小説家で先輩なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの小説家で先輩な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月03日の時点で一番の小説家で先輩なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

79.7 1 小説家で先輩なアニメランキング1位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (603)
2246人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

荒ぶれ、乙女よ

【視聴完了して追記】


性に振り回される思春期少年のコメディは、マンガやアニメだけでなく、小説や映画でも数多く制作されてきた。

本作では、少女の振り回されぶりをコメディとして物語るものだが、主に誰に向けて描こうとしているのかという不安要素が、無いでもない。


かつて少女マンガに吉田秋生の『河よりも長くゆるやかに』が登場したとき、理想化されたヒーローとしての男子を脱皮して、「等身大」の「リアル」な少年が少女マンガで描かれるようになったと評判になった事があった。
が、男子の一人として読んでみると、「リアル」=現実的というよりも、少女に提供される「見世物」であるように感じられた。
少女の興味に奉仕するため、男子の(女子には)知られざる面を見せてみました、という「見世物としての少年」であって、現実の少年が読んで肯けるような「リアル」さは無いと(少年読者には)思えたものだ。

もちろん、少女マンガなのだから、「現実」を描くよりも、少女の興味本位の欲望に奉仕することを優先するのは、悪いことは少しもない。
(付け加えれば、同時代の少女マンガに「現実的」な少年が描かれることは皆無ではなく、私見では、川原由美子の『前略・ミルクハウス』のヒーロー、女装少年の『涼音』くんが、それまでの少女マンガで初めて描かれた現実的に「リアル」な少年と感じられた)

TV放送されるアニメの本作であれば、男子に向けた「女子の実態」といった単なる覗き趣味の提供は越えてくるだろうと期待したくなる。


未経験の性に対する恍惚と不安は、少年も少女も同じく持つことだろう。
ドタバタと、あるいはアタフタとあがきまわる少女たちと共に、男子の方も微笑ましいバカさ加減や、鼻持ちならない下劣さが描写され、両性にとっての「思春期」がうまく描かれているようだ。

ラブコメとしての本作の「コメディ」は、「ラブ」=恋愛の向こうへ「性」を意識するようになった思春期が駆動する。
恋愛の向こうに垣間見える「性」は、官能の予感で挑発するとともに、不安を喚起するものでもある。
それぞれの個性に応じて、「不安」に対処する行動がナナメにずれていく面白さが、本作のコメディのキモだ。

が、「不安」は、「性」が呼び寄せる固有のものではなく、広く「未知のモノ」全てが等しく喚起するものでもあるだろう。

ハイデガーであれば不安の根源は死の可能性というところだが、もっと一般的には「傷つく」かもしれない可能性が、未知への不安を呼び起こすと言える。
少年も少女も、共に慄く「未知の」性への不安は、そこで「傷つけられる」かもしれない可能性への不安なのだろう。

だが、「傷つけられる」ものは、少女と少年では同じものなのだろうか。

少女を主人公とする以上、少年とは異なる、少女に固有の「傷つく」ものを対象化できるかが問われるだろう。

「見世物」としての少女の生態を越えた、固有の不安の根源の摘出を期待してしまう。



{netabare}一般的に言って、「初めて」を前に男子が最も関心をもっているのは、いかに上手にコトを進めるか/スマートに振る舞うことができるか、という情報であるように思える。
要するに、性行為において男子が最も怖れる=「傷つく」のは、うまく振る舞えずに「笑われる」ことだ。

一方、少女においては「男からどう見えるか」という情報が、もっとも関心度が高いように(オッサンには)見える。
言い換えれば、少女が怖れる=「傷つく」のは、相手から受け入れてもらえない=がっかりされる=「拒絶される」ことであるようだ。

少年の「笑われる」怖れ、少女の「拒絶される」怖れは、さらに抽象化すれば「自尊心が傷つけられる」怖れで、両者は同根源だといえるだろう。

最終話で、出来立ての駆け出しカップルたちが、互いの中に自分と同じためらいと同じ悩みを見出して「分かり合う」描写は、この同根源性を表現している。
要するに、男も女も同じことを悩んでいるのだと。

こうした「自尊心の傷つけあい」を乗り越えて、全面的に相手を受け入れあう多幸感こそが、性の官能の秘密であるのだと、このとき少女と少年は気付くのだろう。


だが、自尊心が傷つく恐れ/受け入れあう喜びは、性にかかわる領域に限らない。
人間関係全般について同じことが言えるはずだ。

男女の性行為に限定するならば、そこに固有のものは「肉体」だろう。
そう、少女の「傷つく」怖れは、人格的=精神的な領域においてと、即物的な肉体においてと重層的なものだ。
性行為の現場においては、男がまず勃起しなければ行為が発生しない=成立しない。それゆえ、男=少年が肉体性について「傷つく」、あるいは反省的に改めて意識化されることは無い。

最終話で、幼馴染の少年が少女二人に、それぞれ「精神的」と「肉体的」と別々の志向性を告白する場面は、男子が日常的に二要素を意識していない無自覚ぶりの表現であるだけではない。
それは、女子においては常に(怖れの対象として)「精神性」と「肉体性」がともに対象化されているのだという事と裏表でもある。
「肉体」を志向された少女が、それでも悪い気がしないと語るのは、まさに肉体性において拒絶される=「傷つけられる」怖れを解消された安堵であり、少女において「肉体性」が常に緊張をはらむ固有の「不安」要素であることを、裏側から示している。


肉体が「傷つく」怖れは、何も相手の男から乱暴に扱われるとか、嗜虐的な趣味を押し付けられるとか、あるいはレイプされるといった、即物的で具体的なケースを想定しているわけではないだろう。
未経験の少女であっても、具体的な想像などしないまま、漠然と怖れ=不安を感じているはずだ。

おそらく、この肉体への漠然とした「不安」は、女性とは「妊娠」する性(別)であることに由来するのではないか。

終幕で、文芸部部長の同級生が妊娠を理由に退学したことが明かされたとき、ガヤで生徒たちのざわめきが入れられるシーンで、一言「怖い」というセリフがハッキリと強調されていた。

自立した女性が計画的に妊娠するのは別として、妊娠すれば女性の生活や人生設計は根本的に変わる。悪い言い方をすれば、「捻じ曲げられ」る。
社会的な影響だけではない。
生物としてみるとき、妊娠とは母体とのエネルギーの奪い合いで、生命力や寿命において、個体としての母体に対して完全に敵対的な現象でもある。
医療や栄養供給の発達で、人間に限っては表面化していないだけに過ぎない。

