宇宙人でショートアニメなアニメ映画ランキング 2

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早速見ていきましょう!

62.8 1 宇宙人でショートアニメなアニメランキング1位
SHORT PEACE(アニメ映画)

2013年7月20日
★★★★☆ 3.7 (90)
467人が棚に入れました
【火要鎮】18世紀、江戸の町。商家の娘お若と幼馴染の松吉。惹かれあう二人であったが、松吉は家を勘当され町火消しとして生きる。そんな最中、お若の縁談の話が進み始めた。松吉への思いを忘れられない彼女の狂った情念からの行動は、大火事を引き起こし江戸の町を焼き尽くす。その大火の中で再びめぐり合う二人。巨大都市江戸の大火を舞台としたスペクタクル。【九十九】18世紀。嵐の夜、深い山中で男が道に迷っていた。そこで見つけた小さな祠。中に入るとその空間は突然別世界の部屋に変化する。そこに次々と現れたのは捨てられた傘や、着てもらえなくなった着物などのモノノケ達。男はその怨念を秘めた古い道具たちを丁寧に修理し、慰めてやる。【GAMBO】16世紀末。戦国時代末期。東北地方(最上領)の山中に天空より何かが落下した。直後、寒村に一匹の巨大な鬼のような化け物が現れ略奪の限りを尽くす。時を同じくして寒村に暮らす少女カオは白い熊と出会う。人の言葉を理解するその神秘的な熊にカオは救いを求めた。かくして鬼と白熊との激闘がはじまる。新機軸のバイオレンス作品たるべく、荒く力強い画面を3DCGの技術を活用し描き出す。【武器よさらば】近未来。東京。砂漠の中の廃墟と化した都市を訪れたパワードスーツで武装した5人からなる小隊は一台の戦車型無人兵器と遭遇戦となる。しかし、次第に歯車が狂い始め小隊は窮地に陥っていく。大友克洋の原作による伝説的な戦闘アクション漫画を、再構築し、リアリティと革新性のある描写をめざした。エキサイティングなアクション作品でありながらも、無常観の漂うテイストに仕上げた作品。

声優・キャラクター
春名風花、早見沙織、森田成一、山寺宏一、悠木碧、草尾毅、田村睦心、浪川大輔、二又一成、壇臣幸、牛山茂、大塚明夫、置鮎龍太郎

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

お兄ちゃんコレいっぺん大声で言ってみたかったのでこの際言わせてちょ!「世界よ!!これが日本のアニメーションだーーー!!!」

まずオイラは「ミヤザキハヤオ」「オシイマモル」「シンカイマコト」「ホソダマモル」が通じても「オオトモカツヒロ」が通じないっていう職場の後輩のその偏ったヲタク脳を叩き直してやりたい^^b










大友克洋監督以下、日本が誇るトップクリエイターが一同に集結した短編4本で構成される劇場作品
かつての『MEMORIES』を髣髴とさせるオムニバス形式ではありますが、主にCGと手描きアニメーションの融合を図った先端技術の映像もまた魅力の一つです
ってかもうほとんど作画とCGの境目はワカラン
間違いなくその分野では最先端


ちなみに今作のテーマは4本それぞれがなんらかのカタチで『日本の姿』を描いていること
つってもそれは最初の2本を作った後で決めた完璧なこじつけ(笑)
4本とも“特に深みのある作品ではない”ことを先に謝っておきましょうw
心温まるラストが印象的な【九十九】はともかくとして、他三本は「まあ見事に話の中身の無い作品が揃ったもの」で逆に大したもんですw
なんも考えず、“娯楽作品”としてご堪能頂くのがいいかと思います
アクション、ロマンス、スペクタクル、バイオレンス、SFメカ、女の子、そして笑いも・・・?w
そんなんで面白いかの?
オイラは暫し考えるのヤメたくなりました、モチロン良い意味で、こんなのを「衝撃的な作品」と呼ぶのでしょう


【オープニング】
森本晃司
Minilogue
春名風花


【九十九】
舞台は江戸時代ごろ
強面で大柄な男が一人、雨の降りしきる山中で道に迷ってしまう
男は見つけた小さな祠で雨宿りをすることにするが、祠の中には人々によってポイと捨てられた傘や流行から外れた絹織物に魂が宿りモノノケとなっていた
男を祟るかのように迫ってきたモノノケ達にしかし男は全く動じず、壊れた傘を修理してやったり、廃れた生地を仕立て直してやったり、『モノ達』の供養を淡々してやるのだが・・・

