心理学で仮面なTVアニメ動画ランキング 4

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早速見ていきましょう!

87.3 1 心理学で仮面なアニメランキング1位
オッドタクシー(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (639)
2119人が棚に入れました
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

声優・キャラクター
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生、亜生、ユースケ、津田篤宏、たかし、村上知子、高井佳佑、フェニックス、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川慎、堀井茶渡、黒田崇矢、汐宮あまね、神楽千歌、METEOR
ネタバレ

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

We Are The (Odd) World

「羊の皮を被った狼」という言葉があります。
物事は見かけによらない事を唱えた慣用句で、古くは『新約聖書』のマタイ7章15節を起源と据えた、由緒正しき文言だそうです。
この遥か昔の厳しき時代から、人間は全ての事象を容易に分かった振りする行為程、愚かな事はないと伝えてきました。おばあちゃんをも超越させた昔昔の知恵袋。最早開闢の始祖レベルの処世術です。


当時、その事実を初めて知った僕は何だか妙に感心したのを憶えています。
へえ、そんな古くから大切な事を伝えていたんだなあ。騙されない為に、傷つかない為に、殺されない為に。狼の食餌から逃れられるよう心しておけ。
先人達もずっと同じ事を大事に大事に伝えてきたんだ。大切な教えってヤツは色褪せないんだなあって、のほほんぼんやりと考えていました。
でもね、物心ついてから思ったんですよ。感心している場合じゃねえぞって。他人事みたいにそ知らぬ振りしてんじゃねえぞって。その時確かに強く感じたんです。


『オッドタクシー』とは有体に申せば、そんな危機感による「想起」を僕等に植えつけてくるアニメと言えます。
『アクダマドライブ』程ではないにしても、テレビ東京以外ではAmazon Prime Videoでしか無料配信されていなかった(U-Nextでは有料配信)ので、初めてその名前を聞く人も多いんじゃないでしょうか。
『オッドタクシー』が凄まじいのは第1話を観て頂けると充分分かると思うんですが、恐らく観た方の誰もが口を揃えてこう語るでしょう。

本作は、此元和津也氏による「脚本」が兎角素晴らしい。

登場人物達が綴るセンスの塊会話劇に加えて「練馬区女子高生失踪事件」と言うサスペンス要素を取り入れ、先の展開を期待させる雰囲気構築が実に上手いです。
そして何より群像劇、会話劇、推理劇。どこへ着目してもお釣りの来る深みが齎されます。絶妙に上手くキャラが絡んでくる矢先、新しい関係を一部描写でチラッと人知れず提示してきます。掛け合いを聞いているだけでここまで面白可笑しく進行していくリアリスティックなアニメはあまり観た事がありません(映画やドラマなら結構あるんですがね)
特に「会話劇」が紡ぐ面白さってのは、アニメで初めて拝見出来たような気がするんです。聞いていて違和感のない、アニメだなあと良い意味で思わない台詞の数々、会話の節節。無駄にハイテンションだったり、話し合いに違和感を覚えたり、実際こんなヤツいねえだろと思わせてきたりするモノはどこにも居ません。皆が僕等の住む世界に人知れず居そうな。姿形が動物ってだけの、実に人間らしい奴ばかりが多く登場してくるんですね。
そしてその中でも際立っているのが「キレのある台詞」です。此元和津也氏が綴るキャラクターの口調は、その動物達が生きているように感じさせる程、人物を見事に上手く立たせています。
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「俺は質問されると選択肢が5つ位出てきて、その中からどれがベストか、そして誰も傷つけてないかを考えるから時間がかかるんだ。あんたは思いついた事を何も考えずにぱっと応えるから早いだろうけど」
「早速傷つけたじゃん」

「気持ちわりい。スタバで原稿って言う謎のクリエイターアピールも余計だし、面白い現場を見たのみならずそれをこんな端的に伝えちゃう私、マジセンスの塊っしょ!っていう隠しきれない自惚れ感も気持ちわりい」
「物凄い嫌悪感露わにするじゃん……」


『オッドタクシー』1話 小戸川・樺沢
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例を挙げるなら、第1話の小戸川と樺沢の会話……ファーストインプレッションが重要な物語において、捻くれたキャラクター性に溢れる主人公の魅力が存分に発揮されており、掛け合いの中で「この主人公は絶対好きになれるヤツだ」と、数分で確信出来ました。


しかしそもそもにして、名作を冠するに余りあるトップスタートだったと、今でも強く感じるんです。
不思議な悪夢を見て飛び起きたタクシードライバー、小戸川の描写から幕を開け、偶々つけたラジオではホモ・サピエンスってお笑い芸人がラジオで不満を綴る中、様々なキャラがしれっと登場。そして流れるミステリーキッスの『超常恋現象』と言う第1話冒頭の場面から、僕は既に惹き込まれていたと言えます。「このアニメ、本気で来てるな」と強く感じてから、小戸川と剛力の「ブルース・スプリングスティーン」が突入してきて、見事に笑ってしまったので、視聴継続を確定しました。
そして、そんなキャラ達が紡ぐやり取りの中で、1つの大きな軸となっているのが冒頭で語られる「練馬女子高生失踪事件」です。繋がりを推理する想像の面白みを与え、キャラクターそれぞれの行動原理も考えさせる奥深い構図と成っています。Youtubeにて投稿されたオーディオドラマも証拠に据えて、樺沢のTwitterなんかも見たりして、女子高生の行方と犯人を突き止めようと考察していく過程が堪らなく面白かった次第。リアルタイムで放送を追えた事に深く感謝したいなあと、深く思えた時間でした(因みにアニメ内だけでも証拠は揃っているので考察可能なり)


要するにこの『オッドタクシー』と言うアニメは、そういった「魅せ方」と言うのを心得ている製作陣のセンスの良さを、非常に色濃く感じるんですね。
特に脚本家もしくは物語を書く人に、特に観て欲しいアニメと言えます。気になっていた主要の伏線を全て回収する手際の良さは然る事ながら、その中に展開の盛り上がりを据えて丁寧な帰着、その後凄まじい引き際を見せつけて、先の行方を是が非でも観たくなる着地構成は、多くの方が参考にして欲しい名展開と化しました。
「会話劇」だけならただの色物コメディとなっていたかもしれない所に、物語性の基盤となる「群像推理劇」をもう1つの基軸に据えて。会話だけで面白くさせながら展開を進めていく脚本を、魅力溢れる動物が紡いで。キャッチーな魅力に溢れた演出や音楽で引っ張っていく、油断も隙もない作品です。
決して可愛い動物達が紡ぐ子供向けアニメなんかじゃない。令和を象徴する傑作アニメと全13話観終えた直後に確信出来た、大傑作のプロフェッショナルアニメでした。



最後まで観て思った事
{netabare}
そしてそう思ったからこそ、観ていく内にド嵌りしていく中で分かっていく1つの事実が恐ろしいんです。『オッドタクシー』が伝えてきたメッセージの恐ろしさに、視聴後の僕等は心底恐怖します。
可愛い動物達の会話劇で上手くコーティングされていますが、本作が紡いでいるのは「徹底的なリアリズム」です。
やっている事が兎角えげつない。本当に怖すぎる。これがアニマルチックに脚色されていなかったら、気持ち悪すぎて直視出来ない部分も多々あります。
描かれた自然主義の厳しさと、臭い物に蓋をした上で徹底的に隠蔽された煌びやかな理想。その圧倒的なギャップの落差に寒気がして「そうか、これが勧善懲悪では終わらない『現実』の奏でる怖ろしさなんだ」と、僕は甚く戦慄したんですよ。


だからこそね、僕等はね。『オッドタクシー』を観て「羊の皮を被った狼」ってヤツを心に留めておかなければいけないんです。騙されない為に、傷つかない為に、そして食べられない為に。それは寧ろコミュニケーションツールが発達しすぎた現代だからこそ、身に沁みておく必要があるんじゃないかと思うんです。
不条理な世界の隠蔽は未だ全てが解明された訳じゃなく、そこかしこにSNSでも掴めない「闇」が隠されています。いたいけな存在を狩り尽くしてしまう狼は、もしかすると貴方のすぐ近くにいるかもしれない。赤頭巾ちゃん気をつけて!と忠告しても遅い世界が、僕等の佇む世界かもしれない。
人間誰しも何かしら、多くのものを抱えている。
だから相手をわかった気になる事程、怖いものはないかもしれない。そいつが放つ行動が、もしかすると自分の運命すらも一変させてしまう、世に放ってはいけない類の産物と化すかもしれない。
最後まで狼たっぷりの世界。彼が「どちらまで?」と尋ねて向かう先は、果たして地獄か天国か?
行先不明。奇妙なタクシーが未だ動き続ける道の先に、僅かでも幸運が舞い降りてくる『理想』を思わざるを得ない。それが視聴後、僕が至った喪失感そのものなのでした。
{/netabare}



だからこれは「羊の皮を被った狼」
『オッドタクシー』を簡単に纏めるとするなら、これはそんな物語。文字通り、一生忘れられない物語です。
「何このアニメ、知らない」って思った迷い人の貴方、今からでも遅くありません、即刻観ましょう。孤独な街の片隅で車を走らせるタクシードライバー小戸川と、彼を取り巻く動物共の会話劇サスペンスに酔いしれましょう。
誰もが心に空虚感の中で交わされるやり取り、退屈凌ぎの群像劇も作中に彩を添えて、つまらん現実を刺激的に楽しませてくれました。練馬区女子高生失踪事件の犯人は誰か。考えながらオーディオドラマと合わせて視聴してみると、更に面白い事確実でしょう。
間違いなく、今期どころか今年のアニメを代表する作品です。多くの人に観て欲しいなあと感じた全話終了後の喪失感でした。



そしてどうか視聴の際は、覚悟を抱いてお臨み下さいますように。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

しっかりと交錯した人間関係から事件が起こる一級品のミステリー

人間社会の”ジャンクション”であるタクシーと運転手。
そこを起点に世間の闇や、起因する事件を暴きつつ巻き込まれて行く、
ミステリー要素を盛り込んだ1クールのオリジナル群像劇。


【物語 5.0点】
事件は社会を映す鏡である。
よくニュースのコメンテーターが不可解な事件の解説でお茶を濁す時のセリフ。
が、本作の事件は本当に社会を映し出すような説得力がある。


社会にひしめく他者と折り合い、
呼吸するために吐き出したどーでもよい掛け合いに込められた皮肉など、
ホントあるわwと共感してしまうセリフ回し。
これを接着剤に構築した人間関係に惹きつけられるハイセンスな脚本。

事件の法的責任は確かに犯人にある。
だが無関係に思われる市民が支持したお笑いやアイドルのトレンドとか、
スマホゲームとか出会い系とか。
時代が孕んだ空気が巡り巡って事件発生の土壌を形成する様に何度も首肯させられる。

たった1人の狂人のみで事件が完結するはずはないが、
時代は悪を一手に引き受けるヒールという単純な勧善懲悪ストーリーを渇望する。
本作はネット動画やSNSを通じて、スケープゴートを求める集団心理や、
それを焚きつけるSNSの承認欲求依存までも事件の背景に組み込んで来る。

時代を映しとる。その解像度の高さに目を見張る。


【作画 4.0点】
アニメーション制作はP.I.C.S.とOLMの共同。

細密でリアル志向のシナリオとは対照的に、背景、作画はデフォルメ重視。
混線しがちなミステリー人物相関図を把握するには、
記号として有用なアニマル顔のキャラデザは鉄板。
例え人名把握が追いつかなくても、性格含めてスルスル入って来ます。
ホントこれで皆なんで人探すのが苦手なのか不思議ですw

これは密度を抑えた背景から整理しやすい日時や場所、
デザイン簡略化された小物から発見しやすいキーアイテムも同様。

それでいて表情描写は心情を深く反映し、
アニマル顔が単純な記号に留まらないことを証明。
最終話のキャラ描き分けについては、私は驚きよりも、
内面から人物描写していたんだなと確認できた納得と喜びが上回りました。

一方、CGで構築されたタクシーはチェイスシーン含めて凡庸。
但しクライマックス{netabare}満月の中に舞うタクシー{/netabare}は中々のインパクトw