少女が漠然とした怖れを抱く「肉体」が「傷つく」不安は、深層に妊娠の存在があるからではないか。

そんな感想を持ってしまうのは、遠い遠い昔に、初めて女の子と思いがけずに一夜を過ごすことになり、「今日は危ない日なの」と言われて、慌てて避妊具を求めて街を走り回ったカッコ悪い思い出のせいだ。

女の子というのは、常に自分の身体の状態を把握しているものなのかと強力に印象付けられたのだが、同時に、望まない妊娠は「危ない」=「怖い」という怖れが、常に自分の身体をモニターしなければならないと強迫しているのだと、そのとき腹の底まで思い知った気がする。

それ以来、望まない妊娠を回避するのは男の義務と、常に「防具」の用意を怠らないよう心がけてきた。
時には用意が良すぎて「アンタはいつもコレしか考えてないのか」と誤解されたりもしたが、紳士としては眼前の恋人の中に「怖れ」があるものならば、取り除こうと務めるのは当たり前だろう。
いい年した政治家が、アナウンサーとしてキャリアのある女性と「できちゃった結婚しました」とヘラヘラ笑いながら記者会見しているニュースを見ると、お前に紳士の義務感はないのかと複雑な気分にもなるが。

アメリカでは、妊娠した高校生は学業からドロップアウトするだけでなく、社会的経済的にもドロップアウトすることが統計的に圧倒的に多く、一部の女子学生たちの間で、進学し、学業を終了するまでバージンを守ろうとする「純潔の誓い」をかわす運動が広まっているらしい。

作中では、女子生徒の妊娠と退学は「愛を貫く」という肯定性として描かれ、ラストでハッピーな後日談も挿入して後味よく見せてはいるが、作劇上の要請で例外的なケースを描写していることは意識しておきたい。

上記のような事どもを真剣に描写すればいくらでも重苦しく陰鬱なドラマとなるだろうが、視聴者に拒否反応を出さないよう、コメディとして明るく描ける程度にマイルド化しているところは、バランス感覚というものか。

コメディの範疇に収まるようにライト化しつつも、それでも「傷つく」ものとしての少女の「肉体」、その根源としての「妊娠」といった要素を、匂わせる程度であれ挿入してきたことは、少女に固有の「荒ぶる季節」を真剣にとらえている証として、好感できる。


「荒ぶる」季節の表象として、ラストのバリケード立てこもりと団交に重ね合わせてくる描写は、オジサンにはグッとくるものがある。
ストレートに描けば若い世代には拒絶感が出るだろうが、真剣な局面に入りそうになるたびに脱臼させてコメディにしてしまう作劇は、拒絶感の回避のためには避けられないのだろう。
コメディとしての脱臼のために、校長や教頭がリアルではありえない性格設定や描写をされているのは、欠陥ではなく作劇上の要請として認めるべきだ。

この校長たちに限らず、少年少女が「荒ぶる」思春期の物語のために、周囲の大人たちの描写も慎重に配慮されている。

主人公の少女と幼馴染の少年の両親たちは、子供たちの視点からいかにも能天気で、悩みなく描写されている。
が、彼ら親たちもまた、確実に「思春期」を通過してきている。
平和に、楽しく日常を送っているように見える両親たちは、まさに「疾風怒濤」の思春期のさなかで不安にさいなまれる少年や少女が、いずれ平穏に「生活」へと適応していくであろう一つのモデルであるのだ。

この、ある種理想的な大人ぶりが、児童劇団の演出家の気色悪さを、逆の意味で浮かび上がらせる。

「ロリコン」と誹謗される演出家は、社会的には別に非難されるところは1つもない。
自分の性癖を把握し、少女と性的な接触をするわけでもないし、成人女性と欺瞞的な関係を結ぼうとするわけでもない。
「大人」としてしっかりと社会性を保っているように見える。

気色悪さは、子供と性的関係を結ぶわけではないという「大人」の良識を持つと見せながら、少女=子供同士の関係にかかわろうとするところにある。

主人公の両親たちが、思春期のさなかにある子供たちの「荒ぶれ」ぶりにまるで気づかずに、子供の「不安」や「悩み」にまるで配慮しない能天気ぶりで接するのは、親たちは「子供」とは位相の異なる「大人」という、ある意味で別種の存在へと変化を遂げ終えているからだ。
「子供」ではいられない、すでに「大人」となってしまったものには、子供に合わせた発想はできない。

彼ら親たちに比べ、「大人」を演じながら、子供に関わり=同化し=仲間のように振る舞うことが、演出家の気色悪さを感じさせる根源だ。
大人面しながら、子供の「一員」になろうとするなど、まともな大人とは到底言えないだろう。「ロリコン」がどうこうという問題ではない。

その点で、教育者という社会的役割を負う文芸部顧問は、子供との接触と交流において、(半ば振り回されつつも)大人の見識と教育者の役割の間で、うまくバランスの取れた行動をとり続ける。

こうした「大人」たちを慎重に設定し描写した環境に囲まれるからこそ、「荒ぶる」思春期少女たちは物語世界を存分に駆け回れたのだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 72
ネタバレ

鰺鱒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

栞は、気がついたら勝手に挟まってるんだ。

[2019/09/09 v1]
[2019/09/11 v2 10話まで]
[2019/09/15 v3 11話まで]
[2019/09/21 v4 最終話+ちょいちょい追記]
[2019/09/23 v5 多分最終 *部分追記もしくは修正・構成微修正]

原作知らず。

いわゆる「海外の反応」系のYouTuberで、僕が良く見る方々が矢鱈と誉めていたので試しに視聴。六話まで一気にみてしまった(台風の音で寝られんかったのもあるが)。

この作品に対する好き嫌いや印象は、視聴する方の性別や年齢、異性との交際(あるなし、その仕方、もろもろ)や家族構成等に大きく依存すると思います。多分、僕に娘がいたらこの作品はみられなかったかも、と思います。

* 誰が観ても楽しめる作品ではないと思います。なにより、性と恋愛を扱う作品には、暗黙のうちに自らの物差し=上記のいろいろが合わさってできあがる自分自身の価値基準があてがわれるものだと思います。本作を楽しめるから良い、悪いではなく、もっと根本的なところで「合う・合わない」≒「観たい・観たくない」が発生するテーマだと思います。

僕としては、全体として大変に満足しました。
面白かったとか、楽しめたとかとももちろんそうなのですが、それらとはまた違う、観て良かったと思える作品になりました。*お話し全体を通して、非常に良く作り込まれた印象を受けます。
上述の通り、人によっては躊躇われる可能性がありますが、そうでないなら是非ご覧いただきたい作品です。