江戸時代の日本という視点と『付喪神』という日本人独自の感性から、エコが叫ばれる現代にも通ずる“リサイクル”というテーマを描く作品
説教臭い内容ではなく、むしろ主役の男の勢いの良さ、そして清々しいまでの潔さが軽快なテンポ感を生んでいます

森田修平
岸啓介
堀内博之
山寺宏一
悠木碧
草尾毅


【火要鎮】
「火事と喧嘩は江戸の花」と謳われた通り、江戸という町において最大のスペクタルといえば火災
商家に生まれながらも火事場に心奪われて親に勘当され、火消しとなった男、松吉
松吉と結ばれぬ恋に堕ちた幼馴染のお嬢様、若菜(お若)
お若の気持ちを無視した縁談の話が持ち上がる最中、悲しみの果てに狂気に駆られたお若はふとしたことで起きたボヤを見つめてある決意をする
やがてボヤの炎は大きくなっていき、二人の家と江戸の町を焼き尽くしていく
そして大火の中で再び運命の二人をめぐり合わせることになる・・・

大友克洋監督の最新作
『スチームボーイ』では“蒸気”を描いた監督でしたが、今作では迫り来る“業火”を描いております
4本の中で唯一ラブロマンスを扱った作品ではありますが、最も中途半端なストーリーテリングがなされている“最高に雑な話”でもありますw
今作のみシネスコサイズの作品なのですが上下の枠は黒帯ではなく、絵巻物をイメージした和柄の装丁になっているのが特徴
ラストシーンではこの装丁にもちょっとだけ目を向けていただきたいところ

大友克洋
小原秀一
久保田麻琴
橋本敬史
早見沙織
森田成一


【GAMBO】
戦国時代の出羽国(現在の山形、秋田に相当)
突如天から降ってきた“何か”から現れた鬼のような姿の怪物が山里の寒村で暴れだし、村の娘達をさらっていく
寒村で最後の娘となった少女、カオは人の言葉を理解する神秘的な白熊、「ガンボ」に鬼を退治してもらうよう祈る
少女の切なる願いを聞き取ったガンボは自ら鬼退治に向かい、鬼との死闘を繰り広げることに
目前に広がる圧倒的な暴力に恐れ慄くカオだったが、一部始終を見届けていた野武士の青年にガンボを差し向けた責任の重さを背負うよう「祈り続けろ」と諭される
そして二匹の戦いの行く末は・・・

この作品はもう単純明快、実に痛快、ようはプロレスがやりたかったらしいですw
極々ありがちな“昔話”のような舞台とあらすじ、しかし画面上に繰り広げられるのは圧倒的な暴力!血しぶき!肉が裂け、骨が砕ける轟音!
それ以外のナニモノでもありませんw
そう、今作のキャッチコピーは“ホントは怖い日本昔話”
コレに尽きるのではないかと?

安藤裕章
石井克人
貞本義行
七瀬光
田村睦心
浪川大輔


【武器よさらば】
富士山噴火と最終戦争で砂漠と化した東京を舞台に、大戦で失われた兵器たちを回収する任務に就く一個小隊
いつも通りに仕事をこなす彼等の前に、自律型歩行戦車「ゴンク」が立ちはだかる・・・

大友克洋の同名漫画に惚れ込んでいたカトキハジメが予ねてから映像化を懇願していたところ「カトキさんがやれば?」と大友から言われたのが出発点だとか
プロテクションスーツに身を包み、ビームライフルに電磁グレネード、UAVで武装した未来の兵士達の姿
数々のSF作品、戦争映画を踏襲した迫力の市街地戦
まさにオトコノコにとっては興奮と圧巻の連続
コレだけのために観に行っても良いのでは?そう感じすらさせてくれるラスト4本目、そしてこのプロジェクトの集大成と呼ぶに相応しいSFミリタリーアクションです!

