着物で貧乏なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの着物で貧乏な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月04日の時点で一番の着物で貧乏なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.5 1 着物で貧乏なアニメランキング1位
紅-kurenai-(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (734)
4436人が棚に入れました
世の中は、嘘や矛盾でいっぱいだ。思春期の頃、誰も一度は通るこの言葉を今こそ見直したい。「紅」の魅力の一部はそんなところに秘められている。少年は高校生で揉め事処理屋。暗い生い立ち故に、愛想笑いで身を守り、普通に憧れている。が同時に、そんな自身と葛藤している。信じて埋め込んだ強さの象徴・・・それは本当の力なのか。少女は特異な大財閥の娘。運命を呪うことも、外の世界も知らない少女の瞳は実に真っ直ぐでそれを知らない。素直さ故に表出する彼女なりの正義・・・それは運命への反抗なのか。そして、少年と少女は出会った。
ネタバレ

ぶらっくもあ(^^U さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

紫ちゃんストライク

紫ちゃんかわいい、とにかくかわいい、
ってだけで最後まで観てしまった、、
作品成分何だろう、微ハレム、微強、微ロリ?
どれもちょっと違う気がするのは、
例えば主人公、
強いんだか弱いんだかイマイチはっきりしない、
冒頭から主人公何者?組織って?謎も多いんだけど、、ただ、
こうなのかな~?って、
推理させる、してしまう吸引力この作品に存在した、

原作は電波的彼女の片山憲太郎氏によるライトノベル、未読だけど興味アリ、アニメが原作かなりアレンジしてる様子でアニメ終盤が私的?な事象多い事もある(後ほど記述)、電波的彼女もしっかり見直そうと想った、アニメ制作はブレインズ・ベース、監督&音響松尾衡氏、
{netabare}
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五月雨荘に住む駆け出しの揉め事処理屋・紅真九郎の元へ、恩人であり尊敬する大先輩・柔沢紅香が1人の少女を連れて来た。世界屈指の大財閥の御令嬢、九鳳院紫の護衛を依頼したいと言う。世間知らずだが好奇心旺盛な紫との共同生活に慣れた頃、彼女を狙う人物が2人を襲う。依頼の裏に隠された彼女の真相を知ったとき、真九郎が選んだ行動は……。(wikiより)
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{/netabare}
キャラ紹介等、
通常だと主人公からなんだけど~
紫ちゃん好きだから、九鳳院紫ちゃんから(←イタいレビュアーだ)
{netabare}
日本屈指の大財閥九鳳院のお嬢様なんだけど九鳳院家の妙ちくりんなシキタリのせいで過酷な運命背負ってる、とある事情で主人公高校生の住むボロアパート四畳半に住むことになって世間に疎い少女なお嬢様は~ってな当初お約束的感じなんだけど、{/netabare}心根がすなおでとてもいい子なんだよね、主人公と触れ合う過程で様々な事学び吸収しつつ、一生懸命けなげに頑張る、正義感も抜群、声優さんはマドマギの悠木碧嬢なんだけど、こういう芯の強いかわいい女の子ハマり処で更に言えば造ってないんだよね、幼女役なんだけど地声で勝負しててこれがまたいい、 {netabare}「紫もお母様の事忘れられない、でも死んでしまった人は泣いても泣いても何処にもいない、紫と真九郎が愛した人はもう何処にもいない、紫も真九郎も独りんなった、でも紫は真九郎に出合えた、一緒に居れば二人だ、だからもう寂しくない、」(第九話より){/netabare}


紅真九郎
{netabare}
幼い頃両親を亡くし柔沢紅香(揉め事処理屋)の計らいで崩月家(裏暗殺格闘型家系)へ弟子入り後修行にあけくれ戦鬼となる、右腕に崩月家当主・法泉の角(人知超えた力の源)を移植してるらしい、アニメでは角は意識的に制御できず覚醒すると暴走してしまう為か使うことを嫌い体術のみで勝負しようとして後半等痛い目にあう、{/netabare}見た目普通の男子高校生だが揉め事処理屋を裏の仕事とし柔沢紅香に仕事をもらっている、現在は砲月家から出てボロアパートに一人暮らし、

崩月夕乃
上記崩月家の跡取り娘で真九郎より一つ年上の女子高生、原作では才色兼備学内ファン多数なれど本人真九郎しか興味なく真九郎を崩月家の跡取り婿殿にしようと日夜アプローチという事で紫のライバル、裏格闘家跡取りなので当然強い、

村上銀子
真九郎の幼なじみで同級生、裏社会の情報屋の孫娘で揉め事処理屋稼業で真九郎と組んでる様子、真九郎に恋愛感情あるようでいわいるツンデレ、

柔沢紅香
業界最高クラスの揉め事処理屋。一児の母、真九郎の保護者?上司的女性、九鳳院家に雇われていた過去があって紫の母・蒼樹と知り合い、生前の蒼樹から紫ちゃんの救出を依頼されていた、アニメ上では自身の直観を何より重んじる。

