漫画原作で超人なアニメ映画ランキング 2

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の漫画原作で超人な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月02日の時点で一番の漫画原作で超人なアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

80.8 1 漫画原作で超人なアニメランキング1位
AKIRA アキラ(アニメ映画)

1988年7月16日
★★★★☆ 4.0 (1081)
5148人が棚に入れました
1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。そして31年―東京湾上に構築されたメガロポリス=ネオ東京は、翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。2019年のある夜、ネオ東京郊外の閉鎖された高速道路に侵入するバイクの一団があった。健康優良不良少年、金田をリ一ダーとする職業訓練高校の生徒達だ。一団は無人のはずの路上で掌に26と記す奇妙な小男と遭遇、先頭を行く島鉄雄は転倒、負傷する。この26号=タカシは、アーミーと対立するゲリラが求める軍事機密=アキラとまちがわれ、軍事基地にあるラボ(研究所)から連れ出され、アーミーに追われていたのだ。あっけにとられる金田達の眼前に突如軍用ヘリが下降、26号と同じようなしわだらけの子供27号=マサルの乗るカプセルと大佐が降りて来て、26号と倒れた鉄雄をへリに収容し、飛び去った。

声優・キャラクター
岩田光央、佐々木望、小山茉美、石田太郎、玄田哲章、鈴木瑞穂、中村龍彦、伊藤福恵、神藤一弘

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

出来の悪い舎弟(友)のケツをを吹くのが兄貴の役目・・・。

大分以前に視聴したことはあったが、今般(大友克洋全集発売記念という事で某youtubeにて視聴できたのでもう一度観てみた(2021.12)。

やはり、前に観た時とはだいぶ印象が変わって観れた。
これはどんな作品にも言える事であると思うが、実際、繰り返し観ることのある作品はそれほど多くない(時間、機会、観る気等々の制約もあるしね)。

そういう意味では、今回は機会に恵まれたという事か。

作品については、思い出、内容、諸々語り始めるときりが無くなってしまうので、控え目にしておこうと思うが・・・、大友克洋の作品を観たのは友人から見せてもらった童夢だったろうか。その当時、友人は「面白い(スゴイ)漫画がある」と言っていたが、正直私にはわからなかった(感覚的な意味で)。
私は、いわゆるマンガ的な絵の方がお好みで、大友作品を観た印象は「スクリーントーンが多用してあるな〜、新しい、シャープな印象はあるが・・・なんか『白いな』」だったwww。
まったく、自身のセンスのなさにあきれるばかりだw。
その後、AKIRAも見せてもらったが、当時は斬新であった、大判で派手な装丁ばかりが記憶に残っていて、内容は難解で、きもいトッチャン坊やは出てくるし、やっぱり「白いし」で、あまり私の琴線には響かなかったものだ。

ただ、今となって振り返ってみれば、その後に続くクリエイターの多くに影響を与え、時代を変えた作家さんだったなあ、とは思うし、あの時代を知っているのは少々優越感もある。

さてこの作品、今見返して観ても80年代らしいアニメの雰囲気を随所に見る事が出来る。
何故だかわからないが、80年代アニメ作品の多くには共通した「雰囲気」があるような気がする。
長くアニメを嗜んできたきた皆さまには、なんとなくでも解っていただける点も多いのではないでしょうか。

もっとも、この「AKIRA」と言う作品は作成当時でも、その斬新で濃密な作成方法についてTVで特集が組まれたりもしていました。
一番わかりやすいのは、アニメの口の動きを実際の発声時の口の動きに合わせて動かすという、一般人にも理解しやすいポイントでしたっけね。
実際は、もっとすごい点がいくつもあったのですが、まぁ、あまり注目はされませんでしたね、わかりやすいとこばかり着目し煽るのは今も昔もTVの仕事ですわ。

で、この作品を見返して観ての簡単な感想を。

・物語自体はそれほど珍しいパターンではない。軍が怪しい研究をしていて〜、その兵器(今回は人間)が暴走して〜、ハイエンシエントなウエポンが出て来て〜、どっかいってしまってーend〜的な。