====Opening
開幕オープニング曲。
本作のために書かれた曲のように思いますが、曲も歌詞も映像も素晴らしい。オープニングの語りが変わるのもよいですね。

OP曲の歌詞はそのまま本作のサマリー、あらすじとなっています。もーちん{netabare}の視線。そういうことだったのね{/netabare}。

出だしの一節に曰、「親の愛のあいだに生まれた娘は、そろそろ恋のページを綴る頃(主観的意訳)」。そして、荒ぶり、抗う乙女たち。

結びの一節、「栞はいらない」が僕にはぐっさりと刺さりました。立ち止まらない、戻らない、振り返らない。ただただ走り抜けるんだという力強い言葉。15~20ページは、それでいいよね、きっと。

僕という本は栞で一杯です。参考書につけられた付箋紙のごとくです。戻れるものなら、やり直せるものならの栞が。

エンディングもかわいいお曽根さんになってます。台本(なんでしょうかね?)を映しながらの台詞抜粋で構成する次回予告も楽しいです。

==== 第一話:I'm hooked!
第一話のhookは見事でした。舞台・世界観のセットアップから展開まで。完璧だったのではないでしょうか。
{netabare}
TRAIN-TRAINに押し出されるように駆け出すかずさ。嫌らしさも、汚ならしさも剥き出しの世界に。そして曰く「聖者になんてなれないよ」。
{/netabare}
彼女達の全力疾走、純潔の行方を見届けたいと思います。



====11話まで
{netabare}

====10話までみちゃいました
困惑。
なんなのこのお話(ほめてるけど喜べないけどほめてるんだけど・・・・)

====11話まで
いやもう、、、どうまとめるんだか分からないけど、いろいろ荒ぶってます。
いろいろ有り過ぎて僕の頭の中がまとまらないのですが、いきなり11話冒頭で「純潔」が落ちちゃったのには血の気が少し引きました(笑)


*全体を通して、ミロ先生だけはちょっと違和感を感じます。いろいろ都合良すぎな立ち位置と性質かな、と。でも、必要な舞台装置と考えれば、まぁよし、かな。

{/netabare}。


====最終話:It landed!
ぉぉ・・・絶対まとめきれないと思っていたのに、、、
まとめやがった。しかも想像の上のラインで。


=冒頭:校長・教頭・教職員
{netabare} 職務放棄は確かにその通りだが、笑いとともにスムーズに闘いの構図を生徒v.s.学校(教員)から文芸部および各部員自身へと転換した{/netabare}。うまいと思う。

=中盤:文芸部員+泉+天城+ミロ
ま、ここは定石通りかもしれない。互いに伏せられていたいろいろなものの蓋を外し、全員に共有。

=そこからの
==色オニ==
{netabare}正直なところ最初はよく分からなかった。分からなかったと言うより、この最終話で僕が感じた唯一の違和感とともにこの色オニが呈示されてしまったため、呑み込めなかったのだと思う。
違和感=唐突に感じた和紗の「闘いませんか」+それを受けてのやはり唐突かつ強引に感じたミロ先生による方向転換。さらに言えば、なかなか立派にアレな縛られ方をされたミロ先生が格好いいことを言うという状況に虚を突かれてました(ツボってた)。

* ただ、少し落ち着いてから考えると、そもそも「色」を持ってくること自体が唐突にも思います。どこかで引っかけているような気がするのですが、残念ながらどこかは分からず。直前の「色情に駆られる」がリードだ、と言うことはないと思うのですが・・・(ここだけ浅すぎることになる)。分かる方は教えていただけるとありがたいです。

でも、この色オニは実に文芸部員らしい、言葉に魅入られた・捕らわれた彼女たちにしか出来ない自己開示、互いの理解(理解するためのもがき)、そして、自分自身を知る術だった。なかなかに練られた舞台設定だったと思う。

本郷の呈示した「色」はおそらく彼女の心境そのものなんだろう。直後のミロ先生との対話を経て、少し吹っ切れたあとの彼女が呈示する色はどんな色だったのか。是非聴きたい。

モモの桃色を必死に探す菅原氏の描写は良かった。

* 色オニの最後の場面には下地がありました。5話で曾根崎部長が朗読していた本の一節でしたね。「同じものを見て、同じ言葉を紡いだ」和紗と泉、そして、そうなれていたかもしれない菅原氏。この状況を作るための舞台装置として、主観のさらけ出しあいとなる色オニは最適だったのかもしれません。


{/netabare}


====フィナーレ:Ah... so, it fit...

僕の中では、屈指の「まとめ」となりました。ベスト10、あとで変更しなきゃ。

ミロ先生による「荒ぶってますね」は、最初観たときにはコレジャナイ感を持ったのですが、まぁ、、、、これしかなかったかなとも思います。

部室で寝こける文芸部員たちについたいろいろな色。純潔にして純白の存在は、いろいろな色に染められ汚れていくのか、あるいは、色づいていくのか、それとも、自身が持っている色が白の光に照らされることで露わになるのか。きっとどれも正解なんだろう(加法混色とか減法混色とかは脇に追いやり)。

このシーンの彼女たちの寝顔は、作品全体の中で最も愛らしく見えました。
ただし、本郷を除いて。
本郷さん、あんたそれ、燃え尽きて真っ白になったあのボクサーだろ。
偉い男前の顔しやがって・・・(左右反対だし、違うのかもだけど)
半分涙目で吹き出しちゃったよ。なんだかんだ本郷さん推しだな、僕は。

よくよく観るとなんかいろいろみんないる改札前。
ダメンズワイプ。
*車内に本郷の担当編集までいたのね。。。

そして最後の一言。




=====================
例によって、「海外の反応」とあわせて観ていました。

この作品の場合はギャグアニメに対する「反応」のようにリアクション芸を観て楽しむという形にはなりづらいのですが、そこそこの数、本作に対するAnime Reactionが出ています。その中にかなり厚くコメンタリを入れる方が居るのですが、僕の本作に対する感想も少なからず影響されていると思います。

「it fit」は第一話と最後の最後での「はいった」の英訳です。


* 多分、まだ書き足りないことがたくさんあると思いますが、今の時点で言葉にまとめられるのはこれくらい。しばらく間を置いて、もう一度観直そうと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 48

71.7 2 小説家で先輩なアニメランキング2位
ひだまりスケッチ(TVアニメ動画)

2007年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (775)
4451人が棚に入れました
憧れのやまぶき高校美術科に、見事合格したゆの。
自宅から遠いため、親元を離れ学校の門前にあるアパート「ひだまり荘」で一人暮らしをすることなった。
隣室に住む同級生の宮子、階下に住む上級生のヒロ・沙英とともに、やさしくあたたかい仲間に囲まれながらも、4人が巻き起こす楽しくもにぎやかな日々を描く。