カトキハジメ
田中達之
山根公利
堀内博之
小倉宏昌
森田修平
片山一良
佐藤順一
二又一成
檀臣幸
牛山茂
大塚明夫
置鮎龍太郎

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

beatle さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

時間有る人にオススメ!映画館でヴァッチグーな作品二回目

ブレイブストーリー、クレシン大人帝国、虹色ほたる、秒速(ry これらから学んだ事があった。DVDではなくスクリーンで観るべきアニメ映画が実在するという事だ。今回の行脚はまさに反省ノートのなせる有意義な実例として今後の人生の糧となる事だと思う。今後はDVDを観る度に、あっ・・・(察し なんてことを考えて人生を損してしまったなんて悔しくて興奮して眠れないなんて考えは生じないと思う。
百分足らずのこのオムニバス形式のショートフィルムはマスベネタを探すpixiv漁りの百分よりニコニコでゆっくり怖い話を聞く百分よりレッチリマイベストメドレーを流すよりも価値の有る時間だった。
賛否両論あるかもしれないけど、こういうオムニバス形式の並びは悪くないと思う。レイトショーで千円だったけど、コレ千円で観ちゃって良かったんスか?レベル。大友のは自分がやりたい事をただやっちゃってるみたいだったけど、他の三作品(+1作品)はエンターテイメントやってんだぜ?凄くね?みたいなノリが感じられてスッゴイこっちが嬉しくなってきてしまうレベル。昼飯ランチに千円使っちゃう人はちょっと節約して行って見よう。損なんてせずに、きっと嬉しくなっちゃうはずだ。っつーかボーナス出てんだからアニメファンはアニメ産業に貢献すべきですよね。(ノーボナサビ残な方こそ千円レイトやで!)
正直言って一回の視聴だけじゃ目まぐるしく変る展開を追うだけでいっぱいいっぱいになっちゃったからもう一回行こうと思う。ラストの大友作品のおかげで(せいで)視聴後は割りと軽い感じで映画館を後にできました。きっと多くの人もこんな印象を持つと思うので、誰にでも、時間の有る人にはオススメできます。

二回目

面白かった。三作目ガンボはまさに日本昔話みたいなノリで始まった瞬間に「本編ktkl」なんて考えました。乗り物に乗ってやってきた鬼のキャラクターデザインを改めてみてみると、手と足に鎖みたいなものがあります。これは宇宙船で輸送される極悪囚人の宇宙人みたいな感じなのかなぁなんて空想してしまいます。単純に宇宙船のパイロットだとは考えられない程、鬼の身体は醜く、描写に知性が感じられないのも根拠の一つです。まぁこれは空想なんだけどね。アクションも良いし、戦闘シーンでは、「頑張れガンボォォオ!」みたいなノリで応援しているのは観客もです。
一作目の九十九、これは映像美という意味で惹かれる作品でもありました。森の描写なんかみてると、ピクシブでトップ絵描きみたいなノリのすっごい良い感じの背景でした。エンドクレジットに個人っぽい人が会社に紛れて映し出されてたけど、個人でやったんでしょうか。良いですね、ラストカットはパソコンの壁紙にしたいレベルでした。
二作目の火要鐘(ひのようじんと呼ばせるらしい)最初のカットシーンで見事に酔いました。覚悟してても酔いました。アイディアは凄いと思うし、実際凄すぎて酔いまくったのだから、インパクト有で、座席シートをいつもより下げての推奨映画に当たります。にしても、江戸時代の、まさにまんま、そのまんまの生活風景やら情景を映して、「嗚呼、なるほどね。良いね」みたいなノリに誰もがなれるはずです。
四作目。これだけは二回目だとヤバカッタ。
一回目観に行った時は前の三作品が凄すぎて息切れ間近、MP0の状態だったので、楽しめなかったとのだと解りました。
ナニコレ、戦闘シーンの熱さがヤバイです。MMOやFPSの対戦シーン、大型ボスモンスター討伐のシーンをまるごとまんま、そのまんま動画にしてあります。しかも大友描写で。こういう熱いガチバトルシーンは洋画でしか観た経験が(スクリーンでは)無かったので、凄まじく新鮮味がありました。エヴァとかではなく、人間のガチ戦闘という意味です。パワードスーツ着てたけど。一回目観た時は「なんでこんな微妙なの大友がわざわざ作ったんだろう。技術と金と才能の無駄なんじゃないか」なんて思ってたけど、このパワードスーツを着けた人間のガチバトルシーンこそが、大友のやりたい事だったのだと感じて納得。さーせんした。やるじゃん、大友。
この映画、二回目でお腹いっぱいになりました。
最後に、オープニングムービーの女の子がコスチュームが変るシーンは何故かしら性欲が沸いてきました。ここまでの情念を呼び起こすとは、やりまする。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