その他にも真九郎と同じアパートに住む二人の妙なおねーさん等ナゾ多き原作上魅力的なのかも?な登場人物も多くこのあたりは原作に忠実とされるオリジナルアニメ収録OVAにて若干補正、電波的彼女とシンクロするキャラも存在する。

という事で紫ちゃんかわいいで8話くらいまで楽しく観てた、
9話くらいからアニメ上終盤にむけ物語は華僑入りなんだけど、

ただ、、、、、{netabare}
紫ちゃん取り戻そうとやって来た九鳳院家の九鳳院竜士やリン・チェンシン(九鳳院近衛隊の幹部の女、無茶強い)にボロアパート襲撃され真九郎フルボッコされ紫ちゃんさらわれてしまう、(緊急事態だろ!?君を絶対守る言いながら何で右腕の角なるもの使わない?)
その後なんだかんだで柔沢紅香らと九鳳院家に乗り込む事になるのだが其処でも散々ボコられる、大方情勢決した最後の最後トチ狂った九鳳院竜士に柔沢紅香が襲われるがこの時やっと角使う(今更かよ遅すぎだろ)、これ以外にも例えば8話以前紫ちゃんと共に乗り合わせた電車で老婆に対し心無い所業行う馬鹿者に紫ちゃん持前正義感で食って掛かるが真九郎馬鹿者に謝るだけで何もしない、地上げヤクザ事務所でも紫ちゃん殴られ気絶、、、してから真九郎大暴れ、(もっと早くヤレよ!)的な私的違和感も多かったが、
とりあえず紫ちゃん自由条件に九鳳院家に残るというラスト含め{/netabare}主人公設定上或いは終盤にむけて私的スッキリ感未熟な内容もあった、

まあこのあたりは主人公強すぎてもつまんないし、
想うように行かないって設定も物語上必要なのかな的、
観方もあるかもしれないけどね、
でも例えば主人公凹られ結局紫ちゃん九鳳院家籠の鶏、
何にもできず終了みたいな物語現実的だとして何が面白い?
主人公の活躍あってそれなりの終わり方前提なら、
右手の怪物に喰われようが俺はこいつを守るって方が遥かに劇的だよ、
主人公最強何が悪い、要は魅せ方だ。

原作ではどうなのかな?

前記したけどこの作品コミック予約特典としてOVAが存在する、
オリジナルストーリー込み30分もの2巻で、
声優さん含め制作上スタッフはアニメと同一、
ただ、キャラデザインや登場人物が原作に沿ったものになってるようで、
リン・チェンシンや崩月夕乃がアニメよりとても面白い人物だったり、
紫ちゃんと真九郎が変わらず仲良く日常過ごしてて、
脳内補完できけっこう面白く観れたし、
紫ちゃんとも仲良くできてる様で少し安心した、
紫ちゃんのキャラデザインのみ、アニメ版の方が良かったかな。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

登場する大人の女性たちがみんな魅力的

現役高校生であり、駆け出しの揉め事処理屋である主人公・紅真九郎(くれない しんくろう)
彼が住む東京・新宿区大久保にある五月雨荘は、風呂なしトイレ共同の古い木造アパート。
そこへ、恩人であり揉め事処理屋のボスである柔沢紅香(じゅうざわ べにか)が
世界屈指の大財閥の7歳の御令嬢、九鳳院紫(くほういん むらさき)を連れてやってきて
彼女の護衛を依頼。 世間知らずな紫との共同生活にようやく慣れてきた頃、
依頼の裏に隠された彼女の真相を知った真九郎が選んだ行動は?
そして紫の決断は?・・・という物語。

まず、紫の世間離れしたお嬢様っぷりが、大きなギャップのある場所で発揮されるのが面白い。
アパートでの暮らしはもちろんだが、紫が真九郎の通う学校に出かけた時の
野球部員との会話や理科室での慌てぶり、銭湯の番台のおばちゃんとの会話には大いに笑った。
それでも、同じような年頃の女の子同士で遊んでいる時は、子どもならではの無邪気さで、
実家にいるときにはおそらく見せなかったであろう自然な笑顔や明るい笑い声に
ホッとしながら、その裏にある悲劇の欠片を垣間見た気がしていた。

それから五月雨荘の住人・・70年代初めのファッションに身を包むミステリアスな
闇絵(やみえ)の見せる渇いた笑いはなかなかだったし、
いつも水色のジャージを着ている恋多き?女性・環(たまき)は、
自由な恋などできない九鳳院家の女性と対比させる意味で必要なキャラだった。
また、マセラッティを華麗に乗りこなし、エレガントな外見と冷静な物腰ながら、
アクションシーンでは並外れた強さを見せる紅香は最高に魅力的だった。
真九郎の同級生の女の子2人も登場するけれど、彼女たちの姿が霞んでしまうほどに
とにかく大人の女性たちが素敵に描かれていたと思う。

しかし、そんな楽しい日常を描くだけの物語ではなく・・・
九鳳院家に生まれた女性たちが背負う宿命、代々伝わるしきたり、
紫が連れて来られたいきさつが9話あたりで判明すると、一気にシリアスモードへ。
{netabare}頑ななまでに同族にこだわる財閥家の異常な御家事情は、とても不愉快だったが
そういう話を実際、耳にしたこともあるから現実にあるのかもしれない。