声優・キャラクター
阿澄佳奈、水橋かおり、後藤邑子、新谷良子、松来未祐

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あんハピ♪でストーリーの所々でキャラクターがSDキャラになる・止め絵のアイキャッチなど本作を意識しているシーンが多い。

憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。
親元を離れ、学校のまん前にある小さなアパート『ひだまり荘』で一人暮らしをはじめたゆのは、そこで同級生の宮子、先輩の沙英とヒロの三人に出会う。
美術家の変わり者が集う事で有名なひだまり荘では、毎日がてんやわんやな出来事ばかり。
しかし、慣れない生活に戸惑いつつも、優しく温かい仲間に囲まれながら、ゆのは今ゆっくりと夢に向かって歩き出す。

ひだまりスケッチ 1(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第1巻。
憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。
親元を離れ、アパート「ひだまり荘」でひとり暮らしを始めた彼女の日常を綴る。
第1話「1月10日 冬のコラージュ」と第2話「8月21日 ニッポンの夏」を収録。

ひだまりスケッチ 2(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第2巻。
デッサンの授業へと向かったゆのは、教室で全身に布を巻いた美術教師・吉野家先生と遭遇。
自らデッサンのモデルになると言い出した先生は…。
第3話「6月17日 またはインド人」と第4話「5月18日 ふかふか日和」を収録。

ひだまりスケッチ 3(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第3巻。
風邪を引き、学校を欠席したゆの。
昼過ぎに目を覚ました彼女は、額の上に濡れタオルが置いてあり、新しいパジャマに着替えていることを不思議に思い…。
第5話「2月13日 こころとからだ」と第6話「7月14日 ひんやり・まったり」を収録。
第3巻映像特典 ゆの役(阿澄佳奈)インタビュー

ひだまりスケッチ 4(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第4巻。
曇天のある日、宮子たちの下校時間にはすっかり風雨が強まっていた。
宮子は自分の部屋に置いてある乾燥剤が雨漏りにより発火することを心配し…。
第7話「10月12日 嵐ノ乾燥剤」と第8話「「3月13日 3%の希望」を収録。
第4巻映像特典 宮子役(水橋かおり)インタビュー

ひだまりスケッチ 5(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第5巻。
宮子と一緒に通学したいたゆのは、道端に落ちていた宝くじを拾う。
落とし主のサラリーマンに渡すと、謝礼としてくじを何枚か貰い…。
第9話「9月4日 裏新宿の狼」と第10話「11月3日 ゆのさま」を収録。
第5巻映像特典 ヒロ役(後藤邑子)インタビュー

ひだまりスケッチ 6(オーディオコメンタリー2話収録)
蒼樹うめ原作の人気4コマ漫画をアニメ化した第6巻。
校外学習で動物園を訪れたゆのたち。
お弁当の時間、動物に見立てたおかずを見せ合う一行だったが、宮ちゃんのお弁当にはキャベツが丸ごと入っており…。
第11話「4月28日 まーるキャベツ」と第12話「12月24日 ChristmasEve 12月25日 サヨナラ…うめ先生」を収録。
第6巻映像特典 沙英役(新谷良子)インタビュー

病気療養中の声優・松来未祐さん死去 「ハヤテのごとく!」鷺ノ宮伊澄、「這いよれ! ニャル子さん」クー子など演じる
アニメ「ハヤテのごとく!」の鷺ノ宮伊澄役などで知られる声優の松来未祐(まつきみゆ)さんが27日に死去していたことがわかった。38歳だった。2日、所属事務所の81プロデュースが公式ホームページで発表した。

ホームページでは「病気療養中のところ平成27年10月27日 38歳で永眠致しました。ここに生前中のご厚誼を深謝し、謹んでご報告申し上げます」と松来さんの死去を伝えた。

また松来さんの公式ブログでも死去を発表。葬儀は、遺族の意向により親族のみで執り行われた。

松来さんは今年7月14日に自身のブログで「今年に入って熱が下がらず、病院で検査を繰り返していたのですが、急性の肺炎で検査を重ねたところで、少しでも早く治療に取り組まないといけない病気であることが分かりました」と明かし、病気療養のために当面の活動を中止すると発表していた。

松来さんは1998年にプレイステーション用ゲーム「御神楽少女探偵団」で声優デビュー。アニメ「D・C・~ダ・カーポ~」の鷺澤頼子や「這いよれ!ニャル子さん」クー子、「ひだまりスケッチ」吉野屋先生の声などで知られ、ファンには「まつらいさん」の愛称で親しまれていた。

『魔法少女まどか☆マギカ』から『ひだまりスケッチ』まで秘蔵資料&作品多数! こだわりの“蒼樹うめ展”10月3日より開幕

●内覧会には蒼樹氏も登場! ライブドローイングを披露
マンガ『ひだまりスケッチ』や、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のキャラクター原案などで知られる蒼樹うめ氏の展覧会“蒼樹うめ展”が、2015年10月3日(土)~12日(月・祝)の期間、東京・上野の森美術館にて開催!オープン前日となる本日10月2日(金)、報道陣向けの内覧会が行われた。

蒼樹氏初の個展となる本展では、マンガ原稿やイラストだけではなく、初公開の設定資料やデザイン画、描き下ろし作品など、貴重な作品・資料が一挙展示! キュートで華やかな“蒼樹うめの世界”を存分に味わうことができる。

そして内覧会には、蒼樹氏ご本人も登場! 報道陣を前に、その場でイラストを描く“ライブドローイング”を披露してくれた。登壇した蒼樹氏は、「最初に個展のお話をいただいたときには、なんと分不相応なと、大変不安でした」と率直な感想を語り、「私なりに、肩肘張らずにリラックスして、ニコニコと観ていただける展覧会ができたらいいなと思い、今日までコツコツと作らせていただきました」と本展をアピール。展示はもちろん、グッズなどの細部に至るまで蒼樹氏の意向が反映されているそうだ。

ライブドローイングでは、本展のメインビジュアルにも登場している『ひだまりスケッチ』のゆのと、『魔法少女まどか☆マギカ』キュゥべえを生描画。色えんぴつで頭の大きさなどのアタリを取ると、そのまま太さの違う2種のサインペンで直描き! 約20分ほどの間で、ゆの&キュゥべえが描かれていく。ちなみにゆのは蒼樹氏の美大生時代に生まれたキャラクターだというが、キャラクター自体は「私が落ちこぼれていた、予備校生時代の分身」とのこと。本展の作品には蒼樹氏直筆の制作秘話も併せて展示されており、こういった制作秘話を知ることで、より一層作品を楽しむことができそうだ。

さて、ここからは展覧会の模様をちょっとだけご紹介。第1章~第5章の章立てで、幼少期から学生時代、『ひだまりスケッチ』に『魔法少女まどか☆マギカ』、そしてイラスト制作や同人活動などの多岐にわたる創作活動まで、蒼樹氏の歩みを一望することができる。実際に蒼樹氏が使用している機材を展示した“原稿の部屋”も必見だ。

◆第1章“蒼樹うめとは”
蒼樹氏の幼少期の作品や、学生時代のデッサンなどが展示。蒼樹氏手作りの焼きビーフンを再現した食品サンプル(!)の傍には、レシピも!