・ただ、物語のベースとなる世界観、表現方法、キャラ含めそれぞれのパーツ=大友克洋感は特徴的かつ今なお先進的。

・やはり、セル作画アニメとしては一つの到達点と言える。

・金田と鉄雄の関係はやっぱイイ。鉄雄の屈折ぶりも大人になった今なら理解ができる気がする、最後に金田に頼るのはまだガキの証拠だぜ、金田もガキだけどな・・・(コレ(アレ)が若さってもんだろうか、取り返しのつかなくなることもあるけどな)

・ただ、鉄雄の屈折~ちょっと力持った~タカビー~暴走の流れは、なんか昨今の「無敵の人」の暴走っぽくて、心がザワザワした。
自分の得た力にうぬぼれたとしても、今の私に許容できない。
アタマをゲンコツで殴ってやりたい気持ちになった。(金田に近いかw)

・金田の元気さ、怖いもんなしで舐めた感じがうらやましい。

・SFとしても世界観、造形美、エフェクトの表現が今でも通用しそうな、と言うより、今の作品も影響を残している。

・今も、昔もエセな宗教、信者は人智を越える事象をおらが神様だと錯覚し、祭り上げ、利用し、自滅する。

・女性があんましかわいくない。

・80年代のいい加減な感じを、よくぞあそこまで取り込んだものだ(主にチャラ女のセリフ)。
まぁ、男のテキトーさもそうかなw。

・ある意味、動き過ぎて気持ち悪いw

・画面からの情報量が多すぎて、疲れる・・・(歳食った証拠だなぁ(遠い目))

などなど。

まぁ、一個一個シーンを見ながらだと、ここがすごいんだよ、この表現がねぇとウンチクをたれたくなるような作品であることが今でもすごいんだけれどもねぇ。
そうだなぁ、昨今のCGをガンガン使った作品だと、すごくても、ウンチクを述べられるスピード感じゃないですよねぇ。
早すぎるというか、あん?CGならあたりまえっしょ的な「消費される感覚」が強いかなぁ。
セルの動きで、ヌルヌルもたもたしている所に、ウンチクを述べられる隙間が存在する気がしますなw。


この作品は、今となっては30年以上前の作品となります。
人も〇にますし、グロっぽいシーンもありますが、あの時代に最も挑戦的だった作品の一つでもあります。
一度は観ておいてもいい作品の一つでは?とは思います。
合う合わないはあるでしょうけどね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 16

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれ初のリアルイベント開催を祝して・・・

内容については言わずもがなな名作ですのであえて触れずにおきます
なんせ小さい頃にBS2で放送されたのを観て、約10年間トラウマ化した作品なのでw
(コレと塚本晋也監督の『鉄男』は本当に怖かったというw奇しくもテツオ繋がりw)


この度、あにこれにとって記念すべき初のリアルイベントである「懐アニ上映会 AKIRA」に参加したので記念に一筆をと思いイベントの感想を軽く書いておきます


オイラ、1988年の公開当時は物心つかぬ赤ん坊だったので当然映画館で『AKIRA』を観る機会などはこれまで無いに等しく、この貴重な体験にあにこれのイベントとして参加出来たことはありがたく思います


イベントで上映されたのは、HDCAM SRマスターの映像に5.1chデジタルPCMサラウンドの音声、ということで多分ビクター(現ジェネオン)が家庭用ソフトに向けて作ったマスターフィルムじゃないかと予想します
(イベントでは世界に2本しか無いと仰ってました)
当然無圧縮状態なので、家庭用ソフトのソレとは比べ物にならないほど鮮明な映像
それに5.1chで体感するあの音響、これが一番凄かった!
キャストの吐息、効果音、劇伴、とにかく全ての迫力が我が家で観るとでは段違い!
その素晴らしい作画と相まってまるで2015年今日の新作映画を観ているような気分にすらなりましたねb
名作は色褪せないってこのことか!と