【キャラ 4.5点】
主人公のタクシー運転手・小戸川。
デ・ニーロの『タクシードライバー』ほどやさぐれてはいないが、
偏屈で他人と関わりを持ちたくない人物。
が、社会に出ていれば、ましてタクシーなどという交差路にいれば、
何気ない言動が事件に関わったりするし、
思いがけず、誰かを不幸にしたり、幸福にしたいあの人を想ったりもする。
小戸川自体にも謎が多く、その興味も視聴動機となる。


緻密な人間関係の描写から、
これは一人ひとり掘り下げたら相当深い人間心理を見せてくれるのではないか?
その手応えは「田中革命」、ある人物の半生深堀りで確信に変わる。
この一撃があったことで、ますます人物の掛け合いに実在感が増す好循環。
事件のアリバイやトリックよりも、そのキャラの動機や真意を知りたい。
振り返れば、この時すでに、タガは外れていたんだと思うw


【声優 4.5点】
揃いも揃って特徴的。
主人公・小戸川役の花江 夏樹さんの屈折を含んだおっさんボイスなど、
中毒性が高い声が飛び交う。

想定以上の作品好評を受け、YouTube公式にアップされた幕間ボイスドラマ。
そこで声を聞いただけで、セイウチやらイノシシやらの顔が浮かんで来るのはお見事w

キャストは基本声優陣だが、
漫才コンビの「ホモサピエンス」役には実際にM-1に挑んだお笑いコンビ・ダイアンを起用するなど、
適宜、本物の声にこだわる。

その流れで変化球だったのはラッパー・METEOR(メテオ)の参加。
軽快に韻を踏み、自己を押し通す危険なヤマアラシ・ヤノ役を熱演。


【音楽 4.0点】
劇伴はPUNPEE氏らHIP HOPシーンのアーティストが担当。
普段は会話劇を邪魔にならないフレーズの繰り返しで下支えする、
ミニマル・ミュージックに徹する。
が、ヤノが韻を踏んだり、アルパカがカポエイラを披露するシーンでは前に出てノッテくるw

OP主題歌もPUNPEE氏が澤部 渡氏のソロプロフェクト・スカートとコラボして制作した「ODD TAXY」
HIP HOPにアコースティックギターやサックスも絡んだ、猥雑な夜の街を思わせる、混沌とした構成に、
哀愁漂うハイトーン男性ボーカル。
OPアニメのチョークのかすれ字の如きテロップと合わせて何とも言えない渋味を醸し出す。

ED主題歌は作中で地下アイドル「ミステリーキッス」センターも演じた三森 すずこさんの「シュガーレス・キッス」
みもりんも、どうやって歌い分けているのか不思議なくらい多彩なボーカルを発する声優アーティストですが、
本作ではポップなナンバーに合わせて“甘い嘘はいらないわ”などと萌える高音の虚像を飛ばして視聴者を幻惑。


【感想】
今春4月1日に公開予定の劇場版『オッドタクシー・イン・ザ・ウッズ』
鑑賞者は何を目撃させられるのか?
この濃厚な人間描写ならTVアニメ版を別角度で描いても、
その上で新展開を続けても、例え、大嘘を見せられても面白そう。

今年のエイプリルフールは楽しくなりそうです♪

投稿 : 2024/05/04
♥ : 44
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アメリカ的な種の混沌

アニメーション制作:P.I.C.S.、OLM Team Yoshioka、
監督:木下麦、脚本:此元和津也、
キャラクターデザイン:木下麦、中山裕美
音楽:PUNPEE、VaVa、OMSB

絵の雰囲気、話の流れなど、
観るまでのハードルが高い作品かもしれない。
しかし、観始めると良質なシナリオと
連続する謎によって視聴者をグイグイ引っ張る。

登場人物たちが全員動物というのが、
普通のミステリーが得意でない人にも、
新鮮な気持ちにさせてくれる。
まさに私がそうだった。
正直、私はミステリー作品に完全に飽きているので、
そもそも、ほぼ興味が持てないし、
よほど良質なものでないと、
余計な思考ばかりが頭を巡って作品を楽しめなくなってしまう。
しかし、この作品の場合、動物のキャラクターが
そういうミステリー作品鑑賞時の弊害を
ある程度、無効化してくれるのだった。

この作品に興味を持ったことのひとつが、
アメリカの犯罪小説に影響を受けていると
想像できることだった。
日本の昔の犯罪小説やハードボイルドものだと
横溝正史や江戸川乱歩、京極夏彦たちに加え、
大藪晴彦や西村寿行、森村誠一、大沢在昌あたりが挙げられるが、
その影響は皆無に思える。
ところが、ハメットやチャンドラー、ロスマクなどの
アメリカのハードボイルド作品の雰囲気は感じられる。
それは主人公が内省的で気難しいところと、
多種多様な動物たちの絡み合い方に、
アメリカの小説っぽい雰囲気があるからだ。

登場人物がバラエティに富んでいるのも
アメリカっぽい。主人公はタクシー運転手で、
そのほかに看護師、医者、ヤクザ、ヤクザのボス、
悪徳警官、アイドルグループ、そのマネージャー、
キャバクラの店員、お笑い芸人、目立ちたい大学生、
頭の狂った犯罪者などなど。

これだけ多くのキャラについて
それぞれきちんと背景を見せながら、
物語に絡ませて、理由も描いていくのは、
いかにもアメリカの犯罪小説によくある展開といえる。

そのキャラのなかでも面白いのは「ドブ」という存在。
ヤクザの幹部であるゲラダヒヒという動物なのだが、
彼の生き方がとても興味深いし、この「ドブ」という名前が
いかにも社会の底辺をよく表している。

「ドブ」は、昔は街のなかにいくつもあった。
整備されていない下水溝のことで、
ゴミや汚水がいつも垂れ流されていたのだ。
社会の位置づけとしては肥溜めに近い。
最近は全国的にインフラが整備されたため、
「ドブ」は見なくなったのだが、
そんな名前のヤクザの幹部が重要な役割を果たす。
しかも、彼はヤクザとして、男として矜持を
持っているような部分が見え隠れする。

アメリカのブルースの巨星に「マディー・ウォーターズ」と
いう人物がいる。アメリカ音楽が好きなら
ほとんどの人が知っているほどの有名人だが、
彼の芸名を直訳すると「泥水」だったことをふと思い出した。
ボトルネックギターと体の奥底から響いてくるような
太く独特なヴォーカルが一度聴いたら忘れられないほどの
強烈なインパクトを残す。
昔よく使われていた音楽における「アーシー」という言葉は、
まさにマディのためにあるように思える。

私の勝手な想像では、
この作品はアメリカ的な要素に彩られている。
主人公が太っていて、理屈を話すときには
説得力があるのだが、いざ行動すると、
あまり役に立たないのも
アメリカハードボイルド小説の主人公像だったりする。

何だか関係のないことばかり書いてきた気もするが、
この作品は、そういう混沌を広げてみせながら、
緻密な伏線を張り巡らせて、それを1本の線に
上手くまとめていく面白さがある。
常にいくつかの謎が横たわり、想像力を刺激してくれる。
登場人物たちの過去を丁寧に掬い上げ、
ストーリーに組み込んでいく手法も優れている。
おそらく多くの人々がシナリオの展開の妙に
引き込まれていくだろう。

{netabare}この作品のそういう良さが上手く表現されているのが、
ラストの車の飛んでいくシーンだ。
誰もが心に何かを抱え、それぞれが細い糸でつながっている。
そんななか、小戸川が軽々と空を飛ぶ。
関係者は皆、近い場所にいて、その瞬間に直面する。
関係があるようでないような人々が、ある一瞬につながる。
これこそが世界の奇跡のひとつ。
美しい出来事といえるのだろう。
私がこの作品でいちばん気に入っているシーンだ。{/netabare}

人種の坩堝を表現しているような作風だけに、
反面、キャラへの描き方が浅く感じられるのがマイナス点。
ミステリーとしては捻りが足りないし、
そこのキャラの心情表現も描写不足を感じた。
特にドブとの決着については、
私が気に入っていたキャラということもあるが、
あまりにも簡単にまとめようとしているように
見えてしまった。

とは言え、多くの人々を魅了した作品であったことは事実。
4月には事件の裏側と続編を描いた映画
『オッドタクシーイン・ザ・ウッズ』が公開予定。
ローカル局とネット配信だけだった作品だが、
それだけ話題になったのは間違いない。

混沌の先に広がっている景色に着目したい。
(2022年2月5日初投稿)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 50

66.1 2 心理学で仮面なアニメランキング2位
空中ブランコ(TVアニメ動画)

2009年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (267)
1406人が棚に入れました
不眠症を患うサーカスの空中ブランコ乗り・山下公平は、着ぐるみを着た謎の精神科医、伊良部(いらぶ)一郎の診察を受けた。
それからというもの往診と称し公平につきまとう伊良部だが、公平のもとを訪れるヘッピリ腰の区役所職員やスキーゴーグル着用のヤクザといった、ちょっと変な人々をおもしろがってばかりいた…。

声優・キャラクター
三ツ矢雄二、朴璐美、杉本有美、森川智之、三木眞一郎、浪川大輔、平田広明、入野自由、高橋広樹、岩田光央、羽多野渉、置鮎龍太郎、古谷徹

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

伊良部先生…なんか変に格好良すぎない?(求めてない)

 簡単に言うと、精神科医伊良部の元に、たくさんの精神的な問題を抱えた患者たちが現れ、回復していく短編集。
 なかなかポジティブな気持ちになれる良い作品です。
 
 原作は奥田英朗の「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」「町長選挙」の伊良部シリーズの既刊三作(2016春現在)から。
 私は奥田ファンでもあるので、すべて読んでいて、特に「空中ブランコ」は直木賞を立派に受賞している名作。「イン・ザ・プール」はギャグ色ばかりが強く、「町長選挙」は正直つまらない。「空中ブランコ」はギャグと一種の感動も詰まっている名作なので、読むならこれだと思う。(時間があるならイン・ザ・プールから読むべきですし、普通にオススメしときます。)

 このアニメ「空中ブランコ」についてですが、独特な作画・演出に独特な内容…変わったアニメが観たい方はチェックしとくべき作品です。
 いい感じにスッキリEDに入る話が多くて、気分のいい作品だと思います。
 電気グルーブのOP・EDは凄く癖になるいい曲です。


以下やや批判的な長めの駄文

このアニメの好き嫌いが分かれそうな演出
・患者の男たちを演じる声優が豪華なんですが、たびたびキャラの顔が演じられている声優さんのものになる
・福井謙二アナウンサーがたびたび解説を加える
・エロい感じのナースが実写である
・色合いが過剰にカラフル
・主人公「伊良部」への原作イメージが崩れないよう伊良部は3パターンある

 個人的に声優の顔になる演出は、慣れたので大丈夫でした。
 アナの解説は、正直いらないです。ただ、トンデモ医学って感じの原作に比べ、アニメ伊良部は割としっかり医学してるみたいなので、解説はあっていいのかも…
 ナース実写も、色合いも正直好きじゃないです。伊良部は変わった人間ですが、あんな芸術的な部屋で診療してるイメージは全くありません。

 そして伊良部に3パターンの演出ですが…正直意味が分からないです。伊良部は「色白のデブ」で「マザコン」で「小学生並みの思考」で「常識が一切通じない」タイプだったはずでは?
 アニメの伊良部は基本的に知的であり、ふざけてるシーンも計算で、決めるところはクールに決める、まるでイケメンな感じの精神科医。
 一方原作伊良部は、適当な解説を加えつつも、基本的に考えずに行動して患者を振り回し、患者さんはあきれる中でヒントをもらい、勝手に回復に向かっていく…。まさに「愛すべき馬鹿医者」
 テイストが全くもって異なっていて、イメージを壊さないための演出だとするなら、感性が全くもってずれている気がする。
 むしろ原作との乖離を際立たせる演出だと思います。

 最後に物語ですが、一話「空中ブランコ」を観た全国の原作ファンは「違う、そうじゃない!」と感じたでしょう。クスッと笑える良いラストシーンなのに…何故変えた!伊良部の阿呆さ加減を変更しているのだから仕方ない気もしますが、勿体ない!話もなんかフワフワしていて、分かりづらく、これだと1話で離れてしまう方が多い気が…。

 あと3話の「恋愛小説家」は原作では「女流作家」なのですが、患者の友人のキャラが個人的に大好きなのに、一介のモブに格下げされていて、目茶苦茶がっかりしました。本当に格好いいキャラだと思うんですが…是非原作「空中ブランコ」をチェック!

