒロインはスオウ(CV:花澤香奈) サブヒロイン 霧原美咲 改め一之瀬弥生(CV:水樹奈々)
とイン(銀)(CV:福圓美里)

感想
一期は二話毎のストーリー構成だったので、ストーリーが細切れな感じしたんだけど
本作は 12話を全てを通してのストーリー構成となっている
内容もとても濃く、毎回続きが気になる作りになっていて、ほぼ一気見してしまった。
(かなり引き込まれた)
後半10話以降に あ!と驚く展開も用意されていて、とても面白かった。

黒と銀の恋愛要素もほんのりあり
スオウも世話してくれた黒に惚れる(まあ主人公補正でお決まりではあるが)
特に銀が第三機関の生命維持装置みたいな箱の中で目覚め
黒の元へ観測霊を飛ばす(銀の観測霊は人型をしている)
{netabare}銀の観測霊が黒に寄り添うのを見たスオウが嫉妬から観測霊の現れた電柱を蹴飛ばすシーン{/netabare}が
印象的だった。(マオから銀は黒の特別な女だと聞いていたため余計に腹立たしかったのだろう)
そういうところの演出も上手く出来て居る
黒は銀を救出できるのか?と外伝レビューで書いたが 
その結果もきちんと最終話でやってくれた。(望む形では無かったけど)

2009年の作品なのだが、作画もかなりいい
声優に関しては、スオウ役の花澤さんの演技も大変良かった

ただ、桐原美咲役の水樹さんが・・・・
一期は良かったんだけど
クールな役なんだけど 役作り意識し過ぎた感があってちょっと違和感だった
(演技に自然さが無く、かなり無理してる感じ)
ただラストのナレーションはとっても良かった。
(流石にNHKの番組でナレーション数多くこなしてるだけの事はある)

あと本作(1,2期通して)
脚本がかなりエヴァの影響受けてるように感じた
ヘブンズゲート、ヘルズゲート出現=ファーストインパクト
三鷹文書という予言書=死海文書
銀のイザナミ化=綾波のリリス化
イザナギとイザナミの出会いによる災厄=セカンドインパクト
等など かなり共通しているところがある様に思えた

払拭されない疑問点
アンバーは何故美咲に三鷹文書の秘密を教え、未来を託したのか?
どうして美咲だったのか?
(個人的には、今回も登場する、あの間抜けな探偵 倉沢だったら、相当面白かったと思うのだが)

最後まで結局 ヘブンズゲート、ヘルズゲートとは何か?は明かされないままだったのが少し残念だった(どんな願いも叶う場所って言うだけで納得できる人はいない)

OP ツキアカリノミチシルベ  一話目では ん??ちょっと世界観にあってないな?と思ったのだが
二話、三話と聞くたびに癖になってきて かなり中毒性ありです。

バトルアクション好きなら1期、恋愛好きなら外伝、ストーリーを楽しむ2期って感じでどれも良くできている

結構ストーリーも練りこまれていて かなり満足できる作品でした。
お気に入りがまたひとつ増えました^^

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

88.3 5 姉弟で家族なアニメランキング5位
機動戦士ガンダムSEED[シード](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (2001)
10216人が棚に入れました
コズミック・イラ(C.E.)70年に「血のバレンタイン」の悲劇によって引き起こされた、ナチュラルを代表する地球連合軍(O.M.N.I.Enforcer)とコーディネイターを代表するザフト軍(Z.A.F.T.)の緊張は頂点に達しやがてコーディネイターのみからなるスペースコロニー国家「プラント」は、ナチュラルの国家群からなる国際機関「地球連合」に対し独立を宣言し、戦争が始まる。\n中立国オーブのコロニーヘリオポリスで平和な学生生活を過ごす学生だったキラ・ヤマトは、ザフト軍の襲撃に際し秘密裏に製造されていたモビルスーツストライクガンダムに乗り込み、撃退する。軍の最重要機密に触れたという理由で拘束されるが、その優秀なパイロット能力などから、人員不足のアークエンジェルにおける主戦力として、ストライクのパイロットを務めることになり、激烈な戦火の中に身を投じていくこととなる…。

声優・キャラクター
保志総一朗、三石琴乃、桑島法子、子安武人、豊口めぐみ、高戸靖広、井上隆之、白鳥哲、鳥海勝美、渋谷茂、千葉一伸、大川透、宝亀克寿、石田彰、摩味、関智一、笹沼尭羅、関俊彦、川津泰彦、田中理恵、西川貴教、進藤尚美
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

クソキャラの宝庫だが、展開のドラマチックさは高評価です。

シナリオをメインで書いているのが両澤千晶氏という女性の方で、その旦那様(福田己津央)が監督を務められた作品、ということで、本作は何といっても{netabare}別にメカに搭乗して戦うわけではない{/netabare}女性キャラ達の描かれ方の濃さが印象的でした。

戦闘シーンの作画の使い廻しが目立つ、後半に{netabare}安直な「実は双子の姉弟だった」ネタや「死者(と思われた人の)生き返り」ネタ{/netabare}が出てくる・・・などの理由から、私の個人的評価は余り高くなりませんでしたが、とにかく本作は多々ある『ガンダムシリーズ』の中でも、シナリオが一二を争うほどドラマチックで飽きが来ず観易いと思うので、これから同シリーズを見始めようという方には、そのファースト・チョイスとして薦めできる作品かも知れません。


◆視聴メモ
{netabare}
・第1話(PHASE-01)視聴終了時点
ガンダムシリーズ第1話恒例の極秘開発MS(新型ガンダム)強奪イベント回。
・第5話(PHASE-05)視聴終了時点
初の本格戦闘回でようやく身を乗り出して見れる展開に(それでも『ガンダム00』の神戦闘回には遠く及ばず)。
・第7話(PHASE-07)視聴終了時点
本作の正ヒロイン(ラクス)が初めて本格登場する回。
・第10話(PHASE-10)視聴終了時点
前回とこの回で裏ヒロイン(フレイ)がマジキレ笑。一方、サイ(メガネ君)って意外と良い奴なんだね。
・第13話(PHASE-13)視聴終了時点
ガンダム・シリーズ恒例の大気圏降下イベント
・第27話(PHASE-29)視聴終了時点
カガリの養父ウズミの口をとおして「完全平和主義」(ガンダムW参照)のようなことが語られる回
・第28話(PHASE-30)視聴終了時点
ガンダム2機が失われるバトル回だが、ただ単にパイロット達が感情的にイキリ立ってぶつかり合っているだけに見え、戦術・戦略ものとしての見どころがない点が残念。
・第29話(PHASE-31)視聴終了時点
なぜキラがオーブ近海から一気にラクス邸に運ばれたのか何の説明もない。全くのご都合主義にしか見えず流石にシナリオの適当さに白ける。
・第33話(PHASE-35)視聴終了時点
ようやく戦術・戦略面から幾らか見どころがあるバトル回に。
・第34話(PHASE-36)視聴終了時点
「真の敵は何か?」というラクス及び彼女に“感化”されたキラの問いかけが前面に出てくる回なのだが、「真の敵は裏で糸を引く軍産複合体である」とかいうひけらかしが何となく鼻についてちょっとなあ・・・
歌姫にして思想家の「聖女」ラクス←『マクロス』のミンメイとどうしても比較してしまう。
・第36話(PHASE-38)視聴終了時点
ガンダムシリーズ恒例の強化人間(人工異能者)&真におぞましい敵(ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエル)登場回
・第39話(PHASE-42)視聴終了時点
キラ&カガリが双子って・・・安直すぎて白ける・・・
・第40話(PHASE-43)視聴終了時点
バルトフェルトが生きていました・・・でクソ・シナリオ確定(第20話(PHASE-21)であんな描写しといて「実は男の方だけ生きてました」は無謀)。
・第43話(PHASE-45)視聴終了時点
本作の仮面の男(クルーゼ)の抱える闇が暗過ぎてイマイチ。
・第45話(PHASE-47)視聴終了時点
これまたガンダムシリーズ最終盤恒例の巨大殲滅兵器登場回。{/netabare}


◆制作情報
{netabare}
原作          矢立肇、富野由悠季
監督          福田己津央
シリーズ構成      両澤千晶
脚本          両澤千晶、吉野弘幸、遠藤明範、こぐれ今日子、面出明美、森田繁、野村祐一
キャラクターデザイン  平井久司
メカニックデザイン   大河原邦男、山根公利
音楽          佐橋俊彦
アニメーション制作   サンライズ{/netabare}


◆パート別評価

(1) 第1~13話(PHASE-01~13) (13話) ★ 4.1
(2) 第14~26話(PHASE-15~28) (13話) ☆ 3.6
(3) 第27~38話(PHASE-29~40) (12話) ☆ 3.7
(4) 第39~48話(PHASE-41~50) (10話) ☆ 3.8
(5) TV未放送話(AFTER-PHASE)  (1話) ☆ 3.5
-----------------------------------------------
  総合   (計48話+未放送1話) ☆ 3.7


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= 機動戦士ガンダムSEED (2002年10月-2003年9月) =============

  - - OP「INVOKE -インヴォーク-」、ED「あんなに一緒だったのに~ReTrack」 - -
{netabare}
第1話(PHASE-01) 偽りの平和 ☆ 開戦11ヶ月目、ザフトのコロニー・ヘリオポリス(中立国オーブ所属)強襲・ガンダム強奪作戦、キラ&カガリの出遭い、キラ&アスラン再会
第2話(PHASE-02) その名はガンダム ☆ キラのストライクG初操縦・初戦闘(対ミゲル)、クルーゼ機来襲、母艦アークエンジェル(AE)発進
第3話(PHASE-03) 崩壊の大地 ★ ナチュラルとコーディネーター、ストライクG(キラ機)vs.イージスG(アスラン機)
第4話(PHASE-04) サイレントラン ☆ 破壊されたコロニー、フレイ救出、キラの逡巡と仲間の参戦
第5話(PHASE-05) フェイズシフトダウン ★★ 地球軍辺境要塞アルテミス前方の戦い(AEvs.ヴェサリウス)
第5話(PHASE-06) 消えるガンダム ★ アルテミス軍の取調べ、ザフトの強襲、アルテミス失陥
第7話(PHASE-07) 宇宙(そら)の傷跡 ★ ザラ国防司令(アスランの父)、デブリ帯での補給任務、ユニウス7追悼慰霊団代表ラクス救助
第8話(PHASE-08) 敵軍の歌姫 ★ キラとラクス・クライン(アスランの許婚)の出遭い、船内の波紋(フレイのラクスへの反感) 
第9話(PHASE-09) 消えていく光 ★ 大西洋連合の救援艦、フレイの父の死、人質ラクス
第10話(PHASE-10) 分かたれた道 ★★ キラ&ラクスのAE脱出、ラクス&アスラン再会、クルーゼの卑劣行為阻止(ラクス)
第11話(PHASE-11) 目覚める刃 ★ 第八艦隊との合流直前の敵襲、キラのSEED発動
第12話(PHASE-12) フレイの選択 ☆ アラスカ降下命令、フレイの軍務志願、キラのAE残留選択
第13話(PHASE-13) 宇宙(そら)に降る星 ★★ フレイの賭け、降下作戦開始、第八艦隊壊滅、脱出艇炎上{/netabare}