日本を代表する監督4人による、"日本"をテーマとしたクオリティの高い大人向け劇場作品。

2013年劇場公開。短編4話構成。全68分。
日本"を共通テーマに、日本を代表する4人のクリエイターたちがそれぞれのセンスと技術を駆使し、時代は過去から未来まで、ジャンルも時代劇やアクション、SFと、多様な作品を制作している。

オープニングから不思議な空気感漂う作品。目を開けると別世界。未来的だけど原始的不思議な音楽と共に幕を開けます。

森田修平監督作品『九十九』
~あらすじ~
大雨の日に森で迷った旅人は、古びた祠で雨宿りをすることとなった。その祠は使われなくなった"物達"のモノノ怪の祠だった。

起承転結がハッキリしていて、短い中でも伝えたいテーマが分かりやすいし、和傘や着物、寄木細工、丁寧な手仕事、日本語遊び、そしてラストは富士山でしめる映像も"The日本"が詰め込まれていてとても魅力的。
山寺さんの渋い演技も良かったし、「流行り廃りもタンスの肥やし」というセリフも言葉遊びとエッジが効いててとても気に入りました。伝統的な日本を短編で知るならこの作品!って思うくらいに日本の心が詰まっていたと思います。良作でした。

大友克洋監督作品『火要鎮』
~あらすじ~
江戸を舞台とし、一人の女性の悲恋と江戸の町を覆い尽くそうとする大火事を描く。

物語の前半と後半とで雰囲気が変わる、短編の中に静と動がはっきりとある作品でした。1人の女性の内に秘める恋心、そして燃え上がり全てを覆い尽くす大火。
物語を盛り上げていく、迫力のある映像と音楽。切迫する気持ちが伝わってくる演出とセリフの間。短編ながらクオリティの高い作品でした。
江戸の伝統的な火消し文化についても知れるし、巻物のように始まる物語もお洒落で、こちらも伝統的な日本を知るのにぴったりなハイクオリティ作品。良作。

安藤裕章監督作品『GAMBO』
~あらすじ~
戦国時代、ある村に鬼が現れ略奪を繰り返していた。その村に住む少女は森の中で白い熊と出会う。

血みどろの取っ組み合いの戦いが描かれていて、ちょっと痛くて見るの辛かった。鬼のビジュアルも気持ち悪く怖いし、救いがないので苦しい。前半はカットが多くサクサク進み、後半の鬼と熊との戦いに重きを置いているようでした。死闘は迫力があったけど、痛い描写と生理的に受け付けない鬼のビジュアルだったので、もう見たくないです。

カトキハジメ監督作品『武器よさらば』
~あらすじ~
舞台は近未来の東京。武装した5人組の小隊は、ミサイル兵器回収のため、廃墟と化した都市へと潜入する。

他の3作とはガラリと雰囲気が変わり、オープニングから砂漠、そして近未来的な車と装備。登場人物の名前もお酒からとっているようだし、見た目も外国人的。
激しい戦闘を描いていますが、キャラの動きに応じたとても生々しいカメラワークで、揺れるし急に寄るしで、手に汗握る緊迫感がありました。和やかな感じで始まり、緊張感があり、一旦の平穏を用いてからのまたの緊張と、目を離せない構成なのも素晴らしかった。裸一貫で突っ込んでいくラストは、歴史が物語る日本人の戦い方を彷彿とさせられました。その様子からの富士山カットで終幕というのは、どこか哀愁があってある意味日本ぽかった。
他の作品と比べると日本らしさは少なめだったけど、映像にかなりリアルさがありました。しかしリアルな戦闘ものは苦手なので見るの辛かったです。

4作品見て、それぞれ全てクオリティ高く短編でもかなり楽しめました。アニメというよりは、映像芸術作品とでもいうような、リアリティあるレベルの高い作品が味わえます。大人向けなアニメーションが見たい方にはとってもオススメです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