 アニオリについては、10話と最終回の11話は、アニメオリジナルだと思うのですが、10話の「オーナー」は演出を含め、凄く良かったです。逆に、最終回の「カナリア」はなんか嫌でした。無理矢理最終回っぽくしたって感じですかね…

 なんか長くいらないこと書いた感じですが、すごく特徴的なアニメで、合う人には合うアニメです。アニメ好きならチャレンジしてみてはいかが?

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10
ネタバレ

manabu3 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

この滅茶苦茶な作品は「完璧なものは存在しない」と身を以て示している

色々な意味でぶっとんだ作品。作画には実写が混じり、主人公は三体に分裂し、色彩は眩しいほど派手やかで、扱う内容はデリケートな「心の病」という、一癖も二癖もあるアニメ。お勧め出来る作品とは決して言えないものの、心の病という日の当たらないテーマを扱ったことだけでも意義があり一見に値する。精神科が舞台とはいえ内容は重くなく(寧ろ軽い)、症状も身近なものを扱っている。話は一話完結型であるが、すべての話が繋がっており一つの作品としてしっかりと完成されている。

主人公である精神科医・伊良部一郎はとにかく破天荒だ。そんな主人公の元に様々な症状を患った人々が訪れるのだが、訪れた患者は「とりあえず」ビタミン注射を打たれてしまう。主人公と患者、「どちらが症状を患っているのか?」、そんなことすら思うほど主人公(クマ)の破天荒ぶりは凄絶だ。それをイラッと感じるか、クスッとするかは人によるだろうが、精神疾患という微妙な題材故に好みや評価は極端に分かれるかもしれない。それに加えてこのアニメは「ふざけること」に主眼を置いているようにも思える。

{netabare}このアニメの最後は「No one is perfect!(完璧な人間なんて存在しない)」という言葉で締めくくられる。みんなどこか欠けているから人間は人間であるのだと感じさせる言葉だ。全知全能の神さまじゃない人間は(当たり前だけど)欠点を持つ。辞書には「欠点、欠ける」について「短所、劣っていること、あって当然なことがないこと」と説明してあるが、(辞書の意味を否定するつもりはないけど)それはあくまで考え方の問題であり、必ずしも「悪い意味」に直結しないと私は思う。何故なら繰り返しになるが人は根本的に完璧ではないし、そもそも「欠けていること」は善悪の問題なのかに疑念を抱くからだ。

話は逸れたが、この作品が示唆するであろうことの一つは、もし何か「欠点」で悩みを抱えていることがあるのなら、それは本当に精神を病むほどまで悩む問題であるのかを一度熟慮する必要がある、ということである。詰まる所、作画・色彩・主人公に至るまで「何故か」滅茶苦茶なこの作品は、「自分のことをオカシイと思っているアナタより、この作品の方がよっぽどぶっとんでるよ(笑)」と、身を以て示しているように私には思えるからだ。殊に「医者」の言動・風貌が来訪した「患者」より「狂っている」ように思えたのだが、それは以上のような理由からだろう。デリケートなテーマの中でのそんな型破りの主人公に私は笑ってしまった。些細な悩みが一瞬だけぶっ飛んだような気がした。とはいえ、「狂っている」と上記したが、主人公の治療法は(専門家ではないので分からないが)あながちアリかなとも思える。

最後に、最終話での「カナリア」についての(真面目な)話は示唆に富む描写だった。心の病を患った「カナリア」は、我々が気付かないだけで身近に存在するし、我々自身無意識にカナリアになっているのかもしれない。殊に「カナリアは周りがおかしいことを知らせてくれる英雄」という言葉には考えさせられた。カナリアは「周り(自分も含む!)がおかしいから」カナリアになったのかもしれない。
まず、カナリアの声に気付くこと。
そして、問題の根源はカナリアだけではないということ。
カナリアになるには、理由がある。それは必ずしも先天的なものとは限らない。自らの言動を自己省察すれば「“おまえは”おかしい」という言葉は自ずと使わなくなるのではないか。そしてきっと「カナリア」も減少するのではないかと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5
ネタバレ

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「精神科」を題材にしているという時点で、既に賞賛に値する

かなり視聴者の間で賛否の分かれたという、斬新なテーマ性と演出が際立つ本作だが、私は大いに「賛」の方に一票入れたい。

今でこそようやく日本でも「メンタルヘルス」などという言葉が聞かれるようになり、精神疾患に対する認識も広がっては来ていると思うが、まだまだ偏見や誤解は多い。

この手の病に関わったことのない人がこのアニメを見ると、主人公の精神科医・伊良部を「心を病んだ患者に破天荒な荒療治を施すアホ医者」と評するかもしれない。

逆だ。確かにアニメとして・娯楽作品のエッセンスとして、現実離れしたぶっ飛んだ行動を伊良部は取っているが、本質的には実際の治療で用いられる「行動療法」を、人を食ったような態度を取りつつも、その実、一人一人の患者の症状に合わせて、向き合い・実践している。

これができる医者は現実には少ない。伊良部はそういった意味では十分過ぎる程に、名医なのである。

演出に関しては、ビビッドな色使い、3変化する伊良部、実写のナース、通行人などのモブキャラは段ボールに絵を描いたようなペラペラ姿…というだけで、他に類を見ない演出だというのに、加えて…

各話の主人公となる患者の声優の顔が、アニメにコラージュされて、時々(顔だけ)実写になるという点には驚いた。新しすぎる。

しかし、作り手側にとって本アニメの最も挑戦的だったであろうこの「声優の顔コラージュ」に関しては、関連項目の★を下げさせてもらった。

なぜならば、重要なシーンでの患者の表情がアップになる場面や、そのエピソードに於いては最もキーとなる台詞が語られる場面で、急に患者の顔がアニメから実写になると…

「金歯…」「わ!この人、女の子みたいに眉剃ってる!」「ここで、その表情はないわー…」

…と内容に集中できず、気が散ってしまうのだ。
何気ないシーンにだけ、実写顔を使っていたら、「面白い!新しい!」と思えたのだろうけれど…

逆に、作中最も雑な扱いを受けているのが、段ボールタッチで描かれているモブキャラ達である。

仮に「モブキャラ=健常人・社会全般」と捉えると、この描き方に私はある種の爽快感を感じたが、実はこれ考えようによっては非常に残酷な現実を表している。

要はこういう「薄っぺらな社会」や「他人の気持ちを顧みない人々」が、不器用でも真面目に生きようと懸命にもがいたり、繊細な心を持つ人々を「病」に追いやっているのだ。

最終話で伊良部が放つ{netabare}「普通の人が一番厄介」「あなたは気付かなきゃいけないね。周りにいるすべてのカナリア(精神疾患を持つ人あるいはその予備軍、と私は捉える)の声に。」という言葉{/netabare} は、実に「その通り!」と私は声を大にして言いたい。

一見ギャグタッチで描かれ、現実離れしているように見える本作だが、内容そのものは決してオーバーではない。
特に患者の言動や症状は、どれもある種テンプレート的な典型例だ。

あらゆる人に、是非お勧めしたい作品。

そして、これを見て身近に似たような状態の人が思い当たるようなら、できる範囲で手を差し伸べてあげてほしい。

ただ、伊良部のようなアプローチ方法は、超高等技術なので絶対に真似してはいけない!(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

69.8 3 心理学で仮面なアニメランキング3位
PERSONA5 the Animation(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (252)
1218人が棚に入れました
えん罪から保護観察の身になってしまった蓮が、心の力「ペルソナ」に目覚めた仲間たちとともに「心の怪盗団」を結成し、大都会・東京の平和を守るべく、悪党たちの悪しき心を盗み出していく姿を描くピカレスクロマン。蓮は、私立秀尽学園に通いつつ、「心の怪盗団」メンバーの中でもいち早くペルソナを発現させたリーダー「ジョーカー」として仲間たちを率いていく。

声優・キャラクター
福山潤、宮野真守、水樹奈々、大谷育江、杉田智和、佐藤利奈、悠木碧、戸松遥、保志総一朗
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

スーパーリアル麻雀とは関係ない

5話までの感想{netabare}
ペルソナのTVアニメは…えっと一番最初のやつ、トリニティソウルしか見てません。
P4はその…あんま良くないことなんだろうけど、ゲーム実況でひと通りを見てしまいアニメは別にいいかとスルー。
ってことで久々のペルソナアニメを視聴することに。

…あれ、こんな分かりやすい話だっけ?
もっと感情とは何だ善悪とは何だ神悪魔とは何だってのをモヤっとした感じで描くものだと思ったら、4話で“悪いヤツ”をサクっと改心させてメデタシメデタシという、明快な勧善懲悪モノでちょっとビックリ。
待てよ?これって取調室での証言って扱いなので、ここから「そんなことしてるけど、本当にそれは正しいの?」みたいなことに切り込む展開になる…のかな?
結局バレー部は大会出られなくなっちゃったんだよね?

というか、3話までは鬱々とした「よくわからんけど何かありそう」って雰囲気だったのに、4話はゲームのチュートリアル的な展開(何をすればいいかのガイドが出る)でちょっと違和感、ワザとなのかなぁ?
先に進むにはカギが必要(なぜ分かる?)→衛兵が持ってる(なぜ分かる?)→衛兵倒したら妖精登場、お礼を言ったらデレた→金メダルアタック喰らってピンチからの覚醒
ここら辺がポンポンと進んで…テンポがいいと言えば聞こえがいいけど、作業的にイベントこなしてるだけに見えてしまって、う~ん…。
まぁいつまでも鴨志田編を続けてもしょうがないし、これは仕方なかったことなんかなー?

そして5話、クエスト報酬で打ち上げーの、ビュッフェで嫌な目に遭って世界を変えてやろうと本格的に怪盗団始動。
とはいえ、な~んか言葉の端々に「これは悪いことではないんだ」って言い訳染みた台詞が目立つような?
殺さなくて良かったとか金メダルは偽物とか。
別にそんな必死に自己弁護しなくても良いのにと思うのだけど、こうやって怪盗団は正義の暴走をしてくって展開になるのかな?
最後は警察に捕まってボコられるのは確定なんだし。
ってことで気になる展開はそこから先になるかなー、まだ当分時間かかりそう。{/netabare}

12話までの感想{netabare}
↑でも書いたけど怪盗団の行く末は警察に逮捕されると分かってるワケで、現状(12話まで)は「逮捕される」に繋がるアカン道をじりじりと歩んでる真っ最中ってことで、悪い言い方しちゃうと「クズ共が調子ぶっこいてる」パートかと。
怪盗団という狭いコミュニティで「特別な力を持ってる」ってことも手伝って選民思想が先鋭化してる真っ最中、ってことだと思うのだけど、いかんせんそのパート長いねぇ。
(「のび太が未来道具で調子に乗ってる段階」みたいなものって解釈してるのだけど違うのかな?)
そんな中、ようやく怪盗団以外にも「特別な能力持ちが居る」って情報が出て、やーっと物語が動き出しそうな予感、ここまではキャラ紹介だったのか。

とはいえ嫌な予感はしてまして…まさか逮捕されるってところまで時間が追い付いても、その後も「怪盗団正義、怪盗団正しい」って展開が来るようなことは…まさか無いよね?
原作ゲームやってないからなぁ…なんか変な意味でスリリング、これも「楽しんでる」ってことでいいのかな。{/netabare}

26話までの感想{netabare}
うおお、評価スゲー困る。
まず話のテンポが不自然、妙にダラーっとしてるところとダイジェストみたいな急ピッチ進行が混在してる。
けどこれ…自分は何話で気付いたっけかな、結構経ってからだと思うけど「視聴者のリアル時間(季節)と作中の時期をシンクロさせてる」んですよね。
厳密には取り調べ室での証言の再現映像なので完全にシンクロしてる訳じゃないんだけどさ。
いやぁこれ…深夜アニメにしては珍しくない?しかも1話完結モノじゃなくて連続した作品で。
“ゆるキャン”みたいに「その季節だけ」ってことじゃなくて、春から夏終わるくらいまでの時期をリアル日時とほぼ同期してやっている、22話まで。
そりゃあタイミング合わせのために間延びしたり急いで詰めないといけなくもなりますわ、これが話のテンポの不自然さの正体でした。
↑でも書いたようにP4のアニメは見てないのだけど、そっちも同じ手法採ってたのかね?
このチャレンジ精神を評価すべきか、不自然なものは不自然でアカンとして評価しないか、まずこれに悩む。

