禁断の恋で女子高生なおすすめアニメランキング 1

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62.8 1 禁断の恋で女子高生なアニメランキング1位
恋風 - こいかぜ(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (119)
762人が棚に入れました
『恋風』(こいかぜ)は、吉田基已の漫画作品。講談社の漫画雑誌『イブニング』に連載。アニメ化もされ、2004年4月から6月までテレビ朝日・キッズステーションで放映された。
【ストーリー】耕四郎は、少年時代に両親が離婚。父に引き取られた耕四郎は、母方との交流を持たず、十数年たった。
ある日、見知らぬ女子高生と知り合い、心惹かれる。しかし、彼女は生き別れになった12歳年下の妹七夏だった。
七夏との再会に出だしを挫かれた耕四郎の心。その日から自己嫌悪と苛立ちの日々が始まったのである。

takumi@ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

恋という風邪を引く

子どもの頃に両親が離婚し、離ればなれになった兄と妹。
10数年が経ち、たまたま電車の中で出逢ってひとめぼれし
たまたまの理由で遊園地デートをした相手が、実の妹だと知る・・
桜咲くそんな春から物語はスタート。

とにかく主人公である兄(28~9歳)の性格描写、心理描写がとても細かい。
外見は、平凡な顔つきの大柄な体格で、ボソボソとした口調はどこか内気な雰囲気。
つきあっていた彼女から別れを切り出されても、心を乱すどころか
理由を聞くことすらなく淡々と受け止めるような性格。
内心では実にさまざまなことを考え悩んでいることが、モノローグでわかるものの
それを素直に表現できないし、想いとは逆の言動があったりもする。

ずっと離れて暮らしていた妹と同居することになる物語はたくさんあるが、
この作品の兄はドギマギするとか溺愛するとかじゃなく、イライラし
妹にどう接したらいいのか、わからないという感じに見えた。
それに正直、恋愛上手な人にも見えないことから、妹どころか女性の扱いに
あまり慣れてない人物なのかもしれない。

一方、高校一年生の妹のほうも初恋を経験したことがある程度で
兄のことはよく知らないものの、会えずにいた間の憧れを実現しようと
無邪気に振舞い、異性として意識することもほとんどないため、
その清純さが兄の苛立ちに繋がってしまうという感じ。

そんな2人がどういうわけか恋におちる。
友だちが一線を越えて恋人になるのとは違い
実の兄と妹だから、何をするにも問題はついてまわる。
ものすごくリアルに感じたのは
兄の心の叫びと外見や行動が生々しかったからなのかも。
すごく切なく悲しい展開と受け取るか、愛し合えているのだから幸せと
受け取るかは、観る人の感じ方で変わると思うけれど、
すごく考えさせられた。

実の兄妹で世間体的には許されない関係。
結婚は許されない。親を悲しませることになるかもしれない。
禁断の愛とされるものは他にもたくさんあり、近親愛だけではなく
純粋に愛し合うだけなら悲劇とは思えなかったりもする。
けれどもリスクある妊娠の可能性を考えると奨励はできない。
この作品はどちらの視点に立っているのだろう?と何度か迷いながら
なぜこの兄と妹が愛し合ってしまったのだろうと追求したくなり
ちょっと検索してみた。

一般的に、子どもの頃から一つ屋根の下で育ったきょうだいの
近親愛も意外に多いらしいのだが、その多くは一時的なものであるのに対し
「ジェネティック・セクシュアル・アトラクション」といって
離ればなれになっていた親族が再会した場合に、
性的魅力を感じてしまう現象が存在するのだそうだ。
原因としては、もともと親族であるため自らの特徴との類似点が多いことから
他人よりも本能的に好意を持ちやすいとのこと。
もう少し納得してみたかったのだけれど、
まだ断定できるまでには解明されていないらしい。

結局、色々考えてみたけれど、この主人公たちは
きょうだいとか関係なく惹かれ合うものがあったことは確かで
そもそも恋に理屈がつけにくいのと同じように、
ある日ふと気づいたら好きになってしまってた・・というものなのだろう。