広大な敷地に建つ九鳳院家の奥の院の壁に源氏物語絵巻のワンシーンが描かれていたり
紫という名前からも、その宿命からも「源氏物語」に登場する紫の上を連想してしまう。
そして最初と最後に出てくる、紫色のすみれの花の話題。
そのすみれに気づく人と、気づかない人。
見落としてしまいそうな様々なところで、伏線や揶揄が散らばっていた。{/netabare}

でも、真九郎の腕に隠された秘密に関して、強くあるために施したのはわかるものの、
最終手段にしか使ってはいけないのか、どちらかというと能ある爪的な扱いでしかなく、
このアニメ作品の中ではあまり大きな意味を成してなかったように感じた。
でもきっと、原作ではもう少し詳しく描かれているのかもしれない。

何不自由なく育ったはずの不自由。
貧しくても慎ましく楽しく生きる自由。
身の回りのあらゆることを使用人がやってくれることに疑問を持たなかった人の
自分のことは自分でする、できるという喜び。

しあわせって何なのだろう・・と真剣に考えてみる。
家の外を知らなければ、当然のままに受け入れるであろうことが
外を知ってしまったために、たちまち不幸でしかなくなる。という悲劇。
だが見る角度を変えれば、外を知って視野を広げた上で自ら選択できることこそ
しあわせなことなのかもしれない。

互いに母を亡くしている真九郎と紫。
生活ぶりも、言葉遣いも、育った環境も何もかも違う2人が
いろいろと不便なアパートで共に暮らし、影響し合いながら
必要だったものを互いに得ていく様子は微笑ましく。
しかし、現実はそれほど甘いものじゃなく。
ただ、希望の持てる方向で締めくくられていたのはホッとできた。

個人的には珍しく感情移入する場面が少ない作品だったが、
{netabare} 九鳳院家の当主であり紫の実父である九鳳院蓮丈(くほういん れんじょう)が
紫をひざの上で抱きかかえながら、新宿での暮らしを訊ねるシーンで、{/netabare}
彼もまた、実は家のしきたりに一番、がんじがらめにされていたのかもな
と思ったし、父親らしく緩んだその時の表情にちょっと泣けた。

九鳳院の敷地でのアクションはどれも、ハリウッド映画を日本でロケした時みたいな
雰囲気があって面白かったが、銃を容易に使わず、武術で格闘していたのは
真九郎が学んだ崩月流の見せ場にするためだったのだろうね。

それにしても、7歳の少女にあんな大きな決断を迫るというのも酷な話で。
せっかくだから10年後くらいの彼らがどうなってるかも、観てみたかったが
古くて異常なしきたりが、どうか壊滅しているようにと願わずにはいられなかった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 56
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

揉め事処理屋 紅真九郎と「ねこだ!」と喜ぶかわいい紫の物語

特殊過ぎる環境で育った7才の女の子の紫と、揉め事処理屋というこちらもまた特殊な仕事をしている高校生の真九郎の二人が主役の物語です。

初見から癖のあるキャラデザに戸惑い、沢城みゆきさん演ずる真九郎の女性的な声にも、7才にしては大人っぽい悠木碧さんの紫の声にも、軽くは無い違和感が感じられ、また序盤から結構ハードな暴力描写が見られたので、視聴するのがつらくなりそうでしたが、見ている内にキャラデザにも声にも慣れてきて、むしろ可愛く見え(慣れって恐ろしくも素晴らしい。)暴力描写についても、そういったシーンに割かれる時間がそれ以外のシーンと比べて、相対的に見れば僅かと分かりましたので、最後まで視聴する事が出来ました。全体的に見れば、真九郎と紫を中心とした、五月雨荘(アパートの名前)で暮らす住人たちの日常生活に主眼が置かれているアニメだと言えますが、後半になるにつれてドラマの展開も加速し、ハードな描写も増えて行く様に思いました。

日常の描写については、五月雨荘に住む闇絵さんや環(たまきと読む)が加わる会話の面白さも満点でしたが、やはり主人公の二人、世間知らずでワガママ放題の紫とお父さんの様な立ち位置の真九郎の関係が、アンバランスながらも、互いに相手を思いやったり歩み寄ったりで、見ていて微笑ましく感じました。生い立ちのせいか、7才にしてはあまりにも大人びた言動の目立つ紫ですが、窓の外の手すりを歩いてる猫を見て「ねこだ!」と言って駆け寄ったり、日本庭園の石像の亀を見て微笑みながら「かめだ‥」と言ったりするシーンなどは年相応の行動で、こういった描写を丁寧に描いている点についてはとても好感が持てました。(動物の姿を見ただけで、訳も無く嬉しさで満たされる子供って結構いると思います。)