でもってこの方式だと「まさか1年放送する予定か?」と思ってた中、22話中盤から突然季節が進み始めまして。
22話で10月25日と書かれた文化祭ポスターが貼られ、23話冒頭でそれ見て「もう来週か」と言って後半はその文化祭の開催日やって、24話で強制捜査が11月20日だと言ってそれまでにやったことを25話途中まで描写して、25話終盤は強制捜査…の前日に予告状出したことになってるので19日か?に逮捕されるところまで時間が進む。
それまで作中時間の進みは視聴者時間と同じペースで緩やかだったのに、いきなりの急ペース。
「11月まで飛ぶのか、こりゃこのエピソードは尺取って長く続くのかな?」と思ってたら…まさかの26話で一旦最終回「続きは年末特番で」とのこと。
ああ、そういうこと?
同じ季に最終回を先に迎えた作品“殺戮の天使”“ハイスコアガール”が、「続きはちょっと経ってからやります」ってタイプでこれも同じかよって一瞬思ったけど、それらとは微妙に事情違うかも?
恐らく年末特番もリアル日時と同期させるんじゃないかな?
原作一切知らないけど、年末にクライマックス迎えるって内容なのでは?
また、そのための22話後半からの急ピッチだったのかと…1年、いや年末まで枠取れなかった苦肉の策か?
果たしてそこまでしてリアル日時と同期させようとしてるのは評価すべきかそうでないか、これは悩む。
本当に同期させるかどうかはまだ不明なので、これに関しては年末まで保留か。


んでもってそういった企画モノ?的な側面を無視して、内容について。
とにかく1クール目は退屈、世界観のチュートリアルとキャラ紹介をずっと繰り返すだけ。
また、これは恐らく元のゲームがそうだから仕方ないことなんだろうけど、一度(場合によっては何度も)パレスに入って「撤退して」、予告状を出して再びパレスに入るって構成は話の腰を折られる。
ダンジョン一発突破もモノによりけりだけど、様子見して撤退がデフォってのはどうにも緊張感を欠く。
何話だっけ、2クール目に入る時期に半総集編(本編の進行をしつつ過去を振り返るパターン)があるので、その回から見始めた方が良い気がする。
ってかマトモに最初から全話見てる側からすると半総集編って辛いのよね、完全な総集編なら流し見や最悪見なくてもいいけど「半」だとそうも行かない、それでいて前見た内容をまた見させられるという…。

2クール目に入るとこの作品唯一の萌えキャラ(え、モルガナ?双子?う~んう~ん…)のアラレちゃんことフタバ登場や、それまでの「オレ達は正義だ、悪くない」って主張にようやく疑問が投げかけられたり、フタバの母の研究を横取りしたヤツ・キングピン校長を殺したヤツ・奥村フーズ社長を殺したヤツ・機動隊を裏で動かしてるヤツ等、黒幕の陰謀がやーっと動き出す感じ。
うん、始動するまでがなげーよw
ってかこれらの問題、スペシャルだけで畳めるのかね?
まさかスペシャル挟んで来年から第二期スタート、とかだったりして…。
あそうそう、それと物語の大半が「取調室でのレンの供述の再現映像」って体だったのに、それ聞いてたニイジマが“仲間”が誰か確証得てないってのは引っかかる。
その説明を伏せての供述からあの再現映像は作れないでしょー。
視聴者に提示された情報とニイジマが把握してる情報が明らかに違ってて、な~んか変な気分。
ひょっとして…「リアルと季節連動」と共に「供述の再現映像」って手法は失敗だったんじゃなかろうか…。
いやまだ分からんけどね。

余談
レンとかマダラメとか聞くとモンストアニメを連想する。
けどこれ、モンストアニメのほうが後だよね?

余談2
あそうだ、これ言うの忘れてた。
BGMでポルノグラフティのミュージックアワーのイントロソックリなの無い?てっきりそれが流れるのかと思ったら違っててガクっと来たぞ。
ひょっとして原作ゲームではコラボやってたりしたのかな?とググってみたらそうでもないっぽい、普通にパクリ疑惑と騒がれてたらしい(過去形)。
ってかゲーム段階で指摘されてたのをアニメでそのまんま使ったのか?もしくは許諾得たとか??
あんまりググるとネタバレ見てしまいそうで詳しく調べられない。
まぁ自分ポルノグラフティ嫌いなんでどうもでいいけど。{/netabare}

年末SP感想{netabare}
ああ、そういうことか。
えーっと以前書いたことのおさらい、それまで「11月20日にレンが逮捕されてニイジマに尋問されて答えた内容」が映像化されてるっていう作りになってました。
が、再現映像の中身からしてとても怪盗団のメンバーをサエが分からないのがありえない状態で。
ってか現在ギャオで全話配信してるので1話から見返したら途中までメンバー把握してて、26話のサエの態度はあまりにおかしい。
…。
と思ったら、伏線だったのねー、不自然に感じた自分大正解でした、やったぜ。
とはいえ三ヶ月も引っ張るネタかいな?という疑問は尽きない。
トリックにしても「ニイジマパレスの歪みの中心以外は現実と瓜二つだった」ってのは唐突に感じる。
また、アケチに悟られないようにパレスへ移動したってのも、異世界ナビってそんなに指向性高かったっけ?
サエも一緒にパレス入っちゃいそうな気が(その場合現実モルガナと喋れる)。
ってか“敵側”は機動隊をパレスへ突入させてたワケだけど、じゃあその隊員もモルガナと喋れる?
「どうせ普通の人間にはニャーニャー言ってるだけにしか聞こえないし」として現実で喋り捲ってるけど結構危ない気が…。

で、内容の方は今まで提示した謎の半分を消化したって感じかなぁ。
黒い仮面の男の件と、それを裏から利用してた黒幕?(シドーマサヨシ)が一応倒されたって感じ。
ってかシドーはシャドー任せなのかよ…そこは本人がパレス出向いて対決して欲しかった、異世界ナビ持ってるんだろ?
何気に本人が自分のパレス見たらビビるんじゃね?(実はそれだけで改心するんじゃね?)ってのは前からチラチラ思ってましてのう。
今んとこ自分のパレスを目撃してるのはフタバだけかな?
でもって黒幕は改心したものの、罪を暴露するより先に総理に選ばれてて、「今更そんなことされても投票した自分は何なんだ」と後に引けない民衆が不満爆発ってところで春スペシャルに続く──と。
怪盗団が活動するにしてもタイミングが最悪だったってことかな。

この問題は次で解決してくれるんだろうとは思うけど、いかんせん初期から提示されてる謎も明かしてくれないと困っちゃう。
メメントスの最深部(モルガナの謎と繋がる?)と田の中勇でなくなったイゴールの居る牢獄の件ね。
実はメメントスの最奥部が牢獄に繋がってるんかなーと思ってたのだけど、見返してみたらそんなことは一切語られてなかった…ありゃ、なんでそんなことを思ったんだろ?
ちゃんと完結させる気はあるだろう、として次回を待つけど、そんなに面白いか?と言われたら別に。
単に結末見たいだけ。{/netabare}

3月SP感想{netabare}
そういうことかー!
イゴールの声が田の中勇“ではなかった”のが伏線となってました。
この作品の1話が始まったのは2018年の4月で丁度同時期には鬼太郎6期もスタートして、そっちでは目玉親父の声は野沢雅子になってて「代役の選定どうなってるんだ」とは思ってて。
特にこっちは準レギュラーの鴨志田の声が三ツ矢雄二で、「この人にモノマネさせりゃ結構田の中勇に似るんじゃね?やらせりゃいいのに」とさえ思ってたのですが…いやぁまさかネタを仕込んでたとは。
もうね、理屈抜きにウルっと来た、このネタだけで他の内容が頭からすっ飛んでしまいそう。
ゲームでもこうだったの?

でもって頑張って他の内容。
メメントスの最奥部があの牢獄(ベルベットルームって呼称が本編で出たのは今回だけじゃないか?)と繋がってたのは予想通り。
厳密には違うんだろうけど、漠然とした解釈としてはラスボスは怠惰の集合意識(考えたくないとか楽な結論しか見ようとしないとか)を汲み取った神様って感じか?
異世界の情報は機動隊達が知ってる(そこから証言取れる、立件できる)でしょと思ったら、口封じに全員殺されたのか。
最終決戦の「プリキュアがんがえー」なヒーローショー演出は…これも予想通りではあったけど、支持率100%はやり過ぎかな。
厳密には支持率じゃなくて「実在すると思う」なので行為に批判的な人間も含まれてはいるんだろうけど、ワザと混同させて煙に巻いてしまった感。
そして最後はやっぱり3月で〆なのね。

モヤっとしてるのはフタバの母親殺したのが具体的に出なかったけど、これは尻尾切りの時に始末されたということで良いのだろうか。
自分はどうしても政治家と研究者は別モノとして捉えてしまうみたいで、政治家がどうこうの側面しか見せてくれなかったからモヤっとしてる…のかな?
マスターとサエはモルガナの声は聞こえないんだよね?序盤の会議シーンでは勝手に話が進んでポカーンだったんじゃないだろうか。{/netabare}

総評{netabare}
1話からの総評としては、作中の季節(厳密には取調室での再現映像)が視聴者(本放送時)の季節と連動してたというのは頭の隅に置いておくと良いかも。
良くも悪くもこの企画?によって話の展開が急だったり緩慢だったりするので、後から配信などでまとめて見る方は「そんな事情があったんだ」と留意しておけば違和感薄れるかと。
とはいえ、この企画は悪い側面の方が強く出ちゃった気がする。
特に後半はスペシャルでギュっと詰め込んだ形となり急ぎ足感が否めない。
26話から年末SPの繋ぎ、明智のトリックは3ヶ月も引っ張るほどのネタだったのか疑問。
季節と連動だった割に、間を置かずにSP見たほうが良いという結果に。
レンの取調室再現映像演出も、作中季節を強引に年末に繋げるためにそうしただけで、他に意図・効果があったとは思えない。
逆にイゴールは本当ビックリした、ゲーム知ってたら大したことない?

以前書いたのと繰り返しになるけど、一度パレスへ様子見に入り、お宝のアタリをつけ、脱出し、予告状を出し、再度パレスへ入るというパターンはちょっと飽きる。
一度くらい「脱出できない」って展開があっても良かったような?
また、自分たちは悪くない自分たちは悪くないと言い聞かせるのもなかなかにクドい。
それならいっそ怪盗団メンバーに自分のパレスを覗かせても良さそうなのに、それをやったのはフタバだけかな?
そしてやっぱり、「怪盗団は実在すると思う」と「怪盗団を支持する」は別問題なのに、最後雰囲気で誤魔化して一緒のような扱いで突き通してしまったのは強引に感じる。
そこがこの作品の最大のテーマだと思うのだが…そんな解決でいいのかよ?と疑問は残る。

なんとなーくで見る分には良いかも知れない。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

4話あたりでいったん断念後10話から再開(10話まで視聴して)(レビュー修正あり)。

※★の評価は暫定的なものです。最後まで見終えてから再度つけなおす予定です
 PS4ゲーム版クリア済です←(物語や世界観は大好きでした)。

>1話まで視聴して
ゲーム版はとても楽しませてもらいました!。
(←ただ物語は中盤がピーク(最高っ♪)で、終盤は少し微妙・・だったかな?。
 ダンジョンは四角の2Dベースで奥行きがなく、作業要素が大きかったのが難点。
 なんか疲れたので、周回プレイはとてもする気が起きない・・)。
ゲーム製作の段階からアニメ化も見据えていたようだったのでとても楽しみにしていたのですが
ちょっと過度な期待をしすぎてしまっていたようです><。