63.9 2 宇宙人でショートアニメなアニメランキング2位
絶望の怪物(アニメ映画)

2019年6月10日
★★★★☆ 3.2 (25)
83人が棚に入れました
アニメ制作スタッフとして働いた経験のある漫画家のコタニジュンヤが、完全個人制作で手がけた30分の短編アニメーション。ある日、中学生の星野アオイは、自分と家族が醜い宇宙人の怪物であることを知る。両親が隠していたため、彼女と弟のユウタは、その事実を知らずに育ってきた。彼らは薬を使って人間の姿に化けていたが、なぜかアオイにだけ、その薬が徐々に効かなくなり……。2019年6月10日から名古屋・大須シネマにて上映され、7月6日からは東京・下北沢トリウッドで公開。
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

自主制作作品としては評価できるが、商業アニメとしては弱い

【レビューNo.59】(初回登録:2023/5/17)
オリジナルアニメで2019年作品。30分程度
何かで引っかかったのだが、30分らしいので観てみるかと。
漫画家コタニジュンヤ氏による自主制作アニメで、キャッチコピーは
「行くとこないんだろ。」「―私たち家族は どうやらこの星の人間ではないようだ」

(ストーリー)
中学生の星野葵は家族4人で、ごく平凡な生活を送っていた。ある日思いを寄せていた
クラスメートの大宮圭吾の家に招待され、そこで告白される。
その時、葵の体に異変が起こり・・・
(右腕が怪物のような異形の腕に変化。圭吾は席を外していたので気づかれず)
実は葵たちは、普段は「コフ」という薬の力で人間に擬態している宇宙人だったのだ。

(評 価)
・30分でまとまってはいるが・・・
 ・冒頭の家族のやりとりから始まり、上述圭吾の告白まで「普通の人間」として学校
  生活を楽しんでいる葵の様子が描かれています。そんな穏やかな日常がまさか一瞬
  で崩壊するとは・・・
 {netabare}・うろたえる葵に対し、母は冷静に「コフ」を注射し対処。両親はこの秘密を葵と弟に
  知らせておらず、人間の子供として育てていた模様。しかし「コフ」の効き目はだん
  だん悪くなり、葵は外出を禁止され、父は「新しいコフ」を求めて奔走する日々。
 ・ある日「新しいコフ」を見つけたといって、父が帰ってきたのですが・・・
  物語はクライマックスを迎え、葵たちの結末を描いて終わります。
  このように30分の尺の中で、綺麗に「起承転結」を展開しており、終盤に見どころも
  用意されており、それなりにまとまっていると思います。
  ただ終盤の展開が雑かなっと。以下特大ネタバレ
  {netabare}
  ・葵に「新しいコフ」を打とうとする父を不審に思った母は、自分が先に注射。
   →死亡。「新しいコフ」は実は毒だった。 →その様子を見た父は葵に「新しいコフ」
   とお金を渡すと焼身自殺を図る。→ 葵は最後に圭吾にお別れをいう。
  という流れなのですが、この父の行動がよくわからない。
  ・そもそも父の決断は葵を殺すことだったのでは?(他の家族の扱いは不明)
   → 失敗したら葵にお金と毒を渡して、ここから離れろってどういうこと?
  なんか最後の圭吾とのお別れのシーンを作り出すための、無理やり感が凄くて・・・
  (まあ圭吾とのお別れのシーンが、たしかに一番の見せ場なのですが){/netabare}{/netabare}

・吉浦康裕「ペイル・コクーン」と比べると・・・
 ・30分のSF自主制作作品ということで、私の中ではどうしてもこの作品と比較してしま
  いますね。
  「ペイル・コクーン」は、吉浦康裕の「いかにもSFヲタらしい世界観」から始まり、
  30分という尺をしっかり計算し、終盤にいくほど物語も加速、面白さも上昇していき、
  あっと驚くラストでテーマ性もしっかり伝わる、個人的には超優良作と評価しているの
  ですが、それに比べると本作は物足りなさを感じましたね。
 ・そしてこの作品は上映してお金を頂く「商業アニメ」なんですよね。30分ということも
  考えると、余計になにか爪痕が残るような工夫がほしい感じなんですが、そういうとこ
  ろも物足りないかなっと。
  「いい話を思いついたから、それを映像化しました」ってレベルで留まっているような。
  そういう目で見ると
  「自主制作作品としては評価できるが、商業アニメとしてはちょっと弱いかな」
  という印象ですね。