作中に登場する真九郎以外の登場人物は殆どが女性なので、良くあるハーレムものと勘違いされそうですが、毛色は全く異なり、キャラの半分以上は真九郎に対して特別な感情は抱いていないようです。(それでもモテモテ)真九郎自身はと言うと、恋愛についてはかなり淡白な思考の持ち主で、女性から好意的な言葉を掛けられてもたじろがず、女性の気持ちを察する事もあまり得意ではない様に見えました。(原作を読んだ後では、誰かに愛される人間ではないと自分を卑下する絶望感がその原因の根底にある様に思えました。{netabare}原作ではその後、真九郎は段々と自分の存在意義を見出していき、不器用ではありますが、人を愛する事が出来る人間に成長していきます。{/netabare})

お屋敷の内装や日本庭園、くたびれた五月雨荘に至るまで、背景美術が非常に緻密で、場面によっては息を呑むほどの美しさでした。

オープニングとエンディングについてですが、ポップな映像と音楽は作品の落ち着いた雰囲気にそぐわず、調和が取れていない様に思えました。残念な事ですが、2話以降はいつも飛ばして見てしまいました。

アニメやラノベでは別段珍しい事ではありませんが、登場人物のネーミングセンスが奇抜で思い切りが良過ぎます。(特に紅真九郎。とても強そう!‥ではありますが、やっぱり紅三四郎が由来なのかなと思ったり思わなかったり)

※ラノベは「歪空の姫」まで、コミックスは全巻読了。真九朗君の心の暗部が描かれたラノベ1巻といい、続くギロチン、醜悪祭と、アニメで描き切れなかった点を補完する部分もありつつも、一方でアニメとは異なった人物描写や展開が描かれている部分も少なからずあり、全編に渡り興味深く読ませて頂きました。凄惨な描写が多く、無情な出来事が多いラノベ版が嘘の無い真実の話なのでしょうが、自分は甘い人間なので優しい表現の多い漫画版が一番のお気に入りになってしまいました。リンさんが最後まで登場する点が何よりも嬉しい。

ラノベ、漫画共に、たくさんの人の想いに支えられながらも、ずたずたに引き裂かれた心から一本の糸を紡ぎ出す様に、途切れそうになる命を必死に繋ぎ止めている真九朗君の生き様は、いつかアニメを再視聴する前に読んでおいて良かったと思える内容でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 17

62.8 2 着物で貧乏なアニメランキング2位
びんちょうタン(TVアニメ動画)

2006年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (154)
709人が棚に入れました
山の中にある古い一軒家で暮らす少女・びんちょうタンのけなげに一生懸命過ごす物語を描いた、江草天人原作のコミックをTVアニメ化した作品。

声優・キャラクター
野中藍、野川さくら、門脇舞以、福圓美里、佐藤利奈、斎藤桃子、井上喜久子

. さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

隠れた名作発見!これは良いアニメでございます。

~謝辞~
”びんちょうタン”はアニコレ仲間のレビューを拝見して知ったアニメです。とても絵柄が気に入ったので、私の観たいアニメリストの作品を全て押しのけて、夜中なのに朝まで掛かって一気に視聴しました。でも、それは正解でした。まさかこんな素敵な作品に出会えるなんて・・・。作品を教えてくれてありがとう。そして作品を作ってくれた制作者のみなさんありがとう。忘れられない作品になりました。いつまでも余韻に浸っていたい。久しぶりに素敵な作品と出会えたこと、とても感謝をしています。だから、”ありがとう”の気持ちを込めて、本作品に☆5を送ります。

お話は1話が12分程度×12話の短い作品。山の中の美しい風景を中心に、可愛い可愛いびんちょうたんの暮らしぶりを描いています。何か大きな事件が起きる訳でも無く、ドラマチックな展開がある訳でもありません。びんちょうタンを中心としたほのぼのとした日常を淡々と綴ります。でもそれがすごく良い・・・。とっても癒されますし、心が温かくなるのです。

”びんちょうタン”は備長炭を擬人化した”びんちょうタン”が主人公。作品には、クヌギを擬人化した”くぬぎタン”、竹を擬人化した”ちくタン”、”ちくリン”、練炭を擬人化した”れんタン”等、個性的なキャラクタ達が沢山登場します。パッケージ絵を見ても解るとおり、とっても可愛いキャラクタ達。お目々が大きくて小さな体。まるでお人形さんみたいなキャラクタ達が、とても生き生きと動き回ります。

びんちょうタンは山の中の小さなお家で一人暮らし。昔はおばあちゃんと2人で住んでいたみたい。だけどおばあちゃんはどうして居なくなってしまったのかな?詳しい事情は作品では説明されません。お年は解らないけれど、どう見ても未だ小さい子供だよね。とっても優しくて、とってもがんばりやさん。そんな良い子が”びんちょうタン”。

びんちょうタンは一人暮らしでも泣き言一つ言いません。時々”ウバメガ”さんと言う人が郵便で送ってくれる”備長炭”を大事に使い、ご飯は山で山菜等をとっておかずにします。お米や僅かばかりのお金は街へ働きに出てお駄賃として貰います。ボロボロのお茶碗に毎日同じ服、穴の空いてしまった毛布が彼女の全て。贅沢なんてありません。そんな生活でも彼女は負けません。毎日を一生懸命生きて、そして生きる事を精一杯楽しんでいます。(謎の人である”ウバメガ”さんの正体は12話で明かされますのでお楽しみに!)