ゲーム内で、ある程度ストーリー進行が固定されているので
アニメ版はそういった固定シーンの”継ぎはぎ作品”のように感じてしまいます><。
アニメだとシーンがブツ切りで繋がれていて
(ゲーム版ではその間にプレイヤーに多大な苦労があるw)
ゲーム未プレイ者さんには唐突で意味不明な感じに映るのでは??。
これはこれまでのシリーズ作品アニメ化の際にもず~~~~~~~~っと感じてましたが
今回も「やっぱりか・・・・・」といった印象です。
物語の評価が低くなってしまっているのはこれが原因です・・(ゲーム版の物語評価は★4あたりです)。

4コマ漫画作品から30分アニメ作品を作る場合は
コマとコマの間をいやがおうにも作らざるをえなくなると思いますが(そこで出来が大きく左右される?)
本作のようなゲーム版からだと
固定シーンと固定シーンの間を作るのが逆に難しくなってしまうんでしょうね・・
(自由度が少なくなってしまって)。
もしくは作らなくてもカタチとしては成立できてしまう?・・(悪い意味で)。

ストーリーの入りや演出、表現、セリフ、ロゴやカットイン?等についても
”ゲーム版そのまんま”じゃなくて”アニメ版ならでは”的な自然な流れを期待していましたが
やはりそれも過度な期待だったようです・・><。


せっかくの福山さんも、あまりセリフ増やしてもらえそうにない気がしてしまいます・・><。
せめて”心の声”みたいな感じでもっとセリフ入れてくれたらいいのになあ・・・と。
(たまにルルーシュっぽく感じてしまうところを個人的にニンマリしながら楽しませてもらおうと思ってます)


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>4話あたりでいったん断念後10話から再開
4話あたりで我慢できず、いったん断念してました・・。
・・が、某まとめサイト様の記事で「序盤より出来がよくなってきている」という意見を見かけ
間の話数が飛んでますが10話を視聴してみました。

あ、確かにテンポ良くなってる♪。
BGMも的確だし、全体的な雰囲気がゲーム版独特の良さに近い^^。
話が進んでメイン・サブともに主要キャラが増えてきたことも大きい。
個人的には真の登場が何より大きい!!。

これだったらここからまたしばらく継続視聴できそうです。
だって真と、ここからさらに増えるメインキャラ2人が自分の推しキャラですから^^。


(ED後半の動画はどうにかならないんでしょうか・・。
 まだ止め絵を数種類変えてくれる方がマシな気が・・・
 せっかくの歌が勿体なくない?・・・・・・)


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>9話→4話と逆行視聴してw
意外に見れました^^。
戦闘シーンはあからさまにイマイチ・・(大苦言w)ですが
本編・サブキャラコミュ含めて物語はまずまずうまく進行させてる感じ。
Cパートもうまく使ってる♪。

ゲームクリアしてからもう半年以上経つので
少し記憶からなくなりかけていた細かいところを思い出させてくれて案外悪くないな^^。

ただやっぱりペルソナシリーズがアニメ化される際の個人的共通残念ポイントですが
ゲームではプレイヤーが主人公であるため
主人公のキャラ主張が弱く作られてしまってるんですよね・・。
本作でもゲーム発売前に福山さんが主人公であるということを知り
個人的に異常なまでの期待をしてしまってたのですが
蓋をあけてみるとゲーム内での福山さんのセリフはごくごく限られたセリフにとどまり
(←ココ重要!!(残念ポイント;;))
逆に、それを補うように宮野さんがしゃべりまくってくれていますww。

自分は宮野さん福山さん双方のファン(特に宮野さんファン)なので
宮野さんのキャラ主張が強くなってセリフ増えるのは大歓迎でしたが
(なんかこれの影響??で、ゲーム版の時から世間的に
 竜司がウザキャラ扱いされてるのは我慢できませんでした・・
 ・・・いいキャラなのに。⇒アニメ版でも竜司(宮野さんの演技)の良さは全開でした!!)
やっぱ福山さんのキャラ付けももっと強くしてほしかったというのが本音です・・。
アニメ化に伴い福山さんもがっつりアドリブ入れてくれたりするのかな~って
密かに期待してましたが、今のところはやっぱ極力抑えられてるようですね・・><(無念)。


今日、ひさしぶりにP5のゲーム版を起動してみたのですが
やはりOPの動画や戦闘時のUI等最高でした!!(スタイリッシュ!!!)。
いっそのことアニメ版での戦闘シーンって
手書きでふにゃふにゃした感じになってしまうくらいであれば
いっそのことCGでもよかったのでは??。
P5の良さの1つはやっぱ「スタイリッシュさ」ですよね?。
ゲーム内でのそれは最高にcool!でしたが
アニメ化に際してそれらはかなり弱体化していませんか??。
加えて、ペルソナシリーズは悪魔キャラの魅力も大きなハズせない要素であるハズなのに
アニメ化に際してそれらが犠牲になっていませんか??><。

とはいえ、前述の理由でゲーム版を周回プレイする気になれないので
せめて今後のアニメ版に期待してしまっています。
でも一番お気に入りの双葉ルート、春ちゃんルートのところは
丁寧にアニメ化してほしいな~と願うばかりです。ペコリ(o_ _)o))

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

TAMA さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

『アナタは怪盗団を信じますか!?』

2018年2月の休み全部使ってプレイ。この為にPS4を買いました。高かったけどペルソナは好きだ!

ゲーム(原作扱い)・ハードモード、140時間プレイ済み。バッドエンド+グッドエンド全て回収済み。(一番のバッドエンドはチュートリアルで『同意しない』選んだらタイトルに戻るです。)
トロフィー多少回収忘れ。
DLC+wikiは使わず。


もう我慢出来ず買ってしまいましたね(笑)
本編も楽しめたし音楽も流石はペルソナシリーズ…良かった。本編は伏線残ってたしペルソナ4みたいにゴールデンとかみたいにするのかな?
出来る限りネタバレしないように書きます。多少伏線っぽいのを残しますが。

『ペルソナ4』はユング心理学とイザナギやイザナミ等の日本神話や古事記などでした。
しかし今回の『ペルソナ5』は違いました。全てではありませんが。これは言っても大丈夫な部分なので情報を出すと「認知科学」…「認知訶学」ですね。多少知ってるとまた違った意味で面白いですよ。

さて、まずは…

制作・A-1

主要キャラ↓
(1.キャラ名)(2.CV)(3.ネタメモ)

雨宮 蓮 … 「福山潤」(主人公・魔…)

坂本 竜司 … 「宮野真守」(ヤンキー)

高巻 杏 … 「水樹奈々」(この格好…)

モルガナ … 「大谷育江」(俺はネコじゃねー!!)

喜多川 祐介 … 「杉田智和」(おイナリ)

新島 真 … 「佐藤利奈」(世紀末覇者先輩!)

佐倉 双葉 … 「悠木碧」(カレシぃ~♪)

奥村 春 … 「戸松遥」(美少女怪盗)

明智 吾朗 … 「保志総一朗」(王子かよ)

と、豪華ですね。杉田さんはペルソナ4のアニメのクラスメイト役、悠木さんは「中村あいか」役で出てました。どちらともアニメ版のみ。
杉田さんはペルソナに出たい!と言ってたから主要キャラとして出れたのは個人的に嬉しかったですね。(…羨ましい(-_-;))
ただこのメンバーだとアフレコ現場も楽しそうだなぁ…。宮野くんや杉田くんのアドリブ合戦で周り巻き込んだり、それにノッて悠木さんや福山くんが……カオスだな(笑)
共演も多いし仲も良いみたいなので裏話とか後々楽しみにしたいですね。個人的には「中村悠一さん」も出して頂けたらなと思います。…アフレコ現場、もっとカオスになるな(笑)
ただ主要キャラ以外のサブキャラも中々贅沢な声優さんを使ってるのでそれだけでも凄いですね。
カロリーヌ・ジュスティーヌの双子は「豊崎愛生さん」、佐倉惣治郎は「中田譲治さん」など流石はペルソナシリーズだと思います。(他にも居ます!)
兼役なども豪華だな。

ただ心配事もあります。
ご存知の方もいらっしゃると思います。

まず「運命のアルカナ」を演じてらしたのは『松来未祐さん』。2015年にお亡くなりになりました。
続いて敵役の1人のCV、『田中一成さん』もお亡くなりになりました。
そしてペルソナには欠かせないイゴール役の『田の中勇さん』もお亡くなりになってます。
ここをアニメでどうするのか?気になります。今のところ情報もないので3月のアニメジャパンの会場で何か出るのかな?と期待してます。


作品説明を少しだけしようと思います。勿論ネタバレは極力避けます。
『ペルソナ4』はヒーロー。『ペルソナ5』はダークヒーローと言ったとこですかね。ちょっと胸糞悪いとこもあるので。ただ流石はペルソナと思いましたね。事件に現実であった事件を…おっと(笑)
結構伏線や繋がりがあり、それを見付けるのも面白いかもしれませんね。
少しだけ情報を出すとしたら主人公に関係がある「ルブラン」という喫茶店が出てきます。そう、『アルセーヌ・ルパン』の作者名ですね。
後1つ出すとしたら「カロリーヌ・ジュスティーヌ」の双子の帽子のアルファベット。
「カロリーヌ・X.M.R.N」「ジュスティーヌ・O.Y.O.O」…。
さて、なんでしょう?
(物語には影響しないのでネタバレにはなりません。)


「東京ゲームショウ2016」で福山くんが言ってたんですが、福山くんの事務所のスタッフがペルソナを物凄く好きで、『スタッフ:「福山くん、どんなに忙しくてもペルソナの話が来たら受けて下さい!」』『福山くん:「来ねーよ(笑)」』…8年後。来た!
いやー…笑いましたね。どうやら今回の『ペルソナ5』はオーディションではなく、声優は指定だったみたいですね。全部が全部ではないでしょうが。
しかし「東京ゲームショウ2016」に出てたモルガナ、あのデカさだとカバンに入らないんじゃないか?(笑)


ゲーム中に結構気になった事…、気になったお菓子があるんですが…。私はいつも名前を少しだけ隠すんですが今回はATLUS自身とコラボしてたので隠しません。『じゃがりこ』です!
もうね、ペルソナ5やりながら食べましたよ。ゲーム内でも買いましたよ。コンビニで。リアルでもゲーム内でも買ってしまった…。やるな、ATLUS!
YouTube等の動画サイトにATLUSがアップしてる『じゃがりこ面接』があります。ネタバレはないのでネタとしてオススメします。悠木碧さんと杉田智和さんなので『アホガー◯』みたいですね(笑)
「うれしくて!…じゃがりこぉ!」
「かなしくてっ…じゃがりこぉ…」


ペルソナは本編以外の日常や学校行事、恋人演出など様々なお楽しみポイントがあるのでアニメも楽しみですね。私は恋人は双葉1択でした。(浮気もなし)
悠木碧さんがCVってのもあるけど性格が好きでした。

アニメで心配なのは尺ですね。ゲームシナリオなのでかなりの量です。『ペルソナ4』も真エンド削って2クールに圧縮してました。それでも足りなかったなと思いましたが。
今回はどうかなぁ…。表現出来ない部分もあるし大丈夫かなぁ…。ちょっと心配です。


さて、ペルソナ5のアニメは2018年4月から(延期がなければ)。ゲーム内では主人公はあまり喋らないのでアニメ版で喋る主人公は楽しみです。
それまでゲームの2周目をやりますかね。2周目は双子と遊べるから遊びますかね。…デスゲームだけど(笑)
アニメが終わったら評価を書こうと思います。それまでにアニメジャパン2018や作品の題材になった渋谷・新宿・池袋などに行ってみたいと思います。

では、双葉の言葉を借りて『サラダバー!』

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

71.9 4 心理学で仮面なアニメランキング4位
ワンダーエッグ・プライオリティ(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (313)
1003人が棚に入れました
「高校教師」「家なき子」「高嶺の花」ほか話題のドラマを多く世に送り出した、脚本家・野島伸司さんが初めてアニメ作品の原案・脚本を手掛けるオリジナルアニメーション。監督は「22/7 あの日の彼女たち」キャラクターPV、「僕はロボットごしの君に恋をする」アニメーションPVの監督他、数多くのアニメ作品に携わる気鋭の演出家・若林信さん、アニメーション制作は「空の青さを知る人よ」「約束のネバーランド」などのCloverWorksが手がける。2021年1月より日本テレビほかにて放送予定だ。

声優・キャラクター
相川奏多、楠木ともり、斉藤朱夏、矢野妃菜喜
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