  - - - - - - - - - - OP「moment」、ED(変わらず) - - - - - - - - - - -
{netabare}
第14話(PHASE-15) それぞれの孤独 ☆ コーディネーターの説明、フレイのキラへの接近 ※使い回し多い点は×
第15話(PHASE-16) 燃える砂塵 ★ 地上、バルトフェルド隊(砂漠のトラ)の襲撃、フレイのキラ篭絡、キラSEED発動(2回目)、レジスタンス(明けの砂漠) ※フレイの行動にはやっぱり驚くな笑
第16話(PHASE-17) カガリ再び ☆ 北アフリカ戦線、キラとカガリの再会、キラとサイの亀裂
第17話(PHASE-18) ペイバック ★ タッシューの街(トラのお仕置き)、アフメドの死、砂漠の戦い(SEED3回目)
第18話(PHASE-19) 宿敵の牙 ☆ ヴァナディーア(トラの本拠地、AEの武器補給、ブルーコスモスの襲撃、バルトフェルドとキラ&カガリの接触)
第19話(PHASE-20) おだやかな日に ☆ アスランのラクス邸訪問、コーディネーターの進路、オペレーション・スピットブレイク可決
第20話(PHASE-21) 砂塵の果て ★ バルトフェルド隊vs.AE総力戦、カガリ出撃、バーサーカー(狂戦士、SEED4回目)、バルトフェルド戦死か?
第21話(PHASE-22) 紅に染まる海 ☆  カガリのキラ励まし、紅海の戦い、ニコル出陣
第22話(PHASE-23) 運命の出会い ☆ アスランの隊長任命、アラビア海の戦い、カガリvs.アスラン遭遇戦
第23話(PHASE-24) 二人だけの戦争 ★ 孤島の一夜、カガリ&アスランそれぞれの捜索
第24話(PHASE-25) 平和の国へ ★ オーブ連合首長国(中立国)近海の戦い、カガリの養父(ウズミ)、オノゴロ島接岸{/netabare}

  - - - - - - - - - - - - OP「Believe」、ED(変わらず) - - - - - - - - - -
{netabare}
第25話(PHASE-27) 果てなき輪舞(ロンド) × アスラン隊のオノコロ島潜入、ストライクの性能評価・キラへの協力要請(SEED命名) ※使い回し多い(半総集編)
第26話(PHASE-28) キラ ☆ ヤマト夫妻の秘密、トリーの飛翔先 ※シーン使い回し過多{/netabare}

  - - - - - - - - - - - - OP(変わらず)、ED「Distance」 - - - - - - - - - -
{netabare}
第27話(PHASE-29) さだめの楔 ★ AE出港(両親・カガリとの別れ)、オーブ領海外の待ち伏せ、ニコル戦死(ブリッツG喪失) ※演出いまいち×
第28話(PHASE-30) 閃光の刻 ★ アスラン隊の猛攻、ディアッカ投降(バスターG鹵獲)、トール戦死、キラ(SEED5回目)vs.アスラン(SEED1回目)、ストライクG&イージスG喪失
第29話(PHASE-31) 慟哭の空 ★ MIA(任務中行方不明者)認定、オーブ軍のアスラン救助、ラクス邸での目覚め
第30話(PHASE-32) 約束の地に ☆ AEアラスカ到着、マルキオ導師、SEEDを持つ者、AE医務室の騒動(ミリアリア&フレイの殺意)
第31話(PHASE-33) 闇の胎動 × 軍令部の査問、転属命令(ナタル、フラガ、フレイ)、アスラン特務隊昇進 ※使い回し多い(半総集編)
第32話(PHASE-34) まなざしの先 ★ オペレーション・スピットブレイク発動、クルーゼ隊来襲(アラスカ本部侵入、フレイ拿捕)、Nジャマーキャンセラー搭載最新鋭機フリーダム出撃(キラ)
第33話(PHASE-35) 舞い降りる剣 ★★ 捨て駒AEの地球連合軍本部防衛戦、サイクロプス起爆作戦、キラ到着(SEED6回目)・両軍撤退要請、アラスカ・ジョシュア本部基地壊滅
第34話(PHASE-36) 正義の名のもとに ★ ザラ議長の怒り、敵前逃亡艦AE、ラクスの問いかけ、ジャスティス出撃(アスラン)
第35話(PHASE-37) 神のいかずち ☆ AEの中立国オーブ再入港、パナマ失陥(地球連合軍のMS投入・失敗、虐殺)、フラガのストライク搭乗 
第36話(PHASE-38) 決意の砲火 ★ オーブへの最後通告、地球連合軍のオーブ侵攻(ムルタ・アズラエルの新型MS投入)、ディアッカ解放・参戦、アスラン到着・加勢 ※脚本の判り辛さは×
第37話(PHASE-39) アスラン ☆ 個人の意思による介入、連合軍一時撤退 ※生体CPU隊(ブーステッドマン)の設定が色々と安直×
第38話(PHASE-40) 暁の宇宙(そら)へ ★ 真の敵(ブルーコスモス盟主ムルタ)の物量攻撃、ウズミからカガリに託される思い、脱出艇クサナギ発進、オーブ壊滅 ※脚本粗雑な点は×、ED「暁の車 〜ReTracks」{/netabare}

  - - - - - - - - - - - OP「Realize」、ED(変わらず) - - - - - - - - -
{netabare}
第39話(PHASE-41) ゆれる世界 ☆ AEのクサナギ乗員接収、シーゲル・クライン殺害、宣伝戦開始(ラクスvs.ザラ議長)、双子のうちあけ、連合軍AE級2番艦ドミニオン(DM)艦長任命(ナタル)
第40話(PHASE-42) ラクス出撃 ★ アスラン宇宙要塞ヤキン・ドゥーエ(YD)帰投・父(ザラ議長)との対決、クライン派決起・核機動G母艦エターナル発進(バルトフェルト艦長、ラクス座乗)、キラ来援・合流
第41話(PHASE-43) 立ちはだかるもの ★ ムルタ・アズラエルDM乗艦、ナタルの降伏勧告、ラミアスの拒否、廃棄コロニー・メンデルの戦い(AEvs.DM)
第42話(PHASE-44) 螺旋の邂逅 ☆ 続き、クルーゼ&フラガ&キラの因縁の場所
第43話(PHASE-45) 開く扉 × 廃棄研究施設、コーディネーター創出の闇 ※キラとクルーゼの出生譚だが展開が伏線不足で飛躍し過ぎ
第44話(PHASE-46) たましいの場所 ☆ 戦争を終わらせる鍵(DMのフレイ回収)、ヴェサリウス轟沈、キラ&ラクスの心の接近 ※ED「FIND THE WAY」
第45話(PHASE-47) 悪夢は再び ★ 地球連合軍の核兵器使用(ボアズ壊滅)、クルーゼの目的、連合軍のプラント核攻撃、AE来援、ジェネシス発射
第46話(PHASE-48) 怒りの日 ★ アスラン&カガリの心の接近、その他登場キャラ達の感情関係の収束、最終決戦開始、ジェネシス再発射
第47話(PHASE-49) 終末の光 ★ 地球軍月面基地壊滅、プラント再核攻撃、フラガ戦死か?、DM轟沈・ナタル&アズラエル死亡 ※展開がゴチャゴチャし過ぎで大味は残念×
第48話(FINAL-PHASE) 終わらない明日へ ★ 憎悪の連鎖、フレイ死亡、キラvs.クルーゼ、ザラ議長死亡・ザフト軍崩壊、ジェネシス爆発・クルーゼ戦死、戦争終結へ ※同上× ※ED「FIND THE WAY」{/netabare}
--------------------------------------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)4、★(良回)24、☆(並回)17、×(疑問回)3 ※個人評価 ☆ 3.7


AFTER-PHASE 星のはざまで(OVA) ☆ 3.5 {netabare}非武装平和を訴えた5分16秒の後日譚(※TV未放送、DVD13巻およびBlu-ray BOX第4巻に収録){/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

キャラ用品としてのSEED

えーと、ついにSEEDレビューです。

自分が最初にガンダムと名の付くものを見たのはこの作品だが、
自分が最初に見たガンダムシリーズはZ。SEEDは似たロボットに乗った
別ジャンルのアニメという認識がついこの前までありました。

これは放送に当時見ていて、毎週見るって程では無く時間があった時に
眺める程度だったので、後に通して見るまではそれ程記憶に残らない作品。
ではあったもの、アニメが面白いという感覚がこの頃から芽生えて来て、
アニオタの友人達はこれが放送された頃に関わり始めた人が多いです。


最初、これのレビューを「ロボットに乗った昼ドラ」を主題に書いた
んですけど、F91を最近また見てるうちに、一応これもガンダムとして
認める事にしたので、私の中ではSEEDは暫定的にはガンダムです。


女性でもこの作品のファンの方は相当多いはずなので、自分としては
余計な敵を作らないよう、腐臭が、とか腐用品、とかうっかりいつもの調子
で口走らないよう、細心の注意で腐要素に触れないように頑張る次第です。

ガンダム作品のレビューは作品を見た直後で無ければ、レビューを書く前に
ウィキを見た上で名場面を見たり、一通り早送りしてもう一度見直したりして
記憶を補填してたんですけど、SEEDは見た回数の多さもあって人様のレビュー
を読んだだけでレビューを書ける程度の記憶は蘇りました。


この作品は主にナチュラルとコーディネーターの戦争を描いたものですが、
この戦いの裏でコーディネーター(この作品を評価する人々)VSニュータイプ
(こんなのガンダムじゃねーよ)の戦争も行われており、当時ガンダムが好き
だった友人の殆どはニュータイプ陣営でして、この作品への罵詈雑言を幾度と
なく聞かされたのですが、ここのレビューにもやはり生粋のニュータイプの方
はいらっしゃいますね。

新規の腐・・ではなく若い世代ファンを獲得すると共に、昔ながらのガンダム
ファンへの卑劣な裏切り、SEEDはそういう裏切りも明らかにテーマの一つにある
ので、そういう点も見所です。


■嫉妬、裏切り、憎悪、恐怖、金

旧ガンダムシリーズの場合、基本的に戦争の背景にあったのは「理想、信念、
主義主張、国民の為、愛」とかだった訳ですが、SEEDの戦いの背景にあるのは
「嫉妬、裏切り、憎悪、恐怖、金」と、所詮はシリーズ構成(脚本監督&脚本)
がメsb・・女性なので、おおっと昔の友人の発言がつい、、

あー、なんでもないですよ。別に戦争の理由とかはなんでも良いですよね。
綺麗事じゃ戦争はできないよね、アスハのお家芸だな、っと。

自分はドロドロした昼ドラもかなり好きなんで、見るのには特に抵抗が無かった。


■作画について

MSのデザインは昔ながらの大河原さんなんで、多少プラモ意識はあるにしても
許容範囲・・じゃない人もいましたけどw

キャラデザはスクライドにも書いたんですけど平井久司で、この人いのまたを
意識してて、更にSEEDはデザイン協力に「いのまたむつみ本人」がいるんで、
ほぼいのまた画。当時のテイルズシリーズのゲームをやっていると抵抗が無い。

で、まあいのまたの作画が・・については、

検索 「いのまたむつみ」について語るスレ
検索 なぜテイルズは腐女子の物になってしまったのか

とにかく昔のガンダム作画よりは万人受けしやすい。

作画の話じゃないですが、テイルズオブエターニアの主人公の声が石田、
メインキャラのもう1人の男が保志なんで、キラとアスランは逆にしただけ。
テイルズ系をやり込んだんせいで個人的には受け入れやすい作品だった。