小さい女の子が山の中で一人暮らしをするなんて、とてもとても想像出来ません。きっと辛くて悲しい事や、寂しくて泣きたい事も有るのでしょうね。決して弱音を吐いたり泣いたりしない彼女。そんな彼女の姿を見ていると、何故だかこちらの方が泣けて来ます。泣かせる演出等は一切無いのだけれど、本当に自然に涙が溢れてきます。彼女が一生懸命働いている姿、傷だらけの小さな手、欲しい物をけなげに我慢する様子・・・。そう言う様子を観ているだけで、いつしか涙があふれ出し、そして止まらなくなってしまうのです。 まいったな・・・。私ってこんなに涙もろかったっけ?
 
でもでも基本は癒されるお話です。一生懸命で優しいびんちょうタンには自然に友達が出来ます。彼女の周りに集まる友達とのお話は楽しい事ばかり。それに登場する人達はみんな良い人。みんながみんな優しいから、周りで起こる出来事も、みんなみんな優しいエピソード。きっと心が癒されて、気持ちが少し温まります。 それにね、クスリと笑えるお話なんかもあったりして、私は心底作品を楽しむ事が出来ました。本当に素敵な作品です。

作中でびんちょうタンはお友達から文字を教わります。そして覚えた文字でお手紙を書きます。まだ覚えたてなので難しい言葉は書けません。ぜ~んぶひらがなで簡単な言葉だけ。でもでもすごく気持ちが伝わる素敵なお手紙でした。
よっし!私もびんちょうタンにお手紙書くね! 読んでくれると嬉しいな^^

びんちょうタンへ
かわいいえがおのびんちょうタン いつもわらっていてほしい ともだちいっぱいできるといいね
わたしもいっしょにいさせてね あなたといっしょにわらっていたい
こころやさしいびんちょうタン つらくてかなしいとき さびしくてなきたいとき どうかどうか 
がまんしないでくださいね わたしでよければとなりにいるね なんにもできないかもだけど
あなたのえがをがもどるまで わたしはとなりにいてあげる            
                                         あなたのふぁん ベルより

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

【究極】くぎゅう恐るべし・・・(爆)

■どんなアニメなの?
NHKの子供向け番組のようなほのぼのアニメなのですね♪
ナレーションのおねえタンが優しい声で語り始めるのですよ!
井上喜久子さんが声を担当してるのです♪
08小隊のアイナちゃんや、CLANNADの早苗さん、AIRの裏葉さん、マクロスFのグレイス
などの声を担当されている方ですね♪
 
そんな優しい声のナレーションで物語がはじまるのですが、そこに登場するキャラクターもまた可愛
いのですよ!
2頭身キャラで備長炭を萌え擬人化させたと言う主人公の「びんちょうタン」の何気ない日常を描い
ていくお話なのです♪
人里はなれた山奥の家で、小さい頃一緒に暮らしたうめばあちゃんの事を思い出しながら生活をする
姿には哀愁が漂う雰囲気をかもし出している場面もあるのです。
決して豊かとはいえないのですが、びんちょうタンは一人でも一生懸命働いて精一杯生きているので
すね!そんな健気で働き物でやさしいびんちょうタンの周りに自然と友達が出来てくる様子を温かく
見守っていくような物語となっています♪
 
 
■このアニメの楽しみ方♪
ストーリーは大したことは無いので、日常系が嫌いな人にはちょっときつい内容かなぁと思いますよ。
とにかく、やることなすこと可愛いですw
みればわかりますが、そっと手を差し伸べてあげたくなるような感情を抱きますよ♪
それとびんちょうタン以外のキャラクターもとっても優しい個性的なキャラが登場してきますので、
気に入ったキャラを堪能するのが正しい見方かもしれませんね!
私個人は「れんタン」が大好きです♪
初詣の書初めで「まみむめもくぎょ」って書くくらい木魚好きでちょっとクールビューティーな感じ
がとっても気に入りました(*^.^*)
可愛いキャラクターを眺めるも良し、のんびりした風景の何気ない日常をボーっと見るのも良しで、
癒されてみては如何でしょうか♪
気になったのが・・・プカシューの2部ってあるのでしょうかw
 
 
■究極の楽しみ方発見!?
びんちょうタンってPS2でゲーム化されている事を偶然知ったのですね!
そこでちょっとゲーム内容を調べていくうちに恐るべき動画を発見してしまったのです∑('◇'*)エェッ!?
そこで大暴れしているキャラクターの名前は・・・・「アベマキ」(クヌギたんの従姉妹)みたいですね
なんと声優さんが「釘宮さん」ですよ♪
そして・・・くぎゅうぅぅぅぅ~~といえば・・・ツンデレですよね・・・
なんと、びんちょうタンにツンデレ炸裂させているではないですか(゙ `-´)/ コラッ!!ー
しかも・・・かみ合ってないしwww
本当に衝撃でした!!!久しぶりに大爆笑いたしました♪
このゲーム・・・欲しいです♪
【注意】
釘宮さん演じる「アベマキ」と言うキャラクターはアニメ本編には一切登場してません!!
ゲームの中だけのキャラなのでプレミアムくぎゅううううううなのですよ♪
 