(視聴開始10秒で思う) あ、これ、適当に観ちゃいけないアニメだ。

[文量→特盛り・内容→雑談系]

【総括】
テーマは、どストレートに「いじめ」。それに付随する、「不登校」「自殺」。

はっきり言って、かなり重いアニメです。観るのが疲れます。過去に、いじめられた経験がある人なら、胸にズシンとくるだろう描写もあります。

それでも、クオリティの高さは確かです。

私の最近の視聴スタイルとして、「クールの始めに、1~3話くらいまでをまとめて観て、切る作品を決める」のですが、本作は、視聴開始10秒くらいで、(作画や演出等から)「これ、適当な気持ちで観ちゃいけないアニメだ」と直感し、1度、視聴を止めました。そして、全話放送後、腰を据えて観ました。

もし本作に興味があったら、負荷が強いアニメなので、じっくり時間をかけて観ることをオススメします。私は、2話以上一気に観るのはムリでした(笑)

ちなみに本作は、「途中」で終わります。数ヶ月後にこの続きがあるみたいなので、アニメそのものに対する感想は、そちらに書きます。この、レビューでは、いじめや不登校に関する私見を。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
先日、「学校に通っている人はロボットに見える」との理由から「不登校系YouTuber」になった少年が、(ほぼ通学していない)小学校の卒業証書を破り捨て、「中学校には進学しない(不登校を続ける)」と宣言したという記事が、Yahoo!のトップページに載っていた。

その少年は、「死ぬこと以外はかすり傷(だから不登校は大した問題じゃない)」と言っています。

それに対して、こんなコメントがありました。

「死ぬこと以外はかすり傷、というのは正しい言葉だと思いますが、それは、人とぶつかり合い、傷つき、それでも立ち上がった人の言葉です。かすり傷すら負わないように生きている人の言葉ではないと思います」

ど正論だなと。

このコメントを借りるならば、本作の4人の少女は全員、「死ぬこと以外はかすり傷」と言える資格があると思います。

物語は途中で終わっていて、評価が難しいアニメですが、この傷つき、戦う4人にそれぞれ、救いがあって納得感があって既視感のない(そしてSFもしっかり回収)、そんなラストが用意できているなら、本作の評価は爆上がりですね。

さて、この直接的なアニメを観た以上、いじめについて書かなければならないかな。

私は、いじめられたことはありませんが、学級の大半から無視されてた時期はあります。小学校4年生くらいの時です。

「それはいじめじゃないのか?」と思うでしょうが、まあ、客観的に観ればいじめなのでしょうが、私はプライドが高くて、「自分がいじめられてる」という状態が許せなかったので、、、

とりあえず、自分を無視しているクラスメイトを、片っ端からぶん殴っていきました(笑)

まあ、小4にしては身体がでかく、剣道で鍛えていたのはラッキーだったのでしょう。無視はすぐになくなりました(勿論、男子しかぶん殴っていませんが、4人目くらいで、他の皆も無視をやめましたよw)。

ようは、「いじめっ子(首謀者)」より、自分の方が怖く(面倒くさく)なったということでしょう。小学生のいじめなんて、しょせんそんなもんです(以降、無視はなくなりましたが、危険人物として避けられましたw)。

ちなみに、その首謀者が、保育園から一緒の幼馴染みで、自分の人生で一番最初に(3歳くらいで)できた友達だったと知ったのは、二十歳を過ぎてからですね。

私自身、もう忘れていたくらいですが、ある同級生と久しぶりに呑んでいたら「実は」と謝られました。曰く、皆も「何でそんなことしなければならないんだろう」と思いながらも、裏では彼が色々やってて、それが怖かったらしいです。

彼は、いわゆる「陽キャラ」でコミュニケーション力が高くて友達も多い。学級のムードメーカーみたいな存在でした。私は単純に昔馴染みの友達の1人として、「頼りになるな~」「凄いな~」と思っていたのですが、そんな彼がまさか皆から「慕われている」のではなく、「怖がられていた(から友達風の奴が多い)」だけで、実はメッチャ嫌われていたことを大人になってから知り、自分がいかに鈍感だったか、何も分かっていなかったかを痛感し、逆に笑えました(笑)

ちなみに、そんな彼はもう地元の呑みには呼ばれなくなりましたね。大人になれば、怖いとかないし。

ちなみにちなみに、クラスの大半が私を無視している時でも、毎日一緒に登下校していた、実家の三軒隣に住むA君は、今でも唯一の親友で、めっっちゃ良い奴です。ガキの自分が折れなかったのは、彼の存在が大きかったのかもしれませんね。

さて、本作はかなり直接的にいじめを取り扱っています。

詳細は余談にありますが、私は、昔より今の方がいじめがひどい、とは思っていません。質はともかく、数は間違いなく昔の方が多かったと思っています。マスコミが報道するかしないかの問題かなと。

いじめについて、昔と今で違うことがあるとすれば、昔はピラミッド型、今はダイヤモンド型と呼ばれていることです。

ピラミッド型とは=ガキ大将型。一部の強者(ピラミッドの頂点)が弱者(ピラミッドの底辺)をいじめるという構図。

この時、いじめられっ子は多数派であり、いじめらっ子同士の連帯感があります。ちょうど、ジャイアンにいじめられる、のび太やその他モブ達が悩みを共有できるという構図に近いですね。

それに対してダイヤモンド型(菱形)とは=数の暴力。ダイヤモンドは中心部分が一番面積が大きい。集団の中で数として最多なのは、「普通」の人。上位と下位は少人数。ダイヤモンド型のいじめは、多数派が少数派をいじめます。この場合、劣等生も優等生も等しくいじめの対象になります。普通(目立たない、はみ出ない、空気を読めること)こそ正義。

ドラえもんに例えるならば、主要キャラになれないモブ達が、のび太も出来杉君もいじめることになります。金持ちのスネ夫も、美人のしずかちゃんも、いじめの対象になるかもしれませんね。

ピラミッド型は、それが腕力であれ学力であれ、「力」がある者がいじめっ子になるのですが、ダイヤモンド型の場合、何の「力」もない「普通」の奴らがいじめっ子になるため、「数の力」(見てみぬふり)しか頼る部分がない。よって、いじめられっ子は少数派となり、孤独に潰されそうになります。

この「いじめられっ子同士の連帯感の有無(孤独になること)」が、昔のいじめ被害者と、今のいじめ被害者の違いと言われています。

さらに、LINEなどコミュニケーションツールが発達したことで、いじめっ子が隠れて連携でき、24時間いじめを行えるのが、現代型のいじめの特徴です。

こういう、現代のいじめの特徴を色濃く、直接的に反映しているのが、本作。

愛は「オッドアイ」という、超少数派。それに加え、イケメン先生に贔屓されているという嫉妬も加わります。7話で「アンチ」が出てきた時、「いじめられっ子はヒーロー」ということを言っていましたが、ある意味で的を射ていたと思いました。

まあ、いじめられる側からすれば、ふざけんなよ、ですがね。

また、愛が登校を再開した後、いじめられなくなったという描写は、凄くリアルだと思います。なぜなら、人が1人死んでいるから。いじめっ子達はビビったことでしょう。自分が逮捕されるのではないかと。

いじめっ子とは、本質的に弱い存在です。「弱い犬ほどよく吠える」と言うけど、正にそれ。自分に自信がなく、他者を貶めることでしか自分を確立できない。

そして、想像力が欠如した、平和ボケ。

以前、テレビ番組のなかで、千原ジュニアさんが、「街中でイキッてる奴いるけど、あいつら、めっちゃゃ強くないとつじつま合わないよな。相手がナイフもってて刺しにきても、余裕でかわせるくらいじゃないと、あんなにイキれないよな」

と言っていましたが、本当にその通り。いじめて、それでただで済むと思っています。「人を呪わば穴二つ」という言葉を知らないのでしょう。バカなんです。

これも詳しくは余談にあるけど、いじめは犯罪なので、いじめっ子にはきちんとした制裁が必要だと思います。ただしそれは、自分が死ぬとか相手を殺すだとかそういうことではなく、きちんと法律に則った方法で。ボイスレコーダーでも、スマホでも良いから、証拠を持って。

私みたいに、周りをぶん殴るというのは極端な行動としても、いじめっ子なんて強くも怖くもなんでもないです。だから、いじめられている人は、あんな雑魚共に屈せず、司法を味方につけて下さい。正義は、自分にあるはずです。

ちなみに、完結編の予想?を少し書くと、彼女らは最終的に皆救われてほしいのですが、それには、マザー・テレサの言葉がヒントになってくると思います。

彼女は、「私は多くの人を救っていると言われますが、逆です。私が多くの人から救われているのです」と言っています。つまり、人を救うことで、自分自身の心が救われるという感覚。

前述の「人を呪わば穴二つ」と真逆の考え方ですね。

彼女らは、エッグを通してたくさんの人の心を救ってきました。もちろん、それは自分自身の目的のためではあるのだけれど、事実として、たくさんの人を救ったことで受けた、感謝の気持ち、得た自信、自己肯定感。繋がれた、友達。

弱いのではなく、優しい彼女らは、他人の心の痛みを考えられるから、傷つくし、攻撃する側に回れない。そんな彼女らが、そして、彼女らのような視聴者が救われるようなラストを期待しています。
{/netabare}

【余談 ~「いけにえの教室」から転載~】
{netabare}
昔あにこれで、この「いけにえの教室」のレビューを書くのが局地的に流行り、その時に書いたレビューを転載します。

私以外でも、何人かのレビュアーさんが、それぞれに「いじめ」に関する私見を書いていますから、興味があったら覗いてみて下さいね♪

↓以下、転載内容

まず私が言いたいのは、「今の子供達は、ここまでバカでもないし、タチが悪くもない」ということです。

このような事案が0だとは言いません。もっと酷いこともあるでしょう。でも、それは本当に一部のことであり、総体として、今の子供達が昔の子供に達に比べ、明らかに人間性が低いとは思ってほしくないです。私感ですが、いじめは昔の方が酷かったように思います(本当に私感です)。

今は、いじめが多いんですか? 酷いんですか?

これは、少年犯罪にも言えます。今の子供達がダメ? 本当にそうですか? それは、マスコミに作られたイメージではないですか? 懐古主義ではないですか? 警視庁の統計を見ると、少年犯罪の件数は勿論、犯罪率も基本的には過去から右肩下がりです。

高度経済成長期の日本はどうだったのでしょうか。ゴミは捨てっぱなし、川の水は汚い、街角で殴り合いの喧嘩はする……例えばそんなこともあったのではないでしょうか。私、個人の見解ですが、日本人の「モラル」は、特に子供世代においては、むしろ高まってきているんじゃないかと思います。

また、本作では、教師が超無能に描かれています。

本当に今の先生が無能かと言えば、正直、疑問です。生徒は勿論、先生方(学校)も頑張っていると思っています。確かにダメな教師もいます。でも、この国の教育は先生方の献身と良心で成り立っている部分もあるように思うのです。

OECDの調査でも、日本の教員は世界の教員の中でぶっちぎりで一番働いていることは明白になっています。給料も特段に高いわけではありません。学力に関しては、GDPにおける公的教育費の割合と学力は基本的に比例していますが、日本だけが異質。日本のGDPに占める公的教育費の支出額の割合は3.2%と、OECD加盟国で最下位(2014年)なのに、学力は大体ベスト10以内で頑張っているのが日本の教育です(とはいえ、このような劣悪な環境で、しかも世間から尊敬されず、アニメでまでバカにされるような魅力のなさでは、よい人材が集まらず、先生の質は下がっていくでしょうね。学力世界一のフィンランドは、博士号をとらないと先生になれず、給料や待遇もよく、子供がなりたい職業1位が教師らしいです)。

このアニメは、現代の子供たちや教師の悪い部分や一部の例を、これでもかと誇張して描いているアニメに感じるんですよね。

と、なんか、ちょっといじめの描写が極端で、(私は基本的に、近頃の若者は的な考え方には反感をいだきがちで)やるせない気持ちになったので、感情的になってしまいました(苦笑)

とはいえ、教育アニメとして、一定の役割はあろうかと思います。ただ、そのメッセージのひとつが「あなたも誰かをいじめたら、いじめ返されるかもよ」では、ちょっと寂しい(決して教育的ではない)。まあ、痛烈ではありますが。