それだけに、どうしようもなく惹かれながら戸惑い、苛立つ
兄の気持ちの変化はものすごく丁寧にじっくり表現されていたし
妹が兄を慕い、好きでいる気持ちは伝わってきた。

だけど肝心なのはここからで。
恋する二人の仲睦まじさだけを描く物語ではなく
OPやEDでも映し出されているように、あくまでも「家族」が
ベースになっているということが大切で。
家族やきょうだいを愛さない家族はあまりいないだろうし、
本来、愛すべき存在であり、愛して当然なのに
離ればなれに長年いたことで男女間の恋愛と錯覚してしまった部分に
問題があったとしか思えない。

つまりは覚悟したような気になっている二人、というのが重要なのかも・・
そこに行き着いたとき、タイトルの「恋風」の意味に気づかされた。

二人の前途はどうなっていくのか、
余韻のあるラストをどう受け取るかは視聴者の見方次第だが
自分にはとても、せつなく映った。

素朴でやわらかい音色のBGMはとても雰囲気に合っていたし、
春から始まり春で終わる間の1年間がちょうど2人の心情に
マッチしていて、そういう拘りには好感持てた。

観る人を選ぶというか、好き嫌いがハッキリ分かれる作品だと思うけれど
自分にとっては、普段考えないようなことを深く考える機会になったし
ここまで誠実に近親愛を扱った作品は今まで知らなかったので
観れて良かったと思っている。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 37

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

大人の女には対応できず、妹へ性欲を向ける気持ち悪さが秀逸。

 本作のリアリティは離れて暮らしていた兄妹というところだと思います。匂いによる近親相姦回避というのはどうも嘘か父娘の間の話みたいです。
 兄妹の性交の忌避は、家族という言葉の定義の刷り込みとか、生活を一緒にしていたからという慣れなどの後天的な要素が大きいようです。

 ですので、離れて暮らした兄妹が、比較的監視がないような自由な環境で一緒に暮らせば、まして過去に仲良くした記憶があれば惹かれ合うというのは十分あり得ると思います。

 主人公は妹への性的な視線について、道徳・常識・知識・周囲の人間の監視・好意などなどによって葛藤を持ちますが、そういったものが彼を苦しめます。それが本作の主要なテーマだと思います。
 つまり、この作品の特徴ははっきりと性欲と恋愛を重ねていることです。

 兄から妹への性欲が恋愛感情よりも先にあったことは、途中妹の下着の匂いをオカズに自慰する場面でわかります。

 彼は人の心がわからない、言葉を伝える事が下手です。元カノと再会したときの言い訳も彼の妹への性欲の裏返しでしょう。元カノの結婚願望もわからずにいたということです。
 せっかくの再会で、彼氏が待っているとは言っていましたが、あそこは誘えばどうなっていたでしょうか?まったく元カノの内面を見ようとしていませんでした。
 
 そして、会社の同僚からのアプローチに冷淡です。会社の同僚はすなわち強い女です。強い女は恋愛対象になりません。妹は庇護すべき小さな存在です。つまり、彼は大人の恋愛が出来ない男ということです。

 妹への思慕も妹の色香に迷ったととるのが自然です。アパートを借りたのは想い人の妨害工作でもありましたが、彼が自分で我慢できないことを自覚した。妹への恋愛感情には性欲が強くあるということです。

 これは父親に育てられた男で同居女姉妹なしという設定と非常によくマッチしたリアリティでした。
 また、ヒロインに主体性があるような無いような。肝心な部分を兄に委ねるところが、この兄妹の恋愛の危うさを良く表していました。つまり、妹からは父の不在による父性への憧れのような感じがありました。

 父親の愛人が原因らしいですが、母親が離婚した原因も兄の妹に対する態度を恐れた感じもありました。もし、父親だけが原因なら親権の分け方としては普通母親が両方見ると思います。
 最後のほうで兄のところに妹が泊まったと知った時の表情から母は何かを察した感じもありました。

 この気持ち悪さを純愛と呼ぶのかどうか。公園の母親の態度を見たでしょうか。妹と同じピンクの服を着た女の子が昔の妹と同じく差し出すコップの水って、多分泥水ですよね。つまり彼は妹の差し出すセックスによって「泥水をすする」=苦境に立たされるという示唆だと読み取りました。また、桜が切られモールになると言う示唆と二人の相合傘もありました。