※その衝撃の映像を見てみたい方はこちらです
http://www.nicozon.net/watch/sm425851
 
2011.07.23・第一の手記
2011.07.24・■究極の楽しみ方発見!?に【注意】を追記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26
ネタバレ

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

語尾に「びん」を付けて喋るわけではない

頭身の小さいキャラは非常に可愛らしく、一見するとファンタジックな世界のようです。
主人公の名前はびんちょうタン。
頭に備長炭を乗せてるからそんな名前なの?
擬人化キャラらしいので名前の由来はそうなんでしょうが、ネーミングとは裏腹に作品の内容はコメディでもギャグでもありません。
ゆっくりと淡々とした日常。特に事件がおこる訳でもない、1人の少女の四季の生活を描いたお話。
自然、風景、音、ゆっくりと流れる時間。設定の細かい説明もなく、ただ見せて訴えかける”何か”。
その中にある切ないものと温かいものを「感じる」作品です。


ストーリーはありません。
ありませんと言うのもちょっと違う気がしますが、びんちょうタンが日々の生活のなかで友達を作った。
起こる事といえばただそれだけです。
天涯孤独だけど賢明に生きている、その様をみて視聴者が色々と感じ取ることを前提とした作品。
平穏な日々を描いているはずなのですが、今ひとつぼのぼのにはならない一種の緊張感が漂っています。
この部分にこそ大きな意味がある。

毎朝壁に向かって「いってきます」という、びんちょうタン。
焦げて穴の空いた布にくるまって眠る、びんちょうタン。
友達の家を眺めて何かを想う、びんちょうタン。

そこかしこに彼女の事情が理解できる演出が散りばめられていますが、過剰にみせる事は決してしません。説明や解説もありません。もちろん、びんちょうタン自身が語ることもありません。
そこにある切なさ、悲壮ではないけど確かに、ほのかに漂う哀愁。
そんなところから感じて考えるアニメです。

{netabare}
「わたしは、生きてるのが、すーきー」
めったに大きな声を出さないびんちょうタンが、こう叫ぶシーンで心が揺さぶられます。
可哀想だとか、健気だとか、そんな陳腐な感情でこのコを見てはいけない。
そう感じて襟を正したくなります。
もどかしくて、切なくて、それでいて凛として清清しい。
助力や同情でななく「見守る」事が大切なのだと痛感します。
{/netabare}

感動で号泣することはありません。
だって、びんちょうタン自身が涙をみせることがほとんど無いのですから。
最終回、友達の優しさに触れたときに思わず涙を浮かべる、それだけ。
その涙に込められているものが本作の全て。

ただただ強く、そして穏やかであれ。 そう願いたくなります。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20

65.6 3 着物で貧乏なアニメランキング3位
墓場鬼太郎(TVアニメ動画)

2008年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (177)
789人が棚に入れました
時は昭和30年代―。終戦から10年が経ち高度経済成長が急加速で進む中、富む者は富んだが、社会の底辺では泥まみれになりながらも日々を生き抜いている人々が溢れていた。
そんな社会に幽霊族最後の生き残りとして墓の中から生まれてきた鬼太郎。
地獄とは?この世とは?生きる幸福を考察し尽くした水木しげるの哲学に立ち戻り、元祖・鬼太郎が人間を笑い飛ばし、生きる喜びを謳いあげていく。

声優・キャラクター
野沢雅子、田の中勇、大塚周夫、大川透、鈴木れい子、郷里大輔、真山亜子、堀秀行、大友龍三郎、ピエール瀧、中川翔子
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

後味が悪く、怖くて不気味…だけど憎めない「鬼太郎」

2008年冬アニメ。全11話。
ゲゲゲの鬼太郎とは違い後味悪い話が多いので、合わない人は合わないと思います。
でも怪異ものや妖怪もので人間以外が主役という作品は貴重かな、と。

水木しげる先生の貸本時代の鬼太郎を元にアニメ化したそうですが、とても面白かったです。
作品としてもキャラクターとしても、怖くて不気味で後味が悪いけどどこかコミカルで憎めない、それが鬼太郎の魅力であり、水木先生の作り出した独自性をスタッフもよく理解していたのではないかと思います。

【あらすじ】
母親と2人で暮らしていた男・水木は、ある病院の患者が幽霊のようになるという怪現象を会社の命令で調査し始めたことをきっかけに、幽霊族の生き残りの赤ん坊・鬼太郎を育てる事に。
成長した鬼太郎は学校にも馴染まず、周囲の人にも気味悪がられ、奇妙な行動が増えていきます。
そんな鬼太郎の行動を調べ始めた水木は地獄に落ちてしまい…


本作の主人公は鬼太郎なのですが、不用意に怪異に首を突っ込んで痛い目を見る各話の人間キャラクターが主役とも言えるかも知れません。

まんが日本むかし話の後味悪い話ばかり記憶に残っている私には、ゲゲゲよりこちらがしっくり来ます。加えて軽妙さやコミカルさもあって、なんとも不思議な世界観。個人的にはアニメをあまり見ない人に勧めるのならこういうのもアリかも、とか思っていますw

本作は怪異との距離の取り方を知らずに振り回される(酷い目に遭う)人間が殆どです。個人的には怪奇に対する畏怖を持ち、怪異となんとかつきあっているような人間も見たかった。強いて挙げるならゲストキャラクターの水木しげる一家がそうかな?