■キャラ用品としてのガンダムSEED

客観的に書こうかとも思ったけど、ここは主観丸出しで書くことにする。
というか、客観的に言えばコードギアス並の規格外のキャラ用品作品なんで
それ以上はもう好き嫌いの話になる気がするんだ。

で、魔法使いの人のレビューからパクってきたキャラ&声優リストを元に、
個人的にいらないキャラを削除しつつ、★評価にしようかな
・・しかし、あの人あれだけ作品見てるのに声優を気にしないとは珍しい。


てか、このサイト声気にしない人多過ぎじゃないかな。
俺周りのアニオタの人に「お前は耳が腐ってる」ってよく言われてたけど、
その筋の人からすると自分の耳も声優知識も話にならん位の代物。

やっぱりここはアニメ好きはいてもアニオタは少ないサイトだと
つくづく思う。声優云々にしても他の知識方面にしても、俺が知ってる
ダメ人間、変態達とは明らかに人種が違う。・・まあいいや


なるべくネタばれしないようには書くけど、多分無理だから。ね

◆キラ 保志 ★★☆☆☆
声と最初のシーンや種割れ後の無双っぷりは良いけど、性格が気に食わん。
周囲に踊らされるある意味被害者だけど、最高の~って割にはお前その性格
全然ダメだろ。一体何のための遺伝子操作技術なんだよ
SEED Dの方では頑固で変な正義振りかざして無双するから割と好きだけど。
 
◆アスラン・ザラ 石田 ★★★★★
「クワトロ・バジーナ百式出る!」以来の「~出る」の個人的な大ヒット
なんだよあの出撃シーン、ありえん、ありえんわ。あんな恥ずかしい機体名
なのに、なんであんなにカッケーんだよw
声といい、台詞といい、性格といい、キラへの説教といい、こいつは良い男
SEED Dでの記憶も濃いけど、俺が腐なら間違いなくこいつ目的になるな

◆マリュー 三石 ★☆☆☆☆
月に代わっておしおきするかバリアントだけ打ってろ。★はバリアントの分

◆ムウ・ラ・子安 ★★★★☆
出てきた瞬間から、ある特定の目的、見せ場へと向かう事が約束された存在。
子安好きなんで色々な意味で期待を裏切らない男だった。

◆ナタル・バジルール 桑島 ★★★★☆
こいつは良い女だった。出番もうちょっと増やせよ、MSに乗せろよ勿体無い
製作側はなんであーゆ事にしたかな・・。
ショートでこの手の顔全く好みじゃねーのに、桑島の仕事に騙されたのかも

◆フレイ・アルスター 桑島 ★★★★★
ラクス派?カガリ派?何を言ってるんだ
SEEDのヒロインはフレイだろ。流石ビッチが脚本書いただけあって良いビッチ
に仕上がってる。カテジナさんも良いがフレイも良い女だわ。こーゆー女を・

◆カガリ・ユラ・アスハ 進藤尚美 ☆☆☆☆☆
隊長様には悪いけどこいつはイラン。なんでこんな女をアス・・は・
金髪好きでもこの女の良さは理解できない
あ、この声優の人は京都弁喋らせると、本場の人なんで素敵なキャラになる。
SEEDとは関係ないけど。

◆ラクス・クライン 田中理恵 ★☆☆☆☆
勝手に歌ってろ、★1個はカガリよりはマシって事と後半の一部シーンの分だ
むしろお前の歌とかどうでも良いから、さっさとストーリー進めろ

◆サイ・アーガイル 白鳥 哲 ★★★★☆
惨めで哀れで絵になる男。あのシーンは名シーンだった。もうホント頑張れよ

◆ミリアリア・ハウ 豊口 ★★★☆☆
この★3はただ一つのシーンの評価。ゲームだとふざけて使った記憶はある。
豊口の無駄遣い、でもあの一瞬の輝きは忘れない

◆イザーク・ジュール 関 智一 ★★★★★
名前を聞くだけで笑いがこみ上げてくる。関の仕事と良い、素晴らしい人材
もっと色々な奴と喧嘩しておけよ。お前の怒鳴り声は絵になるw

◆ディアッカ・エルスマン 笹沼 晃 ★★★☆☆
良い男だったけどイザーク程じゃない。イザークがいるから輝くんだぜお前

◆ミゲル・アイマン 西川 貴教 ★★★☆☆
もっと西川君に喋らせてやれよw 絶対もっと喋りたかっただろこいつww
なのに初っ端で・・ったくクソ製作が。
旧ガンダムシリーズを愛するこいつとかガクトとかは重鎮として丁重に扱え

◆クルーゼ 関 俊彦 ★★★☆☆
WINGのデュオの時はどうでも良かったけど、こっちじゃ良い仕事してくれた。
ゲームのTODのロニの声の人ね

◆アンドリュー・バルトフェルド 置鮎 ★★★★☆
この名前と置鮎の時点でハズれるはずがない。魔法使いの人アンディ・~って
書いてたけど、ダメだよ。「アンドリュー・バルトフェルド」と書かないと。
いや、知らんけど。こいつは旧ガンダムシリーズにいる格好良さだったなー。

◆アサギ、ジュリ、マユラ ★★☆☆☆
三下のMS雑魚女集団は伝統だけど、これは良い三下だった記憶がある

◆檜山・アズ(ry ★★★☆☆
というか、キャラ設定云々じゃなく檜山は檜山ってキャラなんで、ここ重要



省略したキャラはね、もう知らない

ストーリーは詳しいところはよく覚えてないし、SEEDはキャラ用品として
何度も見てたんで、一応ガンダムではあると認めつつも、やっぱりガンダム
では無いと思うかなー。

声優が豪華で、キャラも良いのが揃い、名言の質はともかく数は復活してる。
ドロドロした人間関係に抵抗が無いなら見て楽しいアニメだとは思うし、
起こる事件も旧ガンダムシリーズに近いもの、ってかそのままのが結構ある。

SEED Dになるとシャアの池田が加わるから、昔のファンでもそういう点では
楽しめる作品になってる。けど、昔の作品と比べた時の違和感は多分消えない


ま、SEED以降のは別ジャンルのアニメとして見るべきかな。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

こまたち さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ロボットアニメ入門作品にどうぞ

2002年放送のアナザーガンダム
全50話

プロットはほぼファーストガンダムと同じだが、設定や細部の描き方はとても巧妙でした。(後術するが)特筆すべきは戦闘シーンと様々な”愛”をテーマに繰り広げられた人情劇でしょうか。前者に関しては、従来のロボットアニメにはなかったある種の”衝撃”とこれからのガンダムにおける戦闘シーンの”新たな可能性”を感じました。また歴代ガンダムシリーズの中では最もストーリー(とキャラの心情変化)が理解しやすく、旧来の難解で感覚的であるというシリーズイメージを払拭するものでした。ガンダム初心者に何を勧めるか?という議論に対してよく本作の名前が挙げられますが、私個人としてはガンダムとしてだけではなくロボットアニメの入門としても本作を推奨したい。以下、ポイントを分けてレビューしていきます。

【物語】
・アースノイド(地球人)とスペースノイド(宇宙移民)、力を持つものと持たざる者。その確執がもたらす悲劇と戦争を主題として扱う本作は妙なリアリティを持っています。現実と照らし合わせてもこういったことって十分起こりうるものじゃないですか?力あるものへの畏怖・恐怖、そこからもたらされる攻撃的精神-。こう文字にしてみると、私は史実におけるある悲劇を思い起こします。そういう意味では、本作で描く悲劇や戦争は意外と私たちのすぐ近くにあるのかもしれません。この親近性がシナリオに対する共感や感心を生み、現実のテーマに対する哲学的思考を促したものと感じました。

・シナリオの描き方が実にうまい。焦点をミクロから徐々にマクロへシフトさせる描き方はシナリオに対する深い共感を呼び起こされました。たとえば、ミクロの視点ではキラとその正体に対する身近な人々の反応はなかなかに面白かった。「友達が実は化け物でした」と言われて、それでも「俺はお前の友達だ」って簡単に割り切れる人ってなかなかいないですよね、たぶん。その心の葛藤に良くも悪くも人間味を感じました。フレイは嫌悪感丸出しにしていたが、それもそれで悪くない。そしてそれに対するキラの反応も非常に良い。前半パートはキラのメンタルがひたすらにズタボロにされる胸糞ストーリーでしたが、その慈悲のない徹底的なスタンスはむしろ称賛もの。作品の導入・つかみとしてはこれでもかというくらいバッチリでした。

【キャラ】
・敵・味方問わず濃い。とにかく濃い。芸人イザークさん、ヒール役のフレイ、二重人格の疑いがある頭お花畑の歌姫ラクスなどなど。というか、主にこの三人。またガンダムの恒例か、主人公の周りの大人がとにかく良い人。人格者。マリュー艦長、ナタル、ムウ、バルトフェルドetc…。こういった様々なキャラを楽しめるのも本作の魅力のひとつ。

・本作のサブテーマは”愛”であろうか。異なる種類の愛が垣間見えるのも本作の魅力です。それは大人の恋愛であろうか、はたまた傷を舐めあうだけの関係か。思春期の恋慕、運命論的な巡りあわせなど様々な様相を呈する。

・サブキャラの名シーンが非常に多い作品です。

【戦闘シーン】
・”戦場のシーンに合わせて機体のソフトを最適化しながら戦う”といった斬新なスタイルが個人的にはツボでした。ファーストガンダムを見たころは全く気にしていなかったが、いわれてみればそうだよねという感じ。地形の違い、重力の有無など、seed以前のロボットアニメってここらへんを無視したものが多かったような、、。普通に考えたら即対応なんて不可能なはずなんだけど、そんなこと考えもしなかったですね。

・本作において最も楽しませてもらったのは艦隊戦を主とした戦闘シーンです。これまでのシリーズにおいては飽くまで艦はわき役で、ガンダムをはじめとしたMSによる戦闘が中心に描かれていました。本作においては艦を死守することを第一目標と掲げていたことも幸いして、MSが艦の護衛として戦闘のわき役に徹していました。これの何が良いかって、戦術目標が明確化されることです。つまりは戦闘における勝ち負けを何をもって判定するかがはっきりとします。その結果として、戦闘における臨場感や高揚感、わくわく・どきどきといったものがより色濃く感じられるようになりました。MSが無双する戦闘シーンも好きですが、こういった一見すると地味だがすごくたぎってくる戦艦中心の戦闘シーンも非常に良いものです。…という理由もあって、本作では後継機のフリーダムより初期機体のストライクのほうが好みです。あとにもさきにも、後継機が下手に回るのは本作だけ。

【残念な点】
・実は生きていましたという展開はいらない。あったとしても説明が欲しい。本作においては2名が該当するが、いずれも演出的には絶対に死んでいる。あえて理由を挙げるなら、「コーディネーターは丈夫だから」だろうか。そんな理由だったらなんでもありのご都合主義まっしぐらなんだけどなぁ…。

・ラクスはサイコパスかもしれない。もしくは二重人格者。行動原理が不明だし、言動に一貫性を感じない。ただ単純に描写不足で済まされない汚点が残ってる。ストーリー進行の道具としてしか機能してないので、人間味も魅力も全く感じない。きわめて不快なキャラ。

以上

ロボットアニメ入門にぜひご視聴を!!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

84.9 6 姉弟で家族なアニメランキング6位
おおかみこどもの雨と雪(アニメ映画)