 それが本作の読み取るべきポイントでしょう。アニメは兄の気持ち悪さを分かりやすく丁寧にアニメ化していました。
 そして、アニメの最後の場面、なぜ彼女の後ろ姿を見送ったのか。このオープンエンディングの先を読み取るのが、本作の文学性でしょう。とても後味の悪さが素晴らしい作品でした。

 主人公の性質が日本人論、特に草食ロリコンシスコンの男子のアナロジーととることもできます。この「大人になれない鬱屈した女性に対する性欲の気持ち悪さ」がイコール「いい人」「優しい人」に見えるところも、とても現代的で秀逸でした。もちろんここで言う「いい人」「優しい人」は弱者男性の言い訳の事です。

 もちろん、単純に振られたばかりの2人が兄妹と知らず先に惹かれあってしまったととることもできます。ずっと覚えていた兄への思い出が増幅されて妹が暴走したととることもできます。

 コミックスは読んでいますが、この結末の表現が違っていました。桜をメインにしていましたね。読み取り方がひょっとしたらアニメとコミックスでは違う印象になる気がします。この辺の表現の違いがアニメ化の意味だと思います。

 逆説的な意味ではなく、非常に面白かったし、余韻がある本当にいい作品だと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

にゃんた さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

重いテーマだが、論理的で十分な作り込み

~~感想~~
私にも異性のきょうだいが居る。
異性のきょうだいが居る方には共感して頂けると思うが、
こーいうの、断じて、ありえない。リアルに「うおえっ」て感じなのだ。
ただ、ゼロとは言い切れない。世の中には、そーいうのもあるのかもしれない・・・。
ましてや、歳も離れてるし、何年も離れて暮らしていたし・・・やっぱり・・・あるかな?
・・・うーん。無い無い。絶対に無い!

というわけで、内容は、個人的にはギリギリ、というか半分以上はアウトだ。
妹属性(耐性?嗜好?)のある方ならば視聴も楽なのだろうか?
仮に、兄がキレイな顔立ちの男だったら、別世界の物語として受け入れられたのかもしれない。
しかし、そうでないところが(むしろオッサン顔)、妙にリアルで生々しい。
視聴には体力と精神力が必要だった。
こんな感じで、途中まで我慢しながら、半分は怖いもの見たさで視聴を継続していた。

・・・ところが、どうしたことだろう。
後半になると、頭では拒否反応100%なのに、心では感情移入を・・・。
どういうことなんだこれは。

~~理由を考えてみた~~

その原因は一体何だろう?
背徳は悲劇を生み、悲劇はドラマを生む。
そこに視聴者は様々な感情を抱き、何らかの感動を得る。

本作はどうか?
{netabare}序盤~中盤で兄側のみの心情や行動を描いていたため、視聴する側に「ヘンタイ!」と反応させ、あえて感情移入させない(少なくとも私はできなかった)。
ところが終盤以降、妹側の心情や行動をも同時に描くことによって、悲愛の要素を強めた。
「ヘンタイ」から「悲劇の愛」への移行をしたことで、視聴する側に同情させ、感情移入させることに成功したのではないだろうか。
最初に、拒否反応をさせておくことによって、その後に感情移入しやすくしたのだ。
相手側の反応(反論)を想定したうえでの自己の主張の展開。
これは非常に論理的な論法。これで説得力が増したのだと思う。

終盤からの感情表現、セリフ内容、ともに切れ味鋭く、秀逸だった。
最終回、象徴的なシーンとセリフを、これでもか、と流す。
(最終話の考察だけでレビュー1回分くらい書けそう)
そのうえで、最後は視聴者にボールを投げて終わった。
この終わり方で良かったと思う。
正解なんて誰も用意できないのだから。{/netabare}

扱うには非常に勇気が必要な重いテーマ。
しかし、本作はそれに負けないくらいの濃厚な作り込みをしていたと思う。
予想外のパンチを食らった・・・。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
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