演出や美術、効果、色彩などの完成度も高く、画面全体に白い効果を掛けていて、怪奇ものの雰囲気が良く出ています。
線にはセル画の時代のように明確に強弱がついていて、意図して漫画のペン線のように仕上げているようです。
そして全11話とはいえ、驚いたことに作画崩れがないんですよ。私はそんなに作画気にしない方ですが、鬼気迫るシーンが多い本作では最悪の場合緊張感を削いでしまうので、かなり大切な要素だと思います。その点は大満足です。

音楽がまた良いです。
使い所をしっかり選んでいるうえ、和風の不気味な楽曲が揃っているので印象に残ります。

{netabare}
第1話は本作の世界観がよく出ていて素晴らしい出来です。
最終回は怪奇ものとしては納得のストーリーでしたが、第1話に比べるとインパクトが若干弱いかも。

全体的に完成度が高い中で、第4話、第5話は特に印象深いです。
鬼太郎が恋をした寝子という女の子はねずみ男とニセ鬼太郎に陥れられて死んでしまいます。現世に希望を見出せなくなってしまい、生き返るチャンスがあるにもかかわらず自分の意志で地獄に残り、迎えに来た鬼太郎ともそのまま二度と顔を合わせようとしませんでした。
しかも第7話では寝子に救われたニセ鬼太郎は水神にあっさり殺されてしまう。
哀しいと言うか後味が悪い。そこが好きなんですけどw


キャラクターは不気味かつ可愛らしいデザインで、性格は一筋縄ではいかないキャラが多いです。
鬼太郎は育ての親であるはずの水木をあっさり見殺しにして心も痛めないのに、一方では好きになった女の子のために泣き叫んだりもするし、目玉の親父を人質にされればねずみ男に(表面上は)服従もする。
好きな相手に対しては純粋なのに、どうでもいい相手は本当にどうでもいいんでしょうね。こういうところが人間ではないとも人間くさいとも思うのが不思議。なんとも憎めません。
それを見守る目玉おやじが健気で可愛らしいです。冷静に考えると不気味なはずなんですけどねw

キャストは素晴らしいとしか言いようが無いです。
ほとんどベテラン声優さんで占められていて、息の合った演技が見られます。
特に鬼太郎が母親の墓から出てくるシーン、野沢雅子さんの赤ん坊の泣き声に背筋が凍ったよ…。

そんな手堅い声優さん達の中で、特別出演の三人の演技にも不自然さはそれほど無く、むしろ良い不思議感がありました。
人間のヒロインで地獄で猫娘になる女の子・寝子は中川翔子さん。
売れっ子歌手で吸血木に寄生されてしまうトランプ重井はピエール瀧さん。
お二人とも歌手が本職で発声ができているので上手ですね。
千里眼を持つチベット僧侶らしいトムポは京極夏彦さん。こんなに喋りがお上手だとは知りませんでした!めっちゃ合ってたw

{/netabare}

話が変わりますが、数日前に水木先生が鬼籍に入られました。
不思議なもので、その時までそういうことを考えもしなかったです。
先生のことはよく知らなくても、日本人なら鬼太郎は皆知っています。妖怪を身近な存在にしてくれたのは間違いなく先生です。
朝ドラの「ゲゲゲの女房」も見ていて、楽しかったし、凄い人だなと思ったものです。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。(2015.12)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 20
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

真の鬼太郎ここに在り。

本作は水木しげるの「墓場鬼太郎」を原作に「ノイタミナ」枠で制作された。「ゲゲゲの鬼太郎」における鬼太郎とは正反対の本来の鬼太郎を観る事が出来る。
現在、角川文庫から刊行されている貸本(レンタル本)時代の作品を元に、原作に忠実に映像化されている。
声優も1期(1960年代)、2期(1970年代)で鬼太郎・ねずみ男を演じた野沢雅子、大塚周夫が当時と同じ役を演じた。
本作の狙いとして全5期の鬼太郎シリーズにおけるプロローグ的位置付けがあったと思う。
「ゲゲゲの鬼太郎」のゲゲゲは、水木しげるが講談社での連載を開始した際に、「墓場」では載せられないとの注文から、
水木しげるのあだ名「ゲゲ」を元にゲゲゲの鬼太郎という名称になった。何故あだ名がゲゲなのかは諸説あるが、
水木しげるが幼い時分、しげるをゲゲると発音したという説が有力だ。
尚、本作は全「ゲゲゲの鬼太郎」共通のOP「ゲゲゲの鬼太郎」が使用されていない。
水木しげる作品本来のダークな鬼太郎が大変好感。
深夜枠ながら高視聴率を維持したらしい。