2012年7月1日
★★★★☆ 3.9 (1825)
9952人が棚に入れました
いまや全世界が待望する、細田守監督の最新作は「母と子の物語」。おとぎ話のような不思議な恋をした女性・花は、おおかみこどもの姉弟、"雪"と"雨"を育てることになる。「親と子」という普遍的なテーマを、人間とおおかみの二つの顔をもつ ≪おおかみこども≫ というファンタジックなモチーフで描く。いまだかつて誰も見たことがない傑作が誕生する。

声優・キャラクター
宮﨑あおい、大沢たかお、黒木華、西井幸人、大野百花、加部亜門、林原めぐみ、中村正、大木民夫、片岡富枝、平岡拓真、染谷将太、谷村美月、麻生久美子、菅原文太
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

細田監督の良さがふんだんに!(補足追記)

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。

 2回目でした。2時間くらいの現代ファンタジー。
 1回目は、ながら見だったせいもあってか、あまりよくない印象を持っていたと記憶しています。今回きちんと見て、この作品の魅力にやっと気付けました。好きかどうかは意見が分かれる可能性がありますが、表現が非常に細かく、圧倒的な情報量が込められた傑作だと思います。私は非常に楽しめました。(補足を追記しました)


伝聞形式:{netabare}
 この作品は、オープニングでもエンディングでも、語っていたのはユキでしたよね。つまり、この物語は、語り手のユキの視点で描かれたものだったと言えます。この作品を、第三者の視点で描かれた家族の「ドキュメンタリー」として見てはいけませんでした。あくまでも、ハナから伝え聞いた話にユキ自身の体験を盛り込んだ、ユキの「思い出」のストーリーとして見る必要がありました。
 この辺を誤解するとやや説明不足に感じるかもしれませんね。この作品の世界が、ユキの中で再構成されたものであることを理解した上で視聴する必要がありました。

 オオカミ男がどのような生活をしていたのか、なぜ受講していたのか、なぜ死んでしまったのか。これらが不明なのは、第三者による俯瞰の視点がないからです。
 アメについてももちろん同様です。アメの単独シーンではセリフがありませんでした。すぐ話せるところにハナやユキがいないとアメのセリフは分からない、ということです。
 ニラサキのおじいさんの隠された思いも、嵐の日になぜユキとソウヘイだけが置いて行かれたのかも、ハナやユキがいないから不明である、というだけでした。

 ユキとハナの二人が知らない事柄や、ユキがハナから聞いていない事柄は、ユキの「思い出」の中では語りようもなかった、ということですね。説明に不足しているのではなく、伝聞形式を採用しているために説明ができなかったのです。
{/netabare}

ハナとユキの母親像:{netabare}
 まず、ハナにとっての母親とは何なのかを探ってみます。
 ハナが父親と写っている写真が出てきますが、その写真にハナの母親は写っていませんよね。写真のハナはかなり幼いですから、物心がつく前に母親を亡くしている(又は離婚している)可能性が高いです。社会から隔離されたオオカミ男と両親を失った孤独なハナが恋に落ち、家族(子供)を求めたのは何ら不思議なことではありませんでした。
 ハナはオオカミの育て方について「知らない」と言っていますが、母親による人間の子供の育て方も把握していなかったのです。親はみんな子育ての素人だという概念以前の問題で、母親という存在を知らないんです。

 では、ユキにとっての母親像とは何なのか。
 ハナは「辛い時でも笑っていれば乗り越えられる」を信条としています。また、ユキの誕生に際して「辛い思いをしないで元気に育ってほしい」と願っています。
 このことから、ハナはユキに対して、自分の辛さを一切伝えずに、笑顔であったことを伝え続けたのだと思われます。これがユキにとっての母親像を「強く優しい笑顔の母」に固定化しているというのは否定できないところでしょう。ただ、それが悪い方へ傾いているのではなく、ハナとユキの間にある愛情についての表現だったと言えます。ユキがそこに疑いを持たないために、あたかも理想像のように見えるのです。

 母親を知らないハナと母親を理想的に見るユキですから、この作品には現実的な母親と言うのは事実上存在しないことが分かります。そして、私たちはユキの「思い出」に影響され、ハナに対しては「強く優しい笑顔の母」というイメージを持ってしまいます。ただし、実際にハナがそのように描かれているかというと必ずしもそうでもありませんよね。

 例えば、子育て中のアパートでは、部屋は汚れ、ポストは郵便物であふれています。本に頼る姿も頻繁に出てきますが、結局のところ、ハナを救っていたのは本ではなく、周りの人々です。子供の親離れにも気付いていませんでした。ハナのイメージは「強く優しい笑顔の母」なのですが、周辺の描写を踏まえると一般的な母親と同様に弱さを見せていました。
 子育てに苦労するシーンでは、ツバメやクマが子連れで登場しています。動物との対比でも苦労を垣間見ることができました。本に頼る描写は後半ではありませんし、理想像のように見えるハナ自身も成長していたのです。

 ちなみに、花はハナの精神状態のバロメーターでもあったようです。分かりやすいのは花瓶で、オオカミ男が亡くなった直後やアパートでの育児中は、部屋に飾る花瓶の花は減っていました。花壇が充実している描写もかなり後半にならないと出てきません。
 笑顔以外のハナを知るには、周囲の描写に注視する必要がありました。
{/netabare}

ユキと二面性:{netabare}
 ユキとアメは、人間とオオカミの選択という作品のメインテーマを背負っています。家の前の分かれ道も、小児科と動物病院も、左が人間で右がオオカミとして描かれていました。ユキとアメが並んで立つシーンも、ハナによる手書きのユキとアメも、左がユキで右がアメと統一されていたようです。常に左側が人間で右側がオオカミだという、方向性の統一が描かれ続けていました。

 ユキを知るためには、この左右の選択に、鏡を加えなければなりません。どこかのレビューで書いたのですが、鏡や水面などの姿が写るものは、二面性の象徴として使われます。

 ソウヘイとのトラブルの前、鏡の前で口論が行われます。
 この時のユキは、現実のユキと鏡に写ったユキの両方が描かれています。そして、左側の階段を下りて、一旦右に振れるも、すぐさま左にはけて行きます。人間とオオカミ(左と右)に揺れているユキが、人間(左)側に行きたいという描写です。二面性を象徴する鏡と、左右のどちらからでも降りられる階段という舞台、そしてハナから聞いた人間でいるためのおまじないを使って、人間とオオカミに揺れるユキの心情と人間側への希望を強く描いていました。
 その時のソウヘイは階段の右側を下りますが、下りきることはありません。その後に「一匹狼」を自称するとしても、下りきれないのは当然のことです。

 一方で、嵐の夜の鏡の前では、ユキは鏡に映った姿しか描かれていません。アメとのケンカに負けた後ですし、それ以外でオオカミの姿にはなっていませんので、鏡の前だとしても二面性を描く必要がなくなっていたのです。人間であることへの強い意志を感じ取ることができます。
 このときのユキのセリフは「大人になりたい」です。このセリフは思春期に入った子供の特典のようなものです。オオカミの成長スピードならこの段階で大人になることも考えられますが、人間であることが確定したユキがこの段階で大人になることはあり得ませんので、あくまでも人間の思春期の真っ只中として描かれていました。なお、思春期への入りの描写は「匂い」(※)でした。

 なお、最後に二面性が描かれる人物は、ユキでもアメでもなく、ハナでした。アメを見送った後の水たまりに写る二人のハナです。かなりくっきりと写っています。人間とオオカミを独り立ちさせたというハナだけのエンディングです。最後に「大丈夫」と言われるのも、ユキやアメではなく、ハナでした。
{/netabare}

 上記以外にも、重要なシーンに合わせるような瞳の揺らぎや光の描写、動物の姿など画面の隅までまで見どころがたくさんありました。家の修繕を進めていくうちに、細部の美しさに気付いていく描写は、家の柱を介して子育てにリンクされるなど、素敵な表現だったと思います。時をかける少女やサマーウォーズと同様に、人間を肯定的に捉える細田監督の特徴は出ていたと思います。

対象年齢等:
 10代くらいから見ても大丈夫だと思います。性に関する描写も10代なら問題ない程度のものです。宮崎駿作品のように、見るたびに理解を深めていける作品だと思いますので、長い期間を通じて楽しんでいきたいですね。


(※)「匂い」の補足{netabare}
 ソウヘイはユキに「獣臭い」と言っています。なぜこの「匂い」がユキの思春期入りの描写になるのかについて、補足を入れておきます。

 このセリフは、表面的には「オオカミ臭い」という意味を持っています。これがユキの受け止め方であり、その後のストーリー展開に直接的な影響を及ぼします。ただ、描写的には、全く別の意味を持つことが分かるようになっていました。

 単に「オオカミ臭い」ことを表現するのならば、この「匂い」は、オオカミが気付かずに人間が気付くものでなければなりません。すなわち、ユキ以外の生徒たち全員が気付く「種族の匂い」のはずです。しかし、ソウヘイ以外の女子生徒たちは、その「獣臭い」には気付いておらず、気付いていたのはソウヘイだけでした。

 つまり、実際の「獣臭い」は、人間かオオカミかを判別する「種族の匂い」ではなかったということです。女子生徒が気付かずにソウヘイだけが気付くという、女性と男性を判別する「性別の匂い」だったのです。端的に言うと、「生理の匂い」「血の匂い」という意味でした。これをソウヘイは「獣臭い」と表現していたのです。

 初見時には、ソウヘイの臭覚や感性が他の人より鋭くて、「種族の匂い」に気付けたのでは?と思ってしまったのですが、そう言い切ることはできませんよね。ソウヘイに関して、そのような描写・エピソードは用意されていませんから。その結論を出してしまうと、先入観や思い込みで解釈をしていることになってしまいます。
 このシーンでは、ユキに女子生徒と男子生徒を絡ませることで、<オオカミのユキ⇔人間の女子生徒&ソウヘイ>という対比に基づいた「種族の匂い」ではなく、<女性のユキ&女子生徒⇔男性のソウヘイ>という対比に基づいた「性別の匂い」を演出していたということしか見えてきませんでした。

 したがって、このときのユキは、ユニセックスな子供時代を終え、男性が意識する女性へと変わっていたということになります。それゆえに、「匂い」でユキの思春期入りが描かれていた、と言えるのです。ユキの内面からではなく、他者の視点からこれを見せていました。ユキは、オオカミの血にコンプレックスを持っていますから、過敏に反応し過ぎて誤解をしてしまった、とも言えますね。ユキの内面的な思春期は、そのあとの描写で描かれていました。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

短い時間でたくさんのことを考えさせられた映画

見どころが半端ないくらい多いです。

{netabare}
子育ての大変さ、我が子への母親の愛とそれによる頑張り、近所の人の助け、子どもの成長による心境の変化、親への感謝、人生の自己決定、我が子と離れる寂しさ、子育てに終わりはない
{/netabare}

正直、挙げだすとキリがないですが、これだけのことを2時間くらいの映画で取り上げるのは本当にすごいです。
子どもが成長していくだけでも構成はかなり難しいのに、伝えたいこともしっかり入っていて、言いすぎかもしれませんが、clannadを2時間にまとめたレベルの作品だと思います。

パンフレットに書いてあった細田監督のインタビューで「おおかみ子どもは私たち自身である」また、脚本の奥寺さんの「セリフがないところが名場面になる」という言葉があまりにもこの映画をとらえているため、読んでいて鳥肌がたちました。