◆第2章 『ひだまりスケッチ』の世界
4度にわたりテレビアニメ化もされた、蒼樹氏の代表作『ひだまりスケッチ』。各種イラストや原稿のほか、“ひだまり荘”を再現した一角も!?

◆第3章 原稿の部屋
蒼樹氏の仕事場を再現したコーナー。幾多の作品が、すべてこのコーナーと同じ環境で制作されたのだ。

◆第4章 キャラクター原案『魔法少女まどか☆マギカ』
社会現象にもなった『魔法少女まどか☆マギカ』は、蒼樹氏がキャラクター原案を担当。キャラクターたちの魅力を、蒼樹氏みずから解説している。

◆第5章 「蒼樹うめ」の仕事
連載作品やイラスト提供、企業とのコラボなど、さまざまな作品も一挙展示! コミックマーケットのカタログイラストには、蒼樹氏の熱い想いも添えられていた。

本展では作品展示やグッズ販売のほか、蒼樹氏が不定期で来場し行うドローイングイベントやサイン会、蒼樹氏本人や声優の阿澄佳奈さん(『ひだまりスケッチ』ゆの役)、悠木碧さん(『魔法少女まどか☆マギカ』鹿目まどか役)による音声ガイド(700円[税込])など、“蒼樹うめ展”を味わい尽くす仕掛けが盛りだくさん!

蒼樹うめさん初の個展「蒼樹うめ展」 7月3日から前売り券が全国にて発売開始
10月3日~12日に上野の森美術館にて開催される人気イラストレーター・マンガ家の蒼樹うめさん初の個展「蒼樹うめ展」。前売り券が7月3日から発売されることがWebサイトや公式Twitterアカウントにて発表されました。同時にWebサイトもリニューアルされ、「見どころ」「チケット情報」「関連イベント」が新たに公開されています。

2007年1月からTBSほかで第1期全12話が放送された。

内容は原作にほぼ忠実だが、各話の順番はバラバラで、また時系列順でもなくバラバラである。第1期ではゆのは1年生である。

このアニメの大きな特徴として、実写取り込み画像とスクリーントーン状の背景を効果的に使用していることが挙げられる。特に第1期では料理の実写取り込み画像が多用されており、オーディオコメンタリーによれば、スタッフが実際に調理した物を撮影して使用している。

パートの冒頭には映画のフィルム音と併せた5秒前からのカウントダウンが流れ、1期では太陽を見立てたデザインのものが使われている。

蒼樹は「主要登場人物のフルネームは設定しておらず、今後新たに設定するつもりもない」と語っている。

オープニングテーマ
「スケッチスイッチ」

エンディングテーマ
「芽生えドライブ」

投稿 : 2024/06/01
♥ : 42

しんばくん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

これが本来の日常系なのかも。だが異色に見える。

物語:3.2 作画:4.0 声優:4.6 音楽:3.4 キャラ:4.8 【平均:4.0】                           (67.9)

ジャンル        :学園、美術、日常生活、ギャグ
話数          :12話+特別編2話
原作          :蒼樹うめ(四コマ漫画)
アニメーション製作 :シャフト
総監督         :新房昭之(第1期のみ)
シリーズ構成     :長谷川菜穂子
キャラデザイン    :伊藤良明
音楽          :菊谷知樹
主人公声優      :阿澄佳奈
OP           :「スケッチスイッチ」作詞 - 秋乃零斗 / 作曲 - 前澤寛之 / 編曲 - 安藤高弘
                         / 歌 - 阿澄佳奈、水橋かおり、新谷良子、後藤邑子
ED           :「芽生えドライブ」作詞 - micco / 作曲・編曲 - 菊池達也 / 歌 - marble

参照元         :Wikipedia「ひだまりスケッチ(アニメ)」
公式ページ      :http://www.tbs.co.jp/anime/hidamari/1st/

【あらすじ】
 憧れの私立やまぶき高校美術科に入学したゆの。親元を離れ、学校のまん前にある小さなアパート『ひだまり荘』で一人暮らしをはじめたゆのは、そこで同級生の宮子、先輩の沙英とヒロの三人に出会う。 ひだまりスケッチ公式「STORY」冒頭

【特徴】
①日常系、ほのぼの
②時系列シャッフル(1年間)
③新房昭之、シャフトらしい演出(一様な柄の背景、平面的に見せる、実写の取り込み、コミカルなSE等)
④時々キャラのデフォルメ化
⑤放送回によって雰囲気が異なる

【特徴の補足】
①ひだまり荘に住む4人の1年間を描く日常系作品。またその他の登場人物として、ゆのと宮子の担任である吉野屋先生と、いつも吉野屋先生を叱る校長などが登場する。
②始めのうちは意味の分からない事もあるが、後の回でその意味が明らかになります。
③上記で挙げた演出以外では、主に口以外の動作の無い体の一部をアップしたカットを多用します。
④手は腕だけ、顔は更に横長に、目は縦棒という具合にキャラを大胆にデフォルメします。これだけ大胆にデフォルメする作品は珍しく、本作の主な特徴になります。 
⑤基本的に温かいエピソードですが、回によってコメディー、ほっこり、ほのぼの等エピソードの主軸が異なります。従っていつも面白おかしい事柄だけでは無く、実際の日常で起きそうなエピソードで構成されています。

【総括】
 終始顔がほころんでしまうような内容の日常系作品でした。しかしその反面強く笑いを誘うオチが少ない気がしました。その為、"ほのぼのエピソード"がメインとなる作品に感じました。また独特な演出を始め、時系列シャッフルや回によって微妙に方向性を変えるなど、その他の制作会社の日常系作品と被らぬよう工夫を凝らしていると感じました。しかし、ローコスト感を強く感じさせてしまうのは玉に瑕で勿体無いとも感じました。
 最後です。どの様な人にお勧め?と問われたら「本当にほのぼのしたい方にオススメ」と答えます。