作画、キャラデザは「中華アニメ」っぽさがあり、声優も一般のアニメに比べると少々ぎこ
ちなさを感じ、たしかに自主制作っぽい仕上がりかなと感じました。
音楽はピアノが主でシンプルだが、結構頑張っていた印象。

中学生の葵を主人公にして、
「平穏な日常や淡い恋が一瞬に崩れ去る「絶望感」を彼女に背負わせる」
というプロットはよかったと思うので、あと一工夫が欲しかったなと。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

鬼太郎でも出てくれば、何とかできただろうか?

 リアルな背景の反面、私にはキャラデザに好感が持てなかったです。だが、なぜこの結末でなければならないのか?、自分には納得できないものがあったです。

 普通の家庭、学校で日常生活を少女がいるです。そんなある日、突然異変が起きて、自分や家族が何者なのか?を知るです。
 学校にも行けなくなり、絶望的心理状況に追い込まれ、破滅へと突き進む物語だったです。

 この主人公、葵が自分を自分であるという認識が、一転してしまう。{netabare}日常から、友人の家での知るよしもない突然の体の異変を、隠すことしかできない現状は、この葵にとっていたたまれない物だったです。

 母親によって、その現状は抑えられたように見えても、姿を維持できなくなっている{/netabare}現実から逃れることができず、表に出歩けなくなってしまうです。家族にとっても葵にとっても、恐怖としか言いようないのです。

 学校に行ったとしても現実でも起こりうる、葵の不安、苦しみは、そうなるしかないのか?普通の人間として生きたい!というのを描いていたです。

 その先に葵を待っていたのは、正に絶望そのものだったことは、やるせない所あったです。
 人間が人間でないものを同じようにして、実際この家族を受け入れられたなら、起こらなかった悲劇だったと思うです。この物語において、そんなことは、あり得ないのです。{netabare}鬼太郎にでてきた妖怪病院でもあって、半魚人のように元に戻れない人間にすることもできないのです。{/netabare}

 最後まで、{netabare}この家族は救われなかった事、残った{/netabare}葵がした行動、自身に取った結末は、とても好きになれなかったです。{netabare}最後近くで、別れを告げに友人宅を訪れるです。葵を気にかけていた友人が、正体を知ったとき、葵を止めることもできない、しない所です。どの道、葵は生きられないようだったです。{/netabare}

 EDの歌を聞いて、さらに、絶望的な気持ちになってしまったです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

カミタマン さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

たったの29分!!

2021/09/27 投稿

率直に言ってすごいと思いました。

29分間,テレビシリーズ1話分の長さです!

しかし,視聴後の満足感は高いです!

ストーリーは{netabare}タイトルや作品のキャッチコピーなどから容易に想像できます。完全にイメージ通りのストーリーと言えます。{/netabare}ツッコミどころもいっぱいありまが,あまり気になりません。

背景はきれいだと思いました。描き込まれた美しさでは無く,シンプルに描き色できれいに見せるといった感じでした。

キャラクターは絵が上手いとは感じませんでしたし,良く動いているわけでもありませんでしたが作品世界としてはこれでいいと思います。作品の成り立ちを考えれば,これが最適なのでしょう。

音楽はピアノの旋律が切なさを増幅します。
主題歌は,音程が安定せずにお世辞にも上手いと言えない歌唱力なのですが,逆にそれがよりいっそう切なさを感じさせます。
おそらく,この音楽の力が作品上大きく貢献していると思います。

結局何がすごいのか,そう感じさせるのか考えてみると,とにかく見せ方が上手いのだと思います。
余分な物を削ぎ落とした,引き算の美学とでも言うのでしょうか?歴史的に見ても日本人の琴線に触れるそんな作りの作品でした。

クレジットを見ると原作・脚本・絵コンテ・演出・作画・美術・着彩・撮影・編集・音響・監督・プロデューサー・他全般 コタニジュンヤとなっています。ほぼ一人で作り上げたという点は考慮せずに評価しています。

一方29分で完結している点は自分の中では,評価上大きなポイントになっています。

たった29分なので,見て損は無いと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11
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