あらすじ
{netabare}
時は昭和30年代―。終戦から10年が経ち高度経済成長が急加速で進む中、富む者は富んだが、社会の底辺では泥まみれになりながらも日々を生き抜いている人々が溢れていた。
そんな社会に幽霊族最後の生き残りとして墓の中から生まれてきた鬼太郎。
地獄とは?この世とは?生きる幸福を考察し尽くした水木しげるの哲学に立ち戻り、元祖・鬼太郎が人間を笑い飛ばし、生きる喜びを謳いあげていく。
{/netabare}

感想
{netabare}
放送倫理の観点から原作とは若干の違いが有るものの、ほぼ原作に忠実に再現されており、ダークな鬼太郎を十二分に満喫することが出来た。音楽も作風にマッチした選曲で大変芳しく、作画も原作の雰囲気が感じられ、原作ファンをも魅了する仕上がりには感服する。
特筆すべきは、本作の鬼太郎は従来の鬼太郎とは比較にならないほど正義感の欠片も無く、戦闘能力に乏しい存在である。人間を地獄送りにしたり、育ての親である水木を見殺しにしたりした。髪の毛針やリモコン下駄なども当然使えず、
そもそも戦闘をしようとしない。敵の妖怪に操られてしまう程である。
その代わりといっては何だが、薄気味悪さ、狡猾さは従来の作品に見られなかった点だ。水神を目覚めさせる様子は、ねずみ男以上のトラブルメーカーである。
ねずみ男が善人に思えてくるような本作の鬼太郎であるが、
これが本来の鬼太郎であり、本来の水木作品である。
本作の鬼太郎像は大変魅力的で何度見ても飽きない。

水木しげる作品の特徴として、「幸福」の考察がある。
本作は、ゲゲゲの鬼太郎には無かったこの「幸福」というテーマが見え隠れしている。昭和30年代という時代の中で、
幸福に生きるとはどういうことなのか、現代に繋がるこのテーマを十分堪能して欲しい。
興味があれば、是非他の水木しげる作品を読んで欲しいと思う。
{/netabare}

今までゲゲゲの鬼太郎を視聴したことがある方は、是非本来の鬼太郎の姿、水木しげる作品の醍醐味を堪能して欲しい。
ゲゲゲの鬼太郎を見たことが無い方でも、ホラー作品として、一風変わった面白さを味わうことが出来る。
是非、視聴して欲しい。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 18

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

元祖鬼太郎。予想以上の面白さ

ゲゲゲの鬼太郎の元になったお話。
60年以上前の作品なので、原作未読。


……予想外のおもしろさでした。

正義のヒーローなゲゲゲの鬼太郎とは違い、人間とは異なった価値観をもつ「妖怪」な鬼太郎。
命の恩人? だからどうした? 用が済んだらさようなら。
金の話にはぴょんと飛びつく鬼太郎さん。

鬼太郎・目玉の親父・ねずみ男などが繰り広げるシュールな会話、救われないモブキャラたち。

基本は1話完結なので見やすいと思います。

OPでは、貸本漫画時代のカットが見られます。
一度原点に戻ってみてはいかがでしょうか。


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目玉の親父、もとい、鬼太郎の歴史


原点をたどると、1933年頃に紙芝居作者の伊藤正美という方が作った「ハカバ奇太郎」という作品に突き当たります。
カタカナだったという説もありますが、「鬼」ではないんですね。

その後1954年、水木しげるが、原作者の承諾を得て、紙芝居を貸本マンガという形で本にしたのが始まり。

「蛇人」という作品で設定が、「空手鬼太郎」という作品で、始めて目玉の親父が登場したとのことです。
実に20年以上にわたって鬼太郎には親父が居なかったわけですね…。
かわいそうな目玉。

それはさておき、

その設定を元にして、水木しげるが1960年頃に貸本マンガとして、あらためて書き起こしたのが「墓場鬼太郎」。

紆余曲折を経ながらも、1965年に「ゲゲゲの鬼太郎」として連載開始、1968年にアニメ化されました。

1965年~の連載作品、これが1期にあたります。

当時は「墓場」という言葉に問題があったのか、「ゲゲゲ」に改名。
ゲゲゲの語源は、水木しげるの「しげる」が「げげる」に聞こえたから、と言われています。
また、アニメ化された頃には内容も子供向けのヒーローものになっていたそうです。

つまり、シュールな主人公としての鬼太郎が活躍するこの「墓場鬼太郎」というアニメは、1960~1964年頃に描かれた「ゲゲゲの鬼太郎 零」とも呼べる存在なわけです。

声の出演も、時代を考えて「ゲゲゲの鬼太郎」の1期スタッフに合わされています。

1968年のアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」キャスト
鬼太郎:野沢雅子
目玉:田の中勇
ねずみ男:大塚周夫

2008年のアニメ「墓場鬼太郎」キャスト
鬼太郎:野沢雅子
目玉:田の中勇
ねずみ男:大塚周夫


深夜アニメとしては異例の、平均視聴率5.0%をマークしているそうです。
アニメをほとんど見てこなかった私も、この作品はリアルタイムで視聴していました。

あにこれでも、もっと知られて欲しい作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 43
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