【思った事・蛇足】

観終えてみるとゆの達のほのぼのとした話より
新房昭之×シャフトの演出について色々と頭に浮かんできてしまって
自分が本当に楽しめているのか疑問に思ってしまいました。
うーん。
これだけインパクトの強い演出だと仕方のないことなのかもしれませんね。



それから
私の感覚ですが
本作はシャフトらしさを色濃く感じました。
だからシャフトの演出がダメと言う方が本作を完走出来た場合
他のシャフト作品も問題なく観ることが出来るのではないかと思いました。



さて
中身についての感想ですが
良くも悪くもフラットになりました。
心が。
含みのある言い方に感じるかもしれませんが
コレが正直な感想です。
ひだまり荘の4人については少し離れた所から
頬杖を突いてニッコリ微笑みながら見守る感覚で観ていました。



それで私が4人のこと以上に面白味を感じていたことは何なのかと言うと
吉野屋先生と校長先生のバカバカしい遣り取りです。
この2人はギャグ担当でした。
吉野屋先生は教員にあるまじき行動をする変わり者でしたが
校長に至っては頭は細長いわ全身が常に震えてるわで
容姿から既にギャグ。
怒った時のリアクションなんかは可笑しくて結構好きでした。



それにしても
4人に対する感想が浮かんできませんが
次期を観ることで何かしらの感想が浮かんでくることを信じます。



因みに「ひだまりスケッチシリーズ」は全4期です。
1期ではゆのと宮子は1年生ですが
シリーズを追う毎に時間が進み、進級し
更にはキャラも増えるようです。
これは仲良しの輪も広がって
面白味の幅も増えるということなのでしょう。



うん。
是非ともシリーズの最後まで観てみたい!



●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※ネタバレ注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-37.html

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10
ネタバレ

智慧ノ輪 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

個人用メモ

【製作】
シャフト
【CV】
ゆの - 阿澄佳奈
宮子 - 水橋かおり
ヒロ - 後藤邑子
沙英 - 新谷良子
乃莉 - 原田ひとみ
なずな - 小見川千明
吉野屋先生 - 松来未祐
校長先生 - チョー
大家さん - 沢城みゆき
夏目 - 福圓美里
智花 - 釘宮理恵
うめ先生 - 蒼樹うめ(原作者)
{netabare}
※蒼樹うめ先生による4コマ漫画原作のアニメ。
美術の学校が舞台なのでシャフトの演出が合ってると思う。
時系列をバラバラにしてるのもいい感じ。

関係ないけど、ゆのっちと吉野家先生の会話シーンを(声優が同じだから)
這いニャルのニャル子&クー子に脳内変換してみるのにハマってますw

アニメではカットされてるけど原作1巻のゆのっちが酔って愚痴?を言うシーン、普段では見れない黒い部分が新鮮で好き♪
{/netabare}
ここから先はネタをネタとして見れる人しか開いてはダメかもしれない。
{netabare}
『本当は怖いひだまりスケッチの世界』


その1 【恐怖!101号室に潜む伝説の魔物】

仮にここではHさんとしておこう。Hさんは普段とても大人しい姿をしているのだが、主にひだまり荘の202号室の住人M子さんとの会話中に時折本来の姿を現す。そしてこの生物は、髪の毛があたかも生きている蛇の様に動き出すのだ。オカルトや神話に詳しい方ならピンときたかもしれない。そう、ギリシャ神話の伝説の魔物「メデューサ」そのものではないか。伝説とされている魔物は確かに存在したのだ。しかも「ひだまり荘」というこのアニメの中で一番描かれている場面の多い建物内にだ。筆者はこの事実に気付いた時、あまりの恐ろしさにしばらく震えが止まらなかったのを覚えている。…話を戻そう。この魔物の暴力的かつ残虐的な行動は語るまでもないのだが、その他にもこの個体には顕著な特徴がある。それは「食」に対する異常なまでの執着心。真夏に暖房をガンガンに効かせて鍋を食したり、鍋の締めとして鍋いっぱいのお汁粉を用意したり…と、その異常性は極めて高い。ちなみに余談ではあるが、メデューサの神話は芸術面においても関わりが深い。古代ギリシャやローマでは武具や防具にその首が描かれていたり、子供の悪戯防止と魔除けの意味を込め、竈にメドゥーサの絵を描いていた物も残っている。ひだまりスケッチの舞台となっているのが、やまぶき高校美術科だというのもなにか関係があるのかもしれない。

その2 【驚異!狐が憑いた女】

怪談でしばし語られる中には「呪われた○○」というものがある。いわゆる「いわくつき」というヤツだ。このひだまりスケッチの中にも例外なく登場しているのだ。1期2話をご覧になって欲しい。内容は浴衣を着て夏祭りに出かけるという、一見ごく普通のお話。そして浴衣を持ってなかったM子さんは、Hさんが子供の頃に着ていた魔法少女モノの浴衣を借りる事に。しかし、ここからが本編なのだ。その浴衣は着ると色々と悪い事が起きる「狐が憑いた浴衣」いわゆる「いわく付きな浴衣」だったのである。案の定それを着て夏祭りに出かけたM子さんが取り憑かれるのだが、その顛末は皆さんにアニメを実際に見て確認してほしい。

その3 【怪奇!やまぶき高校に棲む怪異】

「学校の七不思議」というのを聞いた事がある人も多いだろう。怪談では定番となっている物だが、勿論ひだまりスケッチに登場する学校にも存在する。其の中でも最も筆者が恐ろしいと感じたのは、学校の代表とも言える存在「校長先生」がとても人間とは思えない異形の姿をしているように見える…というものだ。一言で言えば「在り得ない程に頭部が長い」のである。この校長は度々出現しているので、これも実際にアニメを見て確認をしてみてほしい。またこの他にも妖怪の類だと思われる「チクリン」の存在や、過去の卒業生が彫った「やまぶき地蔵」にまつわる伝説、学校の目の前に佇んでいる「血溜り荘」(お黙り荘と呼ばれる事もあるらしい)と呼ばれる建物…等々が七不思議には存在する。こちらも検証が済み次第、記事にしていこうと思う。


…え?ひだまりスケッチは癒し系の日常アニメだって?
「お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな。」(CV阿澄佳奈@黒ゆの
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5

64.7 3 小説家で先輩なアニメランキング3位
文学少女 劇場版(アニメ映画)