「おおかみこどもは私たち自身である」
{netabare}
作中では、雨がおおかみとして、雪が人間としてそれぞれが自分で生き方を決め、歩んでいきます。でも、それは人間である私たちも同じことで、自分の生きる道は自分で選んでいかなければいけません。後悔しないようにかつ、責任を持った選択を迫られます。映画の最後で雨が別れるシーン、雨はすごい、言葉に表せないような心境だったと思います。これまで母親にべったりで、すごくお世話になって、母親から「まだ何もしてあげられてない」なんて言葉をかけられて。自分がそんなことを言われたら絶対泣いてしまうし、雨も心はかなり揺れ動いていたと思います。それでも雨は別れておおかみとして生きていくことを決意したのです。感謝の気持ち、寂しさ、すべての感情を背負って別れることにした雨の選択は本当にすばらしいものであり、自分もそんな選択ができる強い人になりたいと感じました。
人の生き方には無限の選択肢があると思います。でも、その選択には大きな決断が伴うこともあるのです。それは今回の映画のようにおおかみとして生きるか、人間として生きるかということと同じであり、「おおかみこどもは私たち自身である」という言葉は、そんな思いから発せられた言葉なのでしょう。
{/netabare}

「セリフがないところが名場面になる」
脚本の奥寺さんは「この映画は映像でなければ伝わらないところもある」というようにおっしゃっています。
{netabare}
まずは映画中盤、雪の中で遊ぶシーン。あのシーンはセリフなしで、音楽とアニメーションの二つによって、自然の雄大さ、花たち家族の楽しさ、疾走感が伝わってくる場面です。記憶が正しければ、笑い声すらなかったように思います。しかし、すごい伝わってくるものがあるのです。思わずすごいと思ってしまうシーンであり、短い映画の中でも、毎日楽しく過ごしてきたんだなと、映画の中の時間に入りこんだ気持ちになりました。
そして、映画終盤、またも雨の別れのシーン。やはりたくさんの見どころはあるものの、このシーンの力の入れ具合から、一番伝えたいのはこの場面なのかなと思います。このシーン、雨は何も話しません。そして、花もいくつかセリフを言った後、しばらく何もセリフがないシーンになります。雨が何も言わないのはおおかみとして生きていく覚悟の表れかなと思います。セリフがないこのシーンは、私はいろんなことを考えました。花の気持ちや雨の気持ち、そしてこの人に考えさせるのがねらいなのかなとも思いました。単に受け身として映画をみるのではなく、自分で想像を働かせ、今花たちは何を思っているのかなと考えさせるなど。あえてセリフをつけないことによって、より感情移入させようとしているのかなとも思いました。だからこそ、その後の雨の遠吠えにより感動を覚えたのかなとも思います。
→追記で
雨の別れのシーンは思ったよりもセリフなしのシーン短かったですね。それでも雨が何も話さないものの表情で揺れ動いていると分かる描写はとても印象的でした。

{/netabare}

奥寺さんの言い分とは少し違うかもしれませんが、想像力を働かせるというのは、小説などの文字媒体に比べ、受け身になりやすいアニメや漫画にとって大切なことだと思います。それに関連して私の中で印象に残っているものが2つあります。
違う作品の紹介になるのであえて隠します。読みたい人だけ開いてください
{netabare}
1つはスラムダンクのラスト1プレー、もう1つはもののけ姫のエンディングです。
スラムダンクは、漫画でありながら、そのラストシーンは全くセリフがありません。しかしそのシーンは、私が読んだ漫画のシーンで№1だと思います。もののけ姫のエンディングは主題歌と音楽を流し、画面は真っ黒のスタッフロールのみです。しかし、私はこのエンディングこそ今まで見てきたどのエンディングよりもすばらしいと思うのです。この2つはここでは言及しませんが、言いたいことは、このおおかみこどもの考察とだいたい同じようなことです。もののけ姫は、また少し違うのですが。
{/netabare}
BDの発売が待ち遠しいです。早く見たいし、みなさんも見てない人は一度、見た人ももう一度視聴されることをおすすめします。


追記:BD届きました!
間違いなく一回目より二回目の方が来るものがあります。次にどんな場面になるか、どんなセリフが来るか分かっている方がつらいものがあったり、泣きそうになるものがあります。
改めてみても、本当に見どころ伝えたいこと満載で、二回目も感動しました。
一つだけ追加の考察を

前から思っていましたがジブリ作品と共通するところがあると思います。私がジブリ作品に魅力を感じたのは、小さい頃に見た時と高校、大学で見た時、同じ作品を見ているのに違う感想を抱いたこと、つまり自分の成長と考えの変化を実感できたことが挙げられます。
おおかみこどももおそらくこのような感想を抱くような作品であると思います。まぁ去年の映画であるため、本当にそうなるかはあと何年かたってからでなければ証明はできませんが。
この考察をさらに続けるとこの作品にはジブリと違う点があり、そしてそれがジブリを越えるものではないかと思うのです。
ジブリ映画は視点がほぼ主人公かヒロインです。私たちはその主人公の成長や感情の動きを感じ取り、そしてそれは見る年齢によって感想が違ったりしています。
おおかみこどもの視点は花と雪と雨の三人であり、しかもそれぞれ年齢が違い、子ども、親というように全く違う視点から見ることができます。さらに付け加えると、作中でみんな歳をとり、成長しているため、もっと多くの視点で見ることとなります。
私も子どもの頃は雪や雨のようなやんちゃな時があったり、分からなくて悩んだときがあったり、あのときこんな感じだったなぁと懐かしみ、二人の行動、そして過去の自分を受け入れました。もしかしたら、私が小学生でこの作品を見たらそうは思わなかったかもしれません。
それ故に花の行動はすごいと思っても、自分はそういう行動をとれるのかなと疑問を感じさえしてしまうのです。これは大人に、そして親になった時に今より分かるようになるかなと思います。
以上から、この作品は自分の年齢、立場から感想がかなり違うものになると私は思います。そして、歳を重ねればジブリよりも直接的に違うことを感じる作品にこれからなっていくと思います。
願わくは、小さいころからこの作品を見る人が増え、成長していくたびにこの作品からいろんなことを感じ取り、より感動出来ればなと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20
ネタバレ

nico81 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

劣等感と自己肯定の物語

考察を繰り返した結果、断言しても良い。
これは子育て奮闘記でもなければ母子の絆の話でもない。
細田守監督自身のコンプレックスの投影と自己肯定という、極めて個人的な内容だ。

さも母が中心かのような広告を打ったのは、そのほうが売れると踏んだからかもしれない。
しかし、母の物語だとすると各要素の必然性が全くなく、あまりにもお粗末な作りだ。
子育てや生活そのものについての批判が多くあり実際その通りだが、おそらくそれらはすべて見当違いだ。

この物語の主軸はあくまでもタイトルにある通り「雨と雪」という2人の子供たちであり、彼らが自分たちの運命(異形であること=劣等感の具現化)と対峙し葛藤することである。
母の存在は物語上の手段として必要だっただけに過ぎない。第一にはコンプレックスの象徴としての狼人間をこの世に産み出すために。第二にコンプレックスを抱えた子供らと監督自身を「(異形のものと承知で)産み、育て、愛し、許す」=「肯定する」ための"聖母"のような役割として。彼女の言動やとりまく環境や出来事は全て聖母として存在させるためであり、そのための宮﨑あおいである。つまり制作側の意図以外には何もない。
そう考えると色々合点がいく。矛盾があろうがなかろうがどっちだって良いのだ。


そして、聖母の救済を必要としたのは {netabare} 弟の雨だ。
彼こそが監督の自己投影の対象だろう。
―母の理想にはなれなかった。母のもとにも居られない。それでもそんな自分をあるがまま受け止め、認めてほしい。それで良いのだと背中を押してもらいたい―
そんな深層心理の表れだと考えるのは深読みのしすぎだろうか?
人でもなく狼でもない中途半端な存在としての劣等感。周囲となじめずに深まる孤独感。母の求める理想に近づけない後ろめたさ。そうして殻に閉じこもり、アイデンティティを求めてもがきさまよう。
やがて、母の属す社会の外側に居場所を見つけてひとり旅立つ。そんな彼を母は泣き笑いで受け入れる。そのままで良いのだと、無言のうちに肯定してやるのだ。彼は希望と許しを同時に手にして、自由へと駆け出していく。
鏡のように対比された姉の選択によって別の可能性も示されるが、彼女もやはり他者からの許し(秘密の共有)を必要とする。

一見、彼らの自己肯定と再出発は成功したかに見える。
しかし、姉の決意には諦念が見え隠れするし、弟は傍目には逃避という言わば後ろ向きの選択だ。しかも全て強引な自己完結で、アイデンティティを獲得したのではなく捨てたようにしか見えない。根本的解決をしていないにも関わらず、それを他者に認めさせることで得た自己肯定は独りよがりに映る。
もっと言えば、そもそも聖母であるべき母こそが狼人間という異形(=劣等感)を生み出すというパラドックスに陥っているわけで、実はこの時点で監督の自己肯定は既に失敗している。
{/netabare}


どこまでが意識的なのか無意識なのかは分からないが、各エピソードの生々しさは高木正勝の聞き心地良いミニマルミュージックによってオブラートに包み、アン・サリーの歌で母性を強調し、姉の独白で視点をずらし、狼人間の姿形を借りて非現実を可視化することで何とかファンタジーの形態を保っているような……つまり計算づくで、ちょっとあざとい。

引き画の多用についても監督は「客観性を保つため」と語っているが、対象が曖昧にぼかされて主題も散漫になっている印象のほうが強い。第一、どうしたって感動系にしかならないプロットにわざわざ客観性を組みこむ必要があったのか。実際、ここ引き画にしちゃったら観客は感情移入しにくいんじゃないかと思う場面が多々ある。劣等感にフォーカスされて物語が過剰にセンチメンタルに転ぶことを嫌ったからでは? もしくは自分の隠された本心を暴かれることを恐れているのでは? などと斜めな見方もできる。

いずれにしても、この「ひどく個人的な心理を覆い隠して普遍的テーマの体裁を取り繕った感じ」にどうしても違和感が拭えず共感も感動もできない。(がしかし、私の同族嫌悪も多分に含んでいる)


サマーウォーズも面白かったけど何かもやもやと違和感があって、それもこの考え方でいけば納得できる。体裁だけはファンタジーなのにどうしても舞台やエピソードが現実的なのは、監督自身が生きる場所であって解決すべき問題ともがきがそこにある(しかも解決していない)から。
だとすると、この人にジブリのような異世界での冒険譚は多分描けない。

しかし、このままではいくつ作品を作っても形を変えて繰り返すだけじゃないのかなぁ…
他者に依存し続ける限り他者を言い訳に使うことも可能で、いつか行き詰る。他者の助けは必要だけど、本当の意味で「自分という人間を受け入れ、自分の人生を請け負う」覚悟をするとき、許しを与えるのは自分自身以外にないのだから。


※だいぶ以前にUP済みだったが、推敲と加筆・訂正を繰り返していまに至る。ここまでの考察は滅多にしないし長文も避けているのだが、どうしても無視できずに自分のために書いた。
自分と似通った業を抱える監督への歯がゆさと、ここまでしてもその業から解放されていない様への苛立ちと落胆を覚えている。きっと「バケモノの子」でも繰り返しているだろうと容易に想像できるのだが、いずれ見届けなければなぁとぼんやり考えている。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

62.3 7 姉弟で家族なアニメランキング7位
君が主で執事が俺で(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (400)
2470人が棚に入れました
『君が主で執事が俺で』は、みなとそふとより2007年に発売された18禁恋愛アドベンチャーゲーム。通称『きみある』。
主人公・上杉錬と姉・上杉美鳩は、父・上杉巌の家庭内暴力がきっかけで家出する。2人は都会である七浜市に辿り着きそこで生活しようと奔走するが、なかなか仕事が見つからず、資金難となってしまう。
ここでの生活を諦め次の場所に移動しようとするが、ひょんなことから久遠寺家と関わりを持ち、事情を知った久遠寺家当主・森羅によって拾われる。錬と美鳩は住む場所と仕事を手に入れ、使用人として仮契約を交わす事に。
かくして、錬の執事としての生活が始まるのだった…。

声優・キャラクター
関智一、伊藤静、後藤邑子、水杜明寿香、氷青、ひと美、浅川悠、田中理恵、秋元羊介、檜山修之、雨宮侑布、たてかべ和也、田内夏子、千晶まひろ

くろゆき* さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

お、俺はシスコンだ。 貞操は…とっておきたい

原作はアダルトゲーム、つよきすなどが有名な会社さん。
アニメ化に伴い声優が変更され、よりパロディ色が強くなっている

基本的なストーリーはラブコメ。
父親のひどい虐待に耐えかねて家出した主人公と姉、
二人はとあるきっかけからお金持ちの執事とメイドして雇われることになる
だが、お金持ちの3姉妹は一癖も二癖もあり、更には大佐という執事もいて・・・
という感じだろうか?