このアニメがうすら怖くて、胸くそ悪くなることには激しく同意なので、このアニメをみて、一人でもいじめに対しての嫌悪や恐怖を抱き、ひとつでもいじめがなくなることを切に願います。

あと、学校現場から、表面的にでもいじめがなくなるためには、以下の言葉が指針となると思います。

『いじめを無くすには、いじめ、という軽い言葉をなくせば良いと思う。いじめ、ではなく、「暴行」「虐待」「恐喝」「殺人」という言葉を使う。いじめは立派な犯罪なのだから、いじめっ子は犯罪者と言う。犯罪という言葉を使い、罪の意識を重くすれば、いじめは減ると思う。』

by 美輪明宏

……激しく同意ですな。さらに言えば、もしいじめられたら、とっとと被害届出して、警察が動く仕組みにすれば良いと思います。「いじめをしない人間に(心を)育てる」のは教育の役割ですが、「いじめをしたこと(行為の結果)に責任をとらせる」のは司法の役割です。

もしいじめで自ら命を断ってしまうくらいなら、警察の力や裁判所の力を借り、いじめっ子の人生に痛恨の一撃を加えてやればいい。遺書でリベンジなんかしなくても、十分に勝てる。今はボイスレコーダーでも隠しカメラでも何でもある。したたかに証拠を集め、出るとこ出てやればいい。

(私はあまり思わないが)もし、いじめっ子の将来まで考えたい(前科をつけたくない)なら、義務教育の間は親に責任をとらせても良い(罰金とか)。いじめを助長、隠蔽する動きがあるなら、教師や学校を訴えても良い。

勿論、いじめられている子どもが精神的に追い詰められ、そんなことが思い付けない情況もわかる。だから、親でも教師でも、周りの大人が遠慮なく訴える。また、訴えるぞと警告できる。訴えがあったら事件性の有無に関わらず警察が動いてくれる。そういうシステムを、雰囲気づくりを、国が率先して行えばやってやれないことではない。学校現場に警察が介入することをタブー視する、教師の努力放棄だとする論調を捨て、むしろ英断だと評価する世論があれば良い。

勿論、それがいきすぎれば、「弱者の強迫」や「国家統制」など、別種の問題を引き起こすかもしれない。でも、いじめによって心に深い傷を受けたり、命を失ってしまうことを考えれば、まだマシかと思う。

そのぐらい、私はいじめが嫌いです。まあ、過激な意見なので、賛否はあるだろうけれど。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆4
作画良いな。オッドアイだし、不登校だし。いじめ。心の傷とか、そういうこと? 見て見ぬふりをするか否か。なるほど、いじめられたのは自分ではなく、友達か。カラコン、つければ? 

2話目 ☆4
OP、巣立ちの歌か。卒業式の歌で、一番好きなんだよな~、日本語の流れが美しい曲。先生、お母さんとデキテル? いじめを見過ごしてきたくせに、てところかな。今度は、先生がトラウマ。

3話目 ☆4
新キャラ。明るいけど、影がある。がっつり、リストカットを映したアニメは初めて観たな。担任、そっちかい。それ、小糸ちゃんが死んだのは、沢木先生が手を出したから? リスカの位置が、細かい。外側ではなく、内側なのは闇が深い。でも、アイドルだから人目につきにくい二の腕の内側。

4話目 ☆3
ママ、糞過ぎるだろ。男と女の自殺は違う。んなことないと思うけど。

5話目 ☆4
女でいたい毒親ね。なんで私を観るの?(笑) なんか、この4人の友情が深まるのを、誰かが死ぬ前フリとしか思えないな(苦笑)

6話目 ☆4
友達ができたからな。リカ、悪役やってやってんだよ。重いな~。

7話目 ☆4
アンチね。虐められっ子が、ヒーローか。まあ、その流れだろうけどさ、いやいやいやいや、先生も母親もクソだろう。タイミングが違う。子供が苦しんでいるこの状況で、それはない。普通は卒業後、せめて、学校復帰してからでしょう。かなり突っ込むな~。実際、あるしな、連れ子への虐待。ここで学校に行く。先生を、好きなの? 通り雨、なんて、そんな素敵な比喩、とっさに言えるか(笑)?

8話目 ☆4
りか。なかなか闇が深い。悶々はやらしい(笑)。そりゃ、自殺者が出れば、誰ももういじめないだろ。パパ活(笑) 笑いながらする話ではないよな、酔っ払い。共依存。どちらもいない。妄想しちゃうんだよ、逆に。リスカは、ムリに止めたら止めたで、危険なんだよね。宗教か。守られる者、守る者。超電磁ヨーヨー(笑)

9話目 ☆4
ねいる、いわゆる試験管ベイビーか。どんな風に生きたいか。寿、アルビノでオッドアイ。アカ、裏アカ。

10話目 ☆4
男子だと思われ、男子から告白。絵描きとしてが本当の夢。とりあえず髪伸ばせば良いと思うけど、それで女子と見られるのが悔しいというのもあるんだろうね。LGBTは複雑だよな。「体の性は男、心は女、でもレズとして女子が好き(だから普通の恋愛に見える)」とかもあるみたいだし。剣道部の顧問、剣道家の片隅にも置けないクズだな。死の恐怖。トラウマ。

11話目 ☆4
フリル。ここにきて、新しい要素というか、本題に入るか。

12話目 ☆1
よく分からんが、ここで終わりか。一応、後で完結させるみたいですが、やはり、ここを最終話とするなら、この評価です。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 23
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いい作画とは?ここ10年で作画の最高作品かも、と思います。

リアルタイムで評価、22年12月に再評価、今回23年12月に再々評価です。

 といっても、内容については今回は評価せず、作画についてです。いろいろとアニメを見てきましたが映画は別にしてTVシリーズではこの10年くらいでは最高作品は本作ではないかと思います。

 いい作画の定義は私のような素人には難しいですが、私の見解だと回転(振り返り、身体の向きを変える、首を向ける・そむける等含む)を入れているか、構図は横からだけでなく上下左右遠近から見せられているか、構図は的確か、演出と連動して優れたアニメ表現になっているか、手足を丁寧に自然に動かせているか、キャラの表情が自然か、顔の演技に首や肩の動きが含まれているか、髪や衣装にこだわりの動きや工夫があるか、線が丁寧かなど、動きの部分があります。それと重量感ですね。ちゃんとGを感じられるか。季節感・天候、風や温度が読み取れるか。

 そして瞳や髪、アクセサリーの光沢、肌の質感の部分と背景とのバランスなど、原画ではないでしょうが着彩も大きな部分です。

 背景美術は質感。実写ではなくアニメになっているか。遠近法は空気、焦点など工夫があるか、人物の動きを引き立てる色彩・密度か、世界観を表現しているか、陰影・光は美しいか。時間帯や方角、国や場所がわかるか。
 エフェクト頼りにならないか。3D酔いや光酔いはしないよう調整しているか。

 と考えて行くと、本作の完成度の高さは群を抜いているように感じます。そして、そのスタッフの参加作品を見てみると「ダーリン・イン・ザ・フランキス」「明日ちゃんのセーラー服」「その着せ替え人形は恋をする」「ぼっち・ざ・ろっく!」などが並びます。CloverWorksだから当たり前のラインナップではありますが。
「22/7」「アイドルマスターシンデレラガール」は未見ですがアニメータは重なっています。

 プラス「Sonny Boy」「白い砂のアクアトープ」「ゆるキャン△」「DO IT  YOURSELF」など独特の作画で感心したアニメのスタッフも参加しているようです。

 これらのこの何年かで感心したアニメのスタッフが集まって、多分潤沢な予算で贅沢に作ったのでしょう、見返してみると私の好きな作画の条件が高いレベルでほぼ満たされている気がします。

 他に「おにまい」「ヤマノススメNEXT SUMIT」が作画で気になる作品で、本作とこの2作のスタッフの参加率と予算で作画のクオリティは決まるのではないかという気がします。「ヤマノススメSUMIT」は作画の個性ですぎと背景美術、構成で難ありですが、あれも作画はいいと思います。
 あとはサンライズですね「UC」はすごいところはすごかったですから…

 スピード感やバトルシーンなどはいくら凄くても私はあまり楽しめません。ですので「鬼滅の刃」「呪術廻戦」「チェンソーマン」などはすごいんでしょうけど、響きません。(いや、技術だけならチェンソーマンも評価すべきかも…)
 
「ヴァイオレットエヴァーガーデン」はちょっと考えてしまいます。絵はすごいですが、動きとか演技がどうかな、というのはもう1度確認してみます。「甲鉄城のカバネリ」「映像研」「リトルウィッチアカデミア」など気になる作品もありますが、本作とは関係ないのでこれくらいで。

 







再評価。初回時よりは好印象。含意はあるかも。が、あざとい。

 死をテーマにした作品を見たくなって再視聴しました。本作は難解というより煙に巻いている印象を持つ作品なので、設定・裏設定などを考察するよりも大まかな意味を取ったほうがいいかなあと思います。

 アカ・裏アカ・ドット・ハイフンなどが現れます。ネットワークが関連するでしょう。ミテミヌフリ、アンチは当然ネットワーク上の悪意でしょうが、ひょっとしたら現実社会も包括して大衆の悪意と見ることもできます。

 人工人間=AIのフリル=2次元美少女でしょうか?これがひまり=実際の子供を殺す=子供が生まれなくなる。あずさ=妻を殺す。つまり、ネットワークのせいで、結婚・子作りができないということかもしれません。

 あるいはこれは読みすぎかもしれませんが、2次元美少女が実在の少女の存在を消して行く…というような、あるいはアニメによって男性の性が歪むような意味にもとれなくはないです。だから、エロスの戦士=現実の少女が…みたいないみかもしれません。

 少女たちの自殺の原因は主に虐め、大人の論理、性的な原因などでした。フリルはまた誰でもない一般的な少女たちの悪意の象徴でもあるかもしれません。普通の子に作ったフリルが他者との比較での嫉妬で、裏で攻撃をする。

 これの原因を取り除くのがエロスの戦士でタナトス=自殺と戦う。やはり、ここで問題になるのが「エロスの戦士」の意味です。フリルの存在があるのでちょっと分かりづらくなっています。ネットワーク上の性消費に見えてしまいます。

 最後の結論は、ネイルが作り物だったことも踏まえると、ネットワークでつながった友達という風にも見えます。小糸が現実では友達ではなかったと考えると、どうも脳内友達っぽく見えます。
 その小糸が自殺したのは、どこの世界かというと元の世界で、元の世界が夢だとすると抹消せざるを得なかったということでしょうか。ある意味では世界観はSSSSグリッドマンのような印象を受けました。

 全体としては、ワンダーエッグの数字がアドレスとかそういうものにも見えますので、バーチャル=SNSとかネットワーク上の悪意、性消費などで心が殺されるとか、そういう事が言いたいのかもしれません。

 なんとなく、感じるものはあるので、1回目の視聴ほど悪い作品とは思えませんでした。

 しかし、少女の性的な部分を並べて「引き」にしている、あるいは「深み」があるような印象を作っている。大きく見れば含意になるかもしれませんが、本作の制作者側が、自分自身で性消費してるように見え、自己矛盾じゃん、という気がしました。アニメは見ないで実写を見ろとも見えます。

 正直いえば、それっぽいパーツをばらまいて置けば、私みたいな考察厨が適当に意味を付けてくれるだろう?みたいなあざとさを感じなくはないです。

 作画・色合いのビビッドさは素晴らしいと思います。

 良くも悪くも印象に残るアニメで、再視聴できるクオリティはありますね。13話がポカーンで評価を落としたかもしれませんし、改めて見ても説明不足すぎて、そこは仕方ないとは思います。テーマが少女の性消費とかイジメなどを問題にしているようで、あざとい意図も見え隠れするので、素直に評価はできませんけど。




以下 一回目の視聴時です。

{netabare} Ⅾアニメにあったから見ましたけど、あれが特別遍?総集編でなく?たしかに後半は訳の分からない新作パートがありましたけど…?だったら初めから90分の映画にすりゃあいいじゃんという感じでした。
 なお、言葉が過ぎたレビューでしたので若干修正しました。

 総評しますと、現実世界での性的な少女たちの事件・苦悩、パラレルワールド(ことぶき)、AIの死の後押し等々やちちらかすだけやりちらかして、結局結論が出ないような話。
 風呂敷を畳めないので、訳の分からない結末にしています。

 脳死状態の人間の生命維持装置を外すことの意味は、いわゆる尊厳死の問題でおバカな少女たちが感情的に議論しても意味がないでしょう。
 アルビノは単なる色素異常で天才性とは全く関係ないです。貴重な検体って意味が解りません。
 エロスとタナトスという言葉を単純に性と死という言葉に置き換えて、タナトスをエロスの戦士でなんとかする?なんなのそれ?生命を持たないAIの対抗軸でエロスが人間的だって話でしょうか。
 オッドアイの意味は?パラレルワールドに関係している?
 ただし、パラレルワールドは少女たちの救済にも可能性にもなっていない気がします。だって、そこで生きている少女は隣のワールドの少女とは関係なく生きているけど。
 などなど。ギミックを散りばめて雰囲気で何とかしようとしているように感じます。

 私の個人的な感想では、深みも論理性もないと思います。バックボーンも読み取るべき回答もないまま、雰囲気で作ったとしか思えないアニメでした。ただし、エンタメとして楽しもうと思えば楽しめた水準だったと思います。

 ひどいのが今回の特別遍でした。12話までにあったエンターテイメント性がどっかにいっちゃいました。謎を造るだけ作って、最後にあのネイルのはなんなんですか。それともネイルが○○なら、ストーリー全体を解決できる伏線がありましたか?うーん。わかりません。

 特別編は、こんなんだったら作らないほうがましだと思います。



以下 本編のレビューです。

タイトル;性に翻弄され、死を選ぶ少女と救済をテーマ…に見えるが…あれ?

 まず、作画はさすがネット限定のアニメですね。驚異的な美しさです。キャラデザも美少女だらけです。

 ストーリーも、死を選んだ知人の少女を救済するために戦う少女たちが、実は自分たちの心の傷と戦っているような展開で非常に面白かったです。最初のうちは。

 ただ、おや?と思ったのが、引っかからないんですよね。象徴とか謎とかに。スルリとスルーしてしまうような、考察する気にならない。演出の問題なのか、キャラに厚みがないから、エピソードが単調だからなのか。

 と、考えたときに、急に女の子たちの過剰な肌の露出、特に脚の露出や、話題が性的な問題ばかりフォーカスされていることが鼻につきだしました。で、痴漢や性的なイジメ、レイプ、同性愛等々まあ、出るわ出るわの性的なエピソードのオンパレード。

 それが少女たちの人格とか性格の形成にどうかかわっているかとか、何かの問題提起になっているように見えないんですよね。視聴率?(ネットはなんていうのかわかりません)のための、言葉遊びというか…。

 最終的にモロモロ過去の出来事とかSF的な何かがいろいろ出てきて、世界観を見せてくれますが、うーん、やられた!、とか、へー!とかまったく感動がないというか…性的なこと自殺のことを扱っていることに理屈はつけますが…。

 元に戻って、1話を確認したら、第1話のヒロインの心の変化的なものにまったく意味付けがないことに気付きました。ああ、万事がこんな感じだから、引っ掛かりがなかったんだなあ、と。

 私の考えが浅く、解釈が追い付かないのかもしれません。ただ、私にとっては、エロスを全面に出して、稼ごうというお金の匂いがする作品でした。

 なお、面白くないことはないです。見て、損した、という感じでもありません。
 あえて、難解にしないで、このクオリティーでもっと娯楽に寄せたら良かったのに、と思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19
ネタバレ

フリ-クス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

伝わらない、野島イズム

長いこと待たされた特別編、やっとOAされました。

野島伸司さんらしいというか、なんというか
  う~~~~~ん…………
この人ぐらい『やりたいことが明確なのに理解されない』タイプって、
そうそういないのではないかと思います。

本作もそうなのですが、
野島さんの脚本の多くは重く、痛々しく、時には陰惨でさえあります。
彼は視聴者である若者に対して、
大人がひた隠しにするものを隠そうとしないんです。
(だからPTAとかにぎゃんぎゃん言われたりもするのですが)

人生、お花畑の中だけを最後まで歩いて行ける人はめったにいません。

挫折したり、理不尽な暴力や悪意に苦しめられたり、
努力を揶揄されたり、愛するものを奪われたり、酷い妥協を強いられたり、
騙されたり、裏切られたり、人間扱いされなかったり。
リアルに目をやれば、
いままさにそういう『裏の現実』にさらされている若者が大勢います。

野島さんは、そういう若者たちに中途半端な慰めなどせず、
むしろそういう現実を包み隠さず突きつけたうえで、

             それでも生きろ

というメッセージを作品の中で叫び続けている方です。

{netabare}
本作のタイトルが、そのまま彼の『言いたいこと』に直結しています。
ワンダーエッグ、直訳すると『奇跡の卵』は、
作中に出てくる不思議な卵だけでなく、
なんにでもなれる『無限の可能性を持った若者』にかかっています。
そしてプライオリティ、その若者が最優先で成さなければならないのは、
作中でも明言されていますが
              生きることです。


いじめ、裏切り、教師のパワハラ、同性愛、レイプ、性同一性障害、
まるで三面記事のオンパレードのごとく、
無慈悲な現実にさらされて自死を選んだ子供たちが次々と登場します。

だけど、何があっても野島さんはその死を肯定しません。
それを肯定する声を、断罪し続けます。

生きていたらこんないいことがあるよ、なんて無責任なことは言いません。
ただ『ミテミヌフリ』や『アンチ』をくだらない小者に描き、
次々と爽快にぶった切っていきます。

そしてフリルは『自死の背中を押す第三者』の具象化です。
その存在を前面に出すことによって、
あなたは本当に自分の意志で死にたいの、という問いを投げかけます。

パラレル・ワールドというのは、
  あなたは今よりずっと良いようにも悪いようにもなる、なれる
という無限の可能性を示唆しているように受け取れます。

そして特別編では、ねいるが『あっち側』に行ってしまい、
桃恵は戦意喪失して白旗をあげ、
共にフリルと戦った仲間たちは自然消滅してしまいます。

それでも、アイは最後に『復活』します。
理不尽な自死に対し、
自分の意志で、たった一人で抗い続けることを決めたのです。

          たとえ一人になっても生きろ、戦え。

それが本当に野島さんの言いたかったことではないかと、僕は愚考いたします。
{/netabare}


ねいるはどうなったのかとか、フリルとの決着、
四人組は復活するのか、小糸の自死の真相はなんだったのか、など、
特別編で積み残した課題はたくさんあります。

だから二期なり劇場版なりがあっても不思議ではありません。
むしろある『べき』なのでしょう。

だけど、野島さんはもう言いたいこと言っちゃってるので、
次が『ない』なら『ない』で、
それはもう仕方ないかなあ、と僕は秘かに思っています。

それに、たとえ第二期があったとしても、
野島さんが伝えたいことが
視聴者に届きそうな気がまったくしませんし。

届かないだろうと予想する理由は、大きく分けると三つあります。

{netabare}
ひとつめは『ギミック盛り過ぎ』。

アニメファンに関心を持ってもらおうとしたのか、
全体的なエンタメ性を意識したのか、
プラティだのAIだのパラレルワールドだのワンダーアニマルだの、
いろんなギミックが、これでもか、と詰め込まれています。

だけど、1クールものでここまで詰め込むというのは
  やはり『盛り過ぎ』ではなかろうか、と。
実際、伏線すら回収しきれなかったわけですからね。

いかにもそれっぽいものを配置しすぎちゃったおかげで、
あっちこっち目移りして焦点が定まらず、
逆に根底にあるものが見えにくくなっちゃっている気がします。


ふたつめは『脚本の字数多すぎ』。

野島さんってネットドラマなどで30分枠ちょこちょこ書いてるんですが、
それってだいたい、実尺22~3分ぐらいあるんですよね。
だけどアニメの30分枠って、
ABパ-ト合わせても、実尺20分しかないんです。
それなのに、これまでと同じ分量書いちゃったのかな、と。

だから「テンポがいい」と言えなくもないのだけれど、
どうしても『タメ』と『余韻』にとれる尺が少なくなって、
重い話がさらっと流れちゃっているんです。

作品が扱っているテ-マの重さから考えても、
最低一割、あるいは思い切ってぐらい三割ぐらい字数減らし、
ダイナゼノンぐらいの『間』でやった方が、
どっしりと見ごたえのある作品になったと思います。

 ただし、これは野島さんのせいではなく『監督の責任』です。

 野島さんは、あくまでもアニメは初めての方です。
 彼の言いたい内容を表現するには何枚(文字数)ぐらいが適切なのか、
 あらかじめきちんと伝えておくか、
 上がってきた原稿にリテイクをかけなければなりません。
 決定稿の責任は、すべて監督にあります。

 若林信さんは、この作品が初監督だそうです。
 だからそこまで気が回らなかったのか、
 あるいは野島伸司という名前に気後れしたのかはわかりませんが、
 はっきり言って、大チョンボです。


そしてみっつめ、これが最大の要因なのですが、『ミスキャスト』。

はっきり言って、
メインヒロイン四人では楠木ともりさん以外、
野島さんの脚本を演れるだけの実力がありません。

主役の相川さんは、まだ高校生。
別に若いからダメだということではありませんし、
『ちはやふる』の瀬戸さんみたいに、
回を追うごとに目覚ましい進歩を……と期待したのですが、
最後まで『ちょっとカンのいい高校生』のままでした。

あとの二人、斎藤さんと矢野さんは、
年齢こそ楠木さんより上だけれど、もろ、歌手・アイドル寄り。
テンプレに毛が生えた程度の芝居しかできてません。
ただ『それっぽい』だけで、
少なくとも僕の耳には、痛みもつらみも伝わってきませんでした。

  野島さんの脚本にこのキャスティングは、ないわ。

ただでさえ、前述のように文字数が多くて『タメ』の作りにくい作品です。
ゲストで入った実力派の役者さんたちも苦労していました。
それなのにメインを彼女たちに任せるのは、荷が重すぎました。

ですから正直、誰に対しても感情移入しづらかった、です。

それぞれが『痛み』や『やりきれなさ』を抱えているのはわかります。
だけどそれが全部、軽く感じられるんです。
それはそっちの話だよね、みたいに割り切れちゃう。

最後、アイが復活したときも「あそう、よかったね」みたいな。

せめて楠木さんをアイにあてていれば少しは違ったのでしょうが……
四人が会話していても全然引き込まれないし、
なんかもう作品全体が『他人事』みたくなっちゃっていました。

 これも、監督の大チョンボです。
 楠木さん含め、四人ともみんなSMEがらみのキャストですが、
 グループ会社なんだから、
 楠木さん以外はぜんぶ蹴っ飛ばしちまえばよかったんです。
 それをせず首を縦にふった段階で、
 この作品の失敗が決してしまったと言っても過言ではありません。


{/netabare}

おすすめ度としては、限りなくCに近いBランクです。

映像はすごく素晴らしいですし、
大切なことを伝えようともしてくれているのですが、
いかんせん、伝わりにくい、伝わらない。

ふつうに流して見てたら
  野島は結局なにが言いたかったんだ
みたいな感想しか出てこないだろうと思います。

いろんな伏線を投げっぱなしジャ-マンのまま話を畳んじゃったのも、
アニメなれした方にはマイナス要素かと。
もしも二期があれば、それは回復いたしますが……どうなんだろう?


ただ、レビューでは野島さんを非難する声が多いようですが、

     それは違うだろ、どう見ても監督責任じゃん。

初監督で経験不足だったのか周囲の圧力にびびったのか、
詳しいところはまったくわかりません。
だけど監督は、出来上がった作品が全てです。
  野島さんの世界を届けるだけの力量がまだ備わっていなかった
という評価は、避けることができないんじゃないかと。


これに懲りず、
野島さんにはこれからもアニメに挑戦して欲しいと思います。

  もうね、人のカタチすらしていない『マンガ映画』はうんざりなんです。

もちろん、アニメ専業の作家・脚本家さんのなかにも、
素晴らしい方がたくさんいらっしゃいます。
野島さんにも、時々でいいからその輪に加わってもらい、

  ジャパニメーションの発展に貢献していただきたいと、
  心から願う次第であります。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22
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