2010年5月1日
★★★★☆ 3.7 (274)
1386人が棚に入れました
文字どおり食べてしまうほど文学が好きなヒロイン・天野遠子と、彼女によって無理やり文芸部に入部させられた男子高校生・井上心葉が様々な事件の解決に乗り出す学園生活の模様を綴った野村美月の人気ライトノベル・シリーズを映画化した劇場版アニメ。『銀河鉄道の夜』がモチーフとなっている原作の第5巻『“文学少女”と慟哭の巡礼者【パルミエーレ】』をベースに、心葉と彼のトラウマとなっている少女・朝倉美羽との運命の再会がもたらす切なくも愛憎入り交じる人間模様を描く。

声優・キャラクター
花澤香菜、入野自由、水樹奈々、宮野真守、小野大輔、豊崎愛生、下田麻美、平野綾
ネタバレ

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

視聴ルートと個人的適性。

【わたしのタイプと視聴ルート。】

前もって言っておくと、私にとってチャレンジ色の濃い視聴でした。

・普段見ないタイプの作品(恋愛強め)
・キャラデが好きな方ではない(少女漫画風?)
・普段は比較的情報を入れずに視聴するタイプだけど、今回沢山のレビューをじっくり(ネタバレ抜きで)読ませていただいてからの視聴。

3つ目は、どうやら劇場版とOVAが補完関係になっているらしいという構成を知って視聴順を決めるためやむなく‥というのが大きな理由。
先ず、そういうタイプのわたしが書いたレビューなのを前もって言っておきます。原作未読。

で、わたしが選んだ視聴ルートはというと、
OVA(3作品)→劇場版でした。情報比較の甲斐もあり、個人的にはこのルートで正解だったと思うのですが、さらに完璧を期すためには、「プレリュード(OVA)」→「劇場版中盤まで」→「レクイエム(OVA)」→「劇場版クライマックッス」、で、デザートに「OVAのラプソディー」。
これがN0TT0Nお薦めの視聴ルートですw
お試しあれ。



【軽く内容などについて。】

山とガールが、肉食と女子が、ゲスの極みと乙女が出会う遥か以前からまるで四文字熟語か慣用句かのように融合している『文学』と『少女』。
この飛行機雲のようにまっすぐなタイトルから、爽やかで、なにか清廉なイメージを勝手に持ってしまうのですが(キャラデも含めて)、結構、闇な部分を描いた作品だったと言えます。
宮沢賢治の文学作品をモチーフにしている点など文学関連のフィルターを通した表現が多いのですが、この作品の主題は「トラウマ×恋愛」だと思うので、爽やかとか癒される系の物語を、心掻き乱されることなく視たい人にはお薦めできません。要注意です。

ただ、文学少女こと天野遠子先輩の登場している時間帯、特に文芸部の部室シーンは別。逆光などの作画クオリティも手伝ってか、とてもいい感じの空間に仕上がってます。

ですが彼女、ほとんど物語に関わってこない。
この部分は上記の視聴ルートで多少改善されますが、物語を食べる彼女、そもそもこの物語の中での立ち位置も、この特異な設定と同じように読者であったのかもしれません。
ファンタジックな着地も読者目線と捉えればなんとなく合点がいきます。
てか、OVAプレリュードを視聴すると、このはと遠子先輩との出会いの意味が180度変わるエピソードが仕込まれています。
実はこの物語、遠子先輩の思惑がかなり‥‥ry

そして物語の主題「トラウマ」に関しても劇場版だけでは消化不良だったと思います。わたしが朝倉美羽というちょっとアレなキャラに高いリアリティを感じたのはOVAレクイエムのおかげだったと思ってます。

全体としては、リアルな葛藤に対してファンタジーな爽やかさを被せてくる演出がう~~ん‥でした。
空気感としては良い「転」→「結」だったと思うけど、この辺がカッチリ融合して説得力をもっていればもう少し楽しめたかと思います。

ということで、わたしの未知のジャンルの適性チャレンジは"保留"という感じになりました。小さな一歩は踏み出しましたが、恋愛度強の作品を堪能できる素養はまだ確認できてません。

作品については、正直劇場版単体ではあまり物語を評価できませんが、OVA込で視るんであれば、それなりに楽しめるかと。突っ込みどころも完備してますしね。

※以下OVAの話込みのネタバレ。

{netabare}

正直言うと劇場版とOVAの連続性が欲しかった。
大人の事情が多大に影響していたのでしょうが。。

キャラデは意外といけたし、髪揺れや光表現などの作画クオリティも高く視やすかった。ちあの身長が完全に1m切ってたシーンあったけど流石に吹いたwだまし絵かとww

内容的にはOVAも含めると美羽のキャラは説得力あったと思う。思うのだけどトラウマ克服の展開が安易なのは否定できない。一言で救われることが絶対に無いとは言わないけど、遠子先輩と初対面なのも含め、積み重ねが無さ過ぎて説得力が‥。

そもそも抱えてる問題はリアルに描いてるのに解決方法が唐突で、しかもファンタジー‥というのがちょっと興ざめでした。
しかも美羽が克服したとみるや遠子先輩に一目散なこのはw
なんたるフットワーク、切り替えの速さ。バロンドール候補に推薦したいレベル。

その遠子先輩は魅力的に描かれてて良かった。魅力的でいて物語に殆ど関わらないという立ち位置がある意味斬新だけど、OVA込みならまあまあ理解できる感じ。物語を食べる設定もOVAで結構お腹いっぱいにはなるんだけど、返す返すも劇場版と連続性を持たせて頂きたかった。

以上です(`_´)ゞ

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ファンタジーだからこそ心の動きが自然でした。

 dアニメのトップにあったので、あまりのなつかしさに視聴しました。本作を見て思うのは、感動とかいい作品って、決してリアリティじゃないですね。

 どんな荒唐無稽な設定の中でも人の心の動きをしっかりと描き切っていれば、一見バカみたいな設定、ちょっと不自然な物語の展開が、かえって感情を強調してくれて深く感動できます。それが、日本のマンガやアニメそしてラノベのいいところだと思います。そしてその代表が「文学少女」なのかもしれません。

 出てくる女がみんな不快になる要素を持っています。ヒロイン遠子も含めてです。彼女は無垢でもありますが、我儘です。でも、深く深く主人公を尊敬し理解しています。しかも、主人公が井上ミウだということを知らなかったのにです。そして、その事実を知ったからED前のあの2人の美しい場面につながってゆきます。

 {netabare} 誰よりも好きで理解していて尊敬しているから一緒にはいられない、{/netabare}という決断って古典的ではあります。が、これを自然に描こうとするのはストーリーに力がないと間抜けになります。遠子の決断に至る心の動きの説得力は、文学を味わうという「文学少女」の不思議なファンタジーな設定だからこそ活きてきます。