ストーリー的に原作がアダルトゲームなのだが、恋愛要素は薄い。
淡い感じの恋愛要素もあり、女性キャラクターもかなり多いのだが
基本的にウブな主人公とオトナの魅力でからかうようなシーンも多く、
恋愛の駆け引きやそういったシーンは少ない。

また基本的にストーリーは平坦かつ単純、執事とお嬢様たちの日常という感じで
シリアス要素は終盤以外は殆ど無く肩の力を抜いて楽しめる内容になっているが
その反面、ストーリーだけ見るとあまり印象に残らないのは残念だ
この点は強すぎるパロディ要素が脚本を打ち消してしまっているかだろう

本作品のもっともな魅力はパロディだ
某熱血ガンダムの主人公から、旧ネコ型ロボットのガキ大将まで
様々な実力派声優さんが揃っており、各声優さんの過去の作品のネタや
パロディ要素は強く、分かる人にはかなりツボに入る笑いだ(笑)
特に新スネオである熱血ガンダム主人公と旧ネコ型ロボットのガキ大将による
「心の友」というセリフは分かる人には非常に面白い

更には某勇者王もおり、某マスターもいる。
この濃ゆすぎるパロディ要素はたしかに面白いのだが、
あまりにもマニアックすぎる部分をつきすぎており、
わからない人には全然わからないネタになっているのはパロディアニメの欠点でもあるが
本作品はその欠点が出すぎている。

また原作がアダルトゲームということでセクシー要素も多い。
DVD版では色々な部分が見えており、更には女性声優さん達による
えろい演技や喘ぎ声は声優さんのファンならば楽しめる内容になっており
その点は原作がアダルトゲームという点を裏切らない出来栄えだ
ただ全体的に作画のレベルは普通なので、エロさは普通という感じだ

キャラクターも1クールの作品としては多め、あまり出ない脇役などもおり
この点は「必要か?」というキャラが2,3人いるのは非常に気になった
特にメインキャラもである3姉妹の三女などは存在感やストーリー的にも
いらない子だったのでは・・・と感じる。

また、それを後押しするように声優さんの幅が広い。
関智一、伊藤静、 後藤邑子、秋元羊介などのベテランがいる一方で
名前を見ても「誰?」と行ってしまうような声優さんや
この作品が初出演のような声優さんも降り、演技的にも厳しい。
いらないキャラも多かったのでそのぶんの予算をもう少しましな声優さんに変更させるための
お金として使って欲しかったと強く感じてしまう。

全体的にパロディネタは非常に楽しめる。
おそらくアニメ好き&アニメオタクであればあるほどネタ的に
コアな部分をついてくるので笑いにつながるのだが、
コア過ぎてついていけない人はかなり多いだろう。

また執事&パロディという設定がどうしてもハヤテのごとく!を連想してしまい
キャラクター的に優っているハヤテのごとく!の印象が強いので
どうしても「二番煎じ」的な印象を感じやすい。

パロディアニメが嫌いじゃない方にはおすすめできる作品だ。
その反面、パロディが苦手&嫌いな方には閲覧は厳しい作品だろう
個人的にはネタ的に壺だったので爆笑でしたw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

感想未満、そして雑談(王道)

なんでアニメって執事とかメイドとかお嬢様っていうシチュが多いんでしょうね?個人的にはそこまでそそられる設定では無いのですが・・・・。

最近この展開少なくなってきたかな~・・・なんて思ってたらそこまで少なくなって無いことに気が付き、なんかガックリ来ている今日この頃なんですが、この作品を見たのは随分昔でして、これまた全然覚えていない・・・汗w

もう一度見ない事にはレビューすら書く権利も無さそうなんですが、もう一度見る程の価値があるアニメでも無いのははっきり覚えていますので、見ません。ノリで書かして貰いますw

王道。ここまでこの言葉で説明できる内容のアニメも少ない。執事、お嬢様、謎の力、ハーレム、エロなどなどホントどこかで見た事がある様な展開ばかり。
必要なのは斬新さや独創性だけでは無いのは判りますが、ここまで他の作品とリンクする内容の作品を作らんでも良いような気がしますねw

今まで色んなレビューで「王道」という言葉を使ってきたので、一度ここで自分なりに定義してみたいと思います。
ちなみに、goo辞書での「王道」のデフェニションは
1 儒教で理想とした、有徳の君主が仁義に基づいて国を治める政道。
2 安易な方法。近道。
です。
普通の場合は2番がよく使われるのでしょう。

私の中での王道とは、アニメ作品内で使われた方法や状況が大衆に高評価を受けた場合、その手法を廃れるまで使いまくる事を意味します。
それは回数を増す毎に短縮され、内容は意味を成さなくなっていく。なぜなら、複数回その方法を使いまわすことで、その方法が如何なる内容なのを把握する前に定義付けられてしまうからです。つまり、日本らしい「雰囲気で判るだろう」みたいな内容になるということです。

例えば
パンを銜えた少女が道かどを曲ると美少年に当たる。
いきなり強風が吹きスカートがひらりっ!
みたいな感じです。

近年のアニメでは文武両道の才能に溢れた少女、頭は良くないけど何故か人気になる主人公などが多くみられるような気がします。

そして、これらはパターン化されていき、その行動に何の意味も介在しないのに物語に導入される様になっていきます。
例えば、突然入ってくるエロシーン。視聴者の中にはそんなものを求めていない人もいるかもしれないし、そもそも物語との関連性ゼロなのにそのシーンが入ってくる。

これが私が定義する王道です。
つまり、王道に従うアニメは新鮮さに欠け、どうしても斬新さを求める私の様な人間には受けないんでしょうねw

逆に言えば、王道を逆手に取ったアニメ、または王道を作るアニメは人気が出るということです。
まどマギなどは「魔法少女」という王道を裏切り、ゆるゆりは「主人公」の王道たる定義を裏切ったからこそ人気が出たのではないでしょうか。
まぁこれは個人的見解ですがw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

ValkyOarai さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

メイド+金持ちの18禁は「プリンセスラバー」 こっちは執事+メイドにおける18禁 「つよきす」でもパロディあります パロディ豊富www

プリンセスラバーっぽいような展開ではなくパロディを詰め込んだだけ感がしてやまなかった
こんなのってメイドは切り離せない材料です
でも勢力は3つに分かれており、どれか1つに所属するのがこの18禁のスタイル

1話
{netabare}親元を離れての独立...家出だったんだ...
姉も一緒だけど(ブラコンですwww第三者に告白するか?普通...)
上杉錬の声ってまたしてもドモンさんwww(フルメタでも同じ)
あの卵型のメカってトンズラーの声じゃんwwwwww
じゃあメイドと執事の日常を始めましょう{/netabare}

2話
{netabare}あれは...東方不敗マスター・アジアじゃねーかwwwww
同時に大佐さんも同じ中の人だしwwwww
なんだこのパロディ王国wwww
でも主人公過去は著しく重いことに変わりはないんだ。困ったときは姉貴ですwww{/netabare}

3話
{netabare}ジョジョwwwwからのイニシャルDwwww
凄いなこのパロディwwww
九鬼家の面々
ビーフジャーキー食う子もいるわ
マゾい子もいるわ
どれだけー
それと勇者王もいたぞ!?{/netabare}

4話5話
{netabare}カジノで2人発見、家の執事&メイドや
悪いが返して貰うで
流石東方不敗...風をwwwww

チンピラにはお灸を据えないとな...
姉貴つええwwwwブラコンな子って怒らせたらアカン...
あれ、暗殺術じゃんwww{/netabare}

6話7話
{netabare}特徴が無い子に特徴をつけるのって難しいよね
今日もパロディが...それとパンダを飼うのって許可いるよね!?
何で人助けるんにバイクを蹴るwww
揚羽さんの声ってネプちゃんだったw{/netabare}

8話9話
{netabare}ドモンさんのパロディいただきましたーーwwwww

添い寝されたらそりゃあ嬉しいだろうねwww{/netabare}

11話~
{netabare}8時だよ!全員集合
はーじまーるよーwwww
実際は花見です
おーれはジャイアーン、がーきだいしょーう
を思い出したwwwwww{/netabare}

12話~
{netabare}帰る場所は人の自由だ
俺はもう執事だから...

そんなこんなでドタバタは続いていくのです{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

71.9 8 姉弟で家族なアニメランキング8位
僕のヒーローアカデミア THE MOVIE3 ワールド ヒーローズ ミッション(アニメ映画)

2021年8月6日
★★★★☆ 3.8 (59)
357人が棚に入れました
世代を経るごとに深く混ざりあった“個性”が人類史を終焉に導くとする思想≪個性終末論≫を掲げ、“個性”を「病」と称しながら、世界中の“個性”保持者の殲滅を目論む謎の集団・ヒューマライズ。彼らが世界各国に仕掛けた、“個性”を強制的に暴走させ崩壊に導く爆弾<個性因子誘発爆弾(イディオトリガーボム)>から人々を救うため、全世界のプロヒーローと、その下でインターン中だった雄英高校ヒーロー科が招集され、世界選抜ヒーローチームが結成。各地で爆弾の回収任務にあたっていた。エンデヴァー事務所でインターン中だった出久・爆豪・轟の3人も、日本から遠く離れた国<オセオン>で作戦行動中、とある事件に巻き込まれた出久が、なんと全国指名手配されてしまう。そんな中、ヒューマライズからの犯行声明が全世界に届く―「タイムリミットは今から2時間」ヒロアカ史上最大の危機を前に、世界の、そしてヒーロー達の未来が、“彼ら”に託された―
ネタバレ

usami99 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

説明が粗い所を除けば。ロディめっちゃカッケー映画!

原作数冊のみ既読、アニメは全て試聴済みです。
まず今作の主役は確実に「ロディ」というオリキャラだと思います。
彼の存在が好きになれるかどうかで評価はだいぶ分かれそう。
ロディはあまり毒のないキャラなので嫌いな人は少なそうですが、
それでも過去作に比べ、オリキャラのロディが
元からの人気キャラであるかっちゃんや轟くんよりも出演してしまっているので、
それを残念に思うファンも居そう。
せっかくなら大きなスクリーンで好きなキャラを沢山見たいでしょうし…。
また、さらに言えばお茶子や他のクラスメートはエンデヴァーよりも多分出演してません。
あくまでロディ+緑(爆轟)の活躍する映画です。
私はオールマイトが好きなので某レビューで「{netabare} オールマイトがヒロイン {/netabare} 」
という言葉を目にしていたおかげでそれが頭を過ぎってたまに出てくる彼に笑っちゃいましたがw

作画、特に街を駆け回るパルクールシーンやバトルシーンはすごく爽快でいいです。さすがボンズさん。
線が太くなって影がなくなると「あっ…これはぬるぬる作画シーンスタートかな?」となります。
ロディが一番かっこよく映っていたのもここかなと思います。



それと、ふに落ちなかった点(ストーリーの粗のような箇所)がいくつかあり、
そこがどうしても気になり、お話の点数は低くなってしまいました。

{netabare}
まず1つ目にオリジナル敵キャラの弓矢のお姉さん。
彼女のデザインはとても綺麗で、第一印象から好みでした。
---なのですが、彼女の最後のシーンはヘリから意を決した自●のようなダイブとヘリの爆発。
緑爆轟の「ハッ…!」という意味深描写があったのにその後何事もなかったかのような見殺し状態でした。
(この三人にとっては悪人なら死んでもいいってことなの…?^^;)
ダイブ後の彼女もしくはヘリの操縦者らしき人物がパラシュートで飛び出していましたが、
あまりに小さい描写で、最後の犯人連行シーンでも特に出てこずなので、
映画のみにしか出ないキャラだろうに、生死不明なのがすごく気になりました。

2つ目にケースを警察に受け渡そうとしたロディのシーン。
今作のラストで、ペットのピノがロディにとってどんな存在なのかが分かりますが、
そうなるとここでデクを起こそうとしたり、ケースが無くなっていることを教えるのは
どうしても「うーん」となります。
本音では止めて欲しかったとか、そういうことでしょうか。
それだったらロディに付いていってずっとダメだよと言い続けそうな…?

3つ目はラスボス戦。
ボスの能力は反射系でしたが、デクは一度殴りに行って弾かれて、
攻撃が通じないとわかっているのに殴り続けていました。
勘がよく働き、割と冷静に戦いをするデクらしくないというか。。
たまたま限界があると分かり対応できましたが、
対応できなかったらただダメージ喰らっていくだけですよね^^;
あと技の描写はオールマイトの技に似たものを出したっていう胸熱展開なんですが、
なんっかちょっとゴリ押しだしギャグっぽくて…w
カッコ良さで言ったら、かっちゃんや轟くんのバトルの方がカッコ良かったかなって思いますw
余談ですが、たまたま前日に
「デクの能力が能力無効化だったら?」というスレを読んでいて
「それなんて上条当麻?」とか思っていたので、
ラスボスが能力説明してるときフフってなってなりましたw(外では一方通行さんが戦っているしw)
デクが対処できなかったら上条さんか木原くんをデリバリーするしかなかったですねw

4つ目はスタッフロール中のカットです。
ロディ兄弟が周りの子に差別されなくなったようなんですが、「なぜ…?」と少し思いました。
もちろん食い止めたのはロディでしたが、お父さんがあの爆弾解除キーを作ったというのは
みんな知らないはずですから、元凶である危ない爆弾開発者の息子達というレッテルは貼られたままなのでは…?
お金がなく、ロディが真っ当でない仕事をしていたから差別されていたんでしょうか。
また、ロディと仲が良かったのはデクのみで、妹弟とは接点なしだったかと思うんですが、
ラストカットで子供達が描かれたと思われる緑爆轟の絵が出てきて…???
ちょっとここは描写不足かなぁと…。
妹弟の絵を入れるぐらいなら、遊びにきた3人のカット1枚は挟むべきだったかと思いました。
{/netabare}

総評としては、ストーリーでの気になった説明不足や無駄な描写に目をつぶれば
ロディは声優さんも上手でしたし格好いいキャラで、雰囲気の良い映画だと思いました。
ヒロアカでスラム街って珍しいんじゃないでしょうか。
テンポも悪くないし、アクションシーンも見ていて楽しいので、飽きない映画だと思いました。

でもラストで{netabare} ロディのお父さんは実は生きてた、 {/netabare} とかにして欲しかったなぁ…。。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 1

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

劇場版ヒロアカ第3段!いつもと違う視点から描くロードムービー的作品

原作未読。アニメシリーズ全て視聴済み。
ヒロアカ劇場版3作目。オリジナルストーリー作品。時系列には、アニメ5期クラス対抗戦後、インターン中のお話。

〜あらすじ〜
世界中の個性保持者を殲滅しようとする謎の組織"ヒューマライズ"に立ち向かうため、世界各国へ選抜されたプロヒーロー達が派遣されることとなった。
エンデヴァー事務所でインターン中のデクたちは、日本から遠く離れた国"オセオン"へと向かう。
デクは、オセオンで出会った少年"ロディ"と共に大きな陰謀へと巻き込まれていく事になる。

今までの劇場版とはまた違った別角度からの視点で描かれていて、とても面白かったです。

今作は、劇場版の新キャラであるロディが、主人公としてストーリーが進んでいきますが、ロディが良いキャラ過ぎました。
一見大人びててひねくれてる感じだけど、とても家族思いの優しいキャラクターで好感持てました。特別強い訳じゃ無い所もとても良い。

中盤戦までは交戦シーンが少なく、逃げの一手なので割と穏やかにロードムービーのように物語は進んでいきます。
後半のラストスパートの戦闘シーンは、相変わらず作画がとても良かったです。カメラワークが素晴しく、迫力と勢いが凄まじかった。ヒロアカの戦闘シーンは、同じ技でもワンパターンにならず新しい演出で戦闘を描いていて、とても楽しいです。力入ってるなといつも思う。かっちゃんの飛びながらの戦闘シーンは特に好き。浮遊感ありました。

主題歌、劇中歌のアジカンの歌は、気だるげな歌い方が、大人びてしまった少年ロディの雰囲気と重なって聞こえてとても染みました。

敵のボスの個性に少し疑問が残った点や、デク・かっちゃん・轟くんの3人以外の雄英の生徒の活躍が少ないのは、ちょっと寂しかったです。

ロディの個性が可愛くて、愛しくて、この秘密を知ったらきっと見た人みんなロディ好きになると思います。
アニメシリーズ見てなくても、すんなり見れる今作品。ヒロアカ初心者にもオススメです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

ゆん♪ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ゲストキャラ、可愛くてかっこよかった!

ひょんなことから、犯罪?に巻き込まれて指名手配されちゃうデク。
でもみんながデクのこと信じて、それぞれのヒーローの仕事頑張ってて、見てても元気もらえるキャラクターがたくさんでした!!

ロディ、弟と妹のことを守らなきゃって頑張ってたし、個性がめちゃめちゃ可愛かった^^
ゲストキャラの声が俳優さん起用だったので不安ではあったんですが、あんまり違和感なくて、ラストシーンとか切なくて泣けた~><。。

イチオシキャラの爆轟くんも安定のオラオラくんでカワイイかっこよかった^^

1度目は2D(入場特典小冊子)
2度目は4DX(入場特典スペシャルメイキングブック)
アニメの線画見るの好きなので、メイキングブックは嬉しい^^

4DX、結構激しめにぶん回された感じがした…楽しかったけども!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 0

71.3 9 姉弟で家族なアニメランキング9位
思い、思われ、ふり、ふられ(アニメ映画)

2020年9月18日
★★★★☆ 3.7 (61)
282人が棚に入れました
偶然出会ったタイプの全く違う【朱里】と【由奈】、朱里の義理の弟の【理央】と由奈の幼馴染の【和臣】は同じマンションに住み同じ学校に通う高校1年生。理央に憧れる由奈、朱里に言えない想いを抱える理央、秘密を抱える朱里、ある秘密を目撃してしまった和臣。それぞれの思いは複雑に絡み合い、相手を思えば思うほどすれ違っていき――切なすぎる恋が動き出す。

声優・キャラクター
鈴木毬花、潘めぐみ、島﨑信長、斉藤壮馬

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

雨に降られても、アイツにフラれても死にはしないさ。……チョット痛いけどね……。

実写劇場版→本作→原作コミックレンタルの順で見ました。

【物語 3.5点】
全12巻の原作少女コミックを2時間程度に全て詰め込むなど土台ムリ。
よって一本の映画として成立させるには、
印象的な場面のシチュエーション変更も含めた
思い切ったシナリオ組み替えが必須になる。

本作は少女漫画のムードを残すことを重視した構成。
恋する少女二人の友情。
少女漫画特有の乙女の悶々、キュンキュンなモノローグも極力取り入れる。


ここは、一人語られる乙女心をジックリ咀嚼したい所ですが、
この尺では、モノローグを消化する間など取れるはずもなく……。

ツギハギになったキモチを想像力で繋げるのに苦慮している内に
話が進んでしまう感じで、私とはやや相性が悪かったです。


【作画 4.0点】
アニメーション制作 A-1 Pictures(←アニメ映画まで鑑賞した主たる動機)

恋愛と青春により世界が変わる。心情描写に説得力を持たせるため、
背景美術が、心を投影できるだけの四季の変化などを描き出す。

特に理央のトラウマなどとも結びつく雨の描写には注力。
“雨粒デザイン”なるポジションを新設し、
『SAO』シリーズのアクション、エフェクト等を担当してきた柳 隆太氏を起用。
一粒一粒に光が宿るアニメならではの表現がヤマ場を彩る。


人物デザインは原作の雰囲気再現と作画カロリー省エネの両立を目指す。
忙しい展開の中でもコミカルな顔芸も織り交ぜられ一服の清涼剤に。


【キャラ 3.5点】
女子重視。

原作の高校生の女子2人、男子2人のメインキャラクター構成→
主人公女子2人+男子2人にアレンジした感じ。

朱里に、恋愛と天秤にかける家族への想いを象徴するジュエリーボックス。
由奈に、幼少より恋心を育んだ絵本の王子様が登場する空想世界の演出強化。
など女子にはアニオリ設定や演出追加でキャラを補強。

一方で和臣の進路に影響を与えた兄・瑛士や、
和臣の恋路における成長の劇薬になった朱里の元カレ・亮介については、
アニメではキャラごと削除されている。


【声優 4.0点】
山本朱里役・潘 めぐみさん、山本理央役・島﨑 信長さん、乾和臣役・斉藤 壮馬さん

お馴染みのキャスト陣が安定感のある演技を披露する中、
目を引くのは、市原由奈役で、メインキャラは初となる新人・鈴木 毬花さん。

由奈は恋をすることで、最も成長し、性格変化し、周囲にも影響を及ぼす難役。
オーディションにて“満場一致”で選出されたという触れ込みに違わず、
そつなくこなす辺り、非凡な物を持っているのでしょう。

後年、本作が振り返られる際は、彼女の初主演作として語られるのかもしれません。


あと、朱里の母役の久川 綾さん。
家庭不和を招く神経質なママさんボイス。
どうもご馳走様でしたw


【音楽 3.5点】
劇伴担当は野見 祐二氏。
『耳をすませば』を観てアニメーターを志したという黒柳 トシマサ監督にとっては、
少女漫画アニメ映画化の本企画と合わせて、音楽もこの上ないご褒美か。

小規模オーケストラ編成にてクライマックスでもしっかり心情を盛り上げて来る。
一方で修羅場では、その音源をかなりド直球な昼ドラ風味に消費w


主題歌はBUMP OF CHICKENの「Gravity」
心情を直接語らず、状況や仕草を詳述することでより心情を浮き彫りにする、
相変わらず詩的な歌詞世界で揺れ動く青春を好表現。
他に挿入歌もありムード向上に寄与。


【感想】
率直に言って、私は一本の映画としては
実写版の方がまとまりがあり見やすいと感じました。
実写版は、少女漫画原作の恋愛物から、
恋路や進路を遮る大人の身勝手が作る空気をより強調するための、
演出強化、キャラの途中退場などが施され、
青春群像劇として一般化を目指した構成。
少女漫画慣れしていない私にとっては
実写の方がリズムを掴みやすかったのかもしれません。

よって、『ふりふら』初めてで、少女漫画はチョット……という方で、
声優にも興味がなく、漫画の実写化もOKな方には実写版をオススメしたいです。
(←エラく限定的なオススメ範囲w)


本作のバンプ挿入歌の見せ場シーン。
昨今アニメ映画、特に青春物において多用される劇伴ソングについては、
私は、ま~たMVかと野暮なことは言わずに楽しまなきゃ損だと割り切る方。
ですが、本作については、流石にこの尺で
ジックリ歌ってる場合なの?という疑問も頭をよぎりました。


本作鑑賞後は、男子にも、もっと胸キュンさせろ~といったモヤモヤを晴すため、
原作コミックレンタルにも手を出し、無事キュン死しましたw
『ふりふら』に振り回された、この一ヶ月……悪くなかったです♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

痛くて苦しくて、傷つけて踏み続けて

視聴前 少女漫画原作かぁ

視聴後 やっぱ私少女マンガきらいじゃないな

この話は全然タイプの違う女の子と偶然仲良くなった話
ジャンルは恋愛・学園・生徒
まずいいます。個人的には割と好きです。
少女マンガの何が面白くないかというと、少女漫画特有のご都合主義だと思うんですよ。あのご都合主義を取り除いて文を再構成したらきっとマシになるはずなんです。
そして本作。現実にも程がある。いや、果たして現実でこんなことがあるのか、私にはわかりかねますが、多くの人が想像している少女マンガとは違ったものを感じました。
少女マンガは少女のみが許された禁断の聖書だ、と中二の従姉妹がほざいていましたが、なかなか大人は足を踏み入れづらいですよね。まぁそれでも本作の壁は破っていいかなと思いますよ。
超がつくほど恋愛メインの話です。コメディシーンもあるっちゃありますが、少女マンガのノリなのであまり期待せず。故にこういう系に慣れてない方は悶えるかもしれません。前のカップルが映画を見た後より一層イチャイチャしてたのが腹立たしかったですが、ソレほどまでに本作は人間の恋愛心(果たして存在するのか)に鑑賞してくる作品でした。本作を見れば学生に戻りたいと一瞬でも必ず思います。

キャラはとても好きです。出てくるネームドキャラは全員ちゃんとした個性を持ち、物語に不可欠な存在となっています。超好印象。特にあかりちゃんが超可愛い。もう可愛い。語彙力がなくなるくらい可愛い。繊細のくせに自分の気持ちを抑えちゃって変に気遣ってしまう性格はたまらなく好きです。超かわいい。

どうでも良いかもしれませんが、このタイトル本当にすごいと思うんですよ。ジャンルの予想が容易にでき、あえて連用形で終わることで、続きを気にならせる、という手法。なおかつ(というか本命で)語感が最強。口に出したときの心地よさはエグい。

原作は咲坂伊緒さん。ストロボ・エッジやアオハライドの原作者ですね
監督は黒柳トシマサさん。船を編むなどの監督をされた方ですね
脚本は吉田恵里香さん。刀剣乱舞花丸や神の塔の脚本をされた方ですね
キャラデザは山下祐さん。うさぎドロップや終末のイゼッタなどのキャラデザをされた方ですね
劇判は野見祐二さん。耳をすませばや猫の恩返しを担当された方ですね
アニメ制作はA-1 Picturesさん。

作画は良かったです。雨の作画や光の演出など、難しく細かい作画なども丁寧に表現されており、臨場感のあふれる絵となっていました。動きも丁寧でしたし、ちゃんとものすごく鮮やかな作画で好印象です。
主題歌はBump Of Chickenさんの「Gravity」個人的にはもう少し違った曲のほうが良かったです
声優さんは豪華でした。キャラとよくあっており、キャラの魅力をひきたてていました。

総合評価 面白かった。やっぱ少女漫画は定期的に読むと面白い

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

初恋の王子様だったり、お姫様を夢見たことありますか?

 高校入学前の出会いから始まった、少年少女たちの思い込みと理想、夢、現実、黄昏が入交る正に少女漫画によくありそうな恋愛のお話だったです。
 自分の世界に入り込む少年少女達は、何思い、何を求め、彷徨っているのだろうか?思いを告げる場面などにおける、現実とかけ離れ実際はありもしない光景、演出がある意味、凄まじいです。
 とある少女の自意識過剰さは、とてつもなく本気であるのか?と疑ってしまうような言葉が、ある意味面白いかもしれないです。夢見ゆる少女にも注目です。

{netabare} 予習的に実写版も見たです。違いを感じるのは、半分以下内容が異なっていることです。また、アニメはアニメだけに正に高校生という外見なのに対し、実写はお世辞にも年相応に見えない、年齢詐称にも無理がある高校生に扮した、若者であるが成人たちだったです。{/netabare}

 4人の少年少女たちの間にそれぞれ、四角関係ならぬ、三角関係になっていたです。
 破局したと思いきや、考え直したり(それは、気が変わるというのでは?)、それが本心でなく嘘だったりと、一途だったり、自分に自信過剰だったり、勝手な思い込みから中を突き放したりと、見ていてめんどくさい気がしないでもないです。
 それが年頃の少年少女の考え方なのかもしれないけど、彼らは暇だなぁという見方も考えられたりもするです。人を好きになることは、自由ではあるのだが・・・・です。

 {netabare}雨のトンネルの中での告白シーンがあったです。そこで、言葉を出した瞬間、一瞬にして、景色が変わったところがあまりに唐突すぎたところにあっけにとられたです。再チャレンジとなる告白シーンの非常階段でも、確か花びらが降ったような同じような演出があったです。{/netabare}

 恋をすると周りが見えなくなるとは言うけど、{netabare} 突然の何かを重ねるシーンや、偶然にしてもそれを目撃した誰かさんの存在も{/netabare}凄さを感じたです。

 家族についても、「幸せとは?」を少し考えさせられたりもしたです。

 最後はうまく収まり、「これでいいのだ!」です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

66.9 10 姉弟で家族なアニメランキング10位
アルプス物語 わたしのアンネット(TVアニメ動画)

1983年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (21)
79人が棚に入れました
日本アニメーション製作の「世界名作劇場」第9弾。原作はパトリシア・M・セントジョンの『雪のたから』。スイスのロシニエール村の少女アンネットと男子ルシエンは仲の良い幼なじみ。だがルシエンの感情的な行動が遠因となって、アンネットの弟ダニーは足が不自由な身になってしまう。ルシエンを憎悪したアンネットは毎日彼に辛くあたるが、その光景はダニーにも痛ましいものだった。もともと好きだった木彫りの芸に打ち込もうとするルシエンだが、彼が作った工芸までを打ち砕くアンネット。だがそんな哀しい日々に希望の光が……。原作に描かれるキリスト教の精神「贖罪と赦し」を主題に、歴代名作劇場でも屈指のシリアスでハードなドラマを展開。後年の同路線での人気作『ロミオの青い空』の楠葉宏三監督の、初監督就任作品としても有名だ。

声優・キャラクター
潘恵子、深雪さなえ、小林修、巌金四郎、山田栄子

luna さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

晴れない霧の中で

途中でやめてしまうか
最後まで観るかで
かなり印象が変わる作品です

でも
中盤の霧の中のエピソードまでたどり着けば
きっと
最後までアンネット達を見守ってみようと
思えるかもしれません

明るく始まった物語も
次第に黒い雲に覆われて
大嵐が訪れます
その後は
づーと
登場人物も
観ている人も
抜け出せない
濃い霧の中

お話をまとめて観るのが苦手なのですが
流石に耐えられなくなり
何話かまとめて観ました

そこでたどり着いた
霧のエピソード
みんなの心情を映像で上手く表現し
物語は必ず動く
でも
もう少し待ってと
薄らとですが伝わってきました

あと
アンネットをかわいく描きすぎないところも
効果的でした
雪のエピソードで
こんなにも心情の変化で
キャラクターの見え方が変わるんだって、、、

初め苦手だったOP、EDも
物語の変化に引っ張られ
終わりの方では
毎回観るのが楽しみになるくらいに

子供向けだから難しすぎるとか
考えすぎないで
伝えたいことをしっかり表現したのは
すごいなって思います
でも
作品は観てもらえないとしょうがないので
もう少し構成に工夫があったら
挫折する人が減るのかも
とも思いました

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

R子 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

ダニーを愛でるアニメ

仲良しのおさななじみ二人が、とある事件をきっかけに仲違いし、再び絆を取り戻すまでのストーリー。

途中、見ているのが辛くなるくらい重々しい展開が待っている。
それでも見進めることができたのは、ダニーの可愛さに尽きる。

ダニーが可愛い。とにかく可愛い。
オコジョの友達クラウスをとても大切にし、再び歩けるようになる日を信じて無邪気に過ごしているが、このダニーの可愛らしさが無ければ見るに堪えないアニメだったかもしれない。
主人公二人はまだ子供とはいえそれぞれの保身に走る姿や、素直になれずに逆のことをしてしまう描写は少し残酷のようにも思える。

私は一気見したのですぐに展開を知ることができたが、当時、一週間に一度ずつ見ていた人たちは素直になれない二人にやきもきしていたに違いない。

原作ありきのアニメなのでストーリーに関してはラストが決まっているのだが、大団円に向かって少しでも救われる展開でよかった。

いや、ほんとダニーがかわいい(しつこい)。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

aitatesoka さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

裏アルプスの少女?

アルプスの少女ハイジがあまりにも有名な為同じような出だしの題名で影が薄い印象があるが
原作はまったく関係ない宗教色の濃い作品でありアニメ化に当たってかなり宗教成分は薄められている
この物語の根底に流れているのは贖罪であり子供向け作品にしては重いテーマではないだろうか
しかし、主人公たちの心の葛藤を丁寧に描いており最後はハッピーエンドとなる為
余計に途中の重い展開が際立つ進行に段々引き込まれ48話を5日で見てしまった

中盤までの重苦しい進行を我慢して視聴すれば後半10話は感動的な展開で畳み掛けて最後は数話をかけて締めくくる最近のアニメにはないすっきりとしたエンディングを楽しめる作品である

ちなみにヒロインは「名作劇場」系作品最強の凶暴さ?を誇る行動力を備えているらしい

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
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