岩田光央さんのトークショーにも参加しました
オーディションには大友克洋先生に一目会いたい、という軽い気持ちで参加されたという岩田さん
一時期は事務所の方針で声優としての仕事が無かった岩田さんに『ここはグリーンウッド』や『アンジェリーク』での起用がされたのには、金田というキャラの人気が絡んでいたんじゃないか?と仰ってました


オーストラリアに奥さんとダイビング旅行に行った時、現地人に「日本人ならAKIRA知ってるか!?アレは凄い映画だぞ!」と本人とは知らずに英語で力説されたというエピソードは笑えましたw
ラジオCMの仕事をした時にイケメンディレクターに、行きつけの美容室の美容師に、それぞれAKIRAのファンだと言われたこともあるそうな


『トップ2』の時に山賀博之さんが日本中のクリエイターが会社の垣根を超えて一致団結したのは後にも先にも『AKIRA』だけ、と仰っていたとのこと
しかし当時のアニメアワードを『トトロ』に取られた時は悔しかったそうなw
(真逆の作品ですよねwその後『トトロ』を観て素直に感動したそうですw)
取り調べ中の金田の「アハwアハアハw」という変な笑い方とリュウ達に拘束され「聞くは一時の恥って言うでしょー?」の直後の「言わない?w」は岩田さんのアドリブだそうです


プレスコでは玄田徹章さんがキャスト達のリーダーシップを取られ、共演者の演技の中では佐々木望さんの鉄雄そのまんま感が特に印象的だったらしい


『宇宙戦艦ヤマト』ファンであるから『2199』のようなリメイクには感動したが、『AKIRA』はリメイクして欲しいとは思わない、現代でも十分通用するから、とも
ちなみに【ゲーム版は無かったことに】と言ってましたね(爆)
暴力的な描写が目立つ作品ですが自分の息子には観せたい?と質問されて、自分で観たいと言うまで放っておく、とお答えしてました


若い自分の演技を暫く直視出来ず、30年近くなってやっと普通に観れるようになってきた(笑)とも
ご家庭で観るときは【DVDではなく是非BDの画質で】ともオススメしておりましたね


会場と一緒に「さんを付けろよデコ助野郎!」「やっとモーターのコイルが暖まってキタぜ!」と言ってくれたのには興奮してドキドキしました
(それと「ピーキー過ぎてオマエにゃ無理だよ」もw)


この度は一生の思い出になるとても楽しい時間を過ごせましたこと、関係者様各位には深く感謝を致しますm(__)m
またこういった楽しい機会を「あにこれの」というカタチで過ごせたら嬉しく思います
2015/11/21 新宿テアトル
2015/12/5 川口スキップシティ

投稿 : 2024/06/01
♥ : 27
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

天才的なSF発想の塊です。人間鉄雄にも注目すべきでしょう。

 金田のバイクってバックができるんですよね。モーターと言っていながらエンジン音がするのでハイブリットなのでしょうか。まず、このバイクのデザインだけでもゾクゾクします。AKIRAという映画でもっとも印象的なこのバイクは金田という男の強さの象徴でした。

 孤児院らしきところで友達になった金田と鉄雄でした。金田の側からみた鉄雄は守るべき存在であり、大切に思っていたのだと思います。一方で金田は鉄雄の憧れでありコンプレックスでもありました。鉄雄の金田のバイクに対する執着を映画ではかなり描写していましたので、これが一つの主題だと思います。力を得た鉄雄は不幸な過去を持つが故に、歪んでいったのでしょう。
 それでもカオリという彼女に対しては最後まで愛情を持ち続けていました。最後にカオリが危険になったときの鉄雄の反応は、途中でカオリが酷い目にあっているときの反応と一緒でした。
 ただ、{netabare}最後鉄雄は自分でカオリは殺してしまいます。金田は鉄雄を助けようとして、鉄雄は金田に逃げろと叫びます。{/netabare}非常に切ない話でした。コミック版よりも鉄雄自体の行動原理はわかりやすかったともいえます。

 あとはアキラの他3人の超能力者たちの因縁を映像の中だけで済ませていたのは良かったと思います。

 人間の描き方では、ケイと金田の気持ちの通じ方がちょっと急だったかなあという気がしますし、ケイも能力を貰って活躍しますが、このケイについては映画版の脚本の弱いところだったと思います。

 全体的なストーリーは、退廃した東京で、超能力者の拉致とテロ、反政府デモが絡んで鉄雄が超能力に覚醒するストーリーですが、事件そのものは鉄雄が大暴れるだけです。

 ただ、物語の密度がすごくて2時間程度の映画なのに、一つの作品世界にどっぷりつかった疲労感が半端ではないです。
 
 本作はSF的な発想と表現がすごいわけです。ネオ東京という発想、その街の風景や夜景、バイクで荒廃した高速道路を走り鉄パイプで戦う、斜めに地下深く降りて行く巨大エレベーター、老人のような少年少女、アキラを閉じ込めていた地下のパイプがうねるドーム、子供部屋のような実験施設、攻撃衛星、レーザー兵器、飛ぶ攻撃兵器などどれをとってもSF的発想のオンパレードでした。いや、発想は過去にあったかもしれませんが、デザイン、映像化したところがすごかったです。

 今や日本のあらゆるSF映像に影響を与えていると言えるでしょう。例えばどう考えてもエヴァンゲリオンは影響されていますよね。ただ、仕方ないと思います。童夢で有名ですが、超能力で飛ばされた人間が壁にぶつかって窪んでひび割れる表現を初めて発想した人です。大友克洋はビジュアル化の天才としかいいようがありません。

 また、アニメの演出なのかもしれませんが、バイクに乗って鉄パイプをアスファルトにつけて火花を散らすシーン。翌年ブラックレインが公開されますがひょっとしたら影響を与えたのかもしれません。アメリカでのAKIRA人気を考えるとあり得るでしょう。

 こういう考察をするといくら文字を重ねても語り切れませんのでこれくらいにしますが、さすがのAKIRAとしか言いようがありません。

 ただ、初見でいきなりこのアニメだとSFリテラシーの関係でポカンとなる人もいるかもしれません。SF慣れしてない人は先に原作を読むことをお勧めします。

 なお、音楽も青森ねぷたまつりのラッセラーを使うのはすごかったですね。パーカッションはエスニックで。魂の中の呪術的というかプリミティブな何かを揺さぶられるようなすごい音楽でした。

 

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8

71.5 2 漫画原作で超人なアニメランキング2位
ドラゴンボール超 ブロリー(アニメ映画)

2018年12月14日
★★★★☆ 3.9 (88)
423人が棚に入れました
 「力の大会」後の平和な地球。宇宙にはまだまだ見た事のない強者がいるとわかった悟空は、更なる高みを目指して修業に明け暮れていた。 そんなある日、悟空とベジータの前に現れたのは、見たことがないサイヤ人“ブロリー”。惑星ベジータ消滅とともにほぼ全滅したはずの“サイヤ人”がなぜ地球に? 再び地獄から舞い戻ったフリーザも巻き込み、全く違う運命をたどってきた3人のサイヤ人の出会いは、壮絶な闘いへ―。

声優・キャラクター
野沢雅子、堀川りょう、中尾隆聖、島田敏、久川綾、古川登志夫、草尾毅、山寺宏一、森田成一、宝亀克寿
ネタバレ

四畳半愛好家 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ドラゴンボール映画史上最高傑作!?

ドラゴンボールZの劇場版『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』『危険なふたり!超戦士はねむれない』『超戦士撃破!!勝つのはオレだ』に登場した超人気キャラ、ブロリー待望の復活版!

今回は旧作と違い、鳥山明監修の下”正史版”(『超』の世界?)での登場となります。

端的に言って、今までで観たドラゴンボール映画で一番面白かったです!!
予告編を見た限り、全く期待してなかった(それでも映画館で観たのは、やはりブロリーの存在があったからです。)のですが、完全に予想を覆されました。
他の感想を見る限り、否定派も多そうですが…。
私はドラゴンボールの映画として、これ以上ないものを観た気分になりました!

以下、感想詳細(旧作のネタバレも多少含みます。){netabare}

◎良かった点

①戦闘の迫力!作画の良さ!
 ドラゴンボールは戦闘特化作品ゆえ、何よりも戦闘シーンが大切です。
 この戦闘シーンが本当に格好良かった…。格好いい技がてんこ盛りで、やっぱりドラゴンボールの戦闘は凄いなぁ…なんて改めて思わされました。
 手抜き感のある3DCGのシーンとかフュージョンシーンとか、多少残念な作画もありましたが、ほとんどの場面で作画に拍手を送りたくなる作品でした。
 特に序盤のベジータとブロリーの立ち回りがお気に入り!ゴジータが”正史”でも登場したのもナイスでした。かめはめ波とギャリック砲のシーンも素晴らしい!!

②劇場版では珍しく、物語がしっかりしている!!
 個人的に一番感心したのがこの点です。
 悟空の親父であるバーダックの不器用な愛が感じられる過去編…。悟空をカプセルで送り出す夫婦のシーンで早くも泣きそうでした…。過去編のファンサービスも過去作より素晴らしくて、ちょい役ですがギニュー特戦隊が画面に映ったり、嬉しくなるシーンが多かったです。
 濃密な過去編ですっかり引き込まれた後の、平和な現代編の落差に、若干「復活のF」や「神vs神」みたいな駄作(ファンにはすみません。)に落ちる嫌な予感がしたのですが、杞憂に終わりました。バカみたいなギャグ展開に落とさず、迫力満点な戦闘に次ぐ戦闘、そして納得できる決着の付け方…ドラゴンボール映画はこれで良い!なんて思える作品でした。

 逆に、この作品と比較して、過去のブロリー3部作の物語はどうだったでしょうか?
 人気の1作目はともかく、2作目3作目は比べるまでもないレベルだと思います。(特に3作目は最低の部類に入るかと。)
 1作目に関しては、私も5回ほど鑑賞しているファンの一人ではあります(シャモ星人の前で、シャモ星を破壊する残酷なデデーンのシーンが好きすぎて繰り返し見てしまいます。)が、物語の質という面では、大きな差を感じます。
 悟空の面接と調子はずれなクリリンの歌で始まり、物語的になんの上積みもなく訪れるブロリーとの戦闘…。カカロットに対する強い憎しみの根拠は”悟空の夜泣き”というしょうもなさ…。
 そして、全く納得できない決着のあっけなさ…。

 思い出補正なしに、物語の質に関して言えば、本作は旧作の10倍は優れていると言えるでしょう。

③カカロットと名乗る悟空が格好いい
 最後に名前を聞かれて「孫悟空。そして…カカロット」って名乗るシーンで映画が終わります…。格好良くないですか??
 地球人であることに誇りを持っている悟空にとって、一番の名前は孫悟空でしょう。それでもベジータのサイヤ人としての誇りや、ブロリーという好敵手との戦闘を経て、自らがサイヤ人であることにも誇りが持てたんだなぁ…なんて…。ギネとバーダックに名付けられた大切な名前でもあるはずなので、いろんな意味で良かったです…。

●悪かった点(賛否両論?)
 
①ブロリーのキャラ付けの変化
 旧作の残忍で冷酷無比なブロリーを楽しみにしていた人には苦い作品でしょう。本作の新ブロリーは、悪というより純粋であり、寧ろ戦闘を好まない人物です。一方戦闘状態でも理性のある旧作版と異なり、戦闘モードになると理性がなくなってしまう危うさを抱えております。
 個人的にはこっちのブロリーの方が格好良くて、魅力的だと思いますが、旧作のブロリーファンが悲しむのは納得できます。
 ただ、父に利用され、悪に走り、悟空たちに殺される…そんな悲惨なブロリーより、新たな仲間と平和に暮らせるようなブロリーの方が、救いがあってよかったのではないでしょうか。

②戦闘BGMがダサい?
 必殺技名を叫ぶような、独特な戦闘BGMが流れますが、これはダサい気がします。ただ、好きな友達もいましたので、評価の分かれるところかな…?

③平和過ぎる
 ブロリーの成長速度がえげつないため、悟空やベジータ単体では太刀打ちできないレベルとなり、強さとしては旧作をも凌ぐレベルです。それなのにイマイチ緊張感が沸かない…。
 おそらく本作のブロリーが悪い奴ではないため、世界を壊滅させるような危機には見えないのが一因だと思います。
 最後に仲直りするのも”現代風”の平和なドラゴンボール感があって、セル編のような緊張感がなかったのは残念ではありました。
 ただ、新キャラのフリーザ軍兵士、チライ(水樹奈々&可愛い!)とレモ(杉田智和)の2人と併せて、再登場を匂わせて終わったので、そういう意味ではワクワクする終わり方でもありました!

{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9
ネタバレ

dbman さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

興行収入110億円突破は伊達じゃなかった

劇場版オリジナル/上映時間:100分/アニメーション制作:東映アニメーション

本作も原作ドラゴンボールとアニメのドラゴンボールは全くの別モノと割り切って視聴すれば楽しめる作品となっていました。

とりわけ劇場版「超」を存分に楽しむためには、突っ込みどころ満載すぎる箇所を大らかな気持ちで目を瞑る必要がありますw

相変わらずコロコロ変わり終始安定しない作画は東映アニメクオリティといったところで、見どころとなるシーンにおいても酷い作画だったのはご愛嬌w その分、バトルシーンは気合が入りまくっており、まさにド迫力といった感じで見応え抜群。バトルシーンの描写は凄いのに変哲のない止め絵のようなカットでの作画が酷いというのはどういう了見なのだろうかw

また作画としては全体的にキャラデザが幼くなっていた印象もあり、とりわけ、カカロットをはじめとしたベジータやラディッツ、そしてブロリーなどサイヤ人の幼少期時代が可愛くて仕方なかった。ついでにサイヤ人でもないブルマも可愛くなっていたカットがありましたw

本作の敵でもあり表題にもなっているブロリーは、これまでの劇場版に登場した者とは全くの別人となっている設定を知らなかったので、視聴中は「?」となってしまうシーンがしばしば。ブロリーといえば「カカロットオオオオオ!!!」の印象が強いけれど、これはこれで愛すべきキャラと映ってしまった。

完全オリジナルキャラとして登場したチライ(声:水樹奈々)とレモ(声:杉田智和)は、フリーザ配下とは思えない良心のあるキャラとしていい味出しており好印象。杉田さんはすぐ気づいたけれど、EDのスタッフロールを見るまで水樹さんとはまったく気づきませんでしたわw

物語としては、圧巻のバトルだけでなく笑いどころやニンマリしてしまうようなシーンもあったりと、劇場版シリーズ屈指といっていいほど楽しい作品でした。日本のみならず全世界90ヶ国で大好評を受けているのも頷けます。興行収入は現時点で累計110億円を超えており、アメリカではジブリ作品やポケモンの記録を公開5日間で抜き、公開された日本映画の歴代3位につけているとのこと。


※以下は貶すつもりはなく、純粋に突っ込みたくなった箇所の書きなぐり

{netabare}・戦闘服着用で地球へ飛ばされるカカロット
・および、赤ん坊じゃないカカロット
・バーダックをはじめサイヤ人の戦闘服デザインが違う
・惑星ベジータ消滅後のサイヤ人の生き残りが多すぎる(あいつら誰w)
・パラガスの戦闘服の着こなし方(ウエストポーチにスカートw)
・そこそこ戦闘力あるのに何故か銃に頼りまくるパラガス
・水も何もない星で、ブロリーの首輪どうやって作ったの?
・ブロリーの戦闘服がガバガバってw(戦闘服の売りは防御力だけでなく伸縮するフィット感ですから!)
・フリーザがコミカルキャラ化(一応パラガス殺してたけど)
・神龍の願いを横取りされても怒らないフリーザ(一応殺そうとはしてたけど)
・サイヤ人は徹底的に滅ぼしたいはずなのにブロリーを育てたいフリーザ
・パラガスが誰に殺されたか調べようともしないブロリー(カワイイw)
・戦闘服は動きにくいと言って拒んでいたのに地球到着時ではちゃっかり着ているブロリー(カワイイw)
・ブロリーの等身がちょいちょい変わる(特に戦闘シーン)
・ブロリーの大猿化なしで同じ10倍のパワーを得れる謎理論
・身勝手の極意を使わない悟空(ゴジータを出したい都合なんだろうけど)
・バトルでの地球の頑丈っぷり(どの作品でもそうだけどw)
・ベジータのスーツの綻び具合がシーンによってバラバラ
・ベジータがベジータ4世とは初耳
・悟空が瞬間移動してきた場所がブロリーより遠すぎる{/netabare}


▼キャスト
{netabare}孫悟空、孫悟天、バーダック:野沢雅子
ベジータ:堀川りょう
フリーザ:中尾隆聖
ブルマ:久川綾
ピッコロ:古川登志夫
トランクス:草尾毅
ビルス:山寺宏一
ウイス:森田成一
ギネ:渡辺菜生子
ベジータ王:銀河万丈
神龍、コルド大王:大友龍三郎
ナッパ:稲田徹
ラディッツ:千葉繁
チライ:水樹奈々
レモ:杉田智和
パラガス:宝亀克寿
ブロリー:島田敏{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

緑のラン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

最強の最強を超えてインフレが止まらない。

amazonで500円。TV版のドラゴール超も見ていたので、その続編として見ました。(この認識は合ってました。)作中に出てくるブロリーと言うキャラクターは、ドラゴンボールシリーズで何度も出ているのですが、他の作品は、無かった事にしてるの?最近流行のパラレルワールドって事なのか?その辺りは不明。ちょっとモヤモヤ感がありました。

 ドラゴンボールは、主人公孫悟空が修行や戦いでどんどん強くなるサイヤ人と言う特殊な種族。シリーズ作品が長いから、もうとんでもなく強くなってる。世界中の全ての創作物の中でもチート中のチートキャラ。世界一、地球一、宇宙一を越えて地獄天国も超え、神すら超え、界王も超え、界王神も超え、ついにパラレルワールド1になり、そして本作品。
人が人の枠を超えたら何でもありになり、リアリティを無くして、つまらなくなるってのが私の持論なので真反対を全力で突っ走ってるのがこのシリーズ。だからこそ興味があって見ました。

 神も超えてしまった孫悟空と戦える相手は、もうほぼ居ない。それを作り出す為に使ったのがブロリー。究極に近く強い孫悟空とベジータと戦うには相手も同じサイヤ人で超天才ブロリーで二人と戦ってる間にもどんどん強くなる。これで孫悟空とベジータと戦えるって訳です。
 もう人間性もほとんど失ってるブロリーに何でもありのチート孫悟空とベジータ、そして悪としての憎まれ役として、やはりチートのフリーザ。こんな人外キャラクターだけだともう見てる人は何一つ共感できない。そこで出したのが意外なサブキャラでフリーザ軍の名も無き下っ端。普通の人間程度の強さのただのフリーザの部下2名。彼らの人間的な感覚と視点で孫悟空やブロリーを見た敵側の部下視点で作られると言う予想外の作品でした。

 この視点にする為と戦いの説明のために序盤の尺を使い、あとは只管、孫悟空とブロリーの戦いの連続。映像表現の力に頼る。光る、飛ぶ、戦う、破壊する、移動する、迫力のある映像表現。これをラストまでずーっと続ける。ガルパンの劇場版でも評価されていた、下手に語るよりもずっと映像で戦うほうが見ているほうが盛り上がるのパターン。
 チート系作品って、この作り方しかもう無いんだよね。ちゃんと作り手も判っていて、この深く考えずに映像表現で最後まで押し切るって方法は見事で迫力満点の映像表現のおかげで最後まで飽きずに見る事ができました。あと敵側下っ端視点は予想外でしたが、実際は、映像や表現としての尺が短すぎて、あまり機能してませんでした。これが作り手側の狙い通り機能してたら、逆に失敗だったんじゃないかな?それはもう判らない。もっと尺があれば逆に、このサブキャラ自体カットされてたかもしれないぐらい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1
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