 で、本作のメインキャラ、ミウがいるわけです。まあ、この子についてのエピソードは正直不快なだけですが、主人公が小説家になるきっかけとか、遠子との対比という意味で重要です。ミウは主人公にきっかけを与えましたが、結果として彼の小説家としての未来を危うくしてしまいます。でも、遠子は主人公を少しずつ癒し、最後は{netabare}自分の気持ちと引き換えに背中を押します。{/netabare}主人公に対する執着と理解、心を壊したか癒したかが描かれていました。だから、最後の10分くらいの感動につながりました。
 号泣は言い過ぎですが、結構涙が自然にあふれてきました。

 それにしても平野綾さんは、うまいですね。いろいろあって活躍が中途半端なのは残念ですが、声の演技という点では非常に才能がある方でした。素晴らしかったと思います。

 非常に面白いし、懐かしくてさっき原作全巻買い直してしまいました。本作は不思議なことにこの映画の前段となるシリーズがTV等でアニメ化されてないんですよね。で、いきなり映画ってすごいですね。是非TV化希望といいたいですが、今のラノベと比べて作風が古いですし、当時としても異色だったと思います。多分もう無理でしょうね。

 予備知識が無くても、本作だけでも楽しめます。人の設定もストーリー展開上知識無くても読み取れる部分は多いです。
 ただ、やっぱり登場人物とかの関係で入り込むなら原作読んだほうが良いかもしれません。竹田という女の子。原作はかなり強烈でしたが、本作ではあんまり感じませんでした。

 なお、エンドロール後のあれはそういう事です。良かったですね。

追記 皆さんのレビューで知りましたがovaあるんですね。さっそく探してみます。


雑記です。

 宮沢賢治についてはビブリオ古書店でも取り上げられていますし、ピングドラムでは主題でした。銀河鉄道999はまあモチーフにしただけですが。作品そのものは銀河鉄道の夜以外に沢山アニメ化されています。アニメ見るなら一度宮沢賢治はじっくり読んでおいた方がよいかもしれません。

 覆面美少女作家というと、北村薫を思い出しますね。多分作風からいって本作の原作者も読んでいるのではないでしょうか。
 北村薫は意図したわけではないですが、おっさんで学校の先生で身分を隠したら女子大生と勘違いされたみたいですね。この人は人が死なない推理小説の元祖とも言われています。氷菓とかハルチカとか好きな方にお勧めです。

 追記 なお北村薫はリセット、ターン、スキップの3部作で時間跳躍というSF要素を一般推理小説に導入した功績もあります。一般人?が見る普通のTVドラマ化もされているのでその意味では日本のクリエータに多大な影響を与えた人です。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 2

野菜炒め帝国950円 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

(他人の)愛憎劇。それは最高のご馳走。

アニメ見ると感想書く習慣がついたせいで最近よくやる(エロ)同人RPG
クリア後の感想書かないとなんかモヤモヤする体にされてしまった。

ドロドロ検索シリーズ。
今回はこの文学少女。110分かそんくらい。
原作はあるらしいのだけど知らなくても特に問題無し。勿論私も知りません。

タイトルがドロドロ劇に似つかわしくないので視聴前は半信半疑ではあったけど考えてみればあのスクイズだってタイトルは学校の日々という割りとさわやかなタイトルでした。

結論から言えばそれなりに良作。多分マイナーなんだろうけど掘り出し物だったと言ってもいいレベルだったようには思います。

今回のヒロインズは3人。ttと同じですね。
主人公はいつものドロドロ劇専用主人公だと思って頂いて大体構わないかと。

この作品。ヒロインのキャラは比較的立ってたと思います。
この手のお話の肝はヒロイン達がどれだけ魅力があるかに掛かってると思うのです。

では3人のヒロインを簡単に見てみましょう。

タイトルにもなってる文学少女。これが主人公の1個上の先輩にして文芸部の部長?
見た目はいかにも文学少女って感じの地味ながらも可愛い感じですね。
地味故に個性を持たせるつもりだったのかこの子は本が好きな余りに本を食べてしまう妙な癖?があります。
ああ、いや本を食べるはさすがに人外すぎでしたね。正確にはページをちぎって食べる・・・ですね。
お前は山羊の生まれ変わりかよと突っ込みたくもなりますがこのおかげかインパクトは強いです。

続いて美羽。
所謂ヤンデレに近い存在で本作品のドロドロ劇の8~9割程度は彼女が担ってると言っても過言ではないでしょう。
先輩が光だとすれば完全にこちらは闇ですね。
実際にいれば関わりたくないお方ですがこういう物語だと彼女のような存在は実に映えます。
お前石仮面被っただろと言いたくなるくらいタフネスなのはさすがに変な笑いが出てしまいますが。

んで3人目。
こういう話の3人目のヒロインてのは何故か扱いが軽いことが多いですが彼女には見せ場もあり比較的恵まれたポジションだったのではないでしょうか。少なくとも私は好きでした。

3者3様の魅力はあるんですが悲しい共通点として全員が身内にカイジ君いますか?と問いたくなるような立派な顎をお持ちな点が多少気になると言えば気になるかもですね。
1度気にするとね。どうしてもそこに目が行くのは人間の悲しい性なんでしょうかね。

序盤は穏やかな普通の物語してますが暗雲立ち込めるのは大体中盤辺り以降でしょうか。

先輩が妙に魅力あるせいかこのままドロドロ抜きのさわやか恋愛でもいいかなぁと不覚にも思ってしまった時期もありましたが物語が荒れてくるとやはりそれはそれで心躍るものがあるのです。

それと一応タイトルが文学少女となってますので宮沢賢治とかは頻繁に出てきますが特別詳しくなくても多分支障はないかと思います。

全体的に見ても上手く纏めてある印象が強いのですが出来れば12~13話くらいでもう少し深くしたものも見たかったかなぁというのは本音ですかね。


ネタばれ無しじゃ詳しく聞けないのだけどラストの先輩の決断がなぁ・・。

どうしてこんなことなったのか、私にはわかりません。
これをあなたが読んだなら、その時、私は死んでいるでしょう。
…死体があるか、ないかの違いはあるでしょうが。

これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。 byひぐらし

いや死んではないけどまさにこんな気分。
なんとなく察しはつくもののなんだかなぁて感じです。

まぁ終わってみれば良作だったと思います。少なくとも見て損することは無いのではないでしょうか。
劇場版ということを考えれば程よい愛憎劇具合で御座